※この作品はR-18です。

女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活   作:灰崎 快人

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第49話「覚醒」

「行くぞ《デスティニー・ノワール》。〘P.A.M.D〙発動、リミッター解除……出力最大だっ!」

〘NowLoading...〙

黒咲がそう叫ぶと同時に《ノワール》からは不気味な機械音声が流れてくる。《福音》とは違い禍々しいその機械音声は、英語でゆっくりと単語を並べていく。

〘Phantom.〙

〘Acceleration.〙

〘Maximum.〙

〘Device.〙

『幻影加速……最大装置?』

『なんだ、それ。そんなの教科書になんて、なかったぞ……』

〘Limiterreleased...〙

〘Anti-ValkyrieTraceSystemlaunches.〙

〘Specificationforspecialaircraft,safetyreleaseforpilot.〙

〘Activatemaximumoperatingstate.〙

〘Completelydestroythetarget.〙

一気にいろんな単語が並べられる。《ノワール》のシステムが高速で書き換えられているのか、福音よりも異質な状態へと変わっていた。

『く、黒咲……いったいどうしたんだ』

『わからん……だが黒咲が今からなにをしようとしているのかは少し分かる気がする』

少し離れたところから《福音》と《ノワール》を眺める二人の言葉に、少し怖気が感じられる。ノワールの装甲からはわずかに火花が散っており、形を少し変化させている。翼を模した加速装置を広げ、光の粒子を放っている。

《ノワール》のシルエットはまるで悪魔を模したかのようであり、黒咲が装着している頭部センサー類が赤く発光していた。

『黒咲……お前っ』

〘P.A.M.D〙

『全力全開だぁぁぁぁ!!!』

紫色の光の翼を展開し《福音》へと突撃していく《ノワール》。その危険性に気がついた《福音》は真っ先に回避行動を優先しつつ《ノワール》を撃墜しようと、光の弾丸を容赦なく放ちながら後退していく。

そんな弾雨の中を高速で避けながら突撃していく《ノワール》は、通常の〘ハイパーセンサー〙ではまるで分身したように危険信号が発せられている。

どう考えても人体に負荷がかかっているのは目に見えていた。

『黒咲っ……!』

『無理矢理にでも隙はつくる!でなければこちらがやられる!』

《福音》と《ノワール》、光の翼を発動している同士の攻戦は一歩も譲らない接戦となっていた。

《福音》が光の弾丸を展開し《ノワール》に放つと、背部の高エネルギービーム砲でそのエネルギー弾をかき消すという荒技を行っていた。逆に《ノワール》がフラッシュエッジを展開し《福音》へ投げつけると、ビームが形成されていない持ち手の部分を蹴り飛ばしはじき返す荒技を行っていた。

『俺たちは見ている事しか出来ないのか……?』

ただ見ている事しか出来ない状態の織斑は自身の不甲斐なさに打ちひしがれる、しかしこれは役割分担をした結果であり、織斑は別に不甲斐なくはないのだ。ただ自分が戦闘に参加できないこと、重症を負っているはずの黒咲が前線で戦ってる事など、さまざまな状況が織斑を追い詰めている要因になっていた。

『俺はっ、ここで見ているだけなのか?』

『一刻でも速くこの戦いを終わらせないと……いけないのに』

『……』

《雪片弐型》を強く握りしめる力がより一層強くなる。そんな織斑同様見ている事しか出来ない箒は、黒咲がつくるチャンスを無駄にしないためにも今か今かと待っている状態だった。

『クソッ!』

流石の機動力であったとしても福音の弾幕は激しいことに変わりはなく、黒咲は〘デスティニー・システム〙に装備設定されている実体シールドを手に福音へと突撃していた。

実体シールド兼ビームシールドとして扱うことが出来るその一枚の盾は、シャルロットの〘ガーデン・カーテン〙のシールドよりも耐久に優れており、多少の被弾では傷一つつかない代物であった。

しかし、それが例え装備されていたとしても限界は必ずやってくる。

『せりゃぁぁぁ!!!』

フラッシュエッジを二基投げ飛ばした後、背部に搭載されている実体刀《白鞘》を展開結合し薙刀モードにする。

『ここからが本番だァ!!!』

 


一夏side

 

「ぐっ!がっ……!?」

超高速戦闘開始から約10分後、限界を迎えた黒咲は口を大きく開き吐血した。あの動きやはり無理のある状態での稼働、身体に悪影響が出るのはどう考えても分かることだった。

そんな状況に見ているだけの俺たちは何も出来ない自分に怒りを表していた。

『俺の声に応えてくれ!……応えろ!《白式》!!!』

『私に力を貸せ !《紅椿》!!!』

行き場のない怒りに思わずそう叫んでしまう。

二人がそう叫ぶと同時に、《白式》と《紅椿》から黄金の粒子が溢れ出す。

『こ、これは!?』

織斑の思いに答えるようにを包み込むような暖かな光は、《白式》の形状を変化させ新たな形状へと進化させていく。

この状況は一次移行した時とよく似ていた、高周波の金属音と暖かな光がゆっくりと消え新たな形となった《白式》が姿を現す。

大型化したウイングスラスター四機に、左腕には新たな装備か追加されていた。

〘System,rebuilding〙

〘Information,on,additional,equipment,``Setsura''〙

〘Update,the,pilot's,data〙

俺の脳内に追加情報が直接送られてくる。《白式》の新たな装備の使用など膨大なデータが脳内に流れては整理されていく。

『二次移行完了。装備《雪羅》が使用可能になりました』

『〘セカンドシフト〙……これが《白式》の新たな姿なのか?』

新たな姿として生まれ変わった《白式》に興奮を抑えきれなかった。

しかし今の状況を思い出し瞬時にその興奮を抑え込み《福音》を〘ハイパーセンサー〙で捉える。

『これ以上……俺の仲間は、誰一人としてやらせはしない!』

言俺は《ノワール》と交戦中の《福音》へと急加速、正面からぶつかった。

『織斑!どうして!?』

『ここからは俺と《白式》に任せてくれ!』

『……ッ頼みます』

俺と入れ違いになるように後退する黒咲を確認し、目の前の敵機をしっかりと見据える。

『行くぞ!』

《雪片弐型》を右手だけで構え、斬りかかる。

それをひらりとのけぞってかわした《福音》を、左手の新兵器である《雪羅》で追った。

第二形態に移行したことで現れたこの装備は、状況に応じていくつかのタイプへと切り替えられるらしい。俺のイメージに応えるように、その指先からはエネルギーのクローが出現する。

『逃がさない!』

一メートル以上に伸びたクローが《福音》の装甲を斬る。シールドエネルギーに阻まれはしたものの、その一撃は確実に《福音》を捉えていた。

『敵機の情報更新。攻撃レベルAで対処する』

エネルギーの翼を大きく広げ、さらに胴体から生えた翼を伸ばす。そして次の回避行動の後、《福音》の掃射反撃がはじまった。

『そう何度も食らうと思うなよ!』

――雪羅、〘シールドモード〙へと切替。相殺防御開始。

ガギャンッ!という甲高い金属音を鳴らして、左腕の雪羅が変化する。それから光の膜が広がって、《福音》の弾雨を消していく。

これはエネルギーを無効化する〘零落白夜のシールド〙。当然エネルギーの消耗は激しいが、完全に攻撃を無効化することが出来る以上、圧倒的に有利になった。福音に実弾兵器がないのは、スペックカタログで確認済みだ。

『うおおおおっ!!!』

強化された大型ウイングスラスター四機が備わった白式《雪羅》は二段階瞬間加速を使用可能になっている。複雑な動きをする福音も、最速での回避が可能な訳ではない、これで十分に追いつけるはずだ!

 


箒side

 

《紅椿》の方はその言葉に応えるように、展開装甲から赤い光に交じって緑、黄金の粒子が溢れ出していた。

『これは……熱、暖かな光……』

ハイパーセンサーからの情報で、機体のエネルギーが急激に回復していくのがわかる。

『〘絢爛舞踏〙発動。展開装甲とエネルギーバイパス構築……完了』

項目に書かれているのは〘ワンオフ・アビリティー〙の文字だった。

(これで、戦えるのだな?ならば――!)

気合いを入れるために赤いリボンで髪を縛り直し、気を引き締めて福音を見る。

(ならば行くぞ!《紅椿》!)

赤い光に黄金の輝きを得た真紅の機体は、夕暮れの空を裂くように駆けた。

〘零落白夜〙の光刃で《福音》のエネルギー翼を断とうとする《白式》。しかし同時に両方の翼を斬るのは至難の業であり、またしても二撃目を回避されてしまう。そうしている間に失った翼は再構築され、こちらへと強力無比な連射攻撃を放ってきた。

『状況変化。最大攻撃力を使用する』

《福音》の機械音声がそう告げると、それまでしならせていた翼を自身へと巻き付けはじめる。それはすぐに球状になって、エネルギーの膜にくるまれた状態に変わった。

次の瞬間、翼が回転しながら一斉に開き、全方位に対して嵐のようなエネルギーの弾雨を降らせる。

それはつまり、ダメージから回復しきっていない黒咲たちにも攻撃が及ぶということだった。

(守り切れないっ!!)

織斑が直ぐさま仲間の盾になろうと走ろうとするが、それを冷静な声に止められる。

『こっちは大丈夫!それにセシリアさん達は代表候補生だから!余計な心配せず、一気に終わらせて!』

エネルギーの弾雨から仲間を守るように、シャルロットと黒咲がエネルギーシールドと実体シールドを構えていた。その後ろではセシリア、鈴そしてラウラが浮いており、盾を展開している二人が吹き飛ばされないように背中を支えていた。ラウラはダメージの深い黒咲に寄り添い、一緒に盾を構えてエネルギーの弾雨を防いでいた。

『わかった!』

仲間を信じた私は雨月と空裂を展開して。再度《福音》へと突き進んでいった。

 


一夏side

 

『くそっ!』

――エネルギー残量二十%。予想稼働時間、四分。

(このままじゃ……)

雪片と雪羅の同時使用によるエネルギーの急激な消耗。リミッターなしの軍用ISがどれほどのエネルギーを持っているのか、見当がつかない。

対して俺の機体は稼働限界が確実に近づいてきている。それは焦燥へと変わっていて、じわじわと心を焼きはじめている。

『一夏!』

『箒!』

『これを受け取れ!』

箒の《紅椿》の手が、俺の《白式》へと触れる。

その瞬間、全身に電流のような衝撃と炎のような熱が走り、一度視界が大きく揺らいだ。

『こ、これは……なんだ?エネルギーが、回復してる!?箒――』

『今は考えるな!行くぞ!一夏!』

『――おう!』

意識を集中させ、雪片弐型のエネルギー刃を最大出力まで高める。巨大なその光の刃を、俺は両腕で支えて大きく振るった。

『うおおおおおっ!!』

《福音》は織斑の横薙ぎを縦軸一回転して回避、こちらを再び視野に捉えると同時に光の翼を向けてくる。今だ!

『箒!』

『任せろっ!』

織斑の方に向けられた翼を、《紅椿》の二刀が並び一断の斬撃で断ち斬った。

『逃がすかぁぁぁぁ!!!』

さらに脚部展開装甲を開放し、急加速の勢いをのせた回し蹴りが《福音》の頭部に入った。

予想外の攻撃に大きく姿勢を崩した《福音》を下から上へと返す刃で残りの光翼もかき消す。

そして最後の一撃を繰り出そうとしている俺に、《福音》は身体から生えた翼で一斉射撃を試みる。

『やらせるなっ!』

少し離れたところから黒咲、ラウラ、シャルロット、セシリアの援護射撃によって織斑に飛んでいくエネルギー弾がかき消されていく。

《福音》への胴体へと〘零落白夜〙の刃を突き立てた。

『おおおおおっ!!!!!』

エネルギー刃特有の手応えを感じながら、さらに俺は全ブースターの最大火力まで上げる。

押されながらも、織斑の首へと手を伸ばす《福音》。その指先が喉笛に食い込んだところで、銀色のISはやっと動きを停止した。

「はぁっ、はぁっ、や、やったぞ……!」

アーマーを失い、スーツだけの状態になった操縦者が海へとおちていく。

「しまっ――!」

『――ツメが甘いのは変わらないわね』

鈴が海面接触ギリギリで操縦者をキャッチする。ダメージから回復したシャルロットとラウラそして黒咲も無傷とはいかないが無事のようだった。

『終わったな』

『ああ……やっと、な』

俺と箒は肩を並べて、空を見る。

あれほどまでの青さを誇っていた空はもう既になく、夕闇の朱色に世界は優しく包まれていた。

次の番外編

  • おねショタ(無効票)
  • 1シャル&ラウラと千春(受け)
  • 2シャル&ラウラと千春(攻め)
  • メス堕ち(無効票)(千春総受け)
  • 束と千春
  • 千冬と千春
  • シャル&ラウラと千春
  • 一夏と千春
  • オマケ(無効票)
  • 千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
  • 千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」
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