女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
「千春。お前生徒会長になる気はないか?」
特訓から帰り、自室に戻ったところで出会ったのは織斑千冬だった。話を聞くにどうやらあの時の模擬戦を見ていたらしい。
「俺が生徒会長に?バ鹿なこというな。仮に俺が男だと知ったら生徒達が大混乱する。それに、そんなことをしている余裕など俺にはないからな」
「まあそうだろうな」
分かっているのであれば何故そんなことを聞いてくるのか、生徒会長など俺みたいな立場が居座る場所ではないだろう。
そういえば生徒会長の更識楯無について、少し気になっていたことを訊いてみることにした。
「千冬」
「なんだ?」
「更識楯無ってどんなヤツなんだ?」
「どんなって言うと?」
「俺は彼女が生徒会長で学園内で最強ということしか知らない。あとは生徒手帳を拾ったときに得た情報だけだ」
「楯無か。アイツにも色々考えがあるからな。その全ては私にも分からないが」
「……そうか」
織斑の特訓を申し出たのは正直助かってはいるが、どうして生徒会長から言ってきたのかは謎。もっとも今月まで機能していなかった生徒会長が何故急に出てきたのかが謎だ。そもそも機能していない生徒会に意味などあるのか……?まぁ事情があったのならば仕方ないだろうが……
「そうだな、一つだけ忠告しておくぞ。警戒しても予防しても、絶対振り回されるから体力だけはしっかりしておけ」
「ふーん」
まぁそんな気はしていたが、やっぱりそうかと再認識できた。
「じゃあ今日はなるべく速めに寝るとしようかな」
「それがいいだろうな」
早めに身体を休めておけば案外なんとかなるものだ。あとは食事の量を少し増やして栄養のある物を取るとしよう。
「あぁ、そういえば千春。大浴場についてなんだが──」
またなんか問題になりそうな事を持ち込んできた千冬に、俺は頭を悩ませるのだった。
特訓から帰り自室へと戻る。途中、布仏虚先輩と出会い、忠告をいただいてしまった。楯無先輩より一つ上の虚先輩が言うのだから間違いないのだろうと思い、しっかりと忠告を受け取った。
そして挨拶を済ませて虚先輩と別れ、自室へと戻ったところで事件は起きた。
ガチャ。俺は疲れた身体を引きずりながら、自室のドアを開けた。
「お帰りなさい。ご飯にします?お風呂にします?それともわ・た・し?」
──バタン。ドアを閉じて一秒、状況を整理する。
現在地は一年生寮。俺の部屋の目の前。表札には織斑の字を確認している。……よし、ここまでは間違っていないぞ。
(さっきのは夢から幻だろう。いくらなんでも楯無先輩が裸エプロンで待ってるなんてことが現実にあるわけがない。ははは……)
そう思いながら、再度ドアを開ける。
「お帰り。私にします?私にします?それともわ・た・し?」
もう一度扉を閉じる。どうやら現実だったようだ……こういうときはどうすれば良いんだ?
(千冬姉に相談すれば良いか?それとも箒達に……いや箒達が来たら余計混乱しそうだな。千冬姉に相談しよう)
そう思い端末を起動させ、千冬姉に電話を繋げる。
「もしもし千冬姉?」
『どうした一夏?』
「実は──そういうことで困ってて」
『分かった。少し待っていろ』
『どうしたんですか?織斑先生』
『丁度良い、お前も来い』
『え?は、はい。わかりました?』
どうやら誰かと一緒だったようで、一緒に付いてくるらしい。誰かわからないけど箒達ではないことを祈るしかない。
それから一分も経たないうちに、千冬姉がやってきた。そしてその後ろには黒咲が付いてきていた。
「待たせたな、後は私に任せておけ」
「……私を連れてきたのは一体?」
黒咲は何も聞かされていない状態で連れて来られた様子で、何が何だか分からないと言った様子だった。
そうして千冬姉が扉をガチャと開ける。
「おかえりな、さ……い」
「ほう?随分と大胆な服装だな更識?」
「お、織斑先生……」
顔色を真っ青にして怯えたような表情を浮かべている楯無先輩は、生きている心地などしないのだろう。
「生徒会長?なんでここに、うわっ……」
気になった黒咲が自室の中を覗くと、そこには裸エプロンの生徒会長。引かない訳がなかった。
「生徒会長って……痴女だったですね」
「ち、ちがっ」
「ならまともな服装に着替えたらどうですか?」
千冬姉の顔色をうかがいながら、楯無先輩は脱衣所に向かい制服に着替えていった。
数分後、制服姿で正座をしている更識先輩を囲むように、俺の自室では尋問というなの地獄が始まっていた。
「まず何故お前がここにいる?」
「いや、あの……今日からここに、住もうと思いまして……」
「は?」
「ここは1年生寮ですけど?」
いや問題はそこじゃないんだが……俺は混乱のさなかでまともに思考回路が動いていなかった。
「生徒会長権限」
「……織斑先生。私が今ここで生徒会長倒したら、私が生徒会長になりますよね?」
拳を握りしめながら楯無先輩を見据える黒咲は、普段よりも恐ろしく見えた。楯無先輩を倒したという噂が流れているのも不思議じゃないな……
「やめろ黒咲。大事にしたくない」
「……わかりました。それに今からこの部屋を出て行けと言っても、手遅れみたいですし」
「え?どういうことだ?」
「こういうこと」
黒咲がおもむろにクローゼットを開けると、そこには女物の服がずらりと並んでいた。どうやら既に私物はセッティングされていたらしく、それを見てがっくりと俺はうなだれてしまった。
(段ボール箱とかそんな次元じゃなくて、すでに荷解き終了ですか……)
何を言っても無駄だから、黒咲は手遅れといったのか……
「はぁぁぁ……」
俺は深く深くため息をつき、自分の魂まで落ちるのではないかというくらい低迷した気持ちになっていた。
「はぁ……問題を起こさなければ特別に許可するとしよう。ただし問題を少しでも起こした場合、黒咲と本気で試合をやってもらう。組み手とISの両方を……な」
「えっ私の許可は?」
「生徒会長になりたがっていたじゃないか。丁度良いだろう?問題を起こす生徒会長とどちらが良いかと聞かれればな……」
「……織斑くん、何かあったらすぐに私か織斑先生に相談してね?」
「わ、わかった」
この時の千春は笑顔であったが、千冬姉と同じように背後に修羅を浮かび上がらせていたのを俺は忘れることはないだろう。
その後、楯無先輩からセクハラまがいのことをしてくるようなことはなくなった。特に特訓の際には黒咲がBT兵器を一基、常に楯無先輩に付けていることもあって気が気ではないのだろう。遠回しに「いつでも潰せる」と警告をしている黒咲が恐ろしくてたまらない。それでいてその状態であるのにもかかわらず箒やセシリア達の相手をやってのけている、黒咲の実力は俺たちが知っていたよりもかなり上……いや生徒会長を倒したって噂が出るくらいなんだから当たり前か。
「セシリア、ちょっとBT兵器のシステムをちょっと弄ってみようか」
「システムをですか?怒られないでしょうか……」
「大丈夫だよ。それに弱点も補えるかも知れないしね」
そう言いながら整備室へと向かっていた黒咲達だったが、その間も一基のBTは楯無先輩の背後につき砲口を向け続けていた。
「一夏くん、私のことは良いから集中しなさい!じゃないとヒィッ!?」
楯無先輩が何か言おうとした瞬間、砲口から緑色の光が放たれたかと思えば先輩の足元へとその光が落ちていた。ここから整備室まではかなりの距離があるが〘ハイパーセンサー〙でこちらの会話も聞こえているのか、《白式》の〘ハイパーセンサー〙がこちらを睨み付けているのを映し出していた。
『楯無先輩、変なこと言わなければ良いだけですよ』
『わ、分かってるわよ』
〘オープン・チャンネル〙を介して警告をする黒咲、その目は逆らっては行けない時の千冬姉と瓜二つだった。
「く、黒咲さん……それでシステムを弄ると言っていましたが、具体的にはどうするおつもりで?」
「まず《ブルー・ティアーズ》のBT兵器は最初期のタイプだから、システム面も今となっては化石と同じくらい古いと思うんだ。だから私の〘Sシステム〙にあるデータを擬似的に仕込んでみる。まぁ上手くいかない場合もあるから、これは「出来たらいいな」くらいで考えておいて。次に〘マルチ・ロックオン・システム〙だけど」
「ちょ、ちょっと待ってください。〘マルチ・ロックオン・システム〙!?まだどこの国でも実験的にしか考えられていないあのシステムを!?」
「うん。そのシステムを《ブルー・ティアーズ》に組み込む。元々このISは一対多を想定しているような設計だから、多分相性は良いんじゃないかな?一対一だとこのシステムはあんまり使えないけどね……まぁ、まずはBT兵器のシステム面から見直してみようか。もしかしたら自由に操れて、私よりもすごい動きや戦術が出来るかもしれないからね」
「わ、わかりましたわ。本国に怒られないかしら……」
「セシリア。世の中にはこんな言葉がある「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」ってね」
「………」
黙っちゃった。
「よーし早速システム面弄っていこう〜!」
「お、お〜?」
困惑しつつも黒咲と同じように拳を上に突き上げるセシリア。
〘ブルー・ティアーズ〙を展開してもらった後、直ぐさまコードを接続しコントロールパネルにてシステムを確認する。イギリスの開発者達はどうやはこの機体のシステムをアップデートするようなことは無かったらしく、今まで蓄えてきたサンプルデータを活かして機体を制作している。まぁその機体、盗まれてるんだけどね。
BT兵器を脳波で操ることが出来るようにシステムが組み込まれているのだが、どうやらこのシステムを作った人はスパゲッティをつくるのが得意らしい。
あまりにも汚すぎるスパゲッティコードを目にして、流石に頭を抱えてしまったが1時間ほどで綺麗に直した後、システムをアップデートしてみることにした。
アップデートの内容に関しては、今までのセシリアの積み重ねてきた努力を無駄にしないようにしつつも扱いやすさを上げれるようなコードに出来たはずだ。上手く作動すればの話だが……
これでダメであれば〘Sシステム〙のデータをコピーするしかないだろう。
「よし、まずは既存のシステムのアップグレードをしてみたよ。多分前よりも扱いやすくはなってるはず。試してみて」
「わかりましたわ」
あまり信じていないような気もするがひとまずやってみることにしよう。ISのシステム面に関しては基本は《ノワール》と全く同じ構造の為、システム面まで行けるのは容易なことだった。ただ問題なのは《ブルー・ティアーズ》に空いている容量が存在するのかが問題だ。万が一無かった場合には従来のシステムを抜き取り、そこに新しいシステムを組み込んでみることにしよう。それで誤作動などが起きた場合には元々あったシステムをコピーした上で戻し、改良してみることにしよう。
(システム面に空きは……あるな。とりあえず誤作動が起きないようにシステムを遮断、そして新しいシステムを接続。よし、ひとまずこれで実験してみるか)
「終わったよセシリア。ひとまずこれで行ってみよう」
「分かりましたわ。《ブルー・ティアーズ》参りますわ!」
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」