これは後日談。邪悪な男によって心を変えられた少女たちのその後の話だ。
だからまずもって救いはない。あるのは悪魔の笑う筋書きだけだ。
トロと催眠で無理やり彼の恋人にされたアヤセとエリーは、その後聖エルミン学園で起こった氷の女王事件に巻き込まれた。
氷に包まれた学園を何とかするために立ち上がった何人かのペルソナ使いたちに続くように、一応ペルソナ能力を持つトロは自分の命は惜しいからと消極的ながら協力することになった。
だが問題となったのは、彼のペルソナ。彼のペルソナは不完全なのは承知の事実だが、彼が強力無比だと思っていた催眠の力は、なんと悪魔には全く効かなかったのだ。
つまり、彼は肝心の悪魔との戦いにおいて戦力外だったのだ。
これでは使い物にならないどころかお荷物でしかないが、彼の恋人たちであるアヤセとエリーは違った。
二人のペルソナは戦闘向けで、ただでさえ少ない悪魔と戦える人材として貴重な戦力だったのだ。
だからトロはあくまで自分は後方担当として彼らに協力、主に生徒の噂を集める役回りを担当し、アヤセとエリーは学園から繋がる謎の塔の攻略に乗り出すことになった。
ここで幸運だったのは、トロと恋人関係になった二人はトロを助けるという覚悟の元でメキメキ実力を伸ばし、事件解決に大きく貢献することになったことだ。
そして雪の女王事件が解決し、それから程なく町を包んでいた謎の霧の問題も外に出ていたペルソナ使いの少年少女たちによって解決され、町は平和を取り戻した。
トロの恋人になったアヤセとエリーという大きな変化を残して。
「ダーリン♡ 今日の放課後、駅前のカフェでカップル専用パフェ食べにいかない♡」
「いけません。彼は私と一緒に新作の映画を観に行くのですわ」
「え〜、そんなのよりアヤセと一緒にデートするのが絶対楽しーし!」
「あら、どうでしょうか。今日観に行く映画は彼が新作を楽しみにしていた続編映画ですわ。どうせDateするなら、好きな物が見れる私とのDateを優先するのではなくて?」
聖エルミン学園に向かう通学路で、一人の男子生徒を挟んで二人の少女がそれぞれ男の腕に抱きつきながら歩いていた。
右腕に抱きつくのはエルミン学園のスクールカースト上位にいるギャル、綾瀬 優香だ。最近少し胸が大きくなってきて、そのだらしのない制服スタイルの脇から谷間が見えそうだと、男子生徒たちの間で噂になっている。
左腕に抱きついているのはエルミン学園一の美少女と名高い帰国子女のお嬢様、桐島 英理子だ。ただでさえ高身長で美人と、目を引く容姿だった彼女が最近目に見えて色っぽくなったと彼女に片思いしていた多くの男子や、わずかな女子の間で騒がれていた。
「ねぇ、ダーリン。私とエリー、どっちとデートするの!」
「言ってあげてください、あなたの一番は私だと」
「へ、へへへ。困ったなぁ、もう……」
そんな魅力的な二人の美少女を両手に侍らせて登校するなんて全男子生徒が羨む立場にいる男こそ、横内 健太、通称トロ。
デブで不潔で、オタクのコミュ障。そんなスクールカースト最低位の男が、なぜあんな男の夢のような立ち位置にいるのか。
「じゃあ、三人で映画を観てからアヤセの言うカップルパフェを食べに行こうよ。店員には、二人とも僕の恋人だって言えば問題ないだろうし、ふふふ」
その理由を知る生徒たちは、悔しさと憎しみを込めてトロを睨みつけることしかできない。
あの喋りも行動もトロくさい、トロがアヤセとエリーという二人の美少女を恋人にしていると言う憎き事実を。
二人を恋人にした際、トロは周りに何と説明するのか欠片も考えていなかった。
ただ彼女たちを自分を馬鹿にしてきた連中に見せびらかすことだけを考えていて、なぜ恋人関係になったかの理由付けを忘れていたのだ。
愚かを通り越して救いようのない無能さだが、雪の女王事件が収束した際にエリーの方からその理由付けとなるカバーストーリーを提案されたのだ。
その大まかな内容は簡単だった。
町が霧に覆われ、悪魔が出現するようになった際、悪魔に襲われて殺されそうになったアヤセとエリーをトロが命がけで守ったと言う内容だ。
あるあるの内容だが、もちろんそれだけでは説得力に欠ける。人間そんな簡単に恋には落ちない。それがトロのような人間的魅力が欠片もない男にならなおさらだ。
だから聡明なエリーは、それを恋の物語の起点に置いて、そこからいくつもの女の子が恋に落ちるようなイベントを付け足していったのだ。
誰もが、それだけの事があったならあの二人がトロに惚れるのも仕方がない、と認めざるほどを得ないほどのラブストーリーを捏造したのだ。
そのための絶好の材料は、あの事件の最中には有り余るほど存在していた。
いくつかの主要な恋を意識するイベントを三人で共有して、それを噂として流す。あとは勝手にトロたち三人の間に起こった数々のイベントを頭の中で妄想を膨らませた周りが、あのトロに二人が惚れるような自分が思いついた最強のラブストーリーを勝手に想像し、勝手に納得してくれる。
もちろん、それでも信じられない相手にはエリーやアヤセから直々にその噂は真実だと言ってやればあえなく撃沈するわけだ。
「あのトロが悪魔に襲われたアヤセとエリーさんを血だらけになりながらも守ったんだって」
「トロ、自分の分の食糧をずっとアヤセとエリーにあげてたみたい。あいつあんなに大食いだったのに、良いところあるんだね」
「弱ってたエリーさんを安心させるために一晩中慰めてあげたらしい」
「足を怪我したアヤセを治るまでずっとおぶってあげてたんだって」
「悪魔と戦える力を持った二人を助けるために、戦う力もないのに危険を顧みず二人をサポートしたんだぜあいつ」
「悔しいけど、トロに惚れちまうのもわかる」
「あいつにあんな男気があったなんて」
「仕方ない」「認めよう」「お幸せに」「二人を泣かすなよ」「おめでとう」
「く、くひひひ、ははなは!! みんな本当馬鹿だよねぇ」
勝手知ったる自身の自室で、トロは嘘八百の話を信じ込む馬鹿な生徒たちを嘲笑っていた。何せ一から十まで作り話な物語を美談(笑)だと言って、彼を褒めてくるのだ。
仕舞いには校長先生にまで噂が届き、友人想いの素晴らしい生徒として表彰までしたのだ。これが可笑しくなくて何が可笑しいというのだ。
「あら、そうですか? 私は結構好きですよ、あの話。特に私が瀕死のあなたを助けるためにKissをしたところ。ふふ、みんな素敵な話を考えてくれますよね」
「えー、あの話の中のアヤセ、ちょっとダーリンに厳しすぎじゃない? アヤセはダーリンのことを蹴ったりしないのに。まぁ、ダーリンが爆風で吹き飛ばされたアヤセをお姫様抱っこで助けてくれる所は褒めてもいいけど♡」
笑うトロの後ろと前から、件の噂の主役である二人の少女がその美談での自分たちのお気に入りのシチュエーションをそれぞれ口にする声が聞こえた。
トロが座る自室のベッド。一切服を身につけていない彼の背後には、同じく素肌を晒したエリーがその豊満な胸を男の背中に押し付けながら、その男の耳やうなじを舌で愛撫し、綺麗な指先で男の乳首をクリクリと弄っていた。そして彼の膝の間には、当たり前のように全裸のアヤセが男の股間、勃起したペニスへと奉仕している。
もはや日常と化した二人からの奉仕を堪能しながら、トロは二人の言うお気に入りのストーリーの内容に気分を良くしていた。
嘘の話に踊らされる彼らを馬鹿にするくせに、嘘の話の自分が活躍する話は好きと、トロの性格は相変わらずひん曲がっていた。
「ぼ、僕はね、最後の雪の女王の配下にボコボコにされた二人を助けるために駆けつける僕のシーンが好きだなぁ」
自分がカッコよく活躍するシーンをお気に入りに上げるあたり、彼の小物らしさが現れている。
ちなみに、その嘘が他のペルソナ使いたちにバレる恐れはない。あの事件の最中、アヤセとエリーは何度かトロに会いたいがために別行動を取っていた。彼らが広めた噂はその際に起きた出来事として、違和感なく入るようにきちんとエリーによって調整されているのだ。
トロがお気に入りとしてあげた雪の女王との戦いの話も、実際にその時アヤセとエリーはメインメンバーが雪の女王と戦っている間、別の場所で本当に雪の女王の配下と戦っていたのだから。
最も、その際は二人とも危なげなく配下を倒しているのだが……残念ながら証人は当人たち以外おらず、その当人が嘘八百を進んで並べているため誰も真実に行き着くことはないのだ。
「ふふ、確かにあれは最後のClimaxとしてFantasticでしたわ」
「わかる! ダーリン超カッコいい⭐︎」
嘘の物語とは言え、自分たちのピンチを救いに来る恋人の姿は二人を喜ばせるのには十分だ。
最も現実のトロは、二人がピンチになるような事態になったら真っ先に見捨てて逃げ出すだろうが。
「そういえば。この間演劇部から私たちの
「あー! アヤセも聞かれた。しようきょか? が欲しいって」
「ふひひっ、それは最高じゃないか! 僕と二人のラブラブストーリーがみんなに伝わるんだからね」
エルミン学園の中でも特に有名な演劇部が演じる劇にまで選ばれるとは、どうやら単なるカバーストーリーは予想以上の影響を他方に及ぼしているようだ。
最もトロにしてみれば、その話が有名になればなるほど、自分と恋人二人の関係は周りからのお墨付きということになり、何もしなくても祝福されて自分の評価が上がると良いこと尽くしなので是非とも広めてほしいところだ。
「そうおっしゃると思って、すでに許可しておりますわ。たださすがに私たちが在学中の講演は無理でしょうから、観にくるのはOBとして結婚した後、ということになりますわね」
結婚。その言葉を発した瞬間、エリーの持つ雰囲気が変わった。それはアヤセも同じで、まるで獲物を狙う蛇のようにその目を細め始める。
「ねぇ、ダーリン。私たちあと少しで卒業だよね?」
アヤセが普段の彼女の頭の悪そうな口調とは真逆の、女の色気を感じさせる声のトーンで喋り出す。
唐突に変わった部屋の空気に、トロは目を白黒させながら頷くしかできない。
そう、彼ら三人はもう三年生。それもあと少しで卒業を控えている。本来ならこんな爛れた性活を続けている暇などないのだが、トロは鼻から進学するつもりがなく、エリーはこんな日々を続けながらも成績上位をキープするほど頭が良く、アヤセはなんとカリスマギャルとしてインフルエンサーの地位を確立して、雑誌に引っ張りだこなのだ。
そしてトロはそんな二人の恋人にそのまま寄生して生きる気満々である。清々しいほどのクズだが、彼女たち二人はそれで納得している。
だがその中にあって、彼女たちにとって重要な問題があった。
「ところで、実はあなたに今日はとっておきのPresentを用意したんです」
「少し早めの卒業祝い、ってやつ⭐︎」
おもむろに立ち上がったエリーとアヤセはトロから離れると、それぞれ脱ぎ捨てた制服のポケットから何かを取り出した。
トロの位置からは何か小さな棒のような物としかわからなかったが、二人はそれを後ろ手にトロの前まで戻ってくると、一斉にその手の物を彼の前に晒した。
「ふふ、これ何かわかりますか?」
それは一見体温計のような形をしていた。白いスティックのようなそれの中心には、まるで何かのサインのように赤い縦線が二本。
「これ、妊娠検査薬って言うんだよダーリン♡」
「……えっ?」
「ええ、ちなみに赤線の意味は、
それは、まさしく爆弾のような衝撃となってトロを襲った。
妊娠? 誰が? エリーとアヤセが? 二人同時に? 誰の? 俺の子供を?
混乱した頭は事実を確認するのに数十秒を要し、そしてようやく整理をつけた時トロは二人のお腹へとその手をのせた。
「あ、あはは……妊娠、俺の子供を……く、くひひ……やった……やったぞ! ふひひひっ……アヤセとエリーに俺の子供を妊娠させたんだ!!」
そして理解した瞬間、トロが上げたのは勝利の雄叫びだった。妊娠、二人の卵子を自分の精子が貫き、二人の遺伝子に自分という雄を混ざり合わせた証拠。彼女たちを完全に自分に染め上げたという最後の証だ。
「ふふ、ええそうですわ。私たち、これで名実共にあなたの家族、と言うことになりますわ」
「これからは、恋人じゃなくてママとパパになるんだからね♡ 今から子供の名前考えないとね」
「「でも---その前に」」
明るい声をしていた二人の声が一転、淫魔のように蠱惑的な響きに変わる。
歓喜していたトロの心は再びその声に硬直を余儀なくされる。
二人が今度は鞄から何かを取り出す。それは今度はすぐにわかった。紙だ。ピンク色の紙。
二人は紙をそれぞれ一枚ずつ持って、それをトロの前に置いた。
『婚姻届』
[横内 健太] [綾瀬 優香]
[横内 健太] [桐島英理子]
「あ、えっ……?」
トロの前に差し出されたのは、婚姻届、つまり結婚のための書類だ。
記入する欄の全てが埋まり、驚くことに保護者の判子まで押されている、今すぐにでも区役所に提出できる準備が整った二枚の紙。
「My dear、あなたは私とアヤセさん……どちらを
「安心して、別に選ばれなかったからってダーリンを嫌いになったりしないよ」
「ええ、選ばれない方は
「これは女の問題、ってわけ」
いつのまにか、部屋の空気が数度近く下がった気がするのは気のせいだろうか。二人から放たれる空気が、肝っ玉の小さいトロの心を震わせているだけなのか? それとも本当にその気迫だけで、気温を下げているのか。
少なくとも、今この瞬間二人の少女たちは本気だった。
心を操られ、偽の恋心を植え付けられ、尊厳も何もかもを破壊された上に、二度ともみ消すことのできない風聞を広められ、その身に赤子を宿されて、そして今男へ結婚を迫る姿は実に滑稽だろう。
だがそれを笑う勇気はトロにはない。彼は完全にそんな憐れな少女たちの気迫に完全に気押されていた。
「さあ、決めてください。横内 英理子か」
「横内 優香か」
「どっちにあなたの
「どっちをダーリンの妻として見せびらかしたい?」
「私にWedding dressを着せて、Red Carpetを歩かせたくないですか?」
「カリスマギャル 綾瀬 優香を人妻ギャル 横内 優香に改名させたいでしょ?」
「大学で
「アヤセと結婚したら、雑誌にダーリンとの惚気話を載させて、日本中に私がダーリンの妻だって教えてあげる」
「帰国子女のお嬢様な奥さんか」
「インフルエンサーのギャルの妻か」
「「どっちがいい?」」
「「それとも」」
「新婚夫婦の家に毎晩お邪魔する現役女子大生の
「周りに内緒で、雑誌で有名なカリスマギャルと浮気したい?」
「奥さんが雑誌のインタビューを受けて、「私と彼はラブラブなんです」って答えている裏で私のマンコで
「大学で必死に勉強して、誘いを受けても「夫が家で待ってるので」って断る妻を裏切って、アヤセの子宮に精液ぶちまける?」
「でも、気をつけてくださいね。そんなこと続けてましたらあなたの奥さん、雑誌の取材でたまたま出会った顔だけが取り柄の
「そんな浮気してるとあなたの妻、きっと知らない間に大学のヤリサーに捕まって、酔わされて輪姦されちゃうかも♡」
「あなたの奥さん、深く考えずに行動することが多いですから。きっと不用意に仕事相手について行って、Rapeされてしまいますわ♡」
「あなたの妻って、用心深いけどたまにうっかりミスするとこあるじゃん? きっと、出された飲み物に睡眠薬入ってることに気づかず飲んじゃって、そのままサークル中の男共にオマンコパコられちゃうって♡」
「脅されて、最初はイヤイヤだけど……知ってますわよね? あの子のマンコは弱々ですから。すぐにあなたとのSEXを上書きされて、あなたじゃない男のことをDaring、Daringって呼びながらあなたを裏切りますわ」
「夫のあなたはよくわかってるでしょ? あいつ生粋のドMだから、自分のことをめちゃくちゃに犯してくれる奴なら誰だってガチ恋しちゃうチョロマンだよ。そのうちリーダー格の専用マンコになってあなたに寝取られビデオレター送ってくるのよ」
「「だから」」
「そんな最低な人より、私を最初から選びませんか? 私は絶対にあなたを裏切りません♡ だって私の体はもうあなた以外の人じゃ感じない体になってしまったんですから♡ 絶対に寝取られない、あなた専用お嫁さんマンコ、毎日使い倒しましょう♡」
「あんな最低女、あなたが選ぶ価値ないわ。アヤセは絶対そんなことしないよ。だってアヤセはダーリン以外の男最初からこれっぽっちも信用していないから。ダーリンのことしか頭にない、四六時中ダーリンとエッチすることを考えてる淫乱ギャルと毎日無責任中出しキメまくろう♡」
「さあ---」
「ねぇ---」
「「
ここまでお読みいただきありがとうございます。
女神転生異聞録ペルソナも罪罰に次いでリメイクしてほしい作品ですね。私は漫画から作品を知った人間なので原作のあまりに違いすぎるキャラの絵にびっくりした思い出があります。
この作品で作品に興味を持ったなら、私が一番好きなキャラであるレイジが大活躍する漫画版を是非手を取って彼のカッコ良さを堪能してください。
100話達成記念で見たい陵辱系の後日談はどれ?
-
オクトパストラベラー
-
月が導く異世界道中
-
龍が如く
-
イリスのアトリエ
-
ジョジョの奇妙な冒険
-
異世界はスマートフォンと共に。
-
銀魂
-
仮面ライダーシリーズ
-
デビルメイクライ
-
ペルソナシリーズ
-
聖女の魔力は万能です
-
Fate/Samurai Remnant
-
百錬の覇王と聖約の戦乙女
-
SAO
-
名探偵コナン
-
ハズレ枠の状態異常スキル
-
魔法科高校の劣等生
-
ハリー・ポッター
-
悪役令嬢レベル99
-
忍の一時