卒業制作が終わって苦しみから解放されたので、リハビリも兼ねて投稿。
もし美香が男の娘に救われて、共依存関係になったら?
主人公のモデルは刀剣乱舞の乱藤四郎です。
頂いたアイデアを参考にして書いてみました。アイデアを下さった方、ありがとうございます。
バリッ、ボリッと人生で一度として聞いたことがない音が耳を伝って頭の中にこだまする。
グロテスクなほどに真っ赤な命の源が、目の前でどくどくと、音の発生源から零れ落ちて。
もうただの物となったソレは、ビクンビクンと震えながら大きな『何か』の中へと消えていく。
「あ……ああ……ッ!!」
後ろで、女の子の声にならない悲鳴が聞こえた。同時に、ドサリと倒れる音。腰を抜かしてしまったのだろう。
無理もないと、どこかヤケに冷静な自分が告げる。だって自分も、後ろに彼女がいなければ今すぐこの場を脇目も振らずに、脱兎のごとく逃げ出してしまいたいぐらい震えているのだから。
だって。だって。だって。
目の前で真っ赤な鮮血をバケツ一杯分余裕で満たせそうなほど流すソレは。
今まさにグチャグチャ、バキリゴキリと噛み砕かれてどんどん元の質量を減らされていくソレは。
かつて卓郎と言う名前で呼ばれていたクラスメイトで、つい数秒前まで一緒にこの温泉から逃げ出そうと励まし合った仲間で。
そんな彼が、巨大な青い化け物に頭から捕食されて行く様を、僕は動く事もできずにただ見つめているしかできなかった。
僕は幼い頃から男とは思えないぐらい容姿が女の子っぽい事で有名だった。
それも童顔とか線が細いとかじゃなくて、誰がどう見ても美少女にしか見えないタイプのだ。
父が日本人で母親がアイルランド生まれのハーフの僕は、母親の遺伝子が強かったのだろう。髪は日本人とは思えないほど綺麗な金髪で、瞳はスカイブルー、顔立ちも北欧寄り、と言うより美人な母親似で。
同世代の子たちから見たら、髪の色も目の色も、顔立ちまで違う女の子みたいな男の子はそれだけで異質な存在だった。
小学生の頃は男の子たちにそれでよくいじめられて、中学生になると女の子たちからいじめられるようになった。
だけど僕は、両親に学校での事を何も話せなかった。
父親は仕事人間で、子供の僕のことはお母さんに任せきり。
そしてお母さんは僕の容姿を褒めて、妖精みたいと言って女物の服ばかり買って着させてくれるばかりで、僕のことをみんなから愛されている子だと頭で理想を作り出していた。
そうしてより女らしく変わって行く僕を見るクラスメイトの目は、さらに悍ましく変わって行った。
女子は嫉妬。
男子は欲情。
『男女』
『私より可愛い』
『ホモ野郎』
なんて、そんな陰口は日常茶飯事だった気がする。僕はただ普通に生きているだけなのに、男子は冗談混じりに僕を公衆の面前で脱がせようとしてくるし、女子は嫉妬で僕の髪を鋏で切ってまで来た。
恐怖。恐怖だよ。僕にとって男も女も恐怖の対象で、そんな彼ら彼女らは僕の目には幼い頃に読んだ絵本に出てきた悪鬼にしか見えなかった。
それでもしばらくは、先生に守ってもらうことでことなきを得ていたんだ。両親に相談できない僕は、担任の若い男の先生に縋って、身の安全を保障してもらっていた。
彼しか、頼れる身近な人がいなかったから。クラスメイトよりも、ずっとその先生と一緒にいたんだ。
思えば、それが間違いだったんだ。
ある日、僕は先生に襲われた。
先生に明日の授業の準備を手伝ってほしいと言われて連れて来られた防音機能が付いた視聴覚室で、服を脱がされ、「お前も先生のことが好きなんだろう?」って。
親にいじめについて相談できず、担任の自分にだけ依存するように頼ってくる見た目美少女の男の僕は、先生を人の道から踏み外させてしまうには十分だったのかもしれない。
僕の服を興奮した表情で脱がして、胸や尻を触ってくる先生が、僕にはもう鬼にしか見えなくなっていた。
その時は、たまたま近くを通りがかってくれた別クラスの女の子によって事件は未遂で終わった。
そして結局、担任の先生による強姦未遂事件で僕の学校生活の全貌は両親の知る事になった。二人は、すぐに件の学校からの転校手続きを取ってくれた。
でもそれは、僕のためを思っての事なのかはわからなかった。
父さんは、レイプ被害者となった僕の元に来てはくれなかった。お母さんは、僕が先生を勘違いさせるほど可愛いかったのが悪いと、なぜか笑っていた。
そして笑って、明日からも学校頑張りましょうねと、言ったんだ。
僕にとって、両親は鬼となった。
それが、僕の中で決定的な人間不信へと繋がったのは仕方がないことだよね。
同時に、自分の身は自分で守らなければいけないという強い思いを抱かせる事にもなった。
だから僕が求めたのは、力だ。
鬼に食われないための、強い力。
僕を獲物のように狙う鬼たち全てを、ねじ伏せる力。
そして僕が選んだのが、剣道だった。
他にも色々と強くなる方法はあったのにその道を選んだのは、鬼を退治する絵本に出てくる主人公はみんな剣を握っていたからだ。
幸運な事に、僕は才能があった。
わずか一年で、中学の都大会で優勝を掴み取った。
メディアにも、取り上げられた。
付いた名前が、『妖精剣士』。『可愛すぎる美少年侍』だ。
そう、僕の容姿は変わらず美少女のような見た目で通している。それどころか、剣道部員にあるまじき長髪にまでしてより女の子らしくしている。
それは剣道部に入るうえでの猛反対していた母親との契約であり、同時に下卑た視線と嫉妬の炎を向ける悪鬼たちを、合法的に返り討ちにするための誘蛾灯。
そして、決意表明だ。
僕はあの頃と何も変わらない僕のまま、鬼たちと戦えているんだと。
インタビューに答える屈託のない笑顔の裏で、僕は自分の剣に敗れて悔しがる他校の生徒の背中を嘲笑う。
妖精の笑みと称された顔のすぐ裏側で、僕の笑顔に頬を赤らめた男性記者の顔を何度となく木刀で滅多打ちにするんだ。
その頃には、僕をいじめていたクラスメイトたちはみんな僕に胡麻をするようになった。なんせ僕はテレビでも取り上げられる有名人。そんな僕に学校でのいじめのことなんて口にされたら、今のネット社会に彼らの居場所はない。
学校は僕の天下となった。鬼退治は完遂されて、鬼はみんな僕の下僕となったんだ。
それから中学を卒業して、剣道の特待生でそこそこの高校に入学した。一年生期待のエースとして早速いくつかの大会で結果を出して、僕の強さと容姿は学校中の有名人だ。
もう鬼に僕の体を犯されることなんてない。
僕は強い。
僕はすごい。
僕は鬼になんて負けない。
僕は――――
バキリ、ゴリッ、ブチャ
――――ぼく、は……
ゴクン
――――おに、に……まけな……
ニィタァ
――――…………ぁっ
――――負けた
ボキリッて、心の折れる音が聞こえた。
事の発端は、私が某有名動画サイトでやっているミカチャンネルの新作動画のネタとして、「美人になる温泉」があったという廃墟となった温泉宿に行こうと言い出したことだ。
私は、結構容姿に自信がある方だ。
さすがに、読モとかに選ばれるようなレベルとは思っていないが、同学年の子たちと比べたら、とある例外を除いて学校でも上位に属していると断言できる。
だから最近の女子高生配信ブームに乗って始めたミカチャンネルは、結構そこそこのチャンネル登録者数を誇っている。
画面の向こうの視聴者様は、可愛い女子高生が制服着て笑っているだけでバンバン視聴回数を増やしてくれるのだから。
あとは適当に流行の歌やダンスを踊ってれば適当な数字は叩き出せた。
それで、さらなる飛躍を狙って見つけたのが廃温泉宿に出るという噂のお化けだ。
夏。廃墟。現役美少女高校生。肝試し。
これはバズる。
そんな単純な思考で仲良しグループの三人、イケメンの卓郎とガリ勉のひろし、ビビリのたけしを誘った。
さすがに廃墟に女の子の私一人で行くわけにはいかなかったからね。
そしてもう一人。
私のチャンネルのさらなる爆発的な飛躍と、とある理由のために、私はダメでもともとと、学校一の有名人とも言える男子生徒を誘った。
剣道部の妖精剣士。
乱と言う名前の、誰がどう見ても金髪碧眼美少女にしか見えない彼。
私の――。
学校でも同じ学年と言う以外接点のない私の誘いを、なんと彼は受けてくれた。
『ボディガード役として……なら君の配信に出てあげるよ、ミカチャンネルの美香ちゃん?』
彼が私の名前とチャンネルを知っていた事にびっくりした。でもその時は、ただ彼が今回の廃温泉宿探索に参加してくれるのが嬉しくてあまり気にしなかった。
そして目を丸くする仲良しグループのみんなにちょっぴり優越感を覚えながら、私は件の廃温泉宿……ブルーベリー温泉を目指した。
肝試しにかこつけて彼と仲良くなっちゃおうかなぁ、なんて楽観的な事を考えて。
そこに、なにが『居る』かなんて欠片も想像出来ずに。
お化けなんて、迷信だと決めつけて。
カメラ片手に、廃温泉宿に踏み入れて。
青。
青がいた。
青い、何かがいた。
それは、こっちを見て。
こっちへ、向かって来て。
青が。
青が。
青が、青が、青が、青青青青青青青青青青青青あおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあおあお
ぐちゃり
あっ、卓郎が食べられた
――――。
――――――――?
――――――――――――。
「あああああああああああああ!!!?!?」
「――ッ!?」
耳をつんざく悲鳴が、僕の体を勝手に動かした。持っていた護身用にもならない木刀を放り捨て、狂乱していた美香ちゃんを抱き抱えて一目散に走り出す。
後ろを振り向く事なく。
死んだ卓郎くんの事なんて、欠片も考える事なく。
ただ、必死に。
あの鬼から、一秒でも早く逃げ出そうと。
だって、目の前で知り合いが頭を噛み砕かれて殺されたんだ。
見ただけで、こいつには絶対勝てないと心がわからされたんだ。
僕の今までの努力は、全て無駄だったんだって思い知っちゃったんだ。
僕が、鬼に勝てるはずのない、犯されるしか価値のないザコなんだって。
だから逃げる。
咄嗟に美香ちゃんを連れて来れたのは、僕の中に残ったなけなしの人間性だったのか。
はたまた。
僕を襲ったあの先生から助けてくれた彼女への、恩返しだったのか。
この廃温泉宿には、鬼がいた。
青い、ブルーベリーのような鬼がいる。
それは、出会ったが最後。
人を潰して、壊して、畳んで、食べて。
そして、鬼に変えてしまう。
「ここには、奴らはいないみたい」
「…………」
あれから、どれだけ走ったのか。
辿り着いたどこかの部屋の一室に、僕は美香ちゃんを下ろして崩れるように膝をつく。
美香ちゃんは、放心状態だったけど泣き叫んだりはしなかった。ただその代わり、急に青褪めたと思ったらその場に胃の中の物を吐き出してしまった。
きっと、卓郎くんの最期を思い出したのだろう。僕も、彼の死に様を思い出すと手の震えが止まらない。
いや、違う。卓郎くんを捕食する、あの鬼の事を思い出して震えてるんだ。
絵本に出てくる鬼よりも、何十倍も悍ましい鬼。
僕が勝てると思い込んでいた、鬼。
僕が勘違いしたザコでしかなかった事を思い知らせてくれた、本物の鬼。
「は、ははは……」
笑いが込み上げて来たと思った。
でも違う。僕の顔は恐怖で引き攣っていて、きっとそう言うのが好きな人には実に唆るような怯え顔で固まっている。
なら、この笑い声の主は誰か?
「あは、あはは、アハハハハッッ!!」
美香ちゃんが笑っていた。瞳を限界まで見開き、口が裂けるのではと思うぐらい広げて、狂ったように笑ってた。
いや、きっと狂っているんだ。僕が心折れてしまったように、彼女は心壊れてしまったんだ。
「アハッ、アヒッ、アハハハハ!!」
あんな風に笑ってたら、すぐにあの鬼に見つかってしまう。
そしたら、今度こそ僕も彼女もあの鬼に喰われてしまうだろう。
それでいいかもしれないと、さっきはあんなに必死になって逃げたのに、僕は思ったんだ。
心折れた僕は、もう全てがどうでもよくなった。
だって、鬼に僕みたいなザコが敵うはずないんだもん。僕のような女にも男にもなれない妖精剣士は、強い鬼に食べられちゃうのが相応しい末路なんだ。
そう納得して、諦めて、僕はその瞳を閉じようとして。
「アハッ……ッ、うっ……ううっ……誰か……助けてよぉ……」
『いやぁ! だれか、だれか助けてぇ!』
昔の自分と、狂乱して涙する彼女の姿が重なった。
閉じ込められた部屋の扉の鍵を壊して、僕を犯そうとした先生の背に蹴りを入れた彼女が、助けを求めている。
あの時の僕を唯一救ってくれた彼女が――――。
「――――ッ」
気づいたら、僕は美香ちゃんを抱きしめて部屋に置いてあったロッカーの中へと身を隠していた。
腕の中で、彼女が暴れる。それを無理矢理抑えつけるように強く抱きしめると、しばらくしてようやく落ち着いたのか大人しくなって。代わりに、強く抱きしめ返された。
「こわいよ……!」
「僕がいるから大丈夫」
そんなわけない。僕も今すぐ死んで楽になりたいぐらい怖い。
「死にたくない……!」
「僕が守ってあげる」
無理だ。僕みたいなザコ剣士が、君を守れるわけがない。
「……助けて」
「うん、助けるよ」
できない。だって僕は弱くて、誰かを助けれるような人じゃない。
「お願い。離さないで」
「ずっと側にいてあげる」
嘘だ。嘘だよ。だって僕が一番自分の言った事を疑ってる。
こんなの気休め以下だ。できない約束をして、最低だ。
その証拠に、ほら。
音が聞こえる。
あいつの音だ。
鬼の、音。
青鬼が、来る。
ガチャリ
――――――――。
――――――――?
――――――――え?
なんで。
どうして。
卓郎くん?
鬼がいた。卓郎くんの顔をした、鬼がいた。僕と美香ちゃんの前で鬼に喰われた卓郎くんが、鬼と同じようなブルーベリーの巨体となって歩いていた。
「――――!!」
溢れそうになった悲鳴を抑える。
同時に、美香ちゃんがアレを見ないように胸の中へと抱きしめた。もし美香ちゃんがアレを見てしまったら、とてもではないが声を抑えられるとは思えない。
鬼と化した卓郎くんが、部屋を徘徊する。それは数分にも、数時間にも感じられて。でもきっと実際は、十秒にも満たない。
鬼が部屋を後にした時、僕は崩れるようにロッカーの中で倒れた。胸に抱いていた美香ちゃんも蒼白な顔でもたれかかってくる。
彼女は、最後まで今部屋に入ってきた鬼が卓郎くんだとは気づかなかった。
僕も、その事を言うつもりはない。
知らない方が良い。
彼女を、これ以上苦しめたくない。
鬼に殺されたら、彼らの仲間になってしまうなんて悍ましい事実、知らないに越したことはない。
そこまで考えて、僕はなによりも恐ろしい事に気づいてしまった。
鬼に殺されたら、鬼になってしまうのなら。
美香ちゃんも、ここで奴らに殺されたら鬼になってしまう?
僕を鬼から救ってくれた美香ちゃんが、鬼に?
――――――――ヤダな。
「美香ちゃん」
「え、なに?」
「絶対に、僕が君を守るから。君を鬼になんて殺させない。僕はこれから、君の……美香を守る刀剣になる」
決まった。
価値のない僕の、新しい生き方が。
僕の存在理由が。
僕を救ってくれた彼女だけは、鬼にはさせない。
僕は、君だけのための乱な刀になる。
『○○県、**市のとある学校の生徒数人が行方不明。警察の発表によると、なんらかの事件に巻き込まれた可能性が高いと見え、保護された二人の生徒から事情を伺うとの――』
私たちは生き延びた。
あの地獄の廃温泉宿から、私と乱は命からがら生還したんだ。
二人で協力しあって宿の謎を解き明かして、迫り来る化け物たちの目を掻い潜って。
何度も。何度も。何度も死にそうな目に遭った。発狂しそうになった回数なんて数えきれない。
でもその度に、乱が私を救ってくれた。私を抱きしめて、大丈夫だよって、僕が君を守るって、言ってくれた。
嬉しかった。安心できた。彼のおかげで、私はあの絶望的な世界でも自我を保つことが出来たんだ。
あの中性的な声が、私を救ってくれた。
彼の体から香る柔らかな香りが、私を安心させてくれる。
彼の学校一の美少女とまで言われた笑顔が、私のためだけにむけられて。
それなのに美少女な見た目に反して少し硬い手が、やっぱり乱も男の子なんだと私の胸にほのかな熱を灯してくれた。
彼がいなかったら、きっと私は生き残ることはできなかったと思う。
ううん、絶対に生き残れなかった。
乱が私の側にいるから、私は死んでいないんだ。
彼がいないと、私はすぐに死んでしまうんだ。
そう思うのに、時間はかからなくて。
いつしか私が生きていることと、乱が側にいることはイコールで結びついていて。
私の刀剣になると誓った乱を、ずっと腰に差していないと精神を保てないから。
だって彼はもう、私の体の一部みたいな物だから。
くっついているのが当たり前の、心臓みたいなものだから。
無くなったら死んじゃうのは……当たり前、だよね?
私は、彼と片時も離れられなくなった。
あの廃温泉宿から生還した、今も。
死ぬまで、ずっと。
「んちゅ、ちゅ♡ んあっ、乱♡ みだ、れ♡」
「はぁ、はぁ♡ ちゅっ、じゅずっ♡ 美香♡」
ベッドの上で、私たちは制服を脱ぐのも待たずにお互いを求めてキスをし合っている。高校生カップルがよくやるような、恥ずかしがりながらの軽いキスではなくて、濃厚で肉欲的な、互いの生を確かめ合うような激しいキスを。
「ねぇ、もっと私の口の中に舌入れて♡ 乱の舌、もっと深く味わいたい♡」
「うん、僕も美香がもっと乱れるところがみたい♡ 美香の全部、僕色に染め上げてあげる♡」
私の求めに応じて、恋人である乱がより深く舌を絡めて来る。その際に唾液もいっぱい私の口中に押し込んできて。宣言通り、私の口は彼色に塗りたくられてしまった。
「んんっ♡ じゅぱっ、ちゅぅぅっ♡」
それが気持ちよくて、私は率先して彼の舌に自分の舌を絡ませ返しながら、恋人の唾液を飲み込む。喉をぬめった液体が通り過ぎて、胃の中にぽちゃんと落ちる。乱の体液が、私の体液と混ざり合う。
「――――っっ♡」
「あっ……またイッちゃったの美香? 僕と数日セックスできなくて寂しかったからって、感じやすすぎだよ」
「ひゃ、ひゃって〜♡」
ズルい。そんなこと言うのは反則だ。乱だってセックスできなくて欲求不満で、私の部屋に上がって来るなりベッドに押し倒して来たくせに。
この淫乱鬼畜彼氏。
「胸もこんなに勃っちゃって。美香は可愛いね」
「あっ♡ んいいっ♡」
制服を捲られて、彼はそのままブラをずらして、私の乳首を直接指で触って愛撫してくるから、私の口は反抗の言葉を言う前に快楽にかき消される。
最初の頃はくすぐったいなぐらいにしか思わなかった私の胸。今では彼に触られたと言うだけで快感が電流のように走り抜ける敏感な性感帯に変わってしまった。
一応、女子高生として、乳首を弄られるだけで言いなりになってしまう体になった事に少し悔しいと思う気持ちがないわけではない。
でもそれ以上に、大好きな男の手でこうも容易く気持ちよくなれる自分の体が幸せで仕方ない。
「ちゅううっ♡」
「ああ゛ッ♡ 乳首吸っちゃ、だめぇ♡」
「なんで? 僕の全ては美香の物なんだから、美香の胸は、彼氏である僕の物でしょ?」
「しょ、しょうらけど……今触られたら、またイッ、イッ――――イクッ♡」
ほら、また。彼に自分の物だって、独占欲に溢れた事を言ってもらえるだけで脳が幸せに包まれる。敏感な乳首が彼の生暖かい舌に包まれて、その先端から出るはずのない母乳を飲むように吸われたら無条件に体が絶頂を決めてしまう。
ああ、私もすっかり淫乱な体になってしまった。短期間に二回も絶頂したのが恥ずかしくて、胸に埋まる乱に真っ赤に染まった顔を見られないように視線を逸らす。
彼は今、私の胸に集中してるからこんな些細な私の行動なんて気にしないと思ってた。
でも――
「どうして視線を逸らすのさ? 僕の目を見てよ」
「はうっ♡」
それに目敏く気づいた彼の手が、私の顎を掴んで瞳を合わせて来る。そうすると、胸に埋まりながらこちらを見上げる乱の碧眼が私を射抜く。
とても綺麗で、澄んだ青空みたいな彼の眼が、私の事を加虐心と愛情に染まった色で映している。
「〜〜〜〜ッ!」
それだけで、またイキそうになった。
全身が羞恥と嬉しさでビクンと震えて、あまりにも可愛らしくて憎たらしい彼を、私は衝動のままに抱きしめる。
「んっ……もう、危ない目してる♡」
「ど、どっちが♡ この、淫乱鬼畜彼氏♡」
「――――へぇ、そういうこと言うんだ♡」
あ。しまった。つい口が滑って、心の中の罵声を言ってしまった。
乱がニタリと嗤う。加虐心いっぱいの、私にしか見せてくれない彼の腹黒い笑み。
私だけの、彼の顔を。
「そんなこと言うなら、そっちから攻める? 淫乱鬼畜な僕を、乱れさせてよ。ね、み・か?」
そう言って彼は、煽るように自身のズボンを脱いだ。そして私の前に、その可愛い美少女顔からは想像もできないような太く大きい雄の象徴を突き出して来た。
バキバキに勃起していて、先端からほのかなカウパー臭を香らせる、私の蜜壺に負けず劣らず興奮している自身のペニスを。
「いいよ。好きにしてよ。扱いてもいいし、舐めてもいい。なんなら足で踏みつける? 美香の好きなようにしてよ。だって僕は――」
「――――君の刀。物、なんだから」
「――――ッッ♡」
その極上の誘い文句に、私の理性は焼き切れる。愛する恋人に、それも中学生の頃からずっと片想いしていた男の子にそんなこと言われて、我慢できるわけ、ない。
そうだ。乱は知らないだろうけど、私はずっと前から彼のことが好きだった。
中学校で噂になっていた女の子みたいな男の子。日本人ではありえないぐらい綺麗な金髪と、ずっと見ていたいと思えるぐらい透き通った蒼い瞳。
一目惚れ、だったと思う。小学校を卒業したばかりの私に、君の容姿はあまりに刺激が強すぎた。
でも当時の私に、話しかける勇気なんてなくて。それはクラスが別というのもあって、ますます私と君との距離を開かせた。
高校生になって思えば、たかがクラスが違うぐらいだと思う。でも、小学校を卒業したての私ではクラスの違いは世界の違いにも等しくて。
だから遠巻きに、担任の先生と仲良く連れ合う君を見ることしか出来なかった。
いじめられていることには、気づいていた。そして、それを担任の先生に助けてもらっていることも。
心配したし、君が唯一頼りにする先生に子供ながら嫉妬もした。でも、中学一年生でしかなかった私にいじめを、それも他クラスのものを止めさせようなんて強い正義感はなくて。
君に一目惚れしたと言っても、やっぱり私は自分が可愛くて。せいぜいが、君の後ろを気づかれないように追いかけるなんて、ストーカーみたいなことが精一杯で。
そしたら、あの事件を目撃した。
君が、先生に制服を脱がされて、押し倒されているところを。その染み一つない、びっくりするぐらい美しかった白肌に、吐き気を催すほど汚い肉の塊を押し付けられて、脚の間に突き刺されそうになっている瞬間を。
気づいたら、先生を蹴り飛ばしていた。
そして、ただの女子中学生でしかなかった私は、同級生を変態教師から守った英雄になった。
君のお母さんには、とても感謝された。
他の先生たちにも頭を下げられて、ついでにあまりこの事を口外しないでほしいとキツくお願いされた。
私の両親は、それはもう私のことを褒め称えた。
君は――――私のことをまるで新しい救い主かのように見てくれた。
違う。違うの。私は、君を救おうとしたんじゃないの。
だって、あの時、私があの場にいて、本来防音で聞こえないはずの視聴覚室いる君の悲鳴が聞こえたのは――――君とあの変態教師が合意の上でそういう関係だと思って、君を脅すための脅迫材料を手に入れようとしてたから。
「んちゅっ♡ ちゅぱっ、れろぉ♡ あはぁ♡ あんなに自信満々だったのに、私の口ですっごくカウパー汁垂らして……可愛い♡」
「んっ♡ 言ったでしょ? 僕は君の物なんだから……君が望んだままの痴態を晒してるだけ、あっ!? ふぅ、ふぅ……ッ!」
「ふーん、じゃあ尿口を私の指先でほじられて、私の下着に包まれたお尻を顔いっぱいに押し付けられて情けなく腰をビクビクさせてるのは、自分が淫乱なんじゃなくて、私に合わせてるだけって言うんだ♡」
乱の煽りを受けた私は、そのまま欲望全開で彼とシックスナインで交わっていた。彼のペニスを舌と指で奉仕しながら、自身の秘部を下着越しに彼の鼻先に押しつける。
そうすると彼の肉棒は嬉しそうに何度もビクンビクンって痙攣して、ちょっとカリ首を唾液たっぷりの指先でなぞって玉袋を優しく揉んであげればまた新しい先走り汁がビュルって噴き出して来る。
彼が私を淫乱な体にしたように、私もまた彼を淫乱にしたんだ。彼が私の性感帯を熟知しているように、私も彼の感じる部位と攻め方を熟知している。
だから私たちのセックスは、こうやって何度も攻め側と受け側が切り替わる。どっちもSにもMにもなれる。まさしく理想のカップル。やっぱり、彼の恋人に相応しいのは私なんだ。
「ほら、ビュルルルって情けない負け犬ザコ雄射精しちゃいなよ、乱。名前の通り、乱れまくったアヘ顔射精、私のお尻に踏まれながら決めちゃえ♡」
「んっ、んんんっ♡ 僕は、僕は――――う、ああああッッ♡」
肉棒の茎を掴んで、上下に激しく扱きながら舌先で亀頭を舐めれば、彼はさっきの形だけの余裕さも忘れて美少女顔を無様なアクメ顔に変えて射精する。
それを私の膣で黙らせるように踏めば、彼のペニスはより高く跳ね上がってその射精量を強くした。守るべき女の子に顔面をお尻で踏まれながらの敗北射精が、負け犬根性を魂の奥底に刻まれてしまった彼には最高の快感なのだ。
本人は絶対認めないだろうけどね。
「んぐっ、ごきゅ、じゅるるる♡」
噴水のように精液を吐き出す亀頭を口で咥えて、彼の子種全てを胃の中へと飲み込みながら、私はあの日を少しだけ思い出す。
先生と生徒の禁断の愛。それも、男と男。担任の先生に懐く乱を見て、そんな妄想を勝手に頭の中で描いた中学生時代の私は、人目のつかない防音設備付きの視聴覚室に二人を見て暗い欲望が渦巻いた。
もしかしたら、彼の弱味を握れるかも。
そうしたら、それをネタに彼と関係を築けるかもしれない。
そう考えて、それを実行しようと鍵をかけられた扉に家から持って来た集音マイクを押し付けて録音を開始した。
少しでも、そう言う関係を思わせる事を言えばそれを編集でもして脅迫材料にしてやると思っていた。
頭の中で、彼を脅して自分の言いなりの恋人にする瞬間を想像して興奮してた。
でも聞こえて来たのは、彼の悲鳴。
助けを求める悲痛な声と、狂気に染まった男の声。
美少年を脅迫する最低女になるはずだった私の未来は、一転して美少年を救った英雄になった。
それが、あの日の真実。
君も知らない、私の本性。
「ああ、ひもちいい♡」
「ごちそうさま♡ 乱の負け犬精子、今日も美味しかったよ♡ 大好き♡」
「……ッ! あはっ♡ 君の愛液で僕の顔びしょ濡れになっちゃった。興奮してるのはどっちなのかな?」
ショーツの下で射精を決めた乱が恍惚に浸っていた彼が、私の言葉に再び元の生意気な調子を取り戻す。
恐怖に負けじと強くなった末に、圧倒的な絶望に心折れてしまった彼の心が、私の前でだけは以前のように変わるんだ。
そう、私の前でだけ。
乱は変わってしまった。ううん、昔に戻ってしまった。彼はまた、イジメられて誰かに依存するように守られるしかなかった頃の弱い乱に退行しちゃったんだ。
思い出したくもないあの地獄から帰って来て、彼の側から離れたら死んでしまうと思っていた私と同じくらい、乱も私がいないとダメになっていた。
彼は私無しでは、もう弱い自分に戻ってしまう。
守るべき、自分の持ち主たる私がいるから、彼はかつての強い自分を演じられる。
だから、私から離れられない。私から離れたら、乱はきっと――――。
わかってる。これは共依存なんだって。
お互いの精神をギリギリ正常に留めるための、慰め合いなんだと。
体を求め合うのは、愛情ももちろんあるけど、それ以上にあの日の恐怖を忘れるため。
だってこうしている間は、もうお互いの事しか見えなくなるから。
あの青を、一瞬で真っ白の幸福でかき消してくれるのだから。
乱を、私だけの
「僕を好き勝手したんだ、好き勝手される覚悟あるよね?」
そうさせたのはそっちじゃない、なんて文句は出てこない。私を見つめる乱の顔が、あまりにも扇状的で淫らに染まりきっていたから。発情した犬みたいな目で、私を求めていて、私以外何も映していないから。
「うん♡ 私も、もう準備できてるから♡」
乱がシックスナインの体勢から、私をベッドに押し倒して覆い被さって来る。そして口淫ですっかり濡れそぼったペニスを私の蜜壺に押し当てた。
それに対して、私の牝の体は期待感だけで大量の愛液を分泌して彼との合体を歓迎してて、自分の体の事ながら彼氏のこと好きすぎでしょと呆れてしまう。
まあ、それだけ私の未来の夫が魅力的なんだと思えばどうでもよくなった。
「あっ、あああ……っっ♡」
ずにゅぅぅっと彼のペニスが入って来る。
この瞬間が、私は一番好き。彼が私の中に入って来て、私の空白が埋められていく感じ。欠けている私の体が、彼と共になる事で完成するような感覚。
それを、乱の方も感じてくれていると確信している。
だって、私と繋がりあった瞬間に見せる悦楽とした表情を見れば、私と同じ幸せを感じているってよくわかるもの。
「さあ、もっと僕と乱れよう」
「うん♡ 何もかもどうでもよくして♡」
私と乱は、今日も同じ幸せを共有している。
「んあっ♡ あっ、あっ、あんっ♡ 乱のが、奥まで、届いてるよ♡」
「美香、好き♡ 大好き♡」
ゆっくりと動き始めた乱の腰が、少しずつ早くなって、彼のペニスが激しく出し入れを繰り返す感覚を、膣全体で味わう。
お互いの体を重ね合って、嫌なこと全部忘れて愛し合う快楽だけを感じれている。
「私も好き♡ 乱と、ずっとこうして繋がってたい♡ 死ぬまで離れずに、一生愛し合いたいの♡ だからね、射精して? 私を愛してるなら、膣中出しして♡」
「うん、もちろんだよ♡ 僕は美香の刀剣なんだ♡ 君が望めば、僕は一生君と言う鞘に仕舞われて、絶対に抜けないようになってあげるから♡ だから美香も、僕を愛してるなら絶対僕を引き抜かないでね♡」
そう。
だから、これは気のせいだ。
「乱♡ みだれぇ♡」
「美香♡ みか♡」
私を抱きしめる君の細い両手。
私をハートマークの浮かんだ蒼い瞳で見つめるその顔。
その。
後ろに。
ニィタァ
セックス最高♡
あっ♡ 乱のペニスが膨らんできた♡
射精して♡ 子宮に、乱の精子ちょうだい♡
一緒に、イこう♡ あっちに♡ 二人で、一緒に♡
イッ――――クぅぅぅっぅぅっ!!!!
ガチャリ
愛してるよ、乱。
たとえ、鬼になっても。
乱
過去のトラウマ刺激されてバキバキに心折れちゃって好きな子と共依存エッチにハマる乱藤四郎を書きたかった。強姦未遂事件で本人は気づいていないが男性恐怖症。なので剣道で相手選手をボコって悦に浸るのは、潜在的な身の恐怖を自分が打ち負かしたと快感を感じているから。
生き残ってからは、青鬼の恐怖に屈さないために美香を守る自分を演じて正気を保っている。でもそれはそれとして、自分を昔救ってくれたヒーローと両想いエッチできて嬉しい。ドSに見せかけたドM。
「ずーーーーっと守るからね、美香」
美香
Switch版の見た目がただのfateのザビ子にしか見えない不遇少女。原作でいじめっ子だったり、そうじゃなかったりするので、いじめっ子の素質を持っていた普通のヤンデレ女の子に。
この世界線では彼女と主人公を除いて仲良しグループは全滅。たった二人の生き残りとして、死ぬまでお互いを求め合って交じり合う。共依存で退廃的な関係だとわかっているけど、主人公とイチャラブチュッチュできるならいいや、と考えるのをやめた。ドMに見せかけたドS。
「ずーーーーっと離さないからね、乱」
ここまでお読みいただきありがとうございます。
夏と言えばホラー、と言う事で名作フリーゲーム青鬼でした。
二人がその後どうなったかは、ご想像にお任せします。メリバ好きの方は二人は鬼となっても、共にあり続けた。ハピエン好きの方は二人は毎日共依存エッチしまくった末にたくさんの子宝に恵まれてトラウマとか忘れちゃって幸せに暮らしましたと想ってください。
都市伝説の後編は近日に投稿します。
もしFFのエロをやるならどのナンバリングが見たい?*FF7は意図的に外しています
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