ベテラン冒険者の男が既に堕とされていた後輩に邪教のメスガキ教会騎士へと堕とされる話 作:ナメクジ次郎
暗く、冷たい牢屋の中に居た。
体は動かせない、どうやら拘束されているようだった。
どうやら武器も防具も奪われているようで身に着けているものは肌着だけ、冷たい床の感触が俺の体温を奪っていく。
ヘマをしてしまった、そう後悔するには遅すぎた。
しかしそれでも居ても立っても居られなかったのだ、商業都市を根城にしているという邪教を調査する為に先に街へと潜入した可愛い後輩からの連絡が途絶えたとあっては。
おぞましい邪なる神を信仰する奴等の類は狡猾で、心の隙間を見逃さない。もしかしたら、あいつにかけていた期待がプレッシャーになっていたのかもしれない。その足元を掬われたのかもしれない。
そう思ってしまうと、気づけば体が動いていた。頼れる後輩が、どうなっていたのかも知らずに。
「失礼します」
扉が開き、暗い牢屋の中に光が入って来る。それと共に入って来たのは、ソフィアと名乗った邪教徒の女だった。
金髪の髪を揺らしながら女は近づいてくる。声色は冷静なようにも聞こえるが、愉悦を隠しきれていないその笑みが憎らしい。
乳も下半身も前垂れだけで最低限隠すべき場所を隠しているだけの、捲ったらすぐに見えてしまうような下品な服に彩られた肉体はその服装同様に品の無いものだ。
乳も、尻も太ももも、とにかく男好きするような要素を詰め込んだ肢体を恥ずかしげもなく見せつけているその女は──あろうことか、行方不明になった俺の後輩だと自称した。
「あいつを……あいつを、何処へやった」
だからと言って信じられるはずもない、邪教は心の隙を突く。これも俺を動揺させる為の手段に違いないからだ。
「だから言ってるじゃないですか、私がそうだって。信じてくれませんか? ロックさん」
「ウソをつくな、だってあいつは……男だ!」
「もう、強情ですね……じゃあ、こうやって呼んだ方がいいっスか? ア・ニ・キ?」
アニキ、と。目の前の女は屈託のない笑顔でそう言った。
それを見て浮かんでくるのは、冒険者ギルドに入った時からアニキ、アニキと後ろをついてくる後輩の姿。
眼前に居る女と、記憶の中の後輩の男。髪色以外は似ても似つかないはずなのに、俺を呼ぶ声色は全く同じだった。
「ふふふ、どうして、って顔をしていますね。私は生まれ変わったんですよ、古い自分を捧げてカミサマに仕える為の素晴らしい体に!」
嬉しそうに俺にそう語り掛ける女の瞳には、狂気の色が浮かんでいた。
それを見て、俺は歯噛みする。どうしてこんなことになるまで、動けなかったのかと。
「この大きな胸も、どこを触っても気持ちいい女の体も……そして勿論おまんこも、全部あのお方から賜ったもの。そして、あなたも今からそうなるんですよ?」
「……は?」
突然の信じられない発言に、思わず間抜けな声が出てしまった。
今こいつは、なんて言った?
「や、やめろ、来るな……」
「いいえ止めません。というより、まさかあなた達が言うところの邪教に捕まって監禁されるだけだと思っていたんですか? 苦痛による屈服だけで済むと思っていたんですか? だとしたらアニキって、結構純情さんなんですね」
興奮を抑えられないと言った様子で口数を多くしながら、女は近づいてくる。
一歩、また一歩と距離を詰める度に、ぷるんぷるんとほぼ丸出しの乳や尻が揺れている。
「ほおら、抵抗しないでくださいねー」
チャリ、という音と共に女の首にかけられていたネックレスが外される。
そしてゆっくり、見せつけるようにこちらの頭へと近づけていき。
「あなたも神の寵愛を、素晴らしき快楽とお導きを受けなさい」
吐息が顔にかかりそうな距離でそう言って、拘束されて動けない俺の首へとそのネックレスを……かけた。
「——ッ!?」
その瞬間、何かが俺の体に触れた。
目で見ることはできない、けれど確実にそこに存在する触手のようなナニカが体を這う。
ネックレスから根を伸ばすように上は頭から下は足先まで全身に触れるように触れていく。
それと同時に、体の中に何かを送り込まれている感覚。これはまずいと本能的に拒もうとするが、体を動かすこともできずになすがままになってしまう。
どくん、どくんと触手が脈動する度に何かが体に入ってきて、その度に体が熱くなり、呼吸も荒くなる。
だんだんと力が抜けて、意識も朦朧としてきた。視界が不明瞭になり、目の前の女の姿もぼやけて見えた。
それからどれくらい経ったのだろうか。まるで夢を見ているような感覚が続いて時間の感覚すらも曖昧になったところで、ある音が耳に入ったことで意識が現実へと引き戻された。
カラン、カランと。金属が床へと落ちる音。それと同時に脱力していた腕がだらりと下へ下がった。
拘束が外された……? 何故?
ともかく立ち上がろうと前かがみになってみれば、明るい桃色の髪が視界に入る。
鬱陶しいと指で退けると、触られている感触がする。そして視界に入ったその指も、異様に細くしなやかだ。
「……は?」
「ふふふ、随分と可愛らしくなりましたね、ロックさん?」
声がした方へと顔を向ければ、にやにやと楽しそうな笑みを浮かべるソフィアの姿があった。
「俺になにをした!」
体が動けば今にでも掴みかかってやりたい思いで凄んでみようとするが、その口から出る声も高く可愛らしい。まるで少女のような声しか出ない。
そんな声質で「俺」なんて言うものだから自分の声だというのに違和感を感じた。
「先ほど言ったじゃないですか、カミサマの加護によって私と同じ存在になると。あなたは我らが主が好む、淫らなメスの体になったんですよ」
興奮気味なソフィアがそう言いながら虚空へ手を翳し、魔法か何かで姿見を出現させる。
男だった頃はそんな魔法は使えなかったはずだというのに、それも邪神から授かったものだというのだろうか。
「ほら、自分でもよく確認してください。神からどんな姿を賜ったのかを、今の自分がどれだけ……エッチな存在になったのかも」
鏡に映っている俺は、変わり果てた姿をしていた。
まず最初に目につくのは長く、明るい色になった髪。さっきまでは茶色だったそれは明るい桃色へと変わり、長さもかなり伸びており褐色の肌によく映えていた。
瞳の色は綺麗な赤に変わっており、ややツリ目気味な目が困惑で見開かれている。
体は全体的に華奢で一見すれば少女のような印象だが……男だった時より頭一つ分以上小さくなっているようでそう思うのも仕方のないことなのだろうか。
胸はソフィアと比べれば小ぶりだがそれはあの女が規格外にデカいだけで、一般的な女性よりは少し小さいくらいのサイズだった。
お尻はきゅっと引き締まり、そして女性器……男の時には存在しなかったはずの器官が股にある。つまり、その奥にも男の時に存在しなかったものがあるのは、明白だった。
この姿を見て元は陰気な筋肉質の大男だったというのを、誰が気付けるのだろうか。あまりにも本来の姿から乖離した可愛らしい顔、男好きしそうな体。
そしてその鏡に映った逃れようのない事実が、目の前の女が。ソフィアと名乗ったそれが俺の後輩であるということを肯定する。
──背中に悪寒が走った。
つまり俺もこの女のように、心まで歪められてしまうのか?
いや、絶対にそんな事にはならない、なってたまるか。心を強く持て、例え体は変えられても心までは変えられたりなんかしない!
「恐怖と……心までは変えられないって自信。ふふ、いい表情ですね? 私も以前はそんな顔をしていたんでしょう。でもですね、そんなものは無駄なんですよ」
コツコツと、靴を鳴らしながらソフィアが近づいてくる。
そしてその長くしなやかな指で俺の顎に手を当て、顔を逸らせなくする。
そしてゆっくり、ゆっくりと顔を近づけていき……柔らかい唇が触れた。
「ん……ちゅっ」
最初はお互いの柔らかな唇が触れる程度、だけどほどなくして向こうから無理やり舌を入れてくる。
「ちゅっ……ちゅくっ……れろ……」
まるでこちらの口内を蹂躙するかのような舌の動きに思わず圧倒されなすがままになる。
そして有無を言わさぬ口虐の最中、顎へと当てられた手が離され。今度は両手で、体を抱かれた。
柔らかい肌と肌が擦れてくすぐったい。お互いの胸と胸がぶつかり合い、その柔らかさで形を変えて、もどかしいくすぐったいような感覚が体を襲う。
「んっ……やあっ……」
そうしている間にも口内は舌に蹂躙される。
抱きしめられた体も、口も、離れられない。離してくれない。
早く終わってくれ、諦めてそう思った瞬間……あの時と同じ、体にまとわりついた見えない触手が送りこんできた何かと同じものが、注ぎ込まれる感覚がした。
この体になったからだろうか、今ならわかる。それは邪神の魔力だと。この体を変え、目の前の後輩も変えてしまった恐ろしい魔性の力だということを。
気づいた時にはもう遅かった。意識が、また朦朧としてくる。
なんだか体が……特にへそ下辺りが熱い。熱を持って、それが全身にいきわたっていくようで。
「はぁっ……はぁ……」
「女の子の体でのキス、気持ちよかったでしょう?」
全身が邪神の魔力で熱を帯びて来た辺りで口が離され、二人の間に銀糸の橋がかかる。
お互いに息は荒れ、熱に浮かされた視線が交差した。
それから数秒の沈黙の後、先に動いたのはソフィアの方だった。
背中に回されていた手が頭へと移動して、髪に触れられる感覚、そしてしゅるしゅると何か布が擦れる音。
「これからロックさんを司祭様のところへ連れて行きます。その前に、しっかりおめかしをしましょうね」
ソフィアが出した鏡を見れば、遊ばせていた髪にブルーブラックのリボンが結ばれて、ツインテールにされていた。
幼い印象を覚える髪型だが、この体にはよく似合っていると思った。
「し……さい……さま?」
「はい、我らが神のお言葉を届けてくださる唯一の方、素晴らしきお方です。今から会いに行きますから……そうですね、一度眠ってください」
こちらに笑顔を向けたまま、ソフィアは俺の額に手を当て……また邪神の魔力を注ぎ込んでくる。
朦朧として意識はその魔力の濁流に飲み込まれ……俺は意識を手放した。