※この作品はR-18です。

女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活   作:灰崎 快人

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第69話「更識家」

「システムのデータはある程度取れた……これを改良すればセシリアはもっと強くなれるな」

あれから《ブルー・ティアーズ》のデータを更新する。結果的に言えばBT兵器は少しだけ扱いやすくなったらしく、BTを操りながらセシリア自身もある程度動けるようにはなった。これはセシリアの集中力、そしてBT適正による賜物だろう。しかしその時間も僅かであることから、相変わらずBT兵器を補助無しで扱うのは難しいようだ。如何にAIを積むと簡単になってしまうのが分かる。

(せめて奪取された《サイレント・ゼフィルス》もデータがあれば良いんだが……システムを解析できれば《ブルー・ティアーズ》は大幅に強化されるはずだ)

《サイレント・ゼフィルス》、イギリスから奪取された機体はBT兵器を使用中に他動作不可能という欠点が解消されているらしく、完全に《ブルー・ティアーズ》の上位互換機である。上位互換機を奪取されてどうするんだよ……イギリスの警備はザルなのか?それとも亡国機業の侵入技術が異常なのか……?亡国機業の面子に対しては全く掴めていない、そこは尻尾を握らせないと言うことだろうか。

(とにかく、束と情報共有をした上でどうするべきか対応するか……もしかしたらIS学園に侵入してくる可能性もあるな。千冬も交えて話し合いをするか)

コンコンッ。そんなことを考えていると誰かが部屋を訪れたようだった。俺は誰も招いていないので誰か分からないが、ある程度予想はついている。シャルロットかラウラだろう、もしかしたら織斑かもしれないが……今日はかなりしごかれた様子なので来る事は無いだろう。

「開いてます~」

鍵を壊された過去がある為、部屋に居るときは基本的に鍵を開けている。そうすれば壊されることは無くなるからだ。流石に寝るときは鍵閉めてるが……その前にラウラが来たりすることが多い、ついでにシャルロット。

「失礼するわね」

「……ん?」

部屋に来たのは意外な人物だった。

「生徒会長が何用ですが?」

「実は学園祭の件で少し話がね……貴方にも聞いて欲しいの」

学園祭の件?なにか問題でも起きたのか?もしそうだとすれば俺に相談するのはお門違いだ。そういった問題は教師である千冬や山田先生に相談するべきだろう。それとも教師陣にはとても話せないような内容があるだろうか?

「黒咲千春。いいえ──黒薔千春として」

「……なるほどな。流石、更識家ということか。前主にでも聞いたか?」

更識家は表向きでは一般家庭ではあるが、実際は裏工作を実行する暗部に対する対暗部用暗部。簡単に俺との関係を説明すると、腐れ縁だろうか……俺が暗殺などをする場合はかならず更識家の面子が居る、そのたびにぶつかり合うことになり殺し合う事になっていた。が実際の所は致命傷になるような攻撃はしていないので全員生きているだろう。そしてそんな更識家の当主が今目の前にいる更識楯無。彼女だ。

「それで?話は何だ?」

「実は来週開催される学園祭ですが、これまでの事件を元にして更識家に者を何人か紛れ込ませる計画を立てています。ISが介入してきた場合、黒薔さんにお力添えをいただきたいのですが……」

「学園最強の生徒会長が、一般生徒の俺にお力添えを願うのか?一応聞くが、何が来ると思っている?」

「……亡国企業」

「だろうな。それも一人じゃないだろう、恐らく最低でも二人、もしかしたらそれ以上の可能性もある。織斑の機体を狙ってな」

「それを防ぐためにも黒薔さんの力を──」

「報酬は?」

「えっ?」

「報酬はないのか?まさかただ働きしろ、なんて言うわけ無いよな?」

報酬無しで働く馬鹿がどこに居るんだ?少なくとも何かしらの報酬を用意してほしいものだ。お金?いやそこまで困ってないからいいや……安全?それは一番欲しいね、特に一人で居るときは尚更。

「はぁ……俺から用意して貰いたい報酬は一つだ」

「なんですか」

「あんまり俺と話しているところを見られたくない、俺の正体がバレたら面倒だ。まぁその内明かすつもりではあるんだがな……」

「どうしてです?」

「20代男性が、10代の女子と同じような服装をしてるんだぞ?社会的に考えろ死ぬぞ?お前の立場で例えるのであれば、男水着チャレンジしてるようなものだ」

「お、男水着チャレンジ?」

「男性用の水着だけを着て海を楽しむことだ。前なんて当然隠せないから間違いなく痴女だと思われ──」

「も、もう良いわ!よくわかったから!」

ことの重大さがわかったのか、更識は言葉を遮るように必死の形相を浮かべていた。

「とりあえず今俺の事がバレるのは色々と面倒だ、だからそれまでは一定の距離の関係で接してくれ。まぁそれもそれで面倒なんだがな」

正直言って更識家の関係者とはあまり関係を持ちたくない。後々面倒なことにもなりそうなのもあるが、前主との関係が劣悪だったこともあり顔を合わせたくないというのが正直なところだ。

どんな関係だったか?と聞かれれば殺し合う仲だった……が正しいのか?何故か知らないが俺が仕事を行っている際には必ず現れ、鬼の形相でこちらに向かってくるのだ。

「ひとまず対策を。と言いたいところだが、正直言って亡国企業の連中の実力は分からん。ただ実験機を奪取出来ることからそれなりの実力があるのは確実だろう、それに奪取した実験機はかなりの性能を持っているようだからな」

そう言って俺は更識にも機体の設計、開発コンセプトが記載されているデータを見せる。

「これは《アラクネ》《サイレント・ゼフィルス》と書かれていますが……」

「これは恐らく亡国企業が奪取したと思われる機体だ。《アラクネ》はアメリカ製第二世代のIS、コンセプトは蜘蛛、装甲脚には砲門が装備されているらしい。《サイレント・ゼフィルス》はイギリス製の第三世代型でありBT兵器搭載ISの二号機、つまりセシリアの《ブルー・ティアーズ》のデータが活かされた機体と言うことだろう。そしてBT兵器には欠陥がないらしい。はっきり言って上位互換だ」

「なんてこと……」

「おそらくこのどちらか、あるいは両方が学園に来ると考えて良いだろう。お前は生徒会長としての面がある、事態が動くまである程度制限されるだろうが……俺は関係無しで相手をぶっ潰す」

「が、学園内で殺すのは辞めてくださいね?」

「いくらなんでもそこら辺はわきまえているつもりだが?」

全く失礼だな。俺もそこまで人殺し極めてるわけではないんだぞ?殺すのはダメでも四肢を粉砕するのは問題無いだろう?

「とりあえず情報を共有できるようにこれだけは渡しておく」

そう言って俺は小型イヤホン型の通信機を渡す。こんな物見たことないと更識が驚いた表情を見せる。どうみても無線のイヤホンにしか見えないのが不思議でならないのだろう。だがこれは通信機、トランシーバーだ。音楽は聴けない。

「常に起動しておけ、電源ボタンを一度押せばそれだけで通信が出来る」

「そ、そんな簡単に?」

「常に起動させておいた方が便利なこともあるからな。部屋に帰って起動してそのままにするなよ?お前の生活音こっちに垂れ流しになるからな?」

「し、しませんよ!そんなこと!」

全く!と言いながら更識は俺の部屋を後にしていく。まぁこっちが電源を入れていなければ何も聞こえてこないんだけどな。

「さてと……俺も色々対策を立てておきますか」

俺はパソコンの電源を落として食堂へと向かっていく。セシリアに報告する事もあるのだが、それよりも織斑の調子を見ておかなければならない。


「あ~…………」

食堂へ移動して真っ先に眼に入ったのは、べちゃりとテーブルに突っ伏してしまっている織斑を、いつもの面子が苦笑いしながら眺めていた。

顔色をうかがわなくても食欲がないのは目に見えていた。ここ数日で更識にペースを乱されてしまっていては、疲労感が表れてもおかしくはなかった。

「織斑君、お疲れだね?」

「黒咲か……」

「お茶でも入れようか?」

「サンキュ……」

水分補給だけでも……と織斑は顔を起こす。

「食欲はなさそうだね、おかゆとか頼んでこようか?」

「いや……大丈夫だ」

(絶対大丈夫じゃねえな、ゼリー系用意しておくか?こんな慣れない生活続いていたら冗談じゃなく死ぬぞ?たぶん死因は衰弱死だな)

食堂のおばちゃんに何か消化しやすい料理を出して貰っている間に、誰も使っていないコップに麦茶を注ぎ込む。冷たすぎると身体に悪いのでそれないの温度にしてから提供するのが良いぞ。

「それで、あの女はどうしたんだ?」

「今は生徒会の仕事があるって出て行った」

受け取った麦茶を一口飲んだ後、疲れ切った表情を浮かべながらラウラの問いに答える。正直答えるのも辛い、と言ったところなのだろう。

「書類がちょお溜まってるんだよね~」

間延びした声、のんびりとした口調に振り向くと、やはりというべきかそこには本音がいた。

仮にも生徒会書記なのにもかかわらずここに居ていいのだろうか?いや今は確かに夕食の時間なので居ても問題は無いのだが……

「私はね~居ると仕事が増えちゃうからね~邪魔にならないようにしてるのだよ~」

「それでいいのかよ……」

おばちゃんからお粥を受け取り織斑の前に出す、その隣で食事を取っている本音のメニューはと言うと、お茶漬けだった。それに鮭の切り身をてっぺんに乗せている。

「随分と豪快なお茶漬けだね」

「お茶漬けは番茶派?緑茶派?思い切って紅茶派?私は烏龍茶~」

「う、烏龍茶?」

確かにお茶漬けには烏龍茶を使う人も居るが、基本的には緑茶を使って食べているので少し違和感が出てしまう。

「ぐりぐり~」

箸でかき混ぜられたどんぶりの中は、なかなかに混沌としていた。

「そしてこれに~」

「……これに?」

「卵を入れます」

…………えっ?

かぱっ──本当に入れた。

お茶漬けに卵を入れるのは普通なのだろうか……?あとで千冬にも訊いてみることにしよう。

「ぐりぐり~」

先ほどの混沌に粘り気が追加されたそれを見て、本音は幸せそうに顔を緩ませていた。

織斑とは違う理由で食欲がなくなりそうだった。

「ジュルルルル」

「お、音は立てずに食べろよ!」

「えー。むり~ずぞぞって行くのが通なんだよ?」

「蕎麦かな?」

「ちゅるちゅる~」

……夕飯はいいかな。

「織斑君、とりあえずお粥は食べておいてね」

「……わかった」

次の番外編

  • おねショタ(無効票)
  • 1シャル&ラウラと千春(受け)
  • 2シャル&ラウラと千春(攻め)
  • メス堕ち(無効票)(千春総受け)
  • 束と千春
  • 千冬と千春
  • シャル&ラウラと千春
  • 一夏と千春
  • オマケ(無効票)
  • 千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
  • 千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」
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