ゲームの勝利条件は満たされた。
それを意味するのは、奴の、異種の持ち主の死を意味する。
先程まで、怪物の姿になっていた奴の身体は元に戻る。
それに戸惑うのは、一瞬。
恐怖するのもまた、一瞬だった。
「っ!?」
男は周囲を見る。
そこに並んでいるのは、全てが怪物。それも、ただの化け物ではない。
見ただけでも、人間を簡単に殺す事ができるとわかる。それが数十体も集まっているのだ。
こんな場所で……こんな連中に殺されてたまるか! 男は駆け出した。逃げ道を探す暇はない。だが、ここで殺されるわけにはいかない。必ず生き残る。そう心に決めながら、ひたすらに走る。
そして──見つけた。
(ここだ)
この建物にある、唯一のドアを見つけた。怪物達が入り込むには隙間がなさそうな場所。唯一安全な場所はそこしかない。いや、その部屋にこそ、本当の危機があるかもしれないが。見る
(大丈夫だ……絶対に生き延びるんだ!)
だが、俺はこの結末を知っている。
男は意を決し、扉を開く。そこには……予想通りの光景が広がっていた。
そこから見えたのは、男を睨み付ける無数の目玉。
男は、悲鳴を上げながら走り出す。
部屋の中に何がいるか、それはわかっているはずなのだが。男はその事実を認める事ができない。これは夢なんだ。現実じゃないんだから。きっと自分は、まだあの悪夢の中のビルにいるはずだ。あそこで奴らに追いかけられているに違いないんだ。
叫びながら逃げる。足を止める事はできない。止まる事は死に直結すると本能で理解しているからだ。
「……!」
しかし、男の身体に怪物の一体が食らいつく。
痛みで、顔を歪ませたその一瞬、動きが止まる。
「あっああぁぁ!!」
男の絶叫と共に無数の怪物が、男を食らいつく。
男の姿が見えない程に数は多く、血肉が飛び散る音だけがした。
数分程度は経っただろうか。
怪物達が、その場から離れると、そこには男はいなかった。
しかし、変わりに残っていたのは、男だと思われる骨と、血のしみだけ。
このゲームは勝利条件を満たしました。
「これは」
そんな残酷な光景を無理矢理見せられた後、俺はスマホに写されたのは、そんな文字。
同時に、俺もまたどこかに飛ばされた。
「ここは」
そう、考えていた時だった。
「おめでとう、君が優勝者だね」
聞こえた声と共に見つめた先には、男が一人。
高級なスーツを身に纏ってはいるが、その顔にはウサギの着ぐるみというふざけた存在がいた。
「お前は」
そう、問いかけると。
「そうだね、君達の言う所の黒幕かな」