■05 屈辱 ★
一方で緋沙子は――
(なんでこんなに、体が……)
創真に触れられたところ、彼の息が吹きかけられた肌が、びくびくと悦びに震えている。脳が湯だってしまいそうになる。ショーツの中身は、すでにびしょびしょに濡れている。
抑えつけようとしても抑えられない、ほの暗い色欲が彼女の内側から溢れ、どろどろに熱い愛液へと転じて彼女の下半身を濡らす。
この短い愛撫でも、すでに緋沙子の体は熟しすぎるほどに熟していた。
「創真、お願い……」
哀願するような声で彼女は、
「もう……我慢できない。して、欲しい……」
恥も外聞も捨ててそう言った。
……だが、創真はなにを思ったか、ふっと身を引いた。
「え――?」
とつぜんの心細さを覚え、緋沙子は戸惑った。
恋人は鋭い視線で彼女を見下ろし、
「あのさ、緋沙子。お願いするんなら、それなりの態度ってもんがあるだろ? ほら、どうして欲しいのかちゃんと言わないと、わからないだろ?」
「なにを…………!」
いきなりなにを言い出すのだ、この男は。
緋沙子は憮然として睨み上げる。しかし創真はひるむどころか、むしろ愉しげに、
「いいのか? 別にオレは止めたっていんだぜ?」
嘘だ。彼だってこのまま終われるはずがない。
……そうは思っても、彼の嗜虐的な瞳で見つめられると、言いしれぬ不安がわいてくる。いやだ。このままなんて、いやだ。
「くっ…………!」
唇をぐっと噛んでから緋沙子は、
「お願いします……私は、創真に犯して欲しい……」
「ふうん? それだけじゃわかんないな。もっと具体的に言ってもらわないと」
「そんなこと――っ」
そんな恥ずかしいことを言えるはずもない。こんな屈辱を味わわせて、いったいどうしようというのか。目の前の男に怒りすら覚える。
……だが。
「ほら緋沙子。どこをどうして欲しいのか、見せてくれよ」
突き放すように言われると、体の奥がぞくりと震えてしまう。
「う……く…………」
悔しくて涙が溢れる。
けれど、彼の言うことに逆らえない。自分の意思とは別のものが体を突き動かす。ソファで膝立ちになる彼に向かって、緋沙子の両足はゆっくりと開いた。
――恥ずかしい。
スカートはめくれあがり、彼からは下着が丸見えになっているはずだ。そう思うだけで恥ずかしくて耐えられないのに、彼女の指はみずからの下腹部に伸びる。
それ自身が意思を持つかのように、彼の言葉と、視線に悦ぶかのように――
ぐしょぐしょに濡れたショーツの布地を横にやって、少女の秘部をあらわにした。見られている。恥ずかしいところを創真に見られている。
「――――くうっ!」
恥辱で身が震える。彼の視線は刺すように冷たい。でもそれが余計に、ぞくぞくした快感に鞭を打ち、欲にまみれた自分のことを締めつける。
「ここに……私のいやらしいおまんこに、創真のおちんちんを入れて欲しい――」
言いながら、死んでしまいたいほどの恥ずかしさがこみ上げて、体中が燃え上がるように熱くなった。
創真はにやりとして、下半身のいきり立ったものを晒した。その先端を、ぬるぬるになった緋沙子の秘裂にあてがい、円を描くように撫で回した。
「――っ、焦らすな、馬鹿っ!」
「んん? そんな口きいていいのか? ……つーかさ、ホントにどろどろだな。触ってもねぇのにこんなになるなんて、緋沙子って変態だったんだな」
「そんな、違うっ」
「なにが違うんだよ。――ほら、いやらしい音がしてるだろ?」
「ううっ――あっ!」
熱せられた鉄の棒のような創真の亀頭が、緋沙子の柔らかな肉をかき回し、ときにコリコリとした秘豆のことを突く。
「はあっ、ん、くうっ――……」
だが、それ以上は来てくれない。入り口を弄びながらも、奥へは入ってきてくれない。ほとんど拷問だ。もう、本当に耐えられない……。
「楽にして欲しいんだろ? なら――わかってるよな?」
もはや心は屈し、涙目で彼を見あげて、緋沙子は言った。
「入れて。創真の熱くて硬いおちんちんで、私のなかをぐちゃぐちゃにして……。私の中で熱くて白いの、たくさん出して――っ!」
ずぶり――と創真の男根が、緋沙子の肉を掻き分けて突きたてられると、それだけで背骨に電流が走り、緋沙子の頭は真っ白になった。
■06 欲にまみれて
「くうっ、すげぇ……」
創真は、あまりの快感に顔を歪めた。
ずぷりとペニスを半分ほど差し込んだだけで、緋沙子は身を震わせて達してしまったらしい。
彼女の膣内はまるで別の生き物のようにうぞうぞと蠢いて、きゅうきゅうと締めつけてくる。あやうく創真も、一瞬で精を搾り取られるところだった。そんなもったいないことはできない。
創真は一度深呼吸をしてから、ゆっくりと腰をうずめていった。
「んうっ、あ、あああ――!」
緋沙子の嬌声を聞きながら、柔肉の感触を楽しむ。静かに腰を引くだけで、緋沙子の腰は跳ね、奥までぐうっと押し込むと、体をくの字にして身もだえる。
「緋沙子、体の中までエロいのな――」
奥歯を噛みしめながら、できるだけサディスティックな顔をつくって言うと、
「はうっ――、やあっ、違う、違うのっ」
「なんでだよ、こんなにやらしいじゃんか」
ぱんっ! と腰を打ち付けると、
「あっ、ああっ。奥っ、だめぇ!」
いっそうだらしない顔になって、緋沙子はふるふると首を振る。
創真ははだけたブラウスのボタンを乱暴に外し、ブラジャーを引き裂くようにしてずらし、ぷるんとした彼女の乳房に顔を寄せ、ぺろりと、乳首を舐めた。
「きゃんっ、ううっ!」
汗で湿った先端は痛々しいくらいに勃起しており、舌で転がすと下半身の締めつけもさらに強くなる。絶頂の荒波をどうにか耐えた創真は、今度は一定のリズムで腰を前後させた。
「はっ、あっ、んんっ――」
ぱちゅ、ぐちゅっ、ぱちゅ――
接合部からは絶えず緋沙子の愛液が垂れ流され、創真の動きを潤滑にさせる。機械的とさえいえる腰の動きは、しかし緋沙子の快楽のつぼを突いているらしく、
「ふっ、ああっ! おかしくなるっ、創真ぁ、やあああっ!」
創真のことを強く抱きしめ、緋沙子は甲高い声を上げた。
どろどろの秘壺に出し入れするうち、治まったはずの射精感が、より大きな波となって襲いかかってきて創真は、彼女のことを強く抱きしめ、
「緋沙子、出すぞっ」
「きて、出して、全部、全部私の中にっ――」
創真の陰嚢がきゅっと引き締まり、どくどくっと、欲望の塊を緋沙子の中に吐き出した。……まだだ。まだ射精は終わらない。今までにないくらい大量の精液を膣内にまき散らす。
荒い息のまま創真は、腕立て伏せの要領で上体を起こす。見下ろすと、緋沙子の苦しそうな、しかし恍惚とした表情。ずるりとペニスを引き抜くと、
「あっ……」
緋沙子は名残惜しそうにうめいた。
「やべぇ、オレもまだ治まりそうにないわ」
緋沙子の愛液と、自身の精液でぬらぬらと光る男根は、射精を終えたというのにまだそそり立っている。緋沙子の物欲しそうな視線が、より興奮をかき立てる。
彼女を嬲る魔法の言葉を、創真は心得ていた。
「次はどうして欲しいんだ?」
緋沙子は無言で起き上がると、スカートのホックを外し、みずからショーツを脱ぐ。白いブラウスと紺のソックスだけの姿になって彼女は、創真に背を向け、四つん這いになってみせた。
「その……後ろから、して欲しいです」
もはや身も心も正直になった緋沙子は、形のいいヒップを健気に持ち上げ、創真にねだる。
「早く、創真のおちんちんが欲しい……」
彼女の、きゅっと小さく引き絞られた菊門や、しっとりとぬれそぼった秘唇が丸見えだ。薄く茂った陰毛を白い液体が伝い、ぽとりとソファに落ちる。
ふつふつとこみ上げる興奮を、創真は緋沙子の奥へと打ちつけた。
■07 後ろの快感
「あっ、きゃうっ! くる、きちゃうっ!」
創真に腰を強く掴まれ、激しく動かされるたび、緋沙子の頭にはぱちぱちっと青い火花が飛んで、意識がどこかに持って行かれそうになる。
脚を開き、後ろから犯されるこの体位では、正常位よりももっと奥――子宮口まで突かれてしまう。そのたびに自身の内からあふれ出す欲望。なすがままにされていると、自身がメスであることを自覚して、余計に緋沙子を淫らに落とす。
(駄目だっ、こんな動物みたいな――)
わずかに残った理性が抵抗する。
ただでさえ恥ずかしいのに、ここは薙切家の客間なのだ。
しかし、
「あっ、あああ、んっ! はああっ――」
先ほどから、緋沙子は何度も小さな絶頂を迎えている。意識はもうろうとするが、快感はむしろ激しくなっていく。
(こんな、こんなのっ)
ぱんっ! ぱんっ! と腰を打ちつけられるたび、背中を反らせ、髪を振り乱す。
ふいに、創真の動きが止まった。
「――え?」
首だけで振り向くと、汗にまみれた彼は、おもむろに自身の親指を唾液で濡らすと、緋沙子の肛門にあてがった。
「えっ、やっ!? な、なにをしている、馬鹿者っ――!」
にゅるにゅるっとした未知の感触。ぞぞっと、快感とも悪寒ともつかない電流が腰に流れる。
「いやぁ、なんかすっげえ可愛いからさ。いじめたくなっちゃって」
「ふざけるなっ――あっ、ああっ!?」
緋沙子の抵抗はそれまでだった。
創真がピストンを再開する。先ほどのような激しい動きではないが、今度は膣内をえぐるような、力強い動きだ。そこへさらに肛門への刺激が合わさって、また別種の快感が緋沙子を襲う。
「あうっ!? なっ、これっ……あっ、気持ち、気持ちいいっ」
背中から後ろ頭にかけてがしびれる。
「へえ、緋沙子って後ろの穴でも感じる変態なんだな」
「ち、違う」
ぶんぶんと首を振るが――
「だってほら、腰、動いてるぜ」
「え――?」
創真の腰の動きに合わせ、緋沙子も腰を突き出していた。快楽をむさぼるように、もっと快感を欲しがるように……。
「ああっ……きゃうっ!」
ぱんっ、ぱちゅっ、ぱんっ――
肉の衝突する音。たがいの体液が混ざって飛び散る音。そして自身のだらしない声。
……もはやここがどこで、なぜこうなったのか。そんなことはどうでも良くなってしまった。
「好きっ、これ、好き……!」
「動物みたいに腰振って、後ろの穴をほじられて、無茶苦茶に犯されるのが好きなんだな」
「好きなのっ、ああっ! 好き、動物セックス好きっ!」
ばちゅっ、ぱちゅっ――
創真の動きが一段と激しくなった。
「……緋沙子、出すぞっ!」
「来て、奥にっ――子宮にたくさん創真のせーし、欲しいのっ!」
ずん、ずんと男根が子宮口を突く。
「はっ、あっ! やああっ、出して、いっぱい出して! イク、イっちゃううっ! ああああっ――!」
びくっと背中が跳ね、上体が弛緩し、緋沙子はソファのクッションへと顔を埋めた。
どくっ、どくっ――
2回目だというのに創真の射精は長く、大量の熱い液体が体内に流れ込むのを感じた。
男根が苦しげにびくんびくんと脈打つと、
「はっ……あっ……んんっ!」
緋沙子はそれだけで、またも軽く絶頂した。
「すごい……精子……いっぱい……」
だが、体のうずきは、まだ止まりそうにはなかった。
■08 フルコースの終わりに
創真がペニスを引き抜こうとすると、
「――やあっ、駄目」
緋沙子が切なげに呼び止めた。
「まだ、まだ繋がってたい……」
懇願するように、こちらを振り向く。
「ホント、今日の緋沙子は積極的だな。そんじゃ――よっと!」
創真は緋沙子を後ろから羽交い締めにし、抱え起こした。そのままソファに座りなおし、背面座位を取る。
「な――、これは?」
初めての体勢に緋沙子は戸惑いを覚えているようだ。
「好きだろ、こうして拘束されて犯されるの」
「そんな、私は……ああっ!?」
創真が腰を突き上げると、緋沙子の体がびくりと痙攣した。
後ろから抱きすくめ、密着しているので、彼女の動きがよくわかる。
「あっ、あっ、やあううっ――!」
口では否定していたが、明らかに緋沙子は興奮を覚えていた。彼女はみずから動くことができず、ただただペニスに貫かれるしかないのだ。
「んううっ、あっ、はっ」
創真の腕のなかで、細身の少女がつややかな声をあげる。普段の凜々しさなどどこにもない。甘くて、においたつような彼女の声。
両手を乳房へと伸ばし、人差し指で中指で乳首を軽く挟む。
くりっ、くりっと刺激を与えてやると、
「あっん! それ、駄目なのぉ……気持ちいい、乳首、だめぇ」
だらしない声で緋沙子は身もだえる。やわらかで、弾けるような乳房を揉みしだきながら、ゆっくりと腰をグラインドさせる。
「――ふうっ、はっ、あっ!」
たっぷりと胸の感触を堪能したあと、創真は右手を緋沙子の股間へと持っていき、クリトリスを愛撫した。
「あっ? あううっ――」
「緋沙子はここも好きだもんな」
「……っはい。クリトリスも、好きですっ! はっ、はあっ」
「だよな。まんこもぐちょぐちょだしな」
緋沙子の膣に挿入しっぱなしのペニスは、もはやどろどろに濡れ、たがいの肉体の境界線がわからないほどになっている。
それでも緋沙子が快感に震えるたび、膣の肉はにゅるにゅると蠢き、創真のペニスをしごきあげる。
「は、ははっ、オレもすぐにイクかも……!」
ふたたび緋沙子の体をがっちりと固定し、創真は激しく腰を動かした。
「ああっ、あんっ! いやああっ、はああっ! おかしく、おかしくなるっ――」
緋沙子の首ががくんがくんと揺れる。まるで性玩具にするように、創真は乱暴に腰を打ちつける。こみ上げる射精感を抑えることをせずに、
「イクぞ、緋沙子っ」
「きゃああ、あうううっ――!」
びゅう、びゅうっと3度目の射精。欲望を吐き出したペニスだが、一向に治まらない。創真自身も驚くほどだ。
「はは……マジで効いてるんかな、あの媚薬」
しかし、それは緋沙子も同じようだった。
「創真……」
たがいに協力して、体位を変える。
ソファに座ったまま、緋沙子は足を折り曲げ、結合部を軸に180度身を回した。
2人は向き合い、見つめ合う。
「なんだ、今度はこれがいいのか?」
「……ああ、創真の顔を見ながらしたいんだ」
「おまえ、ナチュラルにそういうこと言うの、ズルくね?」
「ふふっ」
抱きしめながらのキス。熱くなった体と体を擦りあわせながら、2人は何度も絶頂を迎えた。
「んっ、んんっ――創真、創真ぁ……」
その日、薙切家の客間には、夜遅くまで淫らな声が響いた。
■おまけ
「うふふっ、良いコトをしたあとは気分がいいですわね」
2人にフルコース『サキュバスの悪夢』を振る舞ったあと、アリスは、上機嫌で自室にこもっていた。まさかあちらでは濃密な性行為が行われていることなどつゆ知らず、アリスはベッドにゆったりと腰かける。
今ごろあの2人は見つめ合って、手を握り、そして……そして。
「――ダメダメ。いけません。そんないやらしい想像なんて……」
彼女はひとり、妄想に頬を赤らめ首を振る。
……まあ、彼女の妄想は、唇と唇と触れあわせるお子様キスで精一杯だったのだけれど。
しかし。
「ん……おかしいわね」
なんだか熱っぽい。風邪でも引いたのだろうか?
じっとりと汗も掻いてきた。胸はそわそわして落ち着かず、腰のあたりがむずむずする。
おかしい。
体調は万全のはずだし、変なこともしていない。普段と違ったことと言えば、せいぜい、調理中にちょっと多めに味見をしたくらいだが……。
「んっ、んうっ……」
切なげな吐息が漏れる。
アリスは、自身の高ぶりを自覚できず、どう治めていいのかもわからず、両手で自分の体を抱きしめた。
「なんなのよ、コレ……」
苦しい。今までに感じたことのない種類の苦しさだ。体の奥がむずがゆい。ただ不快というわけではなく、けれど、どう向き合っていいのかわからない不思議な感覚。
そのおり、ドアをノックする音があって、黒木場リョウが入ってきた。
「お嬢、そろそろ夕飯の……どーしたんすか?」
ぼんやりとした顔で、黒木場は首をかしげた。トレーニング後らしく、体には汗をかいている。
「リョウ……くん?」
彼を見たとたん、アリスの苦悶はさらに深くなった。全身の肌が細かく震え、体の芯が熱を帯びていく。
アリスはふらふらと彼に近寄り、
「ねえ、リョウくん……わ、私、おかしいの。なんだか体が熱くって。どうしたらいいのかしら……」
うわごとのような声で、ぼうっとした視線で彼を見あげる。黒木場は、ぽりぽりと頭をかいてから、
「あー、それはアレっすね、アレ」
「アレ……?」
アリスにはなにがなんだかわからない。わからないうちに、体のほてりは激しくなっていく。
「し、知っているのなら、どうにかしなさい……私、このままだと私……!」
すがるように言うと黒木場は、
「んー、いいんすか? 任せてくれるんなら、まあ、なんとかできると思いますけど……あとで文句言わないでくださいよ」
「言わないからぁ――! だから、だからお願いっ、リョウくん……」
彼の胸板に身をあずけ泣き叫ぶようにしたアリスは、次の瞬間には、黒木場の手によってベッドに引き倒されていた。
「えっ、あっ――」
「お嬢、力を抜いてください……」
その日、この洋館ではもうひとつの淫らな夜が繰り広げられた。
……が、それはまた別のお話。