クフーン&ウル ~二人の百合の冒険譚~ 作:ヨイヤサ・リングマスター
友人にして冒険者ギルドの受付嬢をやっているレシィは、あたしのことをよく知っている。
何でも引き受けることに定評のあるあたしだが、嘘をつく依頼人はぶっ飛ばしちまうってことも。
だから、彼女が選んでくれる依頼は基本的にハズレは無いし、今回の新人育成という依頼も少々特殊ながら悪いものではないと思っていた。
なのだが……。
「はじめまして。あなたがクフーンさんですか?
私は元・学者志望の学院生徒だったウルと言います。
よろしくお願いします」
実際に会ってみた依頼主であり弟子入り志願の新人ちゃんの、簡素ながら丁寧なあいさつ。
……やばっ、可愛すぎる。
ぷにぷにほっぺ(触った)、艶やかな髪は触り心地も最高(撫でた)、鈴を転がしたような愛らしい声とぷるぷるの唇(吸った)。
どれをとっても、悪いどころかむしろ最高の依頼じゃねぇか♪ 超アタリだぜ♪
「あ、あぁ、よろしくなウル。
あたしが今回あんたの師匠をすることになったクフーンだ」
しかしそれならば、なぜレシィはこの依頼を頼むのを渋っていたのだろうか?
そう考えていると、友人にしてギルド職員のレシィが一緒にため息をつく。
「はぁ~、やっぱりクフーンはこの子を気に入っちゃったみたいね。
私としては、ずっとソロ冒険者として私だけの憧れでいてほしかったけど」
……なぁ~るほどね♪
「なんだぁ~? もしかしてヤキモチでも焼いてんのかレシィ?
そうかそうか、モテる女は辛いもんだなぁ♪」
「べ、別にそういう訳じゃないわよ!
私だってウルちゃんは可愛いと思うけど……。
ただ、あなたを一人占めに出来ないのが悔しいなぁ~ってね」
「それがヤキモチって言うんだぜ?」
あたしとしちゃあ、どっちも可愛いから三人で一緒に、ってのも悪くないんだけどねぇ~。
勿論ウルにその気があるなら、なんだけど……。いやまぁ、出会って早々にキスまでして百合ではないなんてこたぁないだろうさ。
あたしには分かる。ウルの目の輝きが。
この子はあたしらと同じ種類の人間だと出会った瞬間に理解出来たんだ。
「私はクフーンさんとは初対面ですし、レシィさんとはこの間ギルドに来て会ったばかりですけど大好きですよ♪
何故なら、私もそっち系だからです♪(百合っ!)」
背中に「百合」の二文字を背負いながらカッコ良く宣言するウル。
う~む、まさかここまで堂々とした百合っぷり。
どうやらウルの冒険者としてのレベルはまだまだながら、百合道はすでに
「まぁ、いいさ。
今回はウルの学院が女学校になるまでの間、面倒を見るってことでいいんだよな?」
「ええ、それでお願いします。
私自身、学院で得た知識を使うにはやはり現場が一番だと思っているので、この辺りで一番の冒険者であるクフーンさんにお願いしたいんです。
主に百合的な意味も込めて♪」
そう言ってウルはあたしの腕に自分の腕を絡ませてくる。もちろん狙ってのことだろう。なかなかに豊かなウルの胸でむにゅむにゅされるのは気持ちいい♪
太ももを伝ってトロリと、興奮からか割目から溢れて来た蜜が滴ってきているが、この街ではよくある事。
あたしらは、お互いに気にしたりはしない。
「そう言う訳だから、友人としてはクフーンが自分一人だけのものじゃなくなるのは辛いけどウルちゃんの面倒を見てあげてね」
「おう! あたしにかかれば一日で冒険者ランクをあたしと同じ特S級にまで上げてやるぜ!」
任せて大船ドンブラコってな感じでな。
まぁ、何とかなるだろう。
見たところウルは、前衛よりも後衛に向いてそうだし、レベル上げて魔法ぶっ放しておきゃ何でも倒せるようになるさ。
「ふふふ、それとクフーン。
新生コンビ『クフーン&ウル』の最初の依頼は私が選んでおいたものがあるから」
「え? 私は今日、冒険者になったばかりなのにもう冒険に行くんですか?」
「ウル、こう言う時は『バッチ来い!』で出向くのが冒険者さッ!」
「いえ、やはり人の出会いというのは最初が肝心ですし、こう、肉体関係から始まるコンビかと思っていましたので」
む、確かに言われてみれば百合が揃ってベッドインよりも先にいきなり冒険に出かけるだなんて色気がないかもしれないな。
今の一言だけでもうあたしの女としての部分が、こう、ジュンっと、な? 下着を変えたくなる位にときめいちまったよ。
だがな、
「……我慢だッ!
ウル、まずは狩り場に出向き、性(誤字に非ず)と死の境を一緒に彷徨ってこそ絆は深まり、帰って来てからの夜の営みが盛り上がるんだ!」
そう、我慢だの自重だの、あたしには似つかわしくないと思われがちだが、その先にある快楽の大きさを知ってしまうと、普通に出会い頭にベッドインでは満足できなくなってしまうんだ!
今だって濡れてきてるし、匂いで察するにウルもレシィも期待していたのだろうが、まずは我慢だ!
爆発させるのは夜でいい。
レシィもそれが分かっているから依頼を出して来たんだ。
昼は冒険者としての時間さ。
「それでレシィ。
今回のコンビ初となる依頼は何なんだ?」
「ふふふ、特S級のあなたには楽勝かもしれないけど、神話に出てくる伝説のドラゴン――“ゼニッケル”の討伐よ♪」
「ゼ、“ゼニッケル”ですか。これは大変そうですね」
「安心しろ、ウル。
“ゼニッケル”程度なら『命大事に』戦法でも、尻にパンを挟んで右手で鼻を塞ぎながらの左手のボクシングだけで勝てる程度だからお前ひとりでも楽勝さ♪」
「ええぇぇぇ~~~~~~~~!!(百合っ!)」
驚きつつもしっかりと背中に百合の二文字を背負うウルは将来立派な冒険者になれるだろう。
これが、あたしの生涯のパートナーとの出会いだった。
冒険者やギルドの設定自体はよくある他の小説と大差ないです。
依頼達成でポイントゲット、ランクはE~特Sランクまでってことで。
作中でこんな異世界ファンタジー小説では常識的な説明は面倒かつ面白くないので、
私自身が普段読み飛ばすような説明シーンは基本的に前書きや後書きに載せます。百合シーンの邪魔でしかないですから。
のんびりした話が多いですが、毎日更新ですので今後ともよろしくお願いします♪
それと、バトル描写は本当にカットしますので、チートバトルには一切期待しないでください。