「これまでの情報を整理すると、催眠を使う奴はこの大学にいるそうだけど」
そう、俺はこれまでの情報を集めた結果、もしかしたら催眠が使うと思われる人物がいると思われる大学へと辿り着く。
大学の校内は広くて俺1人では探しきれないので同じ大学にいるベアトリクスさんにも手伝って貰う。
それどころか大学にもそんな人はいるのかわからないとまで言うのだ。まぁ、確かにその通りだ。
あんな能力を持っている奴を簡単に発見できるとは思わないけど。それでも探してみる価値はあるだろうと思っている。
「向こうはこっちの正体が分かっている以上、何時襲われるか分からない。だから、俺の方でも探してみたいと思ったけど」
やはり、あちらはこちらを狙っているだろうから見つけにくいか? いや、それでも探さないといけないか……。
「……まぁ、駄目元でやってみるしかないよな?」
俺はとりあえず諦めずに探すことを決める。
それから俺たち2人は手分けをして学内を探し回ることにする。
1人で歩き回っても成果が得られるとは限らないからな。
「まぁ、だとしても、催眠なんて、普通に分かりにくい能力だけどな」
そうしながら、怪しい人物がいないかどうか。
そして、何よりも俺自身が大学の関係者ではないので、なるべく目立たないように。そういうことを心掛けながら、俺は学内を見て回り続ける。
とはいえ、実際にこうして見ていても、特に変哲のない光景が広がっているばかりだが…………ん?
「……あれ、あの人は確か」
俺はある人物が目に留まる。
それは以前この大学にいたことのある大学生の女性だったからだ。
栗色の髪に整った顔立ち。それでいて、大学生の割にはかなり童顔な女性だ。
それだけならば、あまり気にしなかった。
だけど。
「虚ろ過ぎる」
その瞳は、あまり生気を感じない。
そして、その特徴は、俺もよく知っている。
「催眠にかかっている証拠なのか」
俺はそう思いながらも、どうしてこんなことになっているのかと考える。
まさか、ここまで来て新たな被害者を見つけることになるとは思ってなかった。
そんな風に俺が驚いている中、女性は俺の前でふらつく。
どうやら、倒れようとしているようだ。これはまずいなと思いつつ、俺は駆け寄る。
そのまま倒れる前に受け止めることができたので、ホッとする。
だけど、どうしたものかと思う。
今は周囲に人がいないけど、このまま放置する訳にはいかない。
「おそらくは催眠の影響か。さすがにこのままにしておく訳にはいかないけど」
そうしていると、既に彼女がターゲットになった事を示すように、スマホが鳴る。
俺は、それに従うように近くのドアに近づく。
周囲には人影がいない事だけを確認し、ゆっくりと俺はそのドアを開け、部屋の中に入る。