※この作品はR-18です。

マイナーキャラ妄想短編集   作:ニンニク嫌い

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 もしデルマイユ公がリリーナを財団の象徴としてではなく、愛人として欲していたら?

 アナザーガンダム初代三作のR18もっと増えろ


ガンダムW(リリーナ) 前編

 

 

 ロームフェラ財団本部の長い廊下を進むたび、リリーナの足には世界のすべてが重くのしかかってくるようだった。

 

 サンクキングダムは崩壊した。国土も王家の権威も、完全平和主義を掲げた彼女の理想さえ、今は財団の掌中にある。自ら主権の放棄を宣言し、OZへ身柄を委ねたのは、戦火に巻き込まれる国民を一人でも多く救うためだった。

 

 それでも戦闘が終わったからといって、すべての危険が去ったわけではない。財団が保護を打ち切れば、国外へ逃れた者たちは反乱分子として追われ、国内に残った人々もどのような扱いを受けるかわからなかった。

 

 それを避けるためにデルマイユ公が突きつけた条件は、リリーナがロームフェラ財団の象徴となり、その支配を自ら正当化することだった。

 

 そのような要求だけは、どうしても受け入れられない。彼女を信じ、戦火の中でも完全平和主義に希望を託してくれた人々を、自らの言葉で裏切ることになるからだ。

 

 しかし拒めば、財団はサンクキングダムの民に対する保障をすべて取り消す。数日前、使者を通じて伝えられたデルマイユ公の言葉が、今も鮮明に耳へ残っていた。

 

『猶予は次の会談まで。それまでに、賢明なご決断をいただきたいものですな』

 

 そして、その期限が今日だった。

 

 豪奢な応接室の扉の前へたどり着くと、リリーナは淡い色のドレスの上から自らの胸元を押さえた。掌の下で、鼓動が痛いほど激しく脈打っている。

 それでも、ここで立ち止まるわけにはいかない。考える時間を自分へ与えれば、踵を返す理由をいくつも思いついてしまうだろう。

 

 けれど、ほかに道はないのだ。

 

 リリーナは震えそうになる唇を固く結ぶと、ためらいを振り切るように扉を叩いた。

 

 ややあって重厚な扉が静かに開く。室内には金色の装飾を施された調度品が並び、その奥まで深紅の絨毯が敷かれている。そしてその向こうには、初めて間近に見るデルマイユ公が立っていた。

 

 老公爵は彼女の姿を認めると、鷹揚な態度で目を細めた。その視線が顔から首筋へ、ドレスに包まれた胸元や細い腰へとゆっくり降りていく。あまりに遠慮のない観察に、リリーナは肌の上を直接指でなぞられたような錯覚を覚え、思わず両膝を寄せた。

 

「これはこれは、プリンセス・リリーナ。ご決断はつきましたかな?」

 

 こちらを舐めるような視線に、慇懃な声色。形だけの敬意だというのを隠そうともしないデルマイユ公のいる応接間へと、リリーナは喉から溢れそうになる怒りと屈辱の言葉を飲み込んで踏み入れた。

 

 背後でバタンと扉が閉まり、それから十数秒ほどの無言の時間が室内を満たすと、リリーナは身を切る思いで言葉を口に出した。

 

「……その条件を受け入れることはできません」

 

 ようやく声にした言葉は、自分で予想していたよりも落ち着いていた。デルマイユ公はわずかに眉を上げたものの、やがて残念そうに息を吐き、ゆっくりとかぶりを振った。

 

「それでは、私どもとしても致し方ありませんな。サンクキングダムは既に存在せず、あなたも今や一人の亡命者にすぎない。財団の庇護を拒まれる以上、その国民と称する者たちまで特別に保護する理由はありますまい」

 

 言葉だけを聞けば、いかにも心苦しい決断であるかのようだった。しかし、その声には憐れみなど欠片もない。むしろ彼女が何を言い出すのか知りながら、あえて逃げ道を塞いで楽しんでいるようにさえ聞こえた。

 

「残念ですな、プリンセス。あなたならば、聡明な選択をなさると思っていたのですが」

 

 そう告げると、デルマイユ公はゆっくりと閉じた扉を開け、まるでお帰りはこちらですというように廊下を示しす。

 

 その瞬間、リリーナの心がは焦燥に掻き立てられた。扉を潜れば、サンクキングダムの人々を救う最後の機会まで失われてしまう。その恐怖が、屈辱に凍りついていた彼女の声を無理やり喉から押し出した。

 

「お、お待ちください!」

 

 デルマイユの目が興味深そうに深められた。

 

 リリーナは胸の前で両手をきつく握り合わせる。これから口にしようとしている言葉を思い、頬が熱を帯び、細い肩が小さく震えてしまう。

 

 なぜなら次に自分が言う言葉は、王女として守ってきた誇りも、女性としての羞恥も、その一言ですべて自ら差し出すことになるのだから。

 それでも、彼女を信じてくれた人々の命と引き換えならば、選ぶべきものは最初から決まっていた。

 

「私は……別の形で、その代価をお支払いするために参りました」

 

「別の形、ですかな?」

 

 聞き返す声には、明らかな愉悦が滲んでいた。デルマイユ公が何を期待しているのか、リリーナにはわかっている。それでも、曖昧な言葉の陰へ逃げ込むことさえ許してはもらえないらしい。

 

「……財団の象徴にはなりません。ですが、その代わりに……私自身を、公爵へ差し出します」

 

 自分の口から発した言葉が、耳の奥で何度も響いた。リリーナは羞恥に耐えきれず視線を伏せた。頬だけでなく、耳や首筋にまで熱が広がり、ドレスの内側で肌がじっとりと汗ばむ。きつく揃えた太腿まで微かに震えていた。

 

 だが、その申し出は確かにデルマイユ公の望みに届いた。

 

 彼はしばらくリリーナを眺めたあと、口元を大きく歪めた。それは外交の場で見せる穏やかな微笑ではない。若い王女が自ら逃げ道を捨て、彼の前へ身を差し出したことを喜ぶ、一人の男の笑みだった。

 

「なるほど。それがあなたの選ばれた、もう一つの方法というわけですな」

 

 デルマイユ公は扉をゆっくりと閉めると、がちゃんと施錠する音が響いた。それが、まるで自分が鳥籠の中に閉じ込められた音のように聞こえて、リリーナはびくりと肩を震わせてしまう。

 

「それでは、詳しい条件はこれから二人でゆっくりと、話し合うといたしましょう」

 

 リリーナは一瞬だけ目を閉じ、それから操り糸に引かれる人形のようにデルマイユ公の導く方向へと向かって歩き出す。その先には、部屋の中央に置かれた長椅子があり、悠然と彼女の横を通り好きだデルマイユ公が一足早く深々と腰を下ろした。

 

 そして公爵は背もたれへ片腕を広げると、自分のすぐ隣にある座面を軽く叩いた。

 

「こちらへ来て、私の隣へ座りなさい」

 

「……はい」

 

 リリーナは命じられるまま長椅子へ向かったが、できる限り距離を取ろうと、その端へ浅く腰を下ろした。背筋を伸ばし、両手を膝の上で固く組んで、重ねた指を力強く握った。

 

 薄いドレス越しに感じる座面の柔らかさとは対照的に、身体は緊張で硬く強張っている。背後へ回されたデルマイユ公の腕が直接触れているわけでもないのに、まるで逃げ道を塞がれたような圧迫感を感じてしまう。

 

「さて、確認しておきましょうか。財団の庇護をサンクキングダムの民へ与え続ける代わりに、プリンセス・リリーナ、あなたはご自身を私へ差し出す。今後、その身をもって代価を支払うおつもりである……そういうことで間違いありませんな?」

 

 デルマイユ公の視線が、揃えられた膝から腰の曲線をたどり、上下する胸元へゆっくりと移っていく。リリーナはその視線から身体を隠したくなったが、両手を動かせば怯えていることまで悟られてしまう。唇を噛み、膝の上で指をいっそう強く絡ませながら、小さく答えた。

 

「……はい」

 

「公爵様、ですぞ」

 

 リリーナが息を呑んで顔を上げると、デルマイユ公は満足げに目を細めていた。

 

「今後、私に返事をするときは『公爵様』とお呼びなさい。あなたご自身が申し出た関係なのですから、その立場に相応しい礼儀を身につけていただかなくてはなりません。よろしいですかな?」

 

 屈辱に頬を染めながらも、リリーナは逃げずに彼の目を見つめ返した。サンクキングダムの民を守るためにここへ来たのだと、胸の内で何度も自分へ言い聞かせる。

 そして震える唇をゆっくりと開き、今度こそ求められた呼び方を口にした。

 

「……はい、公爵様」

 

 リリーナの返事を聞くと、デルマイユ公の笑みはいっそう深くなった。背もたれへ広げていた腕を動かし、白い手袋を外した指を、彼女の淡い栗色の髪へ差し入れてくる。

 丁寧に梳いているようでありながら、そこには若い王女の髪へ自由に触れられる立場を確かめるような、粘つく愉悦が込められていた。

 

「……っ」

 

 指先が耳のすぐそばを掠めた瞬間、思わずリリーナの肩は小さく跳ねていた。反射的にその手を払いのけたくなり、膝の上で重ねていた指が動きかける。だが、彼女は掌へ爪を食い込ませ、湧き上がった衝動を懸命に押し殺した。

 

 この部屋には、今は二人しかいない。デルマイユ公は大人の男とはいえ、すでに老境に入った歳の男性。リリーナが本気で抵抗すれば、その手を振り払い、頬を打って部屋を飛び出すことくらいはできるはずだ。

 

 だが、ここでデルマイユ公へ手を上げても、何ひとつ救われない。部屋の外には財団の兵士が控えているだろうし、リリーナ自身も事実上の捕虜である。

 彼女が少しでも反抗すれば、公爵はそれを口実にして、サンクキングダムの生存者を反乱分子として処断することさえできるのだ。

 

 肉体的には振りほどけても、政治的には抗えない。今のデルマイユ公が握っているのは彼女の髪だけではなく、祖国の民すべての命なのだから。

 

 そう考えると、リリーナは動きかけていた手を再び膝の上へ戻した。身体を硬くしながらも顔を背けず、髪のあいだを這う太い指を受け入れる。触れられるたびに背筋を冷たいものが走り、同時に羞恥の熱が頬から首筋へ広がっていった。

 

 デルマイユ公はそんな彼女を横目で観察していた。差し出すと言った言葉が本心なのか、それとも隙を見て逃れようとしているのか、反応の一つひとつから見定めているらしい。やがて、リリーナが抗うことなく俯いたままでいると、公爵は満足げに鼻を鳴らした。

 

「よろしい。実に聞き分けのよい姫君ですな」

 

 髪を撫でる手が、後頭部から頬の脇へゆっくりと降りてくる。指先で一房を弄びながら、デルマイユ公は思い直したように笑った。

 

「いや……聞き分けがよい、というのは少々違いましたかな。養父の仇を討つためにレディ・アン特佐の命を狙い、ロームフェラ財団へ公然と反発し、OZを脱走した兵士たちまで受け入れた。その結果、王国を戦火へ巻き込み、自らは財団の捕虜となった」

 

 公爵は彼女の顎へ指を添え、俯いていた顔をわずかに上げさせた。

 

「あなたは随分と悪い姫君なのですな、プリンセス・リリーナ。あなたのせいで、あなたを慕う者たちまで処罰されかかっている。これほど手のかかる姫君も、そうはいないでしょう」

 

 リリーナの眉が微かに動いた。サンクキングダムを戦火へ巻き込んだのは、平和を恐れて侵攻を命じたデルマイユ公自身である。その責任まで自分へ押しつける言葉に、反論が喉元までせり上がった。

 

 しかし、得意げに歪んだ公爵の顔を見れば、言い返すことを待ち望んでいるのは明らかだった。彼は彼女の誇りを傷つけ、反抗させ、そのたびに置かれた立場を思い知らせようとしている。

 力で抗うことも、言葉で抗うことも許されないのなら、今のリリーナにできるのは、この屈辱へ黙って耐えることだけだった。

 

 彼女は唇を固く結ぶと、再び目を伏せた。白い喉を一度震わせ、求められている返事を小さな声で告げる。

 

「……はい、公爵様」

 

「よろしい」

 

 デルマイユ公は低く笑い、まるで既に自分の所有物となったかのように、彼女の髪を何度も撫で続けた。丁寧に整えられていた髪は、太い指に梳かれるうちに少しずつ乱されていく。

 耳を覆っていた一房が払われ、白い耳と細い首筋が露わになると、リリーナはそこへ注がれる視線を感じ、耐えるように肩を竦めた。

 

 だが、それさえもデルマイユ公には従順な仕草と映ったらしい。公爵の指は髪を離れず、時折その根元を軽く掴みながら、彼女が逃げられないことを確かめるように弄び続けた。

 

 実際、今のリリーナは彼を必要としていた。より正確に言えば、彼の掌中にあるロームフェラ財団の権力を必要としている。

 

 デルマイユ公にとって、サンクキングダムの民を保護するかどうかなど些細な問題にすぎない。一方でリリーナにとっては、彼らの命と未来のすべてが懸かっている。

 

 どちらが相手を必要としているかは、二人とも痛いほど理解していた。だからこそ、デルマイユ公は彼女の髪へ触れ、顔を覗き込み、どれほど無礼な言葉を浴びせても拒絶されないと確信している。

 その事実が、直接肌を晒しているわけでもないリリーナへ、裸で品定めされているかのような羞恥を与えていた。

 

「さて、プリンセス。あなたには財団へ差し出せる領土も、軍事力も、もはや残されてはいない。金銭や権力によって対価を支払えないというのであれば……その若く美しい身体を使って、私を満足させていただくほかありますまい」

 

 

「――――っ」

 

 あまりに直接的な要求に、リリーナの呼吸が止まった。

 

 デルマイユ公の指が髪を梳きながら肩先へ触れ、ドレスの布地をゆっくりとなぞる。厚い衣服越しの接触にすぎないのに、そこへ込められた意図を理解した途端、触れられた場所から熱が染み込んでくるようだった。

 

「そのために、ここへ来たのでしょう? ご自分の身体を私へ差し出すために」

 

 リリーナはすぐには答えられなかった。口にすれば、先ほど曖昧にした申し出が、取り消せない現実になってしまう。それでも沈黙を続ければ、サンクキングダムの民を守るという決意まで偽りだったことになる。

 

 彼女は震える息を細く吐き、羞恥に潤み始めた瞳を伏せた。

 

「は、はい……公爵様……」

 

「では、これで取引は成立ですな」

 

 デルマイユ公は当然のように言い切ると、彼女の髪を撫でていた手で後頭部を包み、自分のほうへ少し引き寄せた。

 急に縮まった距離へリリーナの背筋が強張る。男の体温と葉巻を思わせる匂いが濃くなり、彼の息遣いまで間近に感じられて、思わず嫌悪で顔が歪んでしまう。

 

「今後、あなたには昼夜を問わず、私の求めに応じていただきます。曜日も時刻も関係ありません。私が呼び出せば、あなたは直ちに身支度を整えて私の元へ参る。会議中であろうと、深夜であろうと同じことですぞ」

 

「……いつでも、ですか?」

 

 思わず聞き返したリリーナへ、デルマイユ公は愉快そうに頷いた。

 

「いつでも、です。私があなたの居室を訪れ、その場で身体を抱きたいと思えば、あなたは黙って受け入れる。こちらへ来るよう命じたなら、どのような時間であろうと、私を待たせることなく参上するのです」

 

 言葉が重ねられるほど、リリーナの顔から血の気が引いていく。人々を守るため、一度だけ自らを差し出せば済むのではなかった。デルマイユ公が提示しているのは、期限すら定められていない服従だった。

 

「私が望むとき、望む場所で、あなたの身体を自由にさせていただく。サンクキングダムの民が財団の庇護を受け続けるかぎり、あなたが私の要求を拒むことは許されません。それが今回の条件です。すべて理解できましたかな?」

 

 リリーナは乾いた喉を鳴らした。受け入れる覚悟をしてきたはずなのに、その要求は彼女の想像をはるかに越えている。いくら民を守るためとはいえ、自分の意思も時間も、女性としての尊厳までも永続的に委ねろという条件を、平静なまま呑み込むことなどできなかった。

 

「そ、そのような条件は、あまりにも――っ!」

 

 抗議を言い終えるより早く、デルマイユ公の指が彼女の髪を強く掴んだ。

 

「うっ……!」

 

 頭を後ろへ引かれ、リリーナの白い喉が大きく反らされる。髪の根元を引かれる鋭い痛みに瞳が潤み、薄く開いた唇から苦しげな吐息が漏れた。

 最悪なのは、胸を張らされるような姿勢となったことで、呼吸に合わせて震えるドレスの胸元へと、デルマイユ公の視線が集中していることがわかってしまう事だ。

 

 逃れようと首を動かしかけたリリーナだったが、髪を握る力がさらに増したことで動きを止めた。至近距離から見下ろす公爵の顔には、先ほどまでの上辺だけの温和さは残っていない。彼女が自らこの取引を申し出た以上、いまさら条件へ異を唱えることなど許さないという、冷たい支配欲が隠す気もなく浮かんでいた。

 

「理解したのかと、聞いているのですぞ?」

 

 髪を強く掴まれたまま、リリーナは再び湧き上がった反撃の衝動を抑え込んだ。腕を伸ばせば頬を打ち、その手を振りほどくことはできる。

 だが先ほど思い知ったとおり、彼女が暴力を振るえば、それを口実に取引を反故にされ、サンクキングダムの民が破滅させられるだけだ。

 

 デルマイユ公も、その矛盾を知り抜いている。だからこそ彼は、世界を前に完全平和主義を訴えた王女ではなく、爪を立てることさえ許されない一匹の飼い猫を見るような目をリリーナに向けているのだ。

 

 そして屈辱的なことに、財団の権力も祖国の命運も握られた今、リリーナには自分自身を差し出すしかない。

 

 髪の根元へ走る痛みに耐えながら、リリーナは歯を食いしばった。そしてその隙間から、公爵が求めている答えを絞り出す。

 

「はい……理解いたしました、公爵様」

 

 そう答えた瞬間、王女として守り続けてきた何かが、音もなく崩れ落ちたように感じられた。

 彼女はもはやサンクキングダムを統べる者ではなく、平和を訴えて人々を導く指導者ですらない。祖国の民を生かすため、下劣な男の前へ自らの身体を差し出した一人のか弱い小娘でしかなくなってしまったのだ。

 

 デルマイユ公は勝ち誇った笑みを浮かべると、ようやく彼女の髪から手を離した。引かれていた頭が自由になり、リリーナは乱れた呼吸を整えながら、痛みの残る頭皮へ触れかける。だが、その手を持ち上げるより先に、公爵の命令が飛んだ。

 

「結構。では立ちなさい。さっそく始めるといたしましょう」

 

 リリーナが怯えを隠しきれない瞳を向けると、デルマイユ公は長椅子へ深く座り直し、彼女の全身を舐め回すように眺めた。

 

「まずは、その衣服をすべて脱いでいただきます。無造作に脱ぐだけではいけませんぞ。私の目を楽しませるよう、できるだけ淫らに、男を誘うつもりで一枚ずつ脱ぎなさい。そのあとは両手と両膝を床につき、ここまで這ってくるのです」

 

 公爵の視線がドレスに包まれた胸元から腰、固く閉じられた脚へと移っていく。

 

「そして私の前へ跪き、その口で奉仕していただきましょう」

 

「そ、そのようなことを……今、ここでなさるおつもりですか?」

 

「いつでも私の求めへ応じると、たった今ご自分で承知なさったはずですぞ。まさか、早々に約束を違えるおつもりではありますまいな?」

 

 逃げ道を塞ぐような問いかけに、リリーナは何も答えられなかった。俯いたまま長椅子から立ち上がり、公爵から数歩離れた部屋の中央へ向かう。

 そして深紅の絨毯の上で足を止めると、彼女は両腕で自らの身体を隠したい衝動に耐えながら、震える指をドレスの襟元へ伸ばした。

 

 同時にその背後で、革帯を外す硬い音が響く。何をしているのかは、振り返らなくてもわかる。デルマイユ公が自分の身体を露わにしようとしているのだと考えただけで、リリーナの喉がひくりと震えた。

 

 それでも彼女は決して公爵のほうを見ようとはせず、襟元を留めていた小さなボタンを一つずつ外していく。

 

 ボタンが一つ外れるたび、赤いドレスの合わせ目が少しずつ開いていった。白い首筋から鎖骨へ冷たい空気が触れ、布の内側へ入り込んでくる。胸元まで緩んだところで、リリーナは両肩を小さく動かし、袖から腕を抜きながら上半身を覆っていた布をゆっくり押し下げた。

 

「もっとゆっくりとです、プリンセス。私を焦らすように腰を動かしなさい」

 

 命じられたリリーナは、恥ずかしさに顔を俯けた。人前で衣服を脱ぐことすら初めてだというのに、まして男を誘惑するように身体を見せた経験などあるはずもない。

 どうすればよいのかわからず、音楽も流れていない部屋の中で、見よう見まねに腰を左右へ揺らした。

 

 その動きはぎこちなく、踊りと呼べるようなものではなかった。それでも細い腰が動くたびに、緩んだスカートが滑らかな肌を擦り、形のよい臀部の上を少しずつずり落ちていく。

 やがて重い布地が腰を越え、脚へまとわりつきながら絨毯へ落ちると、リリーナは白い下着だけの姿でデルマイユ公の前に立たされた。

 

「なかなかよい眺めですな。続けなさい」

 

「……っ!」

 

 背中へ刺さる視線を感じながら、リリーナは足元のドレスを踏まないように抜け出した。

 薄い下着越しに臀部の形を見られていることを意識すると、脚が震えて思うように動かない。それでも命令に従い、身体をわずかに捻りながら、胸元を覆っている下着の留め具へ手をかけていく。

 

 指先が震え、一度では外せなかった。背後から聞こえた公爵の小さな笑い声に羞恥を煽られながら、もう一度留め具を探り、ようやく外す。

 肩紐を片方ずつ滑らせると、柔らかな胸を包んでいた布が緩み、リリーナは最後まで隠していたい気持ちを押し殺して、その覆いを左右からゆっくり取り去った。

 

 露わになった豊かな乳房が、浅い呼吸に合わせて小さく揺れる。冷えた空気へ晒された先端はすぐに硬くなり、それをデルマイユ公に見られていると思うだけで、リリーナの顔は耳まで赤く染まった。

 反射的に腕で胸を隠したくなったが、デルマイユの機嫌を損ねることを恐れ、下着を指先から床へ落とすだけに留める。

 

「よろしい。実に美しい身体ですぞ。ドレスで隠しておくには惜しいほどですな」

 

「……見世物ではありません」

 

「今は私のために見せているのでしょう? それとも、その姿でまだ王女を気取るおつもりですかな」

 

 返す言葉を失ったリリーナは、唇を噛みながら最後に残った下着へ指をかけた。腰を揺らすようにして少しずつ引き下ろすと、薄布が丸みのある臀部を越え、白い脚を伝って足首まで落ちていく。

 片足ずつゆっくりと下着から抜き、ついに一糸まとわぬ姿となった彼女は、両脚の隙間を閉じるように立ちながら、裸身を見つめる男の視線へ耐え続けた。

 

「こちらを向きなさい」

 

 リリーナは秘部を隠したくなる衝動を堪えながら、ゆっくりと振り返り、その先に見た光景に息を呑んだ。

 

 デルマイユ公は長椅子へ座ったまま、既に下半身を露わにしていた。彼の手は太く屹立した男根を握り、裸身を晒したリリーナの姿に合わせて、根元から先端へゆっくりと擦り上げている。その露骨な動きに彼女の視線は吸い寄せられ、すぐに目を逸らそうとしたものの、一度目に入った異様な大きさが脳裏へ焼きついて離れなかった。

 

「……そんな」

 

 思わず漏れた声とともに、リリーナの呼吸が止まりかけた。男性の裸身を間近で見ること自体が初めてであり、それが普通と比べてどれほどのものなのか正確にはわからない。

 それでも、太い指に握られてなお余る肉棒が、自分の裸身を見せつけられるほど大きく硬さを増していく光景は、彼女へ本能的な恐怖を抱かせるには十分だった。

 

 あれを口に含み、そのうえ身体の奥へ受け入れなければならない。そう想像すると、閉じていた脚へ無意識に力が入り、太腿の内側がきつく擦れ合った。

 自分の身体に収まるとは到底思えず、リリーナは青ざめた顔で小さく首を振った。

 

「どうしましたかな。ご自分から差し出した身体でしょう。私を待たせてはいけませんぞ」

 

 デルマイユ公の声に促され、リリーナはようやく我へ返った。命令は既に受けており、祖国の民を守るためには従わなければならない。彼女は屈辱に震えながらその場へ両膝をつき、続いて手のひらを深紅の絨毯へ置いた。

 

 そして言われた通りの四つん這いになると、支えを失った乳房が重力に従って垂れ、呼吸のたびに頼りなく揺れてしまう。さらに腰を低くした姿勢では、臀部も隠しようがないほど公爵へ晒されている。

 

 背後ならまだその視線を直接見る事はなく辛うじて耐えらたかもしれない。しかし今は正面からそのすべてを見られており、彼の自分の身体を見る好奇の視線が肌を刺すように感じられて、リリーナは羞恥に耐えかねて俯いた。

 

「さあ、こちらへ」

 

 短い命令を受け、リリーナは震える手を前へ出した。膝を動かすたびに髪が頬へかかり、裸の乳房が小さく揺れる。

 王女であった自分が、祖国を滅ぼした男の足元へ向かって裸で這っている。その現実を認めたくないのに、掌と膝へ伝わる絨毯の感触が、これは夢ではないと何度も思い知らせてきた。

 

 長椅子までたどり着くと、リリーナはデルマイユ公の両脚のあいだへ膝をついた。視線を上げることができず、太腿の前で両手を固く握り合わせる。だが公爵は待つことなく、握っていた肉棒を彼女の頬へ押しつけた。

 

「ひゃっ……!」

 

 熱く硬い肉塊が、乾いた音を立ててリリーナの頬を叩く。続いて反対側へも押しつけられ、先端が唇の端を擦っていく。生々しい感触と雄臭さを帯びた匂いに、リリーナは顔を背けかけたが、デルマイユ公が髪へ手を伸ばすのを見て、どうにか動きを止めた。

 

「手を添えなさい。大切に扱っていただかなくては困りますぞ」

 

 屈辱に唇を震わせながら、リリーナは両手を持ち上げた。片手だけでは包みきれず、両手でようやく太い肉棒を支える。

 その熱と脈動が掌へ直接伝わった瞬間、触れているものがこれから自分の身体を蹂躙する男の性器なのだという実感が湧き、背筋へぞくりと震えが走った。

 

 このまま強く握り潰してしまいたいという衝動が、脳裏を掠める。あるいは口へ入れた瞬間に歯を立てれば、デルマイユ公へ取り返しのつかない傷を負わせることもできる。

 しかし、そのようなことを自分には絶対にできないと、公爵も知り抜いていた。

 

 だからこそ、彼は何の警戒もなく肉棒を彼女の顔へ押しつけ、自信に満ちた笑みで見下ろしている。その傲慢な表情を消してやりたいと願いながらも、リリーナはサンクキングダムの民の姿を思い浮かべ、ゆっくりと唇を開いた。

 

「んっ……」

 

 先端へ口づけるように唇を触れさせ、恐る恐る口内へ迎え入れる。だが先端だけでも予想以上に太く、唇はすぐに限界まで押し広げられた。

 顎へ鈍い痛みが走り、さらに深く含もうとした途端、喉の奥を刺激されて苦しげな声が漏れる。

 

「んぅっ……う、んんっ……!」

 

 目尻に薄い涙を浮かべながら、それでもリリーナは命令を果たそうとした。肉棒を包む唇へ力を込め、舌先で張りつめた先端をぎこちなく舐める。

 どう動けば男を悦ばせられるのかわからず、まずは口へ収められた先端を吸い上げ、舌をその周囲へゆっくり這わせていった。

 

 唾液に濡れた肉棒が、彼女の口内でさらに熱と硬さを増していく。少しでも深く含もうと顔を前へ動かすたび、太さに押し広げられた顎が軋み、喉の入り口を突かれて身体がびくりと震えた。

 結局、根元まで咥えることなどできず、リリーナは先端へ吸いつきながら、不慣れな舌で懸命に奉仕を続けるしかなかった。

 

「ほう……初めてにしては、悪くありませんぞ」

 

 一国の年若い王女が自身の肉棒に必死に舌を這わせて奉仕している。それだけで高まる欲望を感じてデルマイユ公は満足げな呻きを漏らした。そして大きな掌を彼女の頭へ載せると、よくできましたというようにゆっくりと撫でた。

 

 その髪を撫でる手つきは一見優しく、だが同時に、わずかに力を加えれば、彼女の口をさらに深く肉棒へ押しつけられる位置にあり、その事実を意識したリリーナの舌が一瞬止まると、公爵は愉快そうに腰を前へ押し出した。

 

「んぐっ……!」

 

「ですが、やはり本物の男を知らぬ口ですな。これほど立派なものを咥えた経験はないのでしょう?」

 

 嘲るような言葉とともに、デルマイユ公はリリーナの髪を掴み、肉棒から彼女の口を引き離した。濡れた先端が唇を擦りながら抜け、細い唾液の糸が一瞬だけ二人のあいだへ伸びる。ようやく呼吸を許されたリリーナは肩を上下させ、口元を濡らしたまま公爵を睨み上げた。

 

 口内に残った男の味と、自分がその性器へ奉仕したという屈辱が、彼女の羞恥と怒りを激しく煽っている。だがリリーナは、目線だけで次にする屈辱を伝えてきた男に従い、両手で握った肉棒を乱暴に上下させるしかない。それでも意思だけは自由にさせる気はないと、歯を食いしばって言い返した。

 

「あなたを……本物の男などとは認めません。この卑劣な豚……!」

 

 その一言に、デルマイユ公の目が驚きと怒りで見開かれた。けれども、それはほんの一瞬のことだった。すぐに怒りを意地の悪い笑みの下へ隠すと、公爵はリリーナの両頬を片手で掴み、指先で強く挟み込んだ。

 

「随分と生意気な口をお持ちですな、この牝猫は。男のものを咥え、唾液で濡らした唇から出る言葉とは思えませんぞ」

 

「んっ……! は、はなして、ください……!」

 

「いけませんな。実にいけない。どうやらその悪い口も、王女としての高慢さも、時間をかけて躾け直す必要があるようです」

 

 デルマイユ公は頬を掴んだまま、もう一度彼女の口を肉棒へ向けようとした。リリーナは再び咥えさせられることを覚悟して目を閉じたが、公爵は途中で何かを思いついたように手を止めると、しばらく裸身を見下ろしたあと、より邪悪な笑みを浮かべて彼女の頬を解放した。

 

 代わりに栗色の髪を根元から掴み、リリーナの上半身を強引に引き起こす。乳房が大きく揺れ、尖った先端を隠す間もなく公爵の目前へ晒された。頭皮を引かれる痛みに眉を寄せながらも、彼女は次に何を命じられるのかと怯えた瞳で見返す事しかできない。

 

「こちらへ来なさい。そろそろ、その狭い身体の奥へ謙虚さを教え込んで差し上げましょう。私の上へ跨がるのです、生意気な姫君。最初の騎乗を始めますぞ」

 

 その言葉に、ついに覚悟を決める時が来たと、リリーナはこれからするだろう事を思い浮かべて生理的嫌悪に全身を震わせた。

 だがすぐに、これまでデルマイユ公に強いられてきた屈辱のすべてと同じように、これから始まる行為も憎み抜いてみせると覚悟を確たる物にしようと何度も心の中で繰り返す。

 

 だが、公爵の上へ跨がるよう命じられた彼女の目は、強い拒絶の意思に反するように太く屹立した肉棒へ引き寄せられてしまう。あまりの大きさに、自分の身体が引き裂かれるのではないかという恐怖が込み上げ、白い脚が震えていた。

 

「どうしましたかな。ご自分から差し出した身体でしょう?」

 

「……分かっています。ですが、あまりにも……」

 

「心配には及びません。あなたの身体がどこまで受け入れられるか、私が確かめて差し上げますぞ」

 

 デルマイユ公はリリーナの腰を両手でつかみ、軽々と抱き上げた。そのまま自分へ背を向けさせ、彼女の上半身が胸元へもたれかかる姿勢で膝の上へ座らせる。

 

「くっ……!」

 

 剥き出しの背中へ男の礼服が触れ、すぐ下では熱い肉棒が臀部の隙間へ押しつけられている。逃げようにも腰をつかまれており、リリーナは公爵の腕へ指を添えながら、浅い呼吸を繰り返すことしかできなかった。

 

 デルマイユ公が腰をわずかに動かすと、膨らんだ亀頭が閉じた肉襞へ押し当てられた。まだ滴るほど濡れてはいなかったが、完全に乾いているわけでもない。彼が先端で膣口を探るように何度も擦ると、その摩擦へ反応した身体から、たちまち新たな蜜が滲み始めた。

 

「んっ、ふぅ……! や、やめて……そんなふうに、何度も……」

 

「やめれば、かえって苦しむことになりますぞ。十分に馴染ませておかなくてはなりませんからな」

 

「それでも、身体が勝手に……こんな男に……っ」

 

 卑劣な男へ触れられただけで濡れていく自分の身体が、リリーナはたまらなく憎かった。だが、理性の片隅では、潤いが増せば少なくとも痛みは和らぐはずだとも理解している。

 

 デルマイユ公は、自分が傷つかずに彼女を貫けるだけの潤いが得られたと判断したらしい。肉棒の先端を膣口へ押し当てると、リリーナが心の準備を整える猶予さえ与えず、つかんだ腰を一気に引き下ろした。

 

「あっ、あああっ!!?」

 

 太い肉棒が狭い膣口をこじ開け、柔らかな内壁を押し広げながら、一息にその奥まで突き入ってくる。ぶちりっと処女膜が呆気なく散らされ、それでも止まる事なく奥へと突き進んでくる剛直に、リリーナは身体を真っ二つに裂かれたかのような衝撃を覚え、喉から絞め殺されたような悲鳴を響かせた。

 

 反射的に両手を下ろし、公爵の手首を強くつかむ。だが、それ以上の抵抗はできなかった。肉棒を根元まで呑み込んだ膣内は激しく痙攣し、その異様な太さを拒もうとする一方で、逃がすまいと絡みつくようにも収縮している。

 

「くっ……! こんな、大きなもの……本当に、入って……!」

 

「ほう。随分とよい声を聞かせてくださる。いかがですかな、プリンセス。これまであなたへ近づいてきた若者たちとは、まるで違うでしょう?」

 

「そのようなこと……聞かないでください……!」

 

「初めての身体にしては、よく私を受け入れておりますぞ。思ったとおり、実に狭く、締まりのよい姫君ですな」

 

 リリーナは答えることを拒み、唇をきつく結んだ。まずは内部へ入り込んだ大きさに身体を慣らさなければ、まともに息をすることさえできない。

 

 ところが、彼女の身体はさらに蜜を溢れさせ、内壁を自ら滑らかにしていった。それを感じ取ったデルマイユ公が、膝の上で腰を突き上げ始める。リリーナの身体は彼の動きに合わせて持ち上げられ、再び深く沈められた。

 

「あっ……うぅっ、んぁ……!」

 

 自分の意思とは無関係に、もう一度甲高い声が漏れた。リリーナは頭を後ろへ反らし、公爵の肩口へ栗色の髪を散らしながら、苦しげに息を喘がせる。

 

 下から突き上げる動きが続くなか、デルマイユ公は耳元で嘲るように鼻を鳴らした。そして片手を腰から離すと、上下に揺れる彼女の尻肌を平手で叩く。

 

 バチンッ!

 

「あんっ……!」

 

 破裂音を響かせて尻肌が脈打ち、遅れてじんじんとした痛みが、リリーナの臀部に広がっていく。人生で一度として受けた事のないお尻へのスパンキングに、彼女の身体と心は萎縮したように震えてしまった。

 

「ご自分の身体で代価を支払うと申し出た以上、私ばかりに働かせるわけにはいきませんな。さあ、あなたも腰を動かしなさい」

 

「わ、私に……自分からしろとおっしゃるのですか?」

 

「そうです。私を満足させるのが、今のあなたの務めでしょう?」

 

 その指摘だけは間違っていなかった。ここへ来て自らを差し出し、彼の条件を受け入れたのはリリーナ自身である。その事実を認めなければならないことが、何よりも腹立たしかった。

 

 歯を食いしばり、既に与えられ始めた快感を無視しようとしながら、リリーナは姿勢を変えた。長椅子の左右へ足を置き、公爵の膝を両手でつかむ。肉棒があまりに深く入っているせいで、身体を少し浮かせただけでも膣内全体を強く擦られ、熱い吐息が唇から零れた。

 

「んっ、あっ……! はぁ、はぁ……これで、よろしいのですか……公爵様」

 

「ええ。姫君自ら、私の上で踊ってみせなさい」

 

 リリーナは羞恥に顔を歪めながら、ゆっくりと腰を上下させ始めた。身体を持ち上げると、濡れた肉棒が内壁を擦りながら半ばまで抜け、再び腰を落とせば、膨らんだ先端が最奥へ深々と突き当たる。

 

「あっ……んぅっ、く……!」

 

 はじめこそぎこちなかった動きは、何度も繰り返すうちに少しずつ一定の律動を刻み始めた。リリーナが自ら腰を落とすたび、柔らかな臀部が公爵の太腿へぶつかり、支えを失った乳房がぷるんと愛らしく弾む。

 

 ほんのわずかな時間で、与えられる快感は彼女の耐えられる限界を越えた。狭い膣内の最も敏感な場所を太い肉棒で繰り返し擦られ、最奥を突き上げられた瞬間、リリーナは王女らしい気品を保つ余裕もなく声を上げた。

 

「あんっ、あっ、あああぁっ……!!」

 

 全身を強く震わせながら、リリーナはデルマイユ公の膝へ爪を立てた。初めて味わう身体の内側からの絶頂感に膣内が激しく収縮し、挿入された肉棒へきつく絡みついてしまう。

 

「フフフ……もう果ててしまわれたのですかな?」

 

 デルマイユ公は低く笑ったものの、それ以上は何も言わなかった。彼女が絶頂したことよりも、なお腰を突き上げ、膝の上で身体を動かさせることへ夢中になっているようだった。

 

 リリーナには男性との経験がなく、挿入によってもたらされる感覚を知識として想像したことしかなかった。相手が老齢のデルマイユ公ならば、ほどなく満足して終わるだろうと、心のどこかで考えていたのかもしれない。

 

 しかし、公爵の動きは少しも鈍らなかった。彼女が絶頂に痙攣しているあいだも、硬さを失わない肉棒は膣内を貫き、最も敏感になった内壁を容赦なく擦り続けている。

 

「ま、待って、ください……! 今は、まだ……んあっ、ひゃっ!!」

 

「何を待つ必要があるのですかな。あなたの身体は、まだ私を離したくないと申しておりますぞ」

 

「んいっ、あっ、違い、ます……こんなのは、身体が勝手に……っ、あっ、あっ、あぁっ!!」

 

 再び深く突き上げられ、リリーナの否定は甘い悲鳴へ変えられた。どれだけ抑えようとしても、膣襞を巨大な塊が激しく前後するたびに口からは出したくもない艶声が溢れていく。身体が、デルマイユ公の挿入を助けるように分泌液を出すのを止められない。

 

 そして何より、敵であるデルマイユ公に、身体の奥を貫かれただけで絶頂させられた。それらの事実を理解するほど、リリーナの胸の奥へ恐怖が広がっていく。これまで誰にも触れさせなかった場所へ入り込んだ男が、彼女自身さえ知らなかった快感を引きずり出している。

 

 リリーナはその事実を心の底から憎んだ。そして、その肉棒へ縋るように膣内を収縮させてしまう、自分の身体をも激しく憎んだ。

 

 どれほど快感へ抗おうとしても、デルマイユ公は否応なく彼女の身体を揺さぶり続けた。爆発するような絶頂が幾度も全身を駆け抜け、そのたびにリリーナは意思とは無関係にすすり泣き、細い声で喘ぎ、時には喉が枯れるほどの悲鳴を上げた。

 

「んぁっ、あくっ、あぁっ……! も、もう……んっ、んあっ、これ以上は……あっああ! 公爵様……!」

 

「もう終わりにしてほしいと?」

 

「それは……私は……んああっ!」

 

「言葉とは裏腹に、随分と熱心に腰を動かしておられるではありませんか」

 

 太い肉棒が膣内を蹂躙し、子宮口へ膨らんだ先端を何度も打ちつける。最初は鋭い痛みだったその刺激さえ、繰り返されるうちに圧倒的な快感の一部へ塗り替えられていった。

 

 気づけばリリーナは、公爵に命じられたからではなく、その最奥への刺激を求めるように腰を落としていた。自ら肉棒を深く呑み込み、亀頭が子宮口を押し上げるたび、潤んだ唇から切迫した声を漏らす。

 

「そこは……だめです……! そんなに奥ばかり突かれたら、私……また……!」

 

 時間の感覚も、周囲の景色も、何もかもが次第に曖昧になっていく。デルマイユ公がようやく声を発したときでさえ、初めはその言葉が耳へ届かなかったほどだった。

 

 いつの間にか、公爵の両腕は背後からリリーナの身体へ回されていた。彼女が自ら腰を上下させ、デルマイユ公も下から突き上げるなか、大きな手が乳房をつかみ、指の間から柔肉をこぼれさせるように揉みしだく。

 

「んっあぁぁ!! 胸まで、そんなに強く……!」

 

 硬く尖った乳首を摘ままれ、指先で引っ張られると、リリーナは公爵の身体へ背中を押しつけた。荒い呼吸を繰り返しながらも腰を止められず、蜜に濡れた肉棒を深く受け入れ続ける。

 

「間もなく出しますぞ、プリンセス。私の子種をすべて、その奥で受け止める準備をなさい!」

 

「――っ!」

 

 その恐ろしい宣言に、リリーナは今まで感じていた快楽を忘れてびくりと固まると、勢いよく振り返った。

 

「お、お待ちください! 中へ出してはいけません! 私、避妊薬など使っていないのです!」

 

 腰の動きを止め、リリーナは背後のデルマイユ公へ必死に訴えた。妊娠の可能性へ考えが及んだ途端、快感に霞んでいた意識が急速に引き戻され、顔から血の気が引いていく。

 

 けれどもデルマイユ公は、その懇願を聞いて愉快そうに笑っただけだった。乳房を揉んでいた両手を彼女の腰へ戻すと、動きを止めたリリーナの身体を自ら持ち上げ、肉棒へ何度も深く沈め始める。

 

「んあっ!? あっ、ああっ……んんっ! お、お待ち、ください、公爵様……!!」

 

「それがどうかしましたかな? 私には何の不都合もありませんが」

 

「わ、私にはあります! もしも子どもができてしまったら……!」

 

「身体を差し出すと決めた以上、そのための備えをしておくのもあなたの務めでしょう。まして、これほど手のかかる姫君なのです。ご自分がどのような目に遭う可能性があるか、あらかじめ考えておくべきでしたな」

 

「そ、そのような……あっ、んああっ!」

 

 あまりにも傲慢で自分勝手な言い分に歯を食いしばったリリーナは、悔しさに両手を固く握り締めながら、何度も首を横へ振った。

 

「用意なんて……できませんでした。財団に身柄を預けられてからは、自由に外へ出ることさえ……!」

 

 わずかでも良心へ訴えかけることができれば、思い直してくれるかもしれない。だが、そのような期待はデルマイユ公には通用しなかった。

 

 彼は肩を竦めて低く笑うと、リリーナの腰を一度高く持ち上げた。濡れた肉棒が膣内を擦りながら抜け、膨らんだ亀頭だけが狭い膣口へ引っかかる。

 

 そして――――

 

「お気の毒ですな」

 

 少しも気の毒とは思っていない声でそう告げると、デルマイユ公は彼女の腰を一気に引き下ろした。

 

「あっあああぁぁあっっ!!!」

 

 太い肉棒が根元まで深々と入り込み、膨らんだ先端が子宮口へ強く押しつけられる。逃げ場のない圧迫感に、リリーナの身体がびくびくと痙攣して動けなくなる。

 

 そして拒絶の言葉さえ衝撃で封じられた状態で、最奥へ押しつけられた肉棒が大きく脈打ち、焼けつくように熱い精液が、リリーナの子宮口へ向けて何度も放たれた。

 

 びゅるるるるる!! びゅるるっ!! びゅっ!! どびゅううっっ!!

 

「んあっ、あぁ……熱い……! 私の中へ、入って……公爵様のものが……! あっ、ぁぁ……っ!!」

 

 望んでいないはずなのに、注ぎ込まれるたびに膣内は激しく収縮した。先ほどまでの絶頂とは異なる、生々しい充足感が身体の奥から広がり、リリーナの唇から細い喘ぎが漏れてしまう。

 

 そしてその感覚が気持ちよいことを、リリーナは心の底から憎んだ。拒みきれない自分を嘲笑うように、公爵の精液は何度も最奥へ叩きつけられ、満たされた膣内から溢れた一部が肉棒の根元を伝っていく。

 

 妊娠を防ぐ薬すら用意できず、祖国の民を救うために、この男を止めることもできない。反抗のためにその拳を振るうことさえ許されず、できるのはただ男の汚い欲望に跨って腰を振る事だけ。

 

 何もかもが憎かった。けれど、ほかに選べる道など残されてはいない。今のリリーナには、耐えることしかできなかった。

 

 それが、彼女の新しい生活の始まりだった。

 

 デルマイユ公は最後の一滴まで注ぎ終えると、ぐったりしたリリーナの腰を持ち上げ、膣内から肉棒を引き抜いた。

 

「あっ……」

 

 開かれた膣口から白濁した精液が流れ、内腿を伝って絨毯へ落ちる。リリーナはそれを隠そうと脚を閉じかけたが、公爵は彼女の腕をつかみ、長椅子の前へ再び跪かせた。

 

「まだ終わりではありませんぞ」

 

「これ以上、何を……?」

 

「私のものが随分と汚れてしまいましたのでな。先ほど覚えたその口で、きれいにしていただきましょう」

 

 自分の身体から引き抜かれたばかりの肉棒を見つめ、リリーナは青ざめた。だが、公爵の手が栗色の髪へ触れると、逃れることが許されないと悟り、震える唇をゆっくりと開くしかなくて。

 

 自分の新しい立場がどのようなものなのか、それほど明白に思い知らされた瞬間はなかった。

 

 

もしFFのエロをやるならどのナンバリングが見たい?*FF7は意図的に外しています

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