最初に感じたのは、ひどく重たい頭だった。
「……ん」
フローラは小さく呻きながら目を開ける。視界はしばらく霞んでおり、何度か瞬きを繰り返してようやく天井の輪郭がはっきりしてきた。
見覚えのない天井だ。そんな陳腐なお決まりのセリフが浮かんでしまうほど、フローラは困惑していた。
「ここ、どこ……?」
まだ上手く働かない頭で周囲を見回し、自分が柔らかなベッドの上に横たわっていることに気づく。先ほどまでナンジャモと配信用施設のラウンジで話していたはずなのに、いつ、どうやってここへ移動したのかが思い出せない。
最後に覚えているのは、テーブルを挟んでナンジャモと話していたこと。そしてその後から、記憶が妙に曖昧だった。
「ナンジャモ……さん?」
先ほどまで仲良く話していた憧れの有名配信者の名前を呼んでみても返事はない。フローラは鈍い頭痛に眉を寄せながら、ゆっくりとベッドの上で身を起こそうとした。
「……え?」
そこでようやく、自分が服を脱がされた下着姿で、手首を身体の前で重ねるように縛られ、両足首もベッドの左右へ開いた状態で留められていることに気づいた。
その破廉恥な自身の姿に、全身が冷たくなっていくのを感じながら身を捩ってみても、柔らかな拘束帯は肌を傷つけない代わりに、抜け出す隙も与えてくれなかった。
「これは、どういう……?」
混乱した声が口から漏れた瞬間だ。ガチャリと、部屋の扉が静かに開いて、その先から見慣れた人影が現れた。
「おはこんハロチャオ~。ようやく起きましたなぁ、フローラ氏」
いつも画面越しに聞いていた、元気溌剌で、愛嬌があって、人を笑顔にする口調。その声を聞き、フローラは微かな安堵と、強い疑問に包まれた。だって、フローラが知る彼女は女の子をベッドに下着姿で縛り付けるような人ではないのだから。
「ナンジャモさん……」
「ごめんごめん。ちょーっとだけ寝てもらったぞよ。でも量は調整済み! しばらく頭が重いくらいで、身体に残るようなことはないから安心して~」
「これは……どういうつもりですか……?」
フローラは努めて冷静に尋ねたつもりだった。だが声の端には、抑えきれない緊張が滲んでいる。自分が配信者仲間に襲われそうになっている、という認識はまだなかった。
なぜなら相手はあの超人気配信者エレキトリカル★ストリーマーのナンジャモで、しかも自分と同性の女性だ。性的行為には疎いフローラは、そういう行為や欲望の対象を向けるのは異性相手だけだと思っていた。
だが震えながらもまだ信じるような視線を向けてくるフローラを嘲笑うように、ナンジャモはベッドへ近づき、縛られた彼女を見下ろしながら、ゆっくりと口角を上げた。それこそまるで、可愛い女性配信者をオフコラボを名目に頂いてしまおうと考える野獣のような笑みを浮かべて。
「どーもこーも、そのままの意味ですよ、フローラ氏~。ずっとボクのものにしたかったから、今からその距離を変えるの」
「何を……」
「ナモナシの正体、教えてあげる」
ナンジャモがベッドの脇に腰を下ろすと、フローラの顔を覗き込んだ。いつもの配信のような軽い口調でありながら、その瞳の奥の感情は黒く淀んでいる。
「え……?」
「フローラ氏がまだ無名だった頃から、毎日のように配信へ来てたナモナシ。落ち込んだら励まして、悩んだら相談に乗って、大事な配信の日には必ず待ってた、あのナモナシ」
ナンジャモの真っ黒に淀んでいた瞳が、その時だけ明るく輝いてフローラの瞳をじっと見つめると、彼女は尖った歯を覗かせていつものように笑った。
「それがボク。フローラ氏の古参ファン第一号、ナモナシの正体は、エレキトリカル★ストリーマーのナンジャモでした~! びっくりした?」
「――――」
フローラの目が大きく見開かれ、言葉が喉で止まった。予想もしていなかった。まさしくそんな表情を見せた彼女を眺めながら、ナンジャモは満足そうに頷く。
「やっとつながった? さっきフローラ氏が好きって言ってくれたナモナシは、ボクなんだよ?」
「……どうして」
「どうしてって……わかりきったこと聞いちゃいますなぁ。――――――――好きだからだよ」
ふざけて冗談っぽく形作っていた口調が、その一瞬で変わった。ナンジャモは目を細め、フローラの頭へ手を伸ばし、金糸のような髪を優しく梳くように指を通しながら、まるで宝物を扱うように丁寧に触れる。
「初めて配信を見たときから好きだった。誰よりも見てきたし、誰よりも知ってる自信だってある。今でもボクだけが知ってるフローラ氏、たっくさんいるんだよ?」
それはフローラが知らないナンジャモの姿だった。彼女が画面越しに見てきた彼女は、こんな口調で喋っていたことはない。
大人気配信者エレキトリカル★ストリーマーは、こんな情欲と愛情と執着がぐちゃぐちゃになったような表情を浮かべたことはない。
ハッコウジムのジムリーダーは、拘束された少女をベッドに押し倒して、逃げられないように馬乗りになったりなどしない。
「でも……こんな……」
「こんな?」
そして、彼女が心から信頼していたナモナシは、フローラに対してこんな壊れた笑顔を浮かべて迫ってくるようなファンではなかった。
「フローラ氏が悪いんだよ? ボクはずっとそばにいて、いーっぱい話して、相談にも乗った。それなのにフローラ氏は、ボクをいつまでも『大切なファン』の枠から出してくれないじゃん」
拘束されたフローラの両手首を、ナンジャモの片手が包むように、だが決して離さないと強く掴む。その温もりと、拘束帯を締め上げる彼女の手の感触が混ざり合い、まるで金縛りにあったようにフローラは動けなくなった。
「だから、ファンでいるのは今日でおしまい。言葉だけじゃボクの好きが伝わらないなら、直接わからせるしかないでしょ? ボクがフローラ氏をどれだけ欲しかったかってさ」
フローラはまだ混乱していた。自分がナモナシへ抱いていた感情は、確かに特別なものだった。けれどそれは信頼や友情に似た温かさであり、こんな風に力ずくで触れ合うものではない。
「違う……こんなのは……!」
「違わないよ」
ナンジャモの指がフローラの頬を滑り、下唇を軽く押さえる。まるでその反論を封じるように、優しくも、有無を言わさない手つきで。
「今日から、ボクだけのフローラ氏になってもらうから。これからはずっと一緒。誰のものか、身体にもちゃんと覚えてもらうぞ♡」
フローラは抵抗しようとした。けれど心は蛇に睨まれた蛙のように怯えていて。それに比例するように身体は重く、腕は動かず、なによりナンジャモの恐ろしいほどに穏やかな笑顔がフローラを拘束具よりも強く縛り付けた。
「フローラ氏はボクのことが好きでしょ? 大切な人だって言ってくれたじゃん。なら今度は、特別な意味で好きって言えるようにしてあげる。焦らなくていいよ。ボクがちゃんと教えるから」
ナンジャモの声は甘く囁くようでいて、断ることは許さない温度があった。そしてフローラの唇が閉ざされた瞬間、ナンジャモの影が覆いかぶさるように彼女を包み込んだ。
「ボク、ずっと我慢してきたんだよ? ファンとして好きって言われたのは嬉しかった。でも同じくらい悔しかった。ボクの好きは、そんな一言でしまえるほど簡単じゃないのにって」
ナンジャモがフローラの手首を掴んでいた手をそっと動かし、指先で彼女の下着に包まれた胸を撫でる。さらりと敏感な部分が下着越しに刺激され、フローラは思わず肩をビクリと震わせてしまった。
「ほら、震えてる。怖いの? かわいいなぁ。今までこんなフローラ氏見たことないよ」
「んっ、ぁっ……! や……めて……」
か細い拒絶の声を口にしたが、それはフローラが思っていないほど甘い艶が混じっていて。その声を聞いたナンジャモを興奮させ、よりその愛撫する手つきを大胆にする結果に終わってしまう。
「やめてほしい? でも、もう無理だよ。配信で他の人と楽しそうに話すのも、別の誰かを特別扱いするのも、ずっとイヤだった。だから今、ボクだけのフローラ氏にしてるの」
ナンジャモの指が、フローラの胸をゆっくりと揉み込む。ずっと揉んでみたかったその柔らかさと温もりが手のひらへ伝わり、ナンジャモは恍惚としたように目を細めた。
「すごい……柔らかい。こんなことできるの、ボクだけだよね? フローラ氏」
「んあっ……あっ、んんっ……! だ、め……や……めて……ください……っ、あっ!」
フローラの声は震えていた。だがそれと同じくらい、胸を揉まれることで感じる未知の感覚に声が上擦っている。それが恐怖によるものなのか羞恥なのか、自分でも判別できない感情が胸を埋め尽くしていた。
「止めるわけないじゃん。だってボクはね、もうファンなんかじゃないんだよ。フローラ氏を愛してる一人の人間。だから誰にも渡したくないし、誰にも奪われたくない」
ナンジャモは妖しい笑みを浮かべたままフローラの首筋へ顔を寄せると、そのまま強く吸い付いた。ピクリと反応する肌の震えを味わうように、ちゅうちゅうと音を鳴らして、そこに所有の証とでも言うような小さく紅い痕を残していく。
「ねえ、今どんな気持ち? 怖い? 泣きそう? でも大丈夫だよ。最初はそうかもしれないけど、そのうちボクがいないと寂しくなるようになるから」
「そんなこと……んんっ!」
否定しようとしたフローラの唇を、ナンジャモの唇が塞いだ。最初は触れるだけだった口づけが、次第に深く絡みつくものへ変わっていく。舌が滑り込み、歯列をなぞるように動き、フローラの呼吸を奪って、より貪欲に彼女の奥の奥まで自分を刻み込む。
「っ……ん、ふ……!」
必死に逃げようとする小さな抵抗も、拘束された身体では何の意味も持たなかった。
たっぷりと一分近く、お互いの唾液を交換し合い、相手の鼻息だけが頬に当たる感覚がフローラの意識をぼやけさせた頃に、ようやくナンジャモは唇を離した。透明な糸が口淫の激しさを物語るように二人をつなぎ、すぐに途切れる。
「ぷはっ……! あっ、んっ……ま、待って……ナンジャモさん……!」
「ナンジャモ。これからボクたち恋人同士になるんだから、さんなんて付けないでよ」
「んっ、ぁっ!」
キスの余韻も冷めないうちに、ナンジャモはフローラの耳朶へ舌を這わせ、小さな穴をなぞるように舐め始めた。濡れた舌先が柔らかな耳殻を撫で、ゾクリと背筋を駆け上がる感覚にフローラの喉から思わず声が漏れる。
「や……ひあっ……! やめ……っ!」
「やめてほしい? でもほら、耳弱いでしょ? ボクはちゃんと知ってるよ。だって配信のときもよく言ってたもんね。耳元で囁かれるとぞくっとするって」
「んあっ……おねが、い……!」
「止めないよ。これからもっと気持ちいいこといっぱいするからね。ボクなしじゃいられないくらい」
ナンジャモの片手が下へと滑り、フローラの脚の間へ侵入する。抵抗しようと力を込めるものの、拘束されているせいで上手くいかず、簡単に侵入を許してしまう。
「……ここもかわいい」
「あっ!」
ナンジャモの指先が布越しに敏感な部分を撫で上げた瞬間、フローラの背が弓なりに仰け反った。その反応に満足げに笑いながら、ナンジャモはゆっくりと下着の中へ指を入れていく。
「あっ……や、んんっ!」
ぬるりと湿り気を帯びた感触が指先を包み、フローラの体温が直に伝わってくる。ナンジャモは指を浅く挿入し、慎重に奥を探るように動かした。それだけでくちゅくちゅと卑猥な水音が聞こえてくるから、人気配信者の顔は加虐心と優越感に満ちた顔に変わる。
「すごい……ちょっと触っただけで、もうこんなに準備してくれてたんだ?」
「違う……! ちがうの……!」
「恥ずかしがらなくていいよ。ボク、ずっとフローラ氏に触りたかったんだもん。全部ボクのものにしていいって思ったら、もう我慢できないよ」
ナンジャモはフローラの中へ入れた指を少しずつ深くしていき、反応を探るように媚肉を擦る。ぐりぃ♡ ぐちゅぅ♡ と、その度にフローラの身体は小さく震え、意志とは裏腹に甘い声が漏れてしまう。
「んっ……ふ、んんぅっ!♡」
「かわいい。こんな声、配信でも聞いたことないね。まあ、誰にも聞かせる気ないけど。これからこの声はボクだけが知ってるフローラ氏の声になるんだから」
ナンジャモは指をさらに奥まで進ませながら、先ほど首筋へ残した紅い印に唇を重ねた。空いている手は下着越しに胸を包み込み、形を確かめるように揉みながら、時折指先で頂点を掠めていく。
「あっ、あっ……! んあっ、やっ……!」
「耳も胸も敏感。中も、こんなにボクの指をきゅって締め付けてる。フローラ氏の感じるところ、ぜ〜んぶボクが一番に見つけちゃったゾ♡」
ナンジャモは執拗にフローラの身体を探り続ける。指を曲げて内側の肉襞を擦り、親指で敏感な芽を押し潰し、時折舌先で耳たぶをなぞる。そのたびにフローラの喉から抑えきれない嬌声がこぼれ、ベッドがわずかに軋んだ。
「んあっ、あっ……!♡ ぁっ、ふっ……んんっ!♡」
「もっと鳴いてよ。ボクしか聞いてないんだから、全部聞かせて?」
耳元でナンジャモが甘く囁く。でもその声には有無を言わせぬ圧が含まれていて。フローラは必死に唇を噛み、声を殺そうとするものの、与えられる刺激に耐え切れず、次第に高い喘ぎが溢れ出してしまう。
「あっ、んいっ、あっああ……!♡ やめ、てぇ……!」
「かわいいよ、フローラ氏。配信のときの落ち着いた声が嘘みたい。でもボクは、こんなフローラ氏も大好き」
さらに指を深く突き立て、奥で小さく円を描くように動かす。そしてフローラの腰が勝手に跳ね上がり、足先に力が入るのを観察しながら、ナンジャモは彼女のもっとも感じる部分を見極めていく。
「ひぁっ……!?♡ あっ、そこは……んっ、あぁっ!!♡」
それはすぐに見つかった。一際強く腰をガクガクと震わせたフローラの姿に、ナンジャモはここだと思った部分を指腹でぐりぐりと押し込んだ。そうすれば反応は劇的で、指を締め付ける膣襞がその収縮を強めて甘い滑りを分泌し始める。
「ほら、イって? ボクの指で。ボクの手でイくフローラ氏、すごく見たい」
「やっ……! い……やぁっ……あっ、ぁぁっ……!!♡」
フローラが必死に抵抗しようとしても、快感の波は容赦なく押し寄せた。縛られた両手を握り締めるように力を込めるも、その程度では抗えない。ナンジャモの指がフローラの最も敏感な部分を捉え、的確に刺激を与えていく。
「大丈夫、怖くないよ。ボクがずっと側にいるから。ほら、イっちゃえ」
「やだ……! やだ、やだ……んあっ、ぁっ、ああああぁぁっ!!♡♡」
やがてひときわ高い悲鳴と共に、フローラの身体が大きく仰け反った。ナンジャモの指を締め付けるように中が収縮し、波打つように震える。縛られた手足が小刻みに痙攣し、涙が一粒、頬を伝ってこぼれ落ちた。
「イったね。ボクの手で」
ナンジャモは満足げに笑いながら、まだ余韻に震えるフローラの中からゆっくりと指を引き抜いた。そして指先にまとわりつく愛する彼女の蜜を舐めとると、熱に潤んだ菫色の瞳を覗き込む。
「どう? ボクの愛情、伝わった?」
フローラは荒い息をつきながら、焦点の合わない目でナンジャモを見つめていた。まだ身体の奥に燻る快感と、罪悪感、恐怖が入り混じった複雑な表情がその濡れた瞳に浮かんでいて、ああそんなフローラ氏も素敵だなとナンジャモは下腹部を熱くする疼きを強めてしまう。
「おね、がい……ナンジャモ、さん……。誰にも……誰にも言わないから……もう、やめて……」
「誰にも言わないから?」
ナンジャモはくすりと笑いながらフローラの言葉を繰り返した。あまりにもそういう同人誌のシチュエーション向きの言葉に、昂る性欲は萎えるどころか強く燃え上がってくる。
「フヒ……ダメだよ、フローラ氏。『誰にも言わないから』なんてお願い、ボクを止めるどころか撮れ高を上げてるってわからない?」
フローラの顔へ手を伸ばし、涙で濡れた頬を親指でそっと拭う。しかし、その目には哀れみの色は一切ない。代わりにナンジャモに宿っているのは、獲物を追い詰めた捕食者のような悦びだった。
「身体はもっとって言ってるみたいな蕩けた顔で、やめてくださいってお願いされても、説得力ないよ」
「……っ!」
フローラの顔が羞恥で赤く染まる。今しがた達してしまったばかりの身体の熱が、再び意識へ蘇ったのだ。ナンジャモはその反応を楽しげに眺めながら、濡れて熱を持った秘所をそっと撫でた。
「ねぇ、ここ、もうボクのこと欲しいって言ってない? 大丈夫。もっと気持ちよくしてあげるからね」
ナンジャモはフローラのブラジャーを外してからベッドを離れ、部屋の机の引き出しから何かを取り出すと、自分の服も脱いで裸になった。腰へ巻きつけたのは、黄色と黒に彩られたペニスバンドだった。根元には圧力を拾う感応器と小型の振動子が組み込まれ、先端へ加わる刺激が装着者にも伝わるようになっている特注性。
「じゃじゃーん! ナンジャモ特製、感電注意の秘密兵器~! ボクの発明、電気だけだと思ったら大間違いだぞよ」
「……っ!?」
ナンジャモが体勢を変えるため足首の拘束を解き、濡れたショーツを抜き取った瞬間、フローラは弾かれたように立ち上がろうとした。だが手首は縛られたままで、ねむりごなの余韻も残っている。ベッドから片足を下ろしたところで均衡を失い、うつ伏せに倒れ込んだ彼女の腰を、ナンジャモがすぐに掴んで引き戻した。
「や……やめて……!」
「だからぁ……そんな初見リアクション見せても逆効果なんだってば。ボクを煽ってるとしか思えないし?」
もう我慢できないよと囁きながら、ナンジャモは装着したペニスバンドを濡れそぼった場所へ押し当てた。異物を受け入れたことのないそこへ腰を押しつけると、硬い先端がわずかに入り込む。
「ひっ……!」
「……っ! やば、これ……気持ちよすぎ……」
ナンジャモは思わず歯を食いしばり、腰を一度強く押しつけた。きつい場所を割り開いていく圧力を感応器が拾い、根元の振動子を通じてナンジャモの下半身へ返してくる。フローラの膣道を自分が広げているという征服感まで重なり、甘い疼きが全身を駆け巡った。
「痛っ……! や……やだぁ……!」
フローラの叫び声が室内に響く。その声は初めてを奪われることへの恐怖と苦痛に満ちていたが、ナンジャモの理性を吹き飛ばすには十分だった。
「もう……ダメ。そんな声、聞かされたら止まれないって!」
ナンジャモは興奮に支配された頭で何度も腰を振り、肉棒の形を模した擬似ペニスを根元まで押し込む。狭い膣内は急な侵入を激しく拒み、フローラの全身を鋭い痛みが貫いた。
「っあぁぁ……! いた……! いたいぃぃっ……!」
涙が止まらない。初めてを奪わた痛みと、身体が裂けるような痛みに全身が震え、呼吸も上手くできなくなる。だがそんなフローラの苦しむ姿を目の当たりにしながら、ナンジャモは自身の腰を動かす速度を緩めることなく責め続けた。
「はぁ……っ!♡ きもちいい……!♡ フローラ氏の中、すごい……ボクのに吸い付いてくる……!」
ナンジャモは夢中で腰を振り続ける。結合部からは鮮血が流れ落ちていたが、今はそれが気にならなかった。ただひたすらに欲望のまま動き続け、愛する人を犯すことだけを考えていた。
「んぁっ! やめ……! やめてぇっ!!」
「ごめんねフローラ氏……ボク、もう止まれないよぉ……!♡」
ナンジャモは泣き叫ぶフローラの声に興奮し、さらに強く腰を打ちつける。パンッ♡ パンッ♡ と、擬似ペニスを何度も奥へ押し込まれ、未開発の膣が無理矢理開拓される感覚に悲鳴をあげる。
だがそれは最初の数分だけで、やがて痛みの中へ微かな快楽の波が混ざり始めた。
「あっ……! あっ、あんっ……!♡ やっ、なんで……ああっ!♡」
「ほら、やっぱり気持ちいいんでしょ? ボクので、感じてるんだ?」
「ちが……! ちがうぅ……っ、んああっ!♡」
快感から必死に逃れようとするも、次第に全身が火照り始め、抵抗する力も弱まっていく。ナンジャモはフローラの反応を見逃さず、さらに激しく動き始め、色々な角度で擬似ペニスの先端を膣中へ叩きつける。
「イかせてあげる……!♡ ボクの手でイっちゃえ……!♡」
ナンジャモの限界も近かった。フローラの体内で動く擬似ペニスに圧力が加わるたび、根元の振動が強まり、装着者の快感も際限なく高めていくのだ。ナンジャモはその刺激に身を任せ、フローラの最も奥深くへ突き刺すように腰を打ちつけた。
「んあっ……!♡ やっ……! あっ、ああああぁっ!!♡♡」
「あっ……!♡ ボクも……ボクもイクぅぅぅっ……!!♡♡」
そしてそのまま、二人は同時に絶頂を迎えた。フローラはあまりの快感に意識が朦朧となり、身体を大きく仰け反らせながら潮を吹き出す。ナンジャモもまた、感応器から伝わる強烈な振動に呑み込まれ、フローラの中に深く腰を沈めたままビクビクと震えて絶頂した。
「はぁ……はぁ……♡」
その強烈な快感に、二人はしばらく動けずにいたが、やがてナンジャモがゆっくりとペニスバンドを引き抜いた。フローラの秘所からは愛液と破瓜の証である鮮血が流れ落ちており、その淫靡な光景に、ナンジャモはしばし見惚れてしまう。
「すごかった……」
ナンジャモは荒い呼吸を繰り返しながら呟いた。生まれて初めて体験した性行為は、想像をはるかに超える快感をもたらしていた。しかもそれが長年想い続けてきた相手との初めてなら、なおさらだ。
「ねえ、フローラ氏……気持ちよかったでしょ?」
ナンジャモは汗ばんだ額を拭いながら問いかけるが、返事はない。虚ろな目をしたまま荒く呼吸を繰り返すだけの彼女を見て、ようやく少しだけ罪悪感を覚えたのだ。
「ごめんね……無理させちゃった?」
ナンジャモはフローラの頬に手を当てて優しく撫でる。それは普段の彼女らしい労りで、その優しさに安堵したのか、フローラは小さく首を振った。
「だい、じょうぶ……はぁ、はぁ……平気、です……」
辛うじて絞り出した彼女の声には、先ほどまでの快楽による陶酔が残っていた。拒絶しながらも、長年信頼してきたナモナシと目の前のナンジャモを完全には切り離せず、その手へ一瞬だけ安堵してしまったのだろう。けれどナンジャモの歪んだ目には、そんな揺らぎさえ自分を受け入れ始めた証拠に見えた。
もし別の誰かが、今のようにフローラの無防備な反応を引き出したら――そう想像しただけで、嫉妬が再び熱を帯びる。こんなにも危うく、自分の気持ちにさえ鈍いフローラは、やはりファン第一号である自分が隅々まで知り、管理して、誰の目にも触れないよう守らなければならない。ナンジャモはその身勝手な使命感を、疑うことなく愛情だと思い込んだ。
「んっ……ナンジャモ、さん……? ……っ、んああああっ!!♡♡」
そう思った途端、ナンジャモは再びペニスバンドをフローラの蜜壺へ突き入れた。そのまま乾いた音を立てて腰を振り、再燃した昂ぶりを一方的にぶつけていく。
「フローラ氏ぃ……そんな顔、ボク以外に絶対見せちゃダメだからね!♡ 今日からボクが恋人兼ご主人様! 独占契約、強制締結だぞ!!♡」
「ひぎっ!♡ やあああっ!!♡」
腰を叩きつけるたび、フローラの乳房が大きく震える。ナンジャモはその光景を見下ろすと、嫉妬に任せて揺れる乳房を鷲掴みにし、さらに勢いよく腰を振るい続けた。
パァン!♡ バチンッ!♡ バチュン!♡ パチンッ!♡
「こんな無防備なフローラ氏、他の変態に見つけさせるもんか!♡ ボクがしっかり躾けて、ボクだけを欲しがるようにしてあげるんだから!!♡」
「やめっ! んおおっ♡ そんなにしたら、おかしくなるぅ……!♡」
「ほらほら、早くイっちゃえ!!♡ ボクの秘密兵器で、またビリビリっとイっちゃえ!♡」
「あっ♡ あっ♡ あああ゛あ゛ぁ゛〜っ!!♡」
ビクビクッ♡ と、再び絶頂を迎えたフローラの肢体が大きく跳ね上がる。同時に膣壁も激しく収縮し、膣内に入り込んだ擬似ペニスを強く締め付けてきて。それがまるでもっと欲しいと自分に強請っているように感じたから、ナンジャモは刺激される恋心と征服欲に身を任せるままフローラに抱きついて発情期のマンキーのように腰を振り続ける。
「あはぁ……♡ すっごい締めつけ……♡ ほら、フローラ氏、口開けて♡」
「んあっ……? あっ、んちゅっ……!♡ ちゅっ、んあっ、ナンジャモ、ひゃん……んんっ♡」
ナンジャモは恍惚とした顔で自身の腰振りに合わせて喘ぐフローラの唇を塞いだ。もう抵抗する力も気力もない彼女の口を激しく犯しながら、より深くに擬似ペニスの先端を届かせようと杭打ちピストンを開始する。
「んっ、んふ〜〜ッッ♡♡ ふっ、んお゛ッ♡ お゛っ、お゛っ、んぶっ♡ じゅぷっ、じゅるる、ぬちゅぅ♡ ふむ〜〜〜〜ッッ♡♡」
絶頂直後の敏感な身体を容赦なく揺さぶられ、フローラは逃げ場のない快楽へと叩き込まれた。重ねられた唇の間から快感に染まった呻き声を漏らす彼女は、ナンジャモの性欲を受け止めるための器以外の何者でもなかった。
ズチュ!♡ ヌプッ!♡ グチョッグリュリュ!!♡♡
結合部で愛液が泡立ち、濡れた音が部屋中へ響く。ナンジャモが腰を深く押し込むたび、先端へかかった圧力を感応器が拾い、根元の振動を一段ずつ強めていった。自分の動きが二人分の快感になって返ってくることに興奮し、ナンジャモの呼吸も次第に荒くなる。
「やっ♡ あっ♡ また、イクッ……♡ イクッ、イッちゃう……♡ あ゛っ♡ あ゛あ゛あ゛〜〜ッ!!♡♡」
「はぁ……! フローラ氏、大好き……!♡ だからずーっと一緒にいようね?♡」
「あっ♡ あっ♡ んあっ、イッ、イグゥぅぅぅ〜〜ッッ!!!♡♡」
パンッ、パンッ、パァン!!♡ ドチュン!!♡♡
先端が最奥へ届くたび、フローラの喉から甘い声がこぼれた。やがてひときわ大きな嬌声とともに、その全身が再び激しく痙攣する。収縮した膣壁が擬似ペニスを強く包み込むと、感応器を通じて返ってきた振動が、ナンジャモの快感もさらに押し上げた。
(フヒ……これで独占契約、成立じゃん……!)
ナンジャモは尖った歯を覗かせ、フローラの耳を甘噛みした。耳殻の内側へ舌を差し入れて執拗に舐め回すと、フローラはぞくぞくと全身を震わせながら身を捩る。画面越しに聞き覚えていた弱点を、自分の舌でさらに開発して敏感にさせていってる感覚が堪らない。
「あっ♡ あっ♡ やめっ♡ それ、ダメ♡ み、耳、弱いのに、あんっ、ぁぁっ♡ いま、舐められ、たら♡ こ、壊れちゃう♡ 壊れちゃうからぁぁ♡」
「壊れてもノープロブレムぞよ♡ ボクがずっと面倒見てあげるから。そうだ、フローラ氏はボクのペットになればいいんじゃん♡」
「んあっ♡ あっああ゛っ♡ ぺ、ペット……? そ、そんなの、やぁ♡」
怯えるフローラの顔を覗き込み、ナンジャモは甘く囁いた。その口調は配信で視聴者を誘導する時のように軽やかだったが、菫色の瞳を捉えた眼差しには獰猛な執着が淀んでいる。冗談めかした提案の形を取りながら、断られる可能性など最初から考えていなかった。
「ペットになったら、四六時中ボクと一緒だよ? 配信するときも、ご飯食べるときも、寝るときも、ずーっとボクの隣♡ お得な永久専属契約ですな~♡」
「ああ゛っ♡ やだ、やめて、ナンジャモ、さん……ッ、〜〜〜〜ッ♡」
フローラは必死に首を振った。憧れの配信者と企画を相談するだけだったはずが、今は全身の自由を奪われ、拒むたびに強い快感を与えられている。そのうえペットになれと迫られ、どこで何を間違えたのかさえわからなくなりかけていた。
けれど涙に滲む視界の中で、ナンジャモだけは鮮明だった。その声を聞くたび、長年自分を支えてくれたナモナシの言葉まで蘇ってしまう。恐怖と信頼、苦痛と快感が同じ相手へ結びつき始め、フローラの中にあったはずの境界は少しずつ曖昧になっていった。
「まだ今までの自分でいなきゃって、頑張ってるんだねぇ。でも、そんなの手放しちゃえばラクになるよ? ボクのペットなら何も悩まなくていいし、毎日かわいがってあげるよ♡」
「そんなの……そんなのぉ……!♡」
反論を遮るように、ナンジャモは腰の動きを小刻みに変えた。浅い場所にある敏感な部分を先端で擦り上げ、反応が大きくなる角度だけを狙って何度も責め立てる。フローラは声を抑えようと唇を噛んだが、刺激のたびに高い喘ぎが漏れてしまう。
「ひゃんっ!♡ あっ、やっ……!♡ あんっ、あっ、あっ、あっ……!♡」
「ほらほら、ここが弱点でしょ?♡ 配信じゃ絶対わからないフローラ氏の秘密、また一つゲット~! どんどんボクだけが詳しくなっちゃいますなぁ♡」
「やっ、あっ、ちがっ……!♡ んあっ、そんなの、あ゛っ、ああっ、知らないぃぃ♡」
「知らなくてもいいよ、これからボクが教えてあげるから♡ 声も、匂いも、味も、肌の感触も、ぜーんぶボクだけのものにするの。フローラ氏本人より詳しくなってあげる♡」
ナンジャモはフローラの首筋へ鼻を寄せ、深く息を吸い込んだ。熱のこもった肌と汗が混ざり合った匂いに、長年画面越しでは知り得なかった相手の実在を思い知らされる。その感覚が本能的な飢えを刺激し、抱え込む腕へさらに力が入った。
「んはぁ……いい匂い♡ これも配信じゃ味わえない限定コンテンツってワケ♡」
「あっ……! やっ、嗅がないで……!」
「ダ~メ♡ ボクだけの特典だから、何回だって堪能しますぞ~。ほら、そろそろペットになるって言ってみよっか♡」
「やだぁっ!♡ やだっ!♡ あっあ゛っ!♡ あんっ、んんっ!♡ やめっ、てっ、こんなことぉぉっ!!♡」
「およよ、まだ強がるんだ? でも中はボクをきゅうって捕まえて、ぜーんぜん放してくれませんケド~?♡」
ナンジャモは一度ペニスバンドを引き抜き、フローラの身体をうつ伏せに返して尻を高く上げさせた。すぐに背後から再び挿入し、腰を深く押しつけながら、後ろから回した両手で乳房を揉み込む。体位が変わったことで先端が先ほどまでとは違う場所を抉り、フローラの背が大きく反った。
「ひゃうんっ!?♡♡」
「後ろからだと、もっと奥まで届きますなぁ♡ おっ、ここ! ここがフローラ氏の弱点でしょ?」
「あんっ!♡ そ、そんなとこ、突いちゃだめぇっ!!♡」
「大丈夫、大丈夫♡ ボクのペットになったら、もっと気持ちいいこといっぱいしてあげる。ほら、想像してみて?」
ナンジャモはペニスバンドを抽挿しながら、フローラの耳元へ唇を寄せた。配信中に甘い企画を売り込むような弾んだ調子で、これから二人が送る爛れた性生活の一部を一つずつ聞かせていく。
「朝起きたらボクと抱きしめ合いながらキスをして、配信するときは首輪をつけてボクの隣。ご飯もお風呂も寝るときも一緒で、欲しくなったらこうして後ろからいっぱいかわいがるの♡ 最初は恥ずかしくても、すぐ慣れるよ。フローラ氏、ホントはこうされるの弱いもんね~?」
「違っ!♡ 私はそんな、変態なんかじゃ……!♡」
「そうかな~? でも、ボクのペットになった生活を聞いたフローラ氏のおまんこ、さっきからすごく締め付けを強くしてるぞよ〜♡」
「――――ッッ♡♡」
ナンジャモから告げられた自分でも気づかなかった身体の反応に、フローラは顔を真っ赤にして否定するように俯いた。だがそれでも、擬似ペニスに嬉しそうに吸い付く膣襞の反応は本物で、変わらず腰を振って膣奥に先端を叩きつけられる快感は、フローラも目を背けることができない。
このままだと、自分が自分でなくなってしまう。そう考えて、フローラは今の責め苦から逃れるために、口先だけでも頷いてしまおうかとも思った。だが、その先に示された歪な生活を本当に受け入れられるはずもなく、震える唇からは答えにならない吐息しか出てこない。
「迷ってますなぁ? ボク的にはどっちでもいいよ。ペットになるまで続ければ、最後には同じだし♡」
フローラにとってそんな残酷なことをさらりと言ったナンジャモが腰の速度を上げると、結合部から激しい水音が溢れた。背後から乳首を摘まれ、耳元へ熱い息を吹きかけられるたび、フローラの意識は白く弾けていく。
嫌だと思う気持ちはまだ消えていないのに、ずっと憧れていたナンジャモの声で自分の名前を呼ばれ、ペットになれと囁かれると、背徳的な震えが背筋を駆け抜け、蜜のようにフローラの思考を蕩かしてしまう。
「ああ゛っ!♡ んんっ!♡ んあああっ!!♡」
「はい、選択肢は二つ! ボクのペットになるか、なるまで終わらないか! フローラ氏の答えは、どっちかな~?♡」
「な、なりゃない、ぃぃっ……!♡ そんなの、絶対にぃぃ、なりませ……んっ、おお゛お゛っ♡」
「そっかぁ、残念! それじゃ延長戦へごあんな~い♡」
ナンジャモは楽しげに宣言し、それまでより激しく腰を叩きつけた。大きな音が室内へ何度も反響し、感応器の振動まで一気に強くなる。フローラは盛大に潮を吹き出しながら達したが、ナンジャモの動きは止まらず、余韻に震える身体をさらに追い込んでいった。
「ひぎぃっ!!♡ いぐっ!♡ イグゥゥ!!♡ 止まらないっ、気持ちいいの、止まらないぃぃ!!♡」
「まだまだこれからだよ! ほら、ボクだけに聞かせるためにもっと鳴いて♡」
体位を変えるため、ナンジャモはフローラの手首を留めていた拘束帯を解いた。自由になった両腕に逃げる力はほとんど残っておらず、それを確かめるように後ろから抱え上げる。背面から挿入したまま、いわゆる背面駅弁の体勢で数歩進むと、自重によって先端がさらに深く押し込まれた。
「んほぉぉっ!?♡♡ だめぇぇ!!♡ 下ろしてっ、下ろしてくだしゃいいぃ!!♡」
「ゲゲッ、すごい声!♡ フローラ氏のオホ声ゲットしちゃいました〜♡ それにフローラ氏、下ろしてほしいわりに、中はきゅんきゅん締めつけてきますなぁ♡」
ナンジャモは反応を楽しみながら、抱えた身体をさらに強く揺さぶった。フローラの体重がかかるたび、擬似ペニスの先端が最奥へ押し当てられ、悲鳴に近い喘ぎが漏れる。床から足が離れた不安と、逃げ場のない快感が重なり、フローラは縋るようにナンジャモの腕を掴んだ。
「んああ゛っ!♡ 深いっ! お゛っ、んお゛っ♡ 深すぎておかしくなるぅっ!!♡」
「おかしくなっちゃえばいいんだよ♡ そうだ、いつかカメラの前で、ボクだけの限定配信もしよっか? 視聴者ゼロ、出演者はボクら二人だけの超プレミア枠♡」
「やらぁぁ!!♡ 撮らないでっ、誰にも見せないでぇぇ!!♡」
「そこは安心したまえよ~。こんなフローラ氏を見せたら、皆の者の目玉までまとめてエレキネットしちゃうでしょ? だから誰にも見せない。ボクだけの非公開枠にするの♡」
顔を公開しないという約束を、ナンジャモなりに守るつもりではあるらしい。けれど、本人の許可なく独占することを配慮と呼べるはずもなかった。フローラが涙を流して首を振っても、ナンジャモはそれを照れ隠しと決めつけ、深く突き上げる動きを緩めなかった。
「さあ、そろそろ契約更新のお時間ぞよ! ペットになりますって言ったら休憩してあげる。言わないなら、言えるようになるまで続けちゃうけど……どーする?♡」
「んあ゛っ♡ おぐっ♡ イク、イクぅぅぅ♡ んほぉぉぉ……っっ!!♡♡」
もうフローラに、耐えるという選択肢は無くなっていた。それどころか、抵抗するという考えも消えている。人生初めての連続絶頂と子宮を乱暴に突き上げる高速ピストンに、天性のチン負け体質を持つ彼女が抗えるわけなかった。
だから彼女は、子宮口から脳まで突き抜けるような衝撃と快感に口をだらしなく歪ませながら、自分をレイプして、快楽漬けにして、価値観全部壊していただいた超人気ストリーマーのナンジャモへと敗北宣言を捧げるのだ。
「な、なります……!♡ 私、ナンジャモさんのペットになりますぅ……!♡ ですからもう、許してください……!!」
その一言に、ナンジャモの動きが止まった。そして重ね合った肌越しに、歓喜の震えがフローラへと伝わってくる。だがそんな彼女も、ナンジャモがあれだけペットになれと迫っていて、いざ受け入れられるとあまりの嬉しさに幸福ゲージを振り切って絶頂していることまではわかるまい。
「〜〜〜〜ッッ♡♡ ふぅ……っ♡ ふぅぅっっ……♡ ふへ、へへへ……♡ あっ、ふひっ……♡ お、おおっと、ついに、ふひひっ、げ、言質ゲット~! でも、もう一声ほしいですなぁ。『フローラはあなたの性奴隷です』って、ちゃ、ちゃんと言ってもらわないと♡」
背面騎乗位の体勢でフローラを貫いていたのはナンジャモにとって幸いだっただろう。それぐらい今の彼女は喜悦と感動で顔も精神も蕩けて動揺していて、今までの余裕を取り戻すのに時間がかかってしまったのだから。
それでもなんとか持ち直して最初にお願いするのがさらなる隷属の所望をフローラの口から引き出すことなのは、ナンジャモが今まで拗らせに拗らせまくったフローラへの想いの強さ故か。
「そ、そんなの言えない……!♡」
「むっ……そ、そう! じゃあ延長戦、もう一周♡ まだ契約内容を理解してないペット候補には、追加レッスンが必要だからねぇ?」
(ボクのペットになるって言ったのにいきなり拒否するなんて、フローラ氏は躾けがまだ足りないなぁ。ま、それはご主人様でフローラ氏の恋人であるボクがこれからたっぷりと優しくあま〜く教えてあげればいいよね♡)
早くも恋人面をし始めたナンジャモはフローラをいったん下ろし、両腕を後ろへ持ち上げて立ちバックの姿勢を取らせた。そしてそのまま勢いよく腰を打ちつけて、凄まじい衝撃とともに、フローラの視界が激しく明滅させた。
パァンッ!♡♡ ドチュンドチュン!!♡♡ グポォオオオ!!♡♡
「ひぎゃぁぁぁぁっ!!♡♡」
思考を組み立てるたび、それを塗り潰す快感がフローラの全身を駆け抜けた。遠のきかけた意識の中で聞こえるのは、何年も自分を励まし続けたナモナシと同じ声であり、目に映るのは幸福そうに笑うナンジャモの顔だけで。二人が同じ存在だと明かされた衝撃は、今や恐怖と信頼を切り分ける力まで奪い、フローラの心をその声へ縋らせ始めていた。
(ナンジャモさん……ナモナシさん……ずっと、私を見ていた人……♡)
「ほら、ボクの動きに合わせて! フローラ氏からも、もっと欲しいって見せてよ♡」
バチンッ!♡♡ バチュンッ!♡♡ バコッ!♡♡
肌がぶつかる音が響き、溢れた愛液が二人の脚を伝って床を濡らす。フローラはその激しいピストンに「やめて」と繰り返したが、その声は弱々しく、腰は突き上げを受け止めるように揺れ始めていた。
そしてその思考の空白を埋めるのは、やっぱりナンジャモの甘い囁きで。こぼれ落ちていく常識や倫理観、羞恥の代わりに新しい価値観と人生が脳に刻まれていく。
「ボクはフローラ氏のこと、だ〜い好きだぞ♡ フローラ氏だって、ボクのことが大好きなんだよねえ? だったら答えはカンタン! 両想いのボクたちは、もう恋人同士ってことだ〜♡ 恋人同士がセックスするのも、恋人のお願いを聞いてあげるのも、ぜーんぜんフツーだよねえ?♡」
「ほっ、おぉ゛〜〜ッ♡ こ、恋人……♡ 私と、ナンジャモさんが……恋人同士ぃっ♡ お゛っ、んおお゛っ♡ 恋人……ナンジャモさんの、恋人ぉ♡」
「うんうん、そのとーり♡ そしてフローラ氏はさっき、ボクのペットになるって誓ってくれたよねえ? つまりボクが飼い主で、フローラ氏はボクのかわい〜いペット♡ 飼い主の命令に絶対服従するのが、いい子のペットってもんだぞ〜♡」
「いっ、イクッ♡ んあっ、ああ゛ぁぁっ♡ は、はいぃっ♡ ペットになった私はぁ……飼い主のナンジャモさんに、絶対服従ですぅっ……♡ ほっ、おお゛お゛お゛っ♡ イギュッ!!!♡♡」
「それじゃあ最後の確認、いってみよー!♡ ボクの命令、ちゃーんと聞けるよね? ほら、フローラ氏の口から誓ってみたまえよ♡ ボクだけの恋人で、かわいいペットで……ボク専用の性奴隷になります、ってね♡」
「んお゛っ、お゛っ、お゛お゛ッ♡ は、はいぃ……言います、言わせてくださいぃっ♡ わ、私は……ナンジャモさんだけの恋人で、ペットで……ナンジャモさん専用の、せ、性奴隷ですぅ……♡」
そしてついにフローラは、ナンジャモの性奴隷になると口にした。その言葉が届いた瞬間、ナンジャモは達成感と共にフローラの全てを自分の物にしたのだと言う快感に包まれた。長年欲し続けた特別な地位をようやく手に入れたのだと信じ、抱き留める腕へいっそう強く力を込める。
「あっ、ああ゛っ!♡ また激しくなって……! ああっ!♡」
「フローラ氏、永久専属契約はボクにお任せあれ!♡ 毎日かわいがって、毎日愛して、毎日イカせてあげる! ボクと一緒にいるのが一番幸せだって、身体の隅々までビリビリっと覚えさせてあげるからね!!♡」
ナンジャモはフローラを振り向かせ、そのまま床へ押し倒した。正面から身体を重ねると、擬似ペニスを最奥へ何度も突き立てながら、逃げられないよう両手両足を絡ませる。それまでにも遠慮などなかったが、想い人を自分のものにしたという興奮で最後の歯止めまで外れ、動きはさらに激しくなった。
もうナンジャモの目にはフローラしか映っていなかった。フローラもまた、快感に霞んだ視界の中でナンジャモだけを追い、無意識にその腰へ四肢を絡ませる。命令された言葉と自分の本心の境界はとうにぼやけ、今は目の前の人を求めれば苦痛も恐怖も遠ざかるということしか考えられなかった。
「ずっと離さないよ、フローラ氏。だって、ボクがフローラ氏のご主人様だから!!♡♡♡」
その宣言が、二人の限界を越える最後の一押しとなった。感応器が強烈な圧力を拾い、ペニスバンドの根元から最大出力の振動が返ってくる。互いを抱き締め、結合部を深く密着させたまま、二人はほとんど同時に絶頂へ達した。
「イッくううううっ!!♡♡♡」
「ああぁぁぁぁぁっ!!♡♡♡」
絶叫にも似た声が重なり、フローラの愛液が床へ飛び散った。膣内の収縮が擬似ペニスを締めつけるたび、振動は何度もナンジャモへ跳ね返り、二人の身体が同じ間隔で痙攣する。やがて刺激が弱まると、ナンジャモは深く腰を沈めたまま、力なくフローラの上へ倒れ込んだ。
「……♡ はぁ……♡ フローラ氏、大好き……♡」
全身を脱力させたナンジャモが、甘えるようにフローラへ口づける。フローラは一瞬だけ身を強張らせたものの、やがて抵抗することを忘れたように唇を開き、その舌を受け入れた。長いキスの後、ナンジャモは頬を寄せたまま、答えをねだるようにもう一度名前を呼んだ。
「私も……大好き、です……♡ ナンジャモさん……♡」
それが自分の内側から生まれた言葉なのか、与えられ続けた快楽が選ばせた答えなのか、フローラ自身にももう判別できなかった。ただ、そう答えるとナンジャモが幸せそうに笑い、その笑顔を見れば胸の奥に残った最後の躊躇いが消えていった。
「ニッシッシ……これでボクたち、恋人同士だね。ボクはご主人様でもあるけど♡」
「はい……私の、ご主人様……♡」
「そいじゃ、最後に記念撮影といきますか~♡ 大丈夫、配信には乗せないし、誰にも見せない。ボクだけが何度も見返す、超プレミア永久保存版ぞよ♡」
ナンジャモはペニスバンドをゆっくり引き抜くと、撮影用のスマホロトムを呼び出し、二人だけを映すよう指示した。レンズを向けられたフローラは困惑して視線を彷徨わせたが、逃げようとはしなかった。命令に従えばナンジャモが喜び、優しくしてくれる。その結びつきが、既に身体の深いところへ刻まれ始めていた。
「もう一度言って? フローラ氏は、ボクの恋人で、ペットで、性奴隷になるって。カメラ目線で、かわい~くお願い♡」
フローラは拒絶の言葉を探すように唇を震わせた。それでもやがて自らスマホロトムの前へ進み、床へ仰向けになって両脚をM字に開く。胸も女陰も、悦楽に蕩けた表情も、すべてが画角へ収まるように身体の向きを整えた。
そして清純な語り口で皆から愛されてきた人気配信者は、レンズの向こうで満足そうに見つめる、たった一人の視聴者へ向けて口を開いた。
『私……フローラはぁ、この度……エレキトリカル★ストリーマー・ナンジャモさんの恋人兼ペット兼性奴隷になりましたぁ……♡ これから毎日、ナンジャモさんにかわいがってもらって、ナンジャモさんのために尽くす人生を送ります……♡』
二人の関係が変わってから、ひと月ほどが過ぎた。
その夜、ナンジャモの配信画面には、いつものように本人の顔を映すカメラ枠と、その隣にフローラのアバターが並んでいた。配信タイトルは『エレキトリカル★ゆる雑談! ナンジャモ&フローラの相性チェック』。視聴者には離れた場所から通話をつないでいるように見えるが、実際のフローラは画面の外、ナンジャモと同じ長机の端に座っている。二人のマイクには互いの声を拾わないよう細かく指向性とノイズゲートが設定され、フローラの姿だけがアバターへ置き換えられていた。
「おはこんハロチャオ~! 見えるものがすべてとは限らない! 電子の海から皆の者の目玉をビリビリっとジャックする、エレキトリカル★ストリーマー、ナンジャモで~す!」
「こんばんは、フローラです。本日はナンジャモさんと一緒に、皆さんからいただいた質問へ答えていきたいと思います。どうぞ最後まで、よろしくお願いいたします」
二人が挨拶を終えると、コメント欄は待ち望んでいた視聴者の歓声で一気に埋まった。ナンジャモはカメラへ向かって大きく両手を振り、フローラのアバターもその隣で控えめに手を振っている。表情の追従精度を上げたばかりのアバターは、瞬きや口元の動きだけでなく、わずかな頬の紅潮まで忠実に反映するようになっていた。
「そいじゃあ最初の質問! 『お互いの第一印象は?』とな。フローラ氏からどうぞ~!」
「ナンジャモさんの第一印象は……明るくて、とてもお話の上手な方、でした。以前から配信を拝見していましたので、お会いしたときは本当に緊張してしまって……っ、んっ」
言葉の最後でフローラの肩が小さく跳ね、アバターの瞳が一瞬だけ大きく見開かれた。長机の下へ隠したナンジャモの左手が、フローラの内腿へ触れたのだ。開始から三分も経たないうちに仕掛けてくるとは思わず、フローラは横目で抗議する。
対するナンジャモは、右手だけをカメラへ見せたまま何食わぬ顔で笑っていた。机の下では指先を太腿から脚の付け根へゆっくり滑らせ、スカートを捲り上げている。その焦らすような動きに、フローラのアバターの頬が目に見えて赤くなった。
『フローラちゃん今日ちょっと緊張してる?』
『アバターの感情表現すごくなってる』
『初コラボみたいな反応でかわいい』
「およよ~? どうしましたかな、フローラ氏。もしやボクと話せる喜びで胸がいっぱいになっちゃった?」
「そ、そうですね。ナンジャモさんとのコラボは、いつも刺激的ですから……」
「ニッシッシ! そりゃ何より。今夜も最後まで、た~っぷり刺激してあげますぞ~!」
意味を知っているのは二人だけだった。コメント欄では「いつものナンジャモ」「言い方が怪しい」と笑いが起こったものの、本気で何かを疑う者はいない。フローラは息を整えながら次の質問を読み上げ、その間にナンジャモの手を押し戻そうとしたが、机の下で指を絡め取られてしまった。
「んっ、ふぅ……続いては……『最近、お互いについて知って驚いたことはありますか』。私は、ナンジャモさんが思っていた以上に、その……寂しがり屋だったことです」
「ゲゲッ、いきなり秘密を暴露されたぞ! ボクはいつだって元気百倍、充電満タンですケド~?」
「昨夜も、少し席を外しただけで――」
「はいストーップ! そこから先は有料会員限定! いや、永久非公開の超プレミア情報につき配信禁止~!」
慌てて遮ったナンジャモが、机の下でフローラの太腿を軽くつねる。フローラは「ひゃっ」と声を漏らしかけ、咳払いに変えて誤魔化した。画面上のアバターも口を押さえて俯いたため、視聴者には笑いを堪えているようにしか見えなかった。
『昨夜?』
『今さらっと昨夜って言った?』
『通話してたんじゃない? 仲いいな』
疑問符を浮かべたコメントは数件あったが、その何十倍もの「てぇてぇ」と笑い声に押し流された。ナンジャモは安堵を隠して大げさに胸を撫で下ろしながら、鼠蹊部部分を円を描くようにくすぐる。
フローラはその指を止めようとしたが、ナンジャモはまるで失言しそうになった罰というように目で伝えてくると、すでに身も心も躾け終えられている彼女は動きを止めざるを得なかった。
「では気を取り直して、恒例の相性チェックへいってみよ~! 回答が一致したら一点、外れたら罰ゲーム! まずは『フローラ氏が一番安心できる相手は誰?』」
「そんな問題、相性チェックになっていませんよ。答えを知っていて出したでしょう?」
「さ~て、どうかな? 皆の者も予想してコメントしたまえよ!」
ナンジャモは片手で回答ボードへ文字を書きながら、もう片方の手を再びフローラの脚へ伸ばした。今度はフローラの股間部……配信前に何も身に付けないよう指示されていた部位をゆっくり撫で、そのまま割れ目をなぞるように指を動かす。
「んっ、んんっ……、ふぅ……ふぅ……っ!」
そこから先へ進みはしないのに、いつ挿入してくるかわからない緊張のせいで、フローラは普段どおりの声を保つだけで精いっぱいになった。
「せーのでオープン! ボクの回答はもちろん『ナンジャモ』! フローラ氏の答えは?」
「わ、私も……ぁっ、んっ……ナンジャモさん、です」
「大正解~! やっぱりボクら、相性バツグンじゃんねえ!」
「長い間、支えていただきましたから。今では誰よりも信頼している、大切な方です」
「およよ、それだけ~? 本当にそれだけですかな、フローラ氏?」
ナンジャモは回答ボードをカメラへ掲げたまま、画面の外にいるフローラへ片耳を向けた。続きを聞くまで許さないとでも言いたげな横顔に根負けし、フローラも椅子をわずかに寄せる。マイクから顔を逸らし、ノイズゲートにも拾われないほど声を落とすと、すぐそばにあるナンジャモの耳へ唇を近づけた。
「……私の、大切な恋人ですから」
その囁きは、確かにナンジャモ一人へしか届かなかった。けれど、直後にナンジャモが目を見開き、満面の笑みのまま数秒固まった姿は、顔出しの配信画面へしっかり映っている。
『今なんか内緒話した?』
『ナンジャモ固まってて草』
『フローラちゃん何を言ったんだ』
『こっちにも聞かせて』
「な、なんでもありませんぞ~! 超個人的な機密情報につき、詮索禁止! はい次ぃ!」
声こそいつもの勢いを取り戻していたが、ナンジャモの頬は隠しようもなく緩んでいた。机の下にある左手がフローラの陰裂へと指を二本挿入し、そのまま彼女の敏感な部分をぐちゅ♡ ぐちゅ♡ と押し広げるように刺激していく。
「んん゛っ……!?♡ つ、続いての質問は……『相手の、かわいいと思うところ』、です……っ、ぁっ♡」
「ボクは今まさに更新中ですな~。平然としてるつもりなのに、ぜ~んぜん隠せてないところ♡」
視聴者には、耳打ちを恥ずかしがるフローラをからかった言葉にしか聞こえない。その裏でナンジャモの指はGスポットを捉え、緩急をつけながら執拗に擦り続けていた。フローラは膝を閉じて手を止めようとしたが、かえってその指先を脚の間へ深く挟み込む形になり、アバターの瞳が潤んだように揺れる。
「ちょ、っと……ナンジャモ、さん……」
「およ? フローラ氏、もう一回お願い。マイクに入らないよう、ボクの耳元だけでね♡」
ナンジャモはわざとらしく聞き返しながら、フローラの反応を知り尽くした指使いで刺激を強めていく。声を出せない状況そのものが、彼女の身体をいつも以上に敏感にしていた。
フローラは片手で口元を覆い、もう片方の手でナンジャモの腕を掴んだが、配信中の彼女はカメラへ笑顔を向けたまま、少しも動きを緩めようとしない。
「こ、こんなところで……イカせないで、ください……っ」
「フローラ氏がボクを暴走させるようなこと言うからでしょ? ボクの恋人なら、最後までちゃ~んと我慢できるよね♡」
耳元で交わされた会話は、視聴者のもとへ届かない。だがフローラのアバターは赤い顔で瞼を震わせ、声に合わせるはずの口を半端に開いたまま固まりかけていた。
ナンジャモはそれを見逃さず、右手で配信卓のキーを叩く。画面上へ『相性データ集計中!』という派手な演出が飛び出し、フローラのアバターを稲妻と数字のエフェクトで覆い隠した。
「さあさあ皆の者、注目~! ボクらの相性はいったい何点になるのかな~?」
明るく喋り続けながら、ナンジャモは机の下で最後のひと押しを加えた。限界まで張り詰めていたフローラの腰が椅子から浮き、閉じた両脚が小刻みに震える。喉までせり上がった甘い声を掌の奥へ押し殺した瞬間、逃げ場を失った快感が一気に弾け、彼女はナンジャモの腕へ爪を立てたまま、誰にも知られず絶頂へ達した。
「〜〜〜〜ッッッッ♡♡♡♡♡」
同時にナンジャモが大音量の正解ジングルを鳴らしたため、マイクへわずかに漏れた吐息も完全にかき消された。数秒後に演出が消えると、画面上のアバターは一度だけ大きく瞬き、接続が不安定になったようにぎこちなく首を傾ける。
『今フローラちゃん固まってなかった?』
『アバターの接続落ちた?』
『効果音でかくてびっくりした』
『相性測定の演出凝ってるな』
「およよ、フローラ氏の回線までビリビリしちゃいましたかな~? 聞こえてますか~?」
「……はぁ、はぁ♡ ……はい。失礼しました。少し、機材の調子が悪かったようです」
「無事復帰おめでと~! いやあ、思った以上に強烈な反応でしたなぁ♡」
「……あとで、覚えていてくださいね」
まだ震えの残る声で返したフローラに、コメント欄は「機材トラブルで怒っているらしい」と笑った。ナンジャモだけがその本当の意味を理解し、画面の外で指先に残る熱と淫液をフローラの太腿へ塗り付けている。
『今日のフローラちゃん、声が妙に近くない?』
『二人とも同じ部屋にいたりして』
『ナンジャモの左手がさっきから行方不明』
「ボクの左手? 夢とロマンと企業秘密を握っておりますぞ~。詮索するとビリビリにしちゃうぞ!」
「もう……あまり皆さんを困らせてはいけませんよ、ナンジャモさん」
ごく少数の疑問は、ナンジャモの即興の冗談と、再び加速したコメントの奔流へ沈んでいった。同じ部屋にいるのではという推測さえ、真相へ近づいた意見ではなく、仲の良い二人を題材にした視聴者の願望として笑われて終わる。
その反応を見てニタニタと笑いながら、ナンジャモはフローラを愛撫する指先で彼女の内腿に文字を描いた。
『きょうは、お尻の穴で』
「……っ♡」
たったそれだけで今夜のプレイ内容を想像して股から愛液を溢れさせた恋人の姿に、ナンジャモは今夜じゃなくて配信後即ハメしよ、と決心した。
そして当初決めていた通りの終わりの時間になると、ナンジャモとなんとかいつもの穏やかさを取り繕ったフローラのアバターは画面の中で並んで笑顔を形作る。
「それでは皆さん、本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました」
「次回のコラボもお楽しみに~! そいじゃ皆の者、おつジャモ~!」
それにて配信は終了した。その後二人がどんな『アフタートーク』をしたのか、視聴者たちは知るよしもないだろう。
ナンジャモ
推しにガチ恋しちゃった超人気ストリーマー。自分だけは推しに認知されてる、頼られてる、好かれてる、つまり両想い? そんなストーカー思考を拗らせた結果暴走しちゃうナンジャモを見たかった。コラボ配信でも、フローラ個人の配信でも暇さえあれば悪戯して楽しんでる。最近の悩みは本気でプロポーズしようと思ってるけど、タイミングが毎回悪くてなかなかロマンティックな告白ができないこと。
「フローラ氏……じゃなくて、フ、フローラ。ど、どうかボクと結婚しつ……ふ、夫婦になってほしい、というか……! あああっ、落ち着け、ボク! もうすぐフローラ氏が戻ってくるんだから、今度こそビシッと……! ……ん? フローラ氏からメール? 具合が悪いから先に帰る……? ゲ、ゲゲッ……そ、そんなぁ……!」
フローラ
推しにガチ恋されちゃったそこそこ人気配信者。押して押しまくれば案外簡単に堕ちちゃう天性の誘い受け。ナンジャモはファンとして大好きだし、ナモナシは友達として大好き、なので二つ合わさって本気で求められたらレイ◯されなくてもナンジャモを受け入れてた。最近の楽しみは明らかに自分にプロポーズしてこようとする初手強姦で自分の初めてを奪った恋人を焦らして困らせること。その後無事に焦らしていることがバレて、ベッドの上で連続アクメしながらプロポーズを受け入れた。
「こ、このっ……メスガキぃ! ボクの気持ちを知ってて、ずっと焦らして遊んでたのかよ! ふざけんな、絶対許さないからな! もう二度とボクを弄ぼうなんて思えないくらい、徹底的に躾け直してやる! 一週間は配信禁止! その間ずっとセックス漬けだ! ほら、このっ、このっ! イきながらボクのお嫁さんになるって言え、フローラぁっ♡」
ここまでお読みいただきありがとうございます。
久しぶりの純愛ヤンデレ物。超人気配信者が、たった一人に劇重感情ぶつけて襲っちゃう話と、コラボ配信中にイタズラ()する話が書きたかった。ナンジャモは初めて見た時、任天堂天才かよとガチで尊敬しました。時代の人気トレンドを活かすの本当うまいですよね。
果たして最新作にはどんなジムリーダーが現れるのやら、今から楽しみです。
もしFFのエロをやるならどのナンバリングが見たい?*FF7は意図的に外しています
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