手に持っているスマホの画面。
そこに写っているのは一人の少年。
その格好からおそらくは中学生ぐらいだと思われる彼はこれから起こる事に対して、恐怖を感じて、周囲を見渡す。
冷や汗をかきながら、見渡していた時だった。
ガシッ。
「っ!」
突然聞こえた音と共に、少年が見つめた先は自身の足。
そこを強く握りしめているのは、誰かの手。見つめた先には真っ白な……いや、所々赤いシミがついた手。
その手は少年の足を掴み、ゆっくりと引いていく。
必死に抵抗する少年だったが、その手からは逃れることが出来ない。
「やっやめてっく」
やがて、地面についていた足が離れ始めると、そのまま勢いよく引っ張られ始める。
そして、身体も徐々に引かれ、少年は身体を大きく宙に浮かせることになる。
だが、そんなことはお構いなしに、その手は更に強く引っ張り続ける。
やがて、抵抗できなくなった少年の身体はまるで引きちぎられるように、その手から離れてしまう。
「っ!!!」
少年の口から言葉にならない悲鳴が漏れる。
そして、同時に何かにぶつかったかのように少年は吹き飛ばされる。
地面にぶつかる衝撃を受けながらも、少年は何とかして、自分の足を確認する。
しかし、そこに自分の足はなく、あるのは赤い血溜まりだけ。
「…………ぁああああっ!!」
声を上げることしか出来ない少年はそのまま、身体中を掴まれる。
「……いやぁぁぁっ!! やめてぇぇっ!!」
そして、悲鳴を上げている少年の身体はどんどんと引き上げられていく。
「たっ助け……っ! 誰かっ!!」
そして、少年の叫び声が周囲に響く。
しかし、誰も来なかった。
少年の身体は、そのまま、周囲の手によって、空中に持ち上げられる。
そして、少年の叫びは、虚しく響き渡る。
やがて、少年は宙に浮かぶ。
宙に浮かぶと、その身体はゆっくりと、動き始める。
それはまるでスローモーションのように、ゆっくりと。
やがて、ゆっくりと少年の身体が引かれていく。
しかし、ゆっくりだからといって、身体への負担が無いわけではない。
少年は痛みに堪えながらも、その腕から逃れようとする。
だが、身体中を掴む腕は離してくれない。
「くっ、やめろぉぉっ!!」
叫び声を上げる少年だったが、そんな彼の叫び声などは関係ないとばかりに、その手は彼を引き寄せ続ける。
少年の身体は、まるで釣り上げられた魚のように宙へと浮かんでいく。
そして、そんな状態のまま、少年の身体は宙へと放り出される。
「うわぁぁぁあっっ!!」
宙を舞う少年の身体。
そんな彼の身体は地面に叩きつけられる。
全身に走る激痛。
しかし、その苦痛で悲鳴を上げる隙すら与えられなかった。
「!?」
少年の目に最初に飛び込んできた光景。それがなんだったのか、分からない。
ただ、その顔に浮かんだ恐怖の感情だけが少年の中に残る。