1話 義姉
15歳で嫁いで来たオフィーリアは清楚で可憐な花嫁だった。彼女は近隣の領主の娘である。薄化粧し着飾ったその姿に、幼いアーチボルトは虜になった。残念ながらオフィーリアは10歳のアーチボルトではなく、16歳の兄のティモシーに嫁いだ。
「アーチー、お前に姉さんが出来たぞ」
新妻を弟に紹介するティモシーは誇らしげだった。
「アーチー、これからはよろしくお願いしますね。」
アーチーはオフィーリアに差し出された手をそっと握った。とても白くて華奢な指先だった。丸いアーチーの指と比べて、とても洗練された形をしていた。
ティモシーとアーチボルト兄弟の父は、幾つかの村を治める小領主だった。戦争となれば村人を指揮して戦士らしい所を見せる。だが、普段は田畑を耕す生活をしていた。村人とさして変わらぬ暮らしぶりである。
アーチボルトは兄に何か生じた際のスペアでしかなく、3人目を作る余裕も無い。どこにでもいるような、そんな貧乏領主の家だった。それでも若い花嫁が嫁いだ事もあって、家の雰囲気が明るいのは救いだった。
アーチボルトはどちらかもいえば悪餓鬼である。幼い頃から、ただ漠然と自分は戦に出て身を立てるのだと考えていた。頭が悪くないが勉強に身が入る性質でもない。腕白で村の子供を集めて戦争ごっこに余念がない方である。
そんなアーチボルトが兄と共に初陣を迎える事になったのは13歳になった年だった。兄のティモシーは19歳、兄嫁のオフィーリアは18歳となっていた。
「父上兄上、俺が活躍して見せます!」
「まぁ、そういきり立つな。ヤツとは今後も関係が続く。思い知らせてやるが、程々で良い。」
近隣領主とのいざこざである。近年、不作が続いていた。そうすると軋轢が深まる。食えないでいると、人は不機嫌になる。このいざこざは、どちらの側が仕掛けたのかも定かではない。原因不明の小競り合いは乱世にはそう珍しい話ではない。
アーチボルトに初陣を命じた父や兄は、どこか浮かれた様子でいた。オフィーリアが2人目の子を身籠ったからだ。兄夫婦の仲は良かった。甥が大きくなるにつれ、アーチボルトにはいささか居心地が悪くなり始めていた。この家に役に立つ存在であると、そう証明する為にも出陣を懇願した。
「敵だ!?」
先頭に立った兵が逃げ戻る。率いる兵はどちらも武装した村民である。地方の集落では、専業の武人など領主家の一族くらいしか存在しない。
隣と結ばれている街道。その狭い道を押し出していけばどこかで敵にぶつかる。それだけの話だった。双方の集団が睨み合う。お互い引けない。ほぼ同数の相手なのだ。引く理由はない。
「かかれ」
「踏み潰せ」
どちらからともなく戦が始まった。アーチボルトは徒歩である。今回は兄の馬廻と称した馬丁として参戦した。この軍勢で馬に乗るのは父と兄だけである。アーチボルトは普段使っている短剣に、槍を持たされただけだった。片手で槍を持ち、片手で兄の馬のくつわを取るだけの役である。
「アーチボルト、もういい。下がっていろ。そこで俺の勇姿を見ておけよ。」
血に興奮した兄が猛った。馬を走らせ敵を追い散らそうというのだろう。アーチボルトは父の顔を見た。『好きにやらせろ』父の顔がそう言っていた。
「兄上、くつわを離してよろしいのですか?」
「ああ、構わない。そうしてくれ。」
アーチボルトは馬のくつわを離した。兄は勇んで敵兵に挑みかかっていった。あちらも槍を持たされただけの村人である。槍衾をつくるなど思いもよらない。騎兵の出現に慌てふためき、逃げ惑った。アーチボルトや他の兵も慌てて後を追いかけた。だが、それが兄との今生の別れとなった。
アーチボルトが気がつくとティモシーの馬だけが走っていた。ティモシーは地面に転がっていた。その首筋からは弩の矢が生えていた。
弩は猟師の使う武器である。隣の領地は平地が少なく山が多い。それはつまり猟師の数がこちらより多いという事である。
「兄上っ!」
ティモシーの元に駆け寄ったアーチボルトはガムシャラに槍を振り回して敵を遠ざけた。そうやって味方の到着を待つ。
一目でティモシーがもう死んでいると分かった。憤怒が体内を駆け巡る。父も遅れてティモシーの元にに駆けつけた。
戦になったとはいえ、隣人同士のいざこざである。互いにほどほどのところで決着するのが暗黙の了解の筈だった。しかし、それは破られた。こちらは跡取りを殺されたのだ。この報復は、敵の血で償われなければならない。
「殺れ!」
味方の兵に殺意が充満する。まずいと見て、更に逃げにかかる敵兵を味方が追う。
「お前は行かずとも良い。」
父がアーチボルトを制止した。しかしアーチボルトは猛っていた。
「兄上の仇を討ちます!」
味方と共に敵の領主を討ち取ったのはアーチボルトだった。敵の領主の首を落とし、高く掲げる。敵の領主の馬も捕らえた。大手柄である。彼らはそのまま隣の領地まで攻め入った。村人を集めた父は言った『この村は、以後我が領内に統合される』と。
その村の老人がポツリと言った。『何も、領主様の命まで取らずとも良いでしょうに』と。確かに命のやり取りまでは、お互いにするつもりではなかったのだ。
「こちらは跡取りを奪われたのだぞ。」
父の言葉にその老人は沈黙した。殺したら殺される、それが因果である。味方の兵が寄ってたかって1人の男を袋叩きにしていた。それは兄ティモシーを殺した弩の射手だった。
「コイツは吊るし首にしますか?」
男を囲む味方の兵が殺気だっていた。もう男の首には縄がかけられている。父がかすかにでも頷けば、その男は即座に木に吊るされていただろう。
「父上、次の戦にその男を使いましょう。騎兵を相手に活躍するようなら、生かしておいてやれば良いのではないですか。」
しきりに生を懇願する男の顔を眺めていたアーチボルトは、思わずそう口にしていた。兄を殺す程の腕前なのだ。騎兵を1人でも2人でも多く倒させなければ、兄を殺された元が取れないとそう考えたのだ。
父がアーチボルトの顔を見た。初めてアーチボルトがそこにいたと気がついたように。
「では、そうしよう。暫しの間、その命を助ける。次の戦で活躍してみせよ。」
射手は兵達に罵られながらも解放された。今日から統合されたとはいえ、まだまだ狭い領地である。顔も名前も知られていれば、付け狙われる。活躍して汚名を返上する他に、その猟師の未来はない。
「ありがとうございます」
アーチボルトに土下座して感謝する男を尻目に、皆が引き上げにかかった。戦勝を祝うと共に、彼らはティモシーの弔いをしなくてはならない。
ティモシーの葬儀は次の日に行われた。主な村民は弔問を終え、日の明るいうちから振る舞い酒を飲んだ。領地を得た祝いの酒でもある。少なくとも戦いは短期に味方の勝利に終わった。死者を除き、どちらの領民にも上首尾の結果だった。
無駄な戦が長引くほど疲弊する者はない。幸か不幸か、死者は互いの領主家の者のみである。民の空気は明るい。アーチボルトは村民の対応に追われる父を捕まえてこう宣言した。
「父上、姉上は俺が貰います。」
父はじっと腕組みしていた。何も言わずにその場を立ち去ったが、アーチボルトの宣言を否定も反対もしなかった。
その夜、オフィーリアは舅から『酒をアーチボルトの所に持っていくよう』にと頼まれた。『あの子を祝ってやってくれ』と。そして告げられた。『今夜は戻らずとも良い、孫の面倒は妻が見る』と。
そこまで告げられれば、その意味する所は明白だった。後継についての家長の裁定が降ったのだ。ティモシーとオフィーリアの息子はまだ2歳にしかならない。そしてオフィーリアの腹はまだほとんど膨らみを見せていないが、新たな赤子を宿している。
政情が不安定だった。平和な時代なら、2歳の息子でも次期当主として認められ祖父に養育される展開があり得たかもしれない。しかし世は乱れ始めていた。当主には民を率いて戦える男が必要なのだ。アーチボルトは隣の領主を討ち取って力量を証明した。とすれば、今の後継者はアーチボルトしかあり得ない。
オフィーリアの立場は微妙である。夫が死に、弟と寝るのを拒めば家を追い出されても仕方がない。実家とて貧乏領主である。この時勢に2人の子持ちを養う余裕はないし、乳飲子を抱えていては後添えの話が来るはずもない。
独立する道もある。しかし手持ちの金は乏しい。すぐに生活に行き詰まるだろう。そうなれば、息子を取られる可能性が高い。今は2歳のサイモンが成人するまで、アーチボルトが生き延びる保証もまたないのだ。
家長は常に先を考え、後継者候補を複数用意せねばならない。ティモシーのスペアがアーチボルトだったように、今度はアーチボルトのスペアが甥のサイモンとなる。
『立場はそう変わらぬ。ただ相手が変わるだけならマシではないか。』
言葉にされた訳ではない。しかし、オフィーリアが舅に言われている内容とはそういう事であった。
アーチボルトは、父親からは裏手の小屋で待つように言われていた。期待半分、疑い半分である。兄上が死んだからと言って、そうすぐ兄嫁が彼のものになるのだろうか?しかしオフィーリアは来た。
「嬉しいよ、オフィーリア義姉さん」
そう言ってアーチボルトに抱きつかれると、オフィーリアは少し困ったような恥ずかしそうな顔をした。彼女は次期領主を慰める女としてここに来たのに、この弟は姉と弟の関係をわざわざ彼女に思い出させるのだ。
「ひとつだけ約束してください。私の子供達は大切に扱うと」
「勿論だよ、義姉さん」
アーチボルトの一物はいきりたっていた。憧れの兄嫁をこれから抱くのである。しかも、これは家長公認の仲なのだ。
興奮に満ちた目で彼女を見つめる少年の体を、オフィーリアは見下ろした。背はオフィーリアより小さいのに、アーチボルトは立派に武勲を上げたらしい。
(骨格もまだティモシーより小さい。この体でどうやって馬に乗った敵と戦ったの?)
同じ兄弟なのに、アーチーと夫とは何が違うのだろう。そう考えながら、アーチーの服を脱がせる。オフィーリアの細く美しい手に触れられて、アーチーの身体を甘美な疼きが。走る。されるがままになりながら、アーチーの目はオフィーリアの体に釘付けになっていた。
小屋に備え付けの水瓶から柄杓でタライに水を入れ、オフィーリアは濡らした布でアーチーの体を清める。それはオフィーリアが心の準備をする時間でもある。ゴシゴシと磨き上げて、アーチーの興奮も流石に水がさされかかって寒くなってきた頃に、オフィーリアの決心が固まった。
アーチーの体を拭き上げると、彼に背を向けてドレスを脱いだ。暖炉の火に、オフィーリアの裸身が照らし出される。
「綺麗だよ、義姉さん。」
アーチボルトは背後からオフィーリアを抱きすくめた。雄々しく聳り立つ一物が、オフィーリアの腰に押し当てられる。優しく手でアーチーボルトの一物を手で撫でると、オフィーリアは淫らな姿勢でアーチボルトを寝床に誘った。
アーチーの下にオフィーリアの全てが曝け出された。アーチボルトがオフィーリアに挑みかかる。オフィーリアはその性急な動きを優しく制しようとした。しかしアーチボルトは止まらなかった。
アーチボルトの一物がオフィーリアの秘所に押し当てられる。その時、初めてオフィーリアは自分の蜜壺が濡れそぼっているのを自覚した。前戯も何もしていない。でもアーチの欲望に呼応するようにオフィーリアの身体がアーチーを受け入れる態勢は整っていた。
気がつくともう、昨日まで弟だと思っていた少年に足を押し広げられ、あららもない姿で奥まで貫かれていた。
「大きすぎるわ」
これだけ濡れていて痛みはあるはずがない。ただ、オフィーリアは自身が押し広げられる感覚に圧倒された。
「義姉さんの事を考えると、いつだってここが固くなるんだ」
そうい言いながらアーチボルトが腰を動かす。身体を重ねる2人の息が乱れる。オフィーリアがひしとアーチボルトを抱き抱えた。オフィーリアに抱かれたまま、アーチボルトはあっという間に昇天した。しかしその間に、オフィーリアも2度は絶頂に導かれた。
オフィーリアの胸にアーチボルトが倒れ込む。まだひくつくオフィーリアの秘所は、アーチーの一物を咥え込んで離そうとしなかった。
「いっぱい頑張ってくれたわね」
この少年は兄を守ろうとし、仇も取ってくれた。今はオフィーリアに悦びを与えるために懸命に励んでみせた。疲れただろう。今日はこのまま彼と共に眠ってしまえばいい。オフィーリアがそう考えていると。アーチボルトが顔を上げた。
「義姉さん、もう一回しよう。」
ムクムクとオフィーリアの膣内のアーチの一物が固くなる。
「え、たった今済ませたばかりなのに」
オフィーリアは自分の身体が相手を刺激し続けていると知らなかった。彼女はただ深く感じていただけ。しかしオフィーリアを女神のように崇めるアーチーには、それは十分過ぎる刺激となって伝わる。
アーチーがオフィーリアの足を持ち上げ、自分の身体に密着させる。さらにアラレもない姿勢をオフィーリアは取らされた。
抜かずの2発目。オフィーリアはアーチーの激しい動きについてくのが必死だ。これまではなんとか押し殺していた声が漏れる。
アーチーにオフィーリアの身体の一番柔らかな部分が開かれる。その激しい腰使いにオフィーリアは耐えられない。何度も絶頂を迎えた。
小屋から漏れ出る嬌声は本館まで届いた。館の住人だけでなく、弔問の客にも丸聞こえである。しかし気にするものはいない。戦死した兄の妻を弟が娶るのは、この地方ではむしろ美徳と見做されているのだから。上手く馴染んだようで良かった、周囲の受け止めはそんなものであった。
オフィーリアは放心状態だった。年下に色の道を手解きしてあげよう、それくらいの心算でいた彼女である。だが、すっかりアーチーに良いように扱われていた。
「義姉さん、もう一度。今度は後ろからだよ。」
言われるままに態勢を変え、アーチーを受け入れる。アーチーにとってオフィーリアは探究の止まらぬ対象だった。そのたおやかな腕も、潤んだ瞳も、白い太腿も何もかも興奮させられるのだ。
「子供を産んだから、少し体型が崩れてしまっているわ。」
オフィーリアはそう言って裸身を晒すのをアーチーの視線に躊躇う。しかしアーチーの目から見て、赤子に吸われた乳首が肥大している以外は目立たない。まだ少女の名残を留めている。オフィーリアは初めてこの館を訪れた時のあの清らかささえ保っているように見える。
「まだだよ義姉さん、まだ寝かせない。」
数えられない程の絶頂を迎えた後でも、アーチーの一物は衰えなかった。オフィーリアの秘所もまた、緩む事なく彼を迎え入れる。
(ティモシーごめんなさい。でも、私は子供達を育てなくてはならないから。)
心の中でティモシーに詫びると、オフィーリアはアーチーとの快楽の夜に溺れた。