もしアリスが帝国アドラーの腐ったアマツの男に捕まったら?
シルヴァリオシリーズ(サヤ、アヤ、リナ)の続編です。
帝国アドラーの市街地。丑三つ時を過ぎた暗い路頭は酔っ払い一人いない無音の世界。それはここら一帯が高貴なる貴種のみが住むことを許された高級住宅街であるのが大きい。下賎な市民や低俗な一般兵士が入る事は不可能なここら周辺は、夜中になると時折訪れる警備の人間以外の存在が消え去ってしまう。
選ばれた者のみが住まう事を許されたこの地で、今まさに影法師のように朧げに動く存在があった。その影は人の形をしていたが、それはまるで蜃気楼の如く存在感が希薄で、たとえ目の前にいたとしても普通の人間は気づかないだろうほど。
ならば幽霊の類いかと思われそうだが、それは違う。ただその人影が草場に咲く雑草よりもか細いほどに自身の存在感を意図して消していると言う、単純ながら末恐ろしい技術によるもの。
帝国アドラーの中枢とも言える高官たちが多く住まうこの市街地で、そのような行動を取る存在など明らかに不審人物に違いなく、事実その影はこの場所に悪意を持って侵入しているのだから。
「さーて、お・し・ご・と…………始めちゃおうかしら♪」
それは美しい少女だった。薄紫色の色彩を持った髪をツインテールに結び、男を誘惑する
少女の正体は男の精気を吸うサキュバスであると言われても納得してしまうだけの妖しい魅力を放つ彼女の名は、アリス・L・ミラー。
表向きはアドラーに旅芸人の一座の花形としてやって来た踊り子であり、その実態は凄腕の傭兵団としてその名声を轟かせる『暁の海洋』を統べる頭領。本人自身も並の兵士どころかアドラーが誇る精鋭でさえ正面から相手取って撃退出来る腕利きの傭兵なのだ。
それを証明するように、暗闇を進む彼女の身のこなしはその筋のプロから見ても驚嘆してしまうほどに鮮やかだ。暁の海洋の戦闘服、旧西暦に存在した中華服のようなコスチュームを纏うアリスは完全に暗闇に溶け込んでいる。それも気配だけでなく呼吸、足音、臭いに至るまでの全てがである。
独自の体術と呼吸法を高次元で融合させたその動きは、多くの暗殺者や密偵が傭兵にしておくには惜しいと賛辞をあげるほど見事であり、故にアリスがその愛らしい外見とは反するほどの卓越した戦闘者である事を物語る。
「さぁて、わる〜いわる〜い豚さんのお家はここかしらぁ?」
揶揄うような口調の一人言をこぼしながら、アリスが住宅街の中でも飛び切りの豪邸の裏門前で止まる。
そして言葉とは裏腹に、彼女はここが今回の依頼のターゲットの家である事はすでに何度も行った下見で熟知している。彼女はプロだ。プロが侵入する家の内見もせずに一発勝負なんてする訳がない。アリスは数日前からこの家とその周辺の警備体制を完璧に調べ上げていた。
高級住宅街を警備する軍人たちの警邏ルートは当然のこと、侵入する家の警備員の数、番犬の種類から万が一の逃走ルートの確保。それら貴族の家に侵入する上での初歩の初歩と言うべき鉄則はもちろん、本物のプロであるアリスはそこからさらに色々と調べ上げていた。
先に言ったように、彼女は表向き旅芸人一座の踊り子としてアドラーに訪れている。つまり酒場を活動の拠点に、酔って口が軽くなった男共を相手にしていると言う事。
それこそアリスの美貌を目当てにやって来て、彼女にちょっと甘い囁きやお誘いをされてしまえばベッドの上で機密情報をベラベラと喋ってしまう男共を相手に、だ。
「は〜い♡ それではお客様として、堂々表から入らせてもらっちゃうわね〜」
ガチャリッと、自分の上で腰を振ることに夢中になっていたこの家の警備員が持っていたマスターキーを、暁の海洋団専属の彫金師に作らせた偽のマスターキーで平然と裏門の扉を開けるアリス。
ショップにふらりと立ち寄るような気軽さで貴族の屋敷へと侵入した彼女は、そのまま音もなく広大な庭を僅か一分とかからず警備員にも犬にも見つかることなく本邸へと入り込む。
警備員の目だけでなく犬の嗅覚さえ誤魔化せたのは、彼女が番犬の種類からその犬が苦手な人間には認識できない臭いを放つ香水を付けているからこそ。アドラーの精鋭暗殺部隊でさえここまで手際良く侵入を果たせる者は少数だろう。
そして屋敷内のマップも完全に頭に入っているアリスは、数分とかからず目的の地、この屋敷の持ち主の不正の証拠がたっぷり詰まった執務室へとたどり着いた。
アリス・L・ミラーが受けた依頼。それは暁の海洋のお得意先であるアンタルヤ商業連合国からのアドラーに住まう貴種を強請るための情報の奪取。
十氏族と言う十の豪商一族が共同で運営する国家という名の巨大複合企業と言うべきアンタルヤは、常に氏族同士紛争や経済戦争を繰り広げている。彼らの最上命題はアンタルヤの盟主となって他の氏族たちを統べる存在になること。そのためにこう時として、敵国であるアドラーの上層部の誰かの弱みを握り、自身に出資させることで氏族内での立場を上げたりと言うのは割とどこの氏族もやっていることなのだ。
そしてアリスが今回受けた依頼も、自身の十氏族内での立場をより磐石にするためにと、ある氏族の長がアドラーで適当な金づるを欲したと言うのが背景にある。
大陸屈指の軍事力を誇っていた軍事帝国アドラーも、優れた統治者がいなければ古くさい血統至上主義に溺れた国でしかない。事実今のアドラーは有能な兵士を無駄に消耗して、無能な高官たちは国の繁栄よりも私腹を肥やす事しか考えていないと言う滅亡間近な国の典型のような状態なのだ。
そしてアリスが忍び込んだこの屋敷の持ち主もまた、そんな私腹を肥やす事しか頭にない無能な連中の一人。故に良心も欠片も傷まないし、むしろざまぁ見なさいと思える素敵な仕事なのだ。特に彼女にとって、今のアドラーの兵士の質は一部を除いて過去の栄光が見る影もないほど低下していて、お話にもならないレベル。正直、日夜紛争と暗殺合戦を繰り広げているアンタルヤ国内の方がよほど個々の兵士の質は上と言っていい。
「なーんか拍子抜けしちゃう。軍事帝国アドラーも本当に落ちたものね」
執務室から目的の不正やら他国からの秘密の援助やらの証拠を盗み出したアリスは、あまりの呆気なさに軽くため息をついた。
(これじゃ、自分が出る幕でもなかったわね。後身を育てるために、素養がありそうな子にやらせてみた方が良かったかしら)
内心アドラーの警備体制は暁の海洋団新人の練習台程度だと辛口な評価を下したアリスは、侵入した時と同じルートを辿って気配もなく屋敷を後にしようとする。
使用人や数人の警備が歩く廊下を、誰一人気づかれる事なく戻って行く彼女は、そのまま外の庭へと繋がる裏口の扉に手をかけようとして----
「…………ッ!」
突如として感じた殺気に即座にその身を後方へと投げ出した。
ブォンと風切り音が鳴り響き、数巡前までアリスがいた場所を薙刀が一閃する。食らえば一瞬で胴体が半壊してしまったと確信出来るほどの威力が込められていると分かるその奇襲に、アドラーの低レベルな警備体制に油断していたアリスは心胆を冷やし、即座に自身の戦士としてのスイッチをオンにした。
「まさか、ご主人様の屋敷に小蝿が侵入していたなんて。警備の者には後で罰を与える必要がありそうですね」
響いた声に、アリスは表情を出さないまでも内心少し驚愕した。なぜなら聞こえたのは女性の声だったからだ。暗闇から僅かに覗く巨大な薙刀を、人間一人を肉塊に変えるような威力で振るえる存在がまさか同性の人間だとは、アリスの長い傭兵経験でも出会った事のない相手だ。
そしてコツコツとこちらに向かって歩いて来る女性が月明かりに照らされてその姿を露わにした時、今度こそアリスは表情を崩して少し目を丸くしてしまった。
どんな筋肉達磨の女かと思えば、出て来たのは水の入った樽さえ持てなそうなほど華奢な体躯をした二十代前半ほどの女性であったからだ。
「あら、どんな襲撃者さんかと思ったら、とっても素敵なレディとわね。ここは可愛い女の子同士のよしみとして見逃してくれたりしないかしら?」
「する訳ないでしょう。愛するご主人様の屋敷に土足で入って来た蛮行、ここで肉袋となる事で贖ってもらいましょう」
これは話が通じないわね、と即座に目前の女性がこの屋敷の主人に絶対の忠誠を誓っているタイプの人間であると認識して頭の中で逃走の手札を算出し出すアリス。戦って撃破すると言う選択は、ここが未だ相手の屋敷内である事と、先ほど見た明らかに常軌を逸した女の薙刀使いを見て消去した。間違っても屋敷中の誰にも気づかれる事なく倒せる相手ではないと。
「そう、それは残念。あなたみたいな可愛い子、お姉さん好みなんだけどなぁ」
「汚らわしい事を吐かないでください。うす汚い盗人風情がッ!」
怒声と共に目にも止まらぬ踏み込みで女性が薙刀をアリスの堂に向けて突き込んで来る。彼我の距離は五メートルは空いていたはずなのに、それを僅か一歩の踏み込みで薙刀の射程圏内に収めた彼女の身体能力の高さに、アリスはさらに相手の戦闘能力を大幅に上方修正しながら横に飛び退る。
「逃しませんッ!」
だが女性は即座に刃の軌道を突きから薙ぎ払いへと変えて逃げるアリスに息もつかせぬ追撃を行った。その一連の動作はまるで武芸のように鮮やかで、この刹那の切り返しが弛まぬ精進によって磨かれた技である事の証明。そんな見事な連撃にアリスは早くも体を一刀両断にされる…………よりも早く、壁を蹴り上げて横薙ぎの一閃を上に飛んで躱したのだ。
「残念♪」
「……ッ!?」
そしてそれは回避だけでなく、そのまま攻撃へと繋がる。空中に跳ね上がったアリスはそのまま飛び蹴りを無防備になった女性の頭めがけて振り下ろす。女性の連撃が武芸なら、アリスの動きは舞だ。蝶のようにひらひらと舞い踊り、しかし隙を見せた瞬間蜂のように刹那に強烈な一撃をお見舞いする舞踏。凡百の兵士など、彼女の動きについて来ることも出来ずその意識を飛ばされるのだ。
「舐めるなッ!!」
だがそれを受ける女もまた一流の武芸家であった。完全に不意を突かれたはずなのに、即座に片手を薙刀から離して頭をガード。鈍い音を響かせながらも、アリスの昏倒必死の一撃を完璧にいなしてみせたのだ。
だが----
「ええ、防ぐと思ってたわよ」
「!? しまっ----」
そのガードのために出された腕を足場に、アリスは相手を蹴り飛ばすのではなく、自身を蹴り上げるために放った足で空高く舞い上がった。そしてそのまま屋敷の二階へと体を踊らせた彼女は、もしもの時のために小さく開けておいた窓から外へと飛び降りたのだ。
「バイバイ、あなたのご主人様の汚い証拠、もらっていくわね」
回避、攻撃、逃走。それら三つをたった一つの行動で瞬時に成し遂げた彼女はまさしく暁の海洋を統べる存在に相応しい。さらには即座に自身を追跡出来ないように、女性へと煙玉をいくつか投擲していると言うおまけ付き。敵地で偶然敵の兵士と接敵してしまったスパイの取る行動として百点に近い対応だったと言えるだろう。
----接敵したのが、一人だけだったのなら。
「逃すと思っているのですか?」
「ええ、逃げられるはずもありません。あなたはすでに私の手中です」
「----なっ!?」
外へと飛び降りて地面へと重力に引かれて降り立つはずのアリスの体が、空中で不自然に固定された。同時に全身の四肢が引きちぎれるのではないかと思うほどの痛み。
慌てて目をやった腕には、極薄のチタン糸が巻き付いている。それが四肢に絡みついて自身を宙吊りにしているのだとアリスが気づいた時には、そのチタン糸を足場に迫って来たポニーテールの少女の拳が自身の腹へと叩き込まれていた。
「か、ハッ……!!」
胃液が逆流するような強烈な腹パン。その威力に一瞬で意識が刈り取られ行くアリスが最後に見たのは、こちらを塵を見る目で見つめる三人の美しい大和撫子たちの姿だった。
「まったく。僕の屋敷にこんな薄汚い鼠の侵入を許すなんて、大失態もいいところだ」
「返す言葉も御座いません。今日の警備を担当した者は、明日には東部最前線に配置換えさせます。もちろん、最低限の…………いいえ、それ以下の装備のみを持たせて」
市民の税金を贅沢に無駄使いして作られた貴種専用の高級椅子にふんぞりかえるシンジ。その彼へとしなだれかかるように右側からアドラー帝国軍人の制服に包まれた胸を押し付けながら、アヤが今回の警備ミスをした者たちへの罰の内容を提案する。
その瞳には今回の事態を引き起こした無能たちへの心からの怒りがこもっていて、声色には微かな殺意さえ感じられた。
「最前線への配置換え? いえ、それでさえ甘すぎます。もしシンジ様が許すなら、あなたの忠実な愛の奴隷である私サヤが、今すぐその無能共を処罰して来ます」
それに対してシンジの左側から彼に自身の太ももを擦り付けていたサヤが、こちらは隠す気のない警備の者への殺意を滾らせながら提案する。
彼女にとっても、愛する主人であり、いずれ生まれる自身の子供の父親となる男を危険に晒した連中は許されざる大罪人。死刑囚と大差ない存在なのだ。
「もちろんだ。貴種たる僕の警護も碌に出来ない無能なんて、我らがアドラー帝国の軍人には相応しくないからね。今回の警備長は見せしめとして殺して、あとは適当な最前線で肉盾にでもなってもらおう」
「「はい、わかりましたシンジ様」」
アドラー帝国にとって貴重な人的資源を、あっさりと自分の判断で処罰する事を決定するシンジは軍法会議という物を知らない愚か者の極みだろう。
兵士は消耗品だが、決して無限ではない。それこそ、経験を積んだ、もしくはこれから積むであろう若い兵士なら尚更だ。
個人の判断で部下を勝手に殺してしまえば、そんな未来のアドラーの繁栄にとって必要な優秀な芽が潰えてしまう。だから軍においては、余程のミス、それこそ裏切って自分の隊の人間を皆殺しにして逃走するなんて馬鹿でもやらないような事をしない限り極刑はあり得ない。
だがシンジは、自分を危険に僅かとは言え晒したから、ただそれだけの理由で警備長の処刑と警備に関わった者たちの実質的な処刑を決定したのだ。
そしてこの判断に異議を唱えられる者は、今のアドラーには同じ貴種以外存在しない。それだけ貴種とはアドラーにとって同じ階級でも特別な枠組みとして捉えられていて、その判断に逆らう事を暗黙の了解で禁じられているのだから。
そんなアドラーが生み出した天然の暴君であるシンジを、彼の対面で服を剥ぎ取られ全身を椅子に拘束されたアリスが心底気持ち悪い物を見るように睨みつけていた。
「まさか、帝国の質もここまで下がっているなんてね。かつての競争相手として、本当に残念」
「はっ、負け犬が何言ってんだよ。その無様な姿できゃんきゃん吠えて、情けなくないのか?」
「ええ、まったくです。アンタルヤの傭兵は偉大な貴種への礼節も躾けもされていないよう。さすが、成金趣味の低俗な輩たちの国が寄越した刺客なだけありますね」
嘲笑うシンジの声。そしてそれに続くように縛られたアリスのツインテールの髪を強く引っ張るリナ。
その程度の痛みに、アリスは声をあげたりなんてしない。そして当然、あからさますぎる挑発の言葉に恥ずかしがったりもしない。
だが同時に、自分の今の姿が文字通り無様な負け犬である事もアリスはよく理解していた。
椅子の背もたれに両手を後ろ手に縛られ、両足をM字開脚されて固定された情けない捕虜としてのアリス・L・ミラーの姿。
その小ぶりな胸の中心で輝くピンクの乳首も、数々の男の精を搾り取って来た熟練の膣穴も、そしてその下の小さな肛門も、全てが赤裸々に敵の目前へと晒されている。
(本当に……らしくないミスをしちゃったわね……)
確かに、こんな姿の捕虜が何を言ったところで何ら意味を持つ事はない、見る者の嘲笑を買うだけだとアリスは顔を無表情に固定化した。
状況は限りなく詰み。傭兵としての自分の長年の経験が、もうこの状態から逃げる事は不可能だと伝えている。
だが同時に、アリスは数々の死戦を潜り抜けたプロの傭兵。今は逃げる事は不可能でも、この先なら十分可能性はあると踏んでいた。
「だけど薄汚いコソ泥にしては……なかなか良い体付きをしているじゃないか……!」
「んっ……!」
それは拘束された自分に近づき乳房を揉んできたシンジの姿で一気に跳ね上がった。
捕まった女性の捕虜が敵からされる事の多くは、その体への陵辱だ。汚い肉棒を穴と言う穴に突き込まれ、無遠慮に精子を体の中に注ぎ込まれる。それは女性として最大級の屈辱と辱めで、しかしだからこそ性欲の対象として認識され続ける限り殺される事はない。
アリスはプロの傭兵であると同時に、数々の軍人を骨抜きにした熟練の娼婦でもあるのだ。
ならば、見せつけるように女を侍らせている下衆な男の望むような声や反応をわざとあげて、そのうち彼のテクに堕ちて従順になったフリをして逃げるなんて朝飯前なのだ。
「はっ、敵に乳首弄られて震えるなんて、暁の傭兵の
「だ、誰が雌犬……んあっ!」
こう言う男は、反抗しようとする女が与えられた快楽に甘い声を漏らすのが好きなのだと、シンジに見せる姿とは裏腹にアリスの心はどこまでも冷静に彼を分析していた。
アリスほどの女性になれば、男が喜ぶ悶える女の演技なんて簡単だ。相手の乳首をクリクリと弄る指の動きに合わせて体を震わせ、感じたくないのに感じてしまう、そんな女の表情で口から艶声を出せばコロリと男は騙される。
「ほら、もっと鳴けよ雌犬! 僕の屋敷に侵入した罰が、乳首弄られただけで済むはずないだろ! この下の穴、両方とも二度と締まらなくなるまで使い倒してやるよ!」
「あっ、ぁああーーっ!」
実際、シンジに大したセックステクニックがないのを、アリスはすでに見抜いていた。自身の股間に伸ばされた指が陰裂を押し広げて挿入され、浅い部分の肉襞を刺激して来る感覚が典型的な自分の性欲優先の荒い物であったから、漏らす声の甘さと裏腹に、アリスは実際欠片も感じてなどいなかった。
(痛っ……ちょっとせめてもう少し優しく触りなさいよ。三人も女を侍らせといて、この程度のテクとかどんだけ女側にサポートされてセックスしてるのよ、この男!)
「ぁっ、やめ……! 私のアソコから、指を抜きなさ、んあっ……!」
「なかなかの膣穴だな。クク、容姿もマンコの締まりも良かった自分を恨むんだな妖貴妃。お前は帝国に逆らった罰として、飽きるまで僕の性処理奴隷になるんだからな!」
「んいっ! 乳首引っ張らないで……! あっ、ああ……っ! やめ、そこはお尻の穴……っ、んんっ……!」
(うっそ……洗浄もしていないお尻の穴に指入れるとか正気? この男、ちょっと予想以上に頭悪いのかも)
シンジが思い描く美人な女捕虜に求める性的快感への反応を、これ以上となく見事に演じてみせるアリスは流石の一言だ。その裏で快感とはほど遠いほどドン引きしている内面などおくびにも出さない。
「はっ! ほらもっとよがってみな! まんことケツ穴穿られて、尻叩かれながら感じろよ! 女の分際で二つ名で呼ばれてイキがってたお前に、身の程を教えてやる、よっ!」
「あっ! あんっ……! くっ、ぁあ……っ! ひぎぃっ……やめ、なさ……んああっ!?」
(はいはい、典型的な男尊女卑の馬鹿貴族。テクは最悪だし、お尻を叩いてくるのもみみっちい男にありがちな自分の方が上ってわからせたい劣等感から来る加虐心。本当、底の浅い男に捕まっちゃったわねぇ)
自身の秘部へと指を出し入れし不躾にスパンキングまでしてくるシンジを、アリスは艶やかな喘ぎ声を出す口とは逆に、冷静に分析し終えていた。
結果は警戒するに値しない無能。帝国の要職にまで就いているのだから、どれだけ貴種贔屓の風刺があるとは言え最低限の才はあるのだろうと思っていたアリスの、予想していた最低ラインのさらに四段階ほど下の存在だと、彼女はシンジを切って捨てた。
もしここが帝国でなくカンタベリー共和国やアンタルヤ商会なら、利用価値すら見出せずに一日と経たず豚の肥やしになっているだろう。
「んあっ……このっ……! あっ、くぅぅっ……こんなっ、あっ、ああッッ!!」
ビクンっと、まるでシンジの愛撫で悔しくも絶頂まで上り詰めさせられたように体を跳ね上げさせるアリス。それは高級娼婦でさえ目を見開いてご教授くださいと頭を下げるほどに見事な演技。
そしてそれにまんまと騙された間抜けな男は、自分が有名な女傭兵を手玉に取っていると勘違いしてズボンを脱ぎ捨てて逸物を露わにした。
「ヒヒッ、ずいぶんとよがり狂って恥ずかしくないのかこの淫乱が! 今から僕のチンポでもっと無様に、喘がせてやるよ!」
「なっ……!? い、いや……やめて、それだけは……それだけはっ!」
(なんだ、ペニスもたいして大きいわけではないのね。あんなに愛撫が下手なのに女を三人も虜にしてるからさぞご立派な物をお持ちだと思ったのに)
シンジの股間から飛び出した剛直が自身の陰裂に近づく光景に、今まで気丈に振る舞っていた女が折れて許しを乞う。そう言うのが下衆な男性の好むシチュエーションだと知っているが、アリスから言わせればペニスを突きつけられたぐらいで女傭兵が震えるわけがない。男を知らない生娘じゃないのだから。
百点満点の演技を続けながら、アリスはシンジの逸物の期待外れっぷりに内心溜息をついた。これは、セックスでも気持ち良くなるのは無理そうねと。
「今さら泣いて謝っても遅いんだよ! たっぷり膣中出ししてやる!」
「ひっ……! い、いや……あ、ああああッッ!!」
ズブリッと腰を突き出したシンジの肉棒がアリスの幼女体型の小ぶりな臀部に突き刺さる。メリメリと狭い肉穴を無理矢理押し広げながら、膣襞をチンポの反りの部分が擦り上げた。その刺激に、悔しいとわかっていながらも女として感じてしまい、哀れな女捕虜は頭を後ろに逸らして挿入の快感に震える。
そう、馬鹿なシンジの目には映っているのだろう。
「あっ、ああッ! や、やめて……んあっ! こんな、ううっ……絶対、許さな……ああんっ!!」
「ハッ、何が許さないって? こうしてチンポ入れられただけで喘ぐ雌犬風情が! お前もすぐに、僕のチンポ欲しさに媚びを売る女の一人にしてやるよ!」
「ん、んぎぃぃぃぃ……!!?」
挿入してから一切の慣らしもなく激しいピストンを開始したシンジの責めに、堪らずアリスが嬌声を上げながら縛られた体でよがり狂う。あまりの遠慮のない突き刺しに、アリスの小柄な体のお腹が歪に膨らむ。狭い膣内を適当に叩いているせいで、シンジの亀頭が臍下を押し上げているのだ。
(痛っ……! っとに荒いわねこの男! これじゃイクのにも一苦労じゃない! あの娘たちはいつもどうやってこいつとのセックスで気持ち良くなってるのよ!!)
その女の事を欠片も考えていないシンジの責めに、口から奏でられる喘ぎ声の淫らさとは裏腹にまったく快感を得られていないアリスが不平不満を内心で叩く。
外面と内面を切り離して動かせるのが彼女の才能だが、それでもここまで見事に使い分けられるのは彼女が暁の海洋を統べる妖貴妃だからこそ。いや、むしろこれほどの才を持つからこそ、彼女は権謀術数渦巻くアンタルヤの傭兵として名を上げることが出来たのだ。
「なかなかの膣じゃないか、結構気に入ったよ! しばらくペットとして飼って、この胸から母乳を出させてやるよ! お前みたいな薄汚いネズミが高貴な貴種の子種を恵んでもらえるんだ、感謝しろ!!」
「んあっ! ああ゛ッ! 乳首、クリクリしないで……! んんっ……! あんっ、くぅっ……! んひっ、子宮口ゴツゴツ叩かれっ、んほぉっ!?」
傭兵団の団長を自身のチンポ一つで支配している優越感。アリスと言う極上の女が持つキツさと肉茎を刺激する媚肉を持つ膣穴。
それに興奮をより強く高めたシンジが、彼女の揺れる桜色の突起を摘んで弄ぶ。彼の女であるサヤたちの誰よりも小ぶりな乳房だが、それを持つのがアリス・L・ミラーと言う美貌と実力を併せ持った女であると言うだけでこのちっぱいに魔性の魅力が付随される。
そこから白いミルクを垂れ流させる光景を想像しながら雄の欲望の赴くままに潰して、引っ張り、時に歯を立てて噛み付くシンジ。
それに下衆な想像通りの反応を見せてくれるアリスに気分を良くして、その剛直を彼女の奥深くまでぐりぐりと押し込む。縛られて逃げ場のない捕虜の女は、そんな彼から離れる事も出来ずに一番敏感な赤ちゃん袋を刺激されて無様なアヘ顔を浮かべるのだ。
(ああもうっ! ほんっとに下手! ペニスも愛撫も落第点もいいところだし、これにしばらく抱かれなきゃいけないなんて今から憂鬱ね)
それが全て演技なのだから、アリスと言う魔性の美女は妖貴妃の二つ名に相応しい。
彼女は自身の感じている演技がバレないように、必死にシンジの腰振りに合わせて腹筋に力を入れて膣の締まりを良くして肉棒が襞の敏感なところを擦るよう調整していた。そこまでしなければ絶頂するのも難しいほどに、彼女にとってシンジのテクは酷いのだ。
そうしていれば、やがてアリスの収縮する膣穴で同じく気持ち良くなったシンジの肉棒が熱を持って膨らむのを感じた。
「出すぞ! しっかりと貴種の子種を、その子宮で受け止めろ!!」
「ぁっ、ぁあああああーーーーっっっ!!!」
びゅるるるるるる!!
爆発するように子宮口付近で放出された白濁液。膣襞にびちゃびちゃと叩きつけられる熱と刺激を感じて、アリスもまたタイミングを合わせて絶頂を決める。彼女ほどの女になれば、意図して絶頂する事も可能なのだ。もちろん、それでも最低限の快感は必要不可欠で、シンジはその最低限さえ満たせていなかったのだが。
(んんっ……射精はまあまあね。と言っても、特段優れているわけでもないけど)
膣奥に注がれる平均より多い量の射精液を受け止めながら、冷静にアリスはシンジの精液を分析する。なかなか濃いザーメンを出したが、それでもアリスが今まで夜を共にしてきた殿方の中にはこれ以上の濃厚なのを出した者もいる。
結果、アリスの中でシンジの性技評価がお相手して来た男性の最底辺に確定した。
「んあっ……!」
じゅぼっと、射精を終えたシンジの肉棒がアリスの膣から抜かれる。その際も艶声を出すのを忘れないアリスの演技は徹底しており、シンジはすっかり騙されてチンポを抜かれて寂しげな喘ぎ声を上げる淫乱だと彼女を舐め腐っていた。
それこそアリスの思い通りであり、このままシンジが彼女を楽に御せる下女だと判断して拘束を緩めれば、天下の妖貴妃は様々な不正の証拠を手に霧のように消え去ってしまうだろう。
「ははははは、無様な顔だな! 何が妖貴妃だ、ただの売春婦じゃないか! このままたっぷりと躾けて、新しいご主人様が誰かを教えてやるよ」
「ぁぁっ……はあっ……」
だが一概にシンジを馬鹿にする事は出来まい。なぜならそれほどまでにアリスの演技は優れていた。一体誰が膣中出しをされて頬を蕩けさせ、目を情欲に潤ませて涎を垂らすイキ顔を晒す姿が演技なのだと思えよう?
事実アリスの感じているフリを見破れた男は未だかつて一人もいない。
そう……男は、だ。
「お楽しみのところ失礼します、シンジ様。その女、愚かしくも偉大なる貴種であるシンジ様を謀っている可能性があります」
「ーーーー」
「はっ? 何言ってんだ、アヤ?」
突然シンジの側に音もなく歩み寄ったアヤが、底冷えするほど冷ややかな視線をアリスに向けながらそう言った。
その発言に、アリスは一切顔に動揺を見せなかった。それでも、膣内出しで深イキをキメた振りをして震えていた体の筋肉が、ほんの僅かに硬直してしまった。それを、シンジの忠実な雌犬たちは見逃さなかった。
「やはり……この雌犬、シンジ様のチンポに感じた振りをしています」
「な、何だと!? どう言うことだ、おい!!」
アヤの指摘に続くように言葉を紡いだサヤに、シンジが怒鳴り散らす。それは間抜けな捕虜の女に騙されていると言われたに等しい。そんな事、優れた血統に生まれた選ばれた人間としてのプライドを持つ彼には到底看過できるものではない。
「申し訳ございません、シンジ様。ですが、私も二人の意見には賛成でございます。この売女、ふざけた事にシンジ様の子種を注いでもらいながら嘘の絶頂でこの場を切り抜けようとしている様子」
「んぎっ!?」
だがそれを、最後に残ったリナもまた肯定した。彼女はその手をアリスのクリトリスに伸ばすと、そこを絶妙な力加減で刺激した。それこそ、性的快感に強いアリスであっても思わず反射的に潮を吹いてしまうほど見事なクリ責めを。
「な、な、な!! ふざけるなよ、このクソアマが! 下民の盗人風情が、高貴な貴種たる僕を騙しやがったのか!!」
「がっ!?」
さらにそこに、怒り狂ったシンジの足裏がアリスの膣を踏み付けた。脳を一瞬で絶頂に導いた後の強烈な痛みに、歴戦の傭兵たるアリスをしても素で体が飛び跳ねてしまった。
だがその反応を見ても、もはや何が演技で何が本当なのかもこの場で唯一理解出来ないシンジはより執拗に彼女の陰部を踏み付けんと足を振り上げた。このままでは、アリスの女性としての機能が死ぬまでシンジの癇癪は収まらない。
(まずっ……これ、終わったかも……)
それを見て、自身の死を、少なくとも女性としての終わりを覚悟したアリス。だがそれを救ったのは、図らずも彼女の嘘を見破り追い詰めた女たちであった。
「お待ちください、シンジ様。その雌犬は確かに許されない大罪を二度にかけて起こしましたが、このまま壊してしまうのは惜しいかと」
「彼女はアンタルヤ商会の裏事情にある程度精通しているはずです。ですので、ここは私たちに任せてください。数日頂ければ、彼女を私たちと同じシンジ様に絶対の忠誠と愛情を誓う淫乱マゾ雌奴隷に仕上げてみせます」
「その時こそ、どうぞシンジ様の今の怒りをこの売女にぶつけてください。きっと土下座してあなた様のおみ足を舐めながら許しを乞いますわ。それこそ、シンジ様のお慈悲をもらうためならどんな浅ましい行為もすることでしょう」
シンジの側に侍り、胸を押し付けながら静止したサヤ。そんな彼女に続くようにアヤとリナが射精したばかりの肉棒を左右から乳房でサンドイッチして、アリスの処遇について提言する。
その光景は、ある種異様でありながら彼女たちにとっては最早慣れ親しんだ従者としての姿。目を見開くアリスを置いて、シンジの耳を、乳首を、臍を、肉棒を、玉袋へとキスと胸を押し付けるキリガクレの女たち。
そして三人の美少女の口と胸の柔らかさと温もりを全身に浴びて、シンジの中の怒りが僅かとはいえ凪いで行く。そして同時に、頭の中で自身に向けてちん媚びをするアリスの姿を連想するのだ。なんとか許してもらおうと、自分のどんな命令にも嬉々として従って無様を晒す妖貴妃の姿を。
「…………いいな。いい、すごく良い。三人とも、必ずその馬鹿女を僕の元に言った通りの姿にして連れて来い」
「「「はい、シンジ様♡」」」
傲慢で無能な貴種の命令と共に、アリスの未来を想像して興奮した逸物から下卑た欲望がキリガクレに降り注ぐ。綺麗な髪と顔を真っ白に染められた少女たちは、恍惚の笑みで主人の神命に答えた。
「んんんっ!!」
その姿が、まるで数ヶ月先の自分の姿に見えて、アリスは本気で拘束を解こうとした。だがそれさえも、その行動を予測したアヤが飛ばした鉄糸によって封殺される。蜘蛛糸にかかった蝶に、逃げる道はないと言うように。
そして、アリス・L・ミラーにとって悪夢の日々が始まった。それは、彼女が当初予想していたようなものとはかけ離れた、逃げ場も希望もない、快楽堕ちしか許されないバッドエンドへの日々が。
100話達成記念で見たい陵辱系の後日談はどれ?
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