九校戦の(エロい)準備中
『第一賢人』を名乗る謎の人物――正体を隠したレイモンド・クラークがテレビに登場した翌日の晩。九重寺の本堂に達也の姿はあった。
家主たる八雲に案内された奥の間、その上座に座る男の前に座り、まずは頭を下げる。
「ご挨拶させていただいてよろしいでしょうか」
「許す」
ツルリと剃り上げられた頭こそ寺に相応しいものであったが、オーダーメイドの高級スーツを着こなす全身ががっちりしている偉丈夫の男が頷く。
「初めまして。司波達也と申します。お目にかかれて光栄に存じます」
「
『司波』ではなく『四葉』と呼びかけられた達也は、頭を下げたまま微動だにしなかった。
「面を上げよ。直答を許す」
ここまで時代錯誤なやり取りが続く中、達也は言われた通り身体を起こした。
「真夜と、そしてそこの八雲から聞いている。私に説明したいことがあるそうだな」
「はい。日本の秩序を裏から守る『元老院』の四大老にして、
元老院という単語が出たところで、東道の白く濁った左目がギロリと達也を睨んだ気がした。
その目は『その程度のことは知っているか』という理解とも、『その言葉、"外"で口にすればどうなるか分かっているな?』という警告ともとれた。
「聞かせてもらおう」
「一言で申し上げれば、魔法を利用したエネルギー資源生産プラントの建設案です」
すぐに本題に入るよう求めた東道に、達也も少し前置きしただけでESCAPES計画の説明を始めた。
純粋な技術的内容から、日本を含めた世界のエネルギー事情を改善させ得る展望。そしてUSNAのディオーネー計画と裏の目的について。
「分かった」
途中一度も口を挟むことなく達也の話を聞いていた東道は、ただそう応えた。
「では、マスコミの前に出ることをお許しいただけますか?」
「許可しよう」
「ありがとうございます」
ディオーネー計画と『第一賢人」、クラーク親子が仕掛けてきた自身への情報戦に対して、このESCAPES計画を記者会見で発表することで反撃手段とする。
その根回しがうまくいきながら、達也の中には警戒感が芽生えていた。
この国を裏から牛耳っている元老院。その四大老の一角が、自分のような者の話を無条件で聞くとは思えなかったからだ。
「ところで、其方に訊ねたいことがある」
「何でしょうか」
警戒心を持って応答した達也に、東道は再度左目を達也に向ける。
「このエネルギープラントを抜きにしても、其方の持つ力は桁違いに強大だ。その力、其方は何に使う? 何を望む?」
「快い日々を」
達也は迷う素振りも見せずに即答した。
今の達也にとって、真夜と水波、二人との間に生まれた子供、さらに平河姉妹や他の熟れマンコ達との生活を守ることが全てであった。
さすがにそこまで説明はしなかったが、東道は不快気に眉を顰めた。
「その強大な力を、自分のために使うと申すか。社会の安寧や国家の存続には興味がないと?」
「社会の安寧無くして、快適な生活はあり得ません。そして社会の安寧を維持するために、国家の存在は必要不可欠だと考えます」
「つまり私的な快事のため、社会の安寧のためであれば、国家に力を貸すことも厭わぬと?」
「力を貸す、などと偉そうなことは申し上げませんが、必要に応じて国防や治安維持のために働くという点は、閣下の仰る通りです」
「ならばよい」
達也の回答を聞き、東道の顰めていた眉が元に戻る。
「其方に、四葉に求めることはこれまでと同じだ。この国のため、抑止力となってもらえればそれでよい」
個人が何を思おうが問いはしない。ただ、この日本という国に害を及ぼさない、この国を外敵から守るために動いてくれさえすればいい。
結局のところ、それが東道を含めた元老院の基本的なスタンスなのだ。
ただその言葉を聞いて、達也は戸惑いを覚えた。
「──自分に戦略級魔法師として名乗りを上げろと、お求めになっているのですか?」
そう口に出してみたが、おそらく違うだろうと達也自身思っていた。もしそうであれば、『これまでと同じ』などと言わないはずだ。
「抑止力とは、脅威が現実のものとなる前にそれを断念させる力だ。現実のものとなった軍事的脅威に対抗する力は単なる戦力であって抑止力ではない。抑止力は、使用されないことが望ましい」
東道の回答は、一見達也の問いに答えていないように思えたが、達也は『もしや?』と思い付くことがあった。
「つまり閣下は、自分に『魔王』の役割を演じよと、そう仰るのですね? 普段は世界の裏に潜み、時折力を見せつけ恐怖を示す、魔王に」
この解答に、東道は頷くこともなければ否定の言葉をすることもなかった。ただ、少しだけ口角を上げることで、達也は『是』であると認識した。
自分が抑止力となる――それは達也自身、以前から考えていたことであった。
ESCAPES計画が成功すれば、魔法師を兵器の宿命から解放するための第一歩となるだろう。しかしそれは言い換えれば、今まで魔法師が担っていた分の軍事力低下を意味する。
魔法師を戦力とすることで、小国は大国の物量に(ある程度)対抗出来ていた面もある。その魔法師という戦力が低下すれば、大国が小国を飲み込もうと動き出し、その動きが4つの大国でも起これば世界群発戦争の再来――第四次世界大戦になりかねない。そうなれば、また魔法師は兵器として駆り出されてしまうだろう。元の木阿弥どころか、ESCAPES計画が世界大戦を再発させるパンドラの箱となってしまう。
そんな未来を回避するためには、軍事分野から抜けた魔法師戦力の代わりに、自分が抑止力となることもやむを得ないと。
東道は、達也が抑止力として機能すればESCAPES計画の後ろ盾になると言っているのだ。断る理由は無い。
「承知いたしました」
達也は深々と頭を下げ、東道に退出の許可を得ると、相手をを見下ろさないよう顔を伏せたまま彼に背中を向けた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『第一賢人』を名乗る謎の人物――正体を隠したレイモンド・クラークがテレビに登場した次の週末、俺は達也に会うため伊豆の別荘に来ていた。
「今回の件はすまなかった」
「いや、達也が謝ることじゃないって」
応接室に案内されて開口一番達也に謝罪された理由は、週明けの昼に行われたFLTの記者会見が発端だ。
原作でも『トーラス・シルバー=司波達也』が暴露され、第一高校やFLTにマスゴミが殺到したわけだが、こっちではFLTが即座に記者会見を行う旨を発表したことで一高にまでマスゴミが押し掛けることはなかった。……この時点では。
そして会見当日。達也と牛山主任の『トーラス・シルバー』、記者連中のやり取りはまさに原作通りだったらしい。
『トーラス・シルバーが個人でなくチーム名!? 我々を騙していたんですか!?』
『騙していたわけではありません。こちらの司波が未成年であり個人情報を非公開とするため、このようにしたまでのことです』
『だが、『第一賢人』を名乗る怪人物が流した動画の半分は事実だったということですね』
『あくまでトーラス・シルバーはチーム名であり、私、司波達也であるというのは虚報です』
『虚報? 我々が嘘を流したと? 貴方がトーラス・シルバーであることは事実でしょう!』
『ですから、トーラス・シルバーは個人の名称ではないと先ほどから申し上げています』
どちらかというと、原作より記者連中の沸点が低いように感じるのは俺だけだろうか。
そんでそこから畳みかけるように、トーラス・シルバーの解散、魔法恒星炉を使った新規事業――ESCAPES計画を公表した。
『ディオーネー計画への参加要請はどうするのですか?』
『その要請は、トーラス・シルバーへの参加です。ですが先程、トーラス・シルバーはいなくなったのですから、応えようがありません』
『屁理屈だ!』
頭に血が上った記者が反射的に吠えたが、達也を名指しで参加要請したわけではない。
『魔法恒星炉プラントの計画は、すでに建設地の選定段階に入っています。ディオーネー計画を含め、他の大型プロジェクトに関わっている時間は、私にはありません」
だから最後にそう締めくくった達也に対し、さらに難癖をつけられる人間はいなかった。
……で、だ。それで終わればよかったものを、よりによって達也に言い逃れされた(実際には論破された)記者が放課後の一高を襲撃してきたんだよ。――文字通り、拳銃とナイフを持参して。
これも原作では達也が取り押さえたんだが、こっちの達也はその時FLTにいたわけで……誰が襲われたかっていうと
「幸い、左腕の肉を少し持ってかれただけで済んだのが不幸中の幸いだったな。……その後、激昂した深雪を落ち着かせる方が大変だった」
「妹がすまない……いや、それでも怪我はしたんだろう」
いやー油断したね、まさかお兄様のテロリスト制圧フラグが残ったまんまだったなんて。記者会見の後で発生とか聞いてないんですが?
テロリスト自体は深雪が成敗(氷漬け)して警察に引き渡した。結果だけでいうと、被害は俺の二の腕の肉が拳銃弾で少し削がれただけ。いや、やられた当時はめっちゃ、めっちゃ痛かったけどね!?(なお、今は改変能力で傷一つない模様)
んで、別件で達也に頼みごとがあって別荘を訪ねたら開幕謝罪に繋がるわけだ。
……達也には悪いけど、この流れを使って頼み事を聞いてもらおうか(暗黒微笑
「あ~、なら達也、詫び料替わりってわけじゃないが、ひとつ頼みを聞いてくれないか?」
「出来る範囲で聞こう」
「来月、前倒しで九校戦があるのは知ってるな?」
「ああ、話には聞いている。だが、俺は参加出来ないだろうな」
その頼みは聞けないと達也が残念そうに首を振るが、そっちじゃないんだよなぁ。今まで通りなら、達也のエンジニアとしての能力は喉から手が出るほど欲しいけど。
「今年の九校戦に、お前のところの熟れマンコを貸してくれないか?」
「なに?」
俺のお願いが予想外だったのか、達也の目が警戒するように細まる。
「別に
「あいつらをか? それならいいが、どうするつもりだ?」
達也の所有物となった入学生保護者、あの雌連中を借りたいというと、達也の表情が和らぐ。真夜マンコは死守するが、手に入れたばかりの熟れマンコ達にはそこまで執着はないようだ。
「一言で言えば、コンパニオンみたいなことをやらせたいんだよ。会場に来た観客や軍関係者、それと今年は他国の魔法関連企業の人間も来るらしいから、彼等彼女等に『手コキや手マンをしてアヘ顔絶頂させる』コンパニオンをさ」
「手コキと手マンだけでいいのか? 彼女達ならフェラやクンニをさせるぐらいまでなら許すぞ」
「えっ、いいのか?」
達也からまさかの追加許可が出て、思わず声が裏返りそうになった。お兄様の口から『フェラ』とか『クンニ』とか出るとか、いい感じにこの世界も歪んで来てるな♪ ととっ、もちろんその厚意は受け取っておこう。
「なら、30人ほど借りていくな。もちろんマンコやケツ穴にお前以外の肉棒が挿入らないように、当日は貞操帯付きのボンテージを着せるから安心してくれ」
「そうか、それなら安心だな」
穏やかな顔で頷く達也を前に、心の中では笑いを堪えるのに必死だったwww
次回からオリチャー、エッチな九校戦編に入る予定です。
あ~、四葉深夜を蘇らせて、真夜と姉妹丼したり深雪と親娘丼して~(独り言)