クフーン&ウル ~二人の百合の冒険譚~ 作:ヨイヤサ・リングマスター
まぁ、だからと言って剣と魔法のファンタジーな世界で服装にツッコミを入れるのもどうかと思うんですけれどね。
そんな感じのお話。ギャグ回なのでエッチ度は低めですね。
ウルside
季節の変わり目と言えば模様替え……もとい衣替えの季節。
暑い夏も過ぎ去り、小さい秋が訪れ始めた現在、街を歩いてもすれ違う女の子たちの肌の露出が減っているのは寂しいものがあります。
だからと言って、寒くなってきているというのに、女の子が過度に肌を出すのはよろしくありません。
百合として、幼女から大人の女性に至るまで全ての年代の肌の露出が見えないのは本当に残念ですが、全世界の女性の味方としては秋らしいファッションも奨励するべきだと思います。
それこそが私の理念。私の在り方。百合というもの。
だというのにですね~……、
「クフーンさん! いい加減季節感を無視したファッションはやめてください!」
「んあ?」
このちょっぴり間抜けな返事をしたのが私の冒険者としての師匠にして、一緒に住んでいる大家であり恋人のクフーンさん。
先ほど、季節が秋に変わっていると説明したように、私もすっかり秋らしい服装なんですけど、クフーンさんはいまだに薄着なのです!
いい加減、私だって怒っちゃいますよ。
「あんただって、肌を晒してる女の子が少ないって嘆いてたじゃん。
そんなウルの欲望を一身に引き受けている、あたしの師匠としての気持ち!
そういうのが分っかんないかねぇ~」
もっともらしいセリフで煙に巻くのはクフーンさんの十八番。
いえ、言い訳とかそういうのではなく、素でそう思っているのがクフーンさんなんですよね。
「……そりゃまぁ、クフーンさんの日焼けした素肌にときめいていますし? 最高だとは思いますよ?
寒さの問題も、魔法で身体の中に炎を顕現させてるから寒くないのも分かっています。
でもやっぱり、見た目が寒過ぎるんです! 夏っぽ過ぎます!」
「そいつは諦めてくれ。
むしろあたしは、この格好を見て寒そうと思ってくれる女の子を抱きしめて温まり合いたいと思ってるからな♪」
両腕を広げて菩薩のような姿で悪魔的欲望をあらわにする姿にはむしろ清々しさを覚えますが、ここで引き下がるわけにはいきません。
クフーンさんの今の格好はタンクトップとローライズ。
それだけならまだ部屋着として通じますけれど、何故か麦わら帽子まで被ってトロピカルジュースを片手に持ち、ラジオを肩に担いでダンスを踊っているのです。
室内ということでサングラスは外していますが、それでも首から提げているのは気になるところ。
これは、いささかどころか完全に季節を逆行する行為です。
「いいですか?
季節にはそれぞれの良さがあって、肌の露出が劣情を催すのではなく、単純な意味での可愛らしさや美しさを見る者に与えるのも女の子の義務なんです」
「あたしが自分の魅力を一番見せたいのはウルだけど?」
「む、そんな事を言われても今回は引きませんよ。
何故なら今日のお昼ご飯は手作り肉まん二個を胸にくっつけて『さぁ、私を召し上がれ♪』とする予定なんですから」
古典的ですが、これを喜ばない女性はいないはず。
百合ならば、恋人の肉まんおっぱいはお腹いっぱい食べたくて仕方がないものですからね。
「と言ってもウルってけっこう、おっぱいでかいじゃん。
肉まんで偽乳作る必要ないだろ?」
「ちっちっちっ、だからクフーンさんは分かっていないと言ってるんです。
肉まんおっぱい、……これこそが季節ネタです。
秋から冬にかけて、女の子は肉まんおっぱいを好きな女性に食べてもらうことしか考えていないんです」
「そうなの?」
「そうなのです!」
さもありなん、百合力の高い私の言葉は百合の常識!
「それなのに、ですよ?
一番自分を食べてほしい相手が過度な露出と麦わら帽子にトロピカルジュースを持っているだなんて許せません」
「なぁ、『トロピカル』と『トロイ狩る』って似てね?
今日の仕事はトロイ狩りにでも行こうぜ?」
「またそうやって話を変えちゃうだなんて。
……ところでトロイってなんですか?」
う~ん、冒険者になってから色々な依頼をこなしてきましたけど、『トロイ』なんてモンスター知りませんね。
「そうか、そういやウルはトロイ狩りは初めてだったな。
それじゃ秋の風物詩トロイ狩りに行こう。
きっと楽しめるはずだぞ♪(トロイって何なんだろうな?)」
「でもその前に服装は変えてくださいよ。せめて上に一枚羽織ってください。
クフーンさんの生足を見ていると、変質者に狙われて、逆に変質者を返り討ちにしてうっかり殺してしまい、刑務所に入れられてそこから多くの囚人を虜にして刑務所のヌシになって家で一人待つ私の存在を忘れてしまいそうですから」
クフーンさんはモテる→刑務所に言ってもモテる→そこから過去をすっかり忘れて新天地でもモテまくる。そんな未来が見えて仕方がないのですよ!
「ウルって元・学者志望はくせに、けっこう馬鹿だなぁ~。
あたしがこの格好を続けているのはウルが脱がせやすいようにするためじゃん♪」
そしてツツーッと、お尻がほとんど丸見えだったローライズを脱ぐと、そこには糸を引くクレヴァスが!!
ぐはっ! この秘境に挑戦せずして、一体誰が冒険者と名乗れるでしょう!?
私、冒険者ウルは、クフーンさんの秘密のクレヴァスに密着潜入取材をしたいと思います!!!
ところでトロイってなんでしょう?
魔法使いと言えばローブってイメージもありますけど、付与魔法で四肢や武器に属性魔法をつけて戦う魔法使いもいますし、服装も作品の魅力だと思うんですよね。
ちなみにクフーンは一年を通して夏っぽい格好をしています。
イベントがあれば、そのイベントに合わせた格好もしますけれど、やっぱり薄着です。
それと、この物語は四季のある世界ということで。