ナナリーは眠れないでいた。カチ、カチ、息をひそめると時計の音がやけに響く。寂しさ、恐怖がじわじわ浮かんできて、思わず兄にすがりたい気持ちになる。しかしその兄は、自分ではない女を選んでしまった。もう頼ることができないとしたら、兄が自分を捨ててどこかへ行ってしまうとしたら、どうすればいいのだろう。思いもしなかった恐怖がナナリーを襲う。しかし恐怖は、数刻前の淫れを思い出すと、不思議と消える。あの、何もかもどうでもよくなる高揚感は、母の死からトラウマになっていた恐怖さえ、離散させてくれるかもしれない。何も考えられなくなるくらい、無茶苦茶におかしてほしい。そんなバカげたことを言うのは、友人に借りた小説の中だけだろうと思っていたが、案外真実なのかもしれないと思った。
「お兄様、こんなところで」
不意に、不安そうな声がした。ドア向こうから、自分(ナナリー)の声だ。誰かが録音していたのだろうか? しかし、それにしてはノイズが少ない。目の見えないナナリーは耳がいい。機械音とオリジナルの違いは聞き分けられる。しかし、だとしたらこの声は何だろう? 夢? いいや、この体ははっきりと現実を知覚している。
「いいじゃないか。ナナリー。ん、むちゅっ、ちゅ」
「アアンッ。うっ、ちゅっ、んちゅっ。ぷはあっ、はあ、はあ、んちゅっ」
意味が分からないが、自分そっくりの声の主が、兄とキスをしているようだ。えも知れぬ不気味さと、そこは私の場所だ、という怒りが湧いてくる。
「そこは……っ! うん。もうっ! お兄様ったらはしたない」
「やっぱりナナリーの体は気持ちいい。この細い肢体、こぶりなおっぱい、芸術的だ。ちゅーっ」
「アッ。もう! 吸っちゃダメですよ。赤ちゃんじゃないんですから」
「ちゅーっ、ちゅーっ」
「だ、だか、らっ。アーンッ」
「気持ちいいか?」
「それは、そうですけど」
ぞわぞわ、とナナリーは胸の周辺に悪寒を覚える。まるで自分が吸われているような。兄の吐息が聞こえる。肌に包まれたくて、自然と乳首に手が伸びる。自分でいじり始めてしまう。
「はあ、はあ。アアンッ」
自分と同じ声に合わせて、自分の割れ目をかく。ツーンと刺激が来て、身をよじる。
お兄様、お兄様。私は一体どうすれば……。
理性が警報を鳴らすが、野性が思うままに動けと命じる。何もかもどうでもよくなって、快楽に溺れてしまいたくなる。気分が高揚している。
「アン、アン、アン、アン」
いつの間にか、自分そっくりな声の主はナナリーのすぐそばまで近づいていた。パンパンパンパン、ピチャピチャピチャピチャ。甘える声、肉のぶつかる音が野性を誘う。
「はあ、はあ、はあ、はあ」
気付くと、ナナリーは強くふとんに抱きつき、右手を割れ目に伸ばしていた。そしてパンパンパンパン、という音に合わせて指をくちゅくちゅ動かす。エッチな音だ。高揚は完全に理性を超えて、もう我慢ならない。早く、早くして。もっと気持ちよくなりたい。
その時、どさっ、と何かが自分の顔を覆った。少しだけ苦しい圧迫感。ひたたる汗。淫らな熱。そして唇を包むやらかい感触。この感触は数刻ぶりだった。
「む、むううう」
「ちゅっ。むっ。うっ、ちゅーっ」
キスだ。それも、ディープなやつ。また、胸の大きさから、自分に乗っている相手、自分の声真似をしていた相手が、咲世子だと分かった。
咲世子さん、私の真似もできるのですか。驚きつつも、キスはやめない。咲世子はキスもテクニカルで、くすぐったく交ぜてから、いじらしくて止まらない。
「あっ、うっ。はっ、はっ、ハアン。アン、アン、むっ。むちゅっ、ちゅっ、ちゅはっ、アアン」
しかし咲世子は、いい所で唇を離す。肉棒の動きに耐えられなくなったようだ。ひんひん喘ぐ。ナナリーは性欲を放置されてたまらなくなる。
早く、早く、と待ち構える。咲世子の唇がやってくると、やった、と荒々しく舌なめずりする。
「アアンッ、アッ、アッ、アッ、アッ」
だが、咲世子は一層強く喘ぐと、もうキスしなくなってしまった。ギュッと両足でナナリーの腰を捕まえて、肉棒の動きに合わせて、ナナリーの割れ目に自分の股を擦りつけるようにしながら。
どうして、もう我慢できない。私も、私も気持ちよくしてほしい。
「お、お兄様」
「ふっ、はっ、ふっ、ふっ、ふっ」
思わず声を荒らげたが、ルルーシュに反応は無い。相変らず咲世子を突き続ける。
仕方ないと、ナナリーは咲世子の腰に両足を回す。咲世子に動くタイミングを合わせて、自身の割れ目を咲世子の股でこする。それで確かに刺激が増した。が、蚊に刺された箇所をなでるようなむずがゆさが残る。もっと、もっと鋭い刺激が必要なのだ。何かを思いっきり入れて欲しいのだ。
しかし、何もできない。ナナリーは耐えねばならない。
が、ちょっと考えると、すぐ傍にちょうどいいものがあることに気付く。咲世子の割れ目を突いている、兄の肉棒だ。それに突いてもらえばいい。そもそも、なぜ兄は咲世子にナナリーの真似をさせているのか。ここに本物がいるのに。どうせなら本物を突けばいいのに。
気持ちよくなるのは、本物であるべきだ。咲世子ではなく、自身が突かれるべきだ。だから、代わってほしい。代わらなけばならない。私の初恋はお兄様で、お兄様と結婚する約束もしたし、お兄様が一番大好きなのはきっと私なのだから。
「どうして、どうして」
「アンッ、アンッ、アンッ、アンッ」
あと少しで、自身の割れ目に届くのに、兄は別人の割れ目しか突いてくれない。たまらなくもどかしい。もう嫌だ。耐えられない。他人の甘い声なんて聞きたくない。お兄様は私のお兄様なのに。どうして私を見てくれないの。お兄様。お兄様。私を見て、お兄様。
「お兄様、お兄様! 私を見てください! お兄様!」
気付くと、ナナリーは叫んでいた。目の前には、初めてみる大人の女性の、苦しそうに、しかし気持ちよさそうに、よがる顔があった。
「咲世子さん、ですか……?」
ナナリーは、突然の展開に頭が真っ白になった。が、とりあえずそうつぶやいた。
咲世子らしい大人の女性は、ナナリーの顔を見ると驚いて目を開き、程なくおだやかに笑んだ。
「ルルーシュ様。成功です。ナナリー様の目が開きました」
「はっ、はっ、はっ、はっ……。えっ、な、何っ?」
「ナナリー様の目が開きましたよ。ルルーシュ様」
「本当か? な、ナナリー!」
ルルーシュは行為を止めて、ずいとナナリーに顔を寄せる。両手で優しく顔を包み、急接近させる。妹の大きな瞳をまじまじと見つめる。
そのまま固まること、数秒。
ルルーシュは、不意に表情を崩した。そして、ナナリーに強く抱きついた。
「よ、良かった。ナナリー」
体は震えて、声は裏返っている。ルルーシュは泣いているようだった。
「お兄様ったら。泣き虫ですのね」
何が何やら分からないが、とりあえずナナリーも回復を喜んだ。また、ルルーシュにつられて涙を流した。そして、強く強く抱擁したのだった。
何分そうしていただろうか。ルルーシュの呼吸が落ち着いて来たところで、ナナリーは不意に、自身の股をルルーシュの肉棒にあてがった。
「な、ナナリー。何を……っ?」
「お兄様。こんなところで放置するなんてなしですよ。もうナナリーは耐えられません」
「そんな、無理だよ。ナナリーの体に傷をつけるなん、んぎゅうっ」
「ンちゅう、ちゅっ、ちゅっ。ぱはあっ。ダメと言っても、離しませんよ。お兄様」
「ど、どうして」
「ナナリーはいけない子なんです!」
そう言うと、ナナリーは上手に肉棒を割れ目に入れた。
「アアッ」
「ほわあっ」
咲世子たちとは違い、ナナリーはまだ第二次性徴を終えていない。割れ目はきつく、刺激は強烈だった。
「痛い、けど、気持ちいいです。お兄様」
「そ、そうかい? ナナリー。でも……」
「お兄様、早く動いてくださいよ。ほら、早く、早く」
「うん? えっ? あ、ああ。痛くないのかい?」
「大丈夫ですから気にせず動いてください」
「う、うーむ……」
皇族にとって、近親相姦はありえない話では無い。だからか、ルルーシュは思ったほど抵抗がなかった。むしろ、初めて入れた瞬間のあまりの気持ち良さに、突きたくて突きたくてたまらなくなっていた。
「よ、よしナナリー。行くぞ……?」
「望むところです。アッ、ちょっ、いきなりは卑怯です!」
「ふ、ふふふふふ。驚いたかい? もっと、もっと気持ちよくさせてやるからな。ふふふふふ、はーはっはっはっはっは!」
「アン、アン、アン、アン」
正常位で突きまくるルルーシュ。獣ように突き、乳首を撫で回す。かと思いきや、職人を思わせる絶妙な手つきで胸、脇、お尻をくすぐり、ふっと唇を奪ったりする。
「アアンッ、アン、アアンッ」
その度に身をよじらせるナナリー。幸せいっぱいで、兄に強く抱きつく。
「うおおおおお」
雄叫びと共に、ぴゅっ、ぴゅっ、と発射された。が、腰の動きは止まらない。肉棒もギンギンのままだ。
「まだまだあああ!」
ルルーシュはナナリーに抱きつき、下にもぐり込み、腕を胸にクロスさせて、背中から突き上げ始める。こうするとナナリーの重みが感じられて、激しさをぶつけるには一番よかった。
「アン、アン、アン、アン。き、気持ちいいです。お兄様!」
「はあ、はあ、はあ、ごほっ、ごほっ。はあ、はあ」
しかし、元々体力のないルルーシュである。すぐに息切れしてしまう。が、何とかネバリ、二発目発射までは腰を動かし続けた。
「はあ、はあ、はあーーーー」
息を整えるルルーシュ。ナナリーはとてもいい笑顔だ。
「さあお兄様。もっと、もっとです」
「え、ま、まだやるのかい?」
「はい。ほら、早く、早く。待ちきれません」
ナナリーはくるっと回転し、ルルーシュに馬乗りになると、跳ね始める。
「あっ。い、痛っ」
きつい割れ目で強くこすったから、高揚の覚めたルルーシュは痛みを覚え始める。しかし、ナナリーは止まらない。ルルーシュが身をよじらせようとしても、両手両足でガッチリ固定される。力を入れようとしても、肉棒の痛みで「おふう」と離散される。
「さあ、行きますよ。お兄様。アン、アン、アン、アッ、アッ、アッ」
「あ、ちょっ。痛っ。え? あ、ああ、アッー」
その日の夜は、少女のうれしそうな喘ぎ声と青年の絶叫が止まなかったそうである。
おしまい