※この作品はR-18です。

女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活   作:灰崎 快人

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第43話「作戦会議」

「では、現状を説明する」

旅館の一番奥に設けられた宴会用の大座敷・風花の間では、黒咲を抜いた専用機持ちと教師陣が集められた。

照明を落とした薄暗い室内に、ぽうっと大型の空中投影ディスプレイが浮かんでいる。

「二時間前、ハワイ沖で試験稼働にあたったアメリカ・イスラエル共同開発の第3世代型の軍用IS《銀の福音》が制限下を離れて暴走。監視空域より離脱したとの連絡があった」

いきなりの説明に、俺は面食らって唖然としてしまう。何?え?軍用IS?それが暴走?その連絡がなんで俺たちに?

軽い混乱に見舞われた俺は、他のメンバーの反応が気になって周囲に視線を送る。

「………………」

全員が全員、厳しい顔つきになっていた。

俺や箒とは違う、正式な国家代表候補生なのだから。こういった事態に対しての訓練も受けていたのかも知れない。特に、ラウラの眼差しは真剣そのものだった。

「その後、衛星による追跡の結果、《福音》はここから2キロ先の空域を通過することがわかった。時間にして50分後。学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処することとなった」

淡々と続ける千冬姉。その次の言葉は思ってもみないものだった。

「教員は学園の訓練機を使用して空域及び海域の封鎖を行う。よって、本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」

は、はい?つまり、暴走した軍用ISを――俺たちで止めろってことか!?

「それでは作戦会議をはじめる。意見があるものは挙手するように」

「はい」

早速、手を上げたのはセシリアだった。

「目標ISの詳細なスペックデータを要求します」

「わかった。ただし、これらは二ヶ国の最重要軍事機密だ。けして口外はするな。情報が漏洩した場合、諸君には査問委員会による裁判と最低でも二年の監視がつけられる」

「了解しました」

未だに状況が飲み込めずに居る俺に対して、セシリアをはじめとした代表候補生の面々と教師陣は開示されたデータを元に相談をはじめる。

「広域殲滅を目的とした特殊射撃型。わたくしのISと同じく、オールレンジ攻撃を行えるようですわね」

「攻撃と機動性の両方を特化した機体ね。厄介だわ。しかもスペック上ではあたしの甲龍を上回ってるから、向こうの方が有利……」

「この特殊武装が曲者って感じがするね。ちょうど本国からリヴァイヴ用の防御パッケージが来てるけど、連続しての防御は難しい気がするね……」

「しかも、このデータでは格闘性能が未知数だ。持っているスキルもわからない。偵察は行えないのですか?」

セシリア、鈴、シャルロット、ラウラは真剣に意見を交わしている。俺は、混乱が収まったのについて行けなかった。正直、情けない。

「無理だな。この機体は現在も超速飛行を行っている。アプローチは一回が限界だろう」

「一回きりのチャンス……ということはやはり、一撃必殺の攻撃力を持った機体で当たるしかありませんね」

山田先生の言葉に、全員が俺の方を見る。

「え……?」

「一夏、あんたの〘零落白夜〙で落とすのよ」

「それしかありませんわね。ただ、問題は――」

「どうやって織斑くんをそこまで運ぶか、だね。エネルギーは全部攻撃に使わないと難しいだろうから、移動をどうするか……」

「しかも目標に追いつける速度が出せるISでなければいけないな。〘超高感度ハイパーセンサー〙も必要だろう」

「ちょっ!ちょっと待ってくれ!俺が行くのか!?」

「「「「当然!」」」」

四人の声が見事に重なった。

「織斑、これは訓練ではない。実戦だ。もし覚悟がないのなら、無理強いはしない」

…………。

千冬姉に言われて、俺はわずかに及び腰になっていた自分を蹴り飛ばした。

「やりますよ!俺!ここを乗り切って見せればいいんでしょ!?やってみせます!」

「よし、それでは作戦の具体的な内容に入る。現在、この専用機持ちのなかで最高速度が出せる機体はどれだ?」

「それなら、私の《ブルー・ティアーズ》が。ちょうどイギリスから強襲用高機動パッケージ〘ストライク・ガンナー〙が送られて来ていますし、〘超高感度ハイパーセンサー〙もついています。これ以外では黒咲さんから「《ノワール》の機能を少し設定すれば高速戦闘に対応できる。ただし操縦者はかなりのGに襲われる」と聞いたくらいです」

全てのISにはこの〘パッケージ〙と呼ばれる換装装備を持っている。

〘パッケージ〙とは単純な武器だけでなく、追加アーマーや増加スラスターなどの装備一式を指し、その種類は豊富で多岐にわたる。

中には専用機だけの機能特化専用パッケージ〘オートクチュール〙というのが存在するらしい。俺はこれを見たことないけど。

これを装備することで機体の性能と性質を大幅に変更し、様々な作戦が遂行可能になるというものだ。ちなみに、俺のも含めて一年の専用機持ちは今のところ全員がセミカスタムの標準装備である。――いやシャルロットのはフルカスタム機のデフォルト……うん、なんて言えば良いんだ?改良型の標準装備?

「そうか……オルコット超高速下でに戦闘訓練時間は?」

「20時間です」

「ふむ……。それならば適任――」

だな、と言おうとした千冬姉を、いきなり底抜けに明るい声が遮る。

「待った待ったー!その作戦にはちょっと待ったなんだよ~!」

しかも声の発生源は何処かというと、部屋真正面の扉からだった。全員が注目するとばん!という音と共に扉が開き、そこから束さんと連れてこられたのか黒咲がいた。

「……何故黒咲を連れてきた」

「んー?この場に必要だと思ったからだよ?それにあの手話、この子には全部伝わってたみたいだしね~」

「……とりあえず黒咲は置いていけ、そしてお前は出て行け」

束さんに無理矢理連れられてきた黒咲は少し体調が悪そうにこちらに向かってくる。

なんというかご愁傷様という感じだ。

それにあの手話を理解出来たのが凄い。黒咲はボーデヴィッヒの隣に並ぶように移動する。ボーデヴィッヒとシャルロットが心配そうに黒咲に駆け寄り、顔色を伺っているのが少し気になった。

「……織斑先生、自分は大丈夫ですので。篠ノ之博士の言うことに少し耳を通して見てください、正直納得等はいかないでしょうが……聞く価値はあると思います」

黒咲からの提案に乗る気はあまりないようにため息をつく千冬姉。束さんに関してはふっふっふっと怪しい笑みを浮かべている。

「ここは断・然!《紅椿》の出番なんだよっ!」

「なに?」

「紅椿のスペックデータを見てみて、パッケージなんかなくても超高速機動ができるんだよ!」

束さんの言葉に応えるように数枚のディスプレイが千冬姉を囲むようにして現れる。

「《紅椿》の〘展開装甲〙を調整して、ホイホイと……ほら!これでスピードはバッチリ!」

〘展開装甲〙……ってなんだ?

聞き取れない言葉に俺が首を捻っていると、束さんが千冬姉の隣に立って説明をはじめた。しかもメインディスプレイも乗っ取ったらしく、さっきまで《福音》のスペックデータが映っていた画面は、今はもう《紅椿》のスペックデータへと切り替わっている。

「説明しましょう~展開装甲というのはだね、この天才の束酸が作った第四世代型ISの装備なんだよ」

第……四世代!?

「まず第一世代というのは「ISの完成」を目標とした機体だね、次が、「後付装備による多様化」これは第二世代。そして第三世代は「操縦者のイメージ・インターフェイスを利用した特殊兵器の実装」。空間圧作用兵器にBT兵器、あとは〘AIC〙とか色々だね。……で第四世代というのが「パッケージ換装を必要としない万能機」という、現在絶賛机上の空論中のもの。はい、いっくん理解出来ましたか?先生は優秀な子が大好きです。特に擬似的にこの第四世代を扱っている黒咲さんはね」

黒咲にいくつかの視線が集束する。確かに黒咲の《ノワール》ってパッケージも無いし黒咲自身も万能機って言うくらいだ。もしかしたら黒咲のISは第四世代型に当たるのかも知れない。

「それは無いです。あくまでも私のISはまだパッケージが開発されていないだけですし、装甲を極限まで減らしただけの物です。篠ノ之博士の仰る第四世代とはかなり異なるかと」

「そうかもね~展開装甲もないからね。《白式》の雪片弐型には使用されてるけどね~」

「「「え!?」」」

この言葉には、流石の俺以外の専用機持ちも驚いていた。

零落白夜発動時に開く《雪平弐型》の、その機構がまさにそれだった。しかも言葉通りに受け取るのであれば「白式」自体も第四世代型ということになる。

「それで上手くいったので、なんと《紅椿》は全身のアーマーが展開装甲にしてありまーす。システム最大稼働時にはスペックデータはさらに倍プッシュだ!」

「ちょ、ちょっと待ってください!え?全身?全身が雪平弐型と同じ?それって――」

「うん。滅茶苦茶強いね。一言で言うと最強だね」

俺含め場の全員がぽかんとしている。していないのは黒咲に千冬姉くらいで、それ以外は皆目の前の篠ノ之束という存在に度肝を抜かれていた。

「ちなみに《紅椿》の展開装甲はより発展したタイプだから、攻撃・防御・機動と用途に応じて切替が可能。これぞ第四世代型の目標である即時万能対応機ってやつだね。私がはやくも作っちゃったよ~」

しーん。場の一同は静まり返ってしまって言葉もない。

「あれ?なんでみんなお通夜みたいな顔してるの?誰か死んだ?変なの」

変なの、どころの話ではない。

各国が多額の資金、膨大な資金、優秀な人材の全てをつぎ込んで競っている第3世代型ISの開発。

それが、無意味なことだというのだから。こんな、こんなバ鹿な話は無いだろう。

「――束、言ったはずだぞ。やりすぎるな、と」

「そうだっけ?えへへ、ついつい熱中しちゃったんだよ~」

千冬姉に言われてやっと、俺たちが完全に黙り込んでいる理由を理解したようだった。

「あ、でもほら、《紅椿》はまだ完全体じゃないし、そんな顔しないでよ、いっくん。いっくんが暗いと束さんはイタズラしたくなっちゃうよん」

いや……ウインク、されましても……。

「まーあれだね。今の話は《紅椿》のスペックをフルに引き出したら、って話だからね。でもまあ、今回の作戦をこなすくらいは夕食前だよ」

夕食前って……かなり遅い……いやもういいや。

「それにしてもあれだね~。海で暴走っていうと、十年前の白騎士事件を思い出すね!」

ニコニコとした顔で話し出す束さん。その横では、千冬姉が「しまった」と言う顔をしていた。

その時、俺は黒咲が束さんのことを鋭い目で見ていたのに気が付かなかった。

次の番外編

  • おねショタ(無効票)
  • 1シャル&ラウラと千春(受け)
  • 2シャル&ラウラと千春(攻め)
  • メス堕ち(無効票)(千春総受け)
  • 束と千春
  • 千冬と千春
  • シャル&ラウラと千春
  • 一夏と千春
  • オマケ(無効票)
  • 千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
  • 千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」
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