女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
「うぅ……いたた、大丈夫?千春さん」
崖下に落ちてしまったシャルロットは、自身の安全を確保すると周囲に居るであろう千春の姿を探す。
「あ、あれ!?千春さんどこ!?」
「うぅ……?」
近くから声はするものの、どこから声がしているのか全く分からず不安になるシャルロット。
「暗い……何処だここ」
自身がどこに居るのか分からない俺は、何か目印になる物はないかと必死に手を動かす。
「ん?なんだこれ、柔らかい」
「ひゃぁ!?」
シャルロットが可愛い反応をしている……まさか。
「ち、千春さん!そこに居たの!?」
「──まさかスカートの中に入ってしまったのか。ってことは触ってたのって」
「ち、千春さんのえっち!」
顔を真っ赤にして叫ぶシャルロットに、俺は謝ることしか出来なかった。
許してもらう条件に懐中時計を渡して欲しいと言われたが、渡してしまうと少し前の織斑のように電流を流されてしまう可能性もあるため、下手に渡すことが出来ない。
ただでさえ織斑と200m以上離れたら電流が流れるというのに、別のことで電流を流されるわけにはいかなかった。
「悪いけど、それは無理だ。俺から渡すと電流が流れる可能性があるからな」
「それじゃあ、いただき「させるか!」っ!」
シャルロットが執事服に手を入れようとした瞬間、それを遮るようにタクティカルナイフが通り過ぎた。
「ようやく見つけたぞ、千春さん」
「……ラウラか」
俺たちの前に現れたのはシンデレラ・ドレスを着たラウラだった。手にはタクティカルナイフを持っており、瞬時にこちらに襲いかかってくる。
「離れろ!」
「せっかくのチャンスが……」
間一髪、横からの斬撃を回避した俺は、そのままゴロゴロと転がっていく。
「邪魔しないでラウラ!」
「こちらのセリフだ!シャルロット、まずはお前から始末する!」
「上等!」
何故か勝手にナイフバトルが始まってしまった。俺の事は置いてきぼりか……いやチャンスだ!この隙に織斑と合流しなければ電流が流れる!
(織斑は何処だ……?)
2人の元を離れ織斑を捜索する。電流が流れていないということはそこまで離れていない証拠だ、あとは何処かで銃声か金属音が聞こえるはずだが……どこだ?
ドカァァァァン!!大きな音と共に、塔が崩れていく。まさかあそこか!?そんなわけないよな?あんな所に居たらひとたまりもないぞ!
「「「えぇ……?」」」
あ、声が聞こえた。近くに居るな。
「織斑くん!」
「黒咲!無事だったか、シャルロットは?」
「ラウラとバトルし始めたから置いてきた!」
となるとあとは目の前に居る箒、鈴そして遠距離から狙っているセシリアか……ん?なんだ?
『さぁ!今からフリーエントリー組の参加です!みなさん、王子様の王冠、執事の懐中時計目指して頑張ってください!』
「「はぁっ!?」」
塔が崩れて露わになった扉から、ざっとみても数十人以上のシンデレラがやってきた。しかもそれは止まることなく増殖を続けていた。
「に、逃げるよ!織斑くん!」
「お、おう!」
急いで織斑の腕を掴み逃げに徹する。
「2人とも大人しくしなさい!」
「私と幸せになりましょう!王子様!」
「私がいっぱい可愛がってあげるわ!だから執事君止まって!」
俺たちは追ってくるシンデレラの群れからどう逃げたものかと考えながら、セットの上を走り続ける。
「「見つけたぁ!」」
しまった!シャルロットとラウラまで来てしまった!
「その懐中時計をよこせ!」
「逃がさない!」
「い、一体何なんだよ!?」
「一夏ぁ!王冠をよこせ!断れば斬る!」
ヤバい、怖い!箒が昔じゃ考えられないくらい暴れてる!あんなの見たことない!
(クソッ!どうすれば──)
「うわぁぁぁ!?」
織斑の悲鳴が聞こえ振り向くと、そこに織斑の姿はなかった。
「織斑くん!?」
「はあぁぁぁ!」
織斑の事が心配だがそれよりも今はこの場を切り抜けるために、後腰に仕込んでいたシースナイフを取り出して迫り来る斬撃を受け流す。
「やはり持っていたか」
「これは長期戦になりそうだね……」
(こっちは今すぐに戦闘離脱したい所だがな!)
織斑と離れてしまい再び何処に居るのか分からなくなってしまった俺は、生徒会長と連絡を取りどこに居るのか教えて貰うことにした。
「更識!織斑はどこに!?」
『更衣室に移動しているみたいです。でも変ですね……』
「なにがだ?」
『更衣室に移動できる通路は作ってないんです』
嫌な予感がする。
「更識、教師に連絡をしたらすぐに織斑の元に行け!俺もすぐに追いつく!」
『わ、分かりました!』
さてと……後は頼みますかね!
「いてて……」
「ここなら見つかりませんよ」
「ど、どうも」
俺は誘導されるまま、セットの下をくぐり抜けて更衣室へとやってきた。最初に俺が使っていた部屋の側で、ここになら制服も揃っている。
「えっと……」
そういえば、暗くて誰が俺をここまで連れてきたのかわからなかった。
改めてその人を見てみると、今日名刺を渡され散々絡まれた巻紙礼子さんだった。何故こんな所に彼女がいるのかわからなかった。
「どうして、巻紙さんが……」
「はい。この機会に白式をいただきたいと思いまして」
「……‥はぁ?」
ニコニコと、笑みを崩さずそう言う彼女に対して、俺はまぬけな返事をする。
「いいからとっととよこしやがれよ!」
その言葉と共に、思いっきり腹に蹴りを入れられる。その衝撃で俺はロッカーに叩きつけられる。
「あーあ、くそったれが。顔、戻らねじゃねえか。この私の顔がよぉ!」
「ぐっ……あ、あなたは一体……」
「あぁ?私か?企業の人間になりすました謎の美女だよ。おら、嬉しいか?」
巻上礼子を名乗っていた女の背中から鋭利な爪が飛び出す。それは蜘蛛の脚によく似ていて、黄色と黒という禍々しい配色で、刃物のような先端を持っていた。
「っ!白式!」
危険だと判断した俺は瞬時に白式を展開する。それを待っていましたと言わんばかりに笑みを見せる謎の女に対し雪片弐型を構える。不気味な人だ……
「くらえっ!」
背中から伸びた八つの装甲脚、その先端が割れるように開いて、銃口を見せつける。
脚のスラスターを思い切り床に叩きつけ、それと同時に最大噴射を行う。
PICによって重力を相殺している俺と《白式》は、そのまま天井に向かって緊急回避を行う。
「ほーう?やるじゃねえか!」
天井にぶつかったところで止まった俺は、《雪羅》をクロウモードにして起動させる。《雪片弐型》を呼び出すよりも、本体の内部火器である《雪羅》の攻撃の方が速い!
「なんなんだよ!あんたは!?」
ビーム・クロウによる斬撃を後ろ飛びでかわし、女は言葉を続ける。
「ああん?知らねーのかよ、悪の組織の1人だっての!」
「ふざけんな!」
「ふざけてねえっつの!ガキが!秘密結社『亡国企業』が1人、オータム様って言えばわかるかぁ!?」
その女、オータムは完全なIS展開状態になると、PICの細かな操作で俺の攻撃を避け、同時に装甲脚の銃口から実弾射撃を行ってくる。
「くらいやがれ!」
八門の集中砲火。左右から迫ってくるそれを、俺は真上に飛んでかわした。
天井に脚をつき、逆さまの状態からスラスターを吹かして前転気味に懐に飛び込む。
それと同時進行で構築した《雪片弐型》を右手に握りしめ、俺は斬りかかった。
「甘えよ!」
八本の装甲脚が《雪片弐型》の攻撃を完全に受けきる。
(くそっ!手数が多い、装甲が硬い!それなら──)
相手の攻撃を誘い込み、一本ずつ切り落とすしかない!
「このやろぅ!」
「そこだ!」
相手の動きを読み、瞬時に態勢を低くする。その隙は絶対に逃がさない!
「はあぁぁぁ!」
「なにっ!?」
一本だけだが装甲脚を切り落とすことに成功した。あとはこれを7回繰り返すだけだ……上手くいけばの話だけど。
『織斑くん、聞こえる?』
「黒咲!そっちは大丈夫なのか?」
『こっちよりそっちの方が問題でしょ!もうすぐ更識さんが到着するからそれまで耐えて!』
「わ、わかった!」
黒咲との通信を切り、俺は《雪片弐型》を構え直す。それと同時に黒咲から送られてきたであろうISの情報と白式からのデータが表示される。
アメリカの第2世代型IS《アラクネ》……盗まれた物なのか!こいつ!
「このっ──!!」
「クク、やっぱりガキだな!正面から突っ込んで来やがって……よぉ!?」
指先であやとりのようなものを弄っていたかと思うと、それを俺めがけて投げてくる。
見たところエネルギー・ワイヤーで構成されている塊は、俺の目の前で弾けて大きな縄へと変化した。
「ちっ!」
エネルギー体なら《雪羅》の装備で切り裂ける!
そう思っていたが、その糸は全身に伸びていき、ものの数秒でがんじめがらめにされてしまう。
「ハハッ!楽勝だぜ、まったくよぉ!蜘蛛の糸を甘く見るからそうなるんだぜ?」
もがく俺を前に、ニヤニヤと笑みを浮かべたオータムが近づいてくる。その手には、見たことがない四本脚の装置を持っていた。
「んじゃあ、お楽しみタイムと行こうぜ」
装置が俺に取り付けられる。胸部から接触したそれは、脚を閉じて俺の身体を固定した。
「さて、白式とやらをいただくとするか」
その言葉と同時に俺の身体に電流に似たエネルギーが流される。
「うわあああああっ!?」
「ははっ!そうそう、ついでに教えといてやるよ。第二回モンド。グロッソでお前を拉致したのは、我々亡国企業だ!感動のご対面だなぁ!ハハハ!」
俺が苦しんでいる間もオータムは楽しそうに哄笑していたのが、余計に神経を逆なでした。
激しい痛みのさなか、そんなことを気にする余裕があったのは不思議に感じる。
「さて、終わりだな」
電流が収まり、装置のロックが外れる。それと同時に俺は糸からも解放された。
「ハハハハ!遂に手に入れたぜ。白式ってヤツをよぉ!」
俺の身体には構築済みのISスーツだけが残され、白式の装甲も装備も全て無くなっていた。
「な、なにが起こったんだ……白式!おい!」
「お前の大事なISならここにあるぜ」
「なっ!?」
オータムが手にしている物は、菱形立体のクリスタル。それは紛れもなくISのコアだった。
第二形態まで発展した証として、球状のコアよりも強い輝きを宿している。
「かえせよ……」
「あぁ?聞こえねえなぁ?じゃあなガキ。おまえにはもう用がないから、ついでだし殺してやるよ」
ニヤリとオータムがそう告げる。
「そいつは困るなぁ?一夏は千冬の大切な弟だからよぉ」
男の声、声の主は俺じゃない。見ると、ドアの前にはスーツを着ている千春さんが立っていた。
「てめぇ、どこから入った?今ここは全システムをロックしてんだぞ……まあいい、見られたからにはお前から殺す!」
「千春さん!逃げてください!」
身を翻し、千春さんに襲いかかるオータム。その八本の装甲脚が襲いかかる。
「まったく、更識は何やってんだか……」
ブツブツと何かを呟きながら、千春さんは手にしていた一振りの刀を抜刀する。
「そんなもんでISに勝てると思ってんのかよ!」
刹那、オータムの装甲脚が千春さんの全身を貫いた……はずだった。
「遅え」
次の瞬間、オータムは千春さんの斬撃によってISもろともロッカーへと叩きつけられた。
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」