もし吸血鬼への復讐に燃えるリサリサが、そこら辺の大した事ない吸血鬼に負けて捕えられてしまったら?
まさかこんな事になるなんて思いもしなかった。
太陽の光が一切差し込まないよう設計された部屋の中で、波紋戦士リサリサはその豊満で魅力的な、世の男全てを魅了する裸体を惜しげもなく晒した状態で床に正座をし、頭を平伏させる、世に土下座と言う体勢を取っていた。
その彼女の前には仕立ての良い白いスーツを着た金髪の男性が、そのリサリサの姿を当然のことのように受け入れながら足を組んで座っているではないか。
成金のような姿の男は、その派手な服装以外にはそう取り立てて特徴のない顔立ちをしていた。唯一、その口元から覗く鋭い犬歯を除けばだが。
「ククク、良い恰好だ。お前のような気の強い女を裸にひん剥いて跪かせるのは実に気分が良い」
「くッ!」
そしてそんな男の前で屈辱的な体勢を取らされるリサリサはなぜこんな事になったのか、自分の不覚を強く呪っていた。
リサリサはそもそも前述したように波紋戦士と呼ばれる吸血鬼ハンターである。
波紋とは、チベットを発祥とした独特な呼吸法によって血液を振動させた独自の波を生じさせる仙道だ。それだけならただのびっくり人間の域を出ないが、彼らはその波紋の波長を太陽光の波と同じ波長に合わせる事で、疑似的に太陽の持つ生命エネルギーを人の身で宿す事を可能とするのだ。
生命エネルギーとは全ての人間に元々備わっている力で、人の活力や健康の元になっている。そして彼らはそれを何十倍にも強化し、放出したり他者に分け与えたりすることが出来る。
生命エネルギーが強いとはどういうことか。それはすなわち、身体能力を常人の何倍にも底上げし、細胞を活性化させることで傷の再生力を著しく向上させ、さらには老化をほとんど止めて疑似的な不老を可能とする。
事実リサリサは今年で45歳を迎えたが、その容姿は20代後半の若々しい、健康で美しい姿を完璧な形で保っている。
そしてそんな波紋を厳しい修行の末身に着けたリサリサが戦う相手こそ、おとぎ話の世界から飛び出て来た如き存在である吸血鬼なのだ。
ブラムストーカーの小説に登場する吸血鬼と言う異形の怪物。多くの者からは空想像の存在と考えられてきた彼らは確かに、この世に存在する。それも小説に登場したドラキュラ伯爵よりもより恐ろしい怪物としてだ。
そもそもリサリサたち波紋戦士が呼称する吸血鬼とはあくまで特徴が似通っているが故に弁論上そう呼んでいるにしかすぎない。
全ての始まりは彼女の夫の父、ジョナサン・ジョースターの宿敵となるディオ・ブランドーから始まった。
彼は石仮面と呼ばれる古代の遺物に血を付着させ顔に嵌めたことで、その身を不死身の怪物へと変貌させたのだ。
人間を遥かに超越した身体能力、全身を炎で灰にされようが、首を撥ねられようが生存を可能とする恐るべき生命力とそこから元に戻ることの出来る再生力。
そしてリサリサたちが彼らを吸血鬼と称する最大の理由である人間の血を主食とする特徴。
だがそれも小説とは違い、口で噛みついて経口で摂取する以外にも指を相手に突き刺して直接吸血する事も可能だ。そして彼らは自分の血を逆に生きた人間に与えることで、彼らを屍生人、ゾンビへと変えて使役することが出来るのだ。
それだけ恐ろしい存在でありながら、弱点もまた僅かとは言え似通っていた。彼らは太陽の光に弱い。それは太陽の放つ強力な生命エネルギーが、死者であるが故に強大である吸血鬼の存在を根こそぎ否定し浄化してしまうからだとリサリサは考えていた。
事実、石仮面を被って吸血鬼となった者に、他の有名な彼らの弱点であるニンニクも聖水も十字架も効きはしない。最もニンニクはともかく他の二つはキリスト教の威光を強めるために附属された弱点であることを考えると、本物の吸血鬼のような存在である彼らに効かなくても何ら可笑しくはないのだが。
重要なのは、吸血鬼たちの弱点は唯一太陽の光のみであり、波紋がその太陽の光と同じ要素を持っているということだ。つまり波紋の力は吸血鬼たちにとって最大の天敵。人間を超越した彼らが警戒し恐れるただ一つの人類の希望の力なのだ。
そしてリサリサはそんな波紋戦士の中でも最上位の波紋の使い手であり、同時に吸血鬼殲滅に並々ならぬ情熱を掲げている女戦士であった。
なのに、そんな彼女がなぜ明らかに吸血鬼と思われる男の前で全裸土下座をしているのか。
全ては三日前。目前にいる吸血鬼とは別の吸血鬼の存在を嗅ぎつけ、それを討伐したリサリサが休息にこの片田舎の街に訪れ、そこに不運が重なったことが原因だった。
一つは天候が著しく悪く、数日間に渡って激しい豪雨により太陽の光が差さなかったこと。
二つはリサリサが直前に別の吸血鬼との戦いで傷を負い、療養していたこと。
三つはリサリサが泊まった民宿の主が人間でありながら吸血鬼である男の信奉者の家であったこと。
四つに、討伐された吸血鬼と男は直前まで連絡を取り合っており、波紋戦士の素性を知ることが出来たこと。
そして最大の不運が、そんな吸血鬼の手に石仮面とルーツを同じくする、波紋戦士を無力化するあるアイテムがあったことだ。
――――この首輪さえなければ!
下唇を噛むリサリサの首には赤く輝く首輪が存在していた。それは吸血鬼もリサリサも知らない事だが、とある太古の天才、柱の男のリーダー格が気紛れに作った呼吸抑制装置であった。
付けた人間の呼吸をコントロールし、その体内の血流を柱の男好みの血に変えるために生み出された器具だ。
それを首輪として波紋使いの首に着けるとどうなるか?
彼らの波紋の力は、特殊な呼吸方によって生成される。それをそもそも出来ないように阻害されてしまえば、いかな歴戦の波紋使いとてちょっと身体能力が高いだけの人間に堕ちてしまう。
波紋戦士にとってまさかの方向からの自分たちを無力化する器具が、驚くべきことに何万年もの間放置されながらも首輪はその効果を損失することなく形を保ったまま残り続けていたのだ。
恐るべき製作者の技術力。途方もない年月でさえ風化も劣化もしない品物を片手間に作り出せてしまえる男がどれほどの怪物か。その成果物を、時を超えて手に入れた吸血鬼は知る由もない。
「波紋戦士リサリサ、お前は実に素晴らしい女だ。その実力も、頭脳も、そして特にその見た目が。ここで殺すのには、んー、とても惜しい。じ・つ・に、惜しい女だ」
「――――ッ!!」
吸血鬼がその足を無造作に土下座して額を地面に付けた状態のリサリサの後頭部へと乗せる。そしてぐりぐりと彼女の絹のように透き通った黒曜石のごとく美しい髪を踏みにじった。
リサリサの全身を憤怒と憎悪が駆け上がる。夫が愛し、素敵だと褒めてくれた自慢の髪を足蹴にされた事が彼女の怒髪冠を衝いたのだ。
「んんー、どうしたぁ、プルプルと震えて? 動きたいのかぁ? 頭をこうして靴で踏みつけられて足拭きマットみたいに使われて動きたくなったのかぁ?でも、ダァメだ! お前は俺が言った通りに土下座し続けるんだよぉ!!」
そう、たとえ波紋を封じられたとは言え、リサリサほどの戦士がこれほどの扱いを受けながら抵抗できないのはもう一つ理由がある。
それは吸血鬼たちが持つ洗脳の力。意思の強いリサリサならまず跳ね返せるような物なのだが、この男は個々の吸血鬼が持つ固有の力として洗脳に特化した能力を持っているのだ。
それこそ、リサリサが精神力の全てを注ぎ込まんばかりの抵抗を以てしても破れないほど強固な洗脳だ。
欠点として相手の意思を奪うことは出来ず、あくまで体を操作するのみに留まること。操れる対象は一度に一人が限度であり、操る側である男はそれ以外に取り立てて突出した能力がないことだ。
普段のリサリサなら苦も無く殺すことが出来るような格下の敵だ。確かに洗脳能力は危険だがリサリサの実力なら男が能力を使う前に仕留める方法など百通りはある。もしくは一人でも仲間がいれば完封出来る相手だ。
だがたった一度の油断と不運がリサリサを逆転不可能の決定的敗北へと追いやってしまった。
「ふふふん、おい、寛大な俺はお前が誠意ある行動を見せれば命を助けて、以後俺のメイドとしてお前を飼ってやろうと考えている。今ここで、俺への敗北を認めて謝罪と服従の言葉を述べればいい」
「ふざけるな! 体を操れた程度で、心までこの私を陵辱出来たと思っているなら、その浅はかさは救いようがないようねッ!」
男の下衆な提案に、リサリサが毅然とした力強い言葉で拒絶する。彼女の口までは男は操ることが出来なかったのだ。
全裸に首輪をされ土下座させられた体勢でありながら、何と誇り高い声色であろう。そこには一切恥辱を受けた事に対する精神的乱れは存在しない。結構呑気していた男も、この宣言には思わず頭を踏みつけていた足をどけてしまう。
だが即座にこんな無様な状態の女に一瞬でも気圧されたことに腹を立てたのか、より一層リサリサにとって最悪の命令を下して来た。
「ぐ、ぬぬ。……いいだろう、なら別の形で誠意を見せてみろ! そうだな、その場で無様にションベンでも漏らせば負けを認めたことにしてやろう」
「な、ふざけ……くぅ!!?」
異常はすぐにリサリサの身に起こった。厳密にはその下腹部にだ。男の言葉を聞き届けたと同時に、彼女の体が本来の持ち主の意思に反し急速に排尿の準備を始めたのだ。
もちろんそんなことを許すリサリサではない。こんな下衆な男の、しかも彼女が憎む吸血鬼の前で失禁させられるなど今すぐ首を切って死ぬ方が何倍もマシな屈辱だ。
だが必死に尻穴を閉じようとするリサリサの意思は欠片も体に伝達されることはない。それどころか下半身の力を抜き、おしっこをしやすいように土下座の体勢からお尻を上げてより無様さを増すようなことまでしていた。
「くぅぅぅ!! いや! こんな、下衆な男の、前で……!! ああっ、うそ、出る、出てしまう……! くぅぅ……あっ……!」
そしてついに、その瞬間は訪れた。
ちょろ、ちょろろ、じょぼぼ、しゃぁぁぁ――――
リサリサの尿道から漏れだした排泄水が次第に勢いを増して大きなアーチ状の軌跡を作る。
それは男の洗脳により無理やり体の排泄器官が作り出したからか、普通の放尿よりも長く、そして勢いも強かった。
「ぷ、ぶあはははは!! ひー、ひー、なんて強いおしっこだ! うひゃひゃひゃ!! 見ろ部屋の扉まで届きそうだ!ほーれがんばれ、がんばれ、あとちょっとで届くぞぉ! もっと勢いつけろぉ、ぶはははは!!」
「くっ……うう……!!」
ぶしゃあああ―――――!!
男の言葉に従うように、ただでさえ勢いの強かったおしっこの噴出力がさらに上がる。さらにリサリサのお尻も扉におしっこを届けようと角度を調整して地面から45度の位置に尻穴を持っていくではないか。
その全てがリサリサの意思と無関係に行われているのだ。悲鳴を上げずに食いしばるように口を閉ざすのが今のリサリサの精一杯の抵抗であった。
たっぷり30秒ほどの時間をかけてリサリサの噴水のような放尿は止まった。地面に飛び散った排泄液の跡がリサリサのお尻の地点からまるで花を咲かせたような図形を形作っている。
その跡は、見事に扉の端部分まで続き、リサリサの体が男の命令を果たしたことを証明していた。
「いひ、いひひひひ。確かに、ひひ、見届けたぞリサリサ。お前の、ぶふっ、誠意ある謝罪をなぁ」
「…………」
ここに来て、もはやリサリサは無言であった。ただ目を閉じ、口を閉じ、一切の言葉を喋ることを拒絶した。女性として、戦士として、最大の屈辱を味あわされた今、どんな言葉も意味を持たず、男を喜ばせるだけだと彼女は理解したのだ。
泣き言も、侮蔑の言葉も吐かない。それはこの場合における一つの正しい選択であると同時に、諦めでもあった。
ばさりと、そんなリサリサの頭の上に何か布のような物が降ってくる。それが何かは今も地面に額を擦り付けるリサリサには見当もつかないが、決していい物でないことは確かであり、事実耳に届いた男の言葉がそれを証明した。
「それは今日からのお前の正装だ、リサリサ。土下座を止めてそれを俺の目前で身に着けろ」
体が勝手に動いて頭にかかった布切れを手に取る。その正体は黒色に白のフリルのついたメイド服と女物の黒の下着であった。だがそれを目にしてもリサリサは無言。予想は出来ていたからだ。
彼女は立ち上がると、座る男の目前にその欲情的で、完璧な黄金比を形作る裸体を見せつける。
胸は男の手のひらでギリギリ包み込めないほどの調度いいサイズ感で、その先端には一切の穢れを知らないピンク色の突起がツンと主張して立っている。
腰つきは世のモデルや女優全てがハンカチを噛んで羨ましがりそうな芸術品のような体型を保ち、お尻は小ぶりながらしっかりと張りを感じさせるアスリート型の引き締まったもの。
長い脚は見事な脚線美を描き、およそ男が求める美女の条件を全て満たしたパーフェクトなプロポーションである。
しかもこれでその持ち主の顔立ちも絶世の美女と言う言葉が当てはまるのだ。天女、女神、聖母、世にあまねく美女を例えて言う言葉の数々がここまで当てはまる女性はリサリサ以外にはいないだろう。
そのリサリサは、今まさに自分が身に着ける下着を見てさっそく押し殺した心が殺意に沸き立つのを感じていた。
それはどう見ても男の性欲を煽るために作られたとしか思えないセクシーなランジェリーだった。
ブラは薄い黒レースの素材で出来ており、素肌を隠す目的で使えるとは思えないほどに透け透け。ショーツにいたってはオープンクロッチであり、性器の部分が丸見えである。それに無駄に扇動的なデザインのガーターベルト付きである。この時点でリサリサは自分のこれからの未来がどのような物になるか悟り、忸怩たる思いであった。
だが男の洗脳に支配された体はそんな悩みなどいざ知らず、見事な手付きで淫靡な下着を身に着け始める。
幸運なのは男の命令が身に着けろと言う物であったため、事務的に装着するだけに留まったことだ。もっとも、リサリサほどの美人の生着替えなど、ただ普通に着替えているだけで魅力的なのであるが。
そしてそのまま特に苦戦する事も無くメイド服まで身に着けるのだが、着ている途中でまたしてもリサリサは内心で舌打ちと想像の中で吸血鬼の男を数百回は波紋で消し炭にした。
メイド服はメイド服でもリサリサのよく知る英国貴族の家で働くメイドが身に着ける給仕服とは何もかも違った。まず胸のあたりがなぜか開いており、先ほど身に着けた卑猥な黒のブラの上面部分が見えてしまっている。
そしてスカートの部分も本来の足首近くまである英国式の物と異なり、太股をギリギリ隠す程度の長さしかない。
かつて、子供の頃とは言え英国の貴族の一人であった過去を持つリサリサにとって、彼女も敬意を持って接していたメイドと言う職業に唾を吐くようなこの服装は、殺意を覚えてあまりある。
「おお!! いい、いい! いいぞぉ! 俺の思った通り、よく似あっているぞ! これからお前は常にその服を着て私に付き従い、身の回りの世話をするのだ。いいな、元波紋戦士リサリサよ」
「…………」
男のこちらを嘲笑う言葉を全てシャットアウトし、心を無にすることで対抗するリサリサ。
だがそんなリサリサのか細く、もはや男からして見れば小娘のか弱い反抗にしか見えない行動などすでに予想していたのだろう。リサリサの耳元に口を寄せた男は悪魔の提案を囁いた。
「返事をしないようなら、さっきのションベンを今度は人通りの多い場所でやってもらうぞ」
「……っ!!?」
リサリサのポーカーフェイスが崩れ去る。さきほどの恥辱を、今度は大勢の前で晒す事になるなど、とてもではないが耐えられるものではない。
「くっ……わ……わかった、わ」
目を閉じ屈辱を噛み締めながら、絞り出すようにその一言を発した。声音は重く、そのたった一言にどれだけの葛藤とプライドを踏みにじったのかがわかるほどだ。
だがもちろん、その程度で満足する男ではない。
「わかりました、ご主人様。だろ? お前は俺のメイドなんだ。主人に対する言葉使いがなってないなぁ。これじゃ、今から外に出て股広げてションベンしてもらうしかないなぁ」
「なん……っ……! う、くぅっ……!…………わ、わかり……ました……ご、ご主人……さ、ま……」
波紋戦士リサリサの完全敗北であった。男はリサリサの体だけでなく、遂には心まで陵辱することに成功したのだ。
心をかみ砕いて、無理やり言わされたのだと何度も自分に言い聞かせるリサリサだが、その心の奥底には、確かに男への敗北心が植え付けられてしまった。
そしてここから、リサリサにとって地獄のメイド生活が始めるのであった。
「くっ……あの忌々しい吸血鬼め……! 必ずこのツケを払わせて見せる……!」
リサリサは今、男のメイドとして日課となっている部屋の掃除をさせられていた。
タンスを絞った雑巾で拭き、必死に汚れ一つ残さないように綺麗に磨く。その動きも全て男の命令による強制されたものであり、リサリサ自身の意思は介在していない。
だがそれでも埃一つなく汚れを拭き取れているのは、リサリサが培ってきた人生経験と元来の綺麗好きの性格によるものが確実に含まれているのだろう。
そしてリサリサは今部屋に男がいない事を理由に、自身の怒りを口にすることに一切の戸惑いもない。
「この首輪が……これを何とかすれば、波紋を体に行き渡らせて体の自由を取り戻せると言うのに……!」
男の座っていた椅子を濡れた雑巾で拭いた後にからぶきで二度拭きする。最後に取手の部分に自分の唾を垂らしてそれをベロで全体をコーティングするように広げる。
これも男からの命令であり、リサリサに屈辱心を与えるためにされたものだ。
「首輪に付け根は見当たらない。下手な衝撃で壊れるとは思えない。何か大きな力を一点に加えてみる?」
机の上に無造作に乱雑されたファイルをまとめ上げる。ちらりと見えた書面にはいくつかのアルファベットと数字が書き込まれており、聡いリサリサにはそれが奴隷売買の書類であることに即座に気づいた。
隅に14と書かれており、それが売られた奴隷の年齢だと予測がつき怒りに眉を顰めながら、黙々とそれぞれの書類を分類別に仕分けして男が確認しやすい位置へと置いておく。
「奴は隙が多いが臆病で決して日のある所には出ようとしない。私でさえ情報を掴めなかったことから、よほど念入りに自分の正体を隠しているとみて間違いない」
インクの量を確認して足りなそうだったので追加しておく。そして時計を確認すると、タンスに置かれた赤黒い液体の入った瓶の内一つを手に取り、それをポッドに入れ、火にかけて沸騰させる。
適温になるまでに食器棚からティーカップを取り出すと同時に沸き立ったそれをカップへと注ぐ。
そして調度いいタイミングで部屋の扉の向こうに気配を感じ、リサリサは扉に向き直ると両手をお腹の前で礼儀正しく結び、姿勢はきっちり垂直に、そこから召使いの作法の参考書に載せるべきほどの完璧な45度の礼をもって、今まさに扉を開けて入って来たこの部屋の主を迎え入れた。
「……おかえり……い、ませ。ごしゅ……さま」
消え入りそうなほどか細く小さな声でリサリサは入って来た吸血鬼の男へとメイドが主人の帰りを迎える言葉を口にする。
体が言う事を効かずとも、口だけはそうでもない。それなのに、たとえギリギリ聞き取れる程度の声量とは言え彼女が男を主人と認めるようなセリフを言うのは、そうしなければリサリサは衆人の面前で辱められるような最低最悪の命令をされてしまうからだ。
メイドとして働くようになってから、何度自分の意志で屈辱的言葉を言わされたか。無理やり操られている体とは違い、言葉だけは自分の意志で喋らなくてはならないからこそ、口にする度にリサリサの心は少しずつ摩耗していっていた。
「おう。さすがはリサリサだな。今日も綺麗に俺の部屋を掃除してるじゃないか」
「……お飲みもの……です」
満足気に部屋を見て頷く男へとリサリサはさきほど作った、温めた何かの液体が入ったカップを男へと差し出した。
その指先は震えてこそいないがじっとりと汗で湿っており、それは強い忌避感をそのカップの中身から感じているからこその、生理的嫌悪であった。
「ほう、さすがの手際の良さだ。それで、んん? これは何だ、リサリサ?」
「……知っているでしょう」
「んっんー、俺はお前の口から聞きたいんだ。お前のその麗しい口から、人間であるお前の口から、その言葉を聞きたいんだぁよ、リサリサぁ……!」
「…………っ!!」
邪悪な笑みを広げて指をちっちっと舌を鳴らしながら振る男に、リサリサは唾を吐き捨てその首を引き裂きたくてたまらなかった。
口を真一文字に結び、目で威圧する事で抵抗しようとするリサリサは、まだ波紋戦士として、人間としての矜持を忘れていない事を他ならない自分に示そうとしていた。
だがそれも――――
「あぁっ!」
下腹部に走った異物感で、固く結んでいた唇が驚きに開いてしまう。視線を下にやった先には短いメイド服のスカートの中に入り込む男の手の存在。
侵入した男の指先がリサリサのオープンクロッチで何も遮るものがない女性器の穴、その後ろのケツ穴へと突っ込んだのだ。
「なあ、ご主人様にお前が俺のために淹れてくれた飲み物の名を教えてくれよぉ。でないと、この穴から今度は液体じゃなくて汚い排泄物が飛び出す様を何も知らない街の人が見る事になるぜぇ」
「あぐっ……ぐっ……やめっ、あっ……!」
なぁ、なぁ、なぁ、と男が囃し立てるように、声を出す度にリサリサのケツ穴に挿入された指をグイ、グイとその細い通路へと押し込んでくる。
リサリサに後ろの穴の経験など皆無だ。彼女の死んだ夫は清く誠実な人間で、英国紳士の鑑とまで言われた彼の父の遺伝子を正しく受け継いだ素晴らしい男だった。
それは夫婦の営みにおいても同じで、決して性欲に身を任せて女の上で腰を振るう事に熱中するような野蛮な男共とは違い、彼は常にリサリサを労わってくれた。
そんな男がアナルセックスなんてアブノーマルなものに手を出すはずもなく、リサリサはアナルが男と女の情事で使える場所だと言う事を、この下衆吸血鬼に弄られるまで知らなかったほどなのだ。
当然そこに快感はない。あるのは不快感と痛みだ。男もそれが分かっていて指を入れているのだろう。アナルの快感を知らないプライドの高い女は、女陰に指を入れられるよりもこちらの方が屈辱だと。
そして同時にリサリサにとって絶対に回避したいことを仄めかし、屈辱感で考える余裕のない彼女から選択肢を奪っている。リサリサに、男に従う以外の道はない。
「くぅ、ふぅ……! に、人間の、血を……温めて作った……うっ……特性ブラッド・ティーです」
また、言わされてしまったと、リサリサは諦観を覚えていた。
リサリサが男にセクハラされながら脅されてこの世で最も悪趣味な飲み物の名前を口走るのはこれで三度目だ。
元々、初めてこの飲み物を作る材料を男に見せられてすぐにそれが人間の血、それも生きた人間から吸血された物であることは理解していた。
だから最初はそんな材料を使った飲み物を男のために作ること自体全力で拒絶しようとしたのだ。だが男の洗脳能力は強く、リサリサの体は鮮やかな手並みで、まるで紅茶を淹れるような手つきで人間の血をポッドに注ぎ沸騰させていた。
波紋使いとなって初めて吸血鬼を討伐して以来、久しく感じていなかった吐き気を覚えた。だがそれも、二度、三度と繰り返していく内にだんだん諦観と共に事務的に注げるようになっていくのが、怖くてしかたなかった。
だから今回の抵抗も、自分がまだまともであると、まだ狂っていないことを確かめるための行動だったのだ。
だがそれも、あっけなく砕かれた。
リサリサはもう自分の正気が限界に近しいかもしれないと危惧していた。
「ぐふふ、よく言えたなぁリサリサ。だが、最初に躊躇した罰として……お前にはこれを口移しで俺に飲ませてまらおうか!」
「!? なんですって、んぐぅ!」
おぞましい。あまりにもおぞましい発言に背筋が凍り付くよりも早く、リサリサの持っていたカップを奪った男が、その中身をリサリサの口へと流し込ませてきた。
目をこれ以上ないほど見開き、驚愕と混乱を表情に浮かべるリサリサの口内に、元々それほど量のなかったブラッド・ティーが全て注がれてしまう。そしてリサリサがそれを噴き出すよりも早く、男の唇が栓をするようにその口を閉ざした。
「ん、んんぅ!! んぐ、んおぇ、おおっ!!」
リサリサの嗚咽と呻き声が二人以外誰もいない部屋に響き渡る。体を操られているリサリサが男を受け入れるように抱きしめていながら、声だけ迫真に荒げて抵抗する様は実に滑稽な光景に移っていた。
リサリサの舌は今まで味わったことのない濃い血の味を味あわされていた。どろりとしたそれは、今まで飲んだことのある液体とは感触から異なる。
一生忘れられなさそうなほど強い鉄分の味が喉を通り抜け胃にまで入り込んでくる。そして最悪なのが、その液体の中をかき分けるように動く男の舌の存在だ。
「んじゅ、ぐお、おおっ!」
(私の口が、犯される! 吸血鬼如きの舌で私の口内全てが、新しく塗りつぶされている! こんなキスに、私が……!)
重なる唇の間から侵入して来た男のナメクジのように気持ちの悪い舌先が、リサリサの夫以外に誰にも許したことのない口内を駆け巡り、リサリサの舌を絡め捕っていく。
男の舌がリサリサの舌とキスをする度に、二人の舌肌に染みついた血の味がにじみ出て、より強い血の味を感じさせる。それが気持ち悪くて、リサリサが抵抗しようと舌を引っ込めると、今度は男がリサリサのケツ穴に突っ込んだままの指を動かして気を散らしてくる。
「ふぐぅ!? んじゅ、じゅず、んぐ、ふ、ふぅ!」
(どこまで私の体を弄ぶ気だと言うの! お尻の指が私の腸にまで入って来そうなほど奥深くまでッ! まずい、おおっ!変な感覚を覚えてしまいそう! 抜かないと、このままでは本当にまずい事態に……っ、んぐっ! 男の舌が私の喉元まで迫って、息が、出来な……)
男の舌から離れようとすればケツ穴をほじくられて、その痛みと不快感に意識を取られる。するとその間に舌を逃げられないように絡まれて血の味を覚え込まされる。リサリサに逃げ場はなかった。
男の胸の中でぴくぴくと揺れるリサリサの姿は、ともすれば恋人との接吻に興奮する生娘のように見えた。そして事実この瞬間、リサリサは生娘のように男に手玉に取られていた。
「ふふん、なかなか美味かったぞ。これからはお前からの口移しで飲ませてもらうとしよう」
「あ……ああ……」
ようやく男がリサリサの口内のブラッド・ティーを味わいつくした時、リサリサはもう二度と血の味を忘れられないほど脳内に刻みつけられていた。
同時に、尻穴を弄られる感触に痛み以外の何かが芽生え始めていることも。
「ほら、主人の体だぞ、しっかりとその体で綺麗にしてくれよ」
「……わかりました、ご主人様」
屋敷の広い風呂場。そこでふてぶてしく風呂用の椅子に座る裸の男に対して、同じく全裸のリサリサが恭しく答えた。
あの口移しの一件以来、リサリサの反抗心は目に見えて減っていた。今ではあれほど口にすることさえ忌避し、辛うじて聞き取れる程度の声音でしかなかったメイドとしての口調も普通にどもる事もなく喋るようになっていた。
もちろん事務的な返事以外は決して言わないが、それでも明確にリサリサが男へ屈服して行っている事を示す大きな兆候であった。
「それでは、失礼いたします」
手慣れた動きでリサリサはまず自分の均衡のとれた美乳にボディーソープを垂らすと泡立て始める。
そして男の背中側に回ると、男に抱き着くような体勢で胸を押し付け、上下に体を動かしその分厚い背中を文字通りスポンジ替わりとなって綺麗にしていく。
「はっはっは! 相変わらず気持ちいいぞリサリサ! もっとその胸を主人の体に押し付けて、その乳首を俺に擦り付けろ!!」
「んっ……はい、ご主人様……」
男の注文に、リサリサは従順に従った。豊満な彼女の胸が潰れてしまうほど強く、男の背中に抱きついて男の全身の汚れを擦り落としていく。
(あっ……乳首が、擦れて……ふぅ……うう!)
リサリサにとっての屈辱は、こんな場末の娼婦のような行為に感じるようになってしまったことだ。
初めは何も感じなかったのに、今では男の硬い背中に乳首が擦れるたびに、体を震わせて思わず口から甘い声を出しそうになっている。
一刻も早く終わらせたいのに、胸から感じる甘い刺激に気を取られ、どうしてもゆっくりに、懇切丁寧なお世話になってしまう。
「おやぁ、どうやらリサリサはようやく俺のメイドとしての自覚が芽生えてきたようだなぁ?」
「…………っ、 んっ……!」
そしてその姿は、吸血鬼である男からは主人の体を熱心に石鹸で洗う出来たメイドに映った。
男のニヤニヤとした笑みに、リサリサは何かを言おうとし、しかし乳首から感じる甘い刺激と、そして訂正した場合自分がなぜゆっくりとお世話をしているのかを説明しなくてはならないと思い、黙らざるを得ない。
黙々と男の背中を石鹸で泡だらけにしたリサリサは、今度は男の前側をその体で綺麗にしていく。
当然、綺麗にするのは男の股間に生える気色の悪い象徴も含まれる。
「さて、いつものように……頼んだぞ」
「…………はい」
それを前に、リサリサは極力感情を押し殺し、自身の胸を掬うように持ち上げると、男のそそり立つ肉槍をその胸の間で包み込んだ。
「くぅ……相変わらず、良い胸だ。まさしく男に奉仕するために、育った体と言えるな」
「ふぅ……ふぅ……!」
好き勝手なことを言う男の言葉を頭に浴びながら、リサリサは必死に自分の胸で男の物を扱きあげている。
夫にもしたことがなかったパイズリを、こんな最低なクソ野郎に丹精込めてやらなくてはいけない、それも毎日だ。
その怒りと屈辱に反し、リサリサの手つきは今では熟練のそれだ。どれだけ嫌でも毎日やればコツやテクニックが掴めてくる。
彼女は男が感じる部分へと胸での圧力を強めながら、石鹸を竿全体に塗りこんでいく。そして当然、漏れ出る亀頭と玉袋も綺麗にしなくてはいけない。
リサリサは胸から垂れ落ちる石鹸を掬い取ると、それを亀頭に垂らし、その部分を細くしなやかな指先でクリクリと塗りこんでいく。
玉袋も同じように、手のひらで優しく揉み込みながらそこについたカスを拭き取っていく。
「んっ……綺麗になりました、ご主人様。それではお流しいたします」
「ああ、ご苦労リサリサ」
しっかりと報告を行い、シャワーで男の体を洗い流すリサリサはもう誰がどう見ても立派なメイドだ。
それは男も感じていることで、リサリサを完全に堕とす時が近づいてきたことを確信していた。
「失礼します。ご主人様」
夜分、主人に呼び出されたリサリサは男の寝室へと礼儀正しく入室した。
あいも変わらず胸元を大きく露出し、下着が見えそうなほど短いスカートの痴女メイド服だが、それにさえ目を瞑れば、リサリサの姿はメイドとして立派に及第点を与えられるほどに熟達していた。
「よくきた。今日も夜の世話を頼むぞ」
「はい、お任せください」
澱みなく答えるリサリサは手慣れた手つきで自身のメイド服を脱ぎ捨てると、ベッドに座る男の股間へと跪く。
「んっ……では失礼します。ちゅっ」
そしてパンツから取り出した吸血鬼の長く起立した肉棒へとキスを落とした。
ちゅっ、チュッ、ちゅぅと亀頭に、筋裏に、陰毛生えしげる根本に、何度か薄くリップの載った唇でキスを捧げたリサリサは、次いで口を開けるとその肉棒を咥え込んでしまう。
「ちゅる……んじゅ……じゅ、じゅぷ……」
頭を上下させ、男の肉棒を喉奥限界まで使って奉仕する。その際目は開いて、上目遣いで男の反応を伺う。右手は常に男の玉袋のお世話をし、左手は自分の股を弄ってこの後の準備をする。
見事な主人を喜ばせる夜のメイドの姿がそこにはあった。今のリサリサの姿を見て、誰が彼女があの高潔な波紋戦士リサリサだと考えるだろうか。
完全に堕ちたように、男に奉仕するリサリサだが、その内心はまだ男への反抗心を消してはいない。
(これは、彼の、催眠のせい。無理やり体を動かされているだけ……私の意思では、ない……ッ♡)
リサリサの最後の一線はそこにあった。
どれだけ卑猥なことをさせられ、体を開発されて弄ばれようとも、それは全て吸血鬼によって催眠をされて無理やりやらされていること。
この男は、私の心までを操ることは出来ない……!
そう言い聞かせて、彼女はありとあらゆる陵辱に耐え、心を殺しながら男のメイドとして仕えてきたのだ。
「ふぅ、いいぞリサリサ。今夜最初の一発をお前の胃に注いでやろう!」
びゅるるるるる!
「んんっ……! んぐっ、んっ……ごく、ごく」
喉奥へと射精された男のザーメンを、リサリサはもう拒絶する意思も見せず飲み干していく。
(また、こんなに出して……。飲み干す身にもなってほしいわね。まぁ、操られているから全部飲むしかないのでしょうけど)
口内に感じるイカ臭さも、粘ついた苦い精液の味も、リサリサにとってはもう慣れたものだ。
最初は意地でも体に入れたくないと思っていた男の精液も、今では体を操られているから仕方ないと思うだけで、それを飲み込むことの嫌悪感は存在しない。
(今日はちょっと粘つきが足りないようね。血の鮮度が悪かったのかしら? 新鮮な血をまた補充しないとね)
それどころかその精液が舌に当たる感触だけで、違いに気づき、男の体の調子を判断して新しい血の補充方法を頭に思い浮かべるリサリサは……もう彼女が気づいていないだけで、ほとんど心まで吸血鬼のメイドに堕ちかかっている。
「んはぁ……射精していただき、ありがとうございますご主人様。それでは、次は私のマンコでご主人様の昂りを鎮めさせていただきます」
精液を飲ませていただいた感謝を告げ、男の逸物に跨るリサリサに迷いはない。それはいつもしている行為であるからであり、彼女自身の秘部ももうびしょびしょに濡れてそこに男の剛直を受け入れるのを望んでいるからだ。
「く、く、く……」
「? どうしましたか、ご主人様?」
だがそんなリサリサの姿を、男はあまりに滑稽な物を見るような顔で嗤っていた。
それは写真に書かれた食べ物を、そうとは知らずに取ろうとする猫を見て笑うような、あれは偽物なのに必死に取ろうとして馬鹿で可愛いなぁと笑う目だった。
「リサリサ、お前はいつから自分は催眠にかかっていると錯覚していた?」
「…………はっ?」
男の言葉、その意味することをリサリサは理解することを拒否した。口から溢れた声は、あまりに間抜けで、彼女らしからぬ声。
そして、意味をゆっくりと体に浸透してきた時、リサリサは自分が今まさに膣穴へと導こうと肉棒を握る手が自身の意思で動いてることに、ようやく気づいた。
自分はすでに体への催眠を解かれている。
だが、その事実に気づいてもリサリサの体は男を攻撃することも、男から離れようと動くこともない。まるで固まってしまったように、その行動の全てを止めてしまっていた。
「いつから、って聞きたそうな顔をしているから答えてやろう。一週間前からだ。君は、一週間も前から自分の意思で、私に毎日仕えて奉仕を続けてくれたのだ」
「そ、んな……馬鹿なこと……ッ!」
あり得ない。戯言だ。だが言葉とは裏腹に、リサリサの意思は自由が戻った今も男に反抗することを……ご主人様に歯向かうことを躊躇していた。
「認めたらどうだ、リサリサ。お前はすでに、身も、心も、俺の物に堕ちていたのだと言うことを! その証拠に、お前は自分の意思で俺を喜ばせようと、毎日その体を使って俺の世話をしてきたんだからなっ!!」
「あっ……ああっ……!!?」
リサリサの、決して砕けないと思っていた黄金の意思がひび割れていく。
自身の夫を殺した唾棄すべき吸血鬼の一人である男に、自分の意思で汚れた肉棒を咥え、その上で腰を振っていたという事実に。
波紋戦士リサリサの高潔な魂は今――!!
「お前はもう、吸血鬼の奴隷なんだ」
「――――ッオ、お゛お゛ぉぉぉオオオ゛ッッーーーー!!?」
男が突き刺した肉棒が、リサリサの膣を、矜持を、黄金の意思を真っ二つに引き裂いた。
「お゛お゛っ、いや、いやぁぁ!! やめて、やめてちょうだい!! ゆる、許してください!! んひぃぃッ!!」
リサリサの心は完全に折れてしまった。
みっともないほどに泣き叫び、心からの許しを乞う彼女の姿に、吸血鬼と戦い続ける生涯を選んだ誇り高き波紋戦士の面影はない。
今の彼女は自分の尊厳も、誇りも、夫への愛さえも踏み躙られた、哀れな女性でしかないのだ。
「ハハハッ!! いいぞ! その顔が見たかった!! リサリサよ、お前のその泣き叫び無様に懇願する姿こそ、俺が求めたお前の姿だッ!!」
逃げようとする彼女の両手をがっしりと掴み、すっかり男の形へ開発され尽くした膣穴へと肉棒を叩きつける。
波紋もなく、心も折れたリサリサにその手を振り払う力なんてあるはずもなく、彼女はただ男の望むままに肉棒を締め付け、悲鳴で男の加虐心を満たす、おもちゃでしかない。
「イぎゅぅ、イクッ……! いや、もう気持ちいいの、やめて……! これ以上されたら……私……!!」
「ああ、二度と元に戻れない。俺の雌豚にしてやるとも!! フンッ!!」
「お゛っぶぅッッ♡♡♡」
逃れようとするリサリサが、勢いよく腰を突き上げた男によって子宮口を貫く剛直によって黙らされる。
自分が壊される恐怖を塗り潰すような果てのない快楽の波が、リサリサの全てを男の望むままに支配していく。
「あ゛ひっ♡ あ゛ぎゅっ♡ ダメ……♡ ダメなのに……!♡ ごれ、ご主人様のチンポ……お゛ッ、ジョージのより、気持ち、イクぅぅッッ!!」
そしてついに決定的な決壊が始まった。
リサリサにとって何よりも大切な彼女の戦う原点であったジョージへの愛。
それが今、吸血鬼の陵辱によって吹き消され、上書きされようとしている。
「そうだ、リサリサ! お前に相応しいチンポはなんだ!? お前が愛すべきチンポの持ち主は誰だ!? お前が生涯をかけて仕えるべき男は誰だ!?」
「そ、それは……それはぁ……!!♡♡」
ジョージだと、もう今のリサリサは即答できなかった。
彼への愛は、彼が死んでもずっと自分の中にあり続けると思っていた。
彼が常に。自分の心の側に立ち続けてくれると。
でも違った。男に身も心も犯され、今まさに夫への愛さえも陵辱されようとしているのに、リサリサのこれまで貫いてきた愛に答えてくれる夫は現れない。
すでに死んでいるのだから当然だ。
だがその当然が、今まさに自分に快楽と言う愛を与えて満たしてくれるご主人様との、決定的な違いだった。
「俺を愛すると誓えば、お前を吸血鬼にして、一生お前を可愛がって幸せにしてやろう! どうだ、もうお前をしてくれない死んだ夫か、お前を今もこれからも永遠の絶頂に導いてやる俺か!?」
その残酷な質問に、リサリサは。女としての喜びを思い出させられたジョースター家の女は。
(ごめんなさい、ジョージ。あなたのこと、愛していたわ)
「――――私が愛しているのは……ご主人様、あなたただ一人です♡」
全ての宿命も憎しみも捨てて、最低最悪の吸血鬼の女として、生涯を捧げることを選び取った。
「それでいい、リサリサ……いや、俺の新たな雌妻よ」
「んっ……♡」
見つめ合った二人は、まるで教会で捧げる結婚式の誓いのキスのように、その唇を重ね合った。
「ちゅ……んあっ……ねぇ、ご主人様。私のことは、エリザと呼んでくださらない?」
「ほう、それがお前の本当の名前か?」
「ええ、エリザベス・ジョースター。いえ、もうあの人のことは忘れるから、エリザベス・ストレイツォと名乗るべきかしら?」
そう言って、愛する男となった吸血鬼に自分の本名を告げるリサリサ、いやエリザベスの顔は心からの至福に満ちている。
新しい人生の門出を迎える新婦の顔とは、まさしく今のエリザベスの事を言うのだろう。
晴れやかで、清々しい表情。これからの主人との未来を夢見るエリザベスは、もしかしたらジョージと結婚した時以上に幸せだった。
「ふふ、その通りだ。俺の女となったからには、俺以外の男の跡など残すべきではない。いや、むしろ今すぐお前のファミリーネームを俺の名で上書きするか?」
「――っ♡ それは、素敵なアイデアね。なら、私はこれからエリザベス・⚪︎⚪︎⚪︎として生きていくわ」
「いや、それは俺の表の名だ。本名は別にある?」
「そうだったの? それなら聞かせてもらえるかしら……私の夫となる男の名前を」
エリザベスの言葉に、男はニヤリと邪悪な笑みを浮かべて。そして偉ぶるように、大仰にその名前を告げた。
「俺の名前は、ディゴス・ブランドー。イギリス出身の吸血鬼だ」
その名前が持つ数奇な運命の巡り合わせに、エリザベスは心からの驚愕を覚えた。
この男が、ジョースター家にとって因縁のあるあの男と、どんな繋がりがあるのか、はたまた単なる偶然か。
だが確かなのは今この瞬間、一人のジョースターが、ブランドーの名を持つ者に完全敗北をしたという事実だけ。
その皮肉な事実を、唯一理解していたエリザベスは……だがその運命を受け入れるように――――
「なら、私はこれからエリザベス・ブランドーとして生きていくことにするわ」
――――そのジョースター宿敵の男のファミリーネームを、誇りと共に受け継いだのだった。
1988年、日本。
戦後からようやく完全に復興を遂げ、あの痛ましい戦いの歴史をようやく過去にし始めた日本のとある裏通り。
加速的な近代化によって無数に建てられたビルや建物によって生まれた、複雑な道を形成するその場所を、一人の女子高生が死に物狂いで逃げ回っていた。
彼女は都会の高校に通う、普通の女子生徒だった。毎日学校に通い、授業によって真面目に受けたり受けなかったりをし、帰りに友達と近くのカフェに学校にバレなように行って、好きな男子について語り合う。
そんな何処にでもいる、ただの女子高生だったのだ。わずか数分前までは。
「ひっ、ひっ……ヒィィィッ!!」
逃げる彼女、その脳裏に思い出されるのは、人が人の首に噛みつき、その血を啜る瞬間。
たまたま塾帰りに、気分転換にといつもとは違う裏道を選び、高架下近くを通りかかった時に、それを見てしまった。
そのあまりに非現実的な光景に、少女は無我夢中で走った。元来た道に帰ろうと、必死に裏通りを走り抜ける彼女は、恐怖によって脳のリミッターが外れて本来の彼女以上の脚力で疾走している。
下手な陸上選手よりも速いのではと思うほどの速度で走る彼女の目に、ようやく裏道から大通りへと戻る出口が目に入った。
「ぁっ……や、やった……!」
無事逃げ切れた。そう少女が安堵を覚えてしまうのは無理もなく、彼女はなんとか不用意に踏み込んでしまった異常から日常へと戻ろうと残るエネルギーを振り絞ろうとし。
「まったく、こんな小娘に見られていたなんて。手間をかけさせるものね」
「えっ……?」
すぐ真横から響いてきた美しい女の声。
先ほどまで誰もいなかったはずの裏道の日陰に、いつのまにか長い黒髪をはためかせた、サングラスをかけた長身の女が立っていた。
だが、少女の目を惹きつけたのはその女のあまり整った美貌だった。
二メートルはありそうな長身に、少女の胸まであるんじゃないかと思うほどの美脚。ウエストは海外のモデルのように細く引き締まっている。身に纏う肩を露出したドレスから覗く肌は、透き通るほどに白く美しい。
そしてドレスの下からでも存在を主張する膨らみは、彼女のスタイルにぴったりの美乳であることを見る側にわからせるだけの美しさがある。
そしてそんな女の理想とも言える究極のプロポーションを持つ女の顔もまた、その容姿に似合う、いやむしろそっちの方が美しいとさえ言えるほどの美貌を持っていた。
顔立ちは間違いなく日本人ではなく、白人のそれで、少女はここまで人種で美しさに差が出るのかと釘付けになってしまう。
それほどに美しく、まるで人間ではないんじゃないかと思わせる現実離れした美女の姿は、少女に走る事を忘れさせ、その足を止めさせるには十分だった。
そして、それが間違いだと気づいた時には、すでに少女の命運は尽きていた。
「おごっ……!?」
「たかが人間風情が、夫の手を煩わせないでもらえるかしら? あなたたちは、私たちの家畜でしかないのだから」
目にも止まらぬ速さ。気づいた時、少女の首は女の手によって鷲掴みにされ、彼女の体を宙吊りにさせていた。
息を吸うことさえできない、女の見た目では想像できないほどの握力。
首の骨がギシギシと痛み、少女の柔な首が今まさにへし折られ……そして大きく口を開き、人間ではあり得ない八重歯を覗かせた絶世の美女の姿が、少女の見た最後の光景となった。
「じゅる……じゅるるる……じゅずずっ……」
「なんだエリザ、もう片付いたのか?」
日の当たらない暗闇の中、先ほどまで少女だった物の首に噛みつき血を啜る美しい女性の後ろから、金髪の男が馴れ馴れしく声をかけた。
「じゅっ……んっ。ええ、ご主人様。この通り目撃者は、ただの搾りカスよ」
その男に答える女性、エリザベスは干からびてミイラのようになった少女の死体を地面に投げ捨てた。
グシャリと、人間を遥かに超越した力で地面に叩きつけられたかつて人であった塊は、一瞬にして粉砕、土の染みとなった。
「さすがは、俺のエリザだ。他の吸血鬼とは違って、相変わらず鮮やかな手並みだ」
「他の吸血鬼たちが間抜けすぎるのよ。たかが人間一匹に手こずるほど、やわな人生は送っていない」
「ふふ、その通りだ。エリザ」
凛々しく、屹然と男の前に立つエリザベス、かつての波紋戦士リサリサは、まるで在りし日の彼女そのままの力強さを感じさせる。
だがかつてと今で決定的に違うのは、リサリサ、今の名をエリザベス・ブランドーを名乗る彼女は吸血鬼であると言う事だ。
かつての敵対者であった者の一人となり、人間を襲う吸血鬼であることに誇りと、人間への侮蔑を抱く、身も心も堕ちた闇の存在。
それが今の彼女だ。
恐るべきは、彼女が波紋戦士として培った技術はそのままに、彼女が吸血鬼へとなったことだろう。
当然以前のように波紋を練ることも、使うことも出来ないが、それに引き換えて手に入れた人間を超越した身体能力、そして数々の異能の力は、皮肉にもエリザベスをより戦士として高みへと導いた。
「私はご主人様の妻よ。ご主人様の剣として、盾として、常に自分を律し生きるのは当然のこと。それだけ、私はあなたを愛しているのだから」
「ああ、ああ……わかっているともお前の俺を思う気持ちは。だが、二人きりの時はいつもの雌に戻っていいんだぜ」
「――――ッ♡♡ あっ、はい♡ わかったわご主人様♡♡」
男の手がむんずとエリザベスの尻を鷲掴むと、一瞬にして彼女の凛々しかった顔が、淫らで情欲に染まった、だらしのない雌豚の姿へと変わっていく。
「今日は、お前を手に入れてから六十年目の記念日だ。一週間はハメ殺してやるから覚悟しろよ」
「ぁぁあ♡ ハメ殺し♡ ええ、楽しみですご主人様♡ どうか私の体を、これからも末永く飼ってください♡♡」
そう言うエリザベスの頭に、もはやかつて人間であった頃の記憶も感情も存在しない。
六十年間、吸血鬼にされてから毎日男と交わり、人の生き血を啜って生きてきた彼女は、もう身も心も化け物になってしまったのだから。
いや、むしろ生きてきた年月を思えば。かつての波紋戦士リサリサの頃の彼女がまやかしで、この吸血鬼エリザベス・ブランドーの姿こそが本来の彼女のあるべき姿だったのかもしれない。
「愛してるわ、ご主人様♡♡」
少なくとも、男に愛を捧げるエリザベスはそう思っているのだから。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
オリ吸血鬼くんのブランドーは、ディオの父親であるダリオが昔ヤリ捨てた女の子供の息子という設定だったり。なので貧困街出身で、だからこそ上品な雰囲気を漂わせるリサリサ先生に一際執着していました。
ジョジョの女キャラのエロ小説ってマジ見た事ない。いやまあ、絵柄が独特すぎるから需要がないのはわかるし、ジョジョにエロなんて必要ねぇ! という気持ちもすごく共感できるのだが、それはそれとして一個もないのは悲しいので書いてみました。
そのうち徐倫も書いてみたいな。
ジョジョは七部が一番好きなので、早くアニメ化待ってます。早くリンゴォ戦やサンドマン戦、11人の男戦を神作画で見てぇよォ! 大統領の劇的ビフォーアフターをテレビで見てぇよォ!!
100話達成記念で見たい陵辱系の後日談はどれ?
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