ベテラン冒険者の男が既に堕とされていた後輩に邪教のメスガキ教会騎士へと堕とされる話 作:ナメクジ次郎
店の多い目抜き通り、見るだけで充実していることがわかる品物、そして人々の活気ある声。
周辺の物流や売買を一手に担う商業都市であるこの街の様子に、オレはシンプルに圧倒されていた。
「凄い賑わい……本当にこんな人がいっぱい居るところで邪教が活動なんかしてるんスかね?」
邪教。
そう呼ばれるような恐ろしい宗教団体がこの街に巣食っているという噂が、いつからか流れ始めた。
曰く、姦淫や不徳を尊び。この世の物ではないとされる邪悪な神——いや、そう呼べるのかも怪しい存在を崇め、この世に顕現させようとしている集団。
そんな奴等が信者を増やす為に邪神の加護を得た道具や装備なんかをこの街から流しているのだという。
そんな状況を調査する為に、まだ新米だけど特殊な力を持っているオレに白羽の矢が立ったという訳だ。
尊敬するアニキにも初めて「任せた」と言ってもらえたし、気合も十分。早く邪教の奴等を見つけてアニキと一緒に一網打尽にしてやるんだ!
気合を入れなおしてもう一度人込みや目抜き通りに目を向けるが、邪教に関するものは……見当たらない。
ああいう組織は大きな街の闇に紛れるってアニキが言ってた通り、コソコソ隠れて活動をしているらしい。
つまり目を向けるべきは……。
「おっ、あそこなんか怪しいっスね」
大通りから少し外れた場所に目を向けてみると、日当たりの悪い場所にあまり流行っていなさそうな店が一軒。
調査する期間は長めに取られているし、まずは当てずっぽうでも入ってみることにした。
それが後に、大変なことになるとも知らずに……。
◇◇◇
店の中に入ってみるとどうやらアクセサリーなんかを扱っている店みたいで、馴染みのない薄暗く落ち着いた空間にちょっとだけ尻込みした。
「……いらっしゃい」
こちらに気づいた店主らしき男はカウンター越しにそれだけ言って、あまりこちらの事を見ないようにしているようだった。
色素の薄い肌に紅い目、顔は整っているが被っているローブのせいか陰がかかりその少なそうな口数と声からも陰気そうな印象を受けた。
まあこっちに声をかけてこないなら好都合なので店の中を勝手に見て回ることにする。
「うっわー、凄い値段っスね……」
店の目立つ部分に置かれたアクセサリーはかなりの値段で取引されてるみたいで新米冒険者の自分の稼ぎじゃ絶対に手が出ないほどだった。
ああでも、この依頼を解決できたら報酬でこういうのを買ってみるのもいいかもしれない。いつも面倒を見てくれるアニキへの感謝の印に……。
「なーんて、アニキはこういうの興味ないっスよね」
無骨で、強くて、少し不愛想だけど優しくて面倒見が良くて。
理想の冒険者って感じのアニキはいつも飾り気がない、稼ぎも少なくないはずだけど他のチャラチャラした奴等と違って硬派な男だ。
そんなアニキにこんな煌びやかなものを送ろうなんて何を考えて……。
「っといけないいけない! なんか脱線してたっスね。ちゃんと調査しないと……」
頭に浮かんだ変な考えを振り払って、改めて店の中に注目する。
邪教は信者を獲得する為に変なものを売ってるんだしこういう高いものじゃなくて、例えば安くて手を出しやすいものなんかに……。
そう思い店の隅の方にある安価な装飾品が置かれた棚へと視線を向け。
ビンゴ! 怪しい何かがある。直感的にそう感じさせるものをいくつか見つけた。
それに対して……。
「鑑定!」
店の一角にあった嫌に目を引く指輪に対して、店主の目を盗みながら鑑定スキルを使用する。
新米のオレが邪教の調査なんて大きな仕事を任されたのは、こういう特殊な力を持っているという事が一番の理由だった。
この力にかかればあの指輪に宿ってる力やスキルなんかを見ればすぐにわかるのだ。
名前は……邪教の指輪!?
「やっぱり! この店は邪教と繋がってたんすね、早くアニキに知らせ……」
そう思ったところで、指輪に付与されている加護の部分が目に入る。
■■の……加護……?
そして本来は詳細な内容へ続くはずのところには、見た事の無い文字が続いていた。
これはヤバい、見てはいけない。今まで培ってきた勘がそう警鐘を鳴らすけど、何故か目を離せない。
頭がボーっとする、今すぐアニキに報告に行かなきゃいけないのに、ずっとここに居た方がいいような感覚に襲われる。
読めない文字なのに、読み進めれば読み進めるほどその先に何かがあるような気がして……その向こうに強大な存在を感じて。
そして最後まで読み進めたその瞬間、景色が変わる。恐ろしいほどの魔力と共に、何かが見える……まるでこちらを離さないように絡みつくあれは……なに……?
◇◇◇
気づけばオレは、宿屋の部屋に帰ってきていた。
あの後どうなったのか、店主とどういう会話をしたのか、それすらも定かじゃないけれど……手には何故か、あの怪しげな指輪を握っていた。
盗ってきてしまった、早く返さなきゃ。いやいやあの店はクロだったんだからアニキに見せなきゃ。あの時見えたのは一体なんだったの?
頭の中で思考がぐるぐるしてまとまらないするべきことが定まらない。
そんな中でふと、指輪に視線が移る。
──指にはめてみたい。
と、そんな考えが頭に浮かぶ。
その考えは怪しく光る指輪を見れば見るほど強くなっていって、さっきまで頭にぐるぐる回っていたことをかき消して、そのことしか考えられなくなる。
はめたい、はめなきゃいけない。どんどん大きくなっていく欲求に突き動かされるように。何かに導かれるように指輪を自分のゆびにはめようと動いてしまう。
はめたい、この指にこの指輪を付けて、そうすれば……。
恐る恐るといった感じで、ゆっくりゆっくりと、指輪を持った右手が動く。
そして、なんの抵抗もなくすっぽりと左手の薬指に……はまった。
大きな何かが、オレを包んでいる。
まるで無数の触手の集合体のようにも、枝分かれしているだけで一本の触手のようにも見える何かが、全身を這う。
とくん、とくんと心臓の鼓動に合わせながらも体に接する触手から魔力が送られてきて……なんだかそわそわとした感覚。
熱い、冷たい、きもちいい、ぬるぬるする。
そんな感覚に身をゆだねているとふと、声が聞こえた気がした。
「起きなさい」と──。
聞いたことのない言葉なのに、何故か理解できるそれに導かれて、オレは目を開ける。
「ふゎ……」
まるで寝起きの時のあくびのように気の抜けた声、だけどいつもより高いような……?
なんだか頭がふわふわする、それに少しだけ肌寒い。
シーツが体に触れる感触がやけにこそばゆい、まさか裸で寝てしまったのだろうか。
そもそも、オレは服を脱いでたっけ?
なにはともあれ立ち上がらなければ、そう思い体を起こした時。部屋に置かれた鏡、それに映った裸の女性と目が合った。
「……は?」
思わず漏れた困惑の声さえも、高い。女性の声だった。
鏡に映し出されたその姿は、その綺麗な声に相応しいように美しいもので。
ぼさぼさで短かったはずの金髪はまるで流れるようなストレートで、長さも腰のあたりまである。
幼く見られることがコンプレックスだった顔つきもすっかり変わって。ぱっちりとした赤色の瞳、整った目鼻立ち、ぷるんとした唇、全てが違う。
さらに下へと目を向けると呼吸をするだけでも小さく揺れるほどの、見た事の無い大きさの胸。見るからに、というか明らかに重いはずのそれは形も崩れることもなくそこに存在している。
細くなった手指はしなやかで、長さも細さも変わったのに左手の薬指にはめられたリングはズレることもなく、キラリと怪しく光った。
腰はきゅっとくびれて、太ももは男だったら生唾を飲んでしまうほどムチムチで。
体を捻ってみると女性も体を捻り、おっぱいが揺れる。シミ一つない綺麗な背中が少し見える。
笑顔で手を振ってみる。そうすると鏡の中の女性も、魅力的な笑顔で手を振る。こんなことされたら勘違いしちゃいそうだなと思った。
「オレ……! 女の子になってるっスか!?」
しばらく鏡を眺めて冷静になったところで、夜の静かな部屋に可愛い声が木霊した。
明らかに異常事態だ。普通の街の中でこんなことになるなんて聞いたことが無いし、そもそも人間一人が性別も何もかも変わるなんてありえない。
となると必然、超常的な何かがあったに違いない、そしてその原因は……。
「絶対これが原因っすよね……」
目を向ける先は、指にはめられたリング。
よくよく考えると昼間どうやってこれを買ったのかも記憶が曖昧なのは絶対におかしい、危険だと今更思い至る。
早く外さないと、そう思って手をかけようとした時……リングがまた、怪しく光った。
また、何かが体に体に巻き付いてきたような気がした。
いや、気がするんじゃない。確実に指輪を付けた時に見た触手が体に、手に、指に、巻き付いてきている。
現に振りほどこうとしても手が動かせない……いや、何故か振りほどきたくないって思っている自分が居る。
とくん、とくんと脈動するそれに合わせて息をしているうちに、なんだかだんだんとこれを受け入れる意識の方が強くなっていって。
その心地よさに身を任せていくうちに触手の脈動も早くなって、それに釣られて呼吸も早くなる。
はぁはぁと口から洩れる声はとても艶っぽくて、自分の声なのに興奮する。
体が熱くなってくる、もどかしくて、思わず腰をくねらせる。
──邪教は姦淫と不徳を尊ぶ。
体に纏わりつくこれが何を求めているのか、明白だった。
それに気づいた途端に、導くように触手がオレの手を取った。
「んっ……」
導かれるままにゆっくりと、しなやかな手がむっちりとした太ももに伸びて。悩ましい声が漏れた。
そのまますべすべの肌をゆっくりと上へ、上へと触手の動きに従って滑らせていく。それだけなのに敏感な体は感じてしまう。
腰、お腹、そしてついにこの体で一番目立つ、大きくて柔らかい胸へ。
おっぱいの触り方なんて知らない。だけどやり方は触手が教えてくれる。
最初はゆっくりと乳首周りを円を描くように指を這わせていく、もどかしい快楽が背筋をぞわぞわとさせて気持ちいい……。
くーるくーる、くーるくーる。ゆっくり、ゆっくりと乳首の周りを触っていると、快楽と共に乳首が固くなっていく。
これに触れたらきっと気持ちいいという確信があった。でも触手はそこに触るように導いてはくれない。
「んぅ……さ、触らせて……触らせて欲しいっス……」
気づけば勝手に口から懇願するような言葉が出ていた。
それに気づいてハッとするが、もう遅い。
その言葉に応えるように触手が……オレの手を乳首へと誘導して……。
そのしなやかで柔らかくなった指で、きゅっと摘まんだ。
「んひゃあっ!?」
指で乳首を摘まんだ瞬間、強い電流のような刺激が突き抜けて思わず声を上げてしまう。
まるで今まで焦らされていた分が開放されたかのような快楽。そしてそれは一回感じただけで終わりじゃなくて。
まだ胸を中心に残る感覚を、もっと感じたいと思ってしまった。
「んっ……ちくびっ、気持ち良すぎてっ」
クリクリと、親指と人差し指で乳首へを刺激を続ける。
その度に体を快楽の電流が突き抜けて行って、その度に快感のボルテージが天井知らずに上がっていく。
気持ちいい。
気持ちいい。
この体も、おっぱいも、纏わりつく触手に従えばいくらでも気持ちよくなれる。
際限なく襲ってくる快楽にオレの頭は蕩けきって、更なる快楽を求めるようになった。
気持ちよくなりたい、それだけが頭の中を支配して染められて。
ドクンッドクンッと早くなる心臓の鼓動に合わせて、触手から更なる魔力が送られてくる。
「もっと……もっとぉ……」
その魔力の高まりと共に、快楽も更に高まっていく。
もっと、もっとと口に出せば指の動きも早くなって、気持ちいいのが止まらない。
イきたい。この体で絶頂を迎えたい。
その想いが通じたのか、触手は更に強く乳首を刺激するようにオレを導いた。
ごくりと生唾を飲み、オレは二つの指でぎゅっと、一際強く摘まみ上げた。
「んっ! イっ、きゅううううう!」
体が強張り、一際強い快楽が体を突き抜ける。
お腹の下あたりがきゅーっと疼いて、体の力が抜けていく。
ベッドに倒れこんで快楽の余韻に浸っていると、触手がどこかへ引いていったのがわかった。
「あっ……」
なんだか名残惜しくて、思わず口から声が漏れる。
それからすぐに、オレは意識を失った。
◇◇◇
次の日、オレは指輪を買ったアクセサリーショップへ来ていた。
朝目が覚めたら体は男に戻っていて、服も宿で着ていたものに戻っていたので夢か何かだと思おうとしたけどそれじゃあ調査にならない。
それに夢だったとしたらこの指輪を鑑定したところから全部現実じゃなかったなんてバカな話もあるはずがない。
そこのところを確認する為にも、オレは店主へと詰め寄った。
「昨日の……お客さんですか……どうかしましたか……?」
「どうしたもこうしたもないっスよ! あの指輪……!」
「指輪……ああ、付けてくれたんですね……気に入ってくれましたか……?」
まるで何もおかしなことがなかったように感想を求めてくる店主の様子に、ゾッとした。
あんな恐ろしいアイテムを客に売っておいて悪びれもせずに……!
しかし追求してやろうとこちらが声を上げる前に、店主の方が口を開いた。
「気に入ってくれたのなら……いいものがあるんです……これなんですけどね……」
まるで最初から用意していたかのように店主が取り出したのは、一つのネックレスだった。
何かの宗教的マークを象ったそれは、指輪と同じくあまり過度な装飾は無く、けれど異様に目を引いて。
鑑定しなくてもわかる、指輪と同じく邪神の加護がかけられた危険なものだということが。
「どうです……? 安くしておきますけど……」
ごくりと、思わず唾を飲み込んだ。
明らかに見え見えの勧誘、こうやって邪神由来のものを買わせてオレも信者にしようというのだろう。
こいつはオレが調査に来た冒険者だって知らない、だったら一個でも多く回収して動かぬ証拠としてアニキやギルドに提出してやればいい。
そもそも指輪もネックレスも付けなきゃいいんだから……オレは絶対に信者になったりなんかしない!
こうして俺は、店主からネックレスを購入した。
それが更なる快楽の深淵へと導くとも知らずに。
いや……もしかしたらもう、昨日指輪を買った時点で、戻れないところに来てしまっていたのかもしれなかった。