もしケイトがトッド・フェルプスakaキングハルク(シーハルクのヴィラン)によって捕らえられ、彼のサイドキックになるよう洗脳されてしまったら?
ニューヨークの夜は、華やかさと陰鬱さが背中合わせだ。
摩天楼の窓には煌めく光が散りばめられ、タイムズスクエアの巨大スクリーンは夜でも昼のように街を照らす。
けれど、その喧騒から地下鉄で数駅離れるだけで、街は息を潜めたように静まり返る。
倉庫街へと続く道は舗装が剥がれ、街灯は時折ジジジと音を立てながら明滅し、地面に長い影を落とす。
風に揺れるのは放置された新聞紙と、古びたフェンスに引っかかったビニール袋。
遠くからパトカーのサイレンがぼんやりと聞こえてくるほかは、犬の遠吠えと自分の靴音しか耳に入らない。
その靴音の主――ケイト・ビショップは弓を背に走っていた。
背中まで伸びる濃い栗色の髪が、夜風に揺れては頬にかかる。長身で引き締まった体つきは、彼女が憧れに近づくために訓練を重ねた証そのものであり、細い肩に背負われた弓と矢筒が彼女の憧憬の対象が誰であるかを物語る。
彼女の身を包むのは、紫を基調としたタクティカルスーツ。
上半身は身体にぴったりと沿うジャケットタイプのトップス。引き締まった腰のラインを自然に浮かび上がらせ、片方の肩に走るストラップが弓使いとしての彼女を象徴している。
下半身は漆黒のスリムパンツとブーツ。長い脚をさらに細く、しなやかに見せ、動くたびに布地が張りついて女性的なシルエットを際立たせた。
街灯の途切れた路地を抜けるたびに、彼女の影は細長く伸び、次の瞬間には闇に溶ける。それは本職の人間からしたら拙く、無駄だらけのアマチュアの動きだったが、チンピラ崩れのギャング相手には見事な隠密足りえていた。
ケイトは呼吸を殺しながら、倉庫街の奥へと進む。やがて、SNSで見た動画に映っていた建物が姿を現した。
広大な鉄の箱のような倉庫、その壁は錆びに覆われ、窓は板で塞がれている。唯一の入口であるシャッターは半ば開きかけ、暗い口を開けて彼女を待ち受けていた。
「……うん、間違いない。ここ。どうしてこういう事件って、だいたいホラー映画に出てきそうな場所で起きるのよ」
ケイトはスマホを確認し、SNSに拡散された「市民が襲われている」という動画をもう一度見返す。
ヒーロー活動用のアカウントで見つけたばかりの映像には、激しく揺れる画面と、誰かの悲鳴が記録されていた。
暗い倉庫の中で一人の男が数人の影によって暴行を受けているように見え、女性の声が「誰か助けて!」と叫んでいる。コメント欄には《#ニューヨークSOS》《#警察まだ来ない》といったタグが乱立し、緊迫感を煽っていた。
その画面の中の建物と、目の前にそびえる倉庫がぴたりと重なったのを何度も見比べながら確認して、ケイトは意を決したように肩から弓を下ろし、矢を一本つがえる。
「オーケー、ケイト。ここで引き返したら、いつまで経ってもクリントに一人で任せてもらえない。深呼吸して、突入……突撃は違う。静かに入る。うん、それが正解」
早口の独り言で自分を鼓舞しながら、暗い口を開けた倉庫へ弓を向ける。いつ銃を持った暴漢が飛び出してきても即応できるよう、ヘーゼルの瞳を鋭く細め、ゆっくりと歩みを進めていった。
「ホークアイ、ケイト・ビショップ、ただいま参上……って、誰に言ってるのよ、私」
ヒーローの名乗り上げは自分の耳に微かに届く程度の小さな物に留めて、ケイトはブーツの踵を鳴らして倉庫の闇の奥へと踏み込んだ。
倉庫の中に足を踏み入れた瞬間、外の冷たい空気とは違う淀んだ匂いが鼻をついた。
鉄と埃が混ざり合ったような匂い。長いあいだ人が寄りつかなかった場所特有の湿り気が、肌にまとわりつく。
ケイトは矢をつがえたまま、ブーツの音をできるだけ抑えて歩を進めた。高い天井から吊られた蛍光灯はほとんどが壊れ、わずかに生きている一本もジジッと不規則な音を立てて明滅している。
開いたシャッターから差し込む月明かりが、床に散らばった空き瓶や壊れた木箱の影を長く伸ばしている。しかし、そのどこにも人影は見当たらなかった。
「……おかしい」
動画には確かに複数の人影が映り、悲鳴も入っていた。それなのに、今の倉庫には息を潜めたような静けさしかない。
背中の矢筒がカチャリと鳴った。自分の仕草一つ一つが妙に大きな音を立てる気がして、神経が研ぎ澄まされていく。
ケイトは目を細め、倉庫の奥を見渡した。崩れかけの棚、埃をかぶった工具、誰も座っていない椅子。だが、人の気配はない。
代わりに、見られているような視線だけが背中を撫でていく。
「……ねえ、誰かいるんでしょ? 出てきなさい」
声を張り上げ、倉庫全体に響かせる。だがやはり返事はない。ただ、明滅する蛍光灯がひときわ強くジジジッと鳴り、倉庫の静けさを際立たせた。
「いいわよ。隠れていても無駄。私、一部では世界最高のアーチャーって呼ばれてるから」
もっとも、その「一部」が具体的に誰なのかは今のところケイト自身にも分からない。そこまで口にすると格好がつかないので、黙っておくことにした。
だが彼女のその宣告が呼び水となったように暗がりの奥で何かが動いた。
ギィィィィと、金属を擦るような低い音。蛍光灯が鳴らす金切り声と似て非なるその音が、重なり合って不協和音を奏で出す。そしてそのノイズに混ざるように、足音がひとつ、またひとつと増え、やがて四方から重なり合って近づいてくる――。
鉄を引きずる音に、乾いた笑い声。倉庫の奥の闇がざわつき、覆面をかぶった四人の男たちが姿を現した。
異様な光を帯びたバールを肩に担いだ大柄な男。
鎖の先に巨大な鉄球をぶら下げた男。
拳に鉄製のガントレットをはめ、手近にあった机を軽々と砕く男。
そして、角ばったヘルメットを装着し、突進する体勢をとる男。
各々が持つただの工具にキツめのデコレーショをしたような武器は、しかしそれがハロウィン用のコスプレでないことを示すように鈍い光を帯び、常人離れした威圧感を纏っていた。
そんな明らかにカタギではない男たちに向けてケイトは弓を構え、警戒心をあらわにする。
「……何者? ただの夜勤の建設作業員って感じには見えないんだけど」
半円を描くように彼女を取り囲む不敵な笑みを浮かべる男たち、その名前を、レッキングクルー。本来の神聖時間軸ではケイトビショップではなくシーハルクの前に現れる、盗んだニューアスガルドの建設工具で軽犯罪を繰り返すチンピラに毛が生えた程度の小悪党たち。
そんな彼らが、自警団活動を始めてまだ間もないケイトビショップの前に現れた。
「大人しくしな。ボスの命令だ、“生け捕りにしろ”ってよ」
「殺しはしねえ。……まあ、ボスが用を済ませるまではな」
リーダー格と思しき男が口を開き、同時に別の男が明らかにケイトを侮った態度でニヤニヤと笑い声をあげる。
「……安心できる要素ゼロなんだけど」
ケイトは自分にツッコミを入れるように呟きながら、弦を強く引き絞った。
「悪いけど、捕まる趣味はないの。ホークアイを甘く見ないで」
言葉と同時に、勢いよく絞られた弦から手を離して最初の矢を撃ち放つ。だがそれはレッキングクルーのメンバーの誰一人にも当たることなく、彼らの足元に呆気なく突き立った。
「はっ! どこ狙ってんだ!」
それを狙いを外したと見たリーダー格の男が嘲笑の声を飛ばし、その手に持ったアスガルド製の工具を振り上げた瞬間――――白煙が勢いよく噴き出した。
倉庫全体に煙が広がり、男たちの視界を一気に奪う。
そしてターゲットはおろか仲間たちの位置関係を見失ったレッキングクルーの怒声が飛び交う中を、ケイトは軽快に走り出す。紫のスーツが煙に溶け込み、しかし未だ荒削りな部分のある足運びが、床に転がっていた破片を踏んで音を鳴らしてしまう。
(やばっ!)
慌てて身を低くするがもう遅い。響いた音が敵の注意を引き、自分の方に向かって来る影を捉えた。
だがそんな未熟さ、拙さを補うのが彼女の天性の勘とホークアイからも太鼓判を押された射の正確さ。
「青い印はスタン。……よね? 違ったら本当にごめん!」
引き抜いた青白い光を帯びた弓矢を自身の愛弓たるリカーブボウに引っかけ、音で位置を測って射ち放つ。
「ぎゃあっ!」
刹那と経たずに煙幕の中に消えた矢が狙い違わず標的の胸に命中したのを、男の悲鳴とバチバチと火花を散らす電流の音で確認する。
「よかった、あってた!」
(……っていうか、これ外れてたらどうなってたんだろ。……考えない方がいいよ、ね!)
それに思わず小さくガッツポーズを決めるも、焦らず即座に次の矢を準備。
相手が自分の位置を再び捉えるよりも早く、装填したトリックアローを天井の梁に向けて射出して、宙へとその身を踊らせる。
ホークアイも多様するグラップル・アローだ。高い伸縮性を持つワイヤーを鏃に付けて飛ばして弓に付けたリールを巻くことで、即座に高所への移動を可能としてくれる。
「っと!」
(よし、着地も成功。今のはかなり格好よかったんじゃない?)
危うい姿勢のまま天井の梁に着地しながら、実践での成功体験に浮かれる。そんな未完成なヤングヒーロー感満載なケイトだが、その初々しさこそが彼女の、いや彼女たちの魅力だ。
「上から失礼!」
空中から敵を見下ろし、これだと思った男の背中へと、梁と自身を結ぶワイヤーを切って勢いよく急降下キックを叩き込む。
「がっ!?」
ブーツの底が僅かに狙いを外しながらも男の肩に命中し、地面に叩きつける。だがやはり狙いを外した事と、ケイト一人分の体重では軽すぎたのもあって一撃で気を失わせるのには足りない。
なので着地の衝撃で膝をついて呼吸を整えようとした体を無理矢理動かし、ケイトは弓で立ちあがろうとした男の顎を強打した。
「そこにいやがったか!」
(やば、見つかった!)
今度こそ完全に気を失った男が倒れるのを待たずして、ケイトは声のした方に矢を番えて振り向く。だが煙の奥から鎖の唸る音と金属が擦れる不気味な音が響いた瞬間、脇目も降らずに横に転がり込んだ。
ブオンッと風切り音がケイトの耳を打ち、直前まで自分がいた場所を巨大な鉄球が通過する。床板が砕け、破片が飛び散った。
反射的に腕で顔を庇いながら、舞った粉塵を吸って出そうになった咳を必死に堪えて、再び動き出した鉄球の動きを見逃さないように全神経を研ぎ澄ませる。
「どこだ! 逃げても無駄だぜ!」
鉄球を持つ男は、残っているもう一人の仲間の存在も無視して巨大な質量の塊を振り回し続ける事を選択したようだ。身を低くしたケイトの頭上を、何度も豪速球で鉄球が通過する。
それが、煙の中で自分の正確な居場所を敵に伝えてしまう悪手以外の何物でもない事に気づかないあたり、やはり所詮はチンピラに毛が生えた犯罪者でしかない。
「……っ、これで……止まれ!」
円を描くように振り回される鉄球の軌道から、その起点を読んだケイトの正確無比な一射が男の足元を射抜く。
直後、粘着質のパテが爆ぜるように広がり、男の靴と床を瞬時に塗り固めて接合した。
「あっ!? ぎぃえっ!!」
男が驚愕の声を上げ、鎖が大きく乱れた瞬間、即座に二射目が胸を打った。吸盤状の鏃が接着し、ゼロコンマ一秒とかからずに帯電していた電気が男の意識を一瞬で刈り取る。
だがケイトに安堵する暇はなかった。背後から鋭い衝撃音が響いて、煙の帷を割ってレッキングクルーのリーダー格だった男が姿を現す。手に持っているのは現代科学の物とは思えない不思議な光を帯びた巨大なバール。それが床に擦れて火花を散らしながら、ケイトへ向けて振り上げられた。
「くっ……!!」
その一撃を、ケイトは弓で受け止める形となった。だがアスガルド製の物はたとえ工具と言えど、一介の女子大生に耐えられる物ではない。
「きゃあ!?」
腕に痺れるほどの衝撃が走り、身体ごと吹き飛ばされる。背中を床に打ちつけられ、肺の中の空気が全部吐き出された。
鈍い痛みが全身を包み、それでも決して離さなかった相棒のリカーブボウを抱きしめて立ち上がる。
「このクソガキ、覚悟しやがれ!!」
滲む視界の先で、バールを振り回す男が走って近づいて来るのが見えた。それを迎撃しようと、背中に背負った矢筒へと手を伸ばして――――何もない事に気づいた。
「嘘っ……!?」
壁に吹き飛ばされた時の衝撃で、背中に取り付けていた矢筒が外れてしまったのだと、自分と男を繋ぐ直線上に転がる、見慣れた筒状のバックを見て理解する。
その落ちた矢筒と、向かい来る男の姿を交互に見て、思案したのは一瞬にも満たない刹那。考えるよりも感覚を信じる新米ヒーローは、がむしゃらに目の前で転がる自身の矢筒へ手を伸ばした。
「バカが!」
「……ッッ!!」
ケイトの目の前に、突然突っ込んで来た彼女に反射的にバールを振り被った男が映る。当たればケイトの柔な体なんて全身骨折、いや普通に死にかねない重症を負う一撃。
だがホークアイの弟子を自称する彼女は迷わない。そのまま倒れ込むように地面へと身を捻りながら投げ出した彼女は、間一髪バールと地面の間を通り抜ける。
「なっ!?」
(これで……決める……!!)
背中を地面に。まるで氷の上を滑るように滑走した彼女は、自身の矢筒とすれ違い様に抜いた一本の矢を弓にセットする。
そして、射抜く。
「ぐ、がああ!!?!」
必殺を込めた一撃を躱され、無防備な背中を晒した男にロケット・ドローン・アローが突き刺さる。当たったと同時に展開された小型ロケットが、標的を倉庫の最奥へと叩きつけた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
静寂が戻る。煙の漂う倉庫に立つのは、荒い呼吸を吐きながら弓を握るケイトひとり。
額から汗が滴り落ち、膝は震えている。それでも、確かに――彼女は勝ったのだ。
「はぁ、はぁ……終わった。うん、終わった。私、一人でもかなりやれるじゃない」
自分に言い聞かせるように小さく呟き、膝に手を置く。体中が痛み、腕は震えている。だが、勝った。ひとりで。
その達成感に浸かるように、ケイトは周りで倒れるレッキングクルーたちを見回して、小さくガッツポーズを取った。
だがそのとき、倉庫の奥から微かな声が聞こえたのだ。
「……だ、誰か……助けて……」
ケイトは顔を上げた。耳を疑うように音のした方向を振り返る。まだ煙が濃い。けれど、か細い呻きは確かに聞こえる。
慌てて矢をつがえ直し、警戒しながら足を運ぶ。倒れた敵の誰かか、それとも――。
「……大丈夫ですか?」
瓦礫の影に、一人の男がうずくまっていた。短い黒髪に整えた無精ひげ、丸みのある顔つき。高価そうなシャツは破れ、肩を押さえて震えている。顔にも擦り傷があり、どう見ても戦闘へ巻き込まれた被害者だった。
その姿を見て、ケイトはここへ来た本来の目的を思い出した。SNSの動画で複数の人影に襲われていた男性を救うために来たのだ。倒した四人が襲撃者なら、目の前の男こそ助けるべき被害者に違いない。
「……大丈夫ですか? もう危険はありません」
胸の奥の緊張が解けていくのを感じながら、ケイトは矢を下ろした。男は恐る恐る顔を上げ、かすれた声で答える。
「き、君が……助けてくれたのか……?」
近くで見ても呼吸は乱れ、肩には血が滲んでいる。呻き声も自然で、芝居には見えなかった。激戦で張り詰めていたケイトの心に、ようやく安堵と、それゆえの隙が生まれる。
「ええ、大丈夫。もう安全ですから」
ケイトは短く息をつき、ゆっくりと歩み寄った。男が左手を服の陰へ隠していることにも、このときは注意を向けなかった。
差し伸べた手を、男が震える指で掴む。ケイトがその身体を支えようと腰を落とした瞬間、隠されていた左手が素早く動いた。
次の瞬間――首筋に鋭い痛みが走った。
「……っ!」
首筋へ押しつけられた注射器から冷たい薬液が送り込まれ、視界が大きく揺らぐ。全身から力が抜け、ケイトの膝が床へ落ちた。
「まさか……」
声が掠れ、意識が遠のいていく。罠だったのだと理解したときには、襲い来る眠気が思考の輪郭を奪っていた。
そんな崩れ落ちいく彼女を見下ろし、男――トッド・フェルプスは得意げな笑みを浮かべていた。
「いやぁ、すごかったよ。四人とも倒すなんてね。でも、助けを求められたら確認もせずに飛び込んでくる。その『私が何とかしなきゃ』ってところ、本当に分かりやすいよね」
ケイトの瞼は重く、視界は闇へ沈んでいく。最後に耳へ届いたのは、自分こそ評価されるべきだと信じて疑わない男の、浮ついた勝利宣言だった。
「みんな君みたいな女のヒーローばかり持ち上げるけど、力を持つ資格があるのは僕みたいに努力して手に入れた人間だ。君はこれから僕のサイドキックとして、そのことを証明するんだよ」
倉庫の床に、意識を失ったケイトの身体が横たわる。その傍らでトッドは一人、満足そうに笑い続けていた。
「んっ……?」
深い水底から浮かび上がるように、ケイトは眠りから目を覚ました。しかし、視界に入ったのは馴染みのない薄暗い部屋の壁。
冷たい金属の感触が背中に広がり、身じろぎすると手足に巻きついた拘束具が鈍く軋んだ。その時の感覚で、ケイトは自分が椅子に座らせられているのだと、朧気な思考で感じ取った。
(ここはどこ……? 私は……何が起こったの……?)
記憶が断片的に蘇る。倉庫で四人を倒し、男性を助け起こそうとして、そしたら首筋に何かを刺され、そこから先の記憶は完全に途切れていた。
「目が覚めたか、ケイト・ビショップ」
低く、嘲るような声が聞こえる。 その声が、先ほど自分に対して助けを求めた男性のものだと、ケイトが気づくより早く。
暗闇に包まれていた部屋に緑色の明かりが灯り、彼女の目の前に一人の男の姿を浮かび上がらせた。
「あなたは……?」
掠れた声でケイトは問いかける。その声の持ち主が、自分を罠に嵌めた男だと気づいても、問いかけずにはいられなかった。
「僕? 僕はトッド・フェルプス。またの名をハルクキング。インテリジェンシアを作った男で――君の新しい主人だよ」
「ハルクキング……? 待って。何を言ってるの?」
拘束されている理由は理解できても、この男が当然のように「主人」を名乗る理由は理解できない。ケイトは怯えを悟られまいと、眉をひそめてトッドを睨み返した。
「まだ状況が分からない? じゃあ、君がどういう立場なのか教えてあげるよ」
絶対に反撃されない状況でだけ強気になれる者特有の笑みを浮かべ、トッドは椅子へ縛りつけられたケイトへ近づいた。そこで初めて、冷たい空気が何も身につけていない肌を撫でていることにケイトは気づいて……次の瞬間、トッドの手が剥き出しの乳房を鷲掴みにした。
「えっ? ……きゃあっ!」
形のよい胸も、訓練で引き締めた腰も、人目へ晒したことのない秘部も、すべてが見知らぬ男の前へ曝け出されていた。ケイトの顔が羞恥で一気に熱くなる。
「や、やめて! 離して!!」
ケイトは身体を捻って逃れようとしたが、拘束具は手足の動きを完全に封じていて、金属の軋む音だけが虚しく響くだけに終わった。
「そんなに暴れないでよ。助けてあげようとしてるのに、ずいぶん失礼だな」
恩着せがましく告げながら、トッドはまるで暴れようとするケイトを黙らせるように胸を力強く掴むと、その中心にある桜色の突起を指で弾いた。
「ひっ……!」
こんな形で他人に触れられた経験のないケイトは、恐怖に声を引きつらせ、羞恥と嫌悪で身体を硬直させる。その反応を、自分の優位を示す証拠だとでも思ったのか、トッドは満足そうに笑みを深めた。
「へえ、いい反応だね。やっぱり僕は見る目がある」
その言葉にケイトの表情が凍りつく。トッドが次に何をするつもりなのか分からず、得体の知れない恐怖だけが膨らんでいった。
そしてその怯えを楽しむかのように、トッドは乳首を親指と人差し指で摘まみ上げた。指の間で転がし、押し潰すように擦ってから、硬くなり始めた先端を爪の先で弾く。もう片方の手は乳房の柔らかな膨らみを掴んだまま、指が沈むほど強く揉みしだいた。
「痛い……やめて……!」
痛みと屈辱でケイトの視界が滲む。しかしトッドは構わず乳首を摘まんだまま引き伸ばし、指の腹で何度も捏ね回した。離されたと思った次の瞬間には親指で押し潰され、鋭い刺激が胸の奥まで走る。逃げ場のない愛撫に耐えきれず、ケイトの目尻から大粒の涙が零れ落ちた。
「泣くことないだろ? 君にぴったりの役割を与えてあげるんだから」
「ひっ……いやっ……!」
トッドが濡れた舌先を乳輪へ這わせ、円を描きながら中央の突起へ近づけていった。先ほど指で責めた乳首を口に含むと、舌の上で転がし、唾液に濡らしながら強く吸い上げる。鋭い痛みのあとへぬめる舌の熱が重なり、ケイトは思わず胸を逃がそうと身を捩った。だが拘束具は身体の自由を奪ったままで、膨らみを口元へ差し出すような格好のまま、執拗な刺激へ耐えるしかなかった。
(なんで……こんなことに……)
ヒーローとして戦う以上、傷つく覚悟も、最悪の場合には命を失う覚悟さえしていた。母の罪と向き合ったときには、信じたものが崩れ去る痛みも知った。それでも、自分の尊厳を狙って踏みにじられる今の状況だけは、どんな訓練でも想定していなかった。
幼い頃から積み重ねた努力も、クリントと共に戦って得た自信も、この男はすべてを嘲笑おうとしている。そう理解した途端、恐怖の底でケイトらしい怒りがかすかに燃え上がった。
だがケイトの怒りを知ってか知らずか、トッドは乳首から口を離し、今度は彼女の股間へ手を伸ばした。
「じゃあ、次はここだ。君がどれだけ僕へ向いているか、ちゃんと確かめないとね」
「ひゃあっ!? や、やめて……そこは、触らないで!」
指先が秘部へ触れ、閉じた小陰唇の輪郭を上から下へゆっくりとなぞる。指腹を押し当てて柔らかな襞を左右へ分け、まだ乾いた粘膜を確かめるように、膣口の周囲を何度も往復した。
手足を固定されたケイトは腰を逃がすことも、太腿を閉じて守ることもできない。ひやりとした空気へ晒された場所を他人の指で開かれ、声を噛み殺して耐えるしかなかった。
「君ってさ、裕福な家で好きなだけ訓練を受けて、ホークアイに憧れて、その名前の隣へ立っただけだろ? それなのに世間は君をヒーロー扱いする。不公平だと思わない?」
「私が……どれだけ訓練したか、何も知らないくせに……! あんたは犯罪者を雇って、離れたところから命令しただけでしょ」
「それをリーダーシップって言うんだよ。僕は金も人材も技術も集めた。全部を自分の手で作る必要なんてない。それでも誰も僕を評価しないで、君みたいな女ばかり持ち上げるんだから、役割を正してあげないとね」
トッドの指腹が膣口を取り囲むように円を描き、そこから滲み始めた潤いを小陰唇へ塗り広げていく。親指が包皮越しにクリトリスを押し、左右へゆっくり擦った瞬間、反論しようとしたケイトの身体が大きく震えた。その反応を見逃さず、トッドは濡れた指先を狭い入口へ押し込んだ。
「あっ……だめっ!」
「でも、君は選ばれたんだ。偉大なハルクキングを支えるサイドキックにね。僕の指示で戦って、僕を守って、僕の功績を世界へ見せつける。ホークアイの真似をするより、ずっと意味のある役割だろ?」
「誰が……そんなものに……! 私は、あっ……私はホークアイよ!」
拒絶を押し切るように、トッドは指を一節ずつさらに深く進めた。狭い膣内を異物に押し広げられ、肉襞の表面を指腹で直接擦られる初めての感覚に、ケイトは息を呑む。
トッドは彼女の反応だけを手がかりに、まず浅く抜いては押し戻し、次には奥へ届くまで差し入れるという動きを繰り返した。指が往復するたび、内壁に残った潤いが掻き出され、結合部から粘ついた音が鳴り始める。
「これ以上したら……本当に、許さないから……!」
「まだ指一本だよ? そんなに必死になることないだろ」
指が動くたびに、くちゅ、ぬちゅ、と湿った音が響き、ケイトの羞恥を責め立てた。最初は指一本を受け入れるだけで強張っていた内壁が、抜き差しを重ねるうちに熱を持ち、絡みつくように収縮する。
心では拒み続けているのに、身体は刺激を和らげようと愛液を溢れさせ、その量は隠しようもなく増えていった。その無意識の反応まで見透かされることが、何より屈辱だった。。
「んっ……んんっ、んぁ……!」
「ほら、身体のほうが僕の言うことを聞いてる。君も本当は、自分より優れた誰かに役割を決めてもらいたかったんじゃないの?」
「違う……勝手に、決めつけないで……!」
トッドは濡れた指を根元近くまで差し入れ、膣壁を擦り上げながらゆっくり引き抜く。先端だけを残したところで再び深く押し込み、今度は親指でクリトリスを小刻みに擦った。動きは次第に速まり、強く結んだ唇から隠しきれない甘い声が漏れ始める。
やがて内側へ向けて曲げた指先が前壁の敏感な一点を掠めると、ケイトの身体は電流を浴びたように跳ね上がった。
「ひっ……!? やっ、そこはだめ……!」
「ここか。分かりやすいなぁ、ケイト」
逃れようとする動きを拘束具が封じる。トッドは見つけた一点へ指腹を押しつけ、そこだけを狙って小刻みに擦り上げた。指を曲げて強く押すたび、腰から背中までが椅子の上で跳ね、張り詰めた太腿が震える。
同時にもう片方の手で唾液に濡れた乳首を摘ままれ、内と外から異なる刺激を重ねられると、ケイトの思考は急速に白く霞んでいった。
(違う……! こんなふざけた話、認められるわけない。なのに……声が、止められない……!)
「やっ……今、それもされたら……! あっ、あんっ、ああっ! こんな、イッ、イッちゃう……! イッ、イッ――――えっ?」
膣内を擦る指と乳首を責める手が重なるたび、下腹部の奥へ快感が積み上がっていく。だが絶頂へ届きかけると、トッドはわざと動きを緩め、指先を入口近くまで引いて波を遠ざけた。そしてケイトの息が整いかけた頃を見計らってまた深く差し入れ、前壁の一点を執拗に擦っては、ぎりぎりのところで止める。
その焦らしを何度も繰り返され、昂ぶった身体だけを取り残されたケイトは、ついに懇願に近い声を漏らした。
「や、やめて……もう無理……。するなら、途中で止めないで……っ」
トッドは待ち望んでいた言葉を十分に味わうように笑い、それから濡れた指をゆっくり引き抜いた。狭い膣口が指へ縋るように収縮し、透明な愛液が糸を引いて垂れる。
「んぁっ……」
突然失われた刺激を追うように、ケイトの腰がわずかに揺れた。火照った秘部は何かを求めるように疼き続け、浅い呼吸を繰り返すだけでも身体の奥へ甘い余韻が走る。すぐに唇を噛んで反応を隠したが、トッドは見逃さなかった。
「まだ僕へ逆らうつもり?」
「はぁ、はぁ……当然でしょ。手が自由になったら……真っ先に、あんたをぶっ飛ばす……!」
「本当に強情だね。まあいいさ。その強さも、すぐ僕のために使うようになるから」
トッドは身体を起こしてズボンを下ろすと、硬く屹立した肉棒を見せつけながら覆い被さった。先ほどまで指で広げられていた場所へ、比べものにならない太さの男根が近づいてくる。熱を帯びた亀頭が濡れた小陰唇へ触れ、そのまま膣口へ押し当てられるのを見て、ケイトの強がりが初めて崩れた。
「待って……! それはだめ。本当に、やめて……!」
「心配しなくても、すぐ君の役割が分かるようになるよ」
トッドは熱を帯びた先端を入口へ押し当て、そのままゆっくり腰を進めた。亀頭が狭い膣口を割り開き、張り詰めた粘膜へめり込む。指一本とはまるで違う太さに内壁が限界まで押し広げられ、鋭い痛みと強烈な圧迫感がケイトを襲った。
「ひっ……くぅっ……! 痛い、やめて……!」
ケイトは歯を食いしばって腰を引こうとしたが、拘束された身体には逃げる余地がない。トッドは動きを止めず、狭い肉襞を押し分けるように、肉棒を少しずつ奥へ沈めていく。
処女膜を押し破る痛みにケイトの背が大きく反り、結合部から薄く血が滲んだ。初めての相手がこの男になったという事実が、痛み以上の絶望となって胸へ突き刺さる。
(私の……初めてが、こんな奴に……)
「そんな顔しないでよ。君にとって特別な相手になってあげたんだから、感謝してほしいくらいだな」
「誰が……あんたなんかに……!」
拒絶を嘲笑うように、トッドは肉棒を根元近くまで沈めた。膣内を隙間なく満たす硬い異物に、ケイトは浅い呼吸を繰り返しながら耐える。やがてトッドがゆっくり腰を引くと、粘膜同士が擦れ合い、痛みと共に内壁を引きずられる生々しい感覚が残った。先端だけを残したところから再び深く突き入れられ、指で執拗に刺激された部分を太い亀頭で押し潰されると、ケイトの乳房が大きく揺れ、拘束具が金属音を立てた。
「んあっ……! やめて、そこ……!」
「どうしたの? さっきまであんなに強気だったのに」
「こんなの……気持ちいいわけ、ひっ……!」
否定の途中で敏感な一点を突き上げられ、ケイトの声が裏返る。トッドはその反応を確かめるようにいったん浅く抜き、同じ場所を狙って腰を押し込んだ。
ずちゅっ、と濡れた音を立てて肉棒が奥まで入り、狭い膣内を往復するたび、愛液と僅かな血が根元へ絡みつく。痛みと嫌悪は消えていない。それでも、逃げ場のない反復へ身体が順応し、意思とは無関係に快感を拾い始めることが許せなかった。
最初は確かめるように遅かった抽送が、ケイトの潤いが増すにつれて次第に速まっていく。パンッ、パチュンッ、と肉体のぶつかる音と濡れた結合音が交互に響き、打ちつけられるたびに乳房が上下へ跳ねた。
拘束されたケイトは声を噛み殺そうとしたが、根元まで深く貫かれ、最奥へ重い衝撃を受けるたびに甘い喘ぎが零れる。腰を退こうとする動きさえ、今では肉棒を自ら迎え入れているようにしか見えなかった。
「君がヒーローに向いてるって? 今の姿を見ても、まだそう言える?」
「言える……! あんたに何をされても、私が積み重ねてきたものは……消えないっ!」
「じゃあ、その自信ごと僕のものにしてあげるよ」
挑発するように言い放ち、トッドはケイトの腰を掴んで一段と激しく打ちつけた。肉棒が愛液を掻き混ぜながら抜き差しされ、前壁の敏感な一点から最奥までを一度に擦り上げる。
下腹部へ重い刺激が繰り返されるたび、指で焦らされ続けた熱が一気に膨れ上がり、ケイトの意識は白く霞んでいった。それなのに膣壁は次の一突きを待つように収縮し、自分の意志に背いてトッドの肉棒へ絡みつく。
「いやっ……だめ、イキたくない……! お願い、もう……!」
「ほら、僕の前でイくんだ。誰が君を支配しているのか、身体に覚えさせろよ」
「んああっ……だめ、イっちゃう……! イッ、イッ、イクぅぅっっ!!」
次の瞬間、ケイトは背を大きく反らし、拘束具を激しく鳴らしながら絶頂へ達した。膣壁が肉棒を締めつけるように何度も収縮し、結合部からは溢れた愛液と潮が勢いよく散る。
同時にトッドも腰を最奥へ押しつけたまま果て、脈打つ肉棒から熱い精液を注ぎ込んだ。初めての絶頂と膣内射精が一度に押し寄せ、ケイトは小刻みに痙攣しながら、しばらく呆然と息を喘がせた。
(イかされた……こんな奴に、初めてを……)
悔しさで再び涙が滲む。それでも、その屈辱は快感に呑まれかけた意識へ、わずかな反抗心を呼び戻した。
「はぁ……はぁ……今のうちに笑ってなさい。手が自由になった瞬間、その最低な王冠ごと壁に縫いつけてやるから……!」
涙に濡れながらも、ケイトはトッドを真っ直ぐ睨み返した。恐怖や苦痛の中でも、自分が正しいと思うことのために立ち上がる。その強情なまでの意志こそが、クリントと共に戦う中で磨かれたケイト・ビショップの芯だった。
「いい啖呵だね。少し長いけど、ヒーロー映画なら予告に使えそうだ」
トッドは肉棒を彼女の中へ沈めたまま、拘束椅子の肘掛けに設けられたスイッチを押した。背後で機械音が鳴り、半球状の装置がケイトの頭を覆うように降りてくる。
「な、なにを……!?」
「その性格も嫌いじゃないよ。僕のために向けてくれるならね。だから手っ取り早く、向きを直してあげる」
装置から伸びた端子が頭部へ接続され、低い電子音が響き始める。次の瞬間、頭蓋の内側へ熱を流し込まれたような感覚に襲われ、ケイトは苦しげに息を呑んだ。
「あ、あっ……!? なに、これ……頭の中が、熱い……!」
「旧ヒドラの脳波制御データに、レッドルームの条件付け技術、それから各機関に残っていたスカーレット・ウィッチの精神干渉に関する観測記録を組み合わせた装置だよ。もちろん、実際に組み立てたのは僕の技術チームだけどね。こういう人材を集めて使うのが、本物のリーダーってものだろ?」
トッドは得意げに説明を続けていたが、その声はすぐに遠のいた。代わってケイトの耳へ届いたのは、規則的な電子音と、装置によって不自然なほど心地よく加工されたトッドの声だった。
『ケイト・ビショップ、君はハルクキングのサイドキックだ。君の力も技術も、すべて僕を支えるためにある』
「違う……私は、ホークアイ……。あんたの、サイドキックなんかじゃ……」
声に出して否定しても、同じ言葉が音だけでなく思考そのものへ刻み込まれていく。トッドへの服従を想像するたびに安堵と快感が生まれ、反対に逆らおうとすれば、頭の奥へ鋭い不快感が走った。
『僕に従えば褒めてもらえる。僕の役に立つことが、君にとって一番の喜びだ』
「ちが、う……私が喜ぶのは、人を助けたときで……クリントに、認めて……もらって……」
『その役目を与えるのは僕だ。僕が君を認め、僕が君の価値を決める』
「やめて……頭の中に、入ってこないで……!」
抵抗する意識をさらに揺さぶるように、トッドは繋がったままの腰を再び動かし始めた。絶頂の余韻で収縮を続ける膣壁へ肉棒を擦りつけ、溢れた精液ごと奥へ押し戻すように、深い抽送を繰り返す。
普段なら耐えられたはずの一突きさえ、今のケイトには強すぎる刺激となって全身を駆け抜けた。絶頂直後の敏感な身体を休みなく突き上げられ、ケイトは拘束具を軋ませながら身悶える。
「あっ、んあっ……! 待って、今は……考えられなく、なるっ……!」
「それでいいんだよ。考えるのは僕の仕事。君は言われたことを完璧にやればいい」
トッドが深く突くたびに、装置から新たな命令が流れ込む。言葉が脳へ刻まれる瞬間と、敏感な膣内を亀頭が押し上げる瞬間とが重なり、命令へ従うことそのものが快感として結びつけられていった。
腰の速度が上がるにつれ、くちゅ、ぱんっ、と湿った音が短い間隔で続き、ケイトの喘ぎもそれに合わせて甘く途切れる。嫌悪していたはずの声を聞くだけで背筋へ痺れが走り、主人と呼びたい衝動が意識の底から湧き上がった。
『君は僕のものだ。僕の命令を守り、僕の敵と戦い、僕が望む相手を連れてくる』
「私は……ハルクキングの、サイドキック……。命令を、守って……戦う……」
「そう。ほら、すごく似合ってるよ」
待ち望んでいたかのようなトッドの称賛に、ケイトの胸が熱くなる。まだ残っていた理性が異常だと叫んでいるのに、彼から褒められたという事実がたまらなく嬉しかった。嬉しいと思うほど膣壁はきつく収縮し、肉棒へ自ら吸いつくような反応を返してしまう。
「ご主人様に……褒めてもらえる……。嬉しい……」
「ほら、身体はもう僕を拒んでない。僕のことが好きだって、ちゃんと言ってみなよ」
「すき……ご主人様が、好き……。もっと、褒めてください……」
口にした途端、装置が甘い安堵を脳内へ流し込み、同時にトッドの肉棒が前壁の敏感な場所を強く抉った。ケイトは悲鳴に似た嬌声を上げ、太腿を震わせながら再び小さな絶頂へ達する。
だがトッドは緩む暇もない膣内をさらに激しく貫き、従順な言葉を口にするたび、褒美のように深い一突きを与えた。
『僕は君の成功も失敗も知っている。ヒーローを目指した理由も、母親の罪に傷ついたことも、初めて誰かを救った喜びも。すべてを知ったうえで、君を選んだ』
「知ってる……ご主人様は、私の全部を知って……選んでくれた……」
綿密に調べ上げられた情報にすぎないものが、今のケイトには自分を深く理解してくれた証のように感じられた。トッドへ心の奥まで見透かされることに、もはや恐怖はない。むしろ何も隠さず、すべてを差し出したいという願いが膨らんでいく。
『君は僕の奴隷であり、所有物だ。僕のために生きることが、君にとって何より幸せだ』
「はい……私は、ご主人様の奴隷……。ご主人様のために、生きるのが幸せ……」
トッドが腰の動きを加速させるたび、刷り込まれた言葉は快感と共に深く定着していった。肉棒が狭い膣内を激しく往復し、最奥へ届くたびに、ケイトは自分から腰を揺らして主人を迎え入れる。
頭の中へ命令が流れ込むたび、乳首と秘部へ甘い痺れが走り、服従を口にするたびに次の波が近づいた。やがてケイトの身体は再び大きく震え、恍惚の声と共に強い絶頂へ達する。
「あっ、ああっ……ご主人様っ、またイクぅっ!!♡♡」
「その調子だ、ケイト。僕への忠誠を刻みながら、全部受け入れるんだ!」
トッドも彼女の最奥へ腰を押しつけたまま果て、再び熱い精液を注ぎ込んだ。脈打つたびに新たな熱が膣内へ広がり、絶頂中のケイトはそれを逃すまいとするようにきつく締めつける。
ケイトは幸福の涙を流しながら一滴残らず受け入れ、自分の心が主人に都合よく作り変えられていく感覚へ、抗うどころか甘く身を委ねていった。
それからしばらく、拘束されたケイトの喘ぎ声と、濡れた肉体が重なる音は部屋から止むことがなかった。快感と命令を何度も重ねられるうち、やがてその声から拒絶の響きは完全に消え、トッドへ褒め言葉をねだる甘い声音だけが残った。
それから数週間後。マンハッタンにあるケイト・ビショップのマンションでは、トッド・フェルプスが自分の家であるかのようにソファの中央を占領していた。
高価なシャツの襟元をくつろげ、片腕を背もたれへ広げ、ローテーブルには飲みかけの酒とケイトの私物であるタブレットを並べている。画面にはインテリジェンシアの通信欄と、今日ケイトに命じた任務の進捗が表示されていた。
そしてその空間に玄関の電子錠が解除される音が響くと、ほどなくして紫色の人影がリビングへ姿を現した。それは仕事を終えて帰ってきたケイトだったが、かつてニューヨークの街を駆け回っていた頃とは、その装いが大きく異なっている。
彼女が身につけているのは、以前の紫色のタクティカルスーツをトッドの好みに合わせて改造した、サイドキック用のコスチュームだ。丈夫な長袖の上着は大胆に切り詰められ、濃紫の装甲生地で乳房をかろうじて包む、胸元の深く開いたビスチェへ作り替えられている。
中央には以前と同じ矢尻形の意匠が残されていたが、今では左右の膨らみを分けるように配置され、ケイトが動くたびに谷間の奥で銀色に揺れるようになっていた。
脇腹と背中は黒い細紐だけで留められ、鍛えられた腹部から細い腰までがほとんど露出している。胸下を締める紫のベルトにはハルクキングの王冠を模した金具が輝き、その正面から垂れた短い鎖が歩くたびに下腹部へ触れていた。
そして下半身を覆うのは、元のジャケットと腰当てから仕立てられた極端に短いプリーツスカートで、左右へ深く切れ込んだ裾からは黒いハイレグショーツと臀部の輪郭が覗いている。
太腿には予備の矢を固定するガーターベルトが食い込み、手首のガードと紫黒のブーツには実戦装備としての機能が残されていた。長い栗色の髪は高い位置でポニーテールに束ねられ、首には新たな主人への帰属を示す黒いチョーカーが嵌められている。
そんな卑猥な見世物に近い姿であっても、弓を手にしたケイトの身のこなしには、熟練した射手としてのしなやかな鋭さがまだ宿っていた。
「ただいま戻りました、ご主人様。今日の成果は上々――というより完璧です。ミスはゼロ、追跡もなし。たぶん、じゃなくて確実に」
早口で報告しながら、ケイトは弓と矢筒を壁際へ置いた。トッドの姿を認めた途端、任務中の張り詰めた表情が解け、愛する主人を前にした甘い喜びが顔いっぱいに広がる。
「おかえり、ケイト。さすが僕のサイドキックだ。君を選んだ僕の判断は、やっぱり正しかったね」
「はい。私も、ご主人様の役に立てて嬉しいです」
ケイトは弾む声で答えると、促されるまでもなくソファの前へ跪いた。トッドがベルトを緩めてズボンの前を開けば、待ちかねていたように身を寄せ、露わになった肉棒を細い指で包み込む。根元から先端まで何度か丁寧に撫で上げたあと、張り詰めた亀頭へ柔らかな唇を押し当てた。
「ん……お仕事の報告、続けてもいいですか?」
「もちろん。そのために待ってたんだからね」
ケイトは微笑み、赤い舌先で亀頭の輪郭をゆっくりとなぞった。先端から滲んだ雫を舐め取り、裏筋を根元から丹念に掬い上げてから、艶めいた唇の間へ肉棒を迎え入れていく。トッドはそのポニーテールを撫でながら、彼女が持ち帰った端末をタブレットへ接続した。
ケイトは半ばまで咥えたところで一度唇を離し、濡れた肉棒を頬へ擦り寄せながら報告を始めた。
「ダメージ・コントロールの保管端末から、指定された能力者の資料を抜き出しました。最初はミズ・マーベル。本名はカマラ・カーン、現在はジャージーシティを中心に活動しています。光を固めたような構造体を作って、それを足場や拳として使う。能力の発現には例のバングルが関係していますけど、それだけでは説明できない部分も多いみたいです」
「つまり、まだ調べる価値があるってことだね」
「ええ。キャロル・ダンヴァースたちと行動した記録も見つけました。本人だけじゃなく、その周辺まで辿れば宇宙由来の技術にも手が届くかもしれません。接触方法も、もう何通りか考えてあります」
言葉を切ったケイトは、再び肉棒を口内へ収めた。今度は舌を裏側へ絡ませながら深く飲み込み、喉元まで届いた硬い先端に小さくむせる。それでも退こうとはせず、鼻から熱い息を漏らしながら頭を上下させた。
「それで、もう一人は?」
「んぅ……じゅっ、じゅるる……んあっ♡」
問いかけに応じてケイトが顔を上げると、唇と肉棒の間に透明な糸が伸びた。彼女は呼吸を整えながら亀頭へ何度も口づけ、空いた手で陰嚢を優しく包み込む。
「キャシー・ラング。アントマンの娘です。体格を変化させるスーツを持っていて、ピム粒子についても一般人とは比較にならないほど詳しい。本人の戦闘経験はまだ浅いですけど、父親だけでなくワスプやハンク・ピムまで繋がっているので、得られるものはミズ・マーベル以上かもしれません」
「有名な父親と、家族が持っている特別な技術。最初から何もかも用意されてたわけか。そういうの、本当に不公平だよね」
トッドは心底不愉快そうに鼻を鳴らした。画面へ表示された二人の顔写真を指先で順に弾きながら、いつものように自分こそ不当に評価されている被害者であるかのように続ける。
「一人は偶然バングルを手に入れて、もう一人は有名なヒーローの家族に生まれた。それだけで皆からヒーロー扱いだ。僕はインテリジェンシアを作って、金も人材も集め、必要な技術を手に入れたっていうのにさ。どう考えたって、力を持つ資格があるのは僕のほうだろ?」
「はい、ご主人様。二人とも、自分がどれだけ恵まれているのか分かっていません」
「だよね? やっぱりケイトは話が分かるなぁ」
褒められたケイトは嬉しそうに目を細め、トッドの陰嚢へ舌を這わせた。柔らかな舌で左右を交互に転がし、愛おしむように吸い上げてから、まだ足りないとばかりに肉棒の根元へ唇を押しつける。
かつてクリントの隣で一人前と認められようとしていた彼女にとって、今ではトッドから与えられる短い称賛こそが、何より大切な報酬だった。
「それで、ケイト。君ならどっちから始める?」
ケイトはすぐには答えず、肉棒を根元近くまで深く咥え直した。喉を狭めて先端を受け止め、上下するたびに湿った音を響かせる。トッドがポニーテールを掴み、ソファへ腰かけたまま自分の望む速さで彼女の頭を動かしても、ケイトは従順に喉を開いて受け入れ続けた。
「ぐっ……んんっ、んくっ……!♡」
「ほら、報告の途中だろ? ちゃんと最後まで聞かせてよ」
ようやく口を解放されると、ケイトは唾液に濡れた唇で大きく息を吸った。苦しげに咳き込みながらも、その表情に浮かぶのは嫌悪ではなく、主人の期待へ応えられる喜びだ。
「はぁっ……♡ んっ、先に狙うなら、ミズ・マーベルです。あの娘は困っている誰かを放っておけない。そこを利用すれば、きっと自分から罠へ飛び込みます。私がそうだったみたいに」
「なるほど。実体験に基づいた作戦ってわけだ」
「ええ。それに、私ならヒーロー同士の協力を装って近づけます。疑われる前に信用させて、ご主人様のところまで連れてきます。キャシーのほうは家族が厄介なので、先に行動パターンとピム粒子への対策を揃えたほうが安全です」
最後まで聞き終えたトッドは、「完璧だ」と呟きながら再びケイトの後頭部へ手を添えた。ケイトも意図を察し、自ら大きく口を開いて主人を迎え入れる。
湿った口内へ肉棒を深々と沈め、呼吸を奪われながらも舌を休めることなく這わせる献身に、トッドの余裕に満ちた表情が次第に崩れていった。
「そう、それでいい……! やっぱり君を最初に選んだ僕は正しかった。腕も立つし、見栄えもいい。そのうえ今では、僕が望んだことを進んでやってくれるんだからね」
「んんっ……んぶっ、じゅぷっ……じゅずずっ♡」
「僕の自慢のサイドキックだよ、ケイト」
その言葉が耳へ届いた瞬間、ケイトの瞳が幸福そうに潤んだ。口を塞がれて返事ができない代わりに、主人の肉棒へ懸命に舌を絡め、吸い上げる力を強めていく。その熱烈な奉仕に耐えきれなくなったトッドは低く呻き、彼女の口から肉棒を引き抜いた。
直後、迸った白濁がケイトの頬と鼻筋、艶めいた唇へ次々と降り注いだ。彼女は嬉しそうに口を開き、舌の上へ落ちてきたものを一滴も零さないよう受け止め、その顔を白濁液で真っ白に染め上げる。
射精が終わるまで熱っぽい視線で主人を見上げるその顔は、トッドに褒められることだけを願う従順なサイドキックのものだった。
「ありがとうございます、ご主人様……とても、おいしいです♡」
ケイトは頬についた雫を指先で掬い、名残惜しそうに舌へ運んだ。唇の端まで丁寧に舐め取ると、まだ濡れている肉棒へ仕上げの口づけを落とし、そのままトッドの太腿へ甘えるように頬を預ける。
「本当にいい子だ。僕たち、最高のチームになってきたと思わない?」
「はい。ご主人様の隣が、私のいるべき場所です」
トッドは満足げに笑いながら、ケイトのポニーテールを撫でた。ローテーブルの画面には、ミズ・マーベルとキャシー・ラングの顔写真を中心に、能力や行動範囲、周辺人物の情報が並んでいる。トッドはケイトが持ち帰った資料を自分の技術チームへ送信し、装置の調整と捕獲手段の検討を命じた。
「まずはミズ・マーベル。その次がキャシーだ。二人にも、自分たちの力を誰のために使うべきなのか教えてあげないとね」
「お任せください、ご主人様。私が必ず、ご主人様の前まで連れてきます」
かつてホークアイに憧れ、ニューヨークの街を守ろうとしていたケイト・ビショップは、今やその能力も人脈も、すべてハルクキングの野望を叶えるために捧げていた。そんな彼女を自分だけの戦士へ変えた事実に酔いしれながら、トッドは画面に並んだ次の標的を眺め、愉快そうに笑みを深めるのだった。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
久しぶりのMCU。スパイダーマンBND最高でしたね。期待を大きく上回る新章開幕でした。冬にはドゥームズデイ、その前にはヴィジョンクエストも待ってるし、楽しみで仕方ないです。
ディズニープラスのMCUドラマは当たり外れが大きいんですが、文句なくおすすめできるのは個人的にはファルコン&ウインターソルジャー、ロキシーズン2、アガサハークネス、デアデビルBAですね。どれもストーリーが素晴らしく、見終わった後の満足感が高かったです。
もしFFのエロをやるならどのナンバリングが見たい?*FF7は意図的に外しています
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