クフーン&ウル ~二人の百合の冒険譚~ 作:ヨイヤサ・リングマスター
星のカービィ風に言うならば、ストーン×ニードル(肉弾)+スパークみたいな感じですね。
もしも異世界転生なりで雷属性の魔法が使えるのなら試してみたい技です。そんなお話。
クフーンside
「行くぞ!」
「ばっちこ~い♪」
掛声と共に、最愛の弟子が両手で頭上に作る円に飛び込むのだ。
「ふんぬらばぁ!」
右足が地面を蹴り、浮いた瞬間左足で空を切る。回転。
両手は胸の前で交差し、無詠唱で雷属性の魔法を全身に纏いながら、さらに高速回転。
その突進は見事ウル自身には掠ること無く、しかしその頭上に用意された円のど真ん中をくぐり抜けることに成功した。
「いやっふぅぅぅ~~~♪
新・必殺技ッ! 超電磁ドリモゲアタックの完成だ!
ウル! 当たらなかっただろうけど、腕に感じた魔力の余波を数値化してみてくれ」
「はいはい……、うん、そうですね。
クフーンさんの新・必殺技の威力は、伝説級を余裕で超えてましたから自然災害級で間違いなさそうです。
私が最初に倒した雷タイプのドラゴン<ゼニッケル>も掠っただけで黒焦げに出来るでしょうね」
「くっはぁぁぁ~……、これでも神や魔王を討伐したあたしの新・必殺技が自然災害級程度だなんてなぁ~。
こりゃ改善の余地ありってことか?」
我ながら物足りなさを感じる。
いや、何をしているんだ? と聞かれたら「カッコいいからだ!」と返すだけさ。新・必殺技を会得したくなったんだよ。
「この世界の生命体で、クフーンさんに殺せないものは存在しないと思いますけどね」
そう言って今度はウルが両手を地面につけてクラウチングスタートの姿勢になる。
あたしの次はウルの番だ。
師匠の技で弟子に使えないものはないのだが、一瞬で初見の技を真似出来るだなんて流石の才能だな。
今の“超電磁ドリモゲアタック”は、あたしでさえ即興で思いつけたから理論とかは分からないんだが。
ちなみに、ウルの見様見真似で会得した技の威力も、あたしと同じ自然災害級だった。
「……ところでクフーンさん。
先ほどから私たちは一体何をしているのでしょうか?」
「決まってんだろ。
暇つぶしだ」
ここは周りに何もない真っ白な空間。おまけに地平線が見えるくらいに広いぞ。
ここが何処かなんてあたしの方こそ知りたいぜ。
「まさか、あんなボロッちい魔道具に、こんな能力があったとはな~。
空間転移か? それとも封印系か?」
「おそらくは異空間への転移系でしょうね。
私たち二人を同時に封印出来る人なんていないでしょうし、流石にこの規模の封印空間は私たちでも作成は難しいでしょうから」
出来ないとは言わないウル。あたしもだが、手間かければ大抵のことは二人とも出来るからな。
そして今回の騒動もウルの予想で間違いないだろう。
では、なぜあたしらが謎の封印めいた異空間に閉じ込められているかについて、少し時間を遡って説明するとしようッ!
あたしとウルは人手が足りないという理由で、海が見える隣街で募集されていたBランクの大規模殲滅戦に参加していたんだ。
「魔王代理」を名乗る奴が魔物を操って千や万の単位で街を攻めてきたからなんだけどな。面白かったぜ♪
大して強くなかったし、結局はあたしとウルだけで壊滅させちまったんだよ。
おかげで人的被害は0。襲われた隣街の塀囲いが少し欠けた位だな。へ~。
首謀者の「魔王代理」は警察に引き渡したし、法律で裁くにしても塀が壊された程度だから器物破損かな?
まぁ、裁判とかは面倒なんで、ギルド職員に後始末は押し付けてバカンスでもするか? ってなノリで隣街の傍の浜辺を歩いてたんだ。
すると浜辺に打ち上げられていた謎の壺の形をした魔道具を発見。こいつぁ~面白そうだ♪
で、拾ってみると二人揃って吸い込まれて現在に至るわけだ。
「とりあえずクフーンさん、ここから出てみますか?
必殺技を作って遊ぶのも飽きてきましたし」
「う~ん、あたしとしちゃあ、これだけだだっ広くてなにもない場所は、修行の場所っぽくて楽しい雰囲気なんだけどなぁ~」
「あまり時間を掛けると市場が閉まって晩御飯のおかずが買えなくなりますよ?
ちなみに今夜の夕食当番はクフーンさんの番です」
う……、市場が閉まるまでこの中で遊び、「食材が買えなかったから」という理由で晩飯を卵かけご飯で済まそうと思ってたんだが、ウルはそれを許さないつもりだ。
生玉子プレイの新境地を切り開くためにも、ここは何としても脱出を遅らせなければ!
「よし、それじゃ気合いでこの空間と元の世界との境界? みたいなのを壊してみよう。
最初はウルからやってみてくれ」
「そういう気合いや根性はクフーンさんの方が向いているのでは?」
「今回のあたしは応援係だ。
師匠として弟子の現在の実力を知っておきたくてね」
「そうですか(なんだか“師匠”というのがニックネームに思えてきました)。
とりあえずやってみます」
ふふふ、引っかかったぞ。
ここであたしが自分の結界魔法を全力で展開すれば、幾らウルでも壊せまい。
「はぁッ!」
「(今だ!)」
ウルの魔法が発動する瞬間、最大のパワーを無駄に発揮して結界の内側に、あたし印の結界を新たに張った。
さしものウルも、師匠パワーによる『晩御飯に手の込んだものを作りたくないでござる力』には敵わなかったみたいだな。
ふははははー! どうだ!これが師匠の力だ!!(晩御飯は卵かけごはんでいいだろ?)
「……クフーンさん。いま結界を張りましたよね?」
「いや? たぶんこの魔道具が自動で防衛システムを作動させたんじゃないか? うん」
「それじゃあ今の結界に使われた魔力の質が、クフーンさんの魔力とそっくりだったのついては?」
「そ、それは偶然じゃないだろうか?
さっきから新・必殺技の開発のために魔力が駄々洩れ状態で何やかやしてたし」
「……そうですか~」
ふぅ~、何とか誤魔化せた……か?
やっぱウルは賢いだけじゃなくて鋭いからなぁ~。
「それじゃあ今度は200%の本気で行きます。
クフーンさんは何もしないでくださいよ?」
「へ? うおッ!?」
そう言うと、愛すべき師匠に拘束の魔法を掛けてくるウル。
なんだよこりゃ!? 魔力で作成された鎖に革紐に麻紐。おまけにロウソクによる多重拘束って……。
それでいて触手がないだと!?
「クフーンさんが晩御飯に手抜きをしたいがために、今回の魔道具騒動を仕組んだ事は昨日の時点で予測していました。
なので罰として今回はちょっぴりサディスティックなお仕置きをさせていただきましょう」
え? ちょっとワクワクする♪
「いや、ちょっ、ちょっと待てウル!
この拘束術式けっこう熱いし、キツ過ぎないか?」
「お仕置きですからね。
今夜は晩ごはんなんて食べずに二人で愛の語らい耐久勝負でもしましょうか。
一度クフーンさんの莫大な魔力と身体能力を封じた状態でやってみたかったんですよ♪」
それは死刑宣告でもあった。(むしろ天国?)
魔力と身体能力を封印状態でだと!?
んなもん、いくらあたしでも耐えきれるわけねぇ!
レベル差があればある程度は可能だろうが、ウルとあたしはレベルも百合力も拮抗しているんだ。
こいつの本気に封じられた状態で勝てるわけがねぇ……。
「それじゃ、早速この魔道具から脱出しましょうか。
私の本気の魔力のオーラを、私の本気の拘束魔法でステータス激減状態のクフーンさんにまともに食らってもらいます♪」
そしてそれは始まりに過ぎないともウルは言う。
あぁ……、あたしの弟子はこんなにも逞しくなっていたのか。
若い頃は何度か死線を超えたこともあるが(冒険者的な意味ではなく百合的な意味で)、今夜は最高に危険な夜になりそうだぜ。
そうして絶頂と悶絶を繰り返しながら闇に落ちたあたしが次に目を覚ましたのは翌朝自宅にてトロイの三角木馬の上でだった。
……というかウルの奴、トロイの三角木馬の材料持ってたんじゃねぇか。
クフーンもレベルが高いですし、ウルも加減は分かっているので絶妙な力加減によって心まで壊れるということはありません。
まぁ、壊れるたびに修復しているともとれますが、その辺は割と平和的に愛を持っての行動なので愛さえあれば大丈夫!
どんな料理も愛さえあれば美味くなるような感じですね♪ 心が折れてからが本当ノレズ・セックス・バトル!