※この作品はR-18です。

女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活   作:灰崎 快人

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第57話「お帰りくださいませ」

接客をしているうちにシャルロットとラウラは店内の中で騒動となり、一気に店内全体に感染し、爆発的に喧噪を大きくしていく。

どう反応していいか困るシャルロットにラウラだったが、店長と黒咲が間に入って上手く二人を滞りなくテーブルに向かうように声かけをして調整をしていった。そこは流石に本業、店長の指示は的確で、いつの間にか通常時の五割増しの客数を見事にさばいていた。

そんな混雑が二時間ほど続いて、流石にシャルロットもラウラも精神的な疲れが見えはじめ黒咲がケアを行っている時、その事件は起きた。

「全員、動くんじゃねぇ!」

ドアを蹴破らんばかりの勢いで雪崩れ込んできた男が三人、怒号を発する。

一瞬、何が起こったのか理解出来なかった店内の全員だったが、次の瞬間に発せられた銃声で絹を裂くような悲鳴が上がった。

「きゃああああっ!?」

「騒ぐんじゃねえ!静かにしろ!」

男達の格好といえばジャンパーにジーパン、そして顔には覆面、手には銃。背中のバッグには何枚か紙幣が飛び出ていた。

誰がどう見ても銀行強盗をした後の逃走犯である。

アニメや漫画の世界でしかあり得ないような服装であるため、一瞬ぽかんとしたが、そこはそれ。銃を持っている凶悪犯い変わりはない。言うことを聞かないわけにはいかない。

「犯人一味に告ぐ!君たちは既に包囲されている。大人しく投降しなさい!繰り返す──」

駅前の一等地。警察機関の動きはこの上なく迅速で、窓から見える店外では警察車両による道路封鎖とライオットシールドを構えた対銃撃装備の警察官達が包囲網を作っていた。

「なんとお粗末な……」

ぽつりと黒咲がそんな言葉を呟く。その横でラウラは確かに……と言葉を漏らした。

「ど、どうしましょう兄貴!このままじゃ俺たち全員──」

「うろたえるんじゃねえっ!焦ることはねえ・こっちには人質がいるんだ。強引な真似はできねえさ。それに日本の警察はお粗末極まりないのは知ってるだろ?ストーカー被害にあってる女への対応も何もせずに見殺しにしたりしてるしな!」

確かに最近のニュースではストーカー被害にあっている女性への対応が悪く、その後男性に殺害されたというニュースが流れた。まあ日本の警察が役に立った事例があまりないのも原因だろう。

リーダー格とおぼしき三人の中でひときわ体格のいい男がそう告げると、逃げ腰だった他の二人も自信を取り戻す。

「へへ、そうですよね。俺たちは高い金払って手に入れたコイツがあるし」

ガチャッ!と硬い金属音を響かせてショットガンのポンプアクションを行う。そして次の瞬間、威嚇射撃として天井に向けて行った。

「きゃあああっ!」

蛍光灯が破裂し、パニックになった女性客が耳をつんざくような悲鳴をあげる。それを今度はリーダーの男がハンドガンを撃って黙らせた。

「大人しくしてな、俺たちの言うことを聞いていれば殺しはしねえよ。わかったか?」

女性は顔面蒼白になって何度もうなずくと、声が漏れないようにきつく口をつむぐ。

「初期型グロック17にレミントンM870、UZIか……よく集められた方だな」

黒咲は強盗犯の持っている銃に目を向ける。初期生産型のグロック、ポンプアクションの代表格であるレミントンM870、SMGとしてよく使われることがあるUZI。全くどこから手に入れたのやら……

「ラウラ、シャルロット。俺がリーダー格を潰すからその隙に二人は両端の雑魚を」

「了解」

「わかった」

最低限の動きで目標を制圧するために黒咲は二人と小さく作戦会議を始める。黒咲が1番体格の良いリーダーを倒せるのかと不安な顔をされるが、一応俺男なんだよ?と黒咲が不満そうに呟く。

ともかく最低限の動きで敵の武器を破壊もしくは破棄、目標の無力化を目的とした作戦を計画する。

「おい、聞こえるか警官ども!人質を安全に解放したかったら車を用意しろ!もちろん、追跡車や発信器なんかつけるんじゃねえぞ!」

威厳良くそう言って、駄賃だとばかりに警官隊に向かって発砲する。

幸い、弾丸は警察車両のボンネットやフロントガラスを破壊し、周囲の野次馬がパニックを起こすほどになってしまった。

「へへへ、やつら大騒ぎしてますよ」

「平和な国ほど犯罪はしやすいって話、本当ッスね!」

「まったくだ」

暴力的な笑みを浮かべる男たち、それぞれ弾の切れた獲物に再装填しながらそんな会話をしていると──

「作戦開始」

物陰から黒咲が飛び出し、リーダー格の男の顔面に跳び蹴りを放つ。回転エネルギーをまとったその跳び蹴りは、体格の良い男を弾き飛ばすには十分な威力を誇っていた。

「ゴベッ!?」

リーダーが地面に叩きつけられたことをきっかけに、他二人は驚きのあまり動きが鈍くなってしまう。

「なっ!このガキッ!」

「遅い!」

それを逃がすまいと、左の男を無力化するためにラウラが物陰から飛び出す。

ラウラは容赦なく男の持っていたSMGを蹴り飛ばした後、投げ技の容量で相手を地面に叩きつける。その後両腕を思いっきり踏み潰した。ゴキッと嫌な音がしたがそんな些細なことはどうでも良いだろう。

「うろたえるな!ガキ二人、すぐに──」

「二人じゃないんだよね!」

少しタイミングをずらしたシャルロットが右の男を無力化するために続けて飛び出す。

「なっ!?」

「あ、執事服でよかったかな。思いっきり脚上げても平気だし」

そんなことを口にしながらシャルロットは男の持っているショットガンを蹴り上げ、そのままの勢いでかかと落としを叩き落とす。ゴギャという音がして、先ほどまで銃が握られてきた腕はだらりと垂れた。

三人そろって慣れている──というレベルではない。

より高度な戦闘を多く経験している、その証明であった。

ISの専用機持ちともなれば、どの国も『ありとあらゆる事態』を想定した訓練を課している。それが候補生であったとしても変わりない。

ISが展開不能な状態であっても、状況を打破できるように鍛えられているのだ。

無論、軍人であるラウラと、非軍人であるシャルロットそして暗殺者である黒咲では、それぞれに持っている技能・対応能力・肉体能力に開きはある。

しかしこの程度の状況ならば、特に問題はない。

「目標2、制圧完了──ラウラ、そっちは?」

「問題ない。目標3、制圧完了──黒咲」

「目標1制圧完了。銃器とかあったら容赦なく奪っておいてね」

手下二名の意識及び行動能力の喪失を確認して、二人はうなずく。

黒咲はリーダー格から奪った拳銃を手に、さらに獲物がないか身長に近づいていく。

「ふ、ふざけるな……こんなところで!」

そういって予備のハンドガンを握ったところで容赦なく発砲しようとする。しかしいつになっても発砲音はしなかった。

「ふっ、セーフティーがかかってるぞ初心者」

「なにっ!?」

その言葉と共に奪ったグロックの弾倉を交換した黒咲が男の肩と脚に容赦なく発砲する。

「全制圧、完了」

「……まさか本当に撃つなんて」

シャルロットが驚いた様に声を上げて黒咲に近づいていく。その様子を見て黒咲の本職がなんなのか掴めそうなラウラが、鋭い目つきで黒咲の事を見ていた。

(弾倉を交換する際に一切ブレがなかった、それにチャンバーチェックも欠かしていない。それでいて発砲した場所は致命的になる場所は避けている。全くの素人ではない、完全に戦い慣れしている)

黒咲の過去の話は聞いたことは無い、だが銃の扱いなどが徹底していることから戦場などにいた可能性が高くなる。それにしては荒々しい動きなどもなく、最小限の動きでリーダーを潰していた。

(黒咲千春……ん……?確か国際指名手配一覧にそんな名前の日本人がいたような……)

後でクラリッサに訊いてみるかとその考えは一旦置いておく。

しばらくの間、しーんと静まり返る店内。ジェットコースター展開に呆然としていた店内の『民間人』こと客とスタッフは、のろのろと頭を上げ始める。

「終わりましたよ」

「た、助かったの、私達……」

「一体何が……」

危機を脱した事はわかるものの、まだ状況を正しく把握出来ていない人々、なんどもまばたきをして三人の姿を呆然と眺めている。

同じくまだはっきりとした意識が戻らない店長は『銀髪の美少女メイドと黒髪の清楚メイド、金髪の美少年執事が銀行強盗を撃退しました』って本社に報告したら信じるかしら……?と変にずれたことを考えていた。

「た、助かったんだ!」

「やった!ありがとう!メイドさんに執事さん!」

助かった実感が今になってはっきりと自覚できたのか、突然店内はわっと騒がしくなる。

その様子を見て、状況的に決定的な変化があったのかと警官隊も詰めかけていく。

「日本の警察はこうならないと動かないのか」

「二人とも、この辺で失敬しよう。俺たちの存在がバレたら面倒なことになるのは確実だからな」

「それもそうだね。急ごうか」

案の定、警官隊の後ろには交通規制もなんのその、立ち入り禁止のロープを乗り越えたマスコミ、通称『マスゴミ』の関係者が大勢見えた。

しかし、事態はもう一変する。

「捕まるくらいなら……全部吹き飛ばしてやるっ!」

完全に抵抗の意志を失っていたと思われていたリーダーは、傷が浅かったのかそう叫んで革ジャンを左右に広げる。

そこにあったのは、軽く四十平方メートルは吹き飛ばすことが出来そうな、プラスチック爆弾の腹巻きだった。起爆装置は、もちろん手の中にある。

「諦めが悪いな」

ふわっと、黒咲のスカートがなびくように右足を上げ、その奥にちらりと見えた白い布地に男の視線が奪われた。そして一瞬のすきに、黒咲は脚を振り下ろす。

その踵はテーブルを勢いよく傾け、そこに落ちていた拳銃が宙を舞い、綺麗に舞ったそれをしっかりと受け止める。そして──

「Jackpot」

ダダダダンッ!

高速四連射の弾丸は、的確に起爆装置と爆薬の信管、そして導線『だけ』を撃ち抜いていた。

「まだやる?次はその頭を吹き飛ばすよ」

ジャキッ!と二丁拳銃を突きつけられ、さっきまでの威厳も高圧的な態度もなく男は震えて謝った。

「すみっ、すみませんっ!もうしません!もうしませんからっ!命、命だけはお助けをっ……」

そんな敗北宣言を最後まで聞くことなく黒咲とシャルロット、ラウラの三人は颯爽と立ち去った。そして黒咲が立っていた場所には一輪の薔薇が置かれていた。

 

次の番外編

  • おねショタ(無効票)
  • 1シャル&ラウラと千春(受け)
  • 2シャル&ラウラと千春(攻め)
  • メス堕ち(無効票)(千春総受け)
  • 束と千春
  • 千冬と千春
  • シャル&ラウラと千春
  • 一夏と千春
  • オマケ(無効票)
  • 千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
  • 千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」
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