神室真澄推しの俺がなぜ坂柳有栖の双子の兄に 作:筋骨隆々竹輪マン
「お、やってるやってる」
6月末、蝉も鳴き始めて蒸し暑さがかなり強くなってくる今日この頃。そんな中俺はとある生徒同士の言い争いが目に入り、端末のカメラアプリを起動した。
目の前で言い争っているのはDクラスの須藤と、Cクラスの石崎と…モブ二人だ。確かバスケ部だったっけか。まぁそんなことはどうでもよく、俺は近くの壁に息を潜めて淡々と録画していく。
俺がなぜこんなところでこんなことをしているのかと言うと、それは単純。―――ちょっとPPt欲しいなーって。
この動画を使って事件を解決しても構わない。だがそうすると、Dクラスと一之瀬の関係性が深まらずに原作から大きく離れる可能性がある。
俺は4月に2000万ポイント以上溜め、そして5月1日に2000万ポイント使ってユキをAクラスに移動させた。そのため今の俺の所持PPtは1,507,690PPtとなっている。
一見するとたかが高校生に150万円自由に使えるのであれば余裕だろう。だがここは東京都高度育成高等学校、退学阻止に2000万PPtも必要なのだ、少なくとも4000万PPtは常備していなければならない。
「……後で後悔すんのはおまえだぜ、須藤」
「負け犬の遠吠えほどみっともないものはないな。何度やっても俺には勝てねーよ」
どうやら終わったみたいだ。須藤は無傷で、Cクラスの三人はボロボロになっている。そして俺は録画停止を押し、ズボンのポケットにスマホを入れて退散する。サラダバー。
▽▽▽
「そういえば累栖に真澄さん。今月分のPPtは振り込まれていましたか?」
俺と有栖と真澄、いつも通り3人で登校していると不意に有栖がそんなことを聞いてきた。
「ん? あれ、入ってない。もしかしてあんた達も?」
「ああ、俺もだ。だがCPtが0になったわけではないからそこは安心しろ」
俺がそう言うと、真澄は首を傾げる。
「じゃあなんでポイントが入ってないのよ」
「例えば誰かが他クラスの誰かに訴えを起こし、その事件の事実によってCPtが減るかもしれない。そのために一旦1年のPPtの支給を止めた…と考えてみるのはどうだ?」
例えじゃなくて答えなんだけどな。
「確かにそう考えると辻褄は合いますね。もしかして累栖、何か知っているんですか?」
まぁ、言っても別に大丈夫だろう。話を聞いているのは有栖と真澄だけだしな。
「良く分かったな、そうだ。これを見てくれ」
そして俺は先日取った動画を2人に見せる。
「なるほど、そういうことですか」
「CPtに影響するかもしれないのになんでコイツは手出しちゃうのよ。バカなんじゃないの?」
初期の須藤は暴れん坊だったからな…。馬鹿というのが一番合っているとは思う。
「それで累栖、それを使ってどうするのですか?」
「軍資金の調達を、な」
「なるほど」
「なんで有栖はそれで理解できんのよ…」
そんないつもの3人の会話をしながら、学校に到着した。
そして授業を受け、昼休みになると俺は教室を出て廊下を移動する。そして俺が入った教室の表札は1-Cと書かれていた。
「失礼する、Aクラスの坂柳累栖だ。Cクラスのリーダーはいるだろうか」
俺がそう言いながらCクラスの教室に入るとクラス内はざわざわと騒がしくなり、凡そ歓迎されていないであろう視線を感じた。
「クックック、Aクラス様がなんの用だ?」
わぁ、生龍園だ。実物はより凶悪な顔をしているね。
「PPtの支給が止まっている件について話がしたくてな。学食でも奢るぞ?」
「生憎、敵と食うメシはまずくなりそうなんで遠慮しとくぜ。それでわざわざ教室に乗り込んできてまでしたい話ってなんだ?」
龍園は俺の誘いを断り、Cクラスの教室で話すことを選んだ。恐らく実力行使になったとしても物量で勝てると思っての判断だろう。まぁ俺からしたら無意味も同然なのだが。
「はは、手厳しいな。まぁ俺が言いたいことはこの動画を見てくれたらわかるだろう」
そして俺は例の動画を再生する。すると教室にいた石崎+2人は顔が青ざめていく。
「クク、こりゃまずいところを見られちまったなぁ石崎」
龍園がそう言いながら石崎の方を見ると、石崎は身体を大きく揺らして怯えている。パワハラされて可哀そうに…。
「まぁ龍園、そいつは仕事を全うしただけだろ? それよりも、今後の話をしないとな」
「…なにが目当てだ?」
「そうだな…今年1年間、Cクラスに入るPPtの1/3を俺に譲ってもらおうか。そうすればこの動画は消してもらっても構わない」
俺がそう言うとCクラスの教室から納得のいかないような声が俺の耳に届く。
「…わかった。契約書はお前の方で用意しろ」
「そうか。なら俺は一旦帰らせてもらう。放課後にお互いの担任を交えて契約を結ぶということでいいな?」
「ああ。こっちもダメな部下に教育してやんねぇといけねぇみたいだからさっさと出て行ってくれ」
おお、可哀そうな石崎よ…。
▽▽▽
「ねぇ、あんたが坂柳? ちょっとついてきて欲しいんだけど」
Cクラスと契約を結んだ後日、伊吹が俺を訪ねてAクラスの教室にやってきた。何気にちゃんと会うのは初めてだな。
「ああ、別に構わな―――」
「ちょっと待ってください。私の累栖に何の用でしょう?」
俺が席から立つと、有栖が俺を制止し前に出てそう言った。…えっ今私のって言った?
「ありがとう有栖。だが何も心配することはない」
「"心配することはない"…ですか? 貴方のことですからどうせこの女子生徒も誑かすのでしょう? それを心配してどこがいけないのですか?」
やばい、表面上はにっこにこの笑顔だけど言葉の重みでわかる。これガチで怒ってるやつや…。
「ちょっと、ついてくるのか来ないのかハッキリしてよ」
「あ、ああ行かせてもらう」
俺は食い気味に答える。決して逃げるわけではない。決してだ。
「ちょ、ちょっと累栖! あの状態の有栖を私に押し付ける気!?」
すまない、真澄。後で何か奢るから許して。ホントに。
「はぁ、Aクラスってこんな賑やかなんだな」
「普段はかなり静かな方だと思うがな…」
原因は俺だということを理解し反省しています。ごめんね有栖。
そのまま伊吹に連れられ、俺と伊吹は校舎裏に来た。校舎裏は監視カメラがない場所があるのだが、リンチでもする気か?
「それで、何の用なんだ?」
「あんたがCクラスと結んだ契約、あるだろ? それのせいでかなり困っちゃうから、力ずくで免除してもらおうって訳ッ!」
言い切る前に伊吹は俺に後ろ回し蹴りを飛ばしてくる。頭を狙っているのが軌道から推測できるので首を動かし避ける。お、黒か。えっちな娘だ。
「うん、悪くない。荒っぽいのは好まないけど、力比べは嫌いじゃないんだ。手加減は期待するなよ?」
「あんたこそッ! 負けても言い訳ッ! すんなよッ!」
伊吹は連続して俺に蹴りを放つ。威力を確かめておくために最後の一撃は敢えて腕でガードする。――普通の人が受けると骨の一本はいくね、これ。
っていうか、伊吹ってこんなキャラだっただろうか…。なにか引っかかるな…。
「……龍園…?」
「っ!? あんた、なんでそれを…!」
やっぱりか、何かおかしいと思った。伊吹はそこまで頭の回らない人ではない。なにかチグハグだったのは龍園が差し向けてきたからか。恐らくは俺の戦闘力を測る目的だろう。よし、それなら――
「伊吹、もっと強くなりたくないか?」
「は…?」
伊吹は俺の言ったことの意味が理解できず、いや意味は理解したが納得していない様子だ。
「俺が稽古をつけてやる、今のままじゃお前は色んな奴に何度も負けるだろう」
「話は分かったけど、あんたがどんな実力なのかわかんないままじゃ意味がないだろ」
「そうか、なら覚悟しろよ」
俺は伊吹との距離を一気に詰め、鳩尾に軽く一発ジャブを入れて距離を取る。
「ッ!! …ハァ……ハァ…あんた今の、本気じゃないだろ」
「おお、良く分かったな。本気で打てば胃の中の物がここらに散乱しちまう。証拠は残さないようにやらないとな」
そう言うと伊吹は苦しい顔のままこう言った。
「まだ、終わってない。まだやれる」
「いいね。意思が強い相手が一番やりにくいんだ」
だけど、さすがにこれ以上は身体に酷だからね。俺はまた距離を詰め、伊吹の細い喉元に五指を添える。
「チェックメイト」
「あんた…強すぎ……こんなの一体どこで習ったの?」
どこで…か。思い出す、訓練の日々とそれに至るまでの経緯を―――
『父さん。ホワイトルームの生徒を倒すための育成プロジェクトを始めるんでしたね』
『ああ、そうだよ累栖。万が一、有栖が失敗してしまった際の予防線を張っておかないといけないからね』
『なら、俺を実験台…被験者にしてください。兄として、長男として俺は俺の責務を全うしなければいけません』
『君も相変わらず子供らしくないね…。そしてそれはとても辛く、困難な道になる。そうだとしても、やるのかい?』
俺が齢7歳から始まったホワイトルームの生徒を打ち倒すための人材を育成するプロジェクト。その名を―――シルバープロジェクト。
ホワイトルームと違い、非人道的なものはないし家にも帰れる。ただひたすらに訓練と勉強、精神統一をして研ぎ澄ます。ただただ己を磨く。
戦闘訓練ではプロの暗殺者や現役の特殊部隊所属の軍人なんかが相手だった。負けると半殺しにされ、それが勝つまで毎日続く。だが思っていたよりも苦ではない。
勉学では最新鋭の技術で膨大な知識量を頭に入れる。だがこれもただただ毎日勉強しているだけだった。
やはり俺はかなりのチートスペックボディ…所謂天才で、自分が辛いのは我慢できる。我慢ならないのは有栖と真澄、その2人が害されることなのだろう。―――その2人が居ればなんでもいい、それ以外がどうなろうと。プロジェクト遂行中はそんなことを考えていた。
―――い、なにぼーっとしてんだよ」
「いや、すまない。過去の事を思い出していた」
伊吹はこいつ頭大丈夫か、みたいな顔をしてこっちを見ている。そんな顔しないで。
「それで、どうだ? お前には才能がある。学年で5本の指に入る強さにはなるぞ」
伊吹は俺が差し出した手を取り、少し恥ずかしそうにこう言った。
「私が…強くなるまでの関係だからな」
「ああ、それで十分だ」
Aクラスには、戦闘面で使える女子生徒がほぼいない。そのためどうしても男子の正義や隼に頼ることになる。伊吹を引き抜くことも視野に入れておこう。
「今日は一先ず休め。それと龍園に俺たちの関係を問われた際は堂々としていてくれても構わん。龍園が実力行使でやめさせようとしてきた際は俺に連絡しろ。すぐ助ける」
「わ、わかった。あんたに助けられるのは癪だけど、強くなるまでだから我慢してやる」
ツンデレだ。かわいい。
「その生温かい目やめろ!」
「あと戦闘時にスカート履くなら所謂見せパンって言われるやつを履いたほうがいいぞ。丸見えになってた」
「はっ!?/// へ、変態!///」
ぐ、かわいいじゃないか。
「頭撫でんな!///」
な、無意識に頭を撫でていただとッ!? なんというツンデレ力…恐るべし伊吹。
もちろん、この後有栖に怒号を浴びせられたのは言うまでもないだろう。
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坂柳累栖と登場人物のお互いの印象
坂柳累栖→坂柳有栖
愛してる家族。自分の命よりも大事。
坂柳累栖←坂柳有栖
家族を超えた愛情。隙あらば恋人の座を狙わんとしている。
坂柳累栖→神室真澄
推し。神。自分の命よりも大事。
坂柳累栖←神室真澄
見た目はどタイプ。たまにポンコツなところは少し可愛い
坂柳累栖→橋本正義
普通の友達。たまにうざい
坂柳累栖←橋本正義
なんか色々すげぇ奴。こいつの傍にいれば安全。
坂柳累栖→葛城康平
情に厚いイイやつ。龍園クラスに流れるのをどうにか食い止めたい…。
坂柳累栖←葛城康平
人望も厚く能力も圧倒的。Aクラスに必要不可欠な人材。
坂柳累栖→姫野ユキ
結構好き。Aクラスに来てくれて嬉しい
坂柳累栖←姫野ユキ
Aクラスに移動させてくれたりその後の居場所を作ってくれたりした恩をどうやって返そう…。
坂柳累栖→鬼頭隼
Aクラスの男子生徒の中じゃトップクラスに信用してる。腕前も申し分なし。
坂柳累栖←鬼頭隼
あらゆる分野において最強の名を欲しいがままにできる強さを持っている。
坂柳累栖→一之瀬帆波
ユキを引き抜いた件でちょっと悪いことしたなぁ。でもヘイト買わないとだしなぁ。
坂柳累栖←一之瀬帆波
き、キス…///
坂柳累栖→椎名ひより
小説友達。Cクラスと結んだ契約については申し訳ないことしたなぁ。
坂柳累栖←椎名ひより
小説友達。小説について語れればそれでよし。
坂柳累栖→堀北鈴音
原作通り成長を期待。がんばってねー(他人事)
坂柳累栖←堀北鈴音
Dクラスに期待ってどういうこと…?
坂柳累栖→龍園翔
原作通り綾小路にボコされてくれ。
坂柳累栖←龍園翔
頭も1流暴力も1流とは、さすがAクラス様だな。
坂柳累栖→伊吹澪
弟子。タイミングさえあれば引き抜くことも視野に入れよう。
坂柳累栖←伊吹澪
私が強くなるまでの師匠。絶対強くなってぎゃふんと言わせてやる。
神室の有栖への呼び方が原作と違うのは兄妹の区別のためです。なんかコレジャナイ感ありますね。
この作品、R-18に該当すると思いますか?
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