女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
「3人ともお疲れ様」
「あ、鷹月さん。おつかれ」
クラスの中でしっかりしている方である鷹月静寐さんは、今日も今日とて色々と忙しそうだった。
「しばらく休憩してきたら?お店も一回態勢整えるのに時間かかっちゃうしね」
「いいのか?」
「どういうわけか、織斑くんよりも執事服を着ている黒咲さんの方に人が流れててね」
確かに。今執事の格好で接客をしているのは俺とシャルロット、そして何故か居る千春さんだった。お客さんが10だとして3人で分けた場合、3:2:5ととんでもない数のお客さんを相手にしていることになっている。
(原因は多分アレだよな……)
それは今から30分前に遡る──
「いらっしゃいませお嬢……さま」
「ほう。一組の様子を見に来てみれば、まさかお前も執事で接客してるとはな」
お昼手前に視察に来た千冬は、執事服を着ている俺の姿を見た瞬間、まるで獲物を見つけたような笑みを浮かべこちらに近づいてくる。周囲の生徒は千冬が来たことで盛り上がっているのもあるが、それよりも俺の方へ来たのに驚いている声の方が多い。基本的には弟である織斑に行くと思っていたのだろう。
俺もその考えだったからな。
「お、織斑くんの負担を少しだけでも軽減できればと思ったので……嫌でしたか?」
「いや、いい。だがそうだな、せっかくだお前が私に接客しろ」
「……わかりました。お嬢様」
内心お嬢様という年齢ではないだろうと思いながらも、空いている席へと案内した後メニュー表を見せる。周りが騒がしいが気にしたら負けだ。
「執事、この『執事にご褒美セット』はなんだ?」
「……このセットは執事にお菓子を食べさせるセットになっています」
「ではそれをいただくとしよう」
「『執事にご褒美セット』がおひとつですね。それでは、少々おまちください」
俺は腰を丁寧に折りお辞儀をした後、すぐにキッチンテーブルへと移動する。千冬からのオーダーということもあり、キッチンテーブルは数秒もしないうちに『執事にご褒美セット』が提供された。
「お待たせ致しました。お嬢様」
「随分と様になっているな」
「ま、まぁ色々とあったので。それでは失礼します」
そういって俺は千冬の正面に座る。あの織斑先生と面と向かってということもあり、周囲の視線が一点に集まってしまっていた。教師が生徒に対してお菓子を食べさせる構図、普段なら絶対にあり得ないな。しかもそれが織斑先生だからと言うのもあるだろうな。
「……キャンセル不可能ですけど、大丈夫ですか?」
「構わん」
そう言って一本のポッキーを手に持ち、俺の方へと先端を向ける。
「いつも面倒なのを見て貰っているからな、簡単なご褒美として受け取っておけ」
「いえいえ、面倒だなんて……ちょっと大変ですけど」
「今日は少しでも休めると良いな。ほら、あーんだ」
「あ、あーん」
口の中でぱきっと弾ける音とポッキーの甘さで俺は少しだけ至福のひとときを堪能する。
「美味しいか?」
「ええ、とっても。ご褒美セットは初めてだったので」
「なるほどな、つまり私が初めてということか」
その言葉に周囲の視線がより一層強くなってしまう。言い方といい、言葉選びといい……もうちょっとなんとか出来なかったのかと思ってしまう。千冬に視線を向けてみればニヤニヤとした笑みを浮かべこちらを見ている。これは狙っていやがったな……畜生。
「周りの目なんぞ気にするな。ほら、あーん」
「……あーん」
少しだけ仕返しがしたかった俺は残っていたクッキーの部分と千冬の指先を咥える、少しだけ驚いたのか指が微かに動いた。それで少し意地悪したくなった俺は、舌でゆっくりと舐めていく。
少しだけ堪能した後、ゆっくりと指先を離す。指先と繋がる一本の線が見えるほど堪能してしまった。
「いただきました」
「…………してやられたな」
自身の指を少し見つめて頬を赤くする千冬。そんな表情見たことないと弟の織斑が凄い表情でこちらを見ていた。
「全く。おぼえておけよ?」
「ふふっ、油断しているお嬢様が悪いんですよ?」
両肘をテーブルにつけ、両手を顔に付けて笑顔を向ける。その時の俺は油断していて少し素を晒してしまっていたのかもしれない。千冬の顔が更に赤く染まっていた。
「まあ良い。少しだけ楽しめたか?」
「えぇ、良い思い出にはなりましたよ」
そうか。とはにかむ千冬は、昔の頃によく見たことのある笑みを浮かべていた。
あんな笑顔を千冬姉にさせてしまう。やっぱり千春さんは千冬姉にとって特別な存在なんだな……
「どうした一夏?」
「──あ、いや、ちょっとな。千冬姉があそこまで笑顔になるなんて久しぶりに見たから」
「千冬さんは千春に一目置いているからな、それもあるのかもしれないな」
「そうなのか?」
「そうだろう。というかいつも問題が起これば大体あの2人と山田先生が来るだろうに。それにラウラの件でもその場を止めたのは千春だ。率先して行動している部分が気に入っている反面、危険な行動をしてしまうこともしばしばある。だから放っておけないんだろうな」
「俺よりもか……まぁ千春さんだからな」
幼馴染みである千春さんだからこそ……か。そういえば千春はどこに行ったんだ?
「なぁ箒?」
「なんだ?」
「黒咲はどこに行ったんだ?千冬姉と話してたのは執事服着てた千春さんだったし」
「何を言っているんだお前は?千冬さんに付いていた執事が黒咲だろう?」
「え?あれ千春さんじゃないのか?」
「そもそも千春さんは来ていないぞ……?」
「え?」
「え?」
じゃあなんだ?俺はクラスメイトを千春さんだと思っていたのか?それってとんでもなく失礼なんじゃ……そういえば黒咲も困惑した様な顔を浮かべてたな。ちゃんと謝らないと。
「そういえばだな一夏、楯無先輩から伝言を預かっている」
「お?なんだ?」
「『教室手伝ってあげたんだから、生徒会の出し物にも協力しなさい』だそうだ」
「ちなみに俺の意志は?」
「それは私も言ったのだが……『勝手に決定してもいいじゃない、生徒会長だもの』と」
みつをか?みつをだよな?もしくは智蔵。それっぽく言うの禁止!
「……で?俺は何を手伝うんだ?」
「生徒会の出し物はどうやら演劇らしいのだが、少し特殊でな?観客参加型演劇。というらしい」
観客参加型?え?どういうことだ?
「詳しいことは私も分からないが、演目はシンデレラらしいぞ?」
シンデレラ……ということは俺は王子様役とかか?それともそこら辺の村人役か?
どちらにしても俺は強制参加だ、諦めて大人しく生徒会の出し物に協力するとしよう。
「ちなみに私も参加する。あとはセシリアにシャルロット、ラウラ、鈴音。そして千春も参加する」
「…………‥」
何役で?何役で出るんだ!?いやそもそも詳しいこと教えて貰っていない箒も、何役をするか分かっていないという不気味さ。マジで怖い。
「お前も生徒会の出し物に参加するそうだな?」
アイスティーの入ったカップを置きながらそんなことを言う。確かに俺は更識から演劇の参加を求められた。時間的にも余裕がある為問題無いと言ったが、巻紙礼子の件をどうするかと考えている。
結論から言えば『黒』。彼女は間違いなく亡国企業の1人だ、そしてそれに招待状を送ったのは三年の「ダリル・ケイシー」、アメリカの代表候補生だ。更識から共有された情報から更に深掘りした結果、巻紙礼子のコードネーム「オータム」、ダリル・ケイシーのコードネーム「レイン・ミューゼル」という情報を得ることが出来た。
基本的に動くのはオータム、情報を流すのはレインらしい。まぁどっちも潰せば良いだけなんだが……オータムを逃したとしても、レインの方を拷問すれば吐くだろう。吐かなければ殺すだけだ。
「えぇ、せっかくですから」
「……ちなみにあの劇の参加条件は投票権を生徒会にすることだが。いいんだな?」
「えっなにそれ知らない」
あのアマ……詳しく教えなかったのはそれが理由か!
「なるほどな……2人とも生徒会行きだな」
「……織斑先生が持ってる部活って何処ですか?」
「茶道部だ」
「…………そこに入部って出来ますか?」
「……たまに顔を出すのであればな」
「おねがいします」
よし、これで俺は生徒会入り回避だな。
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」