女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
「──と言う訳なのよ」
「な、なるほど?」
夜、寮の自室。
学園祭がなんとか終わって、俺は楯無先輩から説明を受けていた。
最近妙な組織が動き始めたこと、狙いが俺だったこと、その予防線として俺と同居をしていたこと。
「……楯無さんは何者なんですか?」
「あら、優しいおねーさんよ?」
「そういうのは良いですから」
「そうね。更識家は昔からこの手の裏工作に関して強いのよ。暗部って分かる?」
暗部。つまり、けして表に出ることはない、裏の実行部隊のことか。
「更識家は対暗部用暗部……お家柄ってやつね」
あははと笑いながら扇子を開く楯無先輩。
そこには『常在戦場』と書かれていた。まったく、のっぴきならない人だ。
「だけど、これで当面の危機は去ったようだし、私も少しは気が休まるわ」
「すぐに部屋替えですか?それは──」
助かります、と言いかけて辞める。そんなことを言ったら何をされるか。
「寂しくなりますね」
「ふふ、しばらくは居るわよ?なにせ、王冠ゲットだもの」
あぁ、そうだった。
「部屋を移った後も、独り寝が寂しい夜には来てあげましょう」
「いえ、いいです。遠慮します」
きっぱりと言っておかないと、何か不味い気がした。
この人は隙あらば入り込んでくる。そういう人だ。
「喜んでくれると思ったのに」
「はいはい。あ、そういえば黒咲ってなんで執事で舞台に出たんですか?」
男でない黒咲が何故執事服で逃げなければならんかったのか、黒咲が持っていた懐中時計は誰の手に渡ったのか、少しだけ気になっていた。
「実は黒咲ちゃん、一夏くんの次にこの学園で人気なのよ?」
「えっ!?そうなんですか」
「うん。織斑先生と仲が良いってのも理由にあるのかも知れないんだけどね」
確かに黒咲と千冬姉が話しているのはよく目にしている。だけど、それだけで人気になれる物なのか?
「まぁ後は彼女の基本スペックが比較的高いのに、部活動には何も入らずISの腕を磨いているからかしらね?1年生の中でアリーナを使ってるの、最近じゃ専用機持ちの中でも彼女が一番多いでしょうしね。よく一人でターゲット相手に訓練しているらしいわ、たまに山田先生とも戦ってるみたいだし」
知らなかった。俺たちの知らないところでそんなことをしていたのか……
「その戦っている時の横顔がイケメンってのもあるのかしらね?」
「イケメン……まぁ確かに黒咲はなんというか、男とも女とも取れるような容姿をしてますけど」
何かが引っかかっているような気がした。
「さてと、そろそろ消灯しましょうか」
「あ、そうですね」
明かりを落とし、布団の中に潜り込む。
相当疲れていたようで、俺はすぐに眠りに落ちていった。
「おやすみ、一夏くん。これからが大変だよ」
そんな楯無先輩の言葉を、最後に聞いた。
「IS《アラクネ》はコアを抜き出して破壊、もう一機はイギリスで奪取されたBT二号機《サイレント・ゼフィルス》で間違いありませんね。」
「亡国機業というやつか、千春のデータに間違いはなかったな。ただ問題が……」
「もう一機のIS、ですね。こんなの見たことがありません。どこの国から奪取した機体なんでしょう?」
モニターに映し出される機体。緑と黒を基調とした機体は《ラファール・リヴァイヴ》に似ているが、武装面では全く異なっている。
「フランス製のIS何でしょうか?」
「それは違うぞ」
後ろからの声に振り返る二人、そこにはスーツを着込んだ千春の姿があった。
「千春さん」
「この機体は、俺が過去に設計した機体だ」
衝撃のカミングアウトに、真耶は思わず驚いて声を上げる。それもそうだろう、襲撃者が使用していたISを設計した人物が、まさかこんなにも身近な存在だとは思わない。
「どういうことだ」
「束がISを開発することになったとき、束と俺でそれぞれ最初の機体を設計した。最終的には束の設計したISが2機、俺が設計したISが1機開発された。だがあのIS《ドーベン・ウルフ》は設計の途中から失敗だと思った俺は、完成したその設計図を破棄した。はずだった」
「だがこうして開発されている。ということか?」
「どこからそんな設計図を引っ張り出してきたのかわからないが、こんな機体を開発するとは亡国機業も頭が悪いらしい」
自身で設計した機体にもかかわらず、失敗作だと言えるほどこの機体は酷いと言うことだろう。
「それよりも一夏のことだ。奴らの次のターゲットが《白式》だったことに変わりない、これからも警戒態勢は怠らないようにしなければな」
《白式》は現段階でも分かっていないことの方が多い、開発した束でも分かっていないのだ。誰にも分かるわけがない。それこそコアと直接会話をしない限りは。
「更識に一夏の特訓と警護を頼んだのは千冬だったのか?」
「あぁ、私だ。最初はお前を付けようとしたが、デュノア達の時のようにバレては困るからな」
「……それは本当に申し訳ないと思ってる」
本当なら俺が付いていた方が良いのだが、前例があるため更識に頼んだと言うことなのだろう。
それならせめて俺に報告して欲しかった……いや、疎かにしていた俺が言えたことではないか。
「てめぇ!どういうことだよ!」
高層マンションの最上階。豪華な飾りで溢れかえっているその部屋で、オータムは少女に詰め寄っていた。
「…………」
「なんとか言え!このガキが!」
少女を壁に叩きつけ、それでもまだ怒りを収めるのには足りないオータムは腰からナイフを抜く。
「その顔切り刻んでやる……」
「やめとけ、オータム。ただでさえ片腕を失っている状態で余計な動きをするな」
「黙れ!役立たずは黙ってろっ!」
腕組みをして壁に体を預けている少年に、オータムは怒りをぶつける。確かに少年は専用機を持っていたのにもかかわらず、その機体を一瞬でダルマにされてしまい修理にかなりの時間を要することになってしまった。
「はっ、少なくともISのコアを奪われたヤツに言われたくないね」
「てめぇ……!」
「やめなさい、オータム。うるさいわよ」
いがみ合っている中、バスルームから出てきたのは美しい容貌の女性だった。薄い金色の髪が、明かりに照らされてキラキラと透明の光を放つ。
「スコール……」
「怒ってばかりだと老けるわよ。落ち着きなさい、オータム。貴方も煽るようなことはしないこと、良いわね?エス」
スコールと呼ばれた女性はバスローブのままソファーへと腰を下ろす。
そんなスコールを、オータムは悔しそうに見つめた。
「お前は、知っていたのか?こうなるということを」
「ええ。ただ、貴女の腕が失われるのは想定外だったけどね」
「俺は言ったはずだがな、油断していると損害を被ると」
「その結果、こちらがコアを奪われた。本当に厄介ね」
現在亡国機業で使うことが出来るISは《サイレント・ゼフィルス》、少なくともエスと呼ばれた少年の《ドーベン・ウルフ》が復帰するまでは大人しくしている他無いだろう。
「エム、ISを整備に回しておいて頂戴。《サイレント・ゼフィルス》はまだ奪って間もない機体だから、再調整が必要よ」
「わかった」
エムと呼ばれた少女は短く返事だけをして、ドアを閉じた。
そして通路で一人、胸のロケットを握りしめてまぶたを閉じる。
(もう少し……もう少しだ……)
ずっと、探していた、待っていた。
焦がれた時は、もうすぐ側まで来ている。
(これで私の計画がはじめられる……。そう、やっと──)
やっと会うことができた。
(
人知れず、少女の口元は緩むのだった。
それを良しとしない人物が居るのにもかかわらず……
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」