※この作品はR-18です。

女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活   作:灰崎 快人

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第73話「シンデレラ」

「一夏くん、ちゃんと着たー?」

「………………」

「開けるわね」

「開けてから言わないでくださいよ……」

「ちゃんと着てるじゃない。おねーさんがっかり」

「……なんなんですか」

ここは第四アリーナの更衣室。普段はISスーツの着替え場所として使われるそこに、俺はいた。

服装は……王子様だった。

「はい、王冠」

「はぁ……」

「なによ、嬉しそうじゃないわね?シンデレラ役の方が良かった?」

「嫌ですよ!」

この人はまったく……ああ言えばこう言う!心底困った人だな。

「さてと、そろそろ始まるわよ?」

一度外を覗いたんだが、第四アリーナいっぱいに作られていたセットはかなり豪華だった。観客席はもちろん満席で、時折聞こえる歓声は更衣室まで届いている。

「あの……脚本とか台本とか一度も見てないんですけど」

「大丈夫、基本的にこっちからアナウンスするから、その通りにお話を進めてくれればいいわ。あ、もちろんセリフはアドリブでお願いね」

それは大丈夫なんだろうか?本当に心配になる。

「あの……更識さん、私は着替えなくても大丈夫なんですか?」

楯無先輩の後ろから、執事服の黒咲がやってくる。執事服は一組の出し物で使っていたものと同じだが、一体何役をするんだ?

「うん。大丈夫よ。そのままでいて頂戴」

「……わかりました」

言い知れぬ不安を抱きながら、俺と黒咲は舞台袖に移動する。

「さっきはごめんな、黒咲」

「なんのこと?」

「黒咲が知り合いに似てたばかりに、あんな態度取っちゃって」

「気にしてないよ。それより今は、この舞台をどうするか考えよう」

「……そうだな」

冷静だった。慌てている俺の方が恥ずかしくなってくる。

『さあ、幕開けよ!』

ブザーが鳴り響き、照明が落ちる。

セット全体にかけられた幕がするすると上がっていき、アリーナのライトが点灯した。

「むかしむかし、あるところにシンデレラという少女がいました」

よかった。普通の出だしだ。それにしてもシンデレラ役って誰なんだろうか?箒か?それとも鈴?もしかしたらラウラの可能性もある。

そんなことを考えながらも、俺たちはセットの舞台会エリアへと向かっていく。

「否、それはもはや名前ではない」

ん?

「幾多の舞踏会をくぐり抜け、群がる敵兵をなぎ倒し、灰燼を纏うことさえいとわぬ地上最強の兵士達。彼女らを呼ぶにふさわしい称号……それが『シンデレラ』!」

……えぇ?

「今宵もまた、血に飢えたシンデレラたちの夜が始まる。王子の冠に隠された隣国の軍事機密、執事の懐に隠された財宝を狙い、舞踏会という名の死地に少女達が舞い踊る」

「これっ!?」

「は、はぁっ!?」

「もらったぁぁぁぁ!」

いきなりの叫び声と共に現れたのは、白地に銀のあしらいが美しいシンデレラ・ドレスを身に纏った鈴だった。

「のわっ!?」

「よこしなさいよ!」

反射的に避けた俺をキッと睨んでから、直ぐさま飛刀を投げてくる。

──こ、殺す気か!?

「織斑くん!」

ババンッ!と響く音に火薬の匂い、視線を向けてみれば黒咲が銃をこちらに向け、鈴が投げた飛刀を撃ち落としていた。

「援護するから速く逃げて!」

「助かる!」

「逃げるな!」

「し、死んだらどうするんだよ!」

「死なない程度に殺すわよ!」

「意味が分かんねえよ!?」

こんなところでやられてたまるか!

鈴と格闘戦を繰り広げつつ、飛び道具を黒咲が落としていく。すると赤い線が泳いでいるのを見つける。

(なんだあれ?だんだん黒咲の方に向かってきてるような──)

次の瞬間、黒咲の左腕に何かかが通り過ぎたようで、背後にあったセットがパァンッと吹き飛んでいった。

(す、スナイパーライフル!?ってことはセシリアか!)

消音器を付けているのか、発砲音とマズルフラッシュがわかりずらい。

さらに連射性に優れた銃を使っているらしく、立て続けに黒咲を狙った狙撃が繰り返される。

「くっ……」

流石の黒咲もセットの後ろに身を隠してしまい、援護をするのが難しくなってしまった。

「し、死ぬ!死んでしまう!」

身を低くして遮蔽物へと駆け込む。…………一体何なんだこの劇は!?


(とりあえず一夏さんと分離させることは出来ましたわね……)

足元に薬莢の金属音を響かせながら、セシリアはスコープから目を離す。

狙撃の基本である『射撃と移動』に忠実に、次の狙撃ポイントへと向き始めた。

(今回は、何が何でも優勝させていただきますわ!)

女子組にだけ教えられた秘密の景品。それは『王子様の王冠、執事の懐中時計のどちらかをゲットした子に、同室同居の権利を与える』というものだった。

一夏の王冠を入手すれば一夏と、黒咲の懐中時計を入手すれば黒咲と。最初こそきょとんとしてしまっていた一同だったが、『生徒会長権限で可能にするわ』という楯無の言葉を聞いて、全員が奮い立った。

(黒咲さんには悪いですが、こうしなければ目的を達成できませんわ。一夏さんと同じ部屋……一夏さんと同じ部屋……)

既に皮算用を始めているセシリアは、ニヤリと緩んだ笑みを浮かべる。

(幸いステージまでの距離なら走って間に合いますし、ISの装備以外なら自由に使っていいとのことですし)

狙撃による王冠外し。そこからのダッシュで、セシリアは勝負を決めるつもりでいる。シンデレラ・ドレスをなびかせ、第二狙撃地点に到着したセシリアはすぐさまライフルを構える。

(貰いました──っ!?)

引き金を引こうとした瞬間、数発の弾丸がこちらに向かって飛んでくる。スコープで覗いてみれば、こちらに向かって銃口を向ける黒咲の姿があった。

(ど、どうして!?600メートルも離れてますのよ!?しかも障害物まであるのに!)

(昔から目は良い方でね……移動するセシリアを捉えられて幸運だったよ!)

そこからはお互いに一歩も引かない銃撃戦が始まった。


一方その頃織斑はというと。

(こ、ここなら安全か?)

セットの物陰に隠れていた俺だったが、数秒後に鳴り響くセシリアと黒咲の銃撃戦に巻き込まれないようにさらに離れたセットへと移動する。

ちなみにそんなこんなで主役の俺が隠れているばかりのため、こうしてたまに舞台に出るたび満員の観客席から拍手と声援が上がっている。また黒咲達の銃撃戦も盛り上がっているらしく、少し離れているところでは感心している声が聞こえていた。

「はは……どうも」

律儀に挨拶をしていると、こちらに銃撃音がどんどん近づいてくる。まさかと思い俺は直ぐさま走り出し、無茶苦茶広いステージを移動した。

「げぇ!?行き止まり!」

思わず叫んでしまった。その瞬間、こちらにセシリアの射撃が襲いかかってくる。こうなってしまうと動くことも出来なくなってしまう。

「一夏、伏せて!」

「っ!?」

突然、俺の前に現れたのは、対弾シールドを装備したシャルロットだった。

その服装は他の皆と同じ、シンデレラ・ドレス。

しかし、なんでこう金髪の子はドレスが似合うのだろう。文化の違いなのか?

「シャル、助かった…………」

カンッ、キンッと弾丸を防ぐたびに鋭利な音が鳴る。

「いいから、早く逃げて!あと黒咲さん見なかった!?」

「お、おう!黒咲はあっちの方にいたぞ!」

「あ、えっと、ちょっと待って!」

「な、なんだ?」

「出来れば王冠置いて行ってくれると……嬉しいな」

「う、うん?これでいいなら置いていくけど」

これさえなければ狙われなくなるのであれば、そうしよう。

そう思って王冠に手をかけた俺を、楯無先輩のアナウンスが遮った。

『王子様にとって国とは全て。その重要機密が隠された王冠を失うと、自責の念によって電流が流れます』

「え?」

俺は一瞬ぽかんとしたが、無意識のまま動いてしまっていた。王冠を外すと──

「あばばばばっ!?」

バリバリバリ!というのっぴきならない音を立てて、俺の全身に電流が流れる。

痛いとかそんな次元じゃない。

「な、な、な……‥なんじゃ、こりゃぁ…………」

「あぁ!なんということでしょう!王子様の国を思う心はそうまでも重いのか。しかし、私達は見守ることしか出来ません!」

とにかく、再び電流を流されたらたまったものではない。俺は急いで王冠をかぶりなおした。

「すまん、シャル。そういうことだから」

「あー、うん。しょうがないね」

「スマン!」

急いでその場を後にすると、再び楯無先輩のアナウンスが入った。

『執事は王子様を守るのが仕事、財宝も大切ですがそれは王子の命よりは軽い物ではない。執事は急がなければ全身に電流が流れてしまうでしょう』

「えっ」

まさか……黒咲は俺と離れたら電流が!?急いで黒咲の元へと走って行く

「あああああああっ!?」

少し離れたところから黒咲の悲鳴が聞こえる、クソッ!間に合わなかったか!

倒れてる黒咲の服の所々から煙を上げている。

「な、なにが……」

「大丈夫か黒咲!」

「黒咲さん!」

「全身が痛い……」

ゆっくりと身体を起こす黒咲の表情は痛々しいものだった。

「うぅ……」

なんとか身体を起こそうとする黒咲の肩をシャルロットが持ちなんとか立ちあがる。

「そこまでですわ」

「お縄につきなさいよ!」

こちらに接近してきた鈴とセシリアが獲物を構えて佇んでいた。

「危ない!」

シャルロットが瞬時に盾を構えて飛刀とライフルの弾丸を防ぐ。……黒咲を肩に寄せて。

お、俺は!?俺の事は守ってくれないのか!?

「っ……痺れて照準が合わない!」

「僕が守るから!」

必死の抵抗を見せているものの、シャルロットの持っている防弾盾は簡易的な透明板のもの。耐久性は確かにあるが徐々に限界が見え始めていた。

「これでどうだっ!」

全力投擲された飛刀とライフルの弾丸の同時攻撃により、ついに盾は破壊されてしまった。その衝撃でシャルロットと黒咲は崖の下へと落ちていった。

「「うわぁぁぁ!?」」

「大丈──っ!心配してる場合じゃないか!」

2人の安否を確認することも出来ず、俺は弾幕の中別のエリアへと必死に逃げるのだった。




番外編で黒咲ショタ化したいんだけど、良いかな……

次の番外編

  • おねショタ(無効票)
  • 1シャル&ラウラと千春(受け)
  • 2シャル&ラウラと千春(攻め)
  • メス堕ち(無効票)(千春総受け)
  • 束と千春
  • 千冬と千春
  • シャル&ラウラと千春
  • 一夏と千春
  • オマケ(無効票)
  • 千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
  • 千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」
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