女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
「さ、ラウラ。これに着替えてきて」
「わかった」
「試着室はこちらになります」
連れられるまま試着室に入って、そこでラウラは小さくため息を漏らした。
(仕方がないとはいえ、せっかくの新しい私服なのだから黒咲にも見て貰うとしよう)
そんなことを考えながら、ラウラは着ていた私服を脱いでいく。
灯りに照らされた素肌は透き通るように白く、冷たさを感じるほどに美しかった。
(…………)
ふと、自分の体を改めてみる。下着だけを身に纏ったその姿は、しなやかさがありながらも鍛えられた屈強さがある。
(自分ではよくわからないが、異性にとっては魅力がないのだろうか?)
とはいうものの、黒咲は自身の裸を見て慌てたりなどしていることからその線はないのだろう。
(うぅむ……よく分からないものだな)
改めてシャルロットたちが選んだ服を見ると、それはいわゆる『クール系』といわれるタイプのファッションだった。
(どうせなら、可愛いのが良かったな。それなら千春の気も──)
…………。
「どう?ラウラ。着替えた?」
ドアの向こうから声をかけてきたのは、おなじみシャルロットだった。
ラウラはとりあえず急いで私服を着直してから、ドアを開ける。
「あれ?どうして着替えてないの……?」
「シャルロット」
「う、うん。もしかして気に入らなかった?」
「いや、そういうわけではないのだが……」
歯切れが悪く言葉を上手く出せないラウラに対して、シャルロットは?マークを頭に浮かべていた。
「い、いや……千春はどうした?」
「えっ?千春さんはラウラに似合いそうな服探してくるって。あそこにいるよ」
シャルロットが指をさした先には、夏物を物色する黒咲がいた。シャルロット達が先ほどまで場所ではなく、少し離れたかわいい系の服が置かれているところにいた。
「あ、あのだな……もうすこし、可愛いのがいいな……」
照れくさそうに言うラウラがあまりにも女の子的で、シャルロットは一瞬ぽかんとしてしまう。
「あれ?ラウラまだ着替えてなかったの?なら丁度いいや、私も選んでみたから試着してみて」
「わ、わかった。……ありがとう」
「どういたしまして」
再び試着室に戻るラウラを少し不思議そうに思っていた黒咲だったが、そこまで気にすることではないとおもい、大人しくラウラが試着室から出てくるのを待っていた。
「黒咲さんはどんなの選んだの?」
「ぶっちゃけ今とそこまで変わらないんだけど……このお店はデザインが良いのが多いからちょっと持ってきた」
黒咲が持ってきた服は、肩が出る黒いワンピースとブレスレットそして髪を結ぶための黒いリボンだった。
「正直言って露出が高い服装はどうなのかなって、思ったんだけどね……簡単に受け取られちゃったから。それに渡したワンピースもラウラからしたら同じかもしれないしね」
「そうなんだね」
それから二十分後、着替え終わったラウラが試着室を出ると、店内の全員が息をのんだ。
「うわ、すっごいキレイ……」
「妖精みたい……」
店内中の視線を受けて、流石のラウラも照れくさそうな顔をする。
着ているのは黒咲が選んで渡した服。肩が露出したワンピースは部分的にフリルがあしらわれていて、可愛らしさを演出している。
ややミニよりの裾がラウラの超俗的な雰囲気と合っていて、言葉通り妖精さんはがらの格好だった。
「それじゃあこれ」
「く、靴まで用意していたのか。驚いたぞ」
「せっかくだからね、ミュールってやつ履いてみて」
初めて履くヒールのある靴に、ラウラが姿勢を崩そうとする。
全員が「あっ!」となる中、黒咲は瞬時にラウラの手を取り、後ろに倒れそうな体を手で支えていた。
「す、すまない」
「どういたしまして」
体勢を立て直したラウラの手を取り、頭を優しく撫でる黒咲。
そんなふたりはさながら血の繋がった姉妹といった様子で、まるで物語のワンシーンのようでさえあった。
「ミュールは流石に無理があったかな」
「な、なれないものだな」
「ゆっくりでいいから少し歩いてみる?」
「やってみる……」
黒咲はそっとラウラの手を離して、少し離れた場所へと移動する。なんとか必死に体勢を維持して黒咲の方へと向かうラウラの足取りは、まるで生まれたての子鹿のようであり全員固唾をのんで見守っていた。
「おいで~」
笑顔で両手を広げ今か今かとラウラを待つ黒咲、その表情はまるで妹を可愛がっている姉のようであり、凜々しさの中に優しさが見えた。
「うぅ……千春っ」
なんとか黒咲の元までたどり着いたところで再びバランスを崩して倒れそうになるラウラ、体を支えようとする黒咲もろとも倒れそうになってしまい流石に全員が「あっ!」と声を上げる。
次の瞬間にはシャルロットが二人の体を支えていた。
「大丈夫?」
「す、すまないな」
「まさか一緒に倒れちゃうなんて……ありがとうシャルロット」
シャルロットとラウラに板挟みになりながらも、平常心を乱すことなく感謝をする。
「どういたしまして」
先ほどまで姉妹のような二人の中に貴公子が入り込んだことで、さらに物語のワンシーンのようにかんじてしまう。
「しゃ、写真とっても良いですか!?」
「わ、私も!」
「握手して!」
わあっと一気に囲まれる三人。店内だけでなく、騒ぎに集まってきた店外の人まで輪に入ってきてmあたりはしばし騒然となった。
ちなみにシャルロットと店長が選んだ服装は、せっかく選んでくれたものだからとサイズ調整を行った上で黒咲がお買い上げした。
黒咲が支払いにブラックカードを取り出した際には、店長も他店員も店内の客も言葉を失っていた。
「ちょっと疲れたな」
「まさか最初のお店であんなに時間の使うとは思わなかったね」
「しばらく人混みはごめんだな」
時刻は十二時を過ぎたところで、三人はオープンのカフェでランチを取っていた。
ラウラは日替わりのパスタ、シャルロットはラザニア、黒咲はサンドイッチをそれぞれ食べている。
「しかしまあ、いい買い物は出来たな?」
「せっかくだから千春さんみたいにそのまま着てれば良かったのに」
「いや、その、汚れては困るからな。それにしても、かなり高かったと思うのだが……大丈夫なのか?」
「別に大丈夫だよ。あのくらい全然痛くないから」
色々と仕事をやってある程度余裕が出来たからねとサンドイッチを嗜む黒咲。どのくらい余裕が出来たのかとラウラが聞くと「ブガッティ ラ・ヴォワチュール・ノワールっていう幻の車が十数台買えるくらい……かな?」との返答がきた。
正直言ってパッとしないので、何桁なのかとシャルロットが尋ねると「それ聞いたら怖くなると思うからやめときな?」と釘を刺された。その返しも恐怖を感じたふたりはそれ以上は聞けなかった。
「ラウラ、フォークとスプーンが逆になってるよ。シャルロットもね」
「「っ……」」
「怖くなっちゃった?」
ふふっと笑みを浮かべる黒咲。しかしそんな笑顔ですら恐怖を感じてしまう。
「ご、午後はどうする?」
「生活雑貨を見て回ろうよ。僕は腕時計を見に行きたいなぁ。日本製の時計って、ちょっと憧れだったし」
「腕時計が欲しいのか?」
「うん、せっかくだからね。ラウラはそういうのってないの?日本製の欲しいもの」
少し考えてから、ラウラはきっぱりという。
「日本刀だな」
「……ラウラ、日本刀はそう簡単に売ってないぞ」
「お、女の子的なものは?」
「ないな」
即答。分かっていたこととはいえ、シャルロットはがくっと首を落とした。
「千春さんは?」
「そうだな、俺も腕時計かな……最近壊してしまってそろそろ替えの物が欲しいところだからな」
「じゃあ一緒だね」
そんな会話をしていると、席の前に一人の女性が近づいてきていた。年頃は二十代後半で、がっちりとしたスーツを着ている。三人を見るなり近づいてきたであろう女性は、元気よく笑顔をつくっていた。
「あなたたち」
「はい?」
「バイトしない?」
「「「え?」」」
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」