※この作品はR-18です。

秘書子とソーマ   作:タイフーンの目

6 / 20
スタジエールの夜に(その6)

■09 言いたいこと

 

 創真は緋沙子の下着に手を掛けると、するする――と、ゆっくり下ろしていく。

 

「っく…………」

 

 緋沙子は恥ずかしさに震えているようだが、抵抗するそぶりはなく、なすがままになっている。

 

 創真は彼女の足の間で膝立ちになり、自分の下着も脱ぎ去ると、ぐっと前に出た。ベッドが深く沈み込むので、動くのに少し苦労した――それに、緊張もあったのかもしれない。

 

 そそり立った自らのものを、緋沙子の秘部にあてがう。

 

 ぬるり、

 

 とした粘膜の感触を先端で味わう。何度か擦るように上下させると、緋沙子は顔を横に向けながら、悶えるように声を漏らす。

 

「んっ、ふぅっ――、じ、焦らすな……、や、あっ――!」

 

 創真はしばらくこの快感に身を任せたかったが、このままでは自身が果ててしまいそうだった。ぐいっと腰を押し出し、

 

「入れるぞ、新戸……」

 

 緋沙子の返答を待つ前に、彼は腰を深く埋めた。

 

「んっ! は、あ……やああああっ、くうああ……!」

 

 痛みに耐える緋沙子の中に、創真のものが深く突き立てられていく。

 肉を掻き分ける感触。それは、痛いほどに締め付けてくる――。

 

「う、あ、新戸っ――、大丈夫、か……?」

「だい、じょうぶ。……けど、すこし、このまま……」

 

 震える声で緋沙子は答える。

 創真は動きを止め、両手を緋沙子の顔の左右に突いて、体を支えた。彼女を見下ろすようにして、

 

「なんかこう……すげーな」

 

「こ、こっちはそれどころじゃ……ない」

 

「……だよなぁ」

 

 緋沙子の顔は苦しそうだが――不謹慎にも、それすら愛らしいと思ってしまった。

 

「新戸、オレ、お前のこと好きだわ」

「は、はぁっ!? い、今、このタイミングで言うことかっ……、それは!」

 

 至極もっともなリアクションが返ってくる。

 

「いやぁ、ちゃんと言ってなかったなって思ってさ。順番は変わっちまったけど」

「だから、そういう――」

 

 言い終わる前に、創真は上半身を覆いかぶせるようにして、緋沙子を抱きしめる。

 

「な――」

「好きだ。オレ……、正直、こんな気持ちになったのって、初めてでさ……。わり、告白の仕方とか、分かんねえんだわ」

 

 耳元で囁く。

 抱きしめた緋沙子の体は熱くて、こちらの肌まで溶かされてしまいそうだった。

 

「こんな急にで――、しかもちゃんと一緒に過ごしたのはたったの1週間だろ? 説得力、ねぇかもしれないけどさ――」

「なんだ……、じゃあ、おあいこ……だな」

「?」

 

 緋沙子が吐息まじりに言う。

 

「私も……同じだ」

 

 それは、消え入りそうな声だったが、はっきりと耳に届いた。

 

「……そ、その――好き、だ」

 

 

 どくん――

 先ほどまでとは違う興奮が、創真の心臓を大きく跳ねさせた。

 

 吐息がかかるほどの距離で、緋沙子の瞳を覗き込む。

 

「もう1回」

「は――、どういう、意味だ?」

「新戸の口から、もう1回聞きてえなって」

 

 はあ? と緋沙子の眉が潜められるが、

 

「オレは、お前のことが好きだ」

 

 きっぱりと言うと、緋沙子の目は見開かれて――どうやら、観念したようだ。

 

「……私も、好きだ」

 

 次の瞬間、ごく自然に唇を合わせていた。肉欲に支配された口づけではない。今度は、互いを慈しみ合うようなキスだった――。相手の唾液が、まるで甘い蜜のように感じる。

 

 体中の汗が止まらない。抱きしめ合い、触れ合った全ての箇所が、溶けてひとつに混ざっていく錯覚に襲われる。

 

 

 唇も、胸も、下半身も――全身で繋がる。

 体も、心も溶け合わさる。

 

「ふ、あ――」

 

 先程までは痛みを含んでいた緋沙子の吐息にも、艶やかな色が戻って来た。

 

 創真がゆっくりと腰を押し込むと、

 

「あっん――!」

 

 嬌声。同時に、自身の男根が、根本まで埋もれたのを創真は自覚した。すべてが、緋沙子に包まれていた。

 

「新戸、動くぞ……?」

 

 そっと声を掛ける。

 彼女は小さくうなずき、創真の首に腕を回した。

 

「わかった……でも、出来れば――」

 

 ためらいがちに創真のことを見上げて、

 

「キスしたまま、して欲しい――」

「……ああ、分かった」

 

 創真は唇を落とし、そして、緩やかな動きで腰を前後させる。彼女のことを傷つけてしまわないようにゆっくり、しかし、互いの繋がりを確かめるように、緋沙子の中をかき回していく――。

 

「くっ、ふうぅう……!」

 

 口づけを交わしながらでも漏れる、緋沙子の悲鳴。

 だがそれは、抑えがたい快感を伴っていることが、創真にも見て取れた――彼女の中の湿りが、先ほどよりも明らかに増したからだ。

 

 奥へと突き立てた時には、彼女の柔肉をかき分けていく感触が肉棒を震わせ、吐きそうなほどの快感が胸にまでこみ上げてくる。

 

 引き抜こうとすると今度は、緋沙子の濡れた肉が絡まり、腰から背中へ、そして脳天へと、電流のように刺激が駆け巡る。

 

 ゆっくりとしたピストン。

 気を抜けば、すぐにでも全てをぶちまけてしまいそうだった。

 

 創真は奥歯を噛みながら、絶えず打ち寄せてくる快感の波に耐える。

 ……何しろ、腰の動きを止めていても、下腹部を締め付けるようにそれ(、、)は襲ってくるのだから。

 

 キスをする余裕すらなくなった。腕を回し、彼女の体を抱え込むようにして、ひたすらに腰を動かす。

 

「新戸、新戸っ――!」

「ふ、あああっ! やっん――!」

 

 ぐちょ、ぐちゃっ――

 2人の結合部から、淫らな音が響く。

 

「だめっ! やあ、私……きゃあ! 好きっ、好きぃ――!」

「オレも――、もう、駄目だ!」

 

 無我夢中で腰を打ち付けると、もう止まらなかった。我慢が出来なかった。

 

 ぐちゃ――! ぱちゅ――!!

 

 リズミカルな動きは、次第に激しさを増し、互いの快感も絶頂へと登りつめていく……!

 

「く、あああぁっ――!」

 

 2人の絶叫が重なった時、創真は、緋沙子の奥に欲望の全てを吐き出していた。

 

[newpage]

 

[chapter:10 モーニングを一緒に]

 

「ん…………」

 

 緋沙子は、まどろみから目を覚ました。ゆっくりとまぶたを開けると、部屋の中には、わずかだが白い光が差し込んでいた。それがカーテンの隙間から差し込む陽光であることに気づき――緋沙子は、体を起こす。

 

 視界には、ホテルの一室の風景。

 ベッドの上。

 

 ヘッドボードに取り付けられたデジタル時計を見て、随分と早く起きてしまったことを知った。まだ朝の6時前だ。朝食までは、まだ2時間以上ある。

 

(夢ではない――か)

 

 緋沙子は、一糸まとわぬ自身の姿を確認して、そう胸の中でつぶやいた。

 

 昨夜の熱は、確かに体の中に残っている。

 あの興奮も、痛みも、そして彼の体温も――

 

 隣に目を落とすと、創真が静かな寝息を立てていた。

 

(……………………)

 

 不思議な気分だった。

 軽率なことをしてしまった……と、以前の緋沙子なら思ったかもしれない。

 

 だが今は――

 

 あの夜を越えた彼女の胸には、温かなものが宿っていた。傍(かたわ)らで眠る男の顔を眺めていると、自然と顔がほころぶ。いつまで見ていても飽きそうにはなかった。

 

「まったく……君は、本当に不思議だな……」

 

 さえずるように呟いて、そっと、彼の髪を撫でた。

 

 

「ん……う――?」

 

 創真のまぶたがピクリと動き、小さな声を上げた。

 ややあって、のそのそと彼は上半身を起こした。

 

「すまない、起こしてしまったか?」

 

 緋沙子が訊ねると、彼は呑気な声で、

 

「ん? あぁ、ふぁあ……。……うっす、おはよう」

 

 軽く伸びて、締りのない笑顔で言った。

 

「ふふっ――」

「……? 何だよ?」

「いや、何でもない。……おはよう」

 

 まさか自分が、男性を相手にこんな気分になるなんて、緋沙子は想像もしていなかった。

 

 彼に対しては、尊敬の気持ちや、料理人としての対抗心もある。だがそれ以上に、やはり、愛してしまっているのだ。創真の何気ない仕草を見ていると、そんなふうに強く確信する自分がいた。

 

(それも悪くない――)

 

 緋沙子は、自身の変化に驚きつつも、意外なほどすんなりとそれを受け入れていた。

 

  + + +

 

「ところでさ」

 

 創真が緋沙子のことを見て、不意に言った。

 

「お前、裸だな、裸」

「っ、な――!」

 

 確かに、互いに全裸だ。

 昨晩、あのまま果てて、2人で抱きしめ合って眠った。シャワーを浴びたりだとか、服を着たりという余裕はなかったし、それをもったいなくも思っていたのだが……

 

 改めて指摘されて、緋沙子は頬を赤らめた。

 

「ば、馬鹿者っ――! き、貴様には、ムードというものはないのか!」

 

 一応胸は隠していたが、恥ずかしさがこみ上げてきて、布団をひっぱり、肩まで隠した。非難の目で創真を見ながら、

 

「……せっかくの朝を、ぐぬぬ……」

 

 先程までの穏やかな気持ちはどこかに吹き飛んでしまった。軽薄な笑顔に向けて、鋭い視線を送る。

 

「ああ、そうだ、朝っていえば――」

 

 しかし創真は気にするふうもなく、時計を確認し、

 

「――なんだ、まだ朝飯までは時間あるな。もうひと眠り出来そうじゃん」

 

 そう言って笑ってみせる。

 

「…………」

 

 緋沙子は膝を立て、布団の中で体育座りになり、しばらく創真を睨んでいたが、

 

「よし、わかった――」

 

 意を決して切り出した。

 

「互いの呼び名を決めるぞ!」

「はあ? 呼び名?」

「そうだ。私たちは仮にも……その、あの……」

 

 言いよどんでしまうが、ぶんぶんと頭を振って、

 

「――こ、恋人同士! なのだからな! 恋人同士の呼び名は、ちゃんと決めなければならないだろう!」

 

 と言い放つ。

 

「……薄々感じてたけどさ、お前って、形から入るの好きだよな」

「だ、大事だろう!? そういうことは!」

 

 緋沙子がムキになって顔を近づけると、創真はぐっ――と顎を伸ばして、軽くキスをしてきた。

 

「――っな! こ、こんなことで誤魔化されはしないぞっ!?」

「緋沙子」

「――――!」

 

 急に名前を呼ばれ、ビクっとのけ反ってしまった。

 

「改めてよろしくな、緋沙子」

「…………! ………………!!」

 

 せっかく不意をついて攻勢に出られたと思ったのに、すっかり切り返されてしまった。

 

(悔しい……! こいつにひと泡ふかせてやる――)

 

 そう思った緋沙子は、がばっと、彼に覆いかぶさるように跨(またが)った。

 

「う、うお――っ!?」

 

 戸惑いの声とともに、創真は倒れこむ。昨夜とは逆転して、緋沙子が創真を押し倒す格好になった。

 

「朝食までは、時間がある――」

 

 創真の目を見て告げようと思ったが――こうしてみると、思いの外に恥ずかしく、彼女は目を泳がせながら言った。頬が信じられないほど熱い。

 

「だから、その……もう少し、甘えさせろ――そ、そうま……!」

 

 裸のまま彼に跨ったまま、勇気を振り絞ってそう言った。おそるおそる彼の反応を窺うと……

 

「ぶ、ぶははっ――!」

「なっ、わ、笑うなぁっ!」

「いやあ、わりいわりい。……これが本当の、朝飯前ってやつかな?」

「な、何だそれは――! って、やっ――!」

 

 ぐいっと下から抱きすくめられ、唇を奪われた。

 

「んっ!? うむっ――!?」

 

 朝の光が強くなる部屋の中で、2人は裸のまま抱き合い、キスを交わす。緋沙子は、心地良い肌の感触と、創真の体温に抱かれながら、ゆっくりと目を閉じて身を委(ゆだ)ねた。

 

 

 モーニングまであと2時間。

 どんな朝食かは知らない。

 

 しかし、いま全身で味わっている感触より、美味(びみ)なものなどないだろう――

 

 恋人からの甘いキスに溺れながら、緋沙子はそう思った。

 

 

(スタジエールの夜に END)





※ここから2人のラブラブな生活が始まります……!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。