※この作品はR-18です。

クフーン&ウル ~二人の百合の冒険譚~   作:ヨイヤサ・リングマスター

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 これにて完結、最終回! 本日二つ目です。

 投稿予約の時間がズレていて少し遅れて二話「同時」更新となりませんでした。申し訳ありません。

 クフーン&ウルの最後のお話をどうぞお楽しみください♪




第43話:ゴールイン

 ウルside

 

 

 私の師匠は突飛な行動が多い。えぇ、それはもう初対面の時から何度も観を以て経験してきたので分かっています。

 

 それにしても、今回はなかなかにやらかしてしまった訳ですが、本人は特に気にした様子はないようですね。

 

 

「それで……、お持ち帰りしてきちゃったわけですか?」

 

「おう、そういうことになるな♪」

 

 現在の時刻は朝の7時。

 

 ヘルーガさんを倒した不審者を追って家を飛び出したクフーンさんですが、普段となんら変わらない様子で帰ってきました。

 

 いえ、一つ変わっていましたね。その背中には小さな侵入者さんを背負っていました。

 

 

「ほれ、お前さんもこの家で暮らすなら挨拶しろ」

 

「……ニコレ、です。

 クフーンに愛されて好きになったから、これからよろしくお願いしま、す」

 

 全身ローブで怪しさ抜群の恰好ですが、匂いからして分かります。クフーンさん、こんな小さな子とエッチしたんですね。

 

 いえ、それよりも、ヘルーガさんを倒した侵入者って、以前クフーンさんに殴られて飛ばされたニコレちゃんだったんですね。

 

 どうやら以前までの怒りと憎しみに歪んだ顔ではなく、今の彼女は母親と会話する娘のように安らいでいます。

 

 こんな顔を見せられたのでは、私としても怒るわけにはいきませんよね。

 

 罪を憎んで百合を憎まず、です!

 

 とはいえ、それは私の考えであって、クフーンさんへの忠誠心が限界突破している方はそうではない様子。

 

 

「私は反対ですねマスター・クフーン。

 私を傷つけたのはさておき、マスターに殺意の波動で襲いかかったというのは感心しませんです。

 やはり追い返して、今度は二度と戻って来れないように宇宙の果てまで投げ捨ててはいかがでしょうか?」

 

 ですが残念。こういう時のクフーンさんはとても素晴らしい笑顔で意思は固いのです。

 

「まぁ、ヘルーガの言いたいことは分かるけどさ、この子見てみろよ。

 可愛いだろ?」

 

「……確かに可愛らしい容姿をしていますね」

 

 ヘルーガさんは、ニコレちゃんを紹介するクフーンさんの笑顔にときめいている様子。

 

「その通ぉ~り!

 これはつまり、あたしがこの子を育てるという式が成り立つわけだ。Q.E.D.」

 

 クフーンさんは、こうなることを初対面から見抜いていたんでしょうね。

 

 流石は“千の百合を見抜く眼”を持つ師匠にして私の恋人です。考えるまでもないです。

 

 

「ヘルーガさん。こう言う時のクフーンさんは人の言うこと聞きませんし、私たち自身も楽しむことを考えましょう。

 彼女、ニコレちゃんも今はすっかりクフーンさんにメロメロみたいですし、言ってみれば私たちの仲間です♪」

 

「……分かりましたです」

 

「ヘルーガ、さん。ウル、さん。

 これから、その……、よろしくお願いしま、す」

 

 ふふ♪ 何だか小動物ちっくで本当に可愛らしいですね♪

 

 クフーンさんの魅力は敵すらも惹きつけると言ったところでしょうか。

 

 猫を被っている可能性もありますが、私の百合力から推察しても、クフーンさんへのこの子の愛情は本物だと思います。

 

 まぁ、今は早朝ですし、そんなことよりも、

 

 

「さぁ、そんなことより朝飯にしようぜ!

 ウルのことだから、問題はあたしに丸投げして、飯を作ってくれてたんだろ?」

 

「ええ、当然作っていますよ。

 でもクフーンさん。食事の前に一つお聞きしたいことがあるんですけど」

 

「何だ?」

 

 え~と、本人が気にしていないのなら私の気のせいかもしれないのですが、気のせいでなかったら問題なことなんですよ。

 

 私の恋人でもあるクフーンさんは百合で、男とそういう関係になることはない。そして百合同士でも子どもが出来るこの世界は不思議な魔法で満ちている。

 

 そのことを前提に、確認しなければならないことがあります。

 

 

「クフーンさん。……何だかお腹大きくないですか?」

 

 それはもう見事にぼってりと。

 

「そういえばマスター。

 先ほど私を治癒してくれた時もそうでしたが、さらにお腹が大きくなっているように見えるですね」

 

 なんだか大きく膨らんだお腹のクフーンさん。

 

 百合は食わねど高楊枝。据え膳食わぬは百合の恥。

 色々と格言をミックスして使うクフーンさんですから、空腹に耐えかねて外で食べて来たんですかね?

 

 それでいてしっかりと私の作った朝食を欲してくれるのには愛情を感じますが……、いや、でも、まさか、ね……。

 

 

「ん……、まぁ、何と言うかな。……できちゃった♪」

 

 頬を朱に染めもじもじと乙女の恥じらいを見せてくるクフーンさん。

 

 はい? 出来ちゃったって何がですか?

 

 

「いやな、ウルやヘルーガとは毎日特に濃厚に愛し合ってたじゃん?

 だから身に覚えありまくりなんだが、ここ数カ月、月のものが来てないんだわ」

 

「“月の者”って言うと、かぐや姫を迎えに来る的な?」

 

「ウル様、ここでそのボケはどうかと思いますですよ。

 お腹が大きくなって、月のものが来なくて、私たちと愛し合ったことが身に覚えとくれば、答えは一つ!」

 

「え? もしかして……」

 

「おう、たぶんウルの子どもが出来たみたいだ♪

 ようするに妊娠しちまったってことだな」

 

 なんとびっくり玉手箱。せーのっ!

 

「えええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーー!!!!??」

 

 

 いや、でも……、え?

 

 確かに身に覚えはありますし、何度も何度も擦り付けあってきましたけど、そういう類の魔法や薬は意図して使ってなかったんですけど?

 

 あ、もしかして先日、魔法屋でリザさんから習った絶対孕ませる淫紋魔法とか……?

 

 それともこの間の妊娠薬を栄養ドリンクと間違えて飲んだ時?

 

 それとも単純に、私との行為で百合力を子宮に放出した状態で生活を続けてもらったからとか?

 

 あ、よく考えたら心当たりアリアリですね。

 

 

「お互いを愛する気持ちが一つになった的な何かじゃね?

 生命の神秘でこう、ぶわぁぁぁ~って感じな何かが体内に命を宿す的な。

 それにほら、あたしってばウルのこと愛してるし♪」

 

「いやまぁ、そう言ってもらえるのは嬉しいんですけど……でもそれじゃ本当に?」

 

「間違いないな。自分の体のことは自分がよく分かるさ。

 ニコレちゃんとのバトルで本気の百合力を発揮しちまってね。

 たぶん、そのおかげで成長が早まったと思うんだわ」

 

 あと数日かそこらで生まれるのでは? と語るクフーンさん。

 

 私がママになる日が来るだなんて、突然過ぎて何と驚いていいやら……。

 

 

「ちょっとぉ、僕を放置し過ぎじゃないの!?

 新家族にして新恋人の僕ニコレを放置するだなんて、クフーンったらなってないわね」

 

 ああ、そう言えば忘れていましたね。今朝の騒動の発端を。

 

 ってか、口調変わってないですか? ニコレちゃん。

 

 

「え? ニコレちゃん、さっきまでのしおらしさは?」

 

「あれは演技よ。

 最初だけ真面目ぶってれば色々と懐柔しやすいかと思ってね。

 あ、でもクフーンに惚れたってのは本音だから、あんた達二人を追い出して僕はクフーンのすべてを一人占めするから♪」

 

 天使のような笑みでどす黒い腹の内を見せてくる新家族ちゃん。

 

 その魂はまさに百合そのもの! 良くも悪くも百合で魂を染め上げちゃっています。小悪魔ですか!

 

 

「んーまっ! ヘルーガさん聞きましたか!?

 ニコレちゃんってば、私たちを追い出すとか言ってますよ!!」

 

「聞きましたですよウル様。

 こうなれば私たちの合体技で宇宙の果てまで飛ばして二度と帰ってこないようにするですよ!」

 

 まさかこんなにも早く被っていた猫を殴り捨てるだなんて、被る気のないネコちゃんですこと!

 

 

「おいおい、めでたい席で三人とも物騒なこと考えてんじゃねぇよ」

 

 クフーンさんは、あらゆるものを愛してしまいますからね。

 

 ですが、私たちも半端な気持ちでクフーンさんに惚れた訳ではありません。

 

 互いに譲れぬものを掛けた戦いの火ぶたが、いま斬って落とされたのです!

 

 百合足る者、最終的には拳で語り合うこともあるのです♪ フィストファックいやっふ~♪

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 さて、ここらで後日談を語りましょうか。

 

 新たに百合に覚醒した少女ニコレちゃんですが、互いに嬌声混じりのバトルの末、正式にクフーンさん本人から恋人認定をされたのもあって一緒の家で暮らすことになりました。

 

 それでも最初は街やギルドでも色々と言われていましたが、幼く可愛らしく振る舞うニコレちゃんに、街の百合の女性たちは心を鷲掴みにされ懐柔されてしまったようです。

 

 本性を出さなければ可愛らしい少女ですからね。

 

 そしてクフーンさんですが、暫くして無事に第一子を出産しました。女の子です。

 

 病院で調べたところ、どうやら本当に私との赤ちゃんのようですね。

 

 育児は初めての経験ですが、頑張って行こうと思います。

 

 ヘルーガさんは、クフーンさんの「従者という立場で」愛してもらうことを望んでいたので、立ち位置としては変わっていません。

 

 強いて言えば、彼女自身がクフーンさんの子どもを身ごもったと言うことくらいでしょうか?

 

 こちらは妖怪ですし、妊娠期間は長いんですかね? それとも短くなるのかな?

 

 銃と魔法使いのハーフと言うと、魔砲少女にでもなるのでしょうか? 楽しみです♪

 

 それで私とクフーンさんですが……、

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 晴れた青空の下。

 大勢の人たちに見守られながら、私とクフーンさんは言葉を交わします。

 

 

「ウル、お前を生涯愛し、死がふたりを分かつまで離さないとここで誓おう」

 

「クフーンさん、私たちは生まれた日は違えど、同じ年、同じ月、同じ日に死に、その日までも、それからも愛することを誓います」

 

 ええ、私とクフーンさんですが、ついに結婚することとなりまして、言ってみればゴールインですね♪

 

 誓いの口付けを交わし、いやもう何度も毎晩してるんですがね。てへへ♪

 

 そして愛の言葉を交わして……からは飲んで歌って食べて騒いでの乱痴気騒ぎ。

 

 冒険者ですからね。私たち二人を祝福してくれる人たちも騒がしい方が好きですし、これこそ私たちに相応しい結婚式と言えるのではないでしょうか。

 

 集まった女性たち(と、ごく一部の男性)は楽しそうにはしゃいでいます。

 

 何度も愛し合っていますが、今夜は初夜なので一か月はベッドから出られないでしょうね♪

 

 

「あたしら二人の百合は!」

 

「まだまだ続きます♪」

 

 

 クフーン&ウルの百合譚 ~完~

 




 お読みいただき、ありがとうございます。

 この作品で少しでも読者の皆さんに楽しんでいただければ作者冥利に尽きます♪

 これにて私の14作目・改二『クフーン&ウル ~二人の百合の冒険譚~』は完結となります。

 登場人物や世界観の設定なんかは、前書きや後書きで大体語ってますが、何かありましたら感想なり活動報告なりへのコメントをどうぞ。

 では! ここまでお付き合いいただきありがとうございましたッ! 昔の作品のリメイクではありますが、久しぶりの連載も当初の予想以上に楽しめて良かったです♪

 ネット小説を書く楽しさが、一人でも多くの読者の方々に伝われば嬉しく思います♪
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