女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
時刻は23時30分。ここはIS学園の学生寮……ではなく、首都高のとあるパーキングエリア。
深夜帯ということもあり車の数は少なく、パーキングエリアのお店は完全に閉まっている。そんな時間帯を千春は「黒咲千春」ではなく「黒薔千春」として味わっていた。
彼にとって学生寮は安息の地ではない。自室の鍵破壊、布団に忍び込む十代小娘達、挙句の果てに裸で隣で寝てくる。オマケにシャワー室まで……
安息とは?と思えてくる。
(あの場所を抜け出してこうして首都高に来てみれば、走り屋のオンパレード……随分と変わったな)
煌びやかに輝いている高速道路に目をやる。最近のニュースでは赤と青の32Rが追突して事故を起こしてしまっていたらしい、自身の愛車が廃車になってしまっても首都高を走り続けたいと思うのは走り屋の性なのか、それとも何か特別な力が働いているのか……それは走ってみないと分からない。
「なにを考えている?」
「……千冬」
「首都高に走り屋が多くなってここも走りづらくなった。か?気にするな、どうせ私達には付いてこられさえしない」
そうだろ?と言わんばかりに、自身が乗ってきた車に視線を送る。
そこには二台の車が止められていた。白と黒、FCとFD。どちらも年代物の車、そしてよく昔走り屋が扱っていた車体でもある。
FC3SサバンナRX-7
「そもそも良く残してたな」
「そうだろう。私がしっかり保管していたからな。まあ束のヤツが途中途中侵入してたようで、FCは見た目も性能も大幅に変わっていたな。私のは外見だけ見れば変わっていなかったな」
「ここまで性能を上げてくれた束には感謝しているが、これを俺が扱えるのか……正直不安だったな、エンジンもボディーにも色々手を加えられた結果、馬力は185から450だもんな……」
「私の方はシングルターボに変更されていたな、他にも細かな点が弄られていて結果的に約430馬力ってところだろう。実際の性能は束に聞かなければわからないがな」
そもそもこの車を手に入れたのは偶然の産物であり、実際に1年走った程度しかない。そんなものを勝手に手を加えてくれた束には色々言いたいことはある、まあここまで綺麗に保管してくれた2人には感謝しておかないとな。
そもそも450馬力の車を一般道でどう活かせというのだろうか?ここまで馬力を上げる車の使用用途はレース場に行くか、こう言った首都高などで走るかの2択……いや前者のみだろう。
「それでどうする?もう少しばかり愛車を堪能するか?」
「そうだな、今日が過ぎれば夏休みも終わり。またIS学園で女装生活に戻されてISを操縦することになる。今はそれを忘れて1人の男として楽しみたいからな」
「なら私は後ろから付いていく、余り飛ばしてくれるなよ?変わり果ててしまったこの車の走り方をまだ掴めて居ないんだからな?」
「それは俺も同じだ。まぁ慣れていけば置いていくかもな」
自身の愛車に乗り込みサービスエリアから首都高へと繰り出す。途中連絡が取れるように電話を起動させておく、こうしておけばいつでも会話をすることが出来るので何かと便利だ。最近ではハンズフリーという機能があるらしいのだが、当然のようにFC、FDにはそんな便利な機能が搭載されているわけがない。その結果、こうして携帯端末を繋げておくことしか出来ないのだ。
(結構速いな……時速250キロを超えた状況で最低でも時速100キロの一般車をスラローム走行で追い越していく。どこがまだ慣れていないだ、完全に乗りこなし始めているじゃないか)
そんな彼の後ろにピタリと付いて来られている千冬も自身のFDを完全に乗りこなし始めている。
(全く、相変わらずこういった事の飲み込みは早いな……ダーリン♪)
(っ!?な、なんか悪寒がしたな……)
首都高を走っている走り屋を次々と抜かしていく。FDならともかく型落ちであるFCに圧倒的な差を付けて抜かされている辺り、ここを走っている腕のレベルは中の下と言ったところだろう。如何に車の性能が良かったとしてもそれを完全に自分のものに出来ていなければ限界領域まで走らせることは不可能。
千春も千冬も限界領域までは走らせることがまだ出来ていないが、それでもここを走っている奴らを一瞬で抜き走って行くことが出来るほどの腕前は持ってる事になる。
(5速9000回転で大体300キロくらいか?……これだけのものをよく作り上げたな)
(13B-REWエンジンなのは変わらない、なのにここまで変わってしまうのか……)
お互いに束に思うことがありながらも愛車を走らせていく。車との呼吸を合わせるように足先とハンドルを持つ腕に神経を集中させる。
((安定する。まるでISを扱っているみたいに……))
大体500㎞走ったところだろうか?静かに付いてきていた千冬から連絡が入る。
「後ろから速いのが2台来てるぞ。どうする?」
千冬の声を聞きながらバックミラーを確認する。確かに2台ほど速い車がこちらに向かってきている。先ほどまで追い抜いてきたドライバー達が中の下なら、今追いかけてきているあの2台は間違いなく上振れだろう。
「勝手に追い抜いてくれればそれでいいだろ……ん?それ以外に何か居ないか?」
「それ以外……あぁ確かに来ているな、白い車と赤い車が」
「バトル中なのかそれとも巻き込まれたか……いずれにしろ面倒だ、羽田トンネルまでは流石に来ないだろう。そこまで付いてこれるか?」
「わかった。後ろの方は私が随時報告を入れる、本気で走ってくれ」
ふっ、と笑ったかと思うと一気に加速し千冬を置き去ってしまいそうになる。
(完全に乗りこなしている、少しでも気を抜けば一気に置いて行かれそうだ)
アクセルをより深く踏み込んでいく、千冬のFDは千春のよりも馬力が劣っている。しかし千春の後ろで走ることで発生する現象、スリップストリームを駆使すれば追いつくことなど造作もない。
直線上を約300キロで走り続けていく、それは必然的に約250キロ級のコーナリングを繰り返していく必要がある。そんな事が出来るのはごく僅か、もっとも後ろで付いてきている三台の車は容易にこなして見せている。
(……前にも一台、完全に巻き込まれたな)
海底トンネルを通過した辺りでグレーの車に車線を遮られる。狙いは千春達ではなく恐らく後ろの青と黒、そして白の車だろう。巻き込まれた千冬、千春からして見れば迷惑なことこの上ない。それに下手くそだ。
「千冬、前の車遅いから一気に抜くぞ」
「了解」
面倒なのに絡まれる前に戦線離脱これ常識だな。既に手遅れ?大丈夫だろ、追いかけ回されたら離せば良いだけだ。
目の前の車を2人同時に抜き去って行く。それに両サイドからの追い抜きで目がやられたのか、それとも怯んでしまったのか分からないが、その車は左右に振られた後赤い車とぶつかってしまった様子だった。
(それよりも……なんであの三台は追いかけてくる?俺らには関係ないはずだが)
そんなことをのんきに考えながらひたすら前へと走っていく。すると先ほどと同じ車種がもう一台目の前を走っていた。
(あの車と同じステッカーを張っている。最終手段ってやつか……だが)
だからどうしたと言わんばかりに抜き去っていく。どれだけ先で走っていたとしてもこちらがそれよりも速く走っていれば、簡単に抜き去っていくことは簡単だ。
それにしても……
「どうする?ずっと付いてくるが……」
あれから30分ほど走っているが、後ろの三台が離れることはない。もしかしたら同じ方向に走ってしまっているだけの可能性もある。ならば──
「流石に降りよう。こちらに戦う意志は無いって示せれば、後ろのも分かってくれるだろ」
そういって次のインターで降りることを伝える、これで付いてきたら余計分からない。ただ速いからというだけで付いてくるわけではないだろ、あちらもこちらも巻き込まれた。それしか共通点はない。
ウインカーを点灯し後続している千冬に合図を出す。
「後ろの奴らは……付いてくる様子はなさそうだ」
「そうじゃないと困るだろ……ここからガレージまではそこまで距離はない、ここから先は下道で帰るぞ」
「途中コンビニでも寄るか」
「そうだな」
FCとFDが降りることを知った三台は、付いてくるわけもなくそのまま首都高を走っていった。あの三台は何者だったのかそれすら分からないが、首都高では上位の存在である事は間違いない。また同じ時間帯に走っていれば会える可能性もある。が、そんなのまっぴらごめんだ。そもそも競いに来たわけでもないのに一方的に勝負を挑まれても、受けるか否かはこちらの判断。例え受けなかったとしても煽らないで欲しいものだな。
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」