クフーン&ウル ~二人の百合の冒険譚~ 作:ヨイヤサ・リングマスター
しかし“力”である以上、彼女にも限界はある。
弟子であり恋人でもあるウルという自分以上の百合を前にしては、いくらクフーンと言えども一対一でやっとこさ相手になるのだ。
他の女性の入り込む隙間なんてありゃしない。
しかし、入り込む隙間がないのだとしても、彼女に惚れた女性はそんな理由で一人寂しい夜を過ごすのは耐えられなかったりする。
そんなお話。
クフーンside
ウルは、最近ますます強くなった。
それは百合として、というのもあるが、冒険者としても強くなっている。
冒険者になってまだ間もないから経験こそ少ないが、実力と実績はすでにあたしに匹敵する。
やれ南に行けば悪の帝王が現れれば倒しに行き、
北の巨人の話を聞いてピクニックのついでに滅ぼし、
西と東の暗殺組織のガンマン同士の抗争などは、その場のノリで組織そのものを消したりもした。
討伐依頼の他にも採取、運搬、護衛、建築物解体、薬品調合といった依頼も多くこなしてきたが、
そのどれもを依頼者の望んだ以上の結果でクリアしていった。
そして依頼を受けた先で一夜の間柄になった女の子たちも数知れず。いやまぁ、基本的に旅の間はあたしとウルで抱き合って眠ったんだが、街に行けば遊びたくなるじゃん?
そんなこんなで、ウルは生まれながらにして冒険者になるべき存在とも言える美少女だ!(←この「美少女」ってのが重要)
……まぁ、護衛依頼では護衛対象を女の子限定で受けているのもあって、護衛道中の夜は最高に盛り上がったりもしたが、そこはご愛嬌だな。
喜々として混ざったあたしも人のこと言えないし。
そんなある日、いつものようにギルドへと向かったところから今回の話は始まる。
最初は依頼書を眺めながら受付でサボっているレシィと駄弁ってようと思っていたんだが、そのレシィから、とんでもないことを聞かされたってわけさ。
……いや、やはりこれも予想していたことだから、別にとんでもないことじゃないんだけどな。
「……昇級試験……ですか?」
「ええ、そうよ。
腕の良い冒険者は幾ら居ても困らないからね。
そろそろウルちゃんも最下位のE級から上のランクを目指してもいいんじゃないかと思って」
レシィ曰く、いつまでもランクを上げないのは実力的にもオカシイ!
だからさっさと、あたしと同じ特S級にでもなれば? ってことらしい。
確かにウルはS級の依頼も、あたしの同行者として一緒に行って、何度か一人で達成したこともあるから実力はあると思う。
でも、レシィのこの言葉には裏があるんだよ。
「なぁ、レシィ。
あんた、ウルのランクを特S級にして、あたしらの師弟関係を解いてソロでやらせるつもりだろ?」
「(ぎくりっ!)」
「そうなんですか?」
あたし以外にも特S級の冒険者はいるけど、そいつらのレベルは平均で300程度。
それでも人数は10人くらいしかいない。(あんま覚えてないが)
ウルは新人とはいえ、あたしと同じレベル1000オーバー。
腕の良い冒険者を必要としている人は大勢いるし、辺境の村々では常駐の冒険者すらいないなんてザラだ。
まぁ、間違いなくウルが特Sランクになったら、あたしとのコンビは解消されて別の街の専属になるか、各地を転々とすることになるだろうな。
「私はクフーンさんが世界で一番好きですから、コンビを解消するくらいならランクを上げようとは思いませんよ」
小首をかしげ、あどけなさを演出しているウルだが、それは実は計算だったりする。
可愛らしいウルの所作の一つ一つを盗み見ている非公式のファンは多いのだ。そのファンへのサービスと言えよう。
以前、ファンであることを公言してホテルに連れ込まれて搾り取られた女の子たちが何人もいるのを知っているから、百合力のレベル差を理解して名乗ろうにも名乗れないんだろうな。
言ってくれば抱くさ。誰だってそーする。あたしだってそーする。当然、本気でな!
まっ、それはさておき今は目の前のことだ。
「レシィも諦めな。
あたしとウルは、師弟であり、コンビであり、恋人同士なんだからな」
そうさ。あたしとウルは毎日毎晩狂ったように愛し合っている仲なんだ。
答えは決まっていて当然さ。
「……でも、そうでもして二人を引き離さないと私がクフーンと愛し合えないじゃないの。
そんなのズルイじゃない」
「はぁ?」
涙目のレシィ。もしやこれは……
「あー、悪ぃ、レシィ。
そういや最近お前と、えっちしてなかったよな?
もしかして、そっちが本音か?」
「そういえばそうですね。
私がクフーンさんに弟子入りしてから、クフーンさんが他の女性と一緒になることって、あんまり無かったですよね」
そうなのだ。
あんまりにもウルが可愛くて絶倫だから、他の女の子とデートしたり、えっちする余裕がなかったのだ。
そしてそれは、長い付き合いである友人にして
「ねぇ、クフーン。
私の体に飽きたの?
ウルちゃんが可愛いのも、彼女の内に秘めた百合力が特S級に相当する力強さを持っているのも分かる。
でも、私だってクフーンのことを愛しているのよ?」
「レシィ……」
目に涙を浮かべ、普段のんびりしているレシィにしては珍しく語気に激しさを感じる。
ここで不謹慎ながら「うわぁ……可愛い」などと思ってしまうあたりは、あたしが百合だからということでスルーしてもらおう。
だが、それで問題が解決するわけでもなく、恋愛における結果ってのは、成就か失恋かの二択しかない。
レシィを泣かせたくない。
ウルの肉体の虜になったとはいえ、レシィを捨てることは絶対に出来ない!
だって、レシィもウルも大好きなんだ!
と言う訳で、涙目のレシィにときめいて、ウルが特Sランクになって独り立ちするのも悪くないかな? とか、ちょっぴり……ほんのちょ~っぴり考えていたら、我が弟子ウルが解決策を一つ示した。
「レシィさん。クフーンさん。私に良い考えがあります。
少し聞いてもらえますか?」
ウルの言うことならば、何でも聞こう。
だがな、ウル。そのセリフは失敗フラグに思えるのは、あたしの気のせいか?
恋愛における解決策は、正答がないので無限にあるのです。
問題なのは、その解決策の選択肢を自ら狭めてしまう、人それぞれの感性だったりなんだったり、な次話へ続く。
私は純愛から鬼畜ルート、ハーレムルートに派生するのも読むのはありですが、下記とてしては別です。
絶対にみんな笑顔で幸せなハッピーエンドにするのは決まっているので全員を幸せにしますよ♪