※この作品はR-18です。

クフーン&ウル ~二人の百合の冒険譚~   作:ヨイヤサ・リングマスター

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第30話:デスサイズ・キャッチ・ボール

 ウルside

 

 

 師匠と弟子の愛の語らいというのは、何もベッドの上だけでするものではありません。

 

 それは屋外プレイというだけでなく、普通に遊びの中でも育まれていくものなのです。

 

 

「なぁ、ウル。これ結構面白くなってきたな♪(ひゅん)」

 

「(ぱしっ)そうですね。意外と腕の力使いますから筋トレになりますし(ひゅん)」

 

「(ぱしっ)筋トレぇ~?

 いやウル、あんま筋肉を使う投げ方だと肩壊すぞ? あたしらレベルでも結構な重量だし。

 もっとこう……『ガッ!』って感じで雰囲気で投げてみろよ(びゅごう)」

 

「(ずしゃあ)なるほど、こうですね?(キィーン)」

 

「(ぱしっ)うっは♪ 流石に音速を超えるのはやりすぎだろ♪

 衝撃で地面が抉れてるじゃねぇかw

 見ろよ、これ持ち手が熱で変形してんぞ♪」

 

 キャッチボールです。いわゆる親子の定番かもしれませんが、今日の私とクフーンさんはそういう気分なのです。

 

 そして、それを見ている第三者の視線が。

 

 

「いい加減、あっしの武器を返してくだせぇよ~……」

 

 あぁ、そういえば私とクフーンさんの二人だけの空間にオマケがいましたね。

 

 えぇ~、唐突ですが、私とクフーンさんは冒険者です。

 

 何をいまさら、と思われるかも知れませんが、『唐突ですが』と前置きしたので聞いてください。

 

 冒険者は冒険をするから冒険者なのであって、あちこちで人畜有害な魔物の討伐なんかもするのがお仕事です。

 

 そんな私たちの今回のお仕事がコレな訳です♪

 

 

「ウルよー、『コレな訳です♪』ってだけじゃ伝わらないかもしれないぜ?

 今のあたしらって傍目にはかなりシュールな光景だろうし」

 

「そうですか? 私は子どもの頃にお父さんとキャッチボールをしたことないですし楽しいですよ♪」

 

「あたしは『父親』自体いないからなぁ~」

 

「そういえばクフーンさんのご両親はお母さんが二人でしたっけ。

 私は母子丼というのも悪くないと思っています♪」

 

 まぁ、何をしているかと言えば、私とクフーンさんは“死神の鎌”でキャッチボールしてるんですよね。

 

 今回の冒険先は地獄。亡霊などのアンデッド系モンスターがウジャウジャいる場所です。

 

 そして、その地獄に着いてすぐ、出会い頭に喧嘩を売ってきた死神さんをボコボコにして鎌を奪って遊んでいるってわけですね♪

 

 

「いい加減返してくだせぇよぉ~。

 その鎌は仕事道具なだけでなく、あっしの死神としてのアイデンティティなんすから」

 

「確かにあんたは死神っぽくないから、鎌がなきゃ誰も死神だなんて思わないだろうねぇ~。

 あたしには関係ないけど♪」

 

 手に持つ鎌を弄びながら、いじめっ子の顔をしているクフーンさん。

 

 仮にも神様相手に失礼な言い方かもしれませんが、それもさもありなん。

 

 私たちを襲って返り討ちにあった死神さんは全身をピンク色のローブで包むという、ツッコミを期待したかのような格好なんですから。

 

 

「それよりもクフーンさん。

 今回の依頼ってどんな内容でしたっけ?」

 

「あん? あたしは普段受ける依頼はレシィ任せで選んでもらって、ウルに内容を覚えてもらうようにしてるから覚えてないな」

 

 

「確かに、普段は私が依頼内容を覚えていますね。

 ですが今回の依頼は、依頼についての説明を受けている際に、ギルドで酔った冒険者の女性(ここが重要)がストリップを始めちゃいましたからね。

 私もレシィさんもそっちに目が行って、話半分に聞いて話していたんですよ」

 

 私たちの住む街の冒険者ギルドではよくある事です。

 

 脱ぐ人にもよりますが、クフーンさんが脱ぐときは観客がほぼ全員一緒になって脱いで踊って騒ぐもんですから宴になっちゃうんですよね。

 

 そして私も、特S級冒険者だからか、人気が出てきたからか、私が脱ぐときも大勢のファンの女の子たちに囲まれて朝になる頃には百合力が空になるほどですし。

 

 おっと、そう言えば目の前のピンク色の死神さんの存在を完全に忘れていましたね。

 

 

「なるほど、お二人が依頼を受けてくださった冒険者さんでしたか。

 あっしが冒険者ギルドに依頼を出した地獄の死神長官のサムって言いやす。

 お二人にはあっしの上司の閻魔大王を止めてほしいんすよ」

 

「おい聞いたかウル?

 依頼内容を忘れたところに依頼人が現れるだなんて都合よく運がいいな♪」

 

「依頼内容を忘れているので、この人が本当に依頼人かは分かりませんけどね」

 

 でも今朝の新聞の星座占いではクフーンさんは一位でしたから、ありえなくはないでしょうけど。

 

 

「で、依頼内容が閻魔大王を止めるって言うけど、一体どしたんだ?

 あたしが知る限り、閻魔は気が長い奴だったのに暴れてんのか?」

 

 実はクフーンさんは前にも地獄に遊びに来たことがあるようです。

 

「大人しい人ほどキレると怖いと言いますからね。

 恋の病なら相談に乗りますよ。ただし百合の女性限定で」

 

「いえ、確かに貴方たちの言うとおり、先代の閻魔様は、そりゃあもう気の長いお人でしたがね。

 今は二代目が引き継いでるんでさぁ」

 

 

「「二代目?」」

 

 死神さん曰く、二代目の閻魔様というのは、クフーンさんの言った閻魔様のお孫さんだそうです。

 

 その二代目さんは、閻魔になる前は死神として最前線でバリバリ寿命に関係なく強者の魂を狩り取る猛者だったそうで、事務仕事ばかりの大王職が嫌みたいですね。

 

 そのストレスを部下相手に発散させるのもどうかと思いますが。

 

 

「あ、でも今回の依頼は内密にひっそりと事を荒立てずに解決してほしいんすよ」

 

「おいおい、暴れん坊の閻魔をぶっ飛ばして大人しくすんのに穏便な方法なんてないだろ」

 

「ふむぅ~、私の百合関連に特化した明晰な頭脳で推理するに、その二代目閻魔様は女性。

 しかも、そんな閻魔様に蹴られてぶたれて罵られるのが大好きな輩が死神さんの職場にいて、邪魔されないようにするため、ですね?」

 

 百合洞察力は全てを見通す。ただし百合限定で!

 

 

「正解! 流石は特S級冒険者だけあるっすね♪

 うちの閻魔様はドSの女王様なんでさぁ」

 

「ある意味、地獄らしいなぁ、おい」

 

 現状、ドMな死神さんたちが二代目閻魔様につきっきりで仕事を肩代わりしているので問題はないそうですが、ピンク色死神のサムさんのような一般の方は地方へ出張の名目で逃げ出しているとか。

 

 今は大丈夫のようですが、神様でも疲れるでしょうし、ドMな方たちが倒れたら地獄が崩壊してしまう危険もあります。

 

 

「分かりました。

 冒険者ギルドより派遣された最強の百合冒険者である私とクフーンさんのコンビで、この依頼を見事に解決して見せましょう!」

 

「おう! 大船に乗ったつもりで任せな!

 あたしとウルは最高最強最百合のコンビだからな♪」

 

 地獄の崩壊は現世の崩壊。

 

 亡者が溢れてきてはおちおち野外プレイも出来なくなりますからね。

 

 そうなる前に、地獄の秩序を取り戻さなくては!!

 

 

「あ、依頼の期限ですけど、10年くらいは大丈夫ですんで、ゆっくりどうぞ。

 事務職の連中と言っても、地獄のアンデッド系ドMは体力も精神的強さも半端ないので♪」

 

 ……私自身、SでもMでも行ける方ですけど、真正のMというのは凄いんですね。

 

 

「ところでその全身ピンク色の衣装はあなたの趣味ですか?」

 

「へへっ、あっしの女房の趣味でさぁ」

 

 む、こんな冴えない死神さんが既婚者だなんて。

 

 でもいいんです。私もいつかはクフーンさんと……むふ♪

 

 

 




 地獄は死者が集まるので百合信仰はそこまでではないってことですかね。

 男もそれなりにおります。
 むしろ死後の世界の方が現世よりも男が多いかもしれませんね。
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