もし第十五代征夷大将軍となった徳川 喜喜が原作より下衆でクズだったら?
銀魂(神楽、お妙、九兵衛、信女) 前編
江戸幕府第十四代征夷大将軍 徳川 茂茂が暗殺される。並びにその責を問わされて斬首が決まっていた真選組局長、近藤 勇を奪還した真選組の隊員が倒幕側に寝返る。その際に元見廻組局長、現新警察庁長官、佐々木 異三郎が死亡。同時に元見廻組の隊員の所在が行方不明となる。
これら一連の大事件の連続に、市民は大きく当惑し、華やかだったはずの江戸の街はまるで天上に大きな傘をかけられたように、暗く澱んでしまった。
客呼びをする商店やホストクラブの者の声も、どこか張りがなく威勢に欠けている。普段は活発に走り回っている悪ガキたちも、いなくなってしまった黒い革ジャンに身を包む薔薇ガキたちの存在に皆悲しそうに落ち込んでいる。
そんな江戸の街角で、その一連の事件のほぼ全てに深いところまで関わっていた少女、神楽は息を潜めていた。
(っけ、どいつもこいつも締まりのない顔ばっかりアル)
心でそんな大好きだった江戸の変わり果てた今の光景に舌打ちをしながら、しかし誰よりもその惨状に悲しみと苛立ちを覚えている。
神楽は将軍暗殺事件にも真選組の事件にも、その最前線で戦ってきた。そしてそこで生きる強い侍たちの輝きを誰よりも近くで見てきたのだ。
将軍、神楽の親友であるそよちゃんの兄で、神楽が知る誰よりも、本物だと思った偉大な為政者。江戸にお忍びで来ている際には、なんか面白いブリーフ男としか思っていなかった彼の暗殺事件の際に垣間見た壮絶な将軍としての覚悟、そしてその矢先のあまりに呆気ない最期。泣き叫ぶ親友から聞かされた将軍の命の終わりの瞬間を聞かされて、神楽の心は絶対にその下手人を許さないと誓った。
佐々木 異三郎。正直、神楽はあまり彼のことを知らない。むしろ銀ちゃんや真選組の馬鹿どもの方がそいつのことをよく知っているだろう。でもゴリラを奪還するために何度も対峙し、だけど最後は信女を助けて死んだ彼の勇姿を神楽は忘れない。だってその最後の顔は、まるでパピーのような、父親の顔をしていたから。
そんな二人が守ろうとした江戸、そんな二人の遺志を継いで江戸を守ろうとしている侍たちがいる。だから、今のこんな江戸の姿が神楽には胸が張り裂けるほどに痛ましく映る。
(銀ちゃん、新八……お前たちは大丈夫あるか?)
万屋銀ちゃんの一員である神楽。しかし、そんな彼女の近くに家族よりも固い絆で結ばれたイチゴ牛乳侍とメガネ掛け機はいない。彼らは今、高杉を奪還するために宇宙の大海に飛び立ってしまったのだ。
どうして神楽がその二人について行かなかったか。その理由は色々あるが、一番の大きな理由は最近江戸で起こっている女性行方不明事件を解決したいと思ったのが大きい。
真選組が居なくなってすぐに起きたその連続失踪事件は、不可解なほどに幕府が発足した新しい警察組織は追求しようとせず、まるで無視を決め込んでいるかのようであった。
そしてそんな事件を調査していた、神楽にとっても友人のような、ライバルのような関係となった今井 信女が行方不明となったのだ。あのふざけた女に限って万が一はないと思うが、それでもここ最近の知り合いの死が続いたことで心配となった神楽は、一人江戸に残って調査しているのだ。
そして調査を始めて一ヶ月。つい一週間ほど前に驚く情報が神楽の耳に入った。
(姉御、九ちゃん……!)
神楽が姉御と慕い、大切な仲間である新八の姉であるお妙と、そんな彼女の親友である九兵衛までもが数日前から行方不明になっていると言うのだ。
その情報を受け取ってからの時間経過を思えば、すでに二週間は姿を消している二人に神楽の焦燥は高まった。明らかに普通じゃない、ヤバい何かが起きていると。
そして神楽は必死の捜査の末に、一つの怪しい情報を手に入れた。曰く、江戸城の裏手から女性の悲鳴のようなものが聞こえたと。
一切行方不明事件の足取りが掴めない中にあって初めての手がかりらしい話。神楽は藁にも縋る思いで、その情報の真偽を確かめるため、なんと江戸城への侵入を決めたのだ。
「よっと……なんだ、楽勝アル」
ひょいっと、あまりに身軽に石垣を乗り越えて庭へと降り立つ神楽。それもそのはず、彼女こそ宇宙最強の種と言われる、夜兎。その中でも最強格の一人たる海坊主の血を色濃く受け継いだ生粋の戦闘民族なのだ。たかが十メートルの高さの壁なんて神楽にかかれば鼻をほじりながら飛び越えられる。
(見張りは……いないあるネ)
江戸城の庭は、もうすでに夜の帷が下りているのもあって人気のない静かなものだった。暗闇に支配されたその庭先を、ひょいひょいと夜兎としての優れた目を持って音も立てずに高速で移動する。
大食いヒロイン、ダメヒロインと揶揄される神楽だが、こと戦闘やそれに関する技能においてはその身に宿る夜兎の血を十全に発揮した有能ヒロインと化すのだ。
しゅば、しゅば、しゅばばと草むらから草むらへ、木から狸の置物へとその身を忍者のように移動させる。唯一の欠点が目立ちすぎる真っ赤なチャイナ服だが、それを補ってあまりあるスニーキングと言えるだろう。
そして神楽が江戸城の裏手にある離れの建物をその目に捉える。一見物置のように見える小さな建物。だが神楽の勘はそれをクサイと感じた。その直感に従い、神楽がその建物に近づいた瞬間。
鍔鳴りが響いた。
「----ッ!!?」
ガキンッ! と神楽が咄嗟に翻した番傘と襲撃者の刃が激しくぶつかり合う。数巡前まで影も形も、気配さえなかった必殺の一撃を神楽が受け止められたのは彼女が人並外れた戦士である証。
だがそんな彼女に襲撃をかけたものもまた、人並外れた怪物であった。
「----!」
「なっ! があっ!」
自身の一太刀が防がれたと見るやその身を捻り、強烈な蹴りを神楽の腹へとお見舞いしてくる。それをモロに浴びた神楽は胃液を吐き出しながら、それでも吹き飛ばされるのは避けようと地面に踏ん張り、靴跡を残しながら後ろに滑っていく。
内臓にまで達したのではないかと思うほどの重く、人体の急所を理解した鋭い蹴り。神楽は一瞬で相手が只者ではないと警戒を強めた。
目前では長い刀を中段の構えで持つ、黒い装束に身を包み、顔さえわからぬ忍者のような襲撃者がそんな神楽の隙を窺うように佇んでいる。
「ぷっ……へっ、やってくれるアル」
口裏が切れて流れた血を吐き出し、神楽は不敵に笑う。確かに難敵だが、こんな相手今まで何度も戦ってきた。自身の愛武器たる番傘を大きく翻して肩に担ぐと、神楽はお返しに全力での一撃を決めてやろうと体を低く、突撃の態勢を整える。
「………………」
それに対して、襲撃者もまた刀を鞘に戻した。それは降参ではない。膝を落とし、神楽に向けて体を横にするような構え。
抜刀だ。敵は神楽との早撃ちならぬ、早斬り対決を選んだのだ。
それに神楽は闘争心を刺激されて熱く心を滾らせる。彼女の中の夜兎の血は、強敵に会った時こそ昂るのだ。
全身に張った力を解放せんと、神楽の四肢が爆発を告げるその瞬間。その一瞬の静から動への転換点の隙間に。
ぱさりと襲撃者が自身の顔を隠す布を外したのだ。そこから露わになったのは、まるで陶磁器のように整った美しい少女の顔。
その能面のように無表情を浮かべたその顔を、神楽は知っていた。
「のぶ----ッ!!?」
ドンッ
突撃の起こりを挫かれた神楽の土手っ腹に、彼女の探し人の一人であった今井 信女による帯刀したままの神速の居合いが放たれた。
その一撃は文字通り一撃必殺となって神楽の体を、意識を、吹き飛ばした。
「……………………」
庭にあった木の一つに激突し、壊れた人形のように力なく倒れ伏す神楽を、信女は何の感慨も湧かない瞳で見つめていた。
その目の奥に、表情に、異三郎の死によって目覚めた感情の発露は見られない。まるで昔の彼女に戻ったような冷たい眼差しで、信女は友人であったはずの神楽の首根っこを掴みどこかへと連れて行く。
「…………ご主人様に、届けなくちゃ」
ほんの一瞬。ご主人様と呟いた時にだけ灯ったほのかな頬の赤みが、彼女から垣間見えた感情の唯一の発露であった。
ちゅぱ、じゅる、じゅぷ
「…………うっ」
深い闇の中にあった神楽の意識が、耳に届いた粘着質な水音によって覚醒する。同時にズキズキと鈍い痛みを訴える脇腹に、その可愛らしい顔を歪めてしまう。
だがその痛みのおかげで、起きたばかりで頭の回らなかった神楽はすぐに自分が気絶する前に起こったことを思い出した。
「のぶ……め……ッ!」
自身を襲撃した人間の正体が行方不明になっていた今井 信女であった。その事実を思い出した神楽が鈍痛を堪えて起きあがろうとする。だがその試みは、全身をキツく縛り付ける鎖によって敵わなかった。
「あぐッ……な、なにアルかこれ!」
神楽の体は柱の根本に括り付けられていた。それもただ体を鎖でぐるぐる巻きにされているわけではない。彼女の両足を頭の横にまで持ち上げられた、股を突き出すような態勢で縛り付けられているのだ。
そのせいで彼女が着ていた太ももまでのスリットが入ったチャイナ服が、開かれた両足の間にまるで前掛けのように彼女の秘部を隠して垂れ下がっている。
「……ッ!!」
それを認識して、神楽の腹に沸々と怒りが湧き上がってくる。
(こんな拘束をジャンプヒロインにしていいのは、矢吹先生だけアルよ!というか、こんなの少年誌に載せたら
それは自分にこんな恥ずかしい格好をさせたことの怒り……ではなく、こんなことして銀魂の連載を終わらせようとする敵への怒りだ。
何を言っているんだと思うが、実際連載は大事だ。何より沖田 総悟VS神威戦以降一気にジャンプの掲載順トップに躍り出て、この頃の某鬼狩り漫画と肩を並べているのだ。そんな矢先で打ち切りなんてされたくない、万屋メンバー一同の心からの叫びだ。
だが神楽は知らない、自分が今足を踏み入れたのが少年誌どころか青年誌でえない、同人誌の世界なのだと。
「五月蝿いぞ、庶民風情の小娘が」
神楽の目前、今まで頭に血が上って気づかなかったが、そこには玉座のような椅子に座る下衆な表情を浮かべた男の姿があった。
金髪を七三分けにした、典型的なお坊ちゃんな見た目のその男の名を神楽は忘れるわけがない。
「お前、確か将軍の腐ったみかんみたいな弟…………ってなんで裸アルか!?」
その男の名を腐ったみかん……改め江戸幕府第十五代征夷大将軍 徳川
そんな彼は今まさに、彼の兄のように一切の服を身に纏わず、だが兄とは違って締まりのないだらしない体を晒して徳川の将軍のみが座ることを許された玉座に座っているのだ。
思わず目をつぶってその裸体を見ないようにした神楽は、まだジャンプヒロインらしい乙女心が残っていると言えるだろう。
「ふん、この徳川将軍の裸を見る栄誉を与えてやってるんだ感謝したらどうだ」
「何を言ってんだオメェ! その汚ねぇチンポとっととしまえ、この露出狂の変態クソみかん!!」
「そうか…………貴様の知り合いは私のその汚いモノにご執心だがね」
「……………………えっ?」
じゅぽ、じゅるる、んちゅ
喜喜の言葉、そこでようやく神楽は自分が目を覚ました時に聞こえてきていた、いやさっきからずっと途切れることなく聞こえてくるその水音を認識した。
その何かをしゃぶるような音は、玉座に座る全裸の喜喜の下半身、その股の間から聞こえてきている。
恐る恐る目を見開いた神楽が見たのは、目を疑う、ありえないような光景が広がっていた。
「あむっ……じゅる……将軍様……♡」
「じゅぷ……ふぐっ……妙ちゃん、将軍様のチンポ取らないで……♡」
二週間前から行方不明になっていた志村 妙と柳生 九兵衛が、全裸で喜喜の勃起した魔羅を両側からその美しい口を使って口淫しているのだ。
「あ……あ、姉御? き、九ちゃん……何して……?」
江戸一番の容姿を持つと言われ、実際数多くの男、主にゴリラから言い寄られながらその全てを袖にして歌舞伎町の女王とまで言われた江戸きっての高嶺の花であるお妙が…………その顔をまるで恋する乙女のように赤らめながら淫猥に男の肉棒に奉仕している。
先祖代々将軍家に仕えてきた名門柳生家の次期当主であり、その剣の腕前は「柳生家始まって以来の天才」と持て囃されるほどの江戸屈指の剣客。理由あって男装をしているがその容姿はお妙に負けず劣らずの美少女で、眼帯という顔の傷がむしろ彼女の凛々しさを引き立てる。
そんな彼女が…………髪を女の子らしいツインテールにし、雌犬のような発情顔を晒しながら、かつて恋愛的な意味で好きだったお妙から男の肉棒を奪い合っていた。
あまりに変わり果てた二人の姿。幻覚か影武者だと、そうに決まってる神楽の思考を、しかし彼女の優れた第六感があの男に奉仕する娼婦のような二人は自分の知る姉御と九ちゃんだと告げている。
「----ッ!!! お、お前ェェ!! 姉御たちに、一体何をしたアルかぁぁぁアアッ!!!」
喉が焼き切れんばかりの怒声。これほどの怒りを神楽は今まで感じたことがなかった。
バカ兄貴に再会した時以上の激情。大切な人間を汚されたことへの憤怒が、神楽の中に眠る夜兎の血を沸騰させて暴れ狂う。
ミシミシと悲鳴を上げる鎖。まんぐり返しという力を入れにくい態勢で縛られながらも、それでもここまでの力を出せるのは彼女が海坊主の娘だからこそ。
今まさに鎖を引きちぎって暴れ出しそうな神楽。しかしそんな彼女を見る喜喜の顔は余裕のそれだ。自身に当てられる並の人間なら一瞬で失神しそうな、某海賊漫画で言う覇気のような殺気を軽くいなせるのは、別に喜喜の意思が強いからではない。
それはその殺気を晒している相手が無様な姿で拘束されているのが一つ。今自分の肉棒を奉仕する二人の雌奴隷から与えられる快楽が彼の恐怖心を麻痺させているのが二つ。
そして三つ、そんな神楽を一瞬で大人しくできる策があるからだ。
「信女、やれ」
「はい、ご主人様……」
プスっと拘束を破壊しようとしていた神楽の首に何か針のような物が突き刺された。その痛みに、神楽が振り向いた先にいたのは先ほど彼女を昏倒させた信女だ。
頬を赤く上気させ、はぁはぁと甘い息を吐く彼女の姿を、神楽は見たことがない。
「信女…………な、お前までおかしくなってるアルか……?」
そして何より神楽が目を見開いたのは、信女の格好だ。彼女はお妙たちのように裸ではない。いや、いっそ裸であったほうが良かったと思うほど、彼女は淫らな装いに身を包んでいた。
彼女が見廻組にいた頃に着ていたような白の隊士服を、卑猥に改造したかのような服。
肌の露出が一切なかった元の服と違い、信女の着る服はむしろ露出していない部分の方が少ない。
上半身は胸が大きくはだけでその下の上乳と黒の扇状的な下着が丸見えで、袖は肩口までしか存在せず、何より服の面積が胸下までしかなくその下のウエストは履き出しだ。
下は元々着ていた短パンをより小さく、V字型にした超ミニパン。それを隊服の長い白裾が覆うようになっているが、そんな物むしろそのエロさを誇張するアクセントにしかなっていない。
あまりにも変わり果てたかつての仇敵であり、友となった少女の姿に神楽の心は再び衝撃で固まってしまった。
「どうだい、万屋の娘。私の女たちの姿は。お前が城に侵入しているとわかって、こうして忙しい中時間を取ってやったんだ。感想を聞かせてほしいな」
喜喜が玉座から立ち上がって神楽に近づいてくる。その際に奉仕していたチンポがなくなってしまったお妙と九兵衛の二人が「あぁ……♡」と切なげな声を発するのを神楽はどこか、遠い世界のことのように聞いていた。
「お……お前……絶対、許さな……あっ……何アルか、これ? 意識が……急に……」
そんな喜喜を睨みつけようとした神楽の視界が唐突に歪む。だがそれは眠くなっただとか、意識を保てなくなったとかの微睡みではない。神楽は知らないが、その症状は強いドラッグを打たれた人間の視界と酷似していた。
「どうだ? 宇宙から取り寄せた超極上の催淫薬の具合は? 宇宙の裏社会じゃ性奴隷の教育ように使われていると言う特別なやつだ」
「はっ……くっ……何、言ってるアルか……おめぇ……」
だんだんまともな思考が保てなくなってくる意識に反比例するように、神楽の体が強く熱を持ってくる。それは、夜兎の血に身を任せた時のような我を忘れるほどの興奮、快楽。
だからこそ、一度それを経験してその危険を身をもって知っている神楽はその誘惑に逆らおうと必死に抗っていた。
「なんだ意外と頑張るじゃないか。くくく、それはいい、何せ他の女はこれを打った瞬間すぐにおとなしくなったからな」
なぁ? と喜喜の隣に従者のように控えていた信女のお尻を、将軍と言う高貴な振る舞いが求められる地位についた男は、どこまでも下品に揉みしだいた。
「んっ♡ は、はい…….私は……薬を打たれただけでご主人様に敗北した……雑魚雌です、んんっ♡」
「ははっ! 全くだ!! 異三郎の遺志を継ぐとかなんだと言っときながら、すぐに私の腰の上でよがり狂う雌犬に成り果てたからな!!」
呵呵大笑する喜喜の姿に、神楽は「ふざけんな!!」と口にしたくて堪らない。だが体を侵食する熱が、何よりそんな事を言われて一番怒らなくてはいけないはずの信女が、顔をだらしなく歪ませながら男の愛撫によがっている光景が、神楽の気迫を鎮めてしまう。
「こいつらもそうさ、私はあなたのような卑怯者には負けないとか、僕の魂まで陵辱できると思うなとかほざいといて。今では、ほら」
喜喜の足元に、いつのまにか四つん這いで近寄って来ていたお妙と九兵衛が男の声にその頬を赤く染めた。だがそれは屈辱によるものではなく、まるで過去の自分の馬鹿な行いを恥ずかしがっているような、そんな印象を抱かせる表情だった。
「ごめんなさい、将軍様。あの時の私は、将軍様の女になれることの幸せをわかっていなかったの。今はもう、こここそが私の居場所なんだってちゃんと理解しているわ。ちゅ♡」
あの神楽が知る中で誰よりも強く、男らしかったお妙が、女を物のように扱う最低な男の足に忠誠を誓うようにキスをしている。
本来の彼女なら、たとえ殺すと脅されても絶対にしないような、女は男の足元に傅く雌であると認める行為。それを当然のようにするようになるまで、一体どれだけの陵辱をされたと言うのか。
「将軍様のおかげで、
男に生まれたかったと願い、恋慕うお妙のためにバベルの塔まで生やそうとした九兵衛が、その一人称を『僕』から『私』と女らしいものに変えて、お妙を陵辱した憎むべき男の足に感謝の口付けを送っている。
あれほど大切に思っていたお妙への想いを、武士としての信念を、男への憧れを、一体何をされればあそこまで全て捨て去ってしまえるのか。
「ふぅ! ふぅ……!!…………ッ!!」
だがその想像をしている余裕は神楽にはなかった。自分の中で強烈に高まる戦いの衝動とは異なる、性の衝動。異なるようで非常に似通ったその血を震わす快楽に負けないよう、神楽は全神経を自分の内面に注いでいるのだ。
だから----
グチュッ!
「お゛ぉ----ッ!!」
チャイナドレス越しに喜喜の足で踏みつけられた膣から齎された極上の快楽に、神楽は何の抵抗も出来ずに上半身を逸らして絶頂した。
「ふん、どれだけ強くとも所詮女。男に足蹴にされるのがお似合いだ、な!」
「ふぎぃッ! や、やめ、お゛ッ……やめる、アル……んお゛おおッ----!!」
ぐりぐりと、喜喜の足が神楽の未成熟な股間を強く踏み躙り、擦り上げる。
下着とチャイナドレス、二枚の布の盾があるとは思えないほど強い刺激に神楽の薬によって高められた精感は、彼女を気を狂わすほどの快楽地獄へと送っていく。
ぷしゅ、ぷしゅ、ぷしゅしゅ
元々今まで性による快感も、興奮も覚えたことのない神楽にとって、喜喜によって初めて与えられたこの刺激は、薬の効果もあってあまりに強烈な初体験をもたらした。それこそ、二度と普通の愛撫じゃ感じられなくなるほどに。
神楽の股からはそんな極上の初体験によってバグった脳が、大量の興奮液を噴出してしまう。それは神楽の身につける下着を濡らし、その上のチャイナドレスにまで大きな跡を作りあげるほどだ。
「ククク!実に、いい、格好じゃ、ないかッ、ええッ!!」
「んお゛ッ……お゛おおオオッ!! んあっ……あっ、あっ……あ゛あ゛ぁぁぁッ!!」
何度も、何度も神楽は喜喜の足裏でイカされる。柱に縛られ、股を広げられ、男に股間を足で踏み躙られて絶頂し、お漏らししたと見間違うはずの愛液を垂らす姿。これが夜兎の姿だなんて、一体誰か信じられる?
「ふふ、神楽ちゃんもすっかり将軍様の足が好きになったみたいね」
「うん、あの足で踏みつけられると、自分がすっごい惨めな存在になった気がして気持ちいいからね」
「ああっ……ご主人様……私も、私も踏みつけて……♡」
終わらない絶頂地獄に陥る神楽の周りで、すでに心身共に完堕ちしているお妙たちは、口々に今の彼女とかつての自分を重ねて熱い吐息を漏らす。
その手は自分の股間へと伸び、心に灯った昂りを抑えようとそれぞれ膣に指を入れて自慰をする。その頭に浮かぶのは、喜喜にマンコを、おっぱいを踏みつけられ絶頂する自分の姿。全裸土下座した自身の頭におみ足を置いてもらえるだけで感じてしまう惨めで幸福な日々だ。
くちゅ、くちゅ、くちゅ
ぷしゅ、ぷしゅっ、ぷしゅうう
江戸城の征夷大将軍の間という、最も厳粛で慎み深く、常に高貴な雰囲気に包まれていなくてはならない場所に、この世で最も淫らで下品な水音とオホ声が響き渡る。
今までこの居城を主とし、徳川の世の安寧を志してきた歴代の徳川がこの光景を見ればどれほど嘆き悲しむか。少なくとも茂茂は決して許しはしないだろう。
だが、すでに死人となった人間が今を生きる人間の蛮行を止められるはずもなく。ようやく喜喜が足を神楽の股間から離した時には、彼の足裏も彼女のチャイナ服も雨に降られたのではと思うほどびしょびしょになっていた。
「ひゅ……かひゅ……っ……はぁ……」
息も絶え絶えとはまさしく今の神楽を言うのだろう。白目を剥いて、目と口と鼻から液体を漏らしながら肩を震わせる彼女の姿は、これ以上となく無様で、負け犬という言葉が相応しい。
「はぁ……はぁ……は、んぎゅっ!?」
そんな彼女の顔に、彼女自身の愛液で濡れた喜喜の足裏が押し付けられた。彼女の後頭部が柱に押し付けられ逃げ場をなくし、そんな少女のまだ幼さを残した美少女顔を、男の汚い足がぐりぐりと踏み躙る。
「さぁ、舐めろ。舐めて私に降参し、今までの行いを謝罪しろ。そうすれば、お前も私の女として飼ってやろう」
どこまでも増上慢に、喜喜はまだ14歳の少女の顔を踏みつけながら自身への懇願を求める。それはどこまでも鬼畜で、下衆で、暴君の所業。まさしく今の乱れた世を象徴する悪なる男がここにいた。
「ぷっ……!」
故に、そんな男に神楽が贈るものは決まっている。
「………………なんだ……これは?」
喜喜の顔に吐きつけられた、神楽の唾。それが彼女の返答だった。たとえどれほど無様な姿を晒されても、絶対にお前みてぇな悪党に謝ったりしないアルという、彼女の百の言葉より雄弁な啖呵。
「へ……へへ……お前のような、クズには……お似合いネ……んぐっ!?」
だがそんな神楽の顔を瞬足の勢いで迫ったお妙の手が万力の力で締め上げた。喜喜の踏みつけていた足を押し除け、彼女の顔を鷲掴みにして柱の壁へと押さえつける妙の顔は…………まるで般若のごとき怒りの形相に変わっていた。
「神楽ちゃん……なにをしてるの……? 前々から馬鹿な子だとは思ってたけど、まさかここまで愚かだとは思ってなかったわ私。まさか将軍様の顔に唾を……唾を吐くなんてねぇ!!!」
バギッと妙の強烈な腕力に、神楽の後頭部が柱に埋まる。それでもまだ足りぬと、愛する主君の顔を汚した娘を断罪せんと、お妙は歌舞伎町の女王にまで上り詰めたその剛力をかつて大切に思っていた少女に奮っていた。
さらに----
「妙ちゃん、どいてくれ。そいつは許されない大罪を犯した。今すぐ首を刎ねる」
「同意。ご主人様の誘いを断るだけに飽き足らず、その泥水よりも汚い○○の○○みたいな唾を吐いた。今すぐ殺すべき」
お妙によって顔面を掴まれた神楽の首元に、神速の勢いで突き立てられた二本の刀。その持ち主たちは、歴代柳生最強と呼ばれた九兵衛と見廻組が誇る最強の剣士である信女だ。
その瞳には神楽への並々ならない殺意が満ちており、彼女の首に添えられた刃はあとほんの少しの後押しがあれば、その首と胴体を即座に別れさすことだろう。
これこそが喜喜に仕える三人の雌奴隷の真価。彼女たちはただ喜喜の肉棒を咥え、喘ぐだけの肉人形ではない。彼の身に何かあればどんな忠臣よりも怒り狂い、万の兵士よりも強いその武勇を持って敵を皆殺す最強の剣でもあるのだ。
彼女たちはそんな喜喜にとって最高に都合の良い女に成り果ててしまっている。
「待て、お前たち。私の顔に唾を吐いたのは許し難いが、これほどの愛嬌を持った娘を殺すのは惜しい」
「でも……! こいつは将軍様の……んあっ♡」
「妙、私は待てと言ったんだ」
喜喜の言葉にそれでも怒りが収まらないと口を開いた妙のケツ穴に、男の指が突き入れられた。拡張され簡単に二本の指が挿入ってしまうようになった彼女の直腸は、中を擦られるだけで感じてしまう淫乱雌穴に変わっている。
「は……はい♡ 出過ぎた真似をして、申し訳ございません将軍様♡」
あっさりと怒りを鎮めた妙は、自身のケツ穴をほぐす主人の指使いを堪能して喜喜の胸へとしなだれかかる。
そしてそんな彼女を見て、即座に九兵衛と信女の二人もまた刀を収めると主人たる男の足元へと跪いた。
その姿は言葉だけ並べれば将軍たる人間に見えるかもしれない。将軍とそれにもたれ掛かる女、そして傅く二人の忠臣。
だが実際はその全員が全裸かそれに近い格好と、とてもではないが口が裂けてもこれを将軍とは呼びたくないだろう。
「どうやらもう少し躾けてやる必要があるようだな。おい、こいつを私の寝室に運べ!」
「はい、将軍様(ご主人様)!!」
喜喜の声に傅いていた九兵衛と信女が即応する。先ほどの妙の一撃で気絶してしまった神楽の拘束を解くと、二人は彼女の両足を持つとわざわざ引き摺って運んでいく。
抱えればいいのにそうする理由は、彼女たちなりの愛する主人に唾を吐いた神楽への復讐なのだ。
それをわかっているからこそ喜喜もくつくつと溢れる笑みを隠せない。
「さあて、新しい女の体をたっぷり楽しむとしよう」
「はい、将軍様♡」
そして二人に続くように自身の部屋に向かって歩き出す喜喜と、そんな彼の腕に抱えられた妙もまた征夷大将軍の間を後にする。
残されたのは、半分まで陥没した柱とその根本にある大きな愛液の水溜りだけだった。
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