もしマリーが日本から異世界転移してきた青年を拾って、恋仲になったら?
シグザール王国の首都ザールブルグは世界でも有数の錬金術アカデミーが存在する、錬金術師を目指す者たちにとって夢へのスタート地点ともなる大陸一の大都市であった。
まるで中世のドイツのような街並みが特徴のこの街は、外界から閉ざされるように円形に建てられた巨大な壁によって守られている。その中心には国の中枢たる王城が聳え立ち、そこを中心に広がるように都市は栄えているのだ。
理想的な要塞都市。そう評して良いだろうその街の、とある一角に立つ家に俺は住んでいた。
まだ太陽が昇る前の時間、星の輝きが窓から見える夜中に、俺はふとベッドから身を起こして外を眺めた。
最近やっと見慣れるようになった、俺にとって未知の世界の景色。
俺は、この世界の人間じゃない。地球という星で生まれた、日本人の大学一年生……だったはずのこの世界にとっての異世界人なのだ。
大学の入学式に向かう最中、見たことのない光に身を包まれたと思うと、俺はこの世界にいた。
俺を助けてくれた人の恩師曰く、偶然発生した錬金術による世界と世界を結ぶ空間の捩れに巻き込まれたのではないかと言われたのだが、正直さっぱりであった。
唯一わかったのは、ここが地球の常識とは全く異なる異世界であること。そして戻れる手段がわからないことだ。
「……んっ、どうしたの? こんな夜中に起きて」
ふと、俺が腰掛けているベッドの奥から眠そうな響きを含んだ女性の声が俺に向かって投げかけれた。
視線を後ろに向けると、そこには俺と同じベッドで眠っていた輝く金髪を腰まで伸ばした下着姿の美しい女性、俺の恋人であるマリーが寝ぼけ目を擦りながら俺を見ていた。
マリー。本名をマルローネ・グランブルと言う彼女こそ、俺がこの世界に来て出会った最初の女性だ。
なんでもモンスターの住まう塔の近くに倒れていた俺を、そこの近くに材料の調達に来ていたマリーが助けてくれたのをきっかけに知り合った。
大雑把ながら面倒見のいい彼女は俺をザールブルグまで連れて行ってくれて、困惑する俺に錬金術アカデミーの偉い先生であったイングリドさんを紹介してくれたのだ。
そのおかげで俺はここが異世界であることや、この世界に来てしまった原因の憶測を知ることができた。
そして紆余曲折の果て、俺はマリーのアトリエで彼女の助手として暮らすことになったのだ。
人生初めての女性と共同生活。それも絶世の美少女と言っても過言ではないマリーとの生活は、それはただの大学生であった俺には夢の生活だった。
毎日朝早く起き、錬金のための器具の準備をして、簡単な朝食を作っては朝に弱いマリーを起こす。
時に錬金用の材料を加工し、調合で手が離せないマリーの代わりにアトリエの掃除や客の対応をこなす。
そして時には材料を採取しに街の外に行くマリーに代わってアトリエの留守番をする。
今思うと、完全に主夫である。
そしてそんな生活をしているうちに、必然的に俺とマリーは惹かれあい。
そして今の関係に至るというわけだ。
「いや……俺がこの世界に来たばかりの頃のこと。元の世界のこと、考えてた」
「-----ッ」
ギュッと跳ね起きたマリーが後ろから俺の体を抱きしめてくる。突然のことに驚く俺に対して、体を震わせたマリーが懇願するように俺の首元に顔を埋めながら言う。
「ダメ……帰ろうなんて考えないで。君の居場所は、ここ。私の隣なんだから……!」
強く、強く、俺を絶対に離さないと言うように腕の力を強める大切な恋人の姿に、俺は安心させるように頭を撫でることで落ち着かせる。
「大丈夫。前はともかく、今はもう未練はないから」
「ほんとに? ほんとにほんと? 嘘だったら生きてる縄で縛って、一生アトリエに監禁するからね」
過激なことを言ってくるマリーだが、その声色を聞く限りかなり本気のようだ。
かつて一度、マリーと両思いになってからも、俺が地球へ帰ることを諦めきれず独自にその方法を見つけようとしたことがあった。
それに気づいた彼女は、俺がアカデミーに帰ってくるなり全身を縛りつけ、ありとあらゆる媚薬や忘却薬を使って俺を彼女自身に依存させ、地球のことを忘れさせようとしてきた。
その時はしばらく姿を見せなくなった俺たちを心配したシアが駆けつけ、俺が手遅れになる前に助かったのだが。
それを期に、俺はマリーがどれだけ俺を愛してるのかを認識することになり、そして俺に嫌われたと錯乱気味になったマリーを落ち着かせての二人きりでの話し合いの末、俺は地球に帰ることを諦めた、という一件があったのだ。
それからはマリーはいつものおっちょこちょいで大雑把な、だけどいつも天真爛漫な彼女に戻ったのだが。
今回みたいに俺がふと地球のことを話題に出すと、目からハイライトを消して俺に抱きついてくるのだ。
「本当だって。第一、もうすぐ式を上げるってのに花嫁を置いていなくなるわけないだろ」
「…………うん」
俺の言葉にようやく納得したマリーが腕を離すと、俺の肩に頭を乗っけてもたれかかってくる。
お互いの体温が感じられるほどに近づきながら、手を恋人繋ぎで握り合う俺とマリーは来週ついに夫婦となるのが決まっている。
アカデミーをちゃんと卒業しないと結婚はしないと、俺への依存心で錬金術の方がおざなりになることを心配した俺はそうマリーに条件を出したのだ。
それが効いたのか、マリーは見事歴代卒業生でも数人しか完成させたことがない賢者の石の調合に成功。見事イングリド先生から最優秀アカデミー生徒の一人として、卒業証書をもらったのだ。
そしてその卒業証書を手に帰ってきたマリーに、約束通り婚約指輪を渡して結婚を誓ったのが一週間前。
そしてマリーの親友のシア主導の元、結婚式の準備が速攻で進められたのだ。あまりに早すぎる気がしたが、何でもマリーはアカデミーを卒業したら俺と結婚することを流布して回っていたらしく、前々から準備自体は行われていたらしい。
呆れるやら、何やら。だがそれだけ俺と一緒になれることがマリーにとって嬉しかったのだと思うと、男として喜ばずにはいられない。
「ねぇ……起きちゃったしさ……シよ?」
するといつのまにか俺の股間へとその手を伸ばしていたマリーが、俺の逸物をズボンの上から指でなぞりながら誘惑してきた。
「いや、つい一昨日したばかりじゃないか」
「一昨日も、前だよ。私はずっと君と繋がってたいんだから」
そんな男心を強く刺激することを平然と言ってくるマリーに、俺も性欲を刺激されてしまう。
俺はこちらを見上げて悪戯気に微笑む彼女の顎を掴むと、そのままその形の良い唇に口付けをする。
「……んっ……ちゅ……はぁ♡ ふふ、その気になってくれた?」
「ああ。さすがに恋人にそんなこと言われたて、何もしないのは失礼だもんな」
俺はマリーの下着に包まれた胸へと手を伸ばすと、そのブラジャーをずらし彼女のたわわに実ったおっぱいを手で優しく包み込む。
「あっ、君の手あったかくて……はぁ♡ 安心する、ああっ♡」
握ればその分だけ沈み込む胸の柔らかさは、マリーのこの男を誘惑してやまない双丘が自然のものである証。
そしてこの胸が今では自分の物であるという事実が、数年前までただの日本の一大学生だった俺を昂らせる。
「ほら、揉むだけじゃなくて……いつもみたいに私の乳首……吸っていいんだよ♡」
マリーの甘い誘いに抗える理性なんて俺の中には残ってない。
言われるままに吸い付いた彼女の桜色の突起。すでに興奮で固くなっているそれを、俺は舌で転がし、時に歯で甘噛みする。
そしてわざとちゅうちゅうと音を鳴らして吸えば、マリーが露骨に興奮したような表情を浮かべて喜悦の声をあげてくる。
「あっ♡ 吸われちゃってる……まだミルクも出ない私のおっぱい♡ ああ、気持ちいい……あなたにおっぱい吸われるの……すごい幸せ♡ ごめんね、まだミルク出なくて。すぐに出せるようになるから……! 君と、君の赤ちゃんに飲ませるためのミルク、すぐに出すから……!♡」
赤ん坊のように乳を啜る俺に浴びせられる、絶世の美少女であるマリーの淫猥な言葉。
一体どこからそんな雄を喜ばせる言葉を覚えてくるんだと思わなくもないが、彼女の言葉は俺の中の男としての優越感を強く刺激すると同時に、俺の子供に胸からミルクを与える母親となったマリーの姿を想像させてくれる。
「ひあっ♡ 吸う力、強くなった♡ 興奮、したの?♡ お腹大きくなった私の胸を揉んで、ミルクをぴゅっぴゅって出させる未来を想像したんだね♡ -----ッ!!♡♡」
こちらの興奮をより煽るようにマリーが言葉責めを続けてくる。
彼女は自分が俺の物であることを言うことで、俺が興奮することを知っている。
もっとも、何よりマリー自身が、自分が言った言葉自体に興奮しているのは、上気して火照っていく彼女の肌の温度から丸わかりだ。
今も自分で言って、その光景を想像して軽くイッてしまったのだろう。幸せそうに目を蕩けさせている。
これはそろそろ、本番にいかないとマリーが我慢できなくなるな。
「マリー……下、取るよ」
「♡♡♡……うん、取って♡ 今すぐちょうだい♡」
目にハートを浮かべている彼女は俺の予想通り、もう俺と繋がることしか頭にないようだ。
手で触れたマリーの黒色のショーツはもうすっかりびしょ濡れで、下のベッドシーツにまで大きな染みを作ってしまっている。
(これはまた明日洗濯しないとなぁ……)
そろそろ本当に水を弾くタイプのシーツを錬金で作るべきじゃないかと思うのだが、それをマリーに言うのは正直躊躇われる。
毎回興奮しすぎてベッドシーツをびしゃびしゃにするから錬金で防水シーツを作ろうなんて、さすがにその濡らす側である女性にお願いできるものではない。
意識を明日の家事の予定から戻し、マリーの下着を彼女の足先から抜き取っていく。水分を含んでずっしりとした重さを感じさせる彼女のショーツからは、強烈な雌の臭いが香ってマリーの興奮の度合いを伝えてくる。
俺はそれをベッド脇に置くと、足を広げて秘部を指で開くマリーへと、自分もパンツを脱いで十分なほど勃起した肉棒を近づける。
「マリー、どうして欲しい?」
「愛して。私マルローネが……世界でただ一人、あなただけを愛しているんだって証明させて」
殺し文句として100点満点の告白。俺は亀頭を彼女の秘裂に当てがうと、そのままゆっくりと入り慣れた彼女の膣へと肉棒を進ませていく。
「あっ……はぁぁぁ♡ あなたのが、入ってくる♡ ああ……お帰り、あなた♡」
マリーが至福の息を漏らしながら、彼女の膣にすっぽりとハマった俺の肉棒を下腹部の上から撫でながらお帰りを告げる。
もう何度となくセックスを重ねているからか、マリーにとって俺のペニスが彼女の中にあることが今では自然に感じるそうだ。
これは俺の願望ではなく、実際に以前マリーから言われたことだ。
その時は、俺の物がアソコに入ってないと不安になるからと、俺のペニスを模した張り型を作りたいと深刻な顔で相談されたものだ。
結局、作ったはいいが何でも生の俺の物じゃなきゃダメだったらしく、それ以来ほぼ毎日のセックスを強請られることになったのだ。
「動かすよ、マリー」
「うん……♡」
確認を取ると、入れた時のスローペースとは逆に一気にピストンを始める。
「あっ、ああ♡♡ はぁぁっ♡ チンポがっ♡ そこっ、すごっ♡ あ、あ、ああ♡」
マリーの愛液で濡れて出し入れしやすくなった膣に、自分の肉棒を何度も擦りつけるようにしながら突き刺していく。
その度にマリーの俺の逸物を求めてキツく閉まる膣襞が、極上の快感を俺に与えてくる。
「気持ち、イイよ♡ やっぱり、あなたのチンポ、んぁっ♡ わ、私の体にぴったり、だよね♡ これ、私たちが……あっ♡ 生まれた時から、相性が、イイッ♡ ってこと……だよね♡」
俺の耳元で、マリーが鳴く。小鳥の囀りとは違う、可愛らしくも淫魔のように雄を誘う、雌の鳴き声だ。
それに興奮してより強く腰を彼女のお尻に叩きつければ、亀頭が何かに当たる感触を覚える。
間違いない、マリーの子宮だ。彼女の卵子が保管されている子作りのための部屋。
「ふぐぅ♡ んっ、わかるよ♡ あなたのチンポ、今私の子宮とキスしてるよね♡ いいんだよ……このまま出しちゃえ♡ あなたの精液、全部私の赤ちゃん袋に吐き捨てて♡」
マリーの両腕と両脚ががっちりと俺の体をホールドする。もう子宮に中出しする以外の選択肢は認めないということだろう。
本当にいいのか? と確認のためにマリーを見ると、彼女は心底嬉しそうな目で俺を見つめ返している。
「当たり前でしょ。私たち……もう結婚するんだから。子供がいるのは当然なんだから。だから、私と作ろう? 新しい家庭。そして、ここで一緒に永遠に暮らそう?」
それはマリーの、俺をザールブルグに縛りつけるための最大の切り札だったようだ。
どうやら、俺がついさっき地球のことに思いを馳せていたことを彼女は許していなかったらしい。
未だに俺が地球に帰るんじゃないかと心配する愛おしい彼女の姿に、俺はその答えを返すように強く肉棒を彼女の子宮に突き刺す。
「ふぎゅううう-----ッッ♡♡♡」
「大丈夫。俺はもうマリーを置いてどこにも行かないよ。俺の帰る家は、ここだから」
「はぁ……はぁ……よかったぁ……♡」
安心して俺の頬に顔を擦り寄せてくるマリーの姿は、まるで天使だ。こんな素敵な恋人、いや妻を手放すことなんて出来るはずがない。
父さん、母さん、ごめん。息子は、異世界で生涯をかけて幸せにしたい大切な人を見つけました。
いずれ地球に帰る方法が見つかったら、その時はあいさつに行くから。
「出すよ、マリー。俺の子供、産んでくれ」
「うん、絶対孕むよ。あなたと、私の子供♡」
マリーの了承を告げる言葉に、俺の臨界点を超えた肉棒は勢いよく子種をマリーの子宮に解き放った。
びゅるるるるる!!
マリーの子宮口に限界まで密着した状態で行う中出し。それは、俺の金玉に溜まった精液のほとんどを彼女の子宮内へと送り込んでいく。
「あ、はああああぁぁぁああ♡♡♡ すごい……あなたの精液、私の中で脈打ってる……♡」
幸せ一杯のマリーの顔。その顔に、俺は口付けをしがら最後の一滴まで彼女の子宮へと精を吐き出し続けた。
「ちゅ……んんっ……大好きだよ……♡」
「んちゅ……俺もだよ、マリー」
「ダメ、ちゃんと言って……私のことどう思ってるか」
「愛してる」
「……ふふ、よろしい」
お互いに愛の言葉を囁き合いながら、上と下の口両方を重ね合う。
二十年以上の人生でこんなに幸せな時間は感じたことがない。
そして俺は、俺を抱きしめるマリーの温もりと、肉棒を包む熱い子宮の感触、そして愛する妻との愛の囁き合いに、疲れて眠ってしまうまで、いつまでも浸かっていた。
「本当、君はどうして私がこんなに君のことが好きになったのか、きっとわかってないんだろうなぁ」
眠ってしまった大切な恋人の顔を手のひらで触れながら、私は幸せそうに眠るあなたに少しでもこの胸にある感謝の気持ちを知ってほしいと想いが溢れてしまう。
私にとって君は、君が思う以上に私の心を救ってくれてるんだから。
田舎から村のみんなの期待を一身に背負って出てきた都会で、文字もまともに読めないところから始まった私のアカデミー生活。
使い方もわからないような器具の数々、初めて聞く公式、そんなものを初めから使えること前提で進められる授業。
私が落ちこぼれになるのに時間はかからず、それでも持ち前の明るさと故郷を豊かにするためにと努力を重ねた。
だけどまともに本を読めるようになった頃には、授業はもう私の理解が及ばないほどに進んでいて。
初歩的なことを質問する私を、周りの貴族の少年少女やそんな彼らに媚びを売る教師たちは笑うだけで何も教えてくれなかった。
辛かった。苦しかった。いくらシアから図太くてたくましいと言われていた私だって限界がある。
学生寮の中でも除け者のように扱われ、それでも気にしてないと笑い、だけど全然追いつけない授業の内容に、これじゃあ故郷のみんなの役に立てないと、何度枕を涙で濡らしたか。
そして最終学年となり、卒業課題が迫る中、私はようやく独学で錬金術の基本中の基本である調合薬を完成させる程度の力しかなかった。
絶望し、項垂れる私を救ったのは最終学年で初めて担任となったイングリド先生だった。
彼女は、未だ調合薬しか作れない私を見て、私について色々と聞いてきた。
最初は文字も読めなかったこと、錬金用の器具も、数式もわからないこと、ようやく理解できるようになった頃にはみんなもうとっくに先に進んでいたこと、この調合薬も教科書を読まずに一から素材を分析して作ったことを告げた。
「まさか……錬金術の知識もほとんどない状態で、完成品から成分を分析して作り出すなんて」
何やら驚いた顔をしていたイングリド先生は、私にこれからは今出ている授業に出なくてはいいこと、卒業課題も忘れること、その代わり先生が指定した教科書を一から読むことを告げた。
その内容に、すわ見捨てられたと思った私をイングリド先生は変わらない冷たい瞳で「これが今のあなたのためよ。あとのことは任せなさい」と言って行ってしまった。
それから私は先生の言う通り、図書館で教科書を読む生活を続け、そしてようやく錬金術の基礎と言える部分を理解することが出来た。
だが当然卒業課題も出さなかった私をアカデミーは卒業させるわけもなく、呼び出された私はイングリド先生から留年を言い渡された。
その時の私は、控えめに言ってこの世の終わりの気持ちだった。
だって村のみんなや両親になんて説明すればいい?
みんなが頑張って貯めてくれたお金で送り出してくれた私マルローネはアカデミーを卒業出来ず、時間とお金を全て無駄にしました、とでも言うのか?
絶望する私は、イングリド先生が何を言っていたかをよく覚えてない。
ただ五年を稼いだという言葉と、アトリエを与えるからそこで連中を見返す卒業課題を作れるようになりなさい、という言葉だけは何とか聞き取ることが出来た。
そしてアトリエにたどり着いた私は、ただみんなへの申し訳なさへの重圧に耐えかねて、しばらく何も手がつかなかった。
周りを歩くかつての同級生たちが、それぞれ錬金術師としての道を進む中、私はまだ初歩の物しか作れず、彼らと今の自分を見比べる毎日。
「こんなもの!!」
と何度も出来た調合品を放り捨てては、才能のない自分に嫌気がさしてベッドに縮こまる。
時おり尋ねてくるシアにも会いたくなくて、調合中を言い訳に何度も訪問を断った。
もう心身共にボロボロで、このままみんなに失望されてしまうぐらいなら、死んじゃおっかな、とまで考えて街の外へとやって来て。
そして、君に出会ったんだ。
見慣れない服を着て倒れる君。暗い気分なんて吹き飛んで、慌てて助け起こしたあなたは、私にとって色んな未知のことを教えてくれた。
最初は与太話だと思ってた。デンシャとか、ケイタイとか、全然意味わからなかったもん。
でも、そんな聞いたこともない、でも夢のある話を聞いてる時、私は確かに、留年を言い渡されてからずっと心を包んでいた絶望を忘れてしまっていたんだ。
それからイングリド先生のところに連れてって、彼が本物の異世界人であることがわかってから、私は自分からあなたの世話する役目を申し出た。
世界初の異世界人なんてそんな重要な人、今思えば私なんかに任されるはずないのに、だけどイングリド先生は私の目を見ると、任せたわって言ってくれたんだ。
知ってる? なんとあなたを私に任せるようにイングリド先生、結構お偉方を脅してまわったらしいよ。
先生、私が苦しんでたの知ってたんだって。それであなたを連れて来た私が笑顔だったのを見て、私のために頑張ってくれたみたい。
ふふ、良い先生だよね。
それからのあなたとの日々はね、私にとって本当に地獄から天国に落っこちたみたいだったよ。
あなたは知らないでしょ。私が簡単な調合品を作るたびに、あなたは目を輝かせて、すごいすごいって褒めてくれたよね。
あれ、はじめてだったんだよ? そんなの出来て当たり前って、誰も褒めてくれなかったんだから。
その私を褒めてくれた言葉が、私を認めてくれた言葉が、どれほど私の心を救ってくれたか、あなたはわかってないんだろうな。
きっと私、その頃からあなたのこと、意識しちゃってたりしたんだろうな。
それからもあなたは私の卒業を助けるために、あれこれしてくれたよね。
本当、びっくりするぐらいコミュニケーション力高いんだから。いつのまにか色んな人と知り合いになって……わかってる? 今の私の交友関係、ほとんどあなた経由で知り合った人ばっかりなんだから。
シアともすぐ仲良くなってさ。三人でお茶してる時、私がどんな気持ちでいたと思ってるの? シアとあなたが二人で喋ってるのにずっと嫉妬してたんだよ。
だからシアが来る時は意地でも調合を止めて、二人だけの空間を作らないようにしてたんだから。
ただでさえコミュ力高いのに、掃除も洗濯も料理も、家のこと全部やってくれるとかちょっと卑怯じゃない? あんなことされたら、女の子は誰だってあなたに依存しちゃうから。
その上、私が調合で悩んでいる時はいつも一緒になって考えてくれるし、私が疲れて倒れちゃった時はずっと付きっきりで看病してくれて、そして私が新しい調合に成功したら私以上に喜んでくれて。
ほんと、好きになるなって方が無理だよ。
好き、好き。
大好きだよ。
あなたがいないと、もう私生きていけないんだから。
だから---絶対あなたを元いた世界になんて帰してあげないから。
あなたはもう元の世界に帰らないって決意したつもりなんだろう。
でも、私にはわかるよ。あなたはきっと、本当に元の世界に帰るための方法がわかった時。その先にいるあなたを心配する誰かの声を聞いた時。あなたは戻りたいと、わずかでも思い直してしまうだろう。
許さない。
そんなこと絶対にさせない。
私はあなたのためなら、なんでもするよ。
あなたを喜ばせたくて磨いた錬金術を使って、どんな金銀財宝でも創り出してあなたに捧げてあげる。
あなたが望むなら、私はどんなエッチなことでもしてあげる。
どんな地位も、名声も、金も、私があげるから。
だから、もう私がいない元いた世界のことなんて全部忘れちゃっていいよね?
君に余計な感慨を抱かせる邪魔な物なんて、もう必要ないでしょ?
あなたが元の世界に戻りたいと思う可能性が一ミクロンでもあるなら……私はそれを全部消し去ってあげる。
ずっと秘密にしてるけど、もう準備は出来てるから。結婚式の夜、あなたが飲むドリンクを忘却薬に変えるようにシアと話はついてるから。
あっ、言い忘れてたけど。シアもあなたのこと好きなんだよ。だからあなたにいなくなってほしくないからって、この計画を立てたのシアの方なんだからね。
結婚式、楽しみだね。
私たち、やっと夫婦になれるんだよ。
そしてあなたは、名実共にザールブルグの人間になるの。
ずっっっっと-----私と一緒にね。
裏テーマ:もしマリーが原作よりも心が弱かったら?
ここまで読んでいただきありがとうございます。
マリーのエロって何でないんでしょうか? リメイクが発売された時はマリー関連の二次創作もっと増えると思ったぐらい魅力的なキャラなのに。他のサブキャラにも何人か書いてみたいキャラがいるのでそのうち続きを書くかも(特にミューさんとか)
マリーの独白での学園の様子はほとんど想像です。
でも五年(プレイヤーによっては三年)で賢者の石も作れるぐらいのポテンシャルがあるマリーが、アカデミーに通って調合薬一つも作れない落ちこぼれって……田舎から来た平民の設定、続編エリーのアトリエでのアカデミーの貴族率、ザールブルグのモチーフは中世ドイツというのを考えると、やっぱりそういうことなんじゃと思わなくもなかったり。
もしFFのエロをやるならどのナンバリングが見たい?*FF7は意図的に外しています
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