女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
時間はあっという間に過ぎ、現在時刻は七時半。大広間三つを繋げた大宴会場で、織斑達は夕食を取っていた。
シャルロット、ボーデヴィッヒと海で遊んでいたはずなのに二人が迫って来てからの記憶が全くない。千冬によると急に気を失ってしまったらしく、二人ともかなり焦っていたと聞いた、二人に心配をかけてしまった事を謝罪するために隣の席に移動しようと思ったが、席は早い者勝ちだったらしく俺は皆から離れ、織斑先生、山田先生の間で食事を取ることになった。
「黒咲、それでは合わせが逆だ」
「えっ?これであってると思いますけど……」
「右が上になっている、浴衣は右前になるように着るんだ」
そうか。今の状態は左前になっていて、死装束と同じようになってしまっている。これでは自分は死人ですと言っているようなものだな。
千冬に指摘され急いで浴衣を着直す。右前だな、よしこれで問題無いだろう。
「全く、急に運ばれてきたときはびっくりしたぞ?怪我が悪化したのかとヒヤヒヤした」
「……ごめんなさい」
隣で食事を取っている織斑先生に素直に謝る。こればかりは自分の体調管理不足だった。
大広間で食事を取る際に浴衣に着替えるよう言われたので、不思議に思いながら言われた通りに着替えここに来てみると『お食事中は浴衣着用』だそうだ。普通、禁止する物なのでは……?
ずらりと並んだ一学年の生徒は座敷なので当然正座。そして一人一人の前に膳が置かれている。
メニューは刺身と小鍋、それに山菜の和え物が二種類。それに赤だしの味噌汁とお新香。
これだけ聞くと普通だが、なんと刺身がカワハギなのだ。しかもキモつき。
「あの、これ良かったら」
ゆっくりとカワハギのキモを別皿に移して隣の千冬に渡す。
「……苦手か?」
「……はい」
キモの臭みや苦みなどがどうしてもダメで昔から苦手だ……最近では高級魚と言われているが、俺にはその良さがいまいち分からない。
その様子を俺の左となりにいる山田先生が微笑ましそうに見ている。子供だと思われてしまっただろうか
いや今は子供か。
「それにしても……ここまでとなると高校生のご飯じゃないですね。わさびも本わさだし」
「それだけ良い物を使っているのだ、お前が苦手なキモも新鮮だから苦みなど比較的少ないんだぞ?」
「……ヤダ」
「好き嫌いはダメですよ黒咲さん?」
「一口でも良いから食べてみろ」
教師に挟まれるとこうなってしまうのか。だから早い者勝ちの席か。知っていればこんなことにはならなかったかも知れない。
「ほら、口開けろ。あーんしてやる」
いやそれは流石に「開けろ」……。
「うぅ。あ、あーん」
逆らうことが出来ずにキモを口に入れる。さっさと飲み込も「よく味わって食べろ」しっかり噛んでキモを楽しむ……ん?あれ……?
「苦くない……」
「あ、もしかしたら黒咲さんが食べたキモは苦玉が取り除かれてなかったのかも知れませんね。あれ取り除かないと苦みが凄いんですよ」
そうだったのか……つまり俺が最初に食べた所の処置が悪かったんだな。そうかそうか。
「残りも食べるか?」
「……うん」
そうか。と笑顔で先ほど渡したキモを返してくる。これならなんとか食べられそうだ。
「それずるいよ!」
「織斑君、私も私も!」
なんか騒がしいけどどうしたのだろうか?そう思い耳を傾けてみると、どうやら織斑がセシリアにあーんをしたようだった。それを見た周囲が自分も!と名乗りを上げて押し寄せているとのこと。……よし何も聞かなかったことにしよう。
「早く早く!」
「あーん!」
一様に口を開ける女子の群れ。ひな鳥みたいだな……
「お前達は静かに食事することもできんのか」
その声に口を開けていた女子達が全員凍りついた。
「お、織斑先生……」
「どうにも、体力があり余っているようだな。よかろう。それでは今から砂浜ランニングしてこい。距離は……そうだな。50㎞もあれば十分だろう」
「いえいえいえ!とんでもないです!大人しく食事をします!」
そういって各自の席に戻っていく。それを確認してから、千冬は織斑の方を見た。
「織斑、あまり騒動を起こすな、鎮めるのか面倒だ」
「わ、わかりました」
……多分だけど織斑のせいじゃないと思うぞ。ゆっくりとこちらに戻ってきた千冬はため息をついた後、再び食事を取る。
「織斑先生だってアイツの事言えないでしょ。俺……私に……あ、あーんしてるし」
「ん?黒咲、砂浜ランニングが希望か?」
「い、いえ……なんでもないです……ハイ」
これ以上追求したら殺される気がした。
「ん?卓球台か……やっぱり旅館の何処にでもあるものなのか?」
食後に旅館を徘徊していると、一つの卓球台が目に入る。温泉旅館や健康施設によく置いてあるが、何故卓球なのか少し謎である。
卓球など何年ぶりだろうか?学校の授業でもやるかやらないか……そのくらいのレベルだぞ。
「千春どうした……ああ卓球台か。やりたいのか?」
「いや……珍しいから少しな」
こちらを見つけた千冬がゆっくりと近づいてくる。千冬も卓球したことあっただろうか?正直記憶が無い。
「懐かしいな。お前は卓球は極端に弱かったからな、よくハンデをつけて戦ったものだ」
……どうやら負けすぎて記憶から消してしまっていたらしい。だがそこまで俺は弱かっただろうか?
「ふっ……でまかせを。どうせ俺が勝ってたんだろ?」
「いや、お前がずっと負けてたぞ千春」
真顔でそう言われると本当な気がしてきてならない。俺はそんなに弱かったのか!?
「なら今この場でやるぞ、あの時の俺とは違うって事を教えてやる!」
「ほう?この私に勝負を挑むか……良いだろう全力でねじ伏せてやる!」
今ここに卓球最強戦が始まろうとしていた。
食事を済ませクラスメイト達と旅館内を歩いていると、ぺこん、ぽこん、と高い音が聞こえてくる。何かと思いその音を辿ってみる。
「はぁ……はぁ……」
「どうした千春、貴様の実力はこんなものか?」
千冬姉と黒咲が卓球を行っていた。余裕の表情を見せる千冬姉に対して、肩で呼吸をしている黒咲という対極の状態になっていた。そこまで白熱するほど長時間の対決になっているのかと思い、点数板を見てみる。
「こ、これは……酷いな」
「黒咲……卓球ダメだったんだな」
33対4。これは千冬姉と黒咲が約5分ほどで入れた点数の数だ。千冬姉が33点、黒咲がたったの4点。圧倒的な差を見せつけられている。
これが世界最強か……
「あれだけ自信たっぷりだったわりには、たいしたことないな黒咲?」
ぺこん、とサーブを入れる千冬姉、息切れをしている黒咲はそれを必死に相手のコートに返そうとする。
「えいっ!」
勢いよくラケットを振るが、ボールには全く当たらず空を切る。34対4。ここまでくるとどうやって4点も取れたのか気になってくる。
「も、もう無理……死んじゃう……」
「また気絶してもらっても困るからな、ここまでとしよう」
たった五分。その間に34対4という結果を残した二人の戦いは噂となり「黒咲は卓球が下手」という噂から「黒咲は運動音痴」という噂になり広がっていった。
なおその噂は別のタイミングで払拭することが出来るのだが、それはまた別のお話である。
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」