内容もかなり粗があると思いますが、その辺りは気にせず頭スッカラカンの状態で読んでもらえると助かります。
最悪の異世界転生者
一人の男が交通事故で死んだ。
彼はごくごく普通の、ありふれた人生を送る男だった。
そう、普通のはずだったのだ。彼が、
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「つまり、俺は通勤途中、車に撥ねられて死んだと」
「その通りだ」
スーツに革靴という恰好の俺、橘潤の問いに、彼の目の前に立つローブを羽織った、自らを神と名乗る男が頷いた。
嘘だぁと言いたいけど、この何もない一面真っ白な世界を見せられたら、まずは話を聞くしかないと思う。
「本来、君はあの場で死ぬはずではなかった。だが、どこかで予定が狂い、結果ここへ来ることになった」
「はぁ」
「だから君が生きるはずだった人生の補填と賠償を兼ねて、別の世界で次の人生を謳歌して欲しい」
「それってつまり、異世界転生ってことですか?」
「ああ、君の世界ではそういう思想があるのだったな」
それを聞いて、俺の心臓はバクバク鳴っていた。死んだのに心臓が鼓動するというのも変な話だけど。
俺は所謂オタクってやつだ。小さい頃からラノベとインターネットで育ち、YouTubeを見ながら飯を食い仕事をする生活をしてきた。LINE? そんなの、相手がいなかったよ……。
そんな俺だから、暇な時はよく妄想に耽っていた。特に『もし○○(アニメ)の主人公が自分だったら』みたいなやつだ。たぶん、誰しも一度は考えたことがあるんじゃないだろうか。
ただ俺の場合、そこから『主人公になって、△△(アニメに登場する女性キャラ)とSEXできたら』みたいなエロい妄想も含んでいる。
もちろん現実でそんなこと出来るわけもなし、ただの妄想として頭の片隅に追いやって生活してきた。
けど、状況が変わった。もし目の前にいる男、神の言う通りなら、俺は異世界に転生することが出来る。そこには前世の法や常識は関係ない。
そして異世界転生にはお約束として、転生特典というものがあるものだ。
ということを、目の前の神に言ってみた。
「ほう、そんなお約束があるのか。初めて知ったぞ」
「なので、転生特典をください!」
「ふむ。まあいいだろう。……ところで、どのような特典を与えればよいのだ?」
「え?」
聞かれて、俺は驚いて固まった。
転生特典って、基本神様サイドが『お前の行く世界は○○だから××の力を与えよう』みたいな感じになると思ってたんだけど、こっちで決めていいの?
「よい。私もその辺りは良く知らぬ故。それに、欲してもいない力を与えられても、嬉しくないだろう?」
「それは確かに」
俺の望む力……いやいや、さすがに
「では神様。2つ、力が欲しいです」
「ほう、言ってみよ」
神が興味深そうにこっちを見て来る。ええい! 男は度胸だ、言ってやれ!
「まずは一つ目、『あらゆるものを改変する力』をください!」
「それは、どういったものを指しているのだ?」
おっと、問答無用で拒否されるかと思ったけど、もしかしていけるのか?
だけど落ち着け、ここで素直に欲望全開の説明をしたら拒否されることは明白。だから、相手が『それならいいか』と思うような説明をしなければ。
「例えば、俺の身体能力を上げたりですね。どういう世界に転生するかは知りませんけど、強いに越したことはないですからね」
「確かにな」
「その他にも、相手の常識だったり事象だったり、総合的な改変能力が欲しいです」
「……それは、洗脳というものではないのか?」
「洗脳とは違います。洗脳は相手を『操る』ものであって、俺の考える改変はあくまで『書き換える』だけで、俺が直接相手を操作するものではありません」
「なるほど……」
俺の説明を聞いて、顎に手を当てて考え込む神。
我ながら酷い屁理屈だが、意外といけそうだな。神の思考や常識は、俺のような人間とは違うってことなのかもしれない。
「……いいだろう。改変能力を与えよう」
そう言って神が俺の方に手をかざすと、その手から溢れ出た光が俺の中に吸い込まれていった。
「ありがとうございます」
「当然だが、その力で世界を破壊するような改変は出来ないようになっている」
「当たり前です。俺は自分のいる世界を壊そうとするような、終末思想は持ってないですよ」
「うむ。それを聞いて安心した」
神としては、世界が壊れさえしなければ、その中で何が起きようとあまり気にならないようだ。
あとは、もう一つの特典だな。
「そして2つ目ですが、『異世界を渡る力』が欲しいのです」
「異世界を渡る? なぜだ?」
「俺は今ここで、様々な異世界があることを知りました。それなのに、一つの世界に留まり続けなければならないというのは、あまりにも酷というものです」
「異世界があることを知らなければ、そもそも世界を渡ろうなどとは考えない。故に知ってしまった今は、世界を渡る力を欲すると」
「その通りです」
「……いいだろう。ただし、君が元居た世界に渡ることは出来ない。それが条件だ」
「分かりました。それでお願いします」
よっしゃ! そもそも1つ目の力をもらってる時点で、元の世界に戻る気なんて無くなったからな。全然問題無し。
そして改変能力の時と同じように、神の手から出た光が俺の中に吸い込まれていく。
……これで、欲しかった力が手に入った。
かつて夢想するしか無かった俺の望みを、叶える時が来たのだ……!
「それで神様、俺はどんな世界に転生するんですか?」
「おお、そうだったな。君が転生できる世界だが、この中から選ぶといい」
神から渡された木の板には、転生先の世界と思しき名前の一覧が書かれていた。
なんと! 初回の転生先まで選ばせてもらえるとは! 思わずこの場で拝んじゃいそう。
その中をつらつらと流し読んでいると、見慣れた文字列が目に留まった。
最初の世界はここにしよう!
「神様、転生先はこの『魔法科高校の劣等生』でお願いします!」
「分かった。では、行ってくるといい」
神が鷹揚に頷くと、先ほどとは桁違いの光が溢れ出し、俺の視界が真っ白になる。
俺の異世界転生人生が、これから始まるのだ。
(待ってろよぉ、魔法科高校の女達。今から俺が、お前達を快楽の底に堕としてやるからなぁ!)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
気付くと、俺は繁華街の片隅に立っていた。これが『魔法科高校の劣等生』の世界に転生したってことなんだろうか。
と言っても、赤ん坊から記憶を持った状態でスタートするわけでは無く、ある程度の年齢でこの世界に現れたようだ。
なら異世界転移だろうと思うだろうが、それも違う。今の俺は、中学から高校生ぐらいの見た目になっていたのだ。これは好都合だ。なにせこの世界は『魔法科高校』での出来事が主だから、そこに入らなければ意味がない。
さて、こっちに来て色々準備が必要そうだし、その間に頭の中でおさらいをしておくか。
『魔法科高校の劣等生』は、架空の西暦世界の日本が舞台となっている。
この世界では、『超能力』と呼ばれていた力が『魔法』という名前で体系化されている。色々複雑なんで覚えてないが、要は『サイオン』と呼ばれる、RPGで言うところのMPを消費して、状態の改変を行うことを言うらしい。例えば火を出す魔法の場合、『火』そのものを発生させることは出来ず、対象の分子の運動エネルギー? を改変することで『着火』するという、化学くさい工程が必要になる。そこが現実世界っぽいというか、ファンタジーより面倒くさいというか。
で、この世界は第三次世界大戦をやらかしていて、その時に魔法師――実戦レベルで魔法を使える人間――を戦力として使っていたため、戦後も国の戦力として見なされている。そしてその魔法師育成のため、国立魔法大学付属高校、通称・魔法科高校が作られることになった。
『魔法科高校の劣等生』では、主人公の
原作のあらすじを思い出しつつ、この世界で生活するため、そしてもらった能力を確認するために色々改変能力を使ってみた。
【橘潤は魔法科第一高校に二科生として入学する】
【近郊のマンションに住んでいる】
【ある特殊な方法で金策しているため、懐には余裕がある】
っと、世界に対して改変能力を使ってみた。するとほら、ポケットの中にさっきまで無かったマンションの鍵が。
そして近くの乗り場からコミューター(AIタクシーみたいなもの)に乗って、マンションに向かう。乗る時に住民IDが必要らしいが、さっきの改変でそれも取得済みだ。
「おおっ、考えてたより広いな」
改変で得た住処は3LDKと、正直一人で住むには広すぎる。けどこれでいい。なぜなら、これからこの力を存分に振るって、女の子をガンガン手に入れていく予定だからだ。そして何人かは、そのままこの部屋に"お持ち帰り"するつもりだ。手籠めにした女の子におはようからおやすみまで性的に奉仕してもらう……正に男の夢ってやつだ。
そうだ、『こんな広い部屋に住んで金は大丈夫なのか?』って思うかもしれないが、そこは問題ない。さっき改変した内の1つで、お金はいっぱいある。某SFアニメの作中であったように、世界中の銀行(主にネットバンク)から、1円(他の国だと1セント)未満の端数を頂戴していってるのだ。端数とはいえ、全世界の口座からもらってきているからか、その額は凄まじいことになっている。その実、部屋どころかマンション丸ごと買い上げもやろうと思えば出来たりする。
「そしてそして……よしよし、第一高校の制服も揃ってる」
寝室には第一高校の二科生の制服――一科生には肩の部分に八枚花弁のエンブレムがあるが、二科生にはない――が折り畳まれてベッドの上に置かれていた。これが原因で、一科生の中には『二科生は(ブルーム、花冠のない)雑草、ウィード』と差別する人間もいるが、まあそれはいいだろう。
どうして二科生として入学するか。それはこの世界の物語が、主人公の司波達也を中心に進んでいくからだ。だから達也と同じ二科生、もっと言えば同じE組になるように改変する必要があった。ヒロインの深雪と同じ一科のA組から始めるという手もあったが、そこは最初に手に入れたい子がE組にいたっていう理由から却下した。
何はともあれ、これで当日の準備は整った。あとは明日、入学式で原作通りに進むかだな。俺がこの世界にやって来た影響とかがあると(改変が)面倒だから、出来ればそのままであって欲しい。
「それじゃ、おやすみ~」
誰もいないのにそう呟いて、俺はベッドに横になった。
プロローグだけだと何が何やらなので、急いで連投予定。