女性トレーナーとあまあま恋人セックスライフ❤️ 作:27クラブ
大都会、カナズミシティ。
その一角にあるトレーナーズスクールは、ホウエン地方チャンピオンのダイゴさんをはじめ、数々の優秀なトレーナーを輩出してきた由緒正しき名門学校ですの。
ポケモントレーナーを目指す少年少女たちがあらゆる町村から集まる。
その中で、わたくしは学年トップの成績を納めて卒業し、この町のジムリーダーに就任した。
ツツジという、わたくしの名前が知れ渡る中で、羨望や賞賛、やっかみ、無関心と、いろいろな反応がありました。
でも、気にしてる余裕なんて今の自分にはない。
一刻も早く、ジムリーダーに相応しい、スクールで学んだことを活かしたバトルをしないといけないって。
気が急いていた。
あなたは、いつも、そんなわたくしとは違って自由に生きてるから、正直言ってイライラしてましたの。
同窓のライバル。
わたくしに唯一張り合える、学年1の問題児だった人。
そんな、あなたのようないい加減な人に、わたくしは……ずっと、密かに……。
*
その日も、夜遅くまで残って勉強しているわたくしの隣で、あなたは漫画雑誌を読んでいた。
「……気が散るのですが」
鉛筆を動かしていた手を止めて、あなたを睨む。
時刻は21時をとっくに回っている。
苛立つわたくしに向かって、あなたはにこやかに言い放ったのです。
いつもの憎たらしい微笑みで。
「そ、がんばってね。俺もいま忙しいからさ」
いつだって、誰にでも同じような顔をする人だったけど。
それは、まるで、わたくしをからかっているようで。
……いいえ、きっとそうですわね。
だって、あなたはいつもそうだったから。
学生時代から授業はサボる、眠る、珍しく真面目に受けてると思えば、教科書に下品な落書きをして……。
しかも、この不良生徒に、いままで一度も実技テストでは勝てなかったのが、なにより納得できなかった。
「漫画を読むことの、何が忙しいんですの?」
「ん?これは、バトルの指南書だよ」
「……はい?」
「ほら、ここ。『毎日がんばるな、ほどほどにラクをせよ』って」
「そ、それの……どこがポケモンバトルと繋がるのですか!?」
意味のわからないことを言うあなたに、わたくしは思わず声を張り上げてしまう。
「『ラク』って、そんなナマケロみたいなこと言ってたら腕が鈍りますわよ」
「い〜や、『ラク』は簡単じゃないんだよ。何でもかんでも全力だとガス欠起こすからな。バランスってやつさ」
「……それは、努力した人の言う台詞ですわ」
「俺はいいんだよ。ツツジみたいに全力になれることなんて見つからないし。ほどほどで十分だな」
「……っ」
……また、だ。
あなたはいつも、そうやって、わたくしを突き放す。
「ツツジは真面目すぎるから、俺くらいテキトーな奴と相性が良いんじゃね?」
「なっ!だ、誰が……!!」
「あ~はいはい、怒らない怒らない。かわいい顔が台無しだぜ」
「~~~ほんとっ、性格悪いですわねっ!」
「ありがと」
「褒めてません!!大体、わたくしはあなたのように、だらしない人間になるつもりも、付き合うつもりもありませんからっ!」
「それは残念」
そして、あなたはまた漫画に目を移す。
わたくしがいきり立つのにも興味を示さず、ただ、ページをめくる。
その態度が、ますますわたくしの怒りに火を付ける。
……もう!
どうしてこの人はいつもこうなんですの!?
わたくしに、幼い頃から唯一渡り合った方なのに!
そんな苛立ちを隠そうともせず、勉強に戻る。
鉛筆がノートをガリガリと駆け巡り、ノートの白い枠を黒く埋め尽くしていきました。
「……ツツジはさ、もうちょっと遊んだら?」
その声に振り向くと、あなたは、ページをめくりながら、つぶやいていました。
「朝から晩までジムの仕事と勉強ばっかじゃ、息が詰まっちゃうだろ?」
「っ、仕方ないでしょう!わたくしはもうジムリーダーとして、責任ある立場にいるんですもの!!」
「それでも、たまには息抜きも必要だろうし、肩肘張らずにさ。いまにぶっ倒れるかもよ」
「……あなたには、分かりませんわ。自分の好きなことだけして、自由に生きてるあなたなんかに……っ」
それ以上なにも言わず、あなたはそのまま漫画に視線を戻しました。
わたくしがなんと言おうが、そよ風ぐらいにしか感じていないみたいで。
悔しさで、胸がいっぱいになりましたわ。
ますます意固地になって、それから毎日、あなたへの当てつけみたいに、ジムバトルで挑戦者を倒して倒して、倒しまくりましたわ。
*
「ねえ、最近ツツジさん、ちょっと調子のってない?」
「あーそれたしかに……」
「ジムリーダーになると、なにかとお忙しいんでしょ。授業休むなら、先生までしなくて良いのに」
聞こえてないつもりなのかしら。
放課後のスクール。
教員用の女性用トイレに集まって、わたくしへの陰口をたたく同僚の先生たち。
関係ありません。
言いたい人には、言わせればいいんです。
確かにわたくしは、このとき、ジムリーダーとしての責任や、挑戦者にとって価値のあるバトルをするプレッシャー、それに授業のレベルを維持せねばという義務感によって、疲弊していましたし。
彼女たちの言葉に構っている暇なんてなかったので。
「……ツツジさんてさ、なんか男好きしなそうだよね」
「わかる〜、いつも説教してそう。堅物ってやつ?」
「岩にときめく優等生、だって。たしかに岩みたいに頭お堅いから、彼氏できないかもね」
「あ~言えてる!」
いないのは本当ですが。
……わたくしも、男女の関係については人並みに興味はありましたけど……。
でも、でも、でもっ。
あんまりでは、ないですか。
女子トイレの陰で、泣かないように必死で口をつぐむことしかできなくて。
……わたくしはただ、ポケモンバトルが好きなだけ。
……ポケモンについて学ぶことが好きなだけ。
いっしょにと、そう思っていた人も。
いまでは。
*
「ツツジ、嫌われてるぞ」
またいつもと同じ。
放課後の教室で残って自習をしてるわたくしに、あなたは何でもないように言うんですの。
一番、触れてほしくないところに。
なんの遠慮もなく。
「同じ教員でもないのに、堂々とご忠言なさらないでくださいまし」
「いや、同窓のよしみでさ。心配じゃん?」
「だからなんですの?放っておいてくださいまし!」
思わず立ち上がる。
椅子がひっくり返って、床とぶつかる。
激しい音の後、一瞬の静寂を置いて、我慢ならなくてわたくしは叫んだ。
「ジムリーダーの仕事と先生の仕事、両立できなかったら、周りに示しがつきませんもの!あなたのような自由人には、分からないでしょうけどっ!」
「……あぁ、そういうもんか」
あなたは、つまらなそうに、わたくしに背中を向けた。
また喧嘩してしまう。
あなたと話すと、いつもそう。
ずっと昔は、そんなことなかったのに。
あなたと出会った日のことは、今でも鮮明に覚えてますわ。
忘れるには、あまりにも幸せな出会いでしたから……。
トレーナーズスクールの入学式の日、馴染めるのか不安で、とても緊張してた。
だけど、大勢の人たちに囲まれているあなたは、最初からクラスで人気者でしたわね。
あなたは、誰にでも明るくて、まっすぐで。
周りから愛されていて。
そんなあなたに、ほんとにあの当時は、その、ちょっとだけ憧れてましたの。
「あ、あのっ!わたくし、ツツジです。仲良くしてくださいね」
勇気を出して、話しかけたときも。
「ツツジ……あぁ、入学テストですげえ成績いい奴がいるんだって聞いたよ!すっげえなぁ!よろしくな!」
あなたは、すごく人懐っこく笑ってくれましたわね。
きっと、あのときにわたくしは、あなたに、……不服ながら恋をしたんですわ。
そして、それは日を追うごとに確信に変わっていって。
半年ほどして、簡単なポケモンバトルの授業も始まった。
当時から、わたくしとあなたの実力は子ども離れしていて、大人と変わらない拮抗した勝負を繰り広げていました。
「ノズパス、がんせきふうじですわ!」
わたくしのノズパスが四方に大きな岩を降らせると、フィールドの地形を歪める。
攻撃に気を取られたポチエナが、岩に足をとられて動けなくなった。
「今ですわ!いわおとし!」
ポチエナの頭上に岩の瓦礫を出現させ、振り下ろす。
ーー勝負ありですわ。
わたくしが勝ちを確信した瞬間。
その瞬間、あなたはにやりと笑って、指示を繰り出した。
「ポチエナ、あなをほる!」
逃げ場を失ったはずのポチエナが、いわおとしの衝撃で崩れた岩山に身を隠す。
そのまま、あなをほるで避けた。
そして、わたくしのノズパスの懐に飛び込んで牙を剥く。
「っ!……ノズパス、耐えて!」
ポチエナの牙をなんとか受け止めている。
だけど、効果抜群の技を前にノズパスはじりじりと押されていく。
「ここで決めますわよ、ノズパス!」
そこで、あなたもポチエナに指示を出す。
「かみつく!」
「いわおとし!」
至近距離で放たれたいわおとしを、華麗にかわしたポチエナ。
そのまま突進して、牙を突き立てた。
次の瞬間、岩肌が砕ける音がして、ノズパスは倒れた。
「……っ……そんな……」
呆然とするわたくしに、あなたは笑って言ったわ。
「うおー!今回もギリギリ勝てた!」
「う〜、どうして勝てないんですの……」
そう。
これで20戦20敗。
わたくしは、ポケモンバトルの実技においては、あなたに歯が立たなかった。
「ノズパス、ごめんなさいね。今きずぐすりを付けますわ」
ポチエナに噛みつかれた箇所を治療してあげて、ボールに戻す。
「よくがんばったなぁ、ポチエナ」
「ノズパスもお疲れ様ですわ」
2匹のポケモンを労うと、モンスターボールに戻しながら、あなたはわたくしに言った。
「ツツジはやっぱり強いなあ」
「……そんな、あなたには一度も」
「まあまあ、気楽に行こうぜ。それに勉強はツツジの方がすごいし、今日だってすごい技の組み立てだった」
「でも……」
「バトルもテストも、俺とツツジ、ふたりが揃ったら最強じゃんか!大丈夫!俺たち強くなれるよ!」
「そ、そうですわね」
「へへ、俺たち相性良いのかもな」
わたくしは照れながらもお礼を言うと、あなたは満面の笑みで返してくれた。
なんだか、嬉しかったり恥ずかしかったりで、うまく言葉も返せなかったけれど。
あなたの言葉は、いつもまっすぐで、優しくて。
すっと心に届くんですの。
学年で唯一わたくしに実技試験で土をつけて、座学試験でも僅差の次席。
あなたとわたくしなら、良きライバルとして、お互いをどこまでも高め合える。
スクールに行くたびに、いつも会えるあなたの存在に、心躍らせていたのです。
そうして、わたくしにとって、あなたは特別な人になっていった。
でも、あなたは、そんなわたくしの想いになんて、なにひとつ気づいてくれませんでしたわ。
そう、あの時だって。
「ツツジ、また一人で勉強してるの?」
「え?あ、はい」
「なんでだよ?休み時間くらい友達と遊べばいいじゃん」
「わたくしは、その……勉強が好きですの。だから……」
いつもと変わらないスクールの休み時間。
そんなときでした。
「も〜、ツツジちゃん勉強してるし、邪魔したら悪いよぉ。ね、あの子は放っといて、わたしたちと遊ぼうよ〜」
そう言ったのは、クラスでも人気者の女の子だった。
入学してから、一度だけ彼女と遊ぶのを断ったのを境に、わたくしを……言ってしまえば仲間外れにする中心人物になっていた。
慢心がなかったと言えば嘘になる。
でも、あなたなら、そんな子の誘いに靡いたりしない。
わたくしと同じ、高い志を持つ人だと思っていたから。
あなたなら、「悪いな!俺たち、二人で勉強する約束してるんだ!」とか何とか言ってくれると思ったから。
でも、そんな希望もむなしく。
「……、あ〜〜わかった、いま行く」
あなたはそう言って。
そして、わたくしを置いて、その子たちと遊びにいってしまった。
「なっ……」
わたくしは、ただ、ひとり、教室に残された。
それから、ですわ。
わたくしは、あなたと素直に接することができなくなって。
いつも喧嘩をしてしまうようになったのは。
それに、卒業式の時だって。
学年首席として、教師や在校生の皆さんから祝福を受けていたわたくしと違って、あなたは式にも出ず、のんきにグラウンドで日向ぼっこしていた。
在学中、座学も途中から手を抜いて欠席ばかり。
テストだけ良い成績を取って、それ以外はまるで問題児のそれで。
実技のポケモンバトルも取り引きだとか言って、あっという間に本気の先生に勝ったら、そのまま無理やり授業を特待免除させる始末。
入学当初の皆さんの期待を裏切るあなたを見るのは、とても忍びなかったけれど。
それ以上に、あなたのその態度は、わたくしにとって許せなかった。
「卒業式、終わってしまいましたわよ」
「ツツジ、ジムリーダーになるんだってな。……すぐになるより、少しだけ時間もらったら?」
「っ、だからなんですの?あなたに、そんなこと言われる筋合いはありませんわ」
「あるよ」
「ありません!」
「だって、きっと無理するだろ」
その一言で。
わたくしの心は、簡単に揺らいでしまう。
「ツツジさ、もっと気楽に生きていいんだぜ。周りの期待に答えるだけが人生じゃないだろ」
「な、なにを……あなたがそんなことだから、わたくしは……っ!」
あなたがずっとわたくしのライバルであったなら。
あの女の子の誘いを断っていたら。
上を目指すことをやめたから。
今頃、ジムリーダーにあなたも推薦されていたかもしれないのに。
勝手に、わたくしをひとりにして。
「ツツジは頑張り屋すぎるんだよ。もっと、肩の力抜けばいいのにさ」
「それができれば苦労しませんわ!だってあなたが……っ!もういいですわ!」
それっきり、卒業後の今もずっと、わたくしたちの仲はギクシャクしていて、会えば必ず言い合いになる。
そう、ちょうど今のように。
「この前も貧血で倒れたって聞いたぞ。ちょっとだけ休暇もらえば?」
「あなたはまたっ!何度言えばわかるんですのっ!」
いつものように言い合いをして、背を向けたあなた。
そのまま無言で背を向けて、帰ってしまう。
そのはずだった。
いつもは、そうだった。
けれど、今日は違った。
「……なあ、ツツジ。俺とフエンタウンの温泉、行かないか?」
「なんです、藪から棒に」
「俺が何言ってもツツジは聞かないし、……なら、いっそのこと無理やり連れ出しちゃおうかなって」
「わたくし、忙しいんですの。明日もジムを開く予定ですしーー」
ツンと顔を背けて、断固拒否をする。
なんでもあなたの思い通りになるとは、思わないことね。
「ああ、それ。事務所のおじさんに頼んで、明日は臨時休業にしといたぞ」
「なっ、なんですって!?」
「ちょうどスクールも休みだし。な、行こう」
「どうして、そんなに……」
「ツツジがいないと、……意味がないから」
あなたはそう言って、わたくしに手を伸ばす。
「ほら」と、わたくしの手を摑む。
「行こう」
「あ……」
その一言に、なぜだか、わたくしは逆らえませんでした。
*
翌日、わたくしたちはフエンタウンにいっしょに向かった。
柄にもなくおしゃれしてみると、舞い上がってるみたいで恥ずかしい。
その上、あなたはいつもと変わらない格好をしているのに。
なのに、これではまるで、わたくしだけが意識してるみたいじゃないですか。
「へえ、かわいいな。似合ってるね」
「お、お世辞はいいですわ、さっ、行きますわよ!」
そして、フエンタウンに着いてからもあなたは、いつも通りでしたわ。
「さ、温泉温泉!日頃の疲れを取ろうかぁ」
「あなた、疲れるようなこと普段してますの?」
「……ポケモンを遊ばせる、とか」
「あなたが遊んでもらってるのでは?」
「よーし、リラックスするぞぉ!!」
温泉は男性と女性とで浴場が別れているので、それぞれ別の入り口から、中に入った。
湯船に浸かって、ぼんやりと水面に浮かぶ湯気を見つめる。
湯けむりの向こう。
壁一枚を隔てて、静かに佇むあなたの姿が思い浮かんだ。
また、のんびりダラダラしてるのでしょうね。
でも、いまは、わたくしも同じですね。
こんなに気持ちいい温泉に入ると、リラックスしてしまいます。
そういえば、久しぶり。
こうしてゆっくり過ごすのは。
「ツツジ〜、いる〜?」
「っ!?」
突然声をかけられて、思わず驚いてしまった。
「い、いますけど」
「気持ちーな、グラエナも喜んでるよ」
「ダイノーズはサウナに夢中ですわ」
「ははっ、そりゃ何より。ツツジもしっかり疲れをとってくれよ」
幸い他に誰も入湯者はいない。
ほとんど貸し切りみたいな状態だったので、そのまま話すことになった。
「なぁ、ツツジ。今日もジムが終わったら、勉強するつもりだったのか?」
「え、えぇ……まぁ、そうですわね。時間もないので、有効活用しませんと」
「……そうか。悪かったな、ずっと邪魔してさ」
「っ!」
空耳?いえ、でもたしかに。
か細く、消え入りそうな声で呟いたあなたの声。
お湯が流れる音にかき消されてしまいそうなほど、小さなあなた自身の気持ちを初めて聞いたような気がする。
あなたは今、どんな顔をしているんですの?
「気分転換にって思って連れ出したけど、やっぱり迷惑だった?」
「……迷惑なんて。わたくし、その、……あなたとの言い合いは、大変だけど、でも、あなた自身のことを嫌ってるわけではありませんわ」
「そっか。……良かった」
「だから、その……気にしないでくださいまし。せっかくの温泉だから」
「……うん、わかった」
あなたは、そのまま黙ってしまう。
わたくしも、それ以上なにも言えなくて。
温泉から上がって、着替えても、気まずいままで。
それからも、あなたはそれ以上、何かを話すわけでもなく。
ただ黙って、わたくしの隣を歩きました。
えんとつ山の麓まで行くと、小さな足湯を見つけた。
せっかくだし入ろうと、あなたが言うので、二人並んでそこに腰掛けた。
「……あのさ」
「あの……」
「っ! ツツジ、先に」
「あ、あなたこそ……お先にどうぞ」
「……」
「……」
再び、気まずい沈黙。
なんで。
いつもはあんなにも言い合うのに、せっかくゆっくり話せると思ったら、何を言えばいいのか分からなくて。
無言の時間を積み重ねながら、きっかけを掴み損ねています。
それから数秒後。
あなたは「俺さ」と言いかけて一度口をつぐみ、そして意を決したように話し出した。
「ツツジに謝りたかったんだ。ずっと」
「……謝るって、何をですの?あなたが?」
「ああ」
あなたは一呼吸おいて、続ける。
「俺さ、ツツジのことライバルだと思ってたんだ。子どもの頃から、気づけば目で追ってた」
「えっ……」
それは思いがけない告白だった。
わたくしとあなたの間には、いつも見えない壁があったから。
なのに、あなたもわたくしと同じ想いでいてくれたなんて。
「ツツジは強いのに驕らずに頑張ってて、いつでも一生懸命で、輝いてた。そんなツツジに憧れてさ、俺もこんなふうになれるかなって思ったんだ」
「あ、あの……」
面と向かって言われると、正直照れますわ。
それに、わたくしはそんな立派な人間じゃ……。
「でも、いつからだったかな、ツツジがジムリーダーになるって決めた日からだった気がする。ツツジ、あまり遊ばなくなっただろ?それが寂しくってさ、かまってほしくて」
恥ずかしそうに苦笑いしながら、あなたは続ける。
「俺が手を抜けば、ツツジは真面目だから放っておかないだろうって。ツツジを独り占めしたくて、だから、あんな態度取っちゃったんだ」
あなたが、そんなことを思っていたなんて知らなかった。
わたくしはずっと、一人で勝手に悩んでいて。
……でも。
「ガキは俺の方だよ。だから……ごめんな」
「わたくしのほうこそ、あなたともっと早く、素直に話せばよかったですわ」
気づいたら、わたしも謝っていた。
それから、あなたとわたくしは、一言ずつ短く言葉を紡いで。
そして、少しずつ距離を縮めていきました。
「ねえ、ツツジ」
「なんですの?」
「あのさ」
わたくしの手に、あなたの手を重ねてきて。ぎゅっと握りしめられて。
「俺さ、ツツジのこと……」
それは、あまりにも突然で、唐突で。
「ずっと前から好きだったんだ」
あなたがわたくしを見つめてきて。
「ツツジにもう一度振り向いてもらえるよう、頑張るよ」
「それ、本当、ですの……?」
「うん、本気だ」
唇が触れるほどに顔が近づくと、あなたは真剣な眼差しで答えを待ってた。
「でも、……わたくし、とっても意固地で、堅物で、素直じゃなくて。その、男好きしなそうな人、なんでしょ」
耐えきれない。
わたくしは思わず、以前聞いた自分の評判を並べ立てた。
あなたの気持ちが分かっても、わたくしを好きになるなんて、そんな。
「ーーツツジってさ」
「?」
「頭いいのに、ときどきバカだよね」
「なっ!」
「だってさ、俺がツツジのこと好きな理由って、全部それだよ」
「……えっ」
「ひたむきで、真面目で、正義感が強くて、融通が効かないところも好き。あと、根は優しいし、面倒見がいいのも好き。それに……」
次々とわたくしの好きな部分を羅列していくあなた。
誰かが止めないと、ずっと続きそう。
「す、ストップ!わかりましたからぁ!」
「ま、簡単に言えば、全部好きってこと」
「〜〜っ!」
顔が熱い。
きっと真っ赤になってるのでしょう。
「俺が全力になれんのは、今思えばいつだってツツジのことだったんだよね」
な、何を言って!?
ああもう、どうしたらいいんですの!?
「ツツジがいい。ツツジが、大好きなんだよ」
たたみかけるように、わたくしへの好意をぶつけてくるから。
そんな真っ直ぐな瞳に射抜かれて。
もう逃げ場なんてありませんでしたわ。
「わたくしも……」
「……うん」
「あなたのことが、好き……です」
やっとの思いで告げると、あなたは優しく抱きしめてくれた。
「ありがとな」
「はい……」
わたくしは、あなたの胸に顔を埋めていた。
「ツツジ、こっち向いて」
「?」
言われるがままに顔を上げると、唇に柔らかいものが触れた。
それは、一瞬だったけど。
でも確かに。
「な、なっ!?」
「へへっ」
いたずらっぽく笑うあなた。
その笑顔は今まで見たどんな表情よりも、輝いていました。
*
それじゃあカナズミに帰るかと、あなたはぐーっと背伸びをして足湯から上がる。
わたくしも顔がまだ火照って仕方ないですが、いっしょに出ました。
タオルで足を拭いて、雪駄を履く。
「あ、あのさ……手、繋いで帰らない?」
「ええっ!?」
「い、嫌ならいいんだけどさ」
「い、いえ、嫌じゃありませんけど……」
「……じゃあ、はい」
あなたはそう言って手を差し出してきて、わたくしはおずおずとその手を取る。
するとあなたは、嬉しそうに笑ってくれた。
それからは他愛のない話をしながら、フエンタウンの温泉街を歩きました。
時折、すれ違う人の視線を感じてしまうけれど。
そのたびに握りしめる指に力の入るあなたがおかしくて、愛おしくて、つい笑みがこぼれてしまいますの。
「ちょっとツツジ!笑うなって、恥ずかしいだろ!」
「ふふふっ」
あなたがそんな風に顔を真っ赤にするから、もっと笑いがこみあげてきてしまう。
温泉に戻ると、着替え室のロッカーに預けた私服に袖を通す。
スパッツを履いて、ワンピースを着る。
そして、いつものリボンを髪に留める。
身だしなみを確認しようと、鏡に映る自分を見てみると、なんだか不思議な気分でしたわ。
わたくし、あなたと恋人に、なったのですよね。
数時間前まで、ただの幼馴染だったのに。
なんだか、鏡に映る自分が、『女』の人の顔をしていました。
まだ帰りたくないな。
もう少しだけ、いっしょにいたい。
そんな気持ちに、つい、かられてしまう。
「ツツジ、そろそろ帰ろうか」
「……ねえ?」
「ん、なに?」
「わたくしが悪い子になったら、あなたは……どうしますの?」
「はあ?何言ってんだよ。ツツジは、いつだって正しいだろ?」
「そうじゃなくて、その」
どう伝えたらいいのか、分からなくて口ごもる。
「あっ、今日サボったの、そんなにまずかった?ツツジは真面目だから、ズル休みとかしたことないもんなぁ。気にしちゃったのか、ごめん、俺があとで謝って」
「もうっ!、ですから……っ!」
これは……仕方ないのです!
だって、あなたったら鈍いんですもの!
だからわたくしは思い切って、あなたの唇を奪いました!
「……っ!?」
「ん……ちゅ」
触れるだけの軽いキス。
でもそれは確かに、わたくしからあなたへの意思表示で。
「……何か、言ってください」
「え〜と、……ツツジ、明日もジム、休みにしない?」
「ーー!」
あなたのその言葉を聞いたとき、わたくしの中で何かが弾けるような感覚を覚えました。
そしてわたくしは、あなたに思い切り抱きついていた。
「し、仕方ありませんわね!あなたがそこまで言うなら!」
「おわっ!」
そのまま、わたくしたちは、フエンタウンの小さなトレーナーズホテルに泊まることにしましたの。
ツインで急遽入れる部屋があったので、そちらにチェックインしました。
部屋に入ると、荷物を置いて、どちらからともなく、ベッドに並んで座る。
手だけを絡め合わせて。
ドキドキして心臓が破裂してしまいそう。
でも、離れたくなくて。
「あのさ」
わたくしが口篭っていると、あなたが先に口を開きました。
「その、いいのか?」
「……なにがですの」
「……だから、さ」
「はっきり仰ってくださいな……」
「わかったよ!じゃあ、言うけど」
あなたは大きく深呼吸をして。
意を決したかのように言ったのです。
「俺、ツツジとエロいことしたい」
「え、エロとか!そんな直接っ、変態ですか、あなたは!」
「うん、変態!ツツジ限定の!」
「雰囲気とか、もっとこうっ!」
「だめかな」
ぼそっと、でも確かにそう言ってくれましたわ。
その言葉の意味くらい、わたくしにだって分かりますもの。
だめなんて、そんなの。
「わ、わたくし……」
「……うん」
「その、……初めてですのよ。うまくできるかどうか……」
「だいじょうぶ。俺はどんなツツジでも好きだし興奮する」
「……あなた、思ったよりもかなりのエッチですのね」
「いやになった?」
「はぁ、なるわけないでしょ……」
それからわたくしたちは見つめ合い。
どちらからともなく、顔を近づけて。
もう一度だけキスをして。
それから、あなたにリードされるように、初体験を始めるのです。
*
ベッドに座るあなたの目の前に立つと、ちょうど顔のあたりにわたくしのスカートがくる。
するするとタイツを下ろしていく。
わたくしの手は震えて、膝下のあたりまで下ろしたときに、一度止まってしまう。
あなたに見られてる。
それだけで、わたくし、緊張してしまいましたわ。
「これは、エッチすぎませんこと」
「自覚はあるよ」
さまざまな思いが飛び交う胸の内を飲み込んで、一息に脱ぎました。
ピンク色のタイツを足先からくるくると丸めて抜き取り、ベッドの側に丁寧に置く。
足下がスースーしますわ。
あなたの息も至近距離でかかりますし……。
それになにより、普段隠してる生足を見られて、わたくしのスカートの奥の股間が、じくじくと疼いてしまう。
「スカート上げよっか」
「……っん」
あなたの言葉に、スカートの裾を両の親指と人差し指でそっと摘み、持ち上げる。
スカートの布が、わたくしの股間や臀部に擦れる。
「ツツジ、もっとよく見せて」
「……はい」
スカートの裾を摘んだ手はそのまま上へと持ち上がり、腰から秘部にかけて覆う白い簡素な下着が露わになる。
「可愛いね」
「……はずかしいのっ」
「じゃあ、やめる?」
イジワルな顔でそう言うあなたに、わたくしも首を横に振る。
「やめないっ、です」
「じゃあ、もっとよく見せてよ」
「……はぃ」
「パンツ、湿ってるね」
「いわないでぇ……」
あなたに見られているだけで。
あなたの声を聞くだけで。
わたくしの秘部は湿りを帯びて、下着の布がぴっちりと吸い付いてしまいますの。
ああ、かたちが浮き出てる。
「あのさ」
「な、なんですの……?」
「……下着、脱がすね」
そう言って、あなたはわたくしの秘部を隠す最後の一枚へ手をかけた。
腰を浮かせて手伝うと、すぐにそれは脱がされて、わたくしの下半身は生まれたままの姿をあなたへ晒した。
「ここ、もうびしょびしょだね」
「だれのせいでっ……」
秘部が疼いて、お汁が勝手に溢れてしまいますのに。
「なあ」
「なんです……?」
「ここ、どうしてほしい?」
「……いじわるっ」
わたくしのお股はこんなにびしょ濡れになってますのに。
聞かなくてもわかるでしょ!
「あっ」
あなたがお臍の下、下腹部に唇をつける。
そして、手はやわやわと太ももの内側をさすってくる。
ぞわりと、くすぐったいような気持ちよさが広がって。
「……んぅ、はぁ……っ」
「ちゅっ、ちゅ……」
そのまま、あなたの唇も太ももから膝、脹脛、くるぶしまで下りて。
足の甲にキスをされる。
足の指を一本一本しゃぶられて、舌でチロチロと舐め転がされる。
くすぐったさと気持ちよさの入り混じったぞわぞわとした感覚は、わたくしをおかしくさせていく。
「はぁっ……ん……っ」
あなたは、わたくしの着るワンピースも脱がせ始める。
ボタンを一つ一つ、ゆっくりと外されて、その度に鼓動が早くなってしまう。
脱がせながらされるキスも、反則ですわ。
あぁ、どうにかなってしまいそう……。
しゅるりと、衣擦れの音とともに、わたしはワンピースを、そしてブラジャーのホックを外されて。
いま、何も着ていない生まれたままの姿であなたの目の前に立ってる。
「見ちゃだめ、ですわ」
「なんで、こんなに綺麗なのに」
「綺麗だなんて……足は太いですし、胸もあまり、その、大きくなくて……」
自分でも男好きのする身体でないことは、百も承知ですのよ。
あなたに、失望されるんじゃないかって。
裸を見られて、幻滅されたらどうしようって。
「何言ってんのさ」
そう言ってあなたはわたくしの耳元に口を寄せたかと思うと、ふっと息を吹きかける。
「ひゃうんっ!」
「ツツジは最高だよ、ほら、すごいエロい裸見て俺のここ、こんなになってる」
そして、立ち上がってわたくしの目の前に大きくなった股間部を見せつける。
ズボン越しでも分かるくらい、大きく突き出して苦しそう。
「やっぱり、へ、変態さんですわ……」
「ツツジので、こうなってるんだよね」
「もうあきらめますわ……」
慣れない手つきでズボンのチャックを下ろしてゆっくり脱がせてあげる。
パンツがテントのように大きく張っていて、その先端が触れる部分に、染みが広がっている。
「あ……お、大きいですわ」
パンツも下ろすと、男性器特有の匂いと温泉で使った石鹸の香りが漂った。
その独特な臭いに、たまらず顔を近づけて匂いを嗅いでしまう。
……わたくしも、エッチになっちゃう。
わたくしのお股からとろりと愛液が溢れていくのがわかってしまい、すごく恥ずかしい。
「ツツジってさ、俺のちんこの匂い、好きなの?」
「っん、そんなこと……」
「……俺は、ツツジの匂い好きだよ」
「おやめになって……」
「やだ、やめない。好きだから」
あなたはガバッと服を全て脱いでしまうと、その場に置いて向き合う。
お互い、裸になって、大事なところを全部相手に見せちゃってる。
「ツツジ……」
ぎゅっと抱きしめられると、鼓動が一段と高まった。
だって、太くてがっしりした腕も、男らしい骨ばった身体の輪郭や厚い胸板も、全部感じちゃって。
自分はやっぱり女なんだって、意識させられて。
「キス、したい」
「……いい、ですわよ」
そっと重ねられる口と口。
あなたの唇は柔らかくて、でも少しかさついていて、とても熱いの。
「ん……ちゅ……」
「んぅっ……はぁ……っ」
舌と舌を絡ませて、お互いの唾液を交換し合って。
唇を離すと、なんだか物足りなくて。
それが寂しくて、もう一度唇を重ねる。
「ちゅっ……んっ……はぁっ」
「ふぅ……ちゅ、ちゅ、……ちゅる」
キスのとき、どうやって呼吸するのかも先ほどまで知らなかった。
だから、お互い貪り合うようにキスを繰り返すだけで、酸欠で頭がクラクラする。
だけど、それが気持ちいいの……。
「はあ。ちょっと」
「なんです?」
あなたはわたしの唇を人差し指でなぞってから、ゆっくり離すと、そのまま目線をおろす。
「お腹に当たってるの、わかる?」
ぐりぐりと下腹部に押しつけられる、はち切れそうなくらい勃起したあなたの男性器。
お腹の裏側の子宮まで響くような、熱さと硬さにさっきからドキドキしっぱなしなの。
「これを、ツツジの中に入れたい」
「……ええ、わたしも、あなたがほしいですわ」
授業で習ったことがある。
愛を育んだ男女は、お互いの性器を重ね合わせて生殖行為をする。
セックス……、同窓の女の子たちの間で、何度か耳にしたことを、ついにわたくしも体験するのですね。
あなたに導かれるまま、ベッドに押し倒される。
と、手が秘部に触れてきて、思わず甘い喘ぎを漏らしてしまう。
「あぁん……」
「すごい濡れてるよ、ツツジのここ」
そう言って、固く閉じ切っていた割れ目を指で開かれる。
ぬ……ちゃぁ……と、いやらしい音を立てて、空気が入り込むのを感じる。
「やぁっ!広げちゃだめぇ……!」
「すごいエロい匂いする」
「だめですってばぁ!」
抵抗虚しく、あなたは顔を近づけて観察を始めた。
鼻息が当たってくすぐったい。
それに、そんなところの匂いを嗅がれるなんて、恥ずかしすぎてどうにかなりそう。
「やっ、やめてっ!おやめくださいましっ!!」
「ここ、綺麗だよ」
「そんなとこ褒められても嬉しくないですわっ!!綺麗だなんて、どこに向かってっ、あぁんっ!」
舐め、られ……。
「まっ、待って!そんなとこ、汚いですわっ!」
あなたの舌が這うようにして入り口に触れると、腰から下がびくんと跳ねてしまう。
「ツツジに汚いところなんてない」
そんなわけないじゃないですか。
わたくしだって人間ですのよ?
その、おトイレだって。
「恥ずかしいのは本当なんですの……」
「大丈夫、俺に任せて」
そう言ってあなたは再び舌を這わしてくる。今度はもっと大胆に動いてくるものだから、もう限界で。
先ほどキスをした唇と舌が、わたくしのあそこに丁寧に触れてると思うだけで、頭がおかしくなってしまいそうになりますわ。
「ちゅっ、ちゅぱ……れろ……」
「んぅっ!はぁっ、はあんっ!」
あなたの舌が入り込んでくる感覚は、初めてのわたくしとって、あまりにも刺激的過ぎる。
お股の割れ目から汁がどんどん溢れてくるのを感じてしまっていますの。
「あぁっ!!そんなところぉ!!」
お豆をぐりっと舐め上げられてしまい、電流が流れるような快感に襲われる。
全身が痺れるような感覚に襲われながら、それでもなおあなたは責め立てる。
もうだめ、もうっ、限界ぃっ!
「あっ!あぁっ!っあぁぁぁああぁっっ!!」
どくんと心臓が跳ねたと思った瞬間、下半身からすごい勢いで全身に広がる甘い快感。
子宮が燃えるみたいに熱くて、お腹の奥がきゅうっと締め付けられる感覚。
あぁ、これが絶頂なんだ……と頭の片隅で理解する。
「ツツジ……」
「はぁ……ん……っ」
呼吸が荒くなって、頭がボーッとする。
でも、すごく幸せな気分で。
「気持ちよかった?」
「……はい」
「今度は、俺も気持ちよくなりたい」
そう言ってあなたは自分の男性器を手で握り込むと上下にしごき始めた。
血管が浮き出て赤黒く充血したそれは、とてもグロテスクだけど。
あなたのものだと思うと、むしろ愛おしくさえ見えてくる。
「入れるよ」
そして、あなたの先端が入り口に触れると、ゆっくり中へと押し入ってくるのがわかる。
「あぅ……っ!」
先ほどの絶頂から間もないせいか、まだ身体が敏感で。
初めての性行為に、あなたのものを受け入れる準備ができていなかったのか、少し痛みを感じてしまった。
「大丈夫?」
心配そうに声をかけてくれるあなたに心配をかけまいと、わたくしは微笑んで見せるのでした。
「ええ、すこし苦しいですっ、けど、平気ですわ……」
「ゆっくり入れるからな」
じわじわと腰を押し進められると、途中で侵入を遮るものが。
これが、わたくしの処女膜。
「痛いなら、やめるけど……」
「いいえっ、こ、このまま続けてください……っ」
痛みを覚悟して、目を瞑る。
「……わかった。力抜こうな」
あなたはわたくしの手を取って自分の首に回すと、ゆっくり腰を沈めていきます。
繊維を引っ張られるような、ジリジリする痛みの後に。
次の瞬間、ブチンッと何かが破れるような音がして、鋭い痛みが下半身に走りましたの。
「……っっぁ!!!」
声にならない叫びを上げてしまいそうになって、咄嗟に唇を噛んで耐える。
目からは自然と涙が溢れる。
「頑張ったな」
頭を撫でてくれるあなたの手が暖かくて、心地よくて。
痛みの奥にジンジンと熱い感覚に襲われていました。
あなたが少し腰を揺する。
膣の中で何かが動く感覚に体が痛みで震えてしまう。
激痛に涙が止まらない。
あなたに貫かれてこんなにも幸せなのに、身体は痛みで言うことをきいてくれない。
先ほどまであんなに濡れて気持ち良かったのに、いまは痛みと圧迫感で苦しさしか感じられない。
「痛いよな」
優しいあなたはずっと気遣ってくれる。
「ええ……すこし……」
「ごめん」
「どうして謝るんですの?これは、わたくしが望んだことなんですから」
そう答えると、あなたは少し困ったような顔をしました。
それから、わたくしのおでこに、そっと口づけをしました。
長い、本当に長くて優しいキス。
「焦らないでいい。俺たちのペースでいこう、な」
「……うん」
しばらくのあいだ、結合部をそのままに、わたしとあなたは身じろぎもせず、ただ抱きしめあってました。
お互いの髪を撫でたり、キスを交わしたり、飽きることなく見つめあう。
肌と肌が触れ合うだけで、なんだか胸の奥がやわらかな蜜に満たされるような。
緊張も痛みも少しずつほどけていって。
「ツツジ、おいで」
「んっ……ちゅっ」
今度は啄むようなキスをされる。
唇の表面を何度も何度も吸われる感覚に、子宮の奥がきゅんと疼いてしまう。
もっともっとくっついていたいという欲求に逆らえず、あなたを抱きしめる腕に力を込めてしまう。
そうして数分が過ぎ、ようやく、わたしが落ち着いた頃になって。
「……そろそろ動いていいか?」
「うん。動いて」
あなたが腰をゆっくりと引いていく。
まだ少し痛みはあるけれど、その中にかすかな気持ちよさが混じってて。
「んっ……ふぅっ」
あなたのものが抜けきる寸前で、また中へと入ってくる。
ゆっくりとした動きだけど、むしろあなたの性器をよりはっきりと感じとれてしまう。
太くてたくましい男性のものが、わたしの膣中を押し広げていく感覚が、すごく……。
「あぁっ!!そ、そこぉっ!!」
おへその裏あたりをすりっと擦られた瞬間、痺れるような快感が体中を駆け巡った。
「ここ?」
「あっ!ああっ!だめぇ!!」
さっきよりも少し早めのピストン運動が始まった。
最初は痛みもあったけど、次第にそれも薄れていって。
今はもう、あなたが与えてくれる快感しか考えられない。
「気持ちいい!中、柔らかくて熱くて!」
「うんっ!うんっ!きもちいっですっ」
子宮の入り口に何度も、こつこつと先端が当たる。
その度に、まるで女の子の部分をいじめられて悦んでいるかのように、甘える声が抑えられなくなる。
「まんこ、すごい締めつけてくるっ」
「い、いいですわっ!あなたの、出して!わたしの中にいっぱい、出してぇっ!!」
「もっ……出るっ」
どくん、と大きく脈打つ感覚と同時に、お腹の奥に熱いものが流れ込んでくるのを感じた。
「あぁぁ、んあぁああっ!!」
びゅーって、すごい勢いで、子宮が満タンになるくらいたくさん出されてる。
わたしのお腹の中に、あなたの赤ちゃんの素が入ってく。
「あふぁ……っ」
長い、長い射精が終わってからも、しばらくわたしの中にいて。
「ツツジ……」
「んっ……ちゅ……んむ」
繋がったままキスされて、幸せすぎてどうにかなりそう。
「顔、すごい赤いよ」
「ふふ……あなたこそ」
そうしてまた、どちらからともなくキスをするの。
もう、この幸せを手放すなんて考えられない。
ずっと一緒にいたい。
あなたの前だと、気負わなくてもいい。
だって、ただの一人の女として見てくれるから。
ジムリーダーでも、優等生でも、先生でもない。
ただの、カナズミシティのツツジ、幼馴染の女の子として。
大切に抱かれていることに、この上ない幸せを感じてるから。
「落ち着いた?」
「はい……」
「抜くぞ?」
「うん……っ」
ゆっくりと引き抜かれていくと、中から白濁液が溢れてくるのがわかりました。
ごぽっぽぉ……。
すごい、音。
わたくしの中に、こんなにもっ。
「んっ……」
あなたは、やや半勃ちの自分のものを軽くしごく。
すると、まだ残っていた精子がぴゅるっと飛び出て、わたくしのお腹にかかりました。
肌にはりつく濃い精液の感覚に、思わず甘い快感に身震いしてしまいます。
「……ツツジ、ごめん」
「え?」
「まだ、したい」
「えっ、でも、もう……1回出すと男性は……」
彼はまたわたくしを仰向けにして、その上に覆い被さってきました。
「収まらないんだ」
そうして、なおも固く張り詰める性器が、鼻先に突きつけられる。
わたくしの愛液と精液にまみれた、おっきなもの。
それに据えたこの臭い。
ごくんと、思わず唾を飲んだ。
「すごいのですね……その、男性は」
「ツツジが可愛すぎるから、ちんこ収まらないんだよ」
「~~っ!か、かわっ!?」
「もうしたくない……?」
「……っ、そ、そうじゃないですけれど……っ」
「じゃあ、もう一回」
そして、その大きなものを、びたんと、わたくしの下腹部に叩きつける。
おなかの奥にある子宮に言いきかせるように。
まるで、これからめちゃくちゃにするぞって。
ゾクリと、わたくしの腰が震えました。
もしかしたら、いま、引き返せないところまできたのでは。
あなたのそのペニスを受け入れたが最後、わたくしは自分を保てる自信がない。
だって、さきほどの1回のセックスだけで、こんなにも、あなたに染められてるんだもの。
「あ、あの……もうすこし、落ち着ぃーー~~~~ッッッッぁぁ!!!」
ぶちゅんっ!!て。
信じられないくらいの衝撃が、わたくしの身体を走りましたわ。
「あぁっ!!あぁっ!んあ゛あぁぁあっっ!!!!」
衝撃に震えていて、わななく口を動かしても声が上手く出なかった。
「お、おいっ!?大丈夫か?」
「は、はひ……っ」
「ごめん。気がきかなくて……」
「い、いえ……その……」
「ん?」
「あ、あなたの……お、おちんちんが、すごくて……溶けちゃうぅ……っ❤️」
「……っ」
その言葉を最後に、あなたは貪るみたいにわたくしを抱いて。
あっという間に理性は蕩けて。
「はあ゛あぁああぁぁん!❤️あ゛っっ❤️ ~~ ん、お゛ぉぉ……❤️ んひぃぃぃぃっっっ!!❤️」
「ツツジっ、ツツジっ!!」
「っお゛!❤️、あ、あく゛!またっ、っっっ❤️あ゛~~っっ!❤️」
一突きされるたび、わたくしを覆っていたものが剥がれ落ちる。
人に見せちゃいけない痴態が、聞かせちゃいけない矯声が。
自分が剥き出しになっていって。
もう何も考えずに、ただただ、鳴くことしかできないんですの。
下品な声が抑えられない。
こんな声が自分から出るなんて。
「ツツジっ、また……っ」
「ん゛ほぉ!?❤️お゛ぁっ!あ゛ぁぁあああっ!!❤️」
もう、だめですわぁ……❤️
わたくし、この快楽を味わって、我慢できるはずがありませんでしたの。
あなたの前だと、もう隠し事なんてできない❤️
「す゛ぎっっ!❤️だひてぇ!❤️ わた、くしに……あなたのっ❤️ らしてくださいっっ!!❤️」
腰を掴まれて、ひときわ奥に押し付けられる。
子宮が潰されるくらい、深く。
「お、おく……っ❤️あ゛!❤️あ゛ぁぁあっ!!❤️」
のけぞりながら、舌を突き出す。
足指をピンと伸ばして、目を剥いて、女にとって一番大切なところを開け渡しちゃって❤️
一番奥に、あなたの精子が注ぎ込まれるのを受け入れる準備を勝手にしちゃう❤️
熱いものが大量に吹き出して、わたくしの中に流れ込んでくる❤️
お腹の中に溜まっていく精液の感覚さえ、心地よくってぇ……❤️
あぁ、すごい……すごいですわぁ……❤️
こんな快楽を知ってしまったら……もう、わたくしはぁ❤️
「ツツジ?つ、ツツジ!」
遠のく意識の向こうに、あなたの声が聞こえた気がした。
……。
…。
…。
……。
……意識が覚めて、目を開けると。
隣で、あなたが微笑みかけてくれていましたわ。
あれから、何度愛し合ったのでしょう?
数え切れないほど、それこそ失神してしまうほど果ててしまいましたの。
腰が立たないですわ。
そんなわたくしを、あなたは優しく抱きしめてくれましたわ。
彼の胸に顔を埋めると、心臓の音が聞こえますの。
とくん、とくん……。
ああ……なんて幸せなんでしょう。
彼の鼓動を聞いていると、落ち着いてきて。
ずっとここにいたいと思ってしまって。
このまま眠ってしまいたいくらいです。
「疲れたな。もう寝ちゃう?」
「いえ……まだ、こうしていたいですわ……」
彼の胸に頭を預けて、心臓の音を聴きますの。
とく、とく、とく……。
もっと聞きたいのに。
あなたを感じたいのに。
その音とともに、わたくしは眠りの底へと抗えずに落ちていったのでした。
*
初めて結ばれあった翌々日、カナズミシティに戻ってきて。
またいつものようにジムリーダーと先生、二足の草鞋を履いて、日々汗をかいている。
そんな中で、わたくしはたしかに、前よりも日々が充実しているように感じます。
「ツツジさん、今日もありがとうございました……あの」
「はい?なんでしょう?」
「なんだか、最近のツツジさん、雰囲気が柔らかくなったね」
「あら、それはありがとうございます」
そう言って、ジムトレーナーの方が帰っていきます。
その背中をわたくしは手を振って見送りますの。
そして、今までの日課と変わらず、トレーナーズスクールの教室へと向かう。
19時を回って、教室に生徒たちはいない。
でも、一人だけ。
そう、あなたが、やっぱりわたくしを待っていた。
「ツツジ、おつかれさま」
「……はあ、相変わらず自由人してますのね。ここを待ち合わせ場所か何かと思って?」
「そりゃあね。俺たち、恋人同士だし」
そんな軽口も、いまは微笑ましくて。
わたくしはその腕に自分の腕を絡ませて、ぎゅっと抱きつきましたの。
「あなたのために、時間を作ってはやく来たんですわよ」
「ははっ!めっちゃ素直だな」
「ふんっ!」
頭に頬擦りしようとするので、慌てて制しますの。
まったく、油断なりませんわ。
でも、そんなあなたも大好きなのよね。
「それにしても、今日はあまり怒らないな、……変なものでも食べた?」
「もうっ、あなたという人はまた茶化して……」
「ごめんごめん、で、何かあったの?」
「……前より、なんだか『ラク』なのも良いと、最近思えるようになりましたの」
「へえ、なんで?」
「わ、わからないのですか?はぁぁ、やっぱり、……鈍感ですわね」
全然気付いてくれないあなたに、ため息をこぼす。
本当に、誰のせいでこうなったと。
「教えてよ」
「いやです〜」
そうして、わたくしたちはまた、いつものように会話を交わしながら勉強をし始める。
喧嘩でなく、他愛ない普通の恋人らしい話を。
……そう。
『ラク』というのは、心のゆとり。
リラックスできる場所、時間。
そして、人。
大好きなあなたが、隣にいることなの。
おかげで、
「わたくしならきっと大丈夫」って、
そう思えるようになったのですわ。
まだ、あなたには教えてあげませんけど。
ツツジの魅力に狂わされていく……
というわけで、作者が大好きなツツジをヒロインに書きました
デキるダウナー問題児とおせっかい優等生委員長のツンデレな恋愛とか、みんな大好き王道あまあま展開じゃないですか!
こういうの大好きなんです
今後もこんな感じで書きます