※この作品はR-18です。

マイナーキャラ妄想短編集   作:ニンニク嫌い

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 婚約者と両思いになったクレアは、タガが外れて深い愛に溺れてしまう。

 大変お待たせしました。八割完成してたのに、最後の二割がなかなか書き上がらず他の作品を息抜きに書いたりしてようやく書き終わりました。お楽しみください。


ハンドレッド(クレア・ハーヴェイ) 純愛 後編

 

 

「ふふ……ふふふ……!」

 

 ああ、まずいですわね。あの夜の日からもう一週間と経ったというのに、未だに彼との会話、そしてその後のキ、キ、キスの事を思い出すだけでにやけ顔が止まりません。

 

 ええ、そう。私と九條 大和はこれで正式に結婚を見据えた恋人同士という事になりました。

 元から婚約者同士なので結婚を前提に付き合っていたのではないかと、第三者なら思うでしょうが私と彼の婚約はこちらが彼に申し込む形で成り立っているもの。つまり、彼がお断りをすれば私たちの婚約関係は無くなってしまう恐れがありました。

 

 それが、あの夜。彼が私の告白を受け入れて、自分も同じ気持ちだと答えてくれた事でその心配は完全に無くなりましたわ。むしろこれで私たちの関係は、両親が決めた許嫁ではなく、お互いを好き合う恋人同士にへと変わりました。

 

 それを思い、実感すればするほど、私の胸は興奮と幸福感でいっぱいになりますわ。今も生徒会室で事務作業を行いながら、ふと彼を思って私の机から見える校内の監視カメラの映像に映る九條 大和の姿を追ってしまいます。

 

 私はリトルガーデンの生徒会長であり、同時にこの学園艦の艦長。艦の安全を守るために、艦内中の監視カメラの閲覧権限を持っています。ええですから、私が生徒会長の仕事の一環として常にカメラに映る映像を確認しているのは別におかしい事ではありません。

 あ、今九條 大和が鳥を見て微笑みましたわ! 他人にはわからないような微細な口角の動きですが、恋人である私にはわかります。

 

 ----ッ!? 女子生徒が彼に話しかけていますわ。しかもあの生徒、彼を見て頬を赤らめて! 私の婚約者であり未来の夫に対して何を色目を使っているのですか!

 あれは確か二年の子ですわね。あとでリディたちに頼んで調査してもらう必要があるようね。

 

「いや、何をストーカーみたいな事をしてるんだよ会長」

「ああ、エミリアさん。いらしていたのですね」

「5分前からいたんですけど」

 

 突然かけられた声に私は監視カメラから視線を外し、それでも視界の端に九條 大和を捉えていますが、目前にいるエミリア・ハーミットへと向かい合います。

 まったく、私は今大切な恋人に付く悪い虫を取り除くのに忙しいというのに。

 

「それで、一体何の要でしょう。見ての通り私は生徒会長の仕事が忙しいの」

「何からツッコんで良いかわからないから、触れないでおくよ。あの会長も色ボケってするんだねー」

 

 本来なら客人のもてなしを任せているリディとエリカには所要を頼んでいるため、今この生徒会室には私と彼女のみ。呆れたようにやれやれと手を振るエミリアさんですが、それは心外ですわ。

 市民の安全を守るのは武芸者として当然の行動。そして夫に不貞の輩が近寄らないようにするのは妻たる私の役目。ですから私の行動に不自然な点など何一つありませんわ。

 

「ああもう、自覚がないならいいよ。ハヤトに迷惑かけなければ僕はそれで構わないしね。はい、これ訓練室の申請書」

「ええ、確かに受け取りましたわ」

 

 エミリアさんの手からハンドレッドを使用しての訓練場の使用の許可を求める書類を受け取る。右から左にサッと目を通し、不備や記入漏れがない事を確認する。彼女と如月ハヤトは何度も今回のような訓練の届けを出していますし、あまり心配はしてはいませんが、念には念を。

 

「ふむ……特に問題はありませんわね。確かに受理しました」

「どうも、会長さん。………………ところで、ずっと気になったてたんだけどさ」

「なんですの?」

「----その、腕時計なに? そんなの付けてたっけ」

 

 腕時計? ああ、私が右腕に付けているモノのことですの? 確かに形状が似ていますからエミリアさんが間違えるのも無理ありませんわね。

 

「これは腕時計ではありませんわ。心音受信端末、九條 大和の脈をリアルタイムで送信してくれる携帯型装置ですわ」

「会長一回セラピーとか受けたほうが良いんじゃないかな?」

 

 ドン引いたような表情をするエミリアさんですが、何をそんなに驚くのでしょうか?

 愛する人が健康である事を常に確かめておくのは淑女の嗜み。何よりこの装置から伝わってくる彼の心音を感じるだけで、彼が今どんな感情を浮かべているかが手に取るようにわかりますのよ。それすれば、私も自然と彼と一体化したような気分になれて実に素敵な体験が出来るというのに。

 

「そんなに執着されてるなんて、初めてあの御曹司に同情しちゃったよ。この間のライブの日に何があったか知らないけど、ちょっとやりすぎなんじゃないの?」

「そんなわけありませんわ。本来なら四六時中一緒にいたいところを、お互いに立場と責任があるからと心音計測機を付けて、私に常に送ることで妥協したのよ。むしろあと盗聴器や小型カメラを仕込みたいぐらいですわ」

 

 私が以上の事を彼に告げた時、エミリアさんと同じような顔をされて「女性と言うのは難しいな」と言われてしまったのは不服でした。サベージが侵略を仕掛けてくるような世の中、このぐらいの用意周到さを持って恋人を守るのが武芸者だと言うのに。

 

「うわぁ…………あんまり束縛しすぎると嫌われちゃうんじゃないの?」

「そんなことありませんわ!!」

 

 思わず机を叩きつけて反論してしまいました。私が彼に嫌われるなんてこと…………いいえ絶対ありえません。そんなの想像したくもないですわ。

 

「んんっ! いいですか、エミリアさん。私と九條 大和は婚約者ですが、れっきとした両思いの恋人同士なのです。何よりも私と彼はすでにき、き……接吻までした仲なのですから」

「えっ……確か婚約者になったのって半年前だよね? それなのにまだキスまでしかやってないの!?」

「な、キスまでとはなんですか! 私がどれだけ状況と雰囲気とセリフを考えたと思ってるの!」

 

 あの告白の一ヶ月前からテンパらないように練習に練習を重ねていたと言うのに! まあ、本番ではほとんど緊張でセリフが浮かんでこなくなってほとんどフィーリングで話していましたが!

 

「それなら僕だってハヤトとした事あるよ。意外と会長って、ウブだったりしたんだね」

「……っ! そ、そんなことはありませんわ! 私は無敗の女王、恋愛事においても無敵です!」

「はいはい、でも束縛しすぎは嫌われるのは本当だよ。まあ、あの御曹司にどこまで普通の恋愛観が通じるかは分からないけどさ」

「ふ、それなら心配いりませんわね。彼の事は私がこの世の誰よりも理解していると自負しています。彼の知らない顔などないと断言できますわ!」

 

 少々平常心を乱されましたが、言った通り私が知らない彼の顔などありませんわ。もちろんお互い立場ある者として隠し事の一つや二つはありますし、それも今は許容します。ですが、彼が他人に見せない表情や仕草を引き出せるのは婚約者たる私しか居ないと確信しています。

 

「ふふ、あなたは見たことないでしょう? 九條 大和の嘲笑でも社交辞令でもない、本当の笑顔を! 私はそれを何度も見ています」

「ふーん。それって、今監視カメラに映ってる彼が浮かべているような?」

「ええ、そうですわ。あれこそ九條 大和が婚約者たる私にだけ見せてくれる本当のか……お…………はぁぁああ!!?」

 

 慌てて監視カメラの映像を確認しますと、そこには如月ハヤトとたこ焼きを頬張る私の婚約者の姿が!

 な、な、な、なんですのあれは! 私でさえ見たことのないような満足そうな表情をどうして如月ハヤトの前で見せているのですか!! しかもなぜたこ焼きなんですの!? そんなの食べる方じゃなかったはずでしょう! まさか、初たこ焼き!? 初たこ焼きを私以外に捧げたと言うのですか! くぅぅ……! おのれ如月ハヤト!! 私の胸を揉んだだけでは飽き足らず、私の婚約者の初めてまで奪おうとするのですか!!

 

「ちょっと会長!? 瞳孔開いてる開いてる!!」

「ふふふ……エミリアさん。少しお話……よろしいですよね?」

「わ、わかった! わかったから、その光のない目でこっちに詰め寄って来ないで……!!」

 

 

 

 

 

 

 

「まさか君の部屋に呼ばれるとはな……これは学園の規律を守る生徒の長として、あまり褒められた行為ではないのではないかね?」

「そうですわね。ですが、私はリトルガーデンの生徒会長であると同時にワルスラーン社の社長令嬢でもあります。そんな私が、婚約者を一度も部屋にお招きしていないなんて、下世話な勘繰りしか脳のない方々がおかしな勘違いをしてしまいますわ」

 

 太陽が沈み、月明かりだけがリトルガーデンを照らす時間帯。私は初めて彼を自室に呼んで、完全なプライベート空間での蜜月を楽しんでいます。

 

 生徒会長であり、艦長でもある私に与えられた私室は他の生徒の物より数倍は広さと豪華さに違いがある。あまり過度な装飾を好まない私は、元々部屋に置かれていたアンティーク以上の物を運び入れたりはしていませんが、それでも内装にかかった値段を合計すれば首都の一軒家が一つ二つ買えてしまえるほどの額になりますわ。

 

 それに加えて私の私服や制服、実家から持って来た数少ない私物やメイク用品を加えますともう一軒は買えてしまうでしょうか。まぁ、私にとって重要なのはこの部屋がこれから彼と過ごす、人生で忘れられない夜に相応しいかどうかだけ。

 恋人を部屋に招く。その意味を、あの聡明な彼が理解していないはずがない。

 

「さて----」

 

 ことり、と彼が持っていたグラスを机に置く。私が先ほど注いだ最上級のシャンパンを、一流のソムリエさながらに堪能した彼はこちらに視線だけで人を蠱惑させるような流し目を送って来る。

 

「酒を楽しむのは、ここまでにしよう。あまり飲みすぎて、これからの事を忘れる無粋な男にはなりたくないのでな」

「…………! え、ええ……そうね」

 

 やはり、彼は気づいていた。気づいた上で、何も言わずに私をエスコートしようとしてくれている。女性である私に恥を欠かせないようにと、普段傲慢で俺様主義な彼らしくない、婚約者の私にだけ見せる気遣い。それが、私が特別である事を示していて、知らず唇が思わず弧を描いしまう。あの九條 大和にとって、唯一の女に私がなっているのだと言う優越感を覚えてしまう。

 

「んっ…………!」

 

 立ち上がる彼。潤んだ瞳で見つめる私に、彼はそっと口付けをしてくれる。唇と唇が触れ合うだけの淡いキス。思わず彼の口内に自分の舌を向かわせようとした私の女の部分を、必死に淑女としての私が押し留める。

 もう、これじゃ満足できないと告げる私の下腹部が、より肉欲的な絡みを切望しているのだ。

 

「ねぇ、あなたのために用意して来た物があるの」

 

 私の口元から離れ、手を差し出して百点満点の女性を誘う笑みを見せる九條 大和に対して、私はエミリアさんからのアドバイスを受けて兼ねてからこの日のために準備していた物を取り出す事を決めた。

 

 私の返しに少し眉根を顰める彼。ごめんなさいね。きっとあなたのことだから、私が何もしなくてもとっても素敵な夜を私にプレゼントしてくれるのだと思います。でも私の心は……私のあなたへの想いは、もうただ素敵なだけの一夜では満足できませんの。

 

 もっとドロドロで、他人には言えないような欲望と淫欲を剥き出しにした交じり合い。お互いの存在以外何も考えられなくなるような退廃的な雄雌セックス。それじゃないと、私もうこの子宮の疼きを我慢できませんから。

 

「----クレア……ハーヴェイ……それは……?」

「クレアで、構いませんわ。私もこれからは、あなたのことを大和とお呼びします。本来なら、もっと早くにそうするべきでしたのだから」

 

 着ていた制服を脱ぎ捨てる。ブレザーを下ろし、リボンを解く。シャツのボタンを興奮で高まった指先で外して、同時にスカートのホックを緩める。そして体に纏っていた物を地面に落としたことで彼の前に晒したのは、武芸者がハンドレッドを使った戦闘で身につけるヴァリアブルスーツ。

 スーツ自体がハンドレッドと同じヴァリアブルストーンによって構成されているために、武芸者個々人のエナジーによってその形状を変え、布一枚とは思えない耐久度と裸の時よりも動きやすいと言われる伸縮性を可能とした人類のもう一つの発明。

 ですが、その特性からなるべく使用者の肌にスーツが触れるようにしなければならず、全身に吸い付くようにぴっちりと張り付くヴァリアブルスーツは、特に女性にとっては体の輪郭を大きく強調する物になってしまいます。

 

 武芸者として戦う心得を幼い時から覚悟していた私はあまり気にしてはいませんでしたが、この格好をした女性に欲情してしまう男子生徒は決して少なく……いいえ、かなりの数いることはこのリトルガーデンを牽引して来た中で理解しました。特に、私のヴァリアブルスーツ姿を見て鼻息を荒くし、目を血走らせた殿方を、それはもう大勢見て来ました。

 

 私は生徒会長として、そんな彼らの欲望を否定することは致しません。度が過ぎなければそう言う邪な感情を抱いてしまうのも仕方ないと許容していましたし、一線を超えるような事をした生徒にはきっちりとその重さに見合った罰を与えました。

 

 話がずれましたが、ここで重要なのは私のヴァリアブルスーツ姿は多くの殿方にとってかなり魅力的に映るということ。胸を強調し、鼠蹊部ギリギリのこのハイレグスーツは、男性の雄を刺激する最強のアイテムなのだと、エミリアさんは私に仰いました。

 

「どうですか、大和? あなたを想って、特別に今日のために着てきましたの」

「…………君らしくないな。武芸者の身を守る大切な装備たるそれを、まさか男と女の情事のための道具にするつもりか? それは----」

「いただけない、かしら? ふふ、予想通りの反応よ……私の大和」

 

 心臓の鼓動を早める熱が、口から甘い吐息となって漏れ出してしまう。彼にこの女としての自分の選択と服装を晒してから、彼を見つめる目が情欲の炎しか宿していないのが自分でもよくわかる。

 

「これは証明ですわ。クレア・ハーヴェイはワルスラーン社令嬢としてだけでなく…………武芸者、無敗の女王としてもあなたに愛を捧げるのだと」

 

 その姿に、初めて彼が--あの傲岸不遜で決して余裕を崩さなかった大和が、初めてその瞳にほんの微かな動揺を見せた。それは常人なら決して気づかないような揺れ。だけど、私にはわかる。私にしかわからない、彼の自身の想定を覆した相手への警戒の目。

 

 思わずペロリと舌なめずりをしてしまう。彼が私の策で調子を崩された事に興奮している私がいる。私を紳士的にリードして、あくまで主導権を握ったまま初めてを終えようと考えていた彼に、女の本気を見せられたことに負けず嫌いの私が歓喜に打ち震えた。

 

「でも、あなたもそう満更ではないみたいね」

「…………」

 

 彼の目から今度こそ完全に感情が消える。それは彼が怒ったから…………ではない。私に一切考えを悟られないようにと、意識的に感情をコントロールしたのだ。こうなると数多の政治家や資産家、リトルガーデンに通う多感な生徒たちを見てきた私の鑑識眼を持ってしても彼の考えを読み取ることは不可能。

 だが、彼がこの対応を即座に行ったことが私の問いが図星であったことの何よりの証拠だ。つまり、彼は私の今の姿に興奮している。天上人と見紛う聡明さと覇気を纏っていた大和も、私の体に劣情を抱く一人の殿方であったということ。

 

「----」

 

 顔が獲物を見つけた蛇のように釣り上がってしまう。愛しくて、愛しくて、愛しくて、初めて本気で添い遂げたいと思った人が私の磨き上げた体を気に入ってくれている。それを喜ばない女など、この世にいるはずがありませんわ。

 

「忘れられない夜に、してくれるのでしょう? ええ、安心してちょうだい……私も、あなたにとって忘れられない夜にする事を約束しますわ」

 

 肌の露出面積が多いヴァリアブルスーツでは、私の火照った体はよく見えるでしょう。赤く染まり、汗の玉粒を浮かばせた肌は、自惚れでなければかなり淫靡に見えるはず。

 近づく私に対して、彼は不動だ。後退りしたり、動揺して体を強張らせたりもしないのは、彼のプライド故だろう。ええ、それも読んでいましたわ。あなたなら、女性からのアタックに対してどれだけ心を狼狽させられても、決して逃げたり腰を折るような軟弱な対応をしないと。

 

「はぁぁ……♡ さぁ、ベッドに行きましょう。私の大和♡」

「…………ああ、今夜ばかりはリリスの声に耳を傾けるとしよう」

 

 彼の耳元に熱い吐息を吹きかけながら、ベッドへとそっと押し倒す。あくまで余裕を装うとする彼を、これから私しか見れない、感じれないようにするのが堪らなくなる。

 

「ん、ちゅぅ♡ じゅるる、ちゅる、ちゅぱっ♡」

 

 ベッドに仰向けで倒れた彼の唇をまず自分の口先で蹂躙する。さっきは出来なかった性欲に任せた獣のようなディープキスを、マウントポジションを取った状態で彼へと捧げる。

 歯茎を、頬裏を、奥歯を、舌裏を、私の舌で触れてない所は無いと言えるまで念入りに、徹底してマーキングする。

 

「じゅるるる♡ じゅぱ、んんっ♡ ふぅ、ふぅ、ふぅッッ!!♡」

 

 好きな男の顔が目の前にある。好きな男の舌が私の舌に絡みとられている。彼の胸が私の胸と重なり合い、自慢の双丘を潰してくる感覚が心地よい。ヴァリアブルスーツで強調される鼠蹊部を彼の下腹部に押し当てると……ああ、やっぱり興奮しています。女性にはない固い怒張が私の股間に触れてくる。

 

「んんっ!!♡ ちゅ、ちゅぱ、じゅずず……ああっ!?」

 

 すると突然、圧倒的に優位な態勢で彼を貪っていた私の視界が反転する。上から下へ。支配する側からされる側の位置へと差し替えられる。

 

「あまり、調子に乗らないでもらおう。この私がベッドの上で女性相手に何も出来ずにされるがままだったなどと、沽券に関わる」

「あら、どうされちゃうのかしら。教えてくださらない? 愛する婚約者に襲われたくて人類を守るための装備で、破廉恥にも誘惑しようとする無敗の女王に」

 

 私の挑発に、彼の私の腕を握る手が力を増す。瞳は相変わらず無感情を貫いているが、その美貌の顔に少しずつ赤みが回って来ている。

 ああ、ようやく効いてきたみたいね。

 

「このたわわに育った胸も、こっちの肉付きの良い太ももも、そして私が今まで守って来たここの純潔も…………全部好きにしてよろしいですわ」

 

 マウントポジションを取った彼に対して、わざと胸を揺らしてその先端ですっかり彼を想って勃起した乳頭を見せつける。脚を左右に開いてよりV字型に食い込んだヴァリアブルスーツの股間部を広げれば、くちゅりと卑猥な音がスーツ越しに音波を揺らす。

 

「私を、大和の物にしてください。私は、今日そのためにここにいるのです」

 

 殿方を最も興奮させる声音で、殿方の雄を最も刺激する言葉を紡ぐ。そうすれば、いくら私が誰よりも愛して尊敬する九條 大和--私の夫と言えど、媚薬と興奮剤と強壮剤を混ぜ合わせた特製シャンパンを飲んだ後では自制心を抑えられるはずがありませんわ。

 

 そう、私がエミリアさんに教えてもらったもう一つの案。彼女は冗談とか、そう言うのがあれば良いぐらいの願望的なノリで言ったのでしょうが、リトルガーデンの艦長でありサベージ社の社長令嬢たる私にかかれば用意できない物は御座いませんわ。

 

 どれか一つでもエッチの時には十分だと記入されていたそれらを一つにまとめて、味の風味が強い高級シャンパンに溶かした。彼が私の出す物を疑いなく飲む事がこの策の条件でしたが、すでに彼とそれだけの信用と愛を培っている自信のある私にとってそれは問題たり得ません。そして事実彼はシャンパンを飲み干し、その時点で私の狙いはほぼ達成された。

 

「はぁ……はぁ……っ」

 

 私の上で少しずつ息を荒くして行く彼の瞳が、無感情から熱い情欲に染まった物へと変化して行く。彼の視線が、私の恥部へと注がれて行くのが感じ取れる。

 もう一押し、それで終わり。完全無欠の九條 大和は、私しか見れなくなる。

 

「----私を、孕ませて♡」

「……っ!」

 

 私の一言に、彼はタガが外れたようにその両手を私の胸へと伸ばす。むにゅりと、彼の手の平の形に合わせて私の乳房が形を変える。

 

「ああっ♡♡」

 

 口から漏れた声は歓喜と悦楽の両方。ついに大和が私を激しく求めてくれたと、人生で彼と両想いになれた時に次ぐ喜び。

 

 彼の手が触れた場所が、ヴァリアブルスーツ越しなのにまるで直に触られたかのように彼の熱を感じて甘い快感を脳に送り届けてくる。

 いや、もしかしたら実際に直で触られているのかもしれません。なぜならヴァリアブルスーツは装着者のエナジーに沿って形を変える物。エナジーとはすなわち武芸者から放たれる微粒子状の物質。その詳しい解明は未だ進んでいないが、ハンドレッドが武芸者ごとに全く違う形状武器になる事から魂が関係しているのではないかと提唱された事がある。もちろん何の学術的根拠のない説で、主流のハンドレッド研究科たちからは見向きもされないが、私はその仮説もあながち間違いではないのではと以前から思っていました。

 

 そしてもし、その説が当たっていると言うのなら、私を包むヴァリアブルスーツは私の魂に従って形を変えるという事。つまり、私が大和に直接胸を揉まれたいと望めば、極限にまで防御を薄くした大和限定の激弱雑魚スーツに変貌することになります。

 

 それは----

 それはなんて素敵な事なのでしょう♡

 

「ふぎゅううぅぅ♡♡♡」

 

 彼が私の乳首を指先でカリカリと弾いた瞬間、脳が沸騰するような激しい電流が走り抜ける。今まで出したことのないような淫らな声が自然と口からこぼれ出て、ヴァリアブルスーツに覆われた割れ目から愛液が分泌されて雌の臭いを部屋に充満させてしまう。

 

 ああ、間違いありませんわ。私のヴァリアブルスーツは今、裸と大差ないぐらいの防御性能しか御座いませんわ。だってこの乳揉み、いつか如月 ハヤトにされた時とは比べ物にならないぐらい気持ちいいんですもの。それは心を許していなかった彼と違い、私の体が、魂が、大和になら全てを捧げてもいいと無条件降伏している証拠。

 

「ああ! もっと……もっと私の胸を、触ってちょうだい! あなたに、はぁっ、触らせるために育てた、んひぃっ、私のおっぱい、乳首! 欲望のままに蹂躙して……!!」

 

 無敗の女王としての威厳を捨て去るマゾ媚び言葉を発するたび、彼のおっぱいを責める手が苛烈さを増す。それが嬉しくて、気持ちよくて、私はさらに激しくされようと武芸者失格の嬌声を響かせます。

 

「あくぅ゛っ♡ おっ、お゛っ、おおぉ゛ッ! おおぉぉオ゛オオ♡♡!!」

 

 動物のような、それこそ母乳を搾られて鳴く雌牛のように最低限の礼節を持つ女性なら決して発さない声を上げる。地位も実力も知能も、世界でトップクラスと自負する私による家畜の雌声。それは特急の媚薬を使っても胸を揉むだけに留めているという、普通ではあり得ない鉄のように固い九條 大和の自尊心を木っ端微塵に砕くためのダメ押し。

 

 私の全てを捧げても両想いの恋人になることしか出来なかった彼との関係を、365日子作りセックスをするラブラブ夫婦に変えてみせる。そのためなら、私はどんなあさましい雌にもなってみせますわ。

 

「ああ……あなたのオチンポ、そろそろズボンに隠しておくのは限界なのではありませんの? ふふ、妻である私がお世話しますわ♡」

 

 私の視界の端に映ったテントを張った彼のズボン。それを確認した瞬間、私はそっと彼の耳元に囁く。その際にたわわに実った胸を掴む彼の手を上から握れば、何を言いたいのか聡明な彼なら理解してくれるはず。そして頭を快楽と興奮で麻痺させられてしまった彼が選び取る選択は一つ。

 

「……この私を誘惑するとはな。さすがだよ、クレア」

 

 大和が服を脱ぎ捨てる。何十万もする高級さと利便さを合わせ持ったスーツの下から露わになるのは、鍛え上げられた理想的な男の裸体。それだけで思わず私の子宮がキュンとときめいて、この雄の子供を産もうと排卵の準備を始めてしまう。

 

 殿方が私の体を見て生唾を飲み込み食い入るように見つめていた時、正直不快で気持ち悪いと感じたことは多々ありました。でも、こうして大和の裸を見るたびに私はもう彼らの感情を侮蔑する事が出来ません。

 だって彼の裸を見た私は、今すぐ彼の体にしゃぶりついてキスマークを付けて、唾液塗れにして匂いを嗅いで、全身に私の体や秘部を擦り付けたい欲に駆られるんですもの♡

 

「はぁ--ッ♡ はぁ--ッッ♡ はぁ--ッッッ♡」

 

 目前にぶら下げられた愛する男の素肌に我慢が効かなくなる。目前に人参をぶら下げられた馬のように唾を垂らして鼻息荒く舌を伸ばしそうになってしまいます。それをなんとか耐えられたのは、これからそれ以上の魅惑の雄棒を咥えられるとわかっているから。

 

「ここまで、私を煽ったのだ。覚悟は出来ているのだろう?」

「----♡♡♡」

 

 彼の肉棒が目前に突き出された。ずっと待ち望んで来た彼の子種を私の子宮に射精してくれるこの世の何よりも愛しい雄棒。

 

「もち、ろんですわ♡ はぁ、はぁ♡ たっぷりお世話、ご奉仕……♡ して、さしあげますから……んぉ♡」

 

 むわっと、雄の臭いが鼻口をくすぐった。瞬間、私の理性は切れた。最低限の彼への応対も忘却し、ただ欲望のままにその先端にしゃぶりついていた。

 

「んじゅうう!! じゅぷっ、じゅる、んぼぉぉッ♡♡ じゅぞぞぞ、ふご、んぐっ、んんんッ♡♡」

「なっ……! くっ……!!?」

 

 彼のオチンポを口一杯に頬張る。ようやく口に入れる事叶った愛する男の逸物は、予想以上に熱くて肉厚たっぷりで、それが本物の彼のオチンポであるとこの瞬間に私の脳に絶対に消えないようアップデートしておきますわ。

 

「ち゛ゅるるる!! じゅぼ、じゅぶっ!!」

 

 咥えた彼のオチンポを起点に頭を上下させて、彼の熱と肉感が何度も口内を擦り上げさせる事で、ここが彼専用の口マンコなんだって彼に刻み込んでもらいます。もう一日に一回は私の口に射精しないと満足出来ない体にさせますわ。

 

 そして当然、この日のために神から授かった私のおっぱいを使ったパイズリも加えて彼の肉棒を奉仕する。一度口から彼のオチンポを解放すると、想像以上の快楽に腰を引こうとした彼を逃さないよう即座に肉棒をサンドイッチにして捕縛。挟み込んだ肉棒が胸肉で見えなくなるほど強く包み込み、その谷間からわずかに覗く竿と亀頭を口を窄めることで咥える。頬をへこませて、口を尖らせた下品な顔になってしまいますが、それが男を興奮させる姿であることはこの日のために読み込んだエロ漫画で学習済みです。

 

「むぢゅ、ぢゅるっ、ずずずっ、じゅぷぅぅ♡♡」

 

 両手で抱えた乳房で肉棒を中心に挟み込んだまま上下左右に不規則に揺らす。時折り肉棒を咥えたまま彼の様子を上目遣いで観察して、彼が最も気持ちよさそうな感触を観察する事でよりパイズリフェラの完成度をアップデートします。

 そのために武芸者として培った観察眼をフルに発揮すれば、私の今までの戦いや訓練が愛する男に奉仕するためにあったような錯覚に見舞われますが、それを悪いことと思えなくなっている私はもうとっくに手遅れなのでしょう。まぁ、責任を取ってもらえるので何一つ後悔することなく堕ちてしまえますが。

 

「くっ、これは……ッ! 想像以上に……!」

「じゅるる♡ ぢゅぷ、ぢゅぱ♡ んぁっ、出して……いつでも射精して良いんですのよ♡」

 

 胸に挟んだ彼の肉棒がビキビキと固さを増していくのを感じて、私は彼の臨界点が近いことを感じ取った。初めての愛する殿方の射精。それを口に受け止められると思った瞬間、彼の肉棒に奉仕する口と胸の動きを激しく変えてしまう。

 

「ぐっ……!!」

 

 だがこの期に及んで彼は媚薬と私からの快楽に抗って射精を拒んでいます。それが彼のプライドによるものだとわかっていますし、それは妻として尊重しますわ。

 でも----そんなモノ、今日限りで私の前限定で捨ててもらいます♡

 

「じゅぷ、じゅぷっ♡ ぢゅろ、ぢゅずず♡♡」

 

 胸で彼の肉竿の根本を柔らかく圧迫し、飛び出した先端を下から上にと、中に押し留められている雄汁を搾り出させるように吸引する。そうすればどれだけ強靭な意志があろうとも関係なく、限界近い彼の肉棒は雄の生理反応としてスペルマを放出するしかありません♡

 

(さぁ、諦めなさい大和♡ 舌戦ではともかく、フェラ奉仕でならあなたに勝ち目はありません♡ 早く観念して、私の口にあなたの優秀な子種を吐き出しなさい♡♡)

 

「くっ……おおっ! イクぞ、クレア……っ!!」

 

 びゅるるる!

 

「ふぅ----ッッ♡♡♡!!!」

 

 口内が初めて味わう大和の精液で満たされる。我慢した影響か、勢いよく射精された白濁液の一部が私の喉奥にまで届いて直接胃の中へと送られますわ。

 粘ついて、少し苦味のある殿方の液体。昔の私なら飲めたモノではないと吐き出したでしょうが、それが大和の体から排出されたモノだと脳が認識した瞬間、私が今までに飲んできたどんな高級料理よりも美味に感じられてしまいます。きっとこれが、愛の魔法と呼ぶのでしょうね。

 

「んぐっ、んくっ…………ごくっ♡ ぷはぁ……♡」

 

 そして気づけば、私は口内に放たれた彼の精液の全てを飲み込んでしまいましたわ。飲み残しがないよう、何度か肉竿をストロークして亀頭からこぼれ落ちる最後の一滴まで私の舌先へと射精させて。

 私は、九條 大和の初射精を全て体内に吸収したのですわ。

 

「とても、美味しかったですわ。これなら、毎日だって飲みたいぐらい」

 

 その言葉に嘘やお世辞は欠片もありません。真実、大和の精子なら私は喜んで毎日飲み込んであげるつもりです。それほどまでに私は、彼の全てに身も心もラブラブなのですから♡

 

「はぁ、はぁ……そうか。だが、今宵はこれまでとしよう。お互い……これ以上は些か興が乗りすぎてしまいそう----むぐッ!?」

「はむ、じゅるる♡ どこに行くんですの、私を孕ませるまで、逃しませんわよ♡」

 

 射精した事で薬の効果が少し弱まり、まともな思考が戻って来てしまった大和の体へと馬乗りになって口を塞ぐ。危なかったですが、こうしてマウントポジションを取ってしまえば薬で体をうまく動かせない彼に私を押し除けて逃げる事は不可能ですわ。

 

 もうTバッグと見紛うほどにまで食い込みが激しくなってしまったヴァリアブルスーツを、彼の再び勃起し始めた雄棒に擦りつけると、流石に事の異常に気づいた大和が憎々しげに私を焦点の合わない瞳で見つめて来た。

 

「まさか……この私が、一杯盛られるとはな。これほどの屈辱を……受けたのは……お前が初めてだよ、クレア……っ」

「フフ、光栄よ私の大和。あなたの初めてになれて。でも安心して。その屈辱も、すぐによかったって思わせてあげますわ。私の初めてを、あなたに捧げてね」

 

 くちゅりと、わずかにずらした股間部のヴァリアブルスーツから露わになるすっかり愛液で濡れそぼった私の秘所。そこに彼の肉棒を手で誘導して亀頭を重ね合わせた事で鳴った卑猥な蜜の接着音。

 それを聞いただけでゾクゾクとした興奮が背筋を駆け巡って、私の情欲一色に染まった心はもうこれからの情事を思って大量の淫液を彼の腰に垂れ流してしまう。

 

「クレア・ハーヴェイがあなたの物であるように----九條 大和、あなたは私だけの物よ♡」

 

 

 

 宣言と共に、ゆっくりと腰を下ろす。彼の肉棒が私の女陰をこじ開け、襞を掻き分けながら膣の中へと挿入って来る。

 

「----ッッ♡♡」

 

 まだ処女膜にさえ届いていないのに、私の全身が彼と繋がりあっていると言う感覚に歓喜に震えています。ゴツゴツとして、それでいて熱く胎動する彼の肉棒の存在感が内側からでも強く感じ取れる。膣襞がようやく迎え入れられた愛する夫の繁殖棒に興奮して、愛液を分泌しながらその剛直に絡みついて、もう中出しするまでは離さない♡ って言葉よりも雄弁に私の意思を彼に伝えてしまう。

 

「ふぅ--ッ♡ ふぅ--ッッ♡ さぁ、準備はいいかしら私の大和? 夫婦の最初の種付けセックスの時間。私たちのこれから続く子作り生活の一回目♡ もう、一日一回私の膣に挿入れないと満足出来なくなるぐらい、病みつきにさせてあげますわ♡♡」

 

 宣言と共に、私は今日まで育った数多くの雄を誘惑させてしまっていた臀部を一度だけ持ち上げると、そのまま強く彼の腰に叩きつけました。

 

「んいぃぃィイいい----ッッッ♡♡♡!!!」

 

 脳が真っ白に染め上げられました。処女膜が破られた痛みが直後にやって来た快感と幸福とで塗り潰される。膣口から臍裏までを貫き占領した雄々しい剛直の存在感に、私の体がもう彼のオチンポのケースになってしまったかのような錯覚を感じます。まぁ、なれと言われれば喜んでなるでしょうが。

 

「はぁ♡ はぁ♡ はぁぁぁッ♡ やっと……やっとあなたと深く繋がり合えましたわね、私の大和♡」

「ああ、まさかこんな形の初夜になるとは……私も予想していなかったよ……っ!」

 

 相変わらずの気取った言い方ですが、それが余裕を装った物であるのは私の肉穴に包まれるあなたの肉棒の震えでわかりますわ。こんなに固く勃起して……私のオマンコを気に入ってくださったようね。

 ええ、なら存分に……その仮面が剥がれるまで気持ち良くしてあげるのが妻の役目と言うものでしょう♡

 

「さぁ、始めますわよ? 本気の夫婦のラブラブセックスを♡」

 

 彼の返事を待たず、私は体を前傾に倒して彼に覆い被さる。彼の肩に手をつけて、まるで肉食獣が獲物を押し倒したて地面に拘束するかのように。そして完全に彼を征服した態勢から、私はヴァリアブルスーツに包まれた自慢のデカ尻を縦方向に強く躍動させました。

 

 パンッ♡ パンッ♡ パンッ♡ パンッ♡♡

 

「ぁッ♡ ああッ♡ あん♡ あ゛あぁ♡ 大和のチンポが、私の奥まで届いてッ♡ んひぃ♡ これ、すごいッッ♡ 私の子宮……あなたの子供を産む場所にまで、響いて……っ♡ あっ、そこぉっ、ぉ、ほおっ♡」

 

 体内にこもった熱を口から吐息として吐き出して、それでも収まらない興奮が彼の肉棒を咥える膣に集中する。もうとろとろに溶けて解れてしまった私の処女喪失オマンコは激しいピストン運動でも痛みを感じないどころか、感じた事のない極上の快感を生み出してくれます。

 それだけじゃなく、馬乗りの態勢で挿入した事で深く膣奥にまで突き刺さる彼の亀頭が、少しずつ私の子宮口までの道を開拓していくのがわかる。私の臀部が彼の股にぶつかり卑猥な破裂音を鳴らすたびに、私の赤ちゃん部屋までの膣道が少しずつ、でも確かに掘り進められていく。

 

「あああ♡ いいですわ、私の大和! そのまま、もっと私のオマンコをあなた専用の雌穴に変えてちょうだい! あん、ふぅ、あふぅっ♡ 私の子宮にキス、私の処女だけでなく子宮へのファースキスももらってちょうだい、大和ぉぉ♡♡」

 

 それが堪らなく喜ばしくて、快感で、彼の女として体が作り変えられていると感じて雌の幸せを刺激されてしまうから。私はより下品な欲望全開の腰振り運動を早めながら、愛する夫に懇願の雌声を浴びせますの。

 

 そしたら大和は私の願いを聞き届けてくれましたわ。

 

「んほぉ♡ ああっ、んぃぃ♡ すごい、二人で動くとこんなにも気持ちいいんですのね♡ あん♡ あんっ♡ はぁぁ……♡ これが、私たちの夫婦の共同作業の最初の一回目ですわね♡ ええ、構いません♡ ケーキを共に切るだけよりもとっても素敵で、気持ちよくて、あなたとの愛を感じられるもの♡」

 

 強く腰を打ち上げた彼の動きと、大きく育った乳袋を揺らしながらあさましく臀部を叩き下ろす私の動きがシンクロし、剛直が未だかつてない強さで私の子宮口までの道を開拓します。

 それが彼が私の腰振りの動きを見極めて合わせてくれたが故の物だと、たとえ興奮と性欲に正常な思考を麻痺されてようとも私は即座に気づきました。それは身を焦がすほどの愛を知った女の勘。どんなに性に乱れようとも愛する人の気遣いを無碍にはしない妻としての嗜みですわ。

 

「ああッ♡ あふっ、おおッ♡ 大和♡ 大和ぉ♡」

 

 彼の腰使いを私もまた理解して、彼が一番疲れないであろうリズムで私もまた彼に合わせて腰を下ろす。お互いがお互いの事を思い遣って生まれたリズムは、過去最高の快楽を私に届けてくれて、気づいたらこちらを見つめる彼の顔に貪りつくように口付けをしてしまう。

 

「んちゅっ♡ ぐちゅっ、ちゅぱっ♡ ぴちゃっ、じゅずず♡♡」

 

 コツンと触れ合った大和の舌先に、進んで私の舌を絡ませる。肉穴で彼のオチンポを扱く事は片時も忘れずに、だけど同じくらいの熱量でもって彼の唾液と私の唾液を交わせ合いますわ。

 

 上と下、両方の口で深く強く繋がり合った私たちによる完璧に息の合ったコンビネーションは、これが武芸者同士のパートナー戦なら間違いなく世界最強のバディを名乗れるほどの阿吽の呼吸。

 そう実感するだけで、私の中のボルテージはだんだんと上がって来て、臨界点が近づいているのが自分でもわかったから、私はどうしても叶えたい願いを重ねた唇を離して彼に伝える。

 

「大和♡ 一緒にっ、一緒にイキましょう♡ 二人で、夫婦らしく、初めては一緒がいいの♡」

 

「いい、だろう……っ、私もそろそろ限界のようなのでな……!」

 

 熱に浮かされた心が、彼の肯定の返事と膣中で熱く胎動した彼の肉棒の感触に歓喜に溢れてしまいます。

 そのままお互いに最後のラストパートをかけ合い、相手の限界と自身の限界が重なり合う瞬間を待ち望みながら腰を振ります。

 

 私も彼の胸板に全校男子生徒が欲望の眼差しを向けたこのたわわに実った乳房を擦り付け、もう制御さえ効かなくなった性欲任せの臀部の腰振り運動に身を任せる。

 リトルガーデン生徒の模範となるよう日々規律と厳粛さを遵守して来た私が、こんなセックスを覚えたばかりの猿のような行為をしていると知ったら、リディやエリカはどう思うかしら?

 

 軽蔑するかしら? それとも憤慨するかしら? ああ、それともやっぱり嫉妬……してしまうのかしら?

 でもごめんなさい、九條 大和は私の夫ですから。彼のオチンポもザーメンも、私が独占して堪能する権利があるのですもの♡

 

 そしてその卑しい考えが頭を支配した時、今日一番に重なり合った二人の呼吸が、私の子宮口に彼の亀頭がキスをして、それを感じ取った瞬間、私は全身が爆発するような感覚を感じて嬌声の叫び声をあげながら絶頂しました。

 

「大和! 私……イク、イキますわ!! あ、ああああぁぁああアアアッッ----♡♡♡♡♡!!?!?」

 

「ああ、私もだ!! くっ、ぐうう!!」

 

 同時に彼から子宮口へと放たれた熱い体液。その胎を真っ白に染め上げ、熱く熟成された彼の子種が私の子宮に溜まっていく快感に、私は絶頂しながらさらなる絶頂へと登り詰めてしまいます。

 

「--------ッッ♡♡♡!!!」

 

 強く彼の体を抱きしめながら、外でも内側でも九條 大和と言う最愛の夫の熱を感じながら、私はあまりの幸せに意識を飛ばしてしまうのでしたわ。

 

 

 

 

 

 

 そして、これはピロートーク。愛の共同作業を終えた夫婦のその後の語らい。絶頂の気絶から戻って来た私を出迎えたのは、どうやら先に風呂に入って着の身を整えた大和の姿。

 ご丁寧にベッドに飛び散ったお互いの、というかほとんど私のですが、精液や唾液や汗と言った体液を清掃してくださったらしく、シーツまで新品のに変えられていました。

 

 本当に、気が利きすぎる殿方ですわ。妻として、至らなさを感じることの方が増えそうですわね。

 

「さて、起きたのなら私はそろそろ席を立つとしよう」

 

「あら、一夜を共にしてはくれませんの?」

 

 時間はまだ深夜を回ったとは言え、夜中の二時。このまま自室に帰るよりは、夫婦らしく同じベッドで眠りにつくのが筋という物。

 だが私の言葉に、彼はらしい不敵な笑みを携えて答えを返す。

 

「魅力的な提案だが、なにぶん九条カンパニーの社長としてやる事が山積みでな。あれが過去の不正を暴かれて失脚してから、私の仕事は増したのだよ」

 

 九條 大和の父、元九條カンパニー社長の解任。つい先日、過去の汚職事件が何者かからマスコミや株主たちにリークされた彼の父は、大和に追放されるような形で自身が立ち上げた会社を追い出された。

 そしてまるであらかじめ決められていた劇の流れをなぞるように自然と、九條 大和は社員からも世間からさえも歓迎される形で新社長の席に着いた。

 

 あれほど前社長を叩いていたマスコミも、株主総会で怒りを露わにしていたスポンサーたちも、まるで拳を返したかのように大和が社長になった後の九條カンパニーを持ち上げた。

 まるで隠す気のないマッチポンプ。それは、彼がもう雌伏の時を終えて準備を整えたからなのでしょう。

 

「へぇ、それは例えば----あなたが画策するクーデター計画がいよいよ大詰めに入ったから……かしら?」

 

 さぁ、それでは私たちの本当のピロートークを始めるとしましょう九條 大和。

 どんな紳士淑女にも出来ない、私たちだけのやり方で。

 

 

 

 

「--------何のことだ?」

 

 ああ、やはり隠しますのね。こんなに快楽漬けにして正常な思考回路を麻痺させましたのに、しっかりと重要な事だけは頭にリミッターをつけているのですね。

 でも、反応が数コンマ遅れましたわ。常人なら気づきもしないでしょうが、あなたの妻で一流の武芸者たる私からしたらその数コンマはあなたが動揺していると判断するのに十分すぎます。

 

 ですからここからは、私お得意の交渉で、あなたを下してみせますわ。

 

「フフ、言っておきますが、私はもうあなたがクーデターを企んでいると判断できる証拠はあらかた掴んでいます」

「…………」

 

 大和は無言。先ほどまでのセックスでの感情の乱れなんてなかったかのようで、この切り替えは私でも出来そうにないほど見事ですわ。

 

「このリトルガーデンは全て私の支配下にあります。それは当然、監視カメラから個人の端末やIDの使用履歴も含めて」

 

 もちろん例え艦長と言えど、個人情報満載のそれらを勝手に拝見する事は規則上で禁止されており、確認するには複数の公的機関の承認が必要となる。

 ただこと九條 大和に限り、彼の妻であり護衛としての役目も任されている私は彼の安全を確保すると言う名目の元、リトルガーデンにおけるあらゆる彼の行動を捕捉する権利を持っています。

 

「そしてあなたを見ている中で、いくつかの不信な行動を確認しましたわ」

 

 私はそう言っていくつかの、所詮動かぬ証拠を提示しました。監視カメラにあなたが他国の思想犯とマークされる人間と密会している瞬間が映っていたとか、私がこっそり仕掛けていた盗聴器にあなたのクーデターを仄めかす発言を拾っていたとか。

 

 喋りながら、どんな些細な感情の変化も見逃さないと全身の神経を戦闘時の物に変えて九條 大和を注意深く観察する。

 だけど、私の目に映る彼は驚くほど自分の身を破滅させる証拠の前に何の反応も示さなくて。

 

「…………嘘だな」

 

 そう、普段通りの口調と態度のまま、たった一言で場の主導権を握り返した。

 

「……っ、うそ? どう言うことかしら?」

 

「どうと言うこともない。監視カメラで私の行動を逐次観察していた? 盗聴器を私の服に仕掛けていた?」

 

「知っていたとも。この私が、そんな事も見破れない愚物に見えたかね?」

 

 ああ、流石ですわ九條 大和。それでこそ、私が勝てないとまで思ったただ一人の殿方。私のやった事なんて全て最初からわかっていた上で、泳がされていんですのね。

 

「その上で、もう一度説明してもらいたいな。本当に貴殿は、私がクーデターを企んでいると言う証拠を持っているのかな?」

 

「--------いいえ、持っていないわ」

 

 観念したように両手を上げます。本当、傑物すぎて参ってしまいますわ。まさか、私のブラフをこうも容易く看破するなんて。

 

 ええ、ブラフですわ。リトルガーデン中に設置されたあらゆる監視カメラにも、私が仕掛けた盗聴器にも、一切彼がクーデターを企てていると思しき痕跡はありませんわ。

 

「ふ、貴殿にしてはずいぶんと想像力豊かな絵空事を考えた物だ。だが、冗談としてはなかなか「持っていないのですわ」……っ」

 

 彼の変わらず落ち着き払った言葉に強く声を被せる。ほんの僅かに瞳の鋭さを増した彼に向けて、私は努めて蠱惑的な笑みを心掛けて挑発するような眼差しを、今まで一度も勝てた事のない彼へと送ってみせる。

 

「大和……あなたは以前、私や如月 ハヤテたちが第三次遭遇(サードアタック)の際に孤立無援と化す事態に陥った時、九條カンパニーが保有する特殊部隊と専属の武芸者をかき集めて救援を送ってくれましたよね?」

 

 それは忘れる事もない、誰もが死を覚悟して己の最期を悟った日。無限に攻勢を仕掛けて来るサベージに、私たちは精も根も尽き果て最後の特攻をかけようと腹を括りました。

 でもその時に、驚く事に最前線へと指揮官として出張ってきた九條 大和と彼が連れてきた救援部隊によって私たちは命を繋ぐ事が出来ました。思い返せば、あれが私にとって九條 大和を絶対に手放さないと固く決意させた決め手であり、迎えに来てくれた彼を涙ながらに抱きしめた私と彼の仲を皆が祝福してくれた最初の時でもありました。

 

「----そうだな。大切な婚約者と友人たちの危機に、私も居ても立っても居られなくてね。つい、無茶をしてしまったよ……あの時は」

 

 その瞬間、私は確かに捉えました。彼の瞳を動揺で揺れるのを。そして確信しました。私の切り口は決して間違っていなかったと。

 

「ええ、あの時のこと、今でも深く感謝してますわ。それはあの時あの場にいたみんなも同じでしょう」

 

「それはありがたい。無茶をした甲斐があったと言う物だ」

 

「ええ、本当に無茶をしてくれたのですね。完璧なあなたらしくないミスを犯してしまうほどに」

 

「----」

 

 彼が初めて口を閉ざした。どんな時でも決して上から目線の軽口を返すのを忘れず、図星を刺された時でさえ動揺を最小限に抑えて見せる彼が、私の言葉に初めてとさえ言える目に見える反応を見せた。

 

「記録を確認しましたわ。あの日のリトルガーデンにおけるあなたの全ての通信履歴と行動を。そしたら不自然な事がわかりましたの。あの第三次遭遇(サードアタック)の際、あなたがこのリトルガーデンから外部に連絡を取った記録がどこにも存在しませんでした」

 

 それは彼の事を全て把握しておこうと、熱心にリトルガーデンでの彼の動向を見ていた私だからこそ気づけた違和感。

 どの通信履歴にも大和から送られた外部への通信の跡が残っておらず、監視カメラでさえ彼が誰かと電話やメールの類をしたような様子は捉えていなかった。

 

 それが意味する事は二つ。彼はこのリトルガーデンに正規ではない通信手段を持って来ている事。そして船中に張り巡らされた監視カメラに映らずにそれを使う、もしくは誰かと密会出来る場所を知っているという事。

 

「そしてもう一つ。知り合いの伝手を頼って、ちょっとした査定を九條カンパニーに入れてもらいましたの。そうしたら、確かにカンパニーお抱えの特殊部隊の存在は確認が取れました。ですが、その部隊員の中に誰一人としてあの日私たちを助けてくれた顔と同じ人を見つける事が出来ませんでした」

 

 本当にあなたらしくないミスですわ、九條 大和。あなたなら、そんなすぐ調べたらわかってしまうほどの偽証なんてするはずがないというのに。

 

「思うに、あれはあなたがクーデター用に用意していた私兵でしょう。それを、私たちの危機を救うために使ってしまった。それも、普段のあなたなら絶対にしないような辻褄合わせをし忘れてしまうほどに」

 

 でも、そのミスが私たちを、私の身を案じて出てしまった物だと言うのなら、女としてそれを嬉しいと感じない淑女はいないわ。

 それほどまでに、あなたはあの時、必死に私たちを救おうと手を尽くしてくれていたのね。だからこのミスに付け込むのは心苦しかったけど、私があなたに勝つためにはこのぐらいのズルはしないと無理だったみたいなの。だから、許してね。

 

「どうです、九條 大和? もしあなたが違うと言うのなら、私はそれでも構いません。所詮確たる証拠もない私の想像です。ですが、私の大和はチェックメイトを告げられて駄々をこねるような人ではないと思っています」

 

 

 

 

「----見事だ、クレア・ハーヴェイ。ああ、本当に……ここまで見事に舌戦で打ち負かされたのは生まれて初めてだ。存外……清々しいものなのだな」

 

 そう言った彼の表情は、言葉通り悔しさなんて欠片も感じられない、私を讃えるような微笑に満ちていた。「負けたよ」なんて笑う様さえ王者の余裕のような物が見え隠れして。ああ本当に、嫌味さえ起きないほどにその姿さえ絵になるのは、私の惚れた弱みのせいではないと思いたいですわ。誰だって、今の彼を見たらそのギャップ萌えにときめいてしまうでしょう。まぁ、私以外の誰にも見せませんが。

 

「教えてちょうだい、大和。あなたがクーデターをすると決めたワケを」

 

 彼の手を強く握りしめる。嘘も誤魔化しも許さないと見つめる私の眼差しに対して、彼はゆっくりと語り出した。

 

「この世界は、少々くだらない者たちを許容しすぎている」

 

 その言葉と共に、周りの雰囲気が一瞬で塗り替えられる。今までの男女の淫猥な情事なんてなかったかのように、彼が音を世界に響かせた途端に空気が張り詰めていく。

 

「生きる価値のないクズが、守られるべき人間の最上位に君臨している。世襲によって地位を得ただけの愚物が我が物顔で真に価値ある粒を使い潰している。自国のためと、世界のためと嘯いて、ただ己の欲と特権のために世界のあるべき形を歪めるゴミがいる。…………それを守るために命を落とす武芸者(若者)がいることに、私は憤りを覚える」

 

 それは憤怒だ。私が一度として見たことがなかった、九條 大和がそのニヒルな笑みの下に隠してきた世界を燃やすほどの赫怒。

 

「子供に刃物を持たせて大人を守るために戦場に送り出す。おかしいとなぜ誰も声を上げん? このままではいけないと、責任感ある行いをなぜ立場ある者がしないのだ?」

 

「ハンドレッドに適合しないから? その程度のことが、子供に全てを背負わせて、安寧とシェルターの中でワインを嗜む理由になるのかね? そんな物、世界中の叡智を結集して意地でも仕組みを解明し、自身の体を弄ってでも適合させればいい」

 

 それができないのは、世界が人類絶滅の危機に瀕しながらも、未だに醜い権力闘争に明け暮れているからに他ならない。

 

 私も、リトルガーデンの艦長として幾度もそう言った不合理には遭遇してきました。国のいざこざによる救援拒否、判断を下す者のくだらないプライドによる支援物資の横流し、私服を肥やしいたからと武芸者への資源や予算の中抜きをする姑息な政治家。

 

 国民の生活がままならなくなるからとか、物資が足りないからとか、そんな納得できる言い訳さえ用意しないあまりにもふざけた仕打ち。それでいて私たちの手が足りずに被害が出ると、武芸者側に落ち度があったとありとあらゆる手を尽くして非を擦りつけてくる醜い者たち。

 

 それが、ハンドレッドと言う強大な力を持ち、日夜命を削りながらサベージと戦い、人々を守ってもらっている相手にする態度なのかと、何度激情にかられながらも自身の立場を思い出して飲み込んだか。

 

 彼らの援助無しにリトルガーデンを運用することは能わず、そしてわずかな資源の不足が船に乗る誰かの命に直結してしまうかもしれない。それは学園の生徒から船の点検のために随伴しているスタッフの命全てを背負っている艦長として、決してその場の感情一つで犯していい博打ではないのだと。たとえ相手が、リトルガーデンの人々のことを自分たちを守る防衛兵器の一つとしてしか見ていないとしても。腹立たしいのは、そんな者たちに限って私の体を気色の悪い眼差しで視姦してくるのだ。

 

「やはり、お前も覚えがあるか」

 

 知らず彼の手を握っていた手の力を強めていた私に、大和は同類を憐れむような目で私の震える手をもう片方の手のひらで包み込んだ。

 

「その怒りは、どこまでも正当だ。守られる立場でありながら、それを理解せず守る者たちをこき使っていいと思う者たちが、いささか多くなりすぎた」

 

----故に、淘汰しなければならない。

 

 そう告げた彼の顔から、目を離せなくなる。今まで心の奥底で仕方がないと抑えてきた怒りや憎しみが、その言葉にようやく解放の時を得たと歓喜に震えるのがわかってしまう。

 

「だが----」

 

 でも、彼はそこで言葉を切って。

 

「これは、私が決めた道だ。クレア・ハーヴェイ、お前のではない」

 

 それは、私が今まで彼から聞いた言葉の中で、最も簡潔で、有無を言わせない……思いやりに溢れた拒絶の言葉だった。

 

「お前は……貴殿は貴殿のまま、リトルガーデンの生徒会長「無敗の女王」として、人類を守る最強の武芸者の一人として居続けるといい。それは貴殿にしか為せない役割だ」

「まっ……!」

 

 呼び方がお前から貴殿へと、彼が本当に親しい相手に使う二人称から対外的な敬称へと変わってしまう。

 彼がそっと、私が握った手を自身の手から離して、だけどその手つきにさえ、普段の傲慢で我の強い彼とは思えないほどの私への労りと愛情に溢れていて。

 

「今夜を持って、婚約は解消だ。俺が進む血塗られた道に、貴殿のような美しい薔薇は必要ない。不要だ。貴殿は、己が掲げたノブレスオブリージュを貫くと良い。それは…………決して醜くも、間違ってもいないのだからな」

「待って……待って大和……!」

 

 唖然とする私を置いて、彼は部屋の出口へと歩みを進めていく。その背に、ほんの僅かな後悔を感じたのは、私の見た都合のいい幻でしょうか?

 

「さらばだ、クレア・ハーヴェイ。叶うのならば、貴殿とはもう会うことがない事を願うとしよう」

 

 なぜなら、次に出会う時はどうあってもクーデター首謀者と人類、今の政府機関を守る武芸者として敵同士になってしまうから。

 

「--------ッ!! 待ちなさいッッ!!」

 

 その今生の別れの言葉を理解した瞬間、私は自身のハンドレッド『気高き戦姫(アリステリオン)』を展開し、部屋の扉まで続く道を浮遊砲台で封鎖していた。

 その所業に、彼が驚いたように私に振り返る。まさか学園で、それも自室という狭い空間の中で、本来禁止されている非常時以外での許可なきハンドレッドの完全解放を、生徒会長たる私がするとは思わなかったのでしょう。

 

 ええ、私も驚いていますわ。今までずっと守ってきた規則。それを愛する殿方と別れたくないからと完全なる私欲で破ってしまった事と、その事に一切の後悔も反省も感じない私自身に。

 

「まだ、私は帰ってもよろしいとは言ってませんわ」

 

 それは、私たちが初めて会ったあのお見合いの席で、興味をなくして帰ろうとしたあなたを呼び止めた言葉と図らずも同じで。

 偶然にも似通ってしまったこの状況に、思わず運命の悪戯を感じて笑みが浮かび上がってしまう。

 

 あの時は、彼を私の元に呼び戻せた。

 でも今回は、私が彼と共に部屋を出る番なのだ。

 

「九條 大和。私を侮ってもらっては困ります。血塗られた道を歩む必要のない美しい薔薇? 薔薇は棘でもって時に、人に血を流させる物。あなたが思うほど、綺麗で汚れがないだけの花ではありませんのよ」

 

 私もまた立ち上がって、彼の側へと歩みを進める。その際に自身のヴァリアブルスーツが、私の心の決意に呼応するようにその色をワインレッドとブラックの二色に彼の髪色を加えた美しい銀色を塗装していく。

 

「ノブレスオブリージュ。責任ある存在が、責任ある行いを成すべし。それならば、多くの武芸者のためを思って、血と泥に塗れると分かりながらも立ち上がったあなたこそ、真にノブレスオブリージュを体現している者と言えます」

 

 ええ、わかっています。これがただの言い訳に過ぎない事を。彼のやろうとしている事を自分の中で正当化させるための戯言以下。

 九條 大和に私はあくまで自分の信念に則ってあなたの側に着くのだと言う体裁を装っただけの言葉。

 

 逃げ場がないように浮遊砲台に取り囲ませた彼は、私の言葉の真意を探ろうと眉を顰めています。本当は----ただ愛する殿方と一緒にいたいだけだと言うのに。

 ふふふ、本当に肝心なところで女心がわからない人。そんな完璧に見えて抜けているところも可愛らしいのですけれど。

 

「何よりも……この私が、茨の道を歩もうとする夫を支えられない女のわけがないでしょう?」

 

 彼を捕まえる。両手で彼の頬を優しく掴み、その瞳に私の瞳を映させる。決して、私と言うあなたに恋した女を見逃させないように。

 

「あなたが地獄に落ちるなら、私も共に落ちます。あなたが血塗られた道を進むなら、私もあなたの隣に立って歩みます。あなたが世界を敵に回すのなら、私はあなた以外の全てをこの手で倒してあなたを守りましょう」

 

「それが----」

 

「クレア・ハーヴェイ。あなたの婚約者たる、私の覚悟ですわ」

 

 

 

 

「ク、ククク、クハハハッ、ハハハハハッ! そうか……そうか、ふふ、そうかクレア・ハーヴェイ!! ああ、俺はどうやらこの期に及んでもお前をみくびっていたようだ」

 

「言いましたでしょ? どんな貴族子女も出来ないような刺激的な話を差し上げると。私はあなたを退屈させる女にはなりませんわ」

 

 あの日のシチュエーションに準えて、今では懐かしい彼への啖呵を切った際のセリフを引用してみる。すると彼もまた、いつかの情景を思い出したかのように瞳を揺らして、懐かしむように笑んだ。

 

「ああ……そうだったな」

 

 そこに込められた意味を、私は推察する事はできない。ただ、彼があの日から今日に至るまでの全てを今の一瞬で回顧し、それを偲んで出た言葉がそれだったと言う事と、そこに宿るのが良き感情だと言う事だけが私にはわかった。

 そう推測出来るだけの表情が今の彼にはあって、そしてそれ以上は推しはかれないほどの感情があのたった一言には込められていたから。

 

 だけどそれは私も同じ。あの日から今日に至るまでの大和との日々を言葉にする事は、きっと出来ないでしょう。もしするとしら、彼と同じように一言に万感の思いを込めて吐露するのが精々。

 

 だから私は嬉しいですわ。彼が同じだけの感情を私との日々に感じてくれていたのですから。

 

「私の手、取ってくださるのでしょう?」

 

 手を彼に差し出す。結婚式で新婦が新郎にエスコートをお願いするように。彼に、これからの未来を共に歩いて行こうと確認するように。

 

「ふっ、ここまで女から言わせて、袖にするなど大和男児失格だとも。国の名を背負った者として、これほどの最上の女を手放しなどしないさ」

 

 そう語る彼の顔は、相変わらずの傲慢で不敵な笑みを携えているのに、その頬に僅かに差す赤みが彼の本心を絶妙に隠しきれていなくて。

 まったく、どれだけ私を虜にすれば気が済むのかしら。

 

「さぁ、行きましょう…………あなた」

「ああ…………マイ・レディ」

 

 彼と手を繋ぎ合い、私は最後に一度だけ今までリトルガーデンの生徒会長として暮らしてきた自室を見た。そこには、私がこの学園で『無敗の女王』として過ごしてきた確かな思い出がありました。

 

 私はそれらの日々を最後に胸に閉まって、そっと蓋をした。九條 大和と並びたって歩き出す私に、もうリトルガーデンの生徒会長の私は存在しないのだから。

 

「さようなら、みなさん」

 

 閉まる自室の扉に向けて、最後のお別れの挨拶を乗せて…………私はこの日、リトルガーデンを卒業しました。

 

 

 

 

 

 

 

 それから数ヶ月後、世界中で同時多発的に起こった現政権への大規模クーデター。各国が混乱と狂乱に包まれる中、真っ先にクーデターを成功させた大和国の新首相が高らかに全世界へと、サベージの攻撃で疲弊して数を減らした全ての大国を一つに統合すると宣言した。

 

 サベージと戦うために、真に価値ある才能を持つ者たちが統べる連合国家。その樹立を高らかと唄い上げた全世界同時クーデターの首謀者たる覇王の風格を纏った銀髪の美青年と、その隣に佇む宝石のように綺麗な金髪を左右に縦ロールで纏めた美しい女性。

 

 その二人の名と姓は、即座に全世界へと知れ渡る事になる。

 

 果たして、誰よりも信頼し頼れる存在だと思っていた生徒会長とその婚約者が起こしたこの人類史上最大のクーデター事件を知ったリトルガーデンの若き英雄の卵は、一体どうするのか。

 

 それはまた、別の物語。

 

 





 クレア・ハーヴェイ・九條
 愛する男のためなら世界転覆にさえ手を貸しちゃうノブレスオブリージュさん。夫とは良いことも悪いことも全て一緒に背負って地獄まで堕ちていきたい。この世界線では、卒業後に大和が起こしたクーデターに参加し、それを止めに来た如月 ハヤトたちと敵対する事になる。
 クーデター成功世界統一ルートでは地球連合初代皇帝の妻として、歴史に残る一騎当千ぶりと忠臣ぶりを発揮する悪の女幹部みたいになる。
 クーデター失敗ルートでは、大和と共に全世界最重要指名手配犯として逃亡生活を送りながらもハヤトたちと世界のピンチに颯爽と駆けつける謎(笑)の最強夫婦武芸者となる。
「クレア・ハーヴェイ・九條、この名を背負った時から私の進む道は決まっています。たとえ世界を、そして誰を敵に回す事になろうとも……私は九條 大和の妻として生涯彼の隣に立ち続けます」

 九條 大和
 高天原の落とし子。百年に一度の王の器。人類の敵の敵。そして、英雄に恋焦がれた者。才能、知識、力、意志、それらを全て持ちながらも運命力だけを神から与えられなかった男。人類共通の敵が現れても醜く足の引っ張り合いをする世界を見限っちゃったラスボス系主人公。モデルはデビルサバイバー2の峰津院大和。
 実は隠れ武芸者。作中で言った、自身の体を弄ってでも適合させればいいの実践者。クレアとは違うタイプのクソ強オールラウンダー。リトルガーデンに訪れたのは、ヴァリアントウイルスを持ったエミリアを確保する事が目的だった。でも色々あってハヤテたちに情が沸いたのと、クレアを裏切りたくなくて辞めた。だけどこっそり体液だけ回収した。後にクレアにバレて、ブチギレヤンデレモードに入った彼女に三日間彼女の体液だけで生活するよう強制された。
「なぜエミリアさんの唾液がこんなところに? ヴァリアントウイルスに感染するため? つまり、エミリアさんの唾液を飲んだ…………? 私以外の体液を……体に……? …………は?」


 如月 ハヤト
 気づいたら最強の味方であった生徒会長と兄のように慕っていた御曹司の両方が敵対関係になってベリーハードモードに突入していた原作主人公。多分クーデター編の最後でヴァリアントウイルス覚醒完全コントロール済みの最強武芸者大和と世界の命運をかけて一騎打ちする。
 彼が大和の野望を止められるか否かで物語は大きく変わる。
「如月 ハヤト……あなたのことなかれ主義の平和思想を笑うつもりはありません。ですが、それが思想である限り、血の上でしか成り立たぬ物と知りなさい!!」

 リディ&エリカ
 すっごい登場させたかったけど、させると短編じゃなくなってしまうため泣く泣くカットした生徒会の二人。彼女たちもヒロインに加えて生徒会ハーレムをしたかったけど、長くなりすぎる。敬愛するクレア様を悪い男から守ると言ってちょっかいをかけて、逆にメロメロになって「ごめんなさいクレア様」と言いながらしれっと大和の両隣を確保するみたいなプロットを作ってた。
「リディ、エリカ……あなたたちに問います。こちらに来る気はありませんか? 私が、あなたたちが彼に向ける視線の意味に気づいていないとでも? 正妻が私であると言う誓いを守るのならば、あなたたち二人が彼の側にいる事を認めましょう。さぁ、私と一緒に……彼の子供を産みましょう?」

 ここまでお読みいただきありがとうございます。

 クレアは金髪縦ロールお嬢様キャラと言うテンプレート設定の、個人的にトップクラスの完成度のあるキャラだと思ってます。アニメのEDでの生徒会長三人組みのキャラソン絵がすごい好きでした(小並感
 この後の展開もなんとなく考えてるけど、やったらエロとかないただのハンドレッド二次小説になるから多分書かない。

もしFFのエロをやるならどのナンバリングが見たい?*FF7は意図的に外しています

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