※この作品はR-18です。

女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活   作:灰崎 快人

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第64話「生徒会」

「……いくらなんでも次の日に招待されると思わなかったんですけど」

「何で俺まで……」

「二人そろって招待したかったからね、それにそこまで時間は取らないから安心して」

確かに招待するとは言われたがまさか翌日だとは思わないだろう。それに織斑もどうやら巻き込まれたようで、嫌そうな顔をしていた。

織斑もこの生徒会長をある程度把握していたようで、少し警戒をしている様子だった。

「ここが生徒会室よ」

そう言って一つの扉の前まで案内された。

「……いつまでぼんやりしてるの」

「眠い……夜……遅く……」

「しゃんとしなさい」

「了解……」

そんな声がドアの向こうから聞こえてきて、黒咲と織斑はなんとなくためらってしまった。

「ん?どうかしたの?」

「いや、どこかで聞いたことのあるような声が……」

「……まさかね?」

「ああ、そうね。今は中にあの子が居るからしらね?」

そういって生徒会長はがちゃりとドアを開ける。

重厚な引き戸は軋みの一つも立てずにゆっくりと開いていく。かなり精巧に作られた物のようだ。

「ただいま」

「おかえりなさい、会長」

出迎えてくれたのは三年生の女子だった。眼鏡に三つ編み、いかにもお堅いが仕事は出来る人といった印象を持てる。片手に持ったファイルが非常によく似合っている。山田先生は少し抜けているが仕事が出来る人なので少し印象が変わる。

そしてその後ろに居たのは意外な顔だった。

「わー……おりむーにちーさんだ~……‥」

のほほんさんだった。……なるほど。「更識(さらしき)」に「布仏(のほとけ)」か。

「まあ、そこにかけなさいな。お茶はすぐに出すわ」

「は、はぁ……」

「……」

いつもよりも六割増しで眠そうなのほほんさんは、黒咲と織斑を見つけて3センチほど頭を上げたかと思えばまたべちゃりとテーブルに戻した。

「お客様の前よ。しっかりしなさい」

「無理……。眠い……帰宅していい……?」

「ダメよ」

最後の希望といわんばかりの言葉で尋ねたのほほんさんさんは、三年生の無情な回答の前に崩れ落ちてしまった。

「えっと、のほほんさん?眠いの?」

「うん……深夜……壁紙……収拾……連日……」

「壁紙を収拾?」

「う、うん?」

「あら、あだ名だなんて、仲いいのね」

お茶の準備を三年生に任せて、二年生でありながら会長職を務める生徒会長は優雅に腕組みをして座席にかける。

「あ、いや、その……本名知らないので……」

「ええ~!?」

がばりっ、とのほほんさんが初めて聞く大声で起き上がる。

「も、もしかして黒咲さんも私の本名しらない……?」

「布仏本音(のほとけほんね)、これであってるでしょ?」

「あぁ~良かった~」

自信の本名を知ってくれいたのがほっとしたのか、安堵したような表情で再びテーブルにその顔を戻した。

「良かったわね本音」

「本当に良かったよ~。お姉ちゃん~」

「お姉ちゃん?」

「ええ。私は布仏虚(のほとけうつほ)。妹は本音」

「むかーしから、更識家のお手伝いさんなんだよー。うちは、代々」

布仏本音っていうのか……と織斑が言葉を漏らす。だから略すとのほほんさんなんだと納得した様子だった。

「えっ?ていうか、姉妹で生徒会に?」

「そうよ。生徒会長は最強でないといけないけど、他のメンバーは定員数になるまで好きに入れて良いの。だから、私は幼馴染みの二人をね」

生徒会長が説明してくれる。

そうか、三人は幼馴染みなのか。まるで千冬姉と千春さんと束さんみたいな関係なんだな。さっきのほほんさんが言っていた「代々お手伝いさん」ってやつだからだろうか?

「お嬢様にお仕えするのが私どもの仕事ですので」

ちょうどお茶が来たようで、カップの一つ一つを虚さんは注いでいく。

その仕草は非常に様になっていて、秘書と言うよりはメイド長に近いような。損阿分行きだ。

「もう、お嬢様はやめてよ」

「失礼しました。ついクセで」

そんなやりとりからして、更識家というものは結構な名家なのだろうと思う。

それについては生徒会長の仕草を見ればすぐに分かることだった。

「織斑くん、黒咲さんも、どうぞ」

「ど、どうも」

「……いただきます」

織斑と黒咲の分もお茶を注いで貰って、その丁寧な姿勢についかしこまってしまう。黒咲は何か入っていないかと、疑心暗鬼になっているのか中々手を付けることはなかった。

「本音ちゃん、冷蔵庫からケーキを出してきて」

「はーい。目が覚めた私は凄い仕事出来る子だよ~」

((本当かよ……))

相変わらずのゆっくりとした動作で、しかもまだ眠気も完全に抜けきっていないようで、足取りはかなり怪しい物になっている。

しかし、不思議なもので特に転んだりもせずに、のほほんさんは無事にケーキを持っていた。

「おりむー、ちーさん。ここはねー。このケーキはね~、ちょおちょおちょおちょお~お美味しいんだよー」

そう言いながら、まず自分の分のケーキを取り出して食べる。……えっと?

「やめなさい、本音。布仏家の常識が疑われてしまうわ」

「だいじょうぶ、だいじょうぶっ。うんうん、うまうま♪」

「…………」

ケーキのフィルムに付いたクリームを一心不乱に舐める妹、しかし厳格な姉はそれを許さない。

ゴチンッ!と思いっきりグーで叩いた。

「うえええっ……いだぁ……」

「本音、まだ叩かれたい?……そう、仕方ないわね」

「まだ何も言ってない~。言ってないよぉ~」

のほほさんは涙目であった。

「はいはい、姉妹仲がいいのはわかったから。お客様の前よ?」

「失礼しました」

「し、失礼、しましたぁ……」

そうして改めて生徒会メンバーの三人が織斑と黒咲に向き合う。

「一応最初から説明するわね。織斑くんが部活動に入らないことで色々と苦情が寄せられていてね。生徒会はキミをどこかに入部させないと不味いことになっちゃったのよ。黒咲さんはそのついでってところかしらね」

「そんな理不尽な……」

「それで学園祭の投票決戦ですか……」

いい迷惑この上ない。こっちはISの特訓だけで手一杯だというのに。部活動なんかやっている余裕は無い。

ついでに言うと女子ばかりの部活動というのは、なんというか……無理だ。精神的にキツい。大体、運動部だったらどうするんだ?着替える場所もシャワー室もないのに……

「でもね、交換条件としてこれから学園祭までの間、私が特別に鍛えてあげましょう。ISも生身もね」

「遠慮します」

生身(・・)。そうだ。そこも考えて動かないといけなかったと、黒咲の顔に少し影が入る。

「そういわずに。あ、お茶飲んでみて。おいしいから」

「……いただきます」

「……」

花の香りが鼻孔をくすぐる。すこし心地よいそれを軽く吸い込んでから、織斑は適度な熱さの紅茶をゆっくりと飲む。

「おいしいですね、これ」

「虚ちゃんの紅茶は世界一よ。次は、ケーキもどうぞ」

勧められるまま、生クリームがたっぷりと乗ったショートケーキを食べる。

ボリュームのある生クリームのわりに、味はしつこくなくしっとりとしていてさわやかだ。

「そして私の指導もどうぞ」

「いや、だからそれはいいですって。大体、どうして指導してくれるんですか?」

「ん?それは簡単。キミが弱いからだよ」

あまりにもさらっと言われたので、織斑は一瞬なにを言われたのか分からなかった。

しかし、意味が分かるにつれ、少しだけムッとした表情を見せた。

「確かに黒咲やシャルロット達にはまだ勝てないですけど、それなりによわくないつもりですよ」

「ううん、弱いよ。滅茶苦茶弱い。だから、ちょっとでもマシになるように私が鍛えてあげようというお話」

さすがにこう言われて平静でいられるほど、織斑も人間ができてはいない。

気がつけば立ちあがろうとしていたようで、黒咲が腕を前に出して止めてくれていた。

「織斑くん、今日は一旦冷静になって。私が話を付けておくから」

「黒咲……」

「結果は明日報告するから、もしかしたらダメかも知れないけど……いい?」

「……あぁ」

織斑を一足先に生徒会室から退室させ、黒咲は一人生徒会長と向かい合った。

「……随分と強気なんですね、流石学園最強の肩書きを持つだけはあります」

「そんなに褒めなくても良いわよ」

「褒めてないですけどね……まぁ丁度良いです。織斑くんには生身の訓練が足りないと思っていたところなので、生徒会長くらいならまだ良い相手になると思いますし」

「……良い相手?」

「ええ、良い相手になると思います」

「ちーさんじゃだめだったのー?」

生徒会長とそんな話をしていると、のほほんさんが話に入ってくる。それを見て姉の虚さんはため息をついてしまっていた。

「私が相手をしても良いんだけどね……多分今だと数秒で終わっちゃうから」

「えー、ちーさんそんなに強いの?」

「今だとね、織斑くんがそこまで武道にたけている訳じゃないから……剣道くらいしかないからね」

その剣道も箒と時々やるだけであり、そこまで手を付けているかと言えば付けられていない。

「それに……少なくとも生徒会長より強いんじゃない?」

その言葉聞いた瞬間、生徒会長の雰囲気が一変した。

目の前に居る「黒咲千春」が生徒会長よりも強いと言ってしまえば、興味を引かれるのは当たり前だろう。

「でも正直戦いたくはないんだよね」

「な、なんで?」

「いや、生徒会長やりたくないし……そんなことしてる暇無いし。そもそも生徒会長と戦う意味なんて無いし。アウトオブ眼中だから」

そもそも眼中にないことを言われて腹が立ったのか、気がつけば生徒会長は立ち上がり、黒咲に対して指を指していた。

「じゃあ、勝負しましょう。そこまで言うのだから私に勝てるのよね?」

「さぁ?どうでしょう。ついでに織斑くんとも戦って貰えるのなら勝負するのも考えておきます」

「うん、いいよ」

にこりと笑ったその顔は、『お前絶対後悔させてやるからな』という表情をしていた。

……さて、今の更識家当主の実力はいかほどかな?

次の番外編

  • おねショタ(無効票)
  • 1シャル&ラウラと千春(受け)
  • 2シャル&ラウラと千春(攻め)
  • メス堕ち(無効票)(千春総受け)
  • 束と千春
  • 千冬と千春
  • シャル&ラウラと千春
  • 一夏と千春
  • オマケ(無効票)
  • 千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
  • 千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」
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