※この作品はR-18です。

マイナーキャラ妄想短編集   作:ニンニク嫌い

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 もしFGOのFakeコラボで、カルデアがエウリュステウスに敗北していたら?

 コラボイベプレイした時にアマゾネスへのエウリュステウスのセリフ見て、こいつ竿役適正高すぎやろと思って書きました。




Fateシリーズ(ヒッポリュテ) 前編

 

 

 それは、まるで悪夢を見ているようだった。

 

 ヒッポリュテは瓦礫へついた手に力を込め、軋む身体を辛うじて起こして、額から流れた血を拭いながら周囲の光景を睨みつけた。

 

 つい先ほどまでエウリュステウスへ立ち向かっていた者たちが、あちこちに倒れ伏している。ある者は既に光の粒子となって消え、ある者は辛うじて現界を保ったまま指一本動かせずにいた。

 

 そしてすぐ近くでは、ペンテシレイアが砕けた石壁へ背を預けている。戦神の軍帯は光を失い、逞しい腕と脚には無数の傷が刻まれていて、なのにそれでも妹はエウリュステウスを睨みつけ、なおも立ち上がろうと歯を食い縛っていた。

 

「姉上……まだだ。私は、まだ……戦える……!」

 

「無理をするな、ペンテシレイア。今は霊核を守れ」

 

 そう命じるヒッポリュテ自身も、既に限界を迎えていた。愛馬は姿を消し、豪斧は遠くへ弾き飛ばされ、白を基調とした戦装束も激戦によって無残に裂けている。

 

 肩口から胸元にかけての布は引き裂かれ、血と汗を吸った薄布が、呼吸に合わせて上下する胸と鍛え抜かれた腹部へ張りついていた。腰を覆っていた装飾も半ば砕け、引き締まった腿が付け根近くまで露わになっている。

 

 敗北によって傷つき、荒い息を漏らしながら、だがそれでも、ヒッポリュテは女王としての威厳を保とうと背筋を伸ばす。その姿を、ただ一人立っている男が舐め回すように眺めていた。

 

「アハハハハハッ!」

 

 エウリュステウスの狂った哄笑が、崩壊したスノーフィールドの街へ響き渡った。

 

 黒獅子の鎧は至るところが欠け、もはや原形すら留めていない。それでも彼の両手には、黄金に輝く聖杯が確かに抱えられていた。器の内側では溶けた光のような液体が揺らめき、周囲を白く照らしている。

 

「ついにだ! ついに私は勝った! ヘラクレスの威光へ縋る者どもも、偉大なる王へ逆らったアマゾネスも、全員が私の前に這いつくばっている!」

 

「貴様の、強さではない……!」

 

 ヒッポリュテが息を整えながら言い返すと、エウリュステウスの笑いが止まった。だが、その顔に怒りが浮かんだのは一瞬だけだった。彼はすぐに勝ち誇った笑みを取り戻すと、聖杯を片手で掲げながらヒッポリュテへ近づいてくる。

 

「誰の力であろうと、最後に所有した者こそが勝者だ。王とは、他者の力も功績も、その存在さえも己のものとする者なのだからな」

 

 エウリュステウスの視線が、傷ついたヒッポリュテの身体を這うように下っていく。汗に濡れた赤い髪から、引き裂かれた胸元、細く鍛えられた腰、剥き出しになった腿へと、隠そうともしない欲望を込めて眺め回していた。

 

 戦士を品定めする目ではない。敗北した女王を、これから自分がどのように扱うか思い描いている男の目だった。

 

「なるほど。近くで見れば、実に見事な身体をしているではないか。あのヘラクレスが一瞬とはいえ心を動かされたという話も、今なら理解できる」

 

「その穢れた目を、私へ向けるな……!」

 

 ヒッポリュテは裂けた衣装の胸元を片腕で覆おうとした。しかし腕を持ち上げた途端、脇腹の傷へ激痛が走り、堪えきれずに息を詰まらせる。

 

「くっ……!」

 

 身を丸めたことで、張りついていた薄布がいっそう深く身体の線を浮かび上がらせた。エウリュステウスはそれを見て卑しい笑みを深め、彼女の苦痛すら楽しむように顔を近づける。

 

「そのような有様になっても、まだ女王を気取るか。だが、悪くない。誇り高い女ほど、誰の所有物になったのかを理解させる楽しみがある」

 

「貴様などに……私も、妹も、決して屈しはしない」

 

「ほう? ならば、その強さがいつまで続くのか見せてもらおうではないか。もっとも――」

 

 エウリュステウスはヒッポリュテから視線を外し、離れた場所で身を起こそうとしているペンテシレイアへ目を向けた。今度は妹の鍛え抜かれた身体へ同じ視線を這わせ、二人を並べて品定めするように顎を撫でる。

 

「姉妹揃って私の戦利品となれば、どちらが先に王へ従うのか比べるのも面白そうだ」

 

「貴様……! 姉上を、その目で見るな……!」

 

 ペンテシレイアが怒声を上げたが、立ち上がることはできなかった。握り締めた拳が瓦礫を削るばかりで、傷ついた身体は彼女の意志に応えない。

 

 ヒッポリュテは胸を焼くような屈辱を呑み込み、周囲へ視線を走らせた。だが、誰にもエウリュステウスを止める力は残されていない。彼女自身にも、最後の一撃を放つだけの魔力はなかった。

 

 偽りの十字軍を従え、奪い取った黒獅子の鎧へ隠れ、自分より強い者たちを同士討ちさせた臆病な王が、最後には聖杯を手にしてしまった。それが、認めがたい現実だった。

 

「見ていろ、アマゾネスども! 歴史が再び証明するのだ。英雄も戦士も、最後には王の命令へ従うために存在するとな!」

 

 エウリュステウスは聖杯を傾け、器を満たしていた光を一息に吸収し始めた。純白の雫が彼の体へと流れ込み、鎧の胸元の裏へと集中していく。やがて周囲を包む光は彼の身体へ吸い込まれ、黒獅子の鎧に残った亀裂までも黄金色に輝き始めた。

 

「やめろ、エウリュステウス……! 貴様に聖杯を扱う資格などない!」

 

 ヒッポリュテの叫びを、彼は一顧だにしなかった。

 

 この聖杯には、もはや願いを歪める異物も、内側から術者を食い尽くす呪いも残されていない。数多の英霊から奪われた魔力を蓄え、所有者の望みを忠実に実現する、純粋な願望機として完成していた。

 

 もしこの結末を予見できていたなら、聖杯を巡って戦った英雄たちや、カルデアの少年は、それでも同じ選択をしただろうか。

 

 世界を守るために力を尽くした者たちは、自分たちの犠牲がエウリュステウスへ勝利を与え、二人のアマゾネスを彼の手へ委ねる結果になると知っても、最後まで戦えただろうか。

 

 その答えを知る者はいない。だが、聖杯を手にしたエウリュステウスが何を望むのかだけは、ヒッポリュテへ向けられた粘つく視線と、欲望に歪んだ笑みが明白に物語っていた。

 

 最後の一滴まで聖杯を吸収し終えたエウリュステウスは、乱れた息のまま声を張り上げる。

 

「聖杯よ! 王たる私の願いを聞き届けろ! 私は――!」

 

 その先の言葉は、ヒッポリュテの耳へ届かなかった。既に眩く輝いていた聖杯の光が爆発するように膨れ上がり、彼女の視界を完全に埋め尽くしたからだ。

 世界のすべてが白く塗り潰され、聖杯はエウリュステウスの命令を実行する。ヒッポリュテは固く目を閉じたが、それでも瞼を貫く光を遮ることはできず、次の瞬間には何もかもが一変していた。

 

 

 

 

 

 

 

 アマゾネスの女王ヒッポリュテは、磨き上げられた板張りの床へ両膝をつき、手にした海綿を前後へ動かしていた。

 

 そこはスノーフィールドのどこでもない。聖杯を手にしたエウリュステウスが、その力によって現代へ顕現させた、生前のミュケナイの城だった。 

 天井を支える太い柱も、壁面へ描かれた戦車と獅子の彩色画も、玉座へ続く長い回廊も、すべて彼の記憶にある王宮を忠実に再現したものだという。

 

 その広大な城の一角で、かつて一族の先頭に立って野原を駆けた戦士長は、今や一人きりで床を磨かされていた。濡れた海綿を押すたびに拘束具が身体へ食い込み、赤く染まった顔には怒りと屈辱が入り交じっている。

 

 女王とは民を率い、守る者だ。まして戦士長である自分が、敵の城で膝をつき、使用人のような仕事を命じられるなど許されるはずがない。だが、彼女の新たな……マスターは、その誇りを尊重するどころか、踏みにじることを楽しんでいた。

 

「おお、ここにいたか、アマゾネス。随分と仕事へ励んでいるようではないか」

 

 背後から響いたエウリュステウスの声に、ヒッポリュテの肩が強張った。海綿を持つ手を止めて振り返ると、城の主は自分の所有物を見回るような悠然とした足取りで近づいてくる。

 

 その姿を認めた瞬間、ヒッポリュテの頭が意志に反して下がった。聖杯によって精神へ刻まれた服従の暗示が、マスターを前にした身体へ礼を取らせたのだ。奥歯を噛み締め、内側から湧き上がる怒りを必死に保ちながら、彼女は押し殺した声で問いかける。

 

「……何の用だ、マスター」

 

「まだ随分と反抗的な声を出す。だが、呼び方だけは覚えたようだな」

 

 エウリュステウスは愉快そうに笑うと、指を一度鳴らした。

 

「立て。王である私に、よく姿を見せろ」

 

「くっ……」

 

 ヒッポリュテの身体は命令へ即座に反応した。床へついていた手を離し、慎重に片膝を立てる。だが、屈辱を受け入れたと思われることだけは耐えがたく、せめてもの抵抗として時間をかけて立ち上がった。

 

 その動作だけでも、引き締まった全身には隠しきれない緊張が走っていた。肩を強張らせ、腹部へ力を入れ、エウリュステウスの視線から少しでも身体を遠ざけようとする。

 だが、彼女には身を隠すための衣服が一枚も与えられていない。代わりに身につけさせられているのは、肌を飾りながら自由を奪う、窮屈な縄と金属製の拘束具だけだ。

 

 隠そうと縮こまれば、女王らしい威厳まで失うことになる。そう判断したヒッポリュテは逃げることを諦め、背筋をまっすぐに伸ばした。顎を引き、黄金色の瞳を正面へ向け、せめて囚われた戦士として堂々と立とうとする。

 

 しかし、誇りを保とうと胸を張った姿勢は、結果として彼女の身体をエウリュステウスの前へいっそう鮮明に晒してしまった。

 

 エウリュステウスの濁った視線が、長い赤髪に縁取られた端整な顔から、縄に締め上げられた胸元へと下りていく。彼は急ぐことなく距離を詰めると、左右の乳房を根元から縛っている縄へ両手を伸ばした。

 

「触れるな……!」

 

 反射的に身を引こうとしたヒッポリュテだったが、聖杯の暗示が足を床へ縫いつけた。逃れることも、腕を振り払うこともできないまま、エウリュステウスの指が乳房を囲む縄へ絡みつく。

 

「誰に向かって命令している。これは私の所有物だ。縄が緩んでいないか確かめるのは、当然であろう?」

 

「私は……貴様の物ではない……!」

 

「聖杯はそう思っていないようだがな」

 

 嘲るように言い返し、エウリュステウスは縄を短く引いた。

 

「んっ……!」

 

 乳房の根元が強く締まり、押し出されていた柔肉が小さく揺れた。縄は胸を前へ突き出させるほどきついが、血の巡りを完全に止めるほどではない。

 ヒッポリュテは苦痛と圧迫感を絶えず意識させられながら、気を失うように眠る僅かな時間を除き、ほとんど一日中この姿で過ごさせられているのだ。

 

 エウリュステウスは左右の縄を順番に確かめ、締まり方が自分の望んだとおりであることを確認した。その間も、彼の指が触れるたびにヒッポリュテの身体は微かに震え、唇から漏れかける声を押し殺そうと喉が上下する。

 

「悪くない。これならば、今日も一日このままで問題あるまい」

 

「このようなものを……私が受け入れたと思うな」

 

「受け入れる必要などない。王命に従って身につけていれば、それで十分だ」

 

 乳房の縄から離れた両手は、汗ばんだ脇腹を撫でるように下りていった。指先が鍛えられた腹部の脇を掠めると、ヒッポリュテは吐息を詰まらせる。さらにその手が腰骨を辿り……下腹部を覆う金属製の貞操帯へと触れられた。

 

「……っ、んっ!」

 

 それは貞操を守るという名目とは、まるで正反対の役割を担う卑猥な拘束具だった。重い金属板の内側には太い張形が取りつけられ、ヒッポリュテの膣内へ深く収められていて、さらに後ろの穴にも大きな栓が嵌め込まれているため、立っているだけでも二つの異物の存在を嫌というほど意識させられる。

 

 エウリュステウスの指が貞操帯の輪郭をすりすりと丹念になぞると、その振動が金属を通して内部へ伝わった。

 

「くぅっ、ぁぁ……やめろ……そのように、触れる、な……!」

 

 ヒッポリュテは腰を退こうとしたが、両足の拘束がそれを許さなかった。エウリュステウスは彼女の反応を確かめるように、貞操帯にある鍵穴の周囲を指先で何度も擽ぐるように撫でる。

 そこを開けられるのが誰かを、男は首から下げた鎖に垂れ下がったこの貞操帯を開く唯一の鍵を、彼女を煽るように目の前で揺らしていた。

 

 それを目にしたヒッポリュテの胸へ、嫌悪とは別の緊張が走る。エウリュステウスが気まぐれに鍵を使い、帯を外して彼女を弄ぶことは、既に一度や二度ではない。そして、それを使う時に自分がどんな目に合うのか、彼女は自身を千度殺しても足りないほどよ恥辱の記憶と共に知っているのだ。

 

「その目は何だ。これを外してほしいのか?」

 

「違う……! 私は、そのようなことを望んでなど――」

 

「ならば今は、このままにしておいてやろう。私の寛大さへ感謝するがいい」

 

 エウリュステウスは邪悪な笑みを浮かべたまま、貞操帯から手を離した。その直前、剥き出しとなっているヒッポリュテの臀部を両側から掴み、指を柔肉へ短く食い込ませる。

 

「んっ……貴様……!」

 

 ヒッポリュテが鋭く睨みつける頃には、彼は既に一歩後ろへ退いていた。彼女はその場から逃れることも、十分な速さで追い縋ることもできない。

 なぜなら両足首には長い金属製の拘束棒が取りつけられ、脚を一定以上閉じられないよう固定されていたからだ。

 

 立っているあいだも腿は開かされたままとなり、歩くときには腰を小さく左右へ揺らしながら、僅かな歩幅で進むしかない。かつて愛馬とともに広大な草原を自在に駆けたヒッポリュテから、普通に歩くという当たり前の自由さえ、この卑劣なる王は奪ったのだ。

 

 しかも一歩進むたび、膣内の張形と肛門の栓が身体の奥で揺さぶられた。脚を動かせば拘束棒が鳴り、腰を揺らさなければ前へ進めず、どう歩いても二つの異物が内側を擦る。

 こうしてヒッポリュテは、エウリュステウスが自らの住まいと呼ぶ巨大な城の中を移動するだけでも、絶えず身体の奥へ侵入物の存在を思い知らされることになり、もはや普通に歩くことすらままならない矮小な存在へと堕とされたのだ。

 

「うっ……! この、下衆め……!」

 

 ヒッポリュテは、一歩退いたエウリュステウスを正面から睨み据えた。聖杯の力でかつての姿を取り戻した城、その磨き上げられた回廊に、満足げな王の笑みが浮かんでいる。

 

 いまだに理解できなかった。黒獅子の鎧へ縋り、強者を道具として利用することしかできなかった男が、どうしてあの戦いを制し、聖杯を手にすることができたのか。

 

 ヒッポリュテには、彼が聖杯へ何を願ったのか、そのすべては知らされていない。分かっているのは、滅びたはずのミュケナイの城が現代へ顕現し、自分が霊基ではなく生身に近い肉体へ閉じ込められたこと。そしてエウリュステウスがマスターとなり、その命令には全て無条件に従わねばなら――――

 

(違う……!!! 今の思考は私のものではない!)

 

 ヒッポリュテは寸前で意識を引き戻した。服従を当然のこととして受け入れかけた自分に気づき、激しい嫌悪が背筋を駆け上がる。

 

 聖杯による暗示が最大まで強められれば、エウリュステウスは彼女の精神を容易に破壊できたはずだ。記憶を塗り替え、人格すら王の望む形へ作り直せることを、ヒッポリュテ自身も既に理解していた。

 

 それでも彼が、いまだ彼女から抵抗の意志を完全には奪っていない理由も分かっている。エウリュステウスがヒッポリュテへ抱いている欲望の根底にあるものは、気高い者を汚したいと言う矮小で下劣な妬みなのだ。

 

 かつてヒッポリュテ率いるアマゾネスが、その強さと勇猛さを持って世界にその名を轟かせた時、この男が自分より輝かしい存在、それも女がその名声を得ることなど許せないとヘラクレスに命令し、アマゾネスの文献の全てを焼き払った時のように。

 

 そんな最低で、決して軽蔑以外の感情を向けるはずのなかった小物の王を、今ではマスターとして認識させられている。

 

 エウリュステウスは彼女を一度に壊すのではなく、時間をかけて誇りを削り取ろうとしていた。その意図は、続いて下された命令にも明白に表れている。

 

「王の前へ跪け、女王気取りのアマゾネス」

 

「……それが、王を名乗る者の命令か。従わぬ者を力で縛り、膝を折らせることしかできないとはな」

 

「口を慎め。お前は王命を論じる立場にはない。跪け、ヒッポリュテ」

 

「くっ……!」

 

 二度目の命令へ、ヒッポリュテの身体は逆らえなかった。

 

 立ち上がるときは動作を遅らせ、僅かな抵抗を示すことができた。だが、両足首を繋ぐ長い拘束棒によって脚を開かされた状態では、女王らしく静かに膝をつくことすらできない。

 

 踏み止まろうと全身へ力を込めても、聖杯の命令が強引に脚を折らせる。ヒッポリュテは立った姿勢から床へ崩れ落ち、硬い板張りへ両膝と脛を激しく打ちつけた。

 

「――うっ!」

 

 鈍い衝撃が骨まで響き、ヒッポリュテの端整な顔が苦痛に歪んだ。拘束棒が床へぶつかって甲高い音を立て、貞操帯の内側へ固定された異物までもが、その衝撃で身体の奥を膣と肛門の両方から揺さぶった。

 

「んっ……! く、ぅ……っ!」

 

 喉から漏れた声を噛み殺し、ヒッポリュテは荒くなった呼吸を整えながら顔を上げる。黄金の瞳が捉えたのは、彼女の苦痛を眺めて愉悦に浸るエウリュステウスの顔だった。

 

「よく似合っているではないか。王へ逆らったアマゾネスには、やはりその高さが相応しい」

 

「私が膝をついたのではない。貴様が、聖杯の力で無理に折らせただけだ」

 

「同じことだ。どれほど勇ましい言葉を並べても、現にお前は王たる私を見上げている」

 

 エウリュステウスにとって、彼女の痛みも屈辱も、すべてが望みどおりの罰だった。かつて自分を見下し、王としての権威を否定した女へ、その代償を支払わせているのである。

 

 ヒッポリュテは嫌悪を隠そうともせず睨みつけたが、エウリュステウスは意に介さなかった。彼は腰へ手を伸ばして衣服を緩めると、硬く昂った自身の逸物を窮屈な布の内側から取り出す。

 

「貴様……何をするつもりだ」

 

「何度も教えたはずだ。王の前へ跪いた者が、次に何をすべきなのかをな」

 

 エウリュステウスはヒッポリュテとの距離を詰め、片手を長い赤髪へ差し入れた。指を絡めて髪を掴み、もう一方の手で剛直を支えながら、その先端を彼女の固く結ばれた唇へ押し当てる。

 

「口を開け」

 

「断る。たとえこの身を縛ろうと、私は貴様の欲望へ自ら従うつもりはない」

 

「自ら、か。ならば王命で従わせてやろう。お前が強者を気取っていられるのも、私がそれを許しているあいだだけだ」

 

 エウリュステウスは髪を掴む指へ力を込め、ヒッポリュテの顔を上向かせた。

 

「何をすべきかは、もう身体が覚えているだろう。王へ奉仕せよ」

 

 ヒッポリュテの黄金の瞳が、怒りと屈辱に揺れた。噛みつくことも、顔を背けることもできない。拒絶する意志は確かに残っているのに、聖杯から下された命令が身体だけを従わせていく。

 

「やめろ……エウリュステウス。私は、まだ貴様に屈してはいない……!」

 

「屈したかどうかを決めるのはお前ではない。王たる私だ」

 

「そのような理屈を……強さとは、決して認めぬ……!」

 

 ヒッポリュテの声が掠れ、唇が意志に反して開かされる。瞳の端へ浮かんだ一筋の涙が頬を伝ったが、それでも彼女はエウリュステウスから目を逸らさなかった。

 

 やがて唇が押しつけられ、熱を帯びた肉が口内へ入り込んだ。途端に口内に広がる雄臭さに、ヒッポリュテは鼻から震える息を漏らしながらも、命じられるまま口を動かし始めた。

 

「んっ、んむ……ちゅっ、ちゅぱっ」

 

 両手は太腿の上へ置かれ、指先だけが怒りを示すように強く食い込ませながら、ヒッポリュテはエウリュステウスの欲望を咥え込んだ唇を規則正しく上下させ、舌は聖杯の命令へ操られるまま、その裏スジを舐め回す。

 

 誇り高い戦士長に似つかわしくない行為でありながら、動きそのものは既にぎこちなさを失い始めていた。それこそが何よりもヒッポリュテを苦しめた。命じられるたびに身体が奉仕の仕方を覚え、次第に効率よくエウリュステウスを悦ばせるよう変えられている。

 

「んちゅっ……く、んっ、じゅるるる……! ちゅぷ、れろぉ……!」

 

 舌が尿口をほじくるようにつつき、唇がわざと下品に肉茎に強く吸い付いて下品なフェラ顔を晒しながら音を鳴らして顔を引く。喉奥まで肉棒を咥えると、喉肉が勝手に動いて亀頭をマッサージするし、エウリュステウスのを根元まで飲み込んだ時は、彼の陰毛の中でしばらく深く息を吸ってしまう。

 

 そんな、すっかり剣を握るのと同じくらい肉棒の扱いが上手くなってしまったヒッポリュテに、エウリュステウスは満足げな吐息を漏らした。そしてやがて自身を支えていた手を離すと、両手で彼女の赤髪を掴んだ。

 

「その程度で済むと思うな。王へ逆らった罰は、まだ始まったばかりだ」

 

 髪を握られたままでは、ヒッポリュテは顔を動かすこともできない。エウリュステウスが一方的に腰を押し出すと、口内へ咥え込まされていたものが一気に喉の奥まで達した。

 

「んぐっ……!」

 

 自分の意思でしたのではない突然の圧迫に喉が塞がり、ヒッポリュテの瞳が大きく見開かれる。生身に近い肉体へ変えられた今の彼女には、呼吸を必要とし、異物へ拒絶反応を示す人間としての弱さがあった。

 

 エウリュステウスはそれを知りながら、髪を掴んだ両手で彼女を固定し、熱く濡れた口内へ荒々しく腰を突き入れていく。

 

「んぐっ! おぐっ、ぶうっ、んんんぅっ!」

 

 ヒッポリュテの喉が押し広げられるたび、苦しげな声が塞がれた口の奥から漏れた。涙がもう一筋頬を伝い、太腿へ置いた手が息苦しさに震える。それでも黄金の瞳には屈服を拒む意志が残り、目の前の王を鋭く睨み続けていた。

 

「そうだ、女王気取りのアマゾネスめ。王へ逆らった報いを、その喉で存分に受けるがいい」

 

 エウリュステウスの嘲りは、ヒッポリュテの胸を焼く屈辱をさらに加熱させた。

 

 だが聖杯に縛られた彼女にできることは何もない。両手で赤髪を掴まれ、逃げ場のない喉へ欲望を突き入れられては、口を限界まで押し広げられて苦しみ喘ぐだけ。

 両膝を床についた姿勢のまま、ヒッポリュテは太腿へ置いた指を食い込ませ、込み上げる苦しさと屈辱に耐え続ける。

 

「んぐっ、ぐぅっ! んっ、んぶっ、ぉあ゛っ……!」

 

 声を上げようとしても、押し込まれた肉に喉を塞がれ、湿った音と掠れた呻きにしかならない。エウリュステウスが腰を打ちつけるたび、唇の端から唾液が溢れ、顎から胸元へ細い筋を引いて流れ落ちていった。

 

 かつて一族の先頭に立ち、数多の戦場を駆け抜けたアマゾネスの戦士長が、最も軽蔑する男の足元で無様に呼吸を奪われている。その現実が、刃を突き立てられるよりも深くヒッポリュテの誇りを傷つけた。

 

(私は……何をしている。なぜ、このような男に……!)

 

 胸の奥へ湧き上がる自己嫌悪とは裏腹に、鍛え上げられた身体からは次第に力が抜けていく。僅かに息を吸えるたび、彼女は必死に意識を繋ぎ留めようとしたが、すぐに次の一突きが喉の奥を塞いだ。

 

「ぐぉっ、ぉぉっ……! んごっ、おごぉっ!」

 

 それなのに。これほど屈辱的な扱いを受けていると言うのに。

 

 ヒッポリュテは、否応なく気づかされていた。

 

 脚のあいだに生じた、ごく微かな疼きに。

 

 貞操帯の内側で膣を塞いでいる張形を、生身となった肉体がきつく締めつけていた。エウリュステウスに口を犯される屈辱と苦痛のさなかであるにもかかわらず、下腹部には熱が集まり、異物へ触れる粘膜が小さく震えている。

 

(違う! これは私の望みではない。聖杯に、身体を操られているだけだ……!)

 

 頭ではそう理解できていても、肉体の反応までは止められなかった。聖杯による暗示の中でも、これこそが最も陰湿な部分だった。

 

 エウリュステウスは、ただ彼女の動きを支配しているのではない。ヒッポリュテの身体そのものへ、目の前の男こそが唯一のマスターであり、その男に扱われることは悦びなのだと刻み込んでいる。心がどれほど拒絶しても、肉体は命令されたとおりに熱を帯び、快楽を受け入れようとしてしまう。

 

「んむっ……ぐっ、んんぅ……!」

 

 ヒッポリュテは腿へ爪を立て、痛みによって身体の疼きを押さえ込もうとした。しかし、貞操帯の内側で締めつける力が強まるたび、張形が僅かに擦れ、その刺激がさらに甘い痺れを広げていく。

 

 抵抗できることには限界があった。

 

「どうした、ヒッポリュテ。先ほどまでの威勢はどこへ消えた?」

 

 返事などできないと分かっていながら、エウリュステウスは勝ち誇った声で問いかけた。彼の腰使いはいっそう深く、荒々しいものとなり、ヒッポリュテの喉は押し広げられるたびに苦しげに痙攣する。

 

 もっとも、このまま呼吸を奪われ続ければ、やがて意識を失うことができる。その一時だけは、屈辱も、身体へ植えつけられた偽りの悦びも感じずに済む。

 

 視界の縁が次第に暗くなり始めていた。涙に濡れた黄金の瞳は焦点を失い、顔のすぐ前で出入りを繰り返す肉へ吸い寄せられる。白目を剥くまいと耐えていたはずが、両目は次第に中央へ寄り、エウリュステウスの肉棒だけをぼんやりと映していた。

 

(この男の前で……これ以上、無様な姿を……)

 

 そう考えながらも、何を恥じていたのかさえ分からなくなっていく。世界は徐々に狭まり、暗闇の中へ沈み込む意識から、エウリュステウスへの憎悪も遠ざかり始めた。

 

「んぐっ……ぅ……ぉ……」

 

 やがてヒッポリュテが完全に意識を手放す寸前、エウリュステウスが短く呻いた。

 

 それだけが、彼女へ与えられた合図だった。

 

 びゅるるる! どびゅう!! びゅぅぅぅ!!!

 

「ぐっ、んぶぅ!? んんぐぅぅんんっ!」

 

 半ば意識を失っていたヒッポリュテには、身構えることも、喉の動きを整えることもできなかった。口の奥で脈打った直後、熱い白濁が喉へ一気に放たれる。

 

 飲み下すことも吐き出すこともできず、ヒッポリュテは激しく咽せた。大量の精液が喉へ流れ込み、一部は鼻から溢れ、残りも塞がれた唇の隙間から零れていく。

 

「んぐっ! ぐぅっ、うぶぅぁっ……!」

 

 呼吸を求めて喉が痙攣するたび、少量だけが奥へ押し流された。やがてエウリュステウスが腰を引くと、唇から抜けた先端を追うように白濁と唾液が糸を引き、ヒッポリュテは堪えきれず激しく咳き込んだ。

 

「げほっ! ごほっ……! き、貴様、よくも……!」

 

 掠れた声で吐き捨て、ヒッポリュテは涙で霞んだ目を上げた。焦点の合わない視界の向こうに見えたのは、鼻や口元を白く汚された彼女を見下ろし、満足げに口元を歪めるエウリュステウスだった。

 

 その表情だけで、自分がどれほど惨めな姿を晒しているのか理解できた。ヒッポリュテを再び辱め、その誇りへ傷を刻むことができなければ、エウリュステウスがここまで上機嫌になるはずがない。

 

 だが、どうやら彼はまだこの程度で終わらせるつもりなどなかった。

 

「立て」

 

「待て……まだ、身体が……!」

 

 訴えを無視し、エウリュステウスは赤髪を掴んだままヒッポリュテを強引に引き起こした。両足を拘束棒で繋がれているうえ、酸欠で意識も定まっていない彼女は、立ち上がった途端に大きく体勢を崩す。

 

「くっ……!」

 

 何度も足をもつれさせ、床へ倒れかけながら、ヒッポリュテは髪を引かれるまま前へ進まされた。やがて身体を勢いよく突き放され、咄嗟に両手をついたときには、顔を城の壁へ押しつけられていた。

 

 冷たい石壁の感触が、火照った頬へ心地よかった。ヒッポリュテは壁を支えとしてどうにか両足を踏ん張り、拘束棒が許す位置まで脚を広げて重心を整える。

 

 その姿勢では、腰を後ろへ突き出さずに立つことができない。剥き出しの臀部をエウリュステウスへ差し出すような格好になっていると分かっていたが、今はそれを正すだけの力すら残されていなかった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 ヒッポリュテは壁へ頬を預け、浅い呼吸を繰り返した。乱れた赤髪が汗ばんだ背中へ張りつき、白く汚れた唇からは、熱を帯びた吐息が細く漏れ出ていて。その状態で再び身体へ触れられた瞬間、ヒッポリュテの肩が大きく跳ねた。

 

「何をする……エウリュステウス」

 

「王の許可なく口を開くな。黙って受け入れよ」

 

「っ……!」

 

 腰を覆う貞操帯へ、首から外された鍵が差し込まれる。小さな金属音とともに鍵が回され、重い留め具が外れた。

 

 エウリュステウスが帯を引き下ろすと、膣内を塞いでいた張形が濡れた音を立てながら時間をかけて抜けていく。続いて肛門を押し広げていた栓も同じくらいの時間をかけてゆっくりと引き抜かれ、ヒッポリュテは異物が内側を擦っていく感覚に耐えきれず、壁へ額を押しつけた。

 

「んっ、ふぅぅ……っ! うむっ、くぅっ……ぁぁっ!!」

 

 にゅぷんっ、じゅぽんっ、と。二つの穴は解放された途端、抜け落ちたものを拒むように小さく収縮した。とりわけ濡れた秘所は、何度もきつく締まりながら透明な雫を零している。

 そしてヒッポリュテの中に入っていた物の大きさを知らしめるように、床へ落ちた貞操帯が重い音を響かせた。

 

「見るな……」

 

「なぜだ? 王の所有物を、王が見ることの何が問題なのだ」

 

「私は……貴様の所有物ではない」

 

「その言葉を口にするたび、お前の身体は正反対の答えを示すようだがな」

 

 エウリュステウスの指が濡れた秘所へ押し当てられ、割れ目を舐めるように上下した。

 

「んっ……!」

 

 ヒッポリュテは腰を逃がそうとしたが、壁と背後の男とのあいだに挟まれ、僅かに身を捩ることしかできない。指先が柔らかな肉を押し開き、溢れた雫を掬い取るたび、下腹部へ小さな震えが走った。

 

「これでも、何も感じていないと言い張るつもりか?」

 

「聖杯が……私の身体へ押しつけている反応だ。貴様を望んでいるわけではない……!」

 

「身体もお前の一部であろう。ならば、その濡れ方もまたお前自身の答えだ」

 

「そのような詭弁で、私の意志まで手に入れたと思うな」

 

 エウリュステウスは鼻を鳴らすと、濡れた指を臀部の割れ目へ滑らせた。そのままアヌスを探り当て、締まった入口を押し広げるように弄ぶ。

 

「くっ……そこへ触れるな……!」

 

 不快感に低い声を漏らしたヒッポリュテは、直後にエウリュステウスの身体が背中へ密着するのを感じ、全身を強張らせた。熱い吐息が耳元を撫で、王の含み笑いがすぐ傍で響く。

 

「ヒッポリュテ。王たる私を本当はどう思っているのか、隠さず答えよ」

 

 聖杯の暗示が、嘘も沈黙も許さない命令として彼女の精神へ浸透した。ヒッポリュテは一瞬だけ息を止めたが、次の瞬間には心に浮かんだ答えが迷いなく唇から零れ落ちていた。

 

「……憎んでいる」

 

 その言葉が変わらず最初に出てきたことに、ヒッポリュテは僅かな安堵を覚えた。身体をどれほど操られようと、精神の最も深い場所だけはまだ奪われていない。エウリュステウスが真実を語ることを許したこの一瞬に、彼女は堰を切ったように言葉を続けた。

 

「貴様は、他者の武勇へ縋らねば何一つ成し遂げられぬ卑劣な男だ。王を名乗りながら責任を負わず、英雄の功績を奪い、戦士を道具として扱う。その存在すべてを、私は心の底から軽蔑している」

 

 エウリュステウスの指が止まっても、ヒッポリュテは構わず続けた。むしろ背後の男が不快になっていると察し、憎悪をより明瞭な言葉へ変えて突きつける。

 

「今は聖杯の力によって従わされているにすぎない。だが、この支配が永遠に続くと思うな。私は必ず自由を取り戻し、貴様へ報いを受けさせると誓おう」

 

「まだ言うか」

 

「貴様の両手足を斬り落とし、自らの血に沈めてやる。奪った聖杯も、偽りの城も、王を称するその虚栄も、何もかも打ち砕く。そして最後には、その腹を裂いて臓腑を――んむっ!」

 

 エウリュステウスの手が、ヒッポリュテの口を乱暴に塞いだ。

 

「もうよい」

 

 思いのままにエウリュステウスを罵っていたあいだ、ヒッポリュテの胸を満たしていた昂揚は、彼の手で口を塞がれた途端に消え失せた。全身から力が抜け、彼女は目の前の壁へ縋るように身体を預ける。

 

 なぜエウリュステウスが、時折こうして本心を語ることを許すのかは分からない。自分をどれほど憎んでいるか確かめ、いずれその感情まで屈服させたときの喜びを大きくするためかもしれなかった。

 

 それでもヒッポリュテにとって、自らの意志で言葉を口にできる時間は、この城で与えられる数少ない安息だった。心の内側に残る憎悪と誇りを確認し、まだ自分が自分であると信じられる。

 

 だからこそ、必ずそのあとに待っている仕打ちを、彼女は心の底から嫌悪していた。

 

 エウリュステウスは彼女がもう口を開かないと判断すると、塞いでいた手をようやく離した。湿った唇から漏れた荒い息を楽しむように、指先は顎をなぞり、首筋から縄で締め上げられた胸の谷間を通って下腹部へと下りていく。

 

「その手を……離せ」

 

「王の許可なく喋るなと言ったはずだ」

 

 冷たく命じられ、ヒッポリュテは唇を噛んだ。反抗の言葉は喉元まで出かかっているのに、聖杯へ縛られた口はそれを声にできない。

 

 エウリュステウスの中指と薬指が、既に濡れていた秘所へ押し当てられた。人差し指と小指で左右の柔肉を押さえながら、二本の指を割れ目の奥へ沈めていく。

 

「――んっ!」

 

 熱を帯びた内側を押し広げられ、ヒッポリュテの口から甘い吐息が漏れた。快楽を感じたことを認めまいと、彼女は咄嗟に顎を引いたが、密着した指は構わず奥深くまで入り込み、濡れた粘膜を探るように曲げられる。

 

「くっ……この程度で、私が屈すると思うな……!」

 

 どうにか絞り出した声には、先ほどまでの鋭さがなかった。エウリュステウスの指が抜き差しされるたびに水気を含んだ音が響き、聖杯によって敏感に作り替えられた内側が、その動きを拒むどころか柔らかく絡みついてしまう。

 

 自分の口から漏れた吐息が悦びを帯びていたことに気づき、ヒッポリュテは羞恥に顔を歪めた。

 

 同時に、エウリュステウスのもう一方の手は、背後から彼女の臀部を掴んだままだった。ヒッポリュテが本心を語っているあいだも、彼は鍛えられた丸みを執拗に揉み続けていた。その手の存在を意識から追い出しかけていたところへ、指先が突然臀部の割れ目へ滑り込む。

 

「待て、そこは! っ、くぅっ……!」

 

 人差し指が尻穴へ押しつけられ、きつく閉じた入口を慎重さもなく押し広げた。貞操帯の栓によって長時間塞がれていた場所は、指一本を受け入れる程度には馴らされてしまっている。

 

 それでも異物が入り込む圧迫感に息が詰まり、ヒッポリュテの喉から低い呻きが零れた。前後の穴を同時に指で侵され、彼女は壁へついた両手へ力を込める。

 

 エウリュステウスは、この数週間、何度も同じ行為を繰り返していた。まずヒッポリュテを床へ跪かせ、呼吸を失うまで口を使わせたあと、今度は壁へ押しつけて、秘所と肛門を執拗に指で弄ぶ。

 

 何のために毎回同じ手順を踏むのか、初めのうちは理解できなかった。だが今では、その目的を嫌というほど思い知らされている。エウリュステウスは彼女の肉体へ、自分の指と命令を記憶させようとしているのだ。

 

(まだだ。私は、こんなものには負けない……!)

 

 己の肉体と戦うことは、ヒッポリュテが経験したどの戦いよりも苦しかった。敵を討つために振るう武器も、民を守るために支える盾もなく、倒すべき相手は自分の内側から湧き上がる快楽そのものなのだから。

 

 彼女は呼吸を整え、腰を動かさず、声だけは漏らすまいと奥歯を噛み締めた。膣内を掻き回す二本の指と、腸道を出入りする指の感触を、ただの苦痛として受け止めようと努める。

 

 じゅぷ、ぬちゅっ、くちゃ、じゅずっ、びちゃっ

 

 城の回廊を、濡れた指が肉を擦る音と、二人の呼吸だけが満たしていく。

 

 長い沈黙の中で、エウリュステウスは急ぐことなくヒッポリュテを責め続けた。一定の間隔で指を出し入れし、彼女が僅かに身を強張らせた箇所を見つけるたび、そこへ執拗に刺激を重ねていく。

 

「んっ、ふっ、んくっ……ぁっ…………っ!」

 

 どれほど耐えたのか分からなくなった頃、ヒッポリュテの唇から微かな、たが確かに艶の乗った声が漏れた。

 その瞬間、自分が何をしたのか理解した彼女は、愕然として片手で口を覆った。だが、もう遅かった。

 

 エウリュステウスは何も言わず、尻穴へ押し込んでいた指の隣へ、さらにもう一本を添えた。狭い入口へ二本目の指が潜り込むと、強い圧迫によって内側がじわじわと押し広げられる。

 

「んぅぁっ……!! や、めろ……!」

 

 口を塞いだ掌の隙間から、堪えきれない呻きが漏れた。背後に立つ男の顔を見なくても、今頃どれほど卑しい笑みを浮かべているか容易に想像できる。

 

 ヒッポリュテは決して振り返らなかった。火照った額を冷たい石壁へ押しつけ、黄金の瞳を固く閉じて、乱れた感覚を取り戻そうとする。

 

(落ち着け……この身体は、聖杯に欺かれているだけだ。私の意志ではない……!)

 

 しかし、その言葉を繰り返しても、既に失った平静は戻らなかった。

 

 そしてさらに追い討ちをかけるようにエウリュステウスが、責め方を変えてくる。

 

 彼は膣内を動いていた二本の指を、不意に引き抜いたのだ。ヒッポリュテの肛門は彼女の意思に反して名残を惜しむように指へ絡みつき、濡れた音を立てながら何度も収縮を繰り返す。

 

「ぁっ……!」

 

 自分の身体が、出ていこうとする指を引き留めた。その事実にヒッポリュテは息を呑んだが、羞恥へ沈む猶予すら与えられない。

 

 エウリュステウスは濡れきった恥丘へ掌を重ね、指先から聖杯の魔力を流し込んだ。彼の手全体が細かく振動し始め、その刺激が柔肉を伝って下腹部の奥まで広がっていく。

 

「なっ……ん、くぅっ……ぉぉっ、ぉああっ!」

 

 掌の付け根は秘裂の上部へ強く押しつけられ、敏感な小突起を押し潰すように擦った。逃れようと腰を引けば、背後から密着したエウリュステウスの身体へ押し戻され、さらに強く刺激を受けさせられる。

 

「や、やめろ……! その術を、止めよ……! ぁっ、くぅっ、んぃっ!」

 

 先ほどまで抑え込んでいたものより明らかに大きな声が、ヒッポリュテの口から漏れた。

 

 さらにエウリュステウスは、アナルへ入れた二本の指にも同じ魔力を通わせた。狭い内側を押し広げていた指が一斉に震え、これまで経験したことのない刺激が、臀部の奥から腹部へ駆け上がる。

 

「んおっ……! ぉっ、おっぐぅっ……! な、何を……している……っ!」

 

 この城へ囚われる以前、ヒッポリュテが尻穴から快楽を得たことなど一度もない。そもそも、そこへ何かを入れようと考えたことさえないのだ。戦士である彼女にとっては、ただ不潔で、触れるべきではない場所にすぎなかった。

 

 初めてエウリュステウスの命令によって、自ら栓を押し込まされた日のことを、今も鮮明に覚えている。拒絶する心とは裏腹に動く指で入口を広げ、硬い異物を少しずつ受け入れさせられた。

 完全に収まるまでのあいだ、彼女は屈辱に涙を流し、その後も身体を動かすたびに内側を擦られて、一日中声を押し殺していた。

 

 それが今では、二本の指で押し広げられた場所からも、否定しきれない甘い痺れが生じている。

 

「違う……! 私は、このような場所で悦びなど……んああぁっ!!」

 

 振動する掌が小突起へ強く押しつけられ、二本の指が肛門の奥で同時に曲げられた。

 前後から押し寄せた刺激が重なり合い、ヒッポリュテの全身を駆け抜ける。必死に保っていた抵抗は一瞬で崩れ、喉から女王らしからぬ甲高い声が迸った。

 

「やめろぉっ……!! 私は、まだ……んあぁっ、あっ、んくぅぅっ……!!!」

 

 昂りは既に抑えられる段階を越えていた。膝が震え、壁へついた両腕からも力が抜けていく。前方を塞ぐ石壁と、背後から密着するエウリュステウスの身体に挟まれたまま、ヒッポリュテは逃げ場のない快楽へ追い詰められた。

 

「いやだ……! このような男の、指などで……私は、……ッッ!」

 

 最後まで言い切ることはできなかった。

 

 身体の奥で張り詰めていたものが弾け、ヒッポリュテは大きく仰け反った。膣内が何度も激しく痙攣し、振動する二本の指を締めつけた肛門も、意思とは無関係にきつく収縮する。

 

「あっ、ああっ……ッ! ああああぁぁぁ……ッッ!!!!」

 

 全身を震わせながら、ヒッポリュテは抗いようのない絶頂へ達した。

 

 エウリュステウスは、その瞬間を待っていたかのように恥丘を覆っていた手を僅かに持ち上げた。掌の付け根だけを小突起へ押し当てたまま、濡れた秘所の入口を開放する。

 

「ひぁっ……! あっ、あぁぁっ!」

 

 痙攣する割れ目から透明な愛液が勢いよく噴き出し、ヒッポリュテの腹部と太腿を濡らしながら、正面の石壁へ広く飛び散った。昂りの残滓に翻弄される彼女は、それを止めることも、脚を閉じて隠すこともできない。

 

 涙が黄金の瞳から溢れ、壁を伝って落ちる雫と交じった。

 

 やがてエウリュステウスの身体が離れ、アヌスを広げていた二本の指も抜けていく。秘所へ押しつけられていた掌が離れると、支えを失ったヒッポリュテは壁へ凭れたまま、荒い呼吸を繰り返した。

 

「はぁ……はぁ……! わ、私は……貴様になど……屈してはいない……」

 

 か細く、掠れた声で訴えても、エウリュステウスは答えなかった。

 

 床へ落ちていた貞操帯が、彼の聖杯の力へ引かれて宙へ浮かび上がる。金属の帯はヒッポリュテの腰へ巻きつき、まだ絶頂の余韻が残る膣へ張形を、収縮を繰り返していた肛門へ栓を、何の猶予もなく押し込んだ。

 

「んおっ……くっ、ううぅぅっ!」

 

 濡れた内側へ異物が深く収まると、貞操帯は腰の周囲で硬く閉じられた。鍵穴がひとりでに回転し、冷たい金属音とともにガチャリと施錠される。

 

 それによってようやく「身支度」を整えられたあと、エウリュステウスは汚れた壁を眺めて口を開いた。

 

「見ろ、ヒッポリュテ。随分と汚してくれたものだな。誇り高きアマゾネスの女王が、自らの淫らな汁で王の城を汚すとは」

 

「違う……これは、貴様が……!」

 

「言い訳は許さぬ。すぐに仕事へ戻り、私が再びここへ来るまでに、一つの染みも残さず磨き上げよ」

 

 エウリュステウスは、ヒッポリュテの肩越しに濡れた壁を指し示した。

 

「もし汚れが残っていれば、次は海綿など使わせぬ。その舌で、すべて綺麗にしてもらおう」

 

 それだけ告げると、エウリュステウスは彼女から離れた。やがて悠然とした靴音が遠ざかり、聖杯によって再現された広い回廊に、ヒッポリュテだけが取り残される。

 

 壁へ縋っていた彼女は、力なく床へ滑り落ちた。拘束棒を鳴らしながら両膝をつき、必死に嗚咽を抑える。

 

 しばらく動くことすらできなかったが、やがて床に置かれた海綿と水桶へ目を向けた。命令を果たさなければ、エウリュステウスは宣告した罰を必ず実行するだろう。

 

 ヒッポリュテは震える腕を伸ばし、海綿と水桶を自分の傍へ引き寄せると、壁へ飛び散った、自らが残した痕跡を消すために、再び海綿を握った。

 

 少なくとも今だけは、あの男から解放され、一人でいることができる。その束の間の安堵へ縋りながら、ヒッポリュテは涙に濡れた顔を伏せ、再び壁を磨き始めた。

 

 自分があとどれほど耐えられるのか、ヒッポリュテにはもう分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 その翌日、ヒッポリュテが広間に置かれた青銅の燭台を磨いていると、石床を踏む靴音が背後から近づいてきた。顔を上げるまでもなく、誰が来たのかは分かっている。城内でこれほど重く尊大な足取りを響かせる者は、エウリュステウスしかいない。

 

 その事実を意識した瞬間、ヒッポリュテの胸を鋭い恐怖が貫いた。手にしていた布が止まり、昨日受けた仕打ちを思い出した身体が、自らの意志より先に小さく震える。まさか今日も同じことをされるのかという不安が、冷たい指で心臓を掴むように広がっていった。

 

 聖杯の力でかつての城を顕現させたエウリュステウスは、普段なら玉座の間へ籠もり、新たな領土や臣民を生み出すために願望機の力を試していた。そのため、一度弄ばれたあとは、数日間顔を合わせずに済むことも珍しくない。

 城外へ助けを求めることも、ここから脱出することもできないヒッポリュテが辛うじて正気を保っていられるのは、その束の間の休息があるからだった。

 

 エウリュステウスの姿を見ないあいだに傷ついた誇りを立て直し、次に顔を合わせたときも抵抗の意志だけは失わぬよう、彼女は自らを奮い立たせてきた。

 だがもし彼が、これから毎日のように昨日と同じ仕打ちを繰り返すつもりなら、自分は果たして耐え抜けるのだろうか。そんな疑念が胸を過ったこと自体、既に精神が追い詰められている証拠であるように思えた。

 

「随分と怯えているようだな、ヒッポリュテ」

 

 背後から投げかけられた声に、ヒッポリュテの肩がいっそう強張った。ゆっくり振り返ると、エウリュステウスは彼女の隠しきれなかった不安を見透かし、残酷な笑みを浮かべている。

 かつて戦場で向けられた殺意にも退かなかったアマゾネスの戦士長が、自分の足音一つで身を震わせたという事実が、王の虚栄心を大いに満たしているらしい。

 

「安心せよ。今日は昨日と同じことを繰り返しに来たのではない」

 

 ヒッポリュテは安堵しかけたが、エウリュステウスが理由もなく寛大さを示すはずはない。続く言葉を警戒し、緩みかけた表情をすぐに引き締める。そんな彼女の反応まで楽しむように、エウリュステウスは間を置いて言葉を続けた。

 

「短い用事だ。王たる私が用意した新しい品を、お前の身体で試してもらう。それが済めば、私は玉座の間へ戻る」

 

「……私を、道具のように扱うつもりか」

 

「今さら何を言う。お前が王の命へ従うために存在していることは、聖杯によって既に定められている」

 

 見下すような口調に、ヒッポリュテの顔が怒りと屈辱で赤く染まった。自分はアマゾネスを率いてきた女王であり、あの男が新しい玩具を試すための道具などではないと、今すぐ正面から否定してやりたかった。

 しかし、自由に本心を語る許可は与えられておらず、聖杯の暗示に縛られた喉は反論を声にすることさえ許さない。

 

 結局、ヒッポリュテは脚を開かせる拘束棒の中央で立ち尽くし、次の命令を待つことしかできなかった。エウリュステウスはそんな彼女の身体へ、品定めするような視線を這わせていく。その目が腰を覆う貞操帯へ届いたところで、彼は指を一度鳴らした。

 

 次の瞬間、金属製の貞操帯が黄金の光へ変わり、跡形もなく消滅した。膣内を塞いでいた張形と肛門へ押し込まれていた栓まで同時に消え、急に訪れた空虚な感覚に、ヒッポリュテは思わず両腿へ力を込めた。

 

「んっ……!」

 

 貞操帯を開く鍵は、今もエウリュステウスの首から下がっている。それを使わず、聖杯の力で拘束具そのものを消したということは、同じ物を再び装着させるつもりがないということだった。

 代わりに何を用意しているのか答えが見えないまま、不吉な予感だけが下腹部を冷たく締めつけていく。

 

「後ろを向き、腰を曲げよ。両手で足首を掴み、そのまま動くな。お前へ新しい玩具を入れてやろう」

 

「新しい、玩具だと?」

 

「聞こえなかったのか。王命である。従え」

 

「くっ……!」

 

 ヒッポリュテの身体は、屈辱に抗う心を置き去りにして動き始めた。足首のあいだに固定された拘束棒のせいで、その場で滑らかに身体の向きを変えることさえできず、腰を左右へ無様に振りながら小刻みな足取りで円を描く。

 それでようやくエウリュステウスへ背を向けると、脚を開いたまま上半身を前へ倒した。

 

 動きに合わせて胸を縛る縄が引っ張られ、根元から締め上げられた乳房へ深く食い込んでいく。ヒッポリュテは苦しげに眉を寄せ、命じられたとおり両手を伸ばす。金属の枷が肌へ擦れる足首、そのすぐ上を左右の手でしっかりと掴む。

 

「んぅっ……!」

 

 それによって臀部は高く持ち上がり、露わになった陰裂と尻穴が、背後のエウリュステウスへ余すところなく晒された。どれほど嫌悪しても、身を起こすことも、脚を閉じて隠すこともできない。

 何を入れるつもりなのか分からないまま、ヒッポリュテは荒くなりかけた呼吸を整え、目で確かめられない背後の気配へ神経を集中した。

 

 視界から外れた場所で何かを用意されているという事実が、彼女の恐怖をいっそう大きくした。不意に両手で臀部を掴まれ、左右へ大きく開かれた瞬間、ヒッポリュテは驚きに全身を跳ねさせる。

 

「ひっ……!」

 

「動くなと命じたはずだ」

 

「突然、触れるからだ……。何をするのか、先に説明せよ」

 

「王が所有物へ許可を求める必要などない。黙って受け入れていればよい」

 

 冷たい言葉とともに、エウリュステウスの指がアナルへ押し当てられた。きつく閉ざされた入口を探るように何度か円を描いたあと、そのまま内側へ押し込まれていく。

 聖杯の力によって、この肉体には汚れが残らないよう調整されていたが、だからといって、最も無防備な場所へ指を入れられる感触に慣れられるはずもなかった。

 

「くぅっ……! また、そこへ……っ!」

 

 しかし、ヒッポリュテの意志とは反対に、アナルは差し込まれた指へ柔らかく絡みついた。毎日長時間栓を嵌められていたため、以前は一本の指にさえ激しく抵抗していた入口も、今では僅かな圧迫だけで奥まで受け入れてしまう。

 その変化を自覚するたび、自分の肉体が少しずつエウリュステウスの望む形へ作り替えられているようで、胸に激しい羞恥が込み上げてくる。

 

「随分と素直になったものだ。初めて触れたときとは比べ物にならんな」

 

「違う……! 貴様が、栓で無理に馴らしただけだ……!」

 

「同じことであろう。現にお前の尻は、王たる私の指を拒んでいない」

 

 エウリュステウスは二本目の指を添え、狭い入口へ並べて押し込んだ。奥まで達すると左右へ広げ、内側を拡張するように何度も指を開閉する。

 肛門が押し広げられるたび、ヒッポリュテの喉から低い呻きが漏れ、エウリュステウスは締まった内側の感触を確かめながら、指先で円を描き続けた。

 

「んっ、ぉっ! ぉぉっ……ぐっ、ぅぅっ……!」

 

 足首を掴む指へ力を込めても、身体の奥へ響く圧迫は消えない。むしろ腰を動かさず耐えようとするほど、エウリュステウスの指が粘膜を僅かに擦る感触まで鮮明に伝わってしまう。

 やがて満足したのか、背後から短い鼻息が聞こえ、二本の指がゆっくりと引き抜かれた。

 

 押し広げられていたアナルは、出ていく指のあとを追うようにきつく収縮した。ようやく終わったのかとヒッポリュテは安堵の息を漏らしかけたが、それは長く続かなかった。指の代わりに、今度は硬く滑らかな球体が窄まった肛門へ押し当てられたからだ。

 

「なっ……何だ、それは」

 

「すぐに分かる。動かず、力を抜け」

 

「そのようなものを押しつけられて、力を抜けるものか……!」

 

 エウリュステウスは返事をせず、丸い異物を強く押し込んだ。球体の先端が尻穴の入り口を押し潰し、きつく閉ざされた輪を少しずつ広げていく。ヒッポリュテは苦しげに声を上げたが、それでも押し込む力が弱まることはなかった。

 

「くっ、うぉぉっ……! やめろ、広がって……んぅっ!」

 

 最大部分が入口を通過した瞬間、肛門は大きく押し開かれた。直後に球体が内側へ収まると、入口はそれを逃すまいとするように細い部分へ締まりつく。その圧迫感にヒッポリュテは目を見開き、足首を掴んだまま荒い息を吐いた。

 

 これまで使われていた栓より、明らかに大きな異物が奥へ押し込まれている。それだけでも十分に重い圧迫を感じていたというのに、背後のエウリュステウスは愉快そうな声で告げた。

 

「一つで終わりではないぞ」

 

「何……?」

 

 問い返した直後、二つ目の球体が怯える尻穴へ触れた。まだ続くのかとヒッポリュテが身を強張らせる間にも、入口は再び大きく押し広げられていく。先に入れられた一つ目の球は、後から続く球体に押されてさらに深い場所へ移動し、腹部へ重い圧迫感を伝えた。

 

「待て……まさか、まだ続いて、んおおぁっ!?」

 

 それでもエウリュステウスは手を止めず、三つ目の球体を押し当てた。異物に占められ始めた内側へさらに丸い塊が潜り込み、先に収められた二つを奥へと押し上げていく。耐えきれなくなったヒッポリュテは、苦しげな声を上げた。

 

「おお゛っ! んぐっ、んぅっ……多すぎる……! これ以上は、入らぬ……!」

 

「入るかどうかを決めるのはお前ではない。王である私だ」

 

 その言葉どおり、四つ目の球体が続いた。異物に満たされた内側へさらに硬い丸みが押し込まれ、ヒッポリュテは足首を掴む指へ爪を立てる。もう十分に満たされているはずなのに、身体の奥には次々と新たな重みが加わり、腹の中まで圧迫されているように感じられた。

 

「お゛っ、んお゛お゛っ……! うぐぅぅっ……やめろ、腹の中まで、いっぱいにぃぃっ……!」

 

「まだ一つ残っている。最後まで受け入れよ」

 

「エウリュステウス……! 貴様ぁぁ……!! んお゛っ!? おお゛っ……んぃぃっっ!!」

 

 五つ目の球体が、押し広げられた入口をゆっくり通過した。すべてが内側へ収まると、肛門は最後の球体へ吸いつくように収縮し、外へ続く細い紐だけが臀部のあいだから垂れ下がる。

 ヒッポリュテは足首を掴んだ姿勢のまま、収まりきらない感覚に耐えながら何度も浅い呼吸を繰り返した。

 

 内側には合計五つもの硬い球体が連なって入り込み、僅かに身じろぎするだけでも、互いに触れ合いながら奥を圧迫する。

 以前の栓やエウリュステウスの指とは比較にならないほど、臀部の奥が重く満たされていて、自分の中に何が収められているのか分からない不安に耐えかね、ヒッポリュテは掠れた声で問いかけた。

 

「一体……何を、入れた……!」

 

「これはアナルビーズという。五つの球が一本の紐で繋がっており、今はその端だけが、お前の締まった尻穴から垂れている」

 

 エウリュステウスは外へ残された紐を指で摘まみ、ヒッポリュテの耳にも届くよう、わざと軽く揺らした。

 その動きが紐を通じて内側の球体へ伝わり、五つの丸い異物が連なって動いたため、ヒッポリュテの腰がびくりと跳ねる。彼女は足首を掴んで辛うじて姿勢を保ちながら、反射的に声を上げた。

 

「んっ! くぅ、触れるな……!」

 

「言葉だけでは理解できぬようだな。今から、この玩具がどのようなものか教えてやろう」

 

 エウリュステウスは、ヒッポリュテの臀部のあいだから垂れている紐を摘まむと、何の前触れもなく強く引いた。連なった五つの球体が内側を擦りながら外へ向かい、最後に入れられた一粒が、締まったアナルを内側から大きく押し広げていく。

 そして丸い膨らみが狭い入口を通り抜けた瞬間、ヒッポリュテの身体は大きく震え、自制するより先に甘い声を漏らしてしまった。

 

「んほぉぉっ……!!」

 

 それは誇り高いアマゾネスの戦士長のものとは思えないほど、熱を帯びた淫らな声だった。自分の口から出たものだと認めたくないヒッポリュテは、羞恥に頬を赤くして唇を噛み締める。エウリュステウスはそんな彼女の反応を背後から眺め、満足げに鼻を鳴らした。

 

「随分と素直な声を出すようになったではないか」

 

「……っ! 今のは、貴様が突然引いたからだ……!」

 

「言い訳など聞いていない。抜いてよいとも命じていないのでな」

 

 そう言うとエウリュステウスは、引き出した球体を再びアナルへ押し当てた。硬い丸みがきつく閉じた入口を押し潰し、先ほどとは逆に、外側から少しずつ押し広げていく。ヒッポリュテは足首を掴む手へ力を込め、腹部の奥まで響く圧迫へ必死に耐えた。

 

「んおっ! 待て……! また、それを入れるつもりか……!」

 

「元の場所へ戻すだけだ。動くな」

 

「んぐっ……んむぅぅぅっ!」

 

 最大部分が入口を越えると、最後の一粒は濡れた音とともに内側へ収まった。押し広げられていた肛門は、球体の後ろから続く細い紐へ吸いつくように締まり、五つすべてを再び体内へ留める。

 エウリュステウスはそれを確かめると、まるで従順な家畜を褒めるように、剥き出しの臀部を軽く二度、ぺちぺちと叩いた。

 

「もう立ってよい。身体を起こせ」

 

 聖杯の暗示に従い、ヒッポリュテは両手を足首から離した。前へ深く折り曲げていた上半身を少しずつ起こすたび、内側へ連ねて入れられた球体が重力に引かれて動き、馴らされた粘膜を擦っていく。思わず途中で動きを止めかけると、エウリュステウスの命令が容赦なく飛んだ。

 

「止まるな。そのまま最後まで起こし、背筋を伸ばせ」

 

「くぅっ……分かっている……!」

 

「そうだ。王の前へ立つのなら、腐っても女王らしく堂々と胸を張るがよい」

 

 縄に締め上げられた乳房を突き出すように、ヒッポリュテの背筋が伸ばされた。その姿勢ではアナルへ収められた球体が奥へ沈み込み、下腹部へ重い存在感を訴える。

 呼吸を整えようとしても、僅かに腹へ力を入れるだけで五つの球が互いに押し合い、落ち着かない刺激を広げていった。

 

「今度はこちらを向け」

 

 ヒッポリュテは足首を繋ぐ拘束棒に動きを妨げられながら、腰を左右へ揺らし、小刻みな足取りで身体の向きを変えた。

 一歩進むたびに内側の球体が連なって揺れ、外へ残された紐の先端も腿の付け根をくすぐる。その刺激は体内を満たす異物の圧迫に比べれば小さなものだったが、秘所の近くへ触れるたび、彼女の腰は意志に反して微かに震えた。

 

「んっ、くぅ……!」

 

 ようやく正面へ向き直ったヒッポリュテは、黄金の瞳に憎悪を宿しながらエウリュステウスを睨みつけた。

 聖杯の暗示は、彼を自分の唯一のマスターであり、意識を向けるべき世界の中心として今も認識させようとしている。それでもヒッポリュテにとって、目の前の男が抱くに値する感情は、嫌悪と憎しみだけだった。

 

 今の彼女には、胸を締め上げる縄と両足首の枷、そして拘束棒しか身を覆うものがない。貞操帯まで消滅させられたため、陰裂も臀部も完全に露出し、アナルから伸びた細い紐だけが、体内へ何を収められているのかを卑猥に示している。

 エウリュステウスは、その姿を隅々まで品定めするように眺め回した。

 

 ヒッポリュテが立ち止まっても、五つの球体はすぐには動きを止めなかった。内側で収まる位置を探すように小さく揺れ続け、痛みに近い圧迫と、認めたくない微かな刺激を同時に広げていく。

 その隠しきれない不快感を読み取ったエウリュステウスは、意地の悪い笑みをさらに深めた。

 

「命令は単純だ。これからは、そのアナルビーズを常に尻の中へ入れておけ」

 

「常に、だと……?」

 

「私が許可したとき以外、一本たりとも抜くことは認めぬ。勝手に外した場合は、お前が二度と同じ過ちを犯そうと思わぬほど、厳しく罰する」

 

 ヒッポリュテの顔から僅かに血の気が引いた。今でさえ、立っているだけで五つの異物が強い存在感を訴えている。それを城内で働かされているあいだも、食事や睡眠の際にも、絶えず入れておかなければならない。

 

「私が許すまで、お前の尻はその玩具を咥え続ける。理解したか」

 

 問いかけの形を取ってはいたが、沈黙や曖昧な態度は許されていなかった。聖杯の暗示が言葉による返答を求めていると悟り、ヒッポリュテは悔しげに奥歯を噛み締める。

 しばらく抵抗するようにエウリュステウスを睨んだあと、屈辱を呑み込みながら小さく頷いた。

 

「……理解した、マスター」

 

「結構。少しずつ、自分の立場を覚えてきたようだな」

 

 エウリュステウスは満足げな笑みを崩さぬまま、ヒッポリュテの前から退いた。新しい拘束具を試すという目的を果たした以上、これ以上この広間へ留まるつもりはないらしい。

 その事実へ安堵しかけたヒッポリュテだったが、続く言葉を聞いた瞬間、胸に生じた安堵は跡形もなく消え失せた。

 

「では仕事へ戻れ。私はこれから、ペンテシレイアのところへ向かう」

 

「待て」

 

 ヒッポリュテは反射的に一歩踏み出そうとしたが、足首を繋ぐ拘束棒と聖杯の命令がそれを阻んだ。内側の球体が激しく揺れ、腹部の奥へ重い刺激が走ったものの、今はそれを気にしている余裕などない。妹の名を聞いた途端、彼女の顔には自分が弄ばれていたとき以上に明白な恐怖が浮かんでいた。

 

「ペンテシレイアへ何をするつもりだ」

 

「お前に説明する必要があるのか?」

 

「我が妹を、これ以上辱めることは許さない。用があるのなら、私にしろ」

 

 エウリュステウスは足を止め、妹を守ろうと必死になるヒッポリュテを振り返った。彼の顔に浮かんでいたのは、姉妹の情愛さえ支配の道具として利用できると知った者の、残酷な笑みだった。

 

「許すかどうかを決めるのはお前ではない。それに、今日は既にお前で十分楽しんだ。次はあの誇り高き妹に、王へ従うということを教えてやらねばならぬ」

 

「エウリュステウス……!」

 

「仕事へ戻れ、ヒッポリュテ。もし命令へ背いてこの部屋を出れば、ペンテシレイアにはお前の分まで罰を与える」

 

 妹を人質に取るも同然の命令へ、ヒッポリュテはそれ以上動くことができなかった。エウリュステウスは彼女の怒りと焦燥を満足げに眺めたあと、今度こそ振り返ることなく広間を立ち去る。

 石床を踏む靴音が遠ざかるにつれて、妹を追うことすら許されない無力感が、ヒッポリュテの胸へ重く沈んでいった。

 

 やがて男の気配が消えると、ヒッポリュテは震える手で燭台を磨く布を拾おうとした。僅かに腰を曲げただけで体内の球体が一斉に動き、最も外側の一粒が後孔を内側から押し広げる。

 抜け落ちそうな感覚に襲われた彼女は慌てて臀部へ力を込めたが、意識は遠ざかっていく妹のことばかりに向けられていた。

 

「ペンテシレイア……どうか、耐えてくれ……」

 

 ヒッポリュテは何とか布を拾い、五つの球体が落ちないよう慎重に身体を起こした。以前なら、自分への仕打ちが終わり、エウリュステウスが離れたことに僅かな安堵を覚えたかもしれない。

 しかし今は、次に彼の前へ晒されるのが妹だと知ってしまったため、その安堵は強い罪悪感へ変わっていた。

 

 妹へ同情を寄せる余裕がないなどとは、到底思えなかった。ペンテシレイアはヒッポリュテにとって守るべき妹であり、一族の誇りを分かち合った戦士でもある。妹があの男のもとで何をされるのか想像するたび、ヒッポリュテは自分の身体へ収められた球体の苦痛さえ忘れ、燭台を握り締める指を震わせることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

もしFFのエロをやるならどのナンバリングが見たい?*FF7は意図的に外しています

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