追記
やや内容を書き換えました。ご迷惑をおかけします。
村長の家を出て、辺りを見渡しながらゆっくりと歩く。農作や馬や牛と言った家畜を育てる者。小さな商店とその店主。村の中で特に目立つ白い教会とそこにゆっくりと向かう老夫婦。一見よくある村だ。巨大で大勢の人々が行き来する街や都市とは違う、小さくて朗らかな、落ち着いた村だ。
しかし、良く見ると家から出ている人が少ないのがわかる。子供は走り回っておらず、窓を締切って厳重に戸締りしている。前にこの村について聞いた時は「何も無いが朗らかで子供達の遊ぶ声が良く聞こえる賑やかな村」だという。
だが今は、お世辞にも「朗らかで賑やか」という言葉は似合わない様な有り様だ。どちからと言えば「陰鬱で嫌に静か」と言ったような感じだ。
丁度近くにいた村人に話を聞くと、やはり件の異変が原因らしい。村の外でも内でも人が、それも女性がさらわれたとあれば、確かに家族を外に出したくはないだろう。
「ソフィー。」
村人から話を聞き、感謝し別れてしばらくすると、横にある建物の影からソフィアよりも背の高い女性が声を掛けてきた。
肌は火のように赤く、額には2本の角、腰からは尾が生え、太陽の光を反射しそうな白銀の長い髪を高い位置で括り、やや露出の多い毛皮の様な衣装を着た女性がその鋭い目をこちらに向け、ソフィアの愛称を呼んだ。
「ペトラ。」
そう彼女を言いながらその女性に向かって歩を進める。
ソフィアのことを呼んだ彼女はペトラ・ブルート。オーガと呼ばれる屈強な種族の女性だ。
「そっちはどうだった?」
「こっちはダメだ。少しでも手掛かりが得られればと思ったんだけど…。」
そう言いながら肩をすくめるペトラ。詳しく話を聞くと、やはり行方不明になるのが昼夜問わずなせいで、どのタイミングでいなくなるのかが村人達もわかっていないらしい。
その後も互いに集めた情報を交換しつつ、更に村を散策する。この辺りではまず見ない「魔物《まもの》」があらわれ、他に依頼を受けた旅人が被害に遭っている。
そんな話を聞いたペトラは顔を顰めた。彼女は強さを求めて長く旅をしているからか、どんな場所にどんな「魔物《まもの》」が生息しているかは大体わかるらしい。
「…こんな穏やかな場所にそんな危険なヤツは来るはずが無い。いや、ない訳では無いが…。」
「うん。だいたいは似たような場所に移るもんね。」
そう。「魔物《まもの》」は通常の動物よりも凶悪で手強いが、通常の動物と同じように生息できる環境が分かれている。熱く、カラカラに乾いた砂漠に住まう「魔物《まもの》」が居れば、息も凍る様な寒い雪山に住まう「魔物《まもの》」も居る。
「それを無視してこんな所に生息できるのかねぇ?」と、首を傾げるペトラとその話を聞きながら辺りを見渡しているソフィア。
「…お〜い。2人とも〜。」
そんな2人に間延びした少女の声。2人が声の方向に顔を向けると、背はソフィアと同じくらいだろうか。海のように青い肌にさらに濃い青の道着を身にまとった少女がこちらに手を振りながら歩いて来ている。青い髪をセミロングの長さに揃えたその少女の耳や背には、魚類を思わせるヒレが着いている。
彼女はリブィエール・フロウイング。ウェディと言われる種族である。
「リブィー。そっちはどうだった?」
「…ソフィー!こっちは凄いのを見つけたわー!」
リブィと呼ばれたウェディの少女に変わってその後ろにいたやや声の高い少女の声が元気に答える。
リブィエールの後ろからひょこっと顔を出したその少女の耳は長く、さらに背には羽のようなものが生えている。草原の様な柔らかい緑色の装束を身にまとい、ぴょこぴょこと片手を上げながら跳ねる姿は子供のようだ。
「イブキー。凄いことってなんだーい?」
今度はペトラがその少女に声をかける。イブキと言うのがリブィの背後から出てきたエルフの少女の名前だ。背はソフィアより低く、この4人の中では1番低いと言える。
「見た事ない魔物《まもの》達が居たの!」
「しかもかなり大きい奴もいた〜。」
その言葉を聞いてソフィアとペトラの表情が変わる。
「……確かなの?見間違いとかじゃなく?」
「ホントホント。」
合流し、詳しく話を聞く。どうやら村の外を散策ついでに見廻りしていると、少し離れた森で巨大な影を見つけたらしい。
「最初はボストロールとかかなって思ってたんだけどね〜。」
「……実際あったからね。」
リブィエールの言葉にソフィアが頷きながら付け加える。
「そうそう。だからあいつが犯人だー!ってイブキが突っ込んで行ってさー。」
「ちょっと!?リブィー!?」
「それで近づいたら見たことない魔物《まもの》だった?」
「途中でそれに気付いたらしくて急に止まってさ〜。」
後ろから見てたけど中々良い動きだったよ〜と笑いながら言う青い少女に仔犬の様にキャンキャン吠える桃色の少女。
「何よ!リブィーだって凄い焦ってたじゃない!?」
「そりゃー焦るでしょ〜。見た事ない魔物《まもの》じゃなくても巨大な影の群れに猛スピードで突進するおチビちゃんがいたら〜。」
確かにそれは焦る。と人間とオーガの少女2人は心の中で思った。特にそれが知り合いならもっと焦るとも。
その後も口論(片方が一方的に噛み付いて、もう片方は半分面白がっているが)が続いたが埒が明かないと悟ったか赤い少女が話の続きを促す。
曰く、見た事ない魔物《まもの》達であると分かり、物陰から観察と追跡を行ったそうだ。
「見たところ、うごくよろいとかかなって思ったんだ。ガシャガシャ金属っぽい音してたし。けど、にしては形が変だったね〜。」
「変って?」
リブィエールの言葉にソフィアが聞き返す。
「手足が4本ずつあったり、ちっちゃいのが跳ねてたり」
リブィエールが答える前にようやく落ち着いたイブキが答える。
「手足が4本?」
「てことはキラーマシンとかの系列か。」
ソフィアが答える前にペトラが答える。
キラーマシン
とある科学者が造り上げた殺戮マシンで、これもま
た限られた場所でよく見る魔物《まもの》だ。
「ということはS.キラーマシンとか?」
「いや〜?」
ペトラが思いついた魔物《まもの》の名前を言うとリブィエールは微妙な顔をする。
「私はあまりS.キラーマシン覚えてないけど、あそこまで洗練されてないと思うなあ〜。」
「どういう事?」
「何かすっっごいゴツゴツしてたり、そして何か変な形してたり、とにかく色んなのが居たの!!」
また興奮してきたのかイブキがそういう。なんだ何かすっっごいゴツゴツしてたり何か変な形したのって。
「……ホントにキラーマシンじゃないのかい?」
「うん。なんと言うか、色々詰め込みましたって感じ。」
なるほど。わからん。
「まぁとにかく、そんな奴らが居たから見つからないようにこっそりついて行ったんだ〜。」
割と長い時間追跡し、森の奥まで行ったところでかなり大きな洞窟が見つかったのだと。
「それでその魔物《まもの》達がその洞窟に入っていくのを見届けて帰ってきたんだ〜。」
「絶対にあいつらが村人をさらってあの洞窟に連れて行ってるのよ!!」
そこまで聞いてソフィアは考え込む。そもそもなんで村人をさらっているのか?食糧だとするなら有り得ない。キラーマシン、いわゆるマシン系に食糧など要らない。
(誰かに命令されている?)
そう。当たり前だ。そんな意味の無い行動をするのは誰かに命令されたからに決まっている。
(でも、それとほかの魔物《まもの》になんの関係が?)
見た事ない魔物《まもの》のせいで気性が荒くなるのはわかるが、それはここに前から生息している魔物《まもの》の話。
(他の生息域の魔物《まもの》までここまで来ているのは何故?)
そう。ここには現在有り得ない魔物《まもの》達の大移動が起こっている。それとなんの関係が?
「……。」
考え込むソフィアの横でペトラも考え込んでいた。
「ダメだね。解らん。」
が、すぐに諦めた。
「とりあえず今日か明日のどちらでもいいから、そこに行ってみて探した方が早そうだね。」
「……そうだね。」
その言葉に苦笑しつつも同意する。
黒幕がいるなら戦って、聞いた方が早い。
「じゃあすぐに準備しようか?」
「よし。アイテム補充してくる。」
「私も行く〜。」
「……毎回思うけど、そんな単純でいいの……?すっごい考えてたんじゃないの……?」
その数十分後、諸々の準備を済ました少女達のパーティーが森の中に入って行った。
いつまで導入続くんだよ( ⊙д⊙)
ってね。
ここまでご覧頂きありがとうございます。まだもう少しかかると思います(白目)
楽しみにしていただけると幸いです。
タグの追加の仕方がわからん(´・ω・`)