※この作品はR-18です。

ゾンビィきのこは菌糸を出したい   作:タイフーンの目

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ゾンビィきのこは菌糸を出したい~純子と愛の場合~(後編)

 ■ ■ ■

 

 ……と、まあ。

 

 愛は愛でかなりの葛藤(かっとう)と戦っていたわけだが、一方で、純子の心中だって、もちろん穏やかではいられなかった。 

 

 まず、自分の体の異常。

 そして、わいせつな意図はなかったにしろ、下腹部をまさぐっているところを見られてしまったこと。さらには、その異常に触れさせ、手伝わせてしまっていること。

 

 そして何より――

 その相手が、水野愛である、ということに動揺を抑えきれずにいた。

 

 

 純子にとって愛は。

 したたかで、気高く、努力家で、現状を正しく把握する冷静さを持っている。だがそれはアイドルとしての彼女一面であって、彼女自身は年相応のもろさも併せ持っているのである。

 

 それに、純子は知っている。

 彼女は、笑うと可愛いのだ。

 

 自分にも他人にも厳しく、棘(とげ)のある言動も目立つが、アイドルの仮面を横に置いてしまったときの彼女の素顔は、まぶしくて愛おしい。

 

 立場や考え方の違いから衝突することもあるし、本当なら相当に下の世代である愛から意見をされると腹が立つこともあるが……それでも、純子は素直に愛のことを尊敬していた。

 

 

 そんな相手に。

 アイドルとしても、純子個人としても好ましい感情を抱いている彼女に、こんなことをさせているのだ。

 

 

(うう……っ)

 

 自分で裾をたくしあげ、下半身を見せつけ、触らせている。

 恥ずかしくて、申し訳なくて、情けなくて……死にたくなる。もう死んでいるけれども。

 

 しかも、この『きのこ』……

 タチが悪いことに、なぜだかとても敏感で、純子に激しい刺激を与えてくるのである。それは間違いなく性的な刺激だった。

 

 愛の細い指が、きゅっ、きゅっときのこを握ると、これまで感じたことのない、にぶい痺れのような快感が、純子の下腹部に突き刺さる。その刺激は腰の奥深いところを揺らして、さらに背筋を駆け上がり、頭の中まで震わせるのだ。

 

 率直に言って、気持ちがいい。 

 愛の指が、手が、とろけるような快感をもたらしてくる。

 

(だ、め、ですっ……!)

 

 口元にネグリジェの布を押し当て、純子は身もだえる。

 なんて様(ざま)だろうか。なんと罪深い。

 

 責任感の強い愛は、純子の問題に対して、こんなにも献身的(けんしんてき)に向き合ってくれているというのに――。

 

(ごめんなさい、ごめんなさい、水野さん……っ)

 

 胸の中で何度も謝りながらも、一方で、この背徳的で甘美(かんび)な快感に身をゆだねてしまいたくなる、はしたない自分も存在している。そしてその葛藤が、いっそう興奮をかき立ててしまう。

 

 身もだえる純子の眼前で愛は、試行錯誤を繰り返しながら懸命にきのこを引き抜こうとしてくれている。

 

 彼女は一度、根元のほうに指を這(は)わせて……少しためらってから、やめた。

 そうして、彼女は今度は……

 

「えっ」

 

 愛は、きのこを逆手で握り直した。

 先ほどとは違う感触に快感を覚えて、純子の腰がびくん、と小さく跳ねる。

 

 どうやら愛は、きのこの先端付近で段差になった部分、きのこの傘の部分に手を引っかけて抜こうとしているようだった。

 

 だがそこは――

 純子にとって、一番敏感な部分だった。

 

 先端部分が、愛の手によって、そっと包まれる。細い指が、段差になったところに絡められ、強くも弱くもない力加減で、握られたり、引っぱられたり、こすられたりする。

 

「んっ、ああっ……!?」

 

 押し殺そうとした声が漏れる。

 腰が動いてしまう。

 

 愛は驚いて手を止め、四つん這いの姿勢のまま純子の顔を見あげてくる。

 

「ここ、痛いところだった?」

「ち、違うんです……その、そこは……なんだか……あの、あまりそこを、こす、こすられるとっ……! あんっ」

 

 とびきり甘い声をあげてしまう。

 すると愛は怪訝(けげん)な表情になって、

 

「純子……もしかして、感じてるの?」

「ち、ちちち、違いますっ! なにかが込みあげてきて、その、先端のほうが、爆発しそうになる、というか……!」

「それって、もしかして、しゃ――」

「違います! 違いますからぁ!」

 

 純子は必死で否定する。

 

「こ、これはきっと……菌糸(きんし)ですっ」

「菌糸?」

「たぶん、頭に根を張っていたときみたいに、このきのこも……菌糸で、張りついているのではないかと……っ! で、ですから、その菌糸が……出そうになっている、のではないかと……」

「そ、そっか。ふぅん……」

 

 愛は頬を赤らめて、黙り込む。

 2人のあいだに気まずい空気が流れるが、そのあいだも、愛は手を止めなかった。

 

 敏感なところをこすられて、純子はぴくっ、ぴくっと反応してしまう。

 

 すると、愛がぽつりと言った。

 

「ねぇ、出してみよっか?」

「……へ?」

「だから、出そうなんでしょ?」

「ですからそれはっ……それは……、それは……はい、そう、なんですけど……」

 

 恥ずかしくて恥ずかしくて、それでも観念して、純子はうなずいてそう答えた。

 

「ん。いいわよ……出させてあげる。こうすると、気持ちいいんでしょ?」

「い、いえ……っ!」

「隠せてないから。どう見ても……感じてるでしょ」

「う、ううっ……」

 

 これは本当に恥ずかしすぎる。

 今まで味わっていた淫靡(いんび)な快感は、すべて愛に見透かされている。

 

 だがその上で、愛は、

 

「だから、いいってば。そうしないと、このままじゃいつまで経っても抜けないかもだし。いいよ。感じちゃっても」

「で、でも水野さん……」

「遠慮しなくていいから。ここまでしちゃったら……もう、同じようなもんでしょ?」

 

 ぶっきらぼうな言いぐさだったが、その声には次第に慈愛の響きが混じってくる。

 

「あんたはいっつも我慢しすぎなのよ。今回のことだって。このくらい、なんてことないわ。……最後まで付き合ってあげるから。ね?」

 

 優しく微笑まれて、純子は全身が沸騰しそうな錯覚におちいった。

 

 受け入れてくれる、受けとめてくれる――

 そう思った瞬間に、先ほどまで感じていた快感とは別物の悦(よろこ)びが、彼女の全身を満たした。そして、

 

「は、はい……。お願いします、水野さん」

 

 純子はうなずく。顔が燃えるように熱い。

 

「ん。じゃあ、ほら、余計な力抜いて。ここに集中して……いい? いくよ?」

「あっ……! んっ、あんっ……」

 

 繊細な手つき。

 愛は、きのこを純子の体の一部として扱ってくれる。

 

 表面をこするように、ときにきゅっと握って、次に、芯を痺(しび)れさせるように、やや強く。指の形を変えて力加減を変えて、それで様々な悦楽を純子にもたらしてくれる。

 

「どう? 純子、感じられてる? 私の手、気持ちいい?」

 

 真摯(しんし)なまなざし。

 耳朶(じだ)を打つやわらかな声音に、脳の奥がとろけそうになる。

 

「は、はいっ……、水野さんの手、すごく、いい、ですっ……! は、あっ!? こ、腰……腰が、勝手に、動いちゃいますっ!」

「ん、いいよ、好きにしちゃって。出したくなるまで、ずっとこうしててあげるからね」

「~~~~っ!」

 

 あまりの快感に喉(のど)がつまる。

 目の前がチカチカする。

 

 愛は指で輪っかをつくり、先端近くの段差を囲ったかと思うと、弄(もてあそ)ぶような手つきで回転させた。

 

「は、あ!? あああっ……! だめっ、水野さん! こ、こんなの、こんなのっ……は、はじめてで! あっ……そこ、くりくり、しないでっ!」

「ふふっ。純子、かわいい」

 

 相変わらず慈しむような笑顔だが、声にはわずかにサディスティックな響きが含まれていた。そんな顔で見つめられると――

 

「は、恥ずかしいっ、ですっ……」

「ええ、そうなの? 純子のココは……もっと恥ずかしいことになってるみたいだけど?」

「やっ!? い、言わないで! だめっ」

 

 いつの間にか、きのこはパンパンに張り詰めていた。愛の手の中でそれは、全体的にとろりとした粘度の高い液体を……液状になった菌糸らしきものを漏らし始めている。

 

「私の手……べとべとになっちゃってるんですけど。これ、全部純子のせいだから。分かってる?」

「は、はいっ……! ご、ごめんなさい……!」

「そんなに気持ちいいんだ。いいな、うらやましい。もう、ぜんぶ出ちゃいそう?」

「はっ、ああっ……! ま、まだもっと……すごいのが、もっと、たくさん、来そうっ、ああっ……!」

 

 もはや、だらしなくなった顔を隠す余裕すら、純子にはなかった。

 あまりの快楽に大きくのけ反り、背中を震わせる。そのせいで、さらに腰を愛のほうへと突き出す格好になってしまっている。

 

「く、るっ、来ちゃいますっ、怖いっ、怖い、ですっ……!」

「大丈夫。最後まで見ててあげるから。純子がぜんぶ気持ちよくなるまで、いくらでもしてあげるから、ね?」

「水野さんっ、水野さんっ……!」

 

 狂おしいほどの衝動。

 愛の手つきは速度を増して、純子のことを責めてくる。

 それでいて、彼女はどこまでも優しい。甘えたくなる。欲望を、全部吐きだしてしまいたくなる。

 

「わ、私っ、……あっ!? はっ、ああっ! だ、出しちゃい、そう、ですっ」

 

 凄まじい快感の嵐の中、純子は奥歯を食いしばって耐える。

 

「ん。いいよ。出しちゃって。我慢しなくていいから。純子の好きなように……たくさん、出していいからね。出して、出して……」

「あっ、ああっ……」

 

 今まで味わったことのない、絶望的なほどの快感の波が純子の全身を呑み込んだ。目の前が真っ白になる。

 

 愛の声だけが、耳に――

 

「純子、出してっ」

「愛さんっ! で、でちゃ……あっ、ああああああああっ!」

 

 ぶびゅっ、びゅるっ、びゅるるっ――

 純子の下腹部が激しく脈動(みゃくどう)して、大量の菌糸液をまき散らす。

 

 びゅるっ、びゅるぅっ……

 

「あっ、やんっ」

 

 その白濁(はくだく)した液体を顔いっぱいに浴びて、愛が表情を歪める。

 

「あっ、あ、はあっ……ご、ごめんなさっ、んっ、くぅうううっ……」

 

 全身の痙攣(けいれん)が止まらない。まるで純子の肉体全部が、その菌糸を吐きだすための器官に作り替えられてしまったかのようだ。

 

 こんな汚らしい姿を見せているというのに、愛はいっそう優しい手つきで純子のことを慰めてくれる。

 

「あ、ああっ……」

 

 全身が、どくっ、どくっとポンプのように脈打ち、やがて最後の一滴まで菌糸液を漏らし尽くす。

 

「出ちゃったね。すごい、いっぱい……」

 

 愛は、嫌な顔ひとつせずその全てを受けとめてくれた。

 ぽろりと、きのこが純子の体から剥がれ落ちた。

 

 だが、純子はもうそれどころではなかった。

 熱でおかしくなってしまった頭で。自分でもわかるほどにとろけきった顔で、必死に目の前の彼女を見つめる。

 

「水野、さん……」

「大丈夫だった?」

「わ、私は……私より……」

「私は平気だってば。そりゃあこのきのこ、得体が知れないけど……でも、これ全部、純子のだから。だから私は平気」

 

 愛はそう言って笑うと、純子の前で座り直し、ベッドに突いていたほうの手で、純子の頬をそっと撫でる。

 

「ていうか、さ」

「はあ、はあっ、……は、い?」

「愛、のほうがしっくり来るんだけど」

「え?」

「だからさっき。私のこと、愛って呼んだでしょ。水野さん、よりは、そっちのほうがいいなって思ったの」

「み……、あ、愛、さん……」

「なぁに? 純子」

「愛さん……愛さんっ……」

 

 感情を抑え切れなくなって、純子は愛に抱きついた。

 

「ちょっと、あなたも汚れちゃうでしょ? これ結構べたべたするんだからね?」

「いいんです……いいんです……! しばらく、こうさせてください……」

「……もう、しょうがないんだから。一応、あなたのほうが年上でしょ?」

 

 そう言いつつも、愛は抱擁(ほうよう)を受け入れてくれた。彼女からも背中に腕を回してくれて、優しく撫でつけられる。じわりと温もりが伝わってくる。体はもう充分すぎるほど熱いのに。なのに、心地がいい。愛しい。

 

「頑張ったわね、純子」

「ありがとうございます、愛さん……」

 

 ――大好きです。

 胸の中でそうつぶやいて、純子は愛を強く抱きしめた。

 

 

 二人きりの秘密の夜は、そうして更(ふ)けていった――。

 

 

 

 

 

 

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次回予告!(たぶん!)

 

 

愛の手ほどきで、無事にきのこを取り除くことに成功した純子!

しかし、飛び散った菌糸が今度は愛に根を張って……!?

 

戸惑う愛の手を握り、純子は宣言する。

「今度は、私が頑張ります!」

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