女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
「僕の一言で、曲がかかるから」
「嬉野君、準備はいいな?ちゃんと撮ってくれよ」
「さっき寝てたから」
「嬉野君!」
「来るぞそろそろ」
「よぉーし!」
「……」
新しい~
「まっ……まだだね大泉くん」
「まだだよ」
「まだダメだよかけたら、これからだから」
「あー見えた!」
新しい~
「中途半端な……」
「くそ上手くいかないな」
「樋口さんちょっと歌い出しちゃったから」
「ダメダメダメ」
……何を騒いでいるのだろうか?一年一組のクラスバス内では妙な賑わいを見せていた。特に目立っているのは大泉さんと嬉野さん、そして藤村さんと鈴井さんだった。なにやら海が見えた途端に樋口了一さんの「1/6の夢旅人」を流しながらカメラに収めたいらしい。
それにしても朝から元気だな~
「さぁ~来るぞぉ」
「海だ!やったぞぉージャカジャン!」
新しい~この朝がいつものように始ま~る
「うれしー画的にはどうだったい?」
「堤防でね、見えなかったんだよ」
「堤防で見えなかったでしょ?」
「「wwwwww」」
「どぉなってんだよ、こらぁ一体」
どうやら全く見えなかったらしい、流石に防波堤の高いところからだと見えないのは当たり前だろう。
「あ、あ、あ、大泉さんそこら辺はどうですか?」
「この辺かい?」
「そうそう、抜けたところ」
「よしよし」
「キタキタキタ!!!」
「海だぁ!やったぁー!!!ジャカジャン!」
新しい~この朝がいつものように始ま~る
「かかった!かかった!樋口さん最高!ISがくえん~!」
「日本海に出ました!」
「センキュー!」
「うるさいぞ」
トンネルを抜けたバスの中でクラスの女子が声を上げる。
臨海学校初日、天候にも恵まれて無事快晴。陽光を反射する水面は穏やかで心地よさそうな潮風にゆっくりと揺らいでいた。
「スー、スー」
「千春はまだ寝てるか?」
「うん。こんなに騒がしいのに全く起きないね、少しお疲れみたい。前日の夜に何かあったのかも」
バスの隣の席で寝息を立てている黒咲。バスに揺られてここまで来たが、彼が目を覚ますことは一度も無かった。時々身体を揺らされ、シャルロットの肩に頭を預ける事もあった。その様子を見ていたボーデヴィッヒが羨ましそうに彼女をじっと見ていると、シャルロットとは勝ち誇ったような笑みを彼女に返していた。
「千春さんがここまで起きないなんて、一体何があったんだろう」
「……とりあえず今は休ませてあげた方が良いかもしれないな」
そう言いながら眠っている黒咲の寝顔にカメラを向けるボーデヴィッヒ、パシャリと音を立ててシャッターが切られる。
「後で僕にもその写真頂戴」
「シャルロットは千春に枕にされているからいらないだろう?この写真は私の物だ」
くぅ、と悔しそうなシャルロットにどや顔で返すボーデヴィッヒ。さきほどとは正反対だ。
「そろそろ目的に着く。全員ちゃんと席に座れ」
織斑先生の言葉で全員がさっとそれに従う。指導力抜群であった。
言葉通りほどなくしてバスは目的地である旅館前に到着。四台のバスからIS学園一年生がわらわらと出ていて整列し始める。
「千春さん、旅館に着いたよ。起きて」
「ん……」
ゆっくりとまぶたを開ける黒咲、とても眠そうであり頭が全く動いていない様子でシャルロットの袖を掴む。
オウフという言葉とともに、シャルロットの鼻から愛が溢れそうになるが、それを必死に堪え黒咲をバスから降ろす。
「ん……?」
離れないようにずっと彼女の腕を掴みながら後を歩いて行く。その様子を見たクラスメイト達は黒咲がシャルロットの腕にしがみつきながら、うとうとして居るのを見て少し可愛いと思ってしまった。
「それでは、ここが今日から三日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないように注意しろ」
「「「よろしくお願いしまーす!!!」」」
織斑先生の言葉の後、全員で挨拶をする。この旅館には毎年お世話になっているらしく、着物姿の女将さんが丁寧にお辞儀をした。
「はい、こちらこそ。今年の一年生は元気があってよろしいですね。楽しみで眠れなかった子も居るみたいで」
歳は三十代くらいだろうか、しっかりとした大人の雰囲気を漂わせている。仕事柄笑顔が絶えないからなのか、その容姿は女将という立場とは逆に若々しく見える。
「あら、こちらが噂の……?」
ふと、織斑と目があった女将さんが織斑先生にそう尋ねる。
「ええ、まあ。今年は一人男子がいるせいで浴場分けが難しくなってしまって申し訳ありません」
「いえいえ、そんな。それに、いい男の子じゃありませんか。しっかりしてそうな感じを受けますよ」
「感じがするだけですよ。挨拶をしろ、馬鹿者」
ぐいっと頭を押さえられている。今しようとしていたとでも言いそうな表情を浮かべる織斑。
「お、織斑一夏です。よろしくお願いします」
「ご丁寧にどうも。清洲景子です」
そういって女将さんはまた丁寧なお辞儀をする。その動きは先ほどとおなじように気品のあるもので、こういった大人な女性に耐性が無いのか、織斑は少し緊張しているようすだった。
「不出来の弟でご迷惑おかけします」
「あらあら。織斑先生ったら、弟さんには随分厳しいんですね」
「いつも手を焼かされていますので」
「それじゃあみなさん、お部屋の方へどうぞ。海に行かれる方は別館の方で着替えられるようになってますから、そちらをご利用なさってくださいな。場所が分からなければいつでも従業員に訊いてくださいまし」
女子一同は、はーいと返事をするとすぐさま旅館の中へと向かう。とりあえず荷物を置いて、そこからなんだろう。
「……あれ?もう着いてた……?」
ここで頭の中が起きてきたのか、黒咲がゆっくり言葉を呟く。シャルロットは笑顔で彼の頭を優しく撫でている。
「ふふっ、もう旅館に着きましたよ千春さん。バスの中でずっと寝てましたね」
「――迷惑かけたかな?」
「ううん、むしろご褒、何も無かったから大丈夫だよ」
「そっか……なら良かった」
眠たそうに目を擦る黒咲。彼がここまで眠そうにしているのはどうしてなのか聞きたかったが、すぐに織斑先生に連れられ何処かへ行ってしまった。
「海でまたね~」
「うん!先に行ってるね!」
「個室というのも考えたんだが、織斑の関係上私の部屋に一夏を入れることになった。黒咲は山田先生と同室だ」
「黒咲さん。よろしくお願いしますね」
「……よろしくお願いします」
眠そうにあくびをする黒咲はてくてくと部屋に入っていく。中は二人部屋だというのに広々とした間取りになっていて、外側の壁が一面窓になっている。そこから見える風景はこれまた素晴らしく、海がばっちり見渡せる。東向きの部屋だから、きっと日の出も抜群に綺麗だろう。それ以外にもトイレ、バスはセパレートタイプ。しかも洗面所まで専用の個室になっている。ゆったりとした浴槽は、織斑でも脚が伸ばせるくらいに広かった。
「一応、大浴場も使えるには使えるが、黒咲は多分この浴槽を使うだろうな」
荷物を置いて早速布団を敷き始めた黒咲を見ながら、織斑先生が部屋の説明をポツポツとする。だが彼の耳にはほとんど入っていないだろう。布団を敷き終わったと思ったらすぐに眠ってしまった。
「……黒咲さんお疲れなんですね」
「私も何があったのかしらないんだが……山田君頼んだぞ」
「はい!責任を持って黒咲さんを見てます!」
山田先生は大きな胸を張って、教師ですからと言葉を続ける。頼もしい限りだ。
教師としての仕事が終わり部屋に戻ってくると、未だに黒咲さんはお布団の中ですやすやと寝息を立てていました。
バスに乗る際にもとても眠たそうに目を擦りながら歩いていたので、もしかしたら朝までずっと起きていたかもしれませんね。
あまり無理しないで欲しいですが黒咲さんにも事情があり、こうなってしまっているのかもしれません。
「本当に寝顔を見ると女の子みたいですね……」
眠っている彼の顔をのぞき込む、目元に少しクマが出来ていたが確認できたので、間違いなく夜更かししましたね。
「今回何か問題が起きても、黒咲さんは頼れませんよね」
彼の頭を優しく撫でる。クラス代表の件といい、学年別トーナメントといい率先して行動してくれるのはありがたいですが、それで黒咲さんが傷ついてしまうのは見ていられません。もっと私達教員達がしっかりしていれば、彼がここまで傷つかなくても済んだのに……
(この臨海学校にも無理して来たんですね……皆さんを悲しませないために)
「んっ……」
私の裾をそっと掴む。黒咲さんは眠そうに目を擦りながらゆっくりと身体を起こし布団から出る。
「おはようございます黒咲さん。現在時刻は11時です、初日は自由時間なのでゆっくり過ごしてくださいね」
「……はい」ウトウト
はぁ~可愛い。本当に男の子なのか疑いたくなってきます!可愛すぎて抱きしめたくなりますが、ぐっと堪えて織斑先生と共に別館へと移動しなければなりません。彼の可愛らしい表情を拝む時間が短いのが残念ですが、夜になればじっくりと観察出来ますね!
「私は織斑先生と海に行っていますね。もしなにかあれば海に来てください」
「……うん。……海」
黒咲さんを置いて私は部屋を出る。荷物から取り出した軽めのバックには、水着とタオル、日焼け止めクリームや替えの下着を入れてあります。
さあ、行かん。いざ海へ!
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」