もしリドラーがキャットウーマンを自分の女にしたいと思っていたら?
キャットウーマンの外見の元ネタは特に決めていないので、映画でもコミックでもゲームでも自分の好きなキャットウーマンで想像してください。
エドワード・E・ニグマ。数少ない友人からはエドと呼ばれる彼は、常に自分と自分が持って生まれた天才性を過小評価する周りの存在を疎ましく思っていた。愚かな彼らはニグマを指してナルシストでエゴに溺れた不快な男と呼称するが、ニグマから言わせれば彼らこそが自分たちを脅かす真なる天才に気づかない愚鈍で哀れな存在なのだ。そしてそれを、突き立てられた銃から響く火薬の破裂音を聞いて初めて気づく。
ただ一つ確かなのは、ニグマにとって社会が定めた「良いこと」や「正しいこと」の枠組みが彼の天才性の証明を縛ることはできないというこだ。なぜなら自分は天才であり、その偉大さの証明の前に犠牲はつきものだとニグマは本気で考えている。天才が何かを欲すれば、それを如何なる手段を持っても手にすることが許される。それが選ばれた人間なのだ。
だからこそ、今まさに彼の心を盗んでいった美しきファムファタールを手にするために、ニグマはその優れた頭脳を回していた。
……ついでに彼女に盗まれた自分のお気に入りのクエスチョンマークの杖と1ヶ月前に銀行強盗して手に入れた大金を取り戻すためにも。
セリーナ・カイルakaキャットウーマン。
彼女を一目見た時からニグマの天才的頭脳は彼女の持つ蠱惑的な魅力に釘付けにされた。それこそ出会ったその日に彼女の本名をありとあらゆる手段を講じて入手したほどに。
だがその情報収集の結果、彼女がニグマの宿敵であるバットマンとつかず離れずの、ロマンティックな関係を結んでいることを知って、ニグマの中での彼女への執着心は10倍に跳ね上がった。
だからあの黒き雌猫を喜ばせるために、ニグマはありとあらゆる手を尽くしてきた。彼女のためにゴッサムの交通網を麻痺させ、時に彼女の好きな猫に目をつけゴッサム中の猫を捕まえ狭いケージに入れてプレゼントし、バットマンに無理やり協力されている彼女を助けようと襲撃をかけたりもした。
そららがキャットウーマンにとって迷惑にしかなっていないとはニグマは欠片も考えない。
そして、そろそろ愛するセリーナとの関係を次の段階へと進めたいとニグマは考えていた。彼女がニグマに投げかける視線を、彼女をよく知らない連中は軽蔑と嫌悪の眼差しだと揶揄してくるが、ニグマは知っている。あれは全て照れ隠しなのだ。
あの黒髪で、男を魅力するナイスバディのチシャ猫はニグマの気を引くためにわざとそんな態度をとっているだけなのだ。そしてニグマの周りをそのしなやかな体で巧みに踊って去っていく彼女の魅力に、彼はチップとしてアクセサリーや金品をわざと盗ませてやっているのだ。決して、間抜けな三流悪役のように盗まれているわけじゃないのだ。わけじゃないのだ。
そう、ニグマは彼女との夜のダンスを楽しんでいたのである。だがそろそろこのダンスパートナーとしてだけの関係から、次の段階へとステップアップしたい。
彼は常に全ての物事に対して偏執的なまでにパックアッププランをいくつも用意するクセがある。アーカムアサイラムの精神科からは『パラノイア』と評された彼の性格は、ボディラインを強調するラテックス製のスーツを身に纏った美女を攻略する上で欠かせない要素となるだろう。
事実今も彼女によってこれからの活動資金のために奪った金の大半を強奪(ニグマ的には譲った)されたが、ニグマにはそれとは別のルートで念の為集めていた金がまだ残っているのだ。そしてそれは、ゴッサムの夜を彩る美しき泥棒の心を盗むという難攻不落の依頼をとあるヴィランに頼むには十分な額であった。
ポイズンアイビーakaパメラ・アイズリーの作り出す惚れ薬の噂は、ニグマをして無視できないほど魅力的で強力。
あのマンオブスティールでさえ、彼女の力の前では抗えなかったと言うではないか。ならば今所有する大金を投じて大量の惚れ薬を購入してそれを全てあのキャットウーマンに、いや未来の「ミセス・ニグマ」に使えば、彼女のあの罪深い体の全てはニグマ個人の物となる。
確かに、彼女に自分たちがいかに運命で結ばれた素晴らしいカップルであるかを理解させるには、素直でない彼女のことだ、数ヶ月のベッドの上での教育は必要不可欠だろう。だが、それは実に魅力的な手間というものだ。
ニグマは彼女の姿を見てから何年もの間、あの卑猥なボディスーツのジッパーをこの手で下ろし、その下にあるであろう小麦色の肌に指を這わせる瞬間を、今か今かと待ち続けてきた。
それに比べれば彼女がニグマの妻としての自分を自覚するまでの数ヶ月は、鼻歌を吹かしているうちに過ぎてしまうだろう。
そしてなによりも行幸なのが、キャットウーマンがニグマとの二人きりでの会合の申し出にすぐに肯定の返事をくれたことだ。前回の他のヴィランも交えたニグマ主催の集会の時には早々に姿を消したことを思うと、この心変わりは実に嬉しいものであった。
もっとも、キャットウーマンがリドラーとの会合に応じたのは、リドラーを簡単に手球に取れる自信と、そして彼が交換条件として用意した一千万ドルの札束が詰まったバッグがあったからなのだが。
しかし、どのような理由にしろ彼女はニグマが今夜の二人の情熱的な夜を過ごすために用意した彼の所有するコテージに、一人で来ることを同意したのだ。ゴッサムの僻地に存在する森の奥深く、腐った街の臭いも届かないような趣のある隠れ家が、リドラーとキャットウーマン、ニグマとセリーナが初めて愛を誓い合う記念すべき場所となる。
その瞬間を今か今かと待ち侘びながら、エドワードは未来の花嫁が到来するまで鼻歌を口ずさみ続けた。
セリーナ・カイルは最初、この明らかに罠としか思えない誘いに乗るのは気乗りしなかった。そもそも招待状の送り主があの、ゴッサムでもっとも卑劣でナルシシズムの塊のようなヴィランであるリドラーなのだ。確かにセリーナにとってゴッサムシティで活動する他のヴィラン、ジョーカーやペンギンよりも知った相手であり、御し易い相手ではある。
彼が自分に惹かれていることは、セリーナはすぐに気づいた。男からの視線に敏感な彼女にとって、彼の視線は童貞の中学生が女性に送る視線ぐらいわかりやすいものだ。だから金が入り用になった時の盗みの標的は基本リドラーにしていたし、実際彼からお金を盗むのは赤子からおもちゃを取り上げるのと同じくらい容易だった。
つまるところ、セリーナにとってリドラーとはゴッサムでもっとも便利な金づるなのだ。
だが、さすがのセリーナもリドラーが愛用していたダサい杖と100万ドルの現金を持ち去ったことを彼が許すとは思ってもいない。まず間違いなく報復、そうでなくとも恨み事の一つや二つは抱いているだろうと推測していた。
だが実際に来たのは友好の印として1000万ドルを差し上げたいという旨の手紙である。これを罠と思わない方がどうかしているが、結局最後には無視できない額の大金に惹かれてセリーナはゴッサム辺境の森の中に佇むクエスチョンマークの形をした奇妙な小屋に足を運んでいた。
その小屋は外側からはわからないようにかなり巧妙なカモフラージュがされていたが、セリーナからすればこんな馬鹿げて誰が住んでいるのか丸わかりな形にしなければもっと手軽に、よりハイレベルなカモフラージュが可能となるのにと思わずにはいられなかった。この無駄な構造の家を作るのにいったいいくらの金と時間を使ったのか、幼い頃からストリートチルドレンとして生きてきてお金の価値を知るセリーナには生涯理解できそうにない。
まあセリーナ自身も特徴的な「テーマ」を持ったヴィランであるから、あまり他人のセンスに関してとやかく言う資格がないのは彼女も理解している。だが自分のアイデンティティである猫のシンボルはあくまでも猫型チョーカーとスーツのフード部分に時々猫の耳をつけているだけで、アジトをここまでわかりやすくしたことはない。
(男の人って、アジトを派手にするのが好きなのね)
心中にとある蝙蝠の名を冠する意中の相手の顔を思い出して少し微笑むセリーナ。だがすぐに表情を引き締めると、リドラーの隠れ家周辺を自身の持つハイテクゴーグル越しに探りを入れた。キャットウーマンの持つゴーグルにはありとあらゆる潜入をサポートするための機能が備わっており、そこには当然熱感知機能と赤外線探知機能も備わっている。
そしてすぐにリドラーが約束通り隠れ家周辺に誰も配置していないことを確認することができた。人間も、機械も、メタヒューマンもだ。もしもリドラーが彼一人でキャットウーマンを倒せると思っているなら、それは思い上がりも甚だしい。
あの緑の自称天才は時々自分の世界に入ってしまって周りが見えなくなるが、そろそろ私が全く相手にしていないことを自覚してほしい。そのぐらいの頭はあるでしょうとセリーナはため息をつきたくなってしまった。
まさか本当に一千万ドルもの金を私と仲良くなるために用意したのではないだろうかと、そんな馬鹿げた考えさえも湧いてきてしまいそうだ。
訝しみながらクエスチョンマークの隠れ家に音もなく近づくキャットウーマンだが、突如として流れ始めた音楽にその足を止めた。それはどこかの高級ホテルで流れていそうなロマンチックなジャズミュージックであり、同時に今まさにキャットウーマンが侵入先として見定めていた窓枠までのルートがいくつものキャンドルで照らされた。
これにはセリーナも警戒度を一気に引き上げざるを得なかった。どうやってかはわからないが、リドラーは完全に気配を消して近づいてきたキャットウーマンの位置を正確に把握し、それどころか彼女の侵入ルートさえも完璧に予測していたのだ。
一瞬撤退を視野に入れ始めたセリーナだが、リドラーが用意した演出の意図を理解してその誘いに乗ることにした。なぜなら、どうやらリドラーは彼女を罠にはめるつもりではなく、先程馬鹿げたジョークのつもりで考えたキャットウーマンと仲良くなりたいという考えが正しかったのだと、このあまりにもふざけたエスコートからわかってしまったからだ。
いや、それどころかあの知識オタクの変人は自分と親密な夜の時間を過ごしたいと考えているのだと、建物に近づくにつれてより鮮明にわかってきてセリーナは呆れて首を振るしかなかった。
まあ、私との夜の時間が一千万ドルに見合う価値があると判断したと言うのなら、そこだけは褒めてやってもいいかもしれない。もっとも、本気でお金を支払う気があるのならの話だが。
だがそもそも、セリーナはリドラーに対して何ら男性的魅力を一欠片として感じていない。彼女の男の好みに擦りもしていないのだ。
セリーナは男らしい男が好きだ。それは身体的な意味でだ。彼女にとって性格は二の次だし、たくましい筋肉と最低でも自分よりも高い身長が望ましい。それは彼女の冷めた人生観と荒んだ幼少期から、男性という存在をあくまで一時の快楽を満たすためとしか思っていないのが大きい。
今でこそ、とあるゴッサムを守るダークナイトとの間にそれ以上の関係を考えるようになったが、彼女が最初に彼に惹かれたのは彼が男性的な体つきを持っていたからだ。
そういう観点から見て、リドラーの体つきはいっそ哀れなほど彼女の好みから外れている。そよ風が吹けば倒れてしまいそうなほど貧弱な体、冴えないルックスに雑な手入れしかしていない髪、身長もセリーナより低く、服のセンスなど言わずもがな。
だから開いた窓から器用に室内へと入った先で待っていた、キャンドルの灯りに照らされながら招待客にニヒルな笑みを見せる彼を見ても、セリーナの心はピクリともときめくことはなかった。
彼女の目前でバラ色のキングサイズのベッドの上に腰掛けるリドラーは、確かにいつもと違ってロマンチックな曲に合わせた正装を見に纏ってはいた。ただそれも、セリーナから言わせればセンスゼロの酷い物だ。
彼が今着ているのは普段のクエスチョンマークが散りばめられたタキシードではなく、立派に仕立て上げられた緑のスーツだ。ただし無駄にピカピカと輝いている。
再びため息を吐きたくなるセリーナだが、心を許せる相手ではない手前我慢した。もしこれで本当にセリーナの心を射止めようとしていると言うのなら、彼が日頃から喧伝している世界一の天才という言葉をいよいよもって大馬鹿者の戯言と判断するしかなさそうだ。
「ハロー、よく来てくれた。こんなに早く招待を受けてくれるとは思わなくて、簡素な出迎えになってしまって申し訳なく思うよ。我が愛しのキャットウーマン」
いつものような芝居がかった口調だが、何度も彼から盗みを働いたキャットウーマンにはもはや慣れっこだ。だから彼が腕を広げてベッドから立ち上がった時、また大袈裟な自分語りでも始めるのだろうと一瞬とはいえ気を抜いたのがいけなかった。
カシュッ、と彼女の優れた聴覚が異音を捉えるのと視界の隅でリドラーが足を降ろした先の地面がわずかにへこんだのを捕らえた。瞬時に彼女の首の後ろの毛が逆立ち、体を出来るだけ丸め、腐ってもゴッサムが有する狂人の一人である彼が用意したどんな恐るべき罠にも対処できるよう臨戦態勢をとった。
そしてその罠はキャットウーマンの予想通り訪れ、しかし回避不可能の粉塵となって彼女を襲った。それはまず、キャットウーマンとリドラーがいる天井から降り注いだ。赤い、紅い花びらの群れ。セリーナの優れた知識がそれが毒性の物ではなくバラの花びらであることを認識した時には、部屋に備え付けられた換気扇からとても良い香りのする香水の匂いが拡散されていた。
「……!」
その匂いが鼻腔を通り過ぎた途端、セリーナの全身を包んでいた緊張感や警戒心が突然沈静化した。それどころか、体がリラックスしてまるで暖かいお風呂に浸かっているかのような気持ちへと変わっていく。
(この、匂い……どこかで嗅いだような……)
セリーナの淡白化されていく思考が、あと少しで答えにたどり着こうかというところで、その思考も香水の匂いにかき消され、思い出すことなく虚無へと消えていく。
ただ彼女にわかったのは、これが今夜リドラーが用意した彼女へのプレゼントであるということだけだった。
「に、ニグマ? こ、これは、何なの?」
声を発して、セリーナは自分の状況に驚いた。呂律が回らない。眩暈がして視界が定まらない。この香水には睡眠ガスでも混ぜられていたのかと、セリーナは遅まきながらも手で鼻と口を塞ごうとし、しかしなぜか無意識のうちにもっと匂いを嗅ごうと深呼吸をしてしまう。
そしてどれほどの時間が経ったのか。セリーナにとっては数秒にしか感じられなかった不思議な感覚から現実に引き戻したのは、彼女へと向かってくるリドラーの姿だった。
「気に入ったか?お前と夜を共にするためなら多少の出費など痛くもないのさ」
それはキャンドルの妖しい光のせいなのか、はたまた混乱したセリーナの頭が見せた幻か、今の彼女の目に映る笑ったリドラーの顔が、とても素敵なものに見えた。
だがそんな馬鹿馬鹿しい勘違いを振り払ったのは、図らずもリドラーの言葉自体だった。わかってはいたが、リドラーはやはり自分との相瀬を望んでいたようだ。そのためにわざわざ一千万ドルの大金とこんな演出を用意して呼びつけるとは、なんて必死可愛らしいんだろう。
(待って、今わたし、彼のことを可愛らしいと思った?)
頭の中を自然と過ぎていきそうになった違和感。リドラーの行動を可愛らしいと考えるなど今までなかったはずだ。セリーナにとってリドラーは自信過剰でナルシストの馬鹿な男で、それ以上になり得ることはないはずなのだ。
確かに、彼が自分との夜を過ごすためにここまでの準備をしてくれたのは、素直に嬉しいし、リドラーを多少見直したのは事実だ。でもだからといって一夜を共にするには、まだ物足りないハードルが残っている。
そう思考するセリーナだが、彼女は気づいてさえいないだろう。いつのまにかリドラーに対する評価が数秒前の彼女より上がっており、絶対に有り得ないと考えていたリドラーとの一夜を、いくつか条件を乗り越えれば過ごしてもいいと考えが変わっていることに。
「一千万ドルで釣るようなことをして悪いと思っているよ。だがどうしてもすぐに君の顔を見たかったんだよ、理解してもらいたいな」
なあ、私の子猫ちゃん。リドラーがセリーナと一歩分ほどの距離まで近づいて、本人にとって一番かっこいいつもりだろう声色で告げる。だがその瞬間、セリーナはまるで雷に打たれたような衝撃を受けた。
そしてこの時、ようやくセリーナはリドラーに感じていた男の魅力が、キャンドルによる明かりでも自分の勘違いによるものでもないことに気づいたのだ。
(彼って……こんなにかっこよかったかしら?そういえば、いつもはこんな距離で彼を見ることもなかったわね。こんなにイケメンだったのね)
そして彼の容姿の個人的好みを、セリーナは心の中でブルースと同じぐらいの位置にまで引き上げてしまう。同時に、彼女にしては遅まきながらリドラーの言葉の内容を頭で理解した。
一千万ドルで釣ったということは、彼は自分の体や愛情をお金で買うつもりはなかったと言うことだ。
少し前のセリーナなら騙されたことに不機嫌になりながらも目当てのお金を盗んでさっさと逃げていただろう。だが今のセリーナはむしろ、リドラーが金で女を買うような低俗な輩だと疑ってしまったことに自分でも不思議なほどに大きな罪悪感を感じてしまっていた。
(なんで、こんなに申し訳ない気持ちになるのかしら?)
セリーナは今まで、もっとひどい行いをリドラーにしてきた。彼から金を奪った回数は一度や二度では済まないし、彼のバットマンを倒すための計画を個人的気まぐれで妨害したことも数知れない。
それなのに今更になってこんな罪悪感が湧くのはリドラーとロマンチックなミュージックと演出に包まれた空間に一緒にいるからだろうか?
セリーナの中で解決することのない疑問が渦巻き、彼女の次にとるべき行動を阻害する。表情こそ冷静を保っているが、彼女はリドラーの前で棒立ちで佇み、彼の不躾な視線を容認しているという普段の彼女からは考えられない程に迂闊だった。
「そんなスーツ一枚で寒いだろう?すぐに暖かくしてやろう」
リドラーがセリーナのキャットウーマンとしての衣装に包まれた胸元、ラバースーツを押し上げるほど豊満な双丘を視姦しながら笑った。下劣で気持ちの悪い笑顔、かつてはそう思っていたリドラーがセリーナに向ける笑みが、驚くほど魅力的な物に見えてしかたなかった。それこそ、ブルースがほんの数回だけ彼女の前で見せた本当の笑顔に匹敵するぐらいには、セリーナの中で忘れられないものになった。
そしてセリーナはリドラーの言葉の意味がわからないような生娘ではない。今のゴッサムは寒期に入っており、それが森の中ともなればその寒さはニューヨークの冬並みだ。防寒対策が完璧なキャットウーマンのスーツだが、寒さによってラバー製のスーツがより体に張り付くように縮み、彼女自慢の胸部、その中心の突起の形まで確認できるようのなってしまっていた。リドラーの笑みの理由は、それに気づいたからであろう。
普通なら自分の乳首を見て、こんなわかりやすいお誘いを口にした者は皆骨を蹴り折って二度とそんな事言えないようにするセリーナだが、今回は違った。
「ニグマ、私はーーーー」
「エド。私の友達は皆、親愛を込めて私をそう呼ぶんだ」
セリーナの開いた口をリドラーが無粋にも遮る。本来なら、このリドラーの言葉に対して「頭の中の彼女にそう呼ばせてるの?」と皮肉を返すところだが、彼女の中の何かがリドラーを馬鹿にするような言葉を言うのを止めさせた。代わりに彼女の口から出たのは、リドラーの言葉を汲み取った返事だ。
「わかったわ、エド。お言葉に甘えさせてもらうわ」
それはセリーナが初めてリドラーに向けた心からの感謝の言葉だった。そして口にした瞬間、確かにセリーナの中で何かが満たされたような感じがした。彼女はふと足元にあるバラの花びらの一枚を手に取ると、今までリドラーの前で見せたことがない優しい微笑みをその顔に浮かべて見せる。
「こんな素敵な夜に招待してくれるなんて、あなたのことを見誤っていたわ。その素敵なドレスも、この香水の匂いも、そしてこの花も……どれも最高よ」
妖艶に手の上の花びらを口でフゥーと吹き上げて、リドラーへと送るキャットウーマン。それはまさしく、ゴッサムの夜を駆ける黒猫に相応しい魅力を纏っていた。
リドラーがその花びらを空中でキャッチし、また一歩セリーナへと近づく。そうすると二人の間の距離はほとんどなくなり、近距離でお互いの顔を見つめ合う体勢となった。
セリーナは彼の目を見つめるうちに、まるで自分が吸い込まれるような錯覚を感じた。男を惑わす女豹である自分が、逆に惑わされているような気分。だが何故かそれが嫌ではない。むしろ、とても気持ちがいい。
ふとセリーナはリドラーの瞳が自分と同じ緑色をしていることに初めて気づいた。同じ色彩でも、彼の方が暗めの緑だがそれが彼の着る緑のスーツによく似合っている。不思議なもので、そんな小さな共通点でセリーナの心は高鳴ってしまう。
「喜んでもらえて嬉しいよ、私のセリーナ」
「えっ?」
リドラーが自分の本名を、キャットウーマンの正体を知っているという事実に彼女が驚き、反応するよりも早くリドラーの手袋をはめた手がセリーナの後頭部を掴み、彼女の唇を自分の唇へと重ね合わせた。
その暴挙に、即座にセリーナの本能がリドラーを引き剥がそうとした。だが行動を実行に移すより早く、再び襲ってきた眩暈が彼女の抵抗を妨害した。
思考に霧がかかったような感覚。訳もわからずにセリーナはリドラーからのキスに身を委ねるしかなかった。
「んちゅ、んふ、あっ」
リドラーの舌がセリーナの口内に侵入し、欲望の赴くままに蹂躙する。いつも他人の住処に侵入して金品を好き勝手に強奪していく自分が、逆にされる側になっているという事実にセリーナの心に感じたことない興奮が走る。
そしてそれは、彼から送られる唾液の感触、彼から漂う体臭を吸い込むたびに強く、より明確な刺激となってセリーナを酔わせた。先ほど嗅いだ香水のように、だがもっと強い中毒性と心地良さで脳が侵食される感覚。
いつしかセリーナの視界は自分とリドラーの二人を残して全てが崩れていくような錯覚の中にいた。陳腐な恋物語であるような、世界から自分と相手の二人きりだけが切り取られたような瞬間、それをセリーナは人生で初めて経験したのだ。
「あっ……」
夢の時間が終わりを告げる。不意に離れたリドラーの唇の感触に、セリーナは自分でも驚くほどに切ない声を漏らした。思わず目で相手の唇の動きを追ってしまう。その目は強い情欲に濡れて、彼女の淫美な顔立ちを高めてまるで芸術品のように見る者には映っただろう。
そしてその表情を目の前で見させられた雄が我慢などできる訳がない。セリーナの体がベッドに向けて仰向けに押し倒される。放心状態だった彼女の体は簡単にシーツの上に投げ出され、そのしなやかな体付きがスプリングによってわずかに跳ねた。
その上へと、リドラーがのしかかる。彼女の臍上へと座って身動きが取れないようにすると、その下衆な、セリーナにとっては男らしい素敵な笑みで彼女を見下してくる。
身動きが取れないと言ってもこの程度の拘束、セリーナならば簡単に跳ね除けられる。しかも相手が貧弱なリドラーなら尚更容易だろう。だがセリーナの体はピクリとも自分を組み伏せようとする男に抵抗しようとしない。それどころか、この体勢がまるで正しい物であるかのような気分さえ感じ始めているのだ。
「……!」
セリーナにのしかかるリドラーの指が彼女のボディスーツの首下にあるファスナーのスライダー部分を摘んだ。それはキャットウーマンのスーツを留めるための唯一の器具であり、それを勿体ぶるようにリドラーはゆっくりと、ゆっくりと下ろしていく。
彼女の鎖骨部分が外の空気に晒される。美しいシミひとつない綺麗な白い肌に、ファスナーを下げるリドラーの笑みが増す。
そこからさらに下に、キャットウーマンのリドラーが女性に求める理想の大きさを持った胸の割れ目まで差し掛かる。あと少し下げればゴッサム中の男が夢見たキャットウーマンの乳首が露わになる。だがそこで、リドラーの腕が止まった。
「どうする、キャットウーマン?」
リドラーが挑発するような笑みと声でセリーナへと聞いてきた。呼び方がセリーナではなくキャットウーマンに戻っているのは、彼がセリーナではなく、数多の犯罪者を手玉に取ったゴッサムの黒猫からの答えを望んでいるからだろう。
リドラーによって服を脱がされ、その裸体を晒すか否か、その選択肢を与えられたセリーナの心は今まで感じたことのないほどの混乱と欲望の渦に飲み込まれている。他人に手玉に取られたことのない彼女は、自分がその立場になった時の耐性が圧倒的に欠けていた。
リドラーを跳ね除けるべきなのに、このまま彼に弄ばれたいという欲望がその考えを覆い隠す。彼女は自分のボディスーツのジッパーを握るリドラーの指と彼の顔を交互に眺める。
そして逡巡の末に----
「さ、下げて……エド」
それはキャットウーマンという女性を知る者が聞けば、彼女の声だとは思えないほどに弱々しく、余裕の感じられない囁き声だった。
瞬間、リドラーは自身の勝利を確信した。彼女がキャットウーマンとして、リドラーに敗北したのだと。
そしてついに、リドラーは満面の笑みと共にジッパーを最後の留金まで下ろし始めた。
まず下から服の胸元を盛り上げていたセリーナのボリューム満点の乳房が姿を現した。クリーム色に染まり、興奮で汗の滴がついた肌、そしてその中心で輝くどんなダイヤよりも美しいピンクの乳首。
だが望んでいた至宝を目にしても、リドラーのジッパーを下げる手は止まらない。露わとなる白肌は、セリーナの可愛らしいお臍へと到達し、そのまま止まることなく美しい鼠蹊部を晒し、そして彼女らしい黒のレース下着までもを視界に収めたのだ。
「あぁ、美しい。美しいよ、セリーナ」
側から見てもわかるほどに興奮した声を上げるリドラー。彼の目がギラギラとした光を宿しながらセリーナの裸体を上する。それだけでセリーナは股間部が熱を持ち、下着を濡らしてしまうのを我慢することが出来なかった。
「あっ、んんっ」
太ももを興奮を抑えるように擦り合わせる。だがそれがより欲情的な動きになっているのは、彼女の天性の淫乱さが故か。彼女の下着の染みにその動きで気づいたリドラーが目標を定めた。
彼はのしかかっていた状態から立ち上がると、セリーナの両太ももを持ち上げて彼女の両足を天井に向かって伸ばすように体勢を変えさせる。それはまんぐり返しと呼ばれる体勢だと、セリーナの頭の冷静な部分が過去に一夜を共にした男が言っていた内容を思い出させた。その時は、自分にそんな屈辱的な体勢を強要しようとした男の睾丸を蹴り飛ばしてやったが、今回はそんな気がかけらも湧き上がらない。
セリーナのセクシーな黒下着に包まれた臀部が、リドラーの顔前に大々的に晒される。そうすると、先ほどからセリーナの体が分泌している興奮液が下着に残した跡がリドラーからはよく見えていた。彼が指でその濡れ跡を指で摘むと、下着を横にずらして露わにしたサーモンピンク色の秘部に貪るように吸い付いた。
「あ、ああぁぁーーーー!」
リドラーの舌がセリーナのクリトリスを刺激し、黒猫の口から誰も聞いたことがないような喘ぎ声が部屋にこだまする。ただ性器を舐められた、ただそれだけのはずにも関わらず、セリーナは今までのセックス全てが過去になるほどの快感をわずか数秒で味わっていた。
「いいっ!すご、いぃぃ!おぉ、んひぃぃ!!」
天井に伸びた足をピンと張り詰め、ベッドのシーツを破けるほど強く握りしめる。堰を切ったようにあられもなく興奮の声を張り上げるセリーナの内面では、エドワード・E・ニグマという男の価値がさらに上方修正、今まで出会った全ての人間の中で最上位に君臨させていた。
そしてセリーナが持っていた彼に対する偏見、女性経験が足りなさそうだという認識もまた大幅に変更された。なぜなら、幾多の男と夜を共にした自分をここまで容易くイかせる男のセックス経験が少ないわけない。
そうセリーナは、リドラーの明らかに拙い口淫を女の感じる部分を熟知した舌使いだと評価する。その事実にセリーナは気づかない。いつのまにか、それがどれだけ下手な愛撫だろうが、リドラーからの刺激というだけで極上の快感に感じるように思考が変わっていることを。
「あぁ!エド、エド!」
「んぐっ!なにっ!」
リドラーが休憩のために口淫を止めた一瞬の隙をついて、セリーナがその軽業士もびっくりの身体能力でまんぐり体勢の状態から上半身を跳ね上げた。
驚愕し、目を丸くするリドラーはその突然の動きについてこれない。最もこれほどの早業と凄技、たとえ反応できてもついて来れる者は限られるだろう。そしてセリーナは固まったリドラーの顔を両太ももで挟み込むと、そのまま先ほどまでの二人の体勢を逆転させたように、今度は彼女がベッドに仰向けに押し倒されたリドラーの顔にお尻を押し付けてのしかかった。
「エド、お願い!もっと、もっと私のおまんこを舐めて!私の雌猫まんこをあなたの舌で満たして!」
ひ弱な男を尻で押し潰したセリーナが、そのまま首をへし折るでもなく情欲に塗れた懇願を男に告げる。そこには先程までの混乱も迷いも見られず、肉食獣のような獰猛で野生的な欲望だけが渦巻いていた。
そして突然のセリーナの抵抗に慌てていたリドラーも、その言葉を聞いて自身の計画が失敗したわけではないことに気づいたのか落ち着きを取り戻した。彼は発情して野生に戻った黒猫の尻をむんずと掴むと、彼女のびしょびしょに濡れた陰毛を舌で掻き分けて再び猫穴へと侵入する。
「はぁぁ!!気持ちいぃ、んぃ、おほぉ!エド、クリトリス!クリトリスをもっといじ、ひぎぃ!!」
セリーナは完全に自身の膣穴を蹂躙するリドラーの舌使いに陶酔していた。舌が膣襞を舐めるたびに鳴き、クリトリスを突かれるたびに無様なオホ声を響かせる。それは今まで彼女が培ってきた、妖艶でミステリアスなキャットウーマンというキャラクターを木っ端微塵にしてしまうには充分なほどであった。
セリーナはリドラーの顔の上で全身をビクビクと痙攣させて、何度も激しい絶頂を味わっている。すでに大量の愛液がリドラーの顔面とベッドを濡らしているが、当の男側は一切気にすることなくようやく手に入れた極上の雌穴を味わいつくす。
終わることない快感の波に晒されながら、セリーナは器用に自身のキャットウーマンとしてのスーツを脱ぎ捨て始める。それは火照った体にスーツの締め付けが不快であったのもあるが、何よりこれからの交わりに邪魔だと判断したからだ。
セリーナのボディスーツは特殊で、たとえ男にまたがりながらでも脱ぎ捨てることが可能だ。特に今回はすでに股下までジッパーを下されているのだから、そのストリップはより簡単であった。
まるで蝶が蛹から生まれ変わるように、セリーナの男の色欲を詰め込んだような裸体が完全に露わになる。彼女の体から離れたキャットウーマンのスーツが、まるで以前の彼女の終わりを告げるように薔薇に覆われた床に落ちて行く。
そして偶然か、その瞬間にちょうどこれ以上の我慢が出来なくなったリドラーが上半身を上げて、再び彼女を仰向けに押し倒した。
終わりを告げた口淫の快感に寂しさを覚えるセリーナだが、自身の前で目を血走らせたリドラーが逸る気持ちでズボンを下そうとしているのを見てその顔をいつものような妖艶で、男を手玉に取る小悪魔のそれに変えた。
「セ、セリーナ!」
「ふふ、手伝ってあげるわ、はぁむ」
体を起こし、四つん這いで彼の股下に移動したセリーナが淫美な笑みを浮かべて、今度は彼女がリドラーの下半身を覆うズボンのジッパーを唇で摘んだ。そして相手を誘う雌猫のようにお尻をふりふりと揺らしながら、ジッパーを下に下に降ろしていく。
「ああ!」
欲情の艶声を上げるセリーナの前に、ついにリドラーの肉棒が露出される。すでにはち切れんばかりに勃起した剛直はぺしんっと赤く染まったセリーナの頬を叩いた。それがまるでよくやったと褒められたようで、それを合図にセリーナの中にあった一切の自制が消し飛んだ。
ただ目の前の肉棒を自分のマンコに突っ込みたい。この剛直の先端で自分の子宮を突き刺してほしい。早く。早く、早く、早く!
セリーナの思考に釣られるように、彼女の指は無意識に自身の秘所に突き込まれ、リドラーの肉棒が挿入される予行演習のように自慰を行っていた。
「悪いな、セリーナ。だがこれ以上先は君の許可なしじゃ何も出来ない。私は強姦魔にはなりたくないからね」
だから、これ以上をするなら同意の上である必要がある。
リドラーの悪魔の囁きが性に狂ったセリーナの頭に響く。間違いなく彼も限界が近いくせに、わざわざセリーナに確認を求めてくるのは彼女の口から自分を求めて欲しいからだろう。それか先ほどキャットウーマンとしての彼女を敗北させたから、今度はセリーナとしての彼女も自身に屈服した証が欲しいのか。
だがどちらにしろ、セリーナの答えは決まっていた。
「入れて!エド、あなたのチンポを私の発情した雌猫マンコに突っ込んで!私を犯して!めちゃくちゃにして!」
「あぁ!喜んで、セリーナ!!」
その瞬間を、セリーナはその後の人生で決して忘れない。リドラーの亀頭が自身の陰毛に包まれた割れ目を探りあて、ビクビクと侵略されることを求めていた負け雌マンコへと侵入した時、彼女は興奮と幸福で絶頂した。
「ん、んぎいいいぃぃぃ!!」
その固さ、大きさ、長さ、全てが完璧だった。まるでセリーナの膣穴を満たすために、いやセリーナが彼の肉棒に合わせて生まれてきたかのように、初めて入った瞬間から二人の性器の相性は素晴らしかった。
「お、おお、いっイイ、すごいぃ、あひ、あはぁ」
「おお!これがセリーナの!素晴らしい!思い描いていた以上だ!」
結合した瞬間にリドラーも抑えが効かなくなったのか、欲望のままに腰を振ってセリーナの尻とぶつかり合う。もはや下半身から感じる快感にしか意識が向いていない彼は、下のセリーナがどうなっているかなど目に入っていない。
セリーナは脳をスパークするような過剰な快感に半ば意識を飛ばしていた。白目を剥き、開いた口から舌と涎を垂らしながら喘ぎ声だけを出し続けるラブドールのような状態。だが条件反射的に膣穴を肉棒が出し入れする度に締め付けており、彼女が本能でリドラーとの性行を望んでいることを証明していた。
「おっ、おっ、おっ、んおっ?んああっ!!」
何度目かのピストンの末に、ようやく昏睡していたセリーナの意識が衝撃によって強制覚醒される。だが即座にその目覚めさせた衝撃による快楽によって、また喘ぐだけのおもちゃへと変わってしまう。
「んいいっ!いいの!エドのチンポ、すごい!おお、おお!こんなに相性抜群なんて、んひぃ!」
だがさっきと違うのは、今回はセリーナは意地でも気絶する気がないことだ。彼女は全身を駆け巡るエクスタシーの暴力に必死に耐えながら、少しでもリドラーとの、人生で出会った一番素敵な男性との時間を楽しもうとしていた。
「無理ィ、こんなの、こんなすごいセックス味わったら、もうエド以外の男となんか出来ない!ああっ!エド専用マンコになっちゃう!!」
セリーナが狂ったようにリドラーを喜ばせる言葉を吐き出す。高まった興奮が、彼女の内心を無意識にだが口滑らせてしまっているのだ。
そしてそれを聞かされた男が興奮しないわけがない。リドラーのセリーナを突き上げる速度が上がる。結合点からパンパンと激しい尻たぶと腰がぶつかる軽快な音が鳴り響き、誰もいない静寂に包まれた森奥のコテージ周辺に男と女の卑猥な音だけがこだましていく。
「セリーナ!今までよくも私を焦らせてくれたな!こんな淫乱な体で毎回私を誘って、このッ!」
「あぁっ!ごめんなさいっ、あなたを欲情させるだけさせて逃げて!お仕置きして!あなたの躾棒で悪い雌猫の私を教育して!」
リドラーのどこにそんな力があったのか、彼は驚くほどの力強さでセリーナに激しく肉棒を打ちつけながら彼女を組み伏せるように、彼女の細い足を自身の肩にかけるとそのまま彼女の体を押し潰した。それは雄が雌を支配する体勢。とある島国では種付けプレスなどと呼ばれるやり方で、リドラーは極上の雌の膣穴へと自身の欲望を叩き込む。
「イイぃ!エドに、包まれてる!これ、うんぃ!これ、最高よエド!!」
体が折り畳まれるようなきつい体勢だが、セリーナは培ったしなやかで柔軟な肉体のおかげで何の苦痛も感じていない。それどころか、リドラーの肩に回された二の足を器用に使い、まるで足で彼の首を抱き締めるような芸当まで行ってみせた。そしてそれはもちろん、彼を自分から逃さないため。セリーナの発情した貪欲な子宮が彼の子種をなんとしても手に入れろと、彼女の体に求めているのだ。
リドラーはそんなセリーナの行動に気づいているのかどうか。だがどちらにしろ、初めてセックスを覚えた猿のように興奮してセリーナに一心不乱に腰を振り続ける彼が、膣出し以外の選択肢など選ぶはずがないのは明白だ。
「ヒヒッ、ヒヒヒッ、もうこの体は私の物だ!この穴も、この胸も、全部、全部私のッ!!」
セリーナのゴッサムに渦巻く欲望と嫉妬を詰め込んだように柔らかで、しかし心地よい弾力を持った胸の中にリドラーが顔を埋める。
すーはーと、彼女の胸肌の匂いを肺一杯に吸い込み、自身の肌を何度も胸に擦り付ける。そしてその間も一切腰の動きを止めようとしない。
(あ、こんなにカッコいいのに、可愛いところもあるのね)
変態的なその行為に、セリーナが感じるのは嫌悪でも憐れみでもなく、胸をときめかせる恋慕。今の彼女にとって、リドラーの取る全ての行動が好意的にしか感じられないのだ。
「エド、もっと!もっと激しく突いて!!」
セリーナが叫ぶ。すぐ耳元で響いた大声にリドラーが夢心地を邪魔されたと言わんばかりの顔をするが、即座に彼女の潤んだ瞳を見て笑顔を形作る。そして再び彼女の唇に自身の唇を重ね合わせると、彼女の求め通りさらに深く、強く、子宮口まで貫いてしまうのではと思うほどに激しく突く。
密着しすぎて最早一つの塊にしか見えないほどに重なり合ったセリーナとリドラー。二人の野生的な交わりはこの後も数十分、下手したら数時間も続いた。
お互いに抱き合った体勢が崩れることは一度としてなく、何度か上下が入れ替わったり、リドラーが彼女を持ち上げて駅弁ファックの姿勢になっても、お互いの舌を貪り合う二人の唇は離れることはなく、また結合した性器同士が別れることもなかった。
いつのまにか二人の背中は相手を強く求めた証とばかりにお互いの爪痕が食い込み、血が流れていた。だがその痛みさえも、セックスの興奮と快楽の前に容易く溶けて消えた。
最後の方はお互いにほとんど意識のない状態で体だけが性欲に動かされていた。セリーナの乳首を引っ張り、彼女のおっぱいを揉みしだくリドラーが光悦の声と共に熱い精液を自分の子宮に射精したのがセリーナの最後の記憶だった。
リドラーことエドワード・E・ニグマは至福の時間を過ごしながら、アイビーからもらった惚れ薬の評判通りの強力さに満足していた。
目が覚めた時、自分がどこで眠ってしまったのかさえ覚えていなかった。記憶はあやふやで、気づいたら眠るセリーナの裸体を抱きしめて彼女の性器と繋がったままの状態であった。
膣出しをしたかどうかさえ覚えがなかったが、彼女の膣からようやく肉棒を引き抜いた時にその膣穴から大量の白濁液が漏れ出たことから、相当の量を放ったのは間違いないのだろう。
アイビーから薬を買った時、キャットウーマンとの絆が深まるまでに最初は驚くほど凶暴になるかもと忠告を受けていたが、まさかこれほどとは思ってもいなかった。
惚れ薬に含まれたアイビー自身の効能が、かけられた相手を虜にするだけでなく強い執着と依存心を与えることは知っていた。だが実際にその惚れ具合を見た時、ニグマは自身がキャットウーマンに恋に落ちた時の事を思い出し、セリーナもまた同じ感情を抱いてくれた事実に、それがたとえ嘘の感情とはいえ、歓喜の念を覚えずにはいられない。
あのキャットウーマンが、何年も恋焦がれ、求め続け、手を伸ばすたびに小悪魔のように指先をすり抜けていった黒猫が、自分からニグマを求めてきた。股座を彼の顔に押し付け、ニグマの名を呼びながら何度も彼の腰上で淫に踊り狂った猫の姿。その全てが現実に起きた出来事であり、そしてこれからも死ぬまで眺め続けられる景色になったのだ。
ニグマはできる限り自身の身だしなみを整えると、自身が部下として使うロボットを呼び出し、未だ眠るセリーナを彼女の隠れ家へと運ぶように命じた。もちろん、本当なら自分自身で愛した女の送り迎えをしたかったが、予想以上の疲労に実は立っているだけでも限界だった。この状態で大人の女性を担ぎ、数キロ先の街まで運ぶのは、たとえ途中で車を使うとしても現実的ではなかった。
せっかく手に入れた子猫を手放すのは断腸の思いだが、これは必要なことなのだ。全ては惚れ薬の真の効果を発揮させるため。
アイビーの惚れ薬は、ただ使ってセックスするだけが本来の効果ではない。惚れ薬を使われた人間を激しい禁断症状状態に陥らせるのが真の力なのだ。対象は交わった相手を本能レベルで焦がれ、無意識的に本当の恋慕の情を自分の中で形成していく。
それはニグマが聞いた限りかなり巧みであり、対象は相手の美点しか見えなくなっていき、それが自分の好みだと感じるように変わっていく。つまり、恋は盲目と呼ばれる状態をまだ恋する前の対象に植え付け、しかもそれを決して覚めないようにするのだ。
なんとも恐ろしく、そして素晴らしい力だ。もちろん、かつてスーパーマンやバットマンに使いながら効果が破れてしまったことから絶対というわけではないのだろう。
だから今回ニグマはセックスという強い楔を彼女の魂に打ち付けることで、その効能をより強くしようと画策したのだ。そして当然、世界一の頭脳を持つ彼はセリーナが薬の影響から逃れるようなイベントに遭遇しないようありとあらゆる手を打っている。
アイビー曰く、セリーナは今回のニグマとの情熱的な一夜をただの夢としか思わないようである。二人の初夜を夢と思われるのは悔しいが、同時に好都合であった。これでセリーナの口から今夜のことが語られることはないのだ。誰しも淫美な夢の内容を他人に語りたいとは思わないだろう。
だから後は待つだけでいいのだ。目が覚めた彼女が、自分への恋慕を自覚し、夢だと思っている一夜を現実にしたいと望み、ニグマを夫にしたいと、生涯を彼の隣で過ごしたいと熱望するまで。
裸で眠るセリーナの美しい黒髪に手を這わせながら、その約束された未来を垣間見たニグマは、我慢に見合うだけの価値があるのだと確信していた。
もしFFのエロをやるならどのナンバリングが見たい?*FF7は意図的に外しています
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