女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
『──28分。まさかここまで長引くことになるとは思いませんでしたわ』
『お互いに動きの読み合いで、状況が変わらないからね』
シールドエネルギーの残り残量240。装甲へのダメージは最低限に抑えたとしてもここまで時間が積もってしまっては削られてしまっても仕方ない。
機体に振り回されてはいるが、それをセンスでなんとか補っている、シールドエネルギーは削られているが〘絶対防御〙は発動していない。
これは極端にシールドエネルギーを消耗していないという事を示している。もう少し技術を上げることが出来れば、さらにエネルギーの消耗を抑えることが出来るだろう。
「〘ブルー・ティアーズ〙、厄介な装備だな……」
自立機動兵器〘ブルー・ティアーズ〙。フィン状のパーツからはライフルと同じようにビームが放たれる。
まだ試作段階のBT兵器二基に逃げ場を潰されるのはかなり厳しかった、だが切断レーザーの罠を回避した経験がここで生きた。途中回避している中で、あの装備の欠点を見つけることがなんとか出来た。
全方位オールレンジ攻撃を可能とするこの兵器だが、操縦者のオルコット自身が無防備になってしまう欠点を持ち合わせている。
この隙を突くことが出来れば大きなダメージを与えられるはずだ。
「ですがそろそろ閉幕と参りましょう!」
オルコットの笑みと共に命令を受けた〘ブルー・ティアーズ〙が動き始める、二基のBT兵器がこちらの動きを封じるように動き始める。
だがその瞬間に実弾をオルコット自身に叩き込む。ビームが肩の装甲を掠め取っていくが、あちらも胸部装甲に大きなダメージを負ったようだ。
「どうやらバレてしまったようですわね……ならば!」
そう言うとあれだけ厄介だったBTが二基から四基に増えていた。レーザーの本数が四に変わっただけだと思わない方が良い、
XYZ軸からの攻撃を避けるのは困難であり、下手に避けてしまうと他のレーザーの餌食なる。考えて避けなければならないな。
そして試合時間が30分経過したときだった。
〘──初期化と最適化が終了しました。確認ボタンを押してください──〙
意識に直接データが送られてくる。と同時に目の前にウインドウが現れる。その中心には〘確認〙と書かれている。
30分耐え抜いたかいがあった物だ、そう思いながらそれを押す、さらに膨大なデータが脳内に流れ込んで整理されていく。
高周波の金属音と共に身につけているISが光り輝き姿を変えていく。
『……
『やっとか……』
新しく形成された装甲は今だ光を放っている。先ほどまでの実体ダメージが消え、より洗練された装甲へと変化していた。
『30分ジャストで一次移行、ここからが本番ですわね!』
『さぁ……ここからだ』
武器はライフルの他にも左右の腰に実体のコンバットナイフ、小型のビームライフル、投擲用の実体剣が後ろ腰の装甲に格納されている。
扱いやすい武器が増えたのはとてもありがたい。
『行くよ!』
ライフル片手に急接近する。レーザーの包囲網を回避しながら相手の装甲を削っていく、残弾が無くなったタイミングでライフルを相手に投げ飛ばし、小型ライフルへと持ち替える。
投げ捨てたライフルはBTに破壊されたが、目くらまし程度にはなった。その瞬間を逃すわけもなく、ダメージを与えながら後退を許さない戦術を編み出していく。
(先ほどまでとは動きが違い過ぎますわ!?)
オルコットも流石に不味いと思ったのか、額に汗を流し焦りを見せていた。焦った獲物は単調な動きをしやすくなり、狩りやすくなる。
上下だった立ち位置を変え、オルコットの足を地面に付けさせたタイミングで実体剣を投擲する。
(単純な攻撃……それくらいなら!)
簡単に避けられ地面に突き刺さってしまうが、相手を上空に上げさせない様に牽制射撃を交えながら実体剣を投げつけていく。気がつけばそれを囲むような配置で実体剣は地面に突き刺さっていた。
そう、これこそ黒咲の本当の狙いだった。
「木っ端微塵」
その言葉を皮切りに周囲に刺さっていた実体剣が一斉に爆発を引き起こす。
実は投擲用実体剣には爆雷を仕掛けおり、任意のタイミングで爆破させることが可能になる。
そのタイミングで再びライフルに持ち替え
「まさか……ここまで追い込まれるとは思いませんでしたわ」
土煙から出てきた〘ブルー・ティアーズ〙の装甲がかなり破壊されており、その爆風の衝撃を物語っていた。
胸部装甲にはヒビが入っており、肩の装甲に関しても大半が失われている。
痛々しい姿ではあるが彼女の瞳からは未だに闘志を感じる、まだ勝ちを諦めていない。
ライフルを再び手に取るのと同時にビットが再び稼働する、先ほどまでとは違い洗練された動きをするオルコットの技術に、こちらがついて行けなくなる。
明らかに動きが違う。相手はISのエリート、こちらはズブの素人。圧倒的な技量差が存在する。
その差を何処まで詰められるか、先の戦術は二度と通用しないだろう。ビットの動きを利用したとしても相手はこちらを警戒しているのは明白。
また別の手を考えなくてはならない。また時間がかかりそうだ。
「黒咲さん凄いですね。初めての操縦とは思えないです」
ピットでリアルタイムモニターを見ている山田先生がため息交じりに呟く。確かに黒咲はこれが初めてのIS起動であるとは思えないほどの健闘ぶりだった。
オルコットとここまで対等に戦えているのはISの性能もあるが、それをほとんど扱いきっている黒咲自身のセンスによる賜物だろう。
黒咲が裏の世界で働いているのは知っている、その名残が残っているかのような武器の種類。束にオーダーメイドしただけはある。
「あの機体でまさかここまでとはな、これはわからなくなってきたな」
「黒咲のあの戦い方、戦闘経験があるような動きだ」
「よく分からないけど二人とも凄いな!」
「そうですね。どちらが勝つのか分からなくなってきました」
お互いに読み合い手を潰し隙を作らせる、長期戦になるのは目に見えている。
もしかしたら織斑の機体が届くまで時間を本当に稼いでいるのかもしれない。
「くぅ……流石に苦しい」
レーザーの隙間にミサイルを置かれてしまうとこちらも流石に苦しくなる。だがそれはあっちも同じ、懐に飛び込んでは近接武器でダメージを与える。
オルコット自身近接戦闘は苦手なようで回避以外の選択をしてこなかった。
弱点をこちらに晒してくれるのはとてもありがたい、この試合を見ている織斑にもこれが伝わっていると良いのだが……
「エネルギー残量20、ここまでっ──」
息苦しそうに息をするオルコット、だがまだ闘志は消えていない。追い込まれているのはこちらも同じ。
エネルギー残量50、彼女のライフルを一度でも直撃したらアウトだろう。最悪相打ちに持ち込むのも一つの手、ここまで彼女を追い込めたことに満足するか、それとも確実な勝利を手にするか。そんなもの決まっている。
「〘ブルー・ティアーズ〙!」
逃げ場を無くすオールレンジ攻撃、当たり判定が小さいのを理解した上での攻撃。確実に回避させない意思を感じるほどの精密さ、決着を付けるのであればここしか無いだろう。
「終わりですわ!」
ライフルの銃口からまばゆい光が放たれる。
こちらも負けずに最後の抵抗として銃弾を放つ。各部の装甲が削れていくのを感じながらただ1点を狙い撃つ。
お互いに放った銃弾は胸部装甲をえぐり、絶対防御を発動させた。
「「うわぁぁぁ!!!」」
お互いに悲鳴を上げた後、決着を告げるブザーが鳴り響いた。
『試合終了。勝者無し。引き分け』
全力で挑んで代表候補生と引き分け、望んでいた結果では無いがそれでも上乗の出来栄えだろう。
この試合を見守っていた第3アリーナのギャラリーも、ピットで試合を見守ってくれていた先生や織斑、篠ノ之が大きな拍手を送ってくださった。
「こういうのも悪くない、な……」
お互いにボロボロになりながらも、オルコットと握手を交わし互いを称え合う。
「次は負けませんわよ」
「こちらも負けるつもりないよ。絶対にオルコットさんを越えます!」
「楽しみですわ」
オルコットは曇りの無い笑顔を浮かべていた。間違いなく彼女の限界を引き出せた証拠だろう、こちらもとても楽しく戦えたことを誇りに思う。
(あ、危ねぇ……流石に死ぬかと思った。ISの絶対防御がなかったら確実に死んでた)
初試合を体験してISの性能の凄味と危険性を感じ取っていた黒咲。確かにこれは兵器として量産が望まれてもおかしくない。
(兵器として量産するには、あまりにも危険すぎる……)
自身がリクエストした機体もどちらかと言えば兵器より……いや兵器だろう。
こんな機体を作らせてしまった、これからも作らせてしまうと考えただけでも、複雑な感情が黒咲の中では渦巻いていたのだった。
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」