【書籍化&コミカライズ】ツンデレ女子が幼馴染の鈍感男子に「ざまぁ」されていたので、寝取って教え込んであげた話 作:タイフーンの目
午後3時を過ぎても夏の太陽はまだ高いところにあって、海水浴客も一向に減る様子はなかった。
キリエたちの集団は、拠点にしているパラソル周辺に集まったり、また各々の小グループに分かれたりしながら、気ままに海を楽しんでいた。
「そういえば、師藤は?」
「ナンパにでも行ったんじゃね?」
などど男子たちは冗談交じりに言い合う。
実際のところ、その頃彼は――
■ ■ ■
愛花は、旅館へと続く静かな小道を登っていた。
ここは私有地――旅館の敷地内で、左右は手入れの行き届いた林が広がっている。
頭上を程よく木々の枝が覆ってくれていて、その葉が風にさざめく音も相俟って、すぐ近くの砂浜とはまるで別世界のように涼やかだ。
彼女が集団から離れてこの緩やかな坂を登っているのは、
(涼介くん……)
少し前に、彼が旅館のほうへ歩いて行くのを偶然目撃したからだった。霧崎キリエとは別行動で、他の男子の姿もなく――。
衝動的に、すぐさま後を追いそうになったが、〝恋人〟の存在がそれを許さなかった。そして彼とはぐれたのを好機に、愛花は涼介の姿を求め、人目を避けてここまで来たのだった。
水着にパーカーを羽織っただけの格好。肩にトートバッグ。ビーチですら視線を引きつけてしまう愛花の白い肌。ポニーテールの黒髪――
途中、県道を横切る辺りでは、例によって男性たちを振り向かせてしまっていた。
今は幸い、人影も、車の行き来もない。
「あ……」
旅館のほう――坂の上から、涼介が降りて来た。
水着にTシャツ、荷物はボディバッグだけ。スポーツキャップも被っていないので、すぐに彼と分かった。
(何の用事があったんだろう……?)
忘れ物を取りに行った、という風情でもない。
向こうもこちらに気づいたらしく、遠目でも怪訝そうな様子が分かった。それでも真っ直ぐに歩いて来た涼介は、そっけない声色で、
「なに?」
「え、ううん……」
そう尋ねられると、言葉に詰まってしまう。
愛花こそ、特に目的はなかったのだ。あえて言うならば――体が疼いて仕方がない、という理由。
「あ、の……」
彼の目は冷めているが、それでも、他の男に見られているときよりずっとずっと、愛花の芯が火照らされる。その熱が頭の中をジクジクと煮立たせて、理性が吹き飛びそうになる。
「皆のとこに戻りたいんだけど?」
涼介の冷たい態度は今に始まったことではない。
処女を奪われたときから、彼は、愛花に対して何の感慨も抱いていないことは分かっていた――理解して、納得もしていた。
それでも良かった。
自分の中の、醜く淫らな部分を見つけてくれて、掻きだしてくれる。彼といると、自分がどれだけ浅ましい牝猫なのかと思い知らされる――それがいい。
「霧崎さんのところに……戻るんだよね」
「――ああ、真凛に聞いたんだっけ?」
愛花の脳裏に、キリエの姿が思い浮かぶ。
涼介とキリエの関係は、愛花以外の旅行メンバーは誰も知らない。だから2人はただのクラスメイトのように振る舞っている。
だが愛花の目には2人は明らかに他人とは違う空気で繋がっているのが見えた。それは、たとえ事前に知らされていなかったとしても、同じように映っただろう。
しかし不思議と愛花は、
――羨ましい
とは思えなかった。
(そっか……私は、やっぱり……)
自分の本性を再確認する。そうすると、胸の高鳴りが、腹奥の疼きが、際限なく高まっていくのが分かった。
愛花は、涼介の前で微笑むと、おもむろにシュシュをもぎ取るように外し去って、
「涼介くん、こっち……」
彼の手を引いて、林の中へと入っていった。
■ ■ ■
(愛花……どこ行ったんだろう?)
和樹は〝恋人〟の姿が見当たらないのに気づいて、
「ねえ、愛花見なかった?」
クラスメイトに尋ねると、どうやら県道のほうに歩いて行くのを見かけたのが最後らしい。スマートフォンで連絡を試みるも、バッグの中に入れていて気づかないのか、応答はない。
気分でも悪いのだろうか……?
(まず僕に言ってくれればいいのに)
彼女に〝悪い虫〟でも付いたら大変だ。
(手の掛かる彼女だなぁ)
やれやれと小さく首を振って、和樹は愛花を捜しにビーチを後にした。
■ ■ ■
「いきなりこれって……なに、そんなに発情してたわけ?」
愛花は林の奥に涼介を連れ込んだかと思うと、地面に膝を突き、水着のトランクスを引き下ろしてそのままむしゃぶり付いてきた。
「〝彼氏〟にしてあげれば?」
「んぅうっ、んぅっ……!」
皮肉を込めて言うと、愛花はペニスを口いっぱいに頬張りながら、懸命に首を振る。
「んぶっ、んっ……や、やぁっ、こういうことするの、涼介くんだけだからっ……んぢゅッ、んぼっ!」
「前も言ったと思うけど、俺、キリエのこと本気だから。こういうことされると――迷惑なんだけど」
そう言って彼女の頭をぐいっと押すも、彼女は両腕で腰に抱きついてきて、一向に口奉仕を止めようとしない。
むしろ、彼女の興奮は増すばかりのようで、
「んっく、んっく……っ、ぅぶッ、ぐぷッ!!」
頭を激しく上下させてのフェラチオ。外見の清楚さを丸っきり台無しにする痴態。
「――酷いよな、恋人に内緒でこんなことして」
言うと、愛花はビクっとして動きを止め、唇では亀頭に吸いついたままで涼介のことを見上げてきた。
さすがに「どの口が言うんだ」という表情。責めているというよりは、信じられないという感情のようだった。
「俺は彼女に本気だから。こういう最低な姿は、絶対に見せないよ。隠し通す。隠し通したまま彼女と幸せになるよ」
そこに至って愛花は初めて肉棒を口から離して、
「ずるい……っ」
と、小さくつぶやいた。
「知ってるよ。だからお前とも、こうして付き合ってる――セックスしているあいだは、お前は黙っててくれるだろ?」
「…………」
「もし、俺がセックスしないって言ったら――」
「や、やだっ!」
愛花は立ちあがって、涼介の胸に縋り付いてきた。
「しよ? ね、絶対に気持ち良くするからっ――」
涼介は、くくっと笑って、
「分かったよ」
木の幹に手を付かせ、後ろから挿入した。
愛花は喜びに身を震わせて、
「あッ、あんッッ! こ、これっ、ずっと、ずっと欲しかったのッ――もっと、もっとしてッッ」
黒髪を振り乱して悶える。
涼介は、そんな彼女に覆いかぶさり、耳元で囁いた。
「……愛花はさ、セックスよりも気持ちいいことを知ったら、どうなるんだろうな?」
「……ど、どういうことっ?」
「真凛に、何かされただろ?」
「えっ――」
「ああ、あいつからは何も聞いてないよ。でも分かるんだ。あいつは俺に似てるから――」
身を固くする愛花の耳に、涼介はなおも囁きを流し込む。
「愛花ならもっと気持ち良くなれるよ、セックスなんてしなくても」
「えっ、えっ……ッ」
「もっと気持ち良くなれる方法、教えてやるよ」
「――――っ!?」
戸惑いながらも未知の快感への期待に身震いする愛花。
涼介は、挿入したままの彼女にトートバッグを拾わせ、その中身を漁った――。
■ ■ ■
ビーチ付近で愛花のことを見つけられなかった和樹は、もしやと思い旅館を目指していた。
果たせるかな、林の小道で、坂を下りてくる愛花と行き合った。
「愛花、心配させるなよ……!」
安堵の気持ちと、自分を蔑ろにされた小さな憤りを胸に、彼女に駆けよる。
「あれ……?」
雰囲気がおかしい。髪型も違うが――それとは別に、何か……決定的な何かが、いつもの彼女とは違っていた。
「あ、和樹くん」
和樹の戸惑いをよそに、彼女は嬉しそうに微笑んだ――その笑顔も、なぜか和樹の胸をざわつかせた。
「会いたいなって思ってたんだ。それから……、あった。やっぱりここに落としてたんだ」
彼女は、すぐそばの藪に引っかかっていたシュシュを手に取る。先刻まで、彼女の黒髪を束ねていたもの。和樹が、彼女に贈ったものだ。
何が何やらまったく分からない和樹を尻目に、愛花はシュシュを頭には戻さず、トートバッグに放りこんでしまった。
そして代わりに、スマートフォンを取り出して、またにっこりと笑った。
「な、なんだよ……」
「さっきからね、和樹くんがどんな顔してくれるかなって……ずっと楽しみだったんだ。まさか、こんなすぐに会えると思ってなかったけど」
まったく会話にならない。和樹は狼狽するばかりだが、彼女のスマートフォンを見て、ふいに怒りが込みあげる。
「あ、あのさ! 愛花は僕の彼女なんだから、勝手にどっか行ったり、電話に出なかったりとか……そういうの、本当に気をつけたほうがいいと思うよ!?」
裏返りそうな声で責め立てるが、愛花は堪えた様子もなく、
「彼女……。うん、そうだね。恋人だもんね。だから……和樹くんは、私の全部を見てくれるよね? 受け止めてくれるんだよね?」
ますます、何を言いたいのかサッパリ分からない。
「あのね……」
すると彼女は、顔を赤らめながら、熱っぽい視線で和樹のことを見てきた。
「う――」
見たことのない彼女の顔。その雰囲気に押し負けて、和樹はたじろぐ。
「私ね、さっきまでセックスしてたの」
和樹はしばらく、その言葉の意味を理解できなかった。愛花は畳みかけてくる。
「そこで……外で。水着のまま、犯してもらってたの」
「な、何言って」
「私、その人に処女も奪ってもらって。あ、今日じゃなくてね。ずっとずっと前から。気持ちいいこと、たくさん教えてもらって。私も、その人にいっぱい奉仕して――でもね、もっと気持ちいいことがあるんだって、今日言われたの。だから、試してみていい?」
和樹の混乱には、拍車がかかるばかり。
まるで別人のような恋人を前に、すっかり固まってしまう。
その和樹に対して、愛花はスマートフォンの画面を差し出してきた。自然、和樹の視線はその画面に吸い寄せられる。
動画だ。
画面には、彼女の告白通り、セックスに耽る彼女の姿が映し出されていた。
「え、あ、は……?」
林の中だろうか。地面に仰向けになり、淫らによがり狂う愛花の姿。初めて見る彼女の乳房。いや、それどころか、誰かのペニスが突き刺さった局部までもが――。
もちろん、喜ぶどころではない。画面の中の彼女は、自分とは違う男に向けて、甘えた声で、乱れきった顔で懇願している。
――もっと、もっと。
「その人とのセックス、とっても気持ちいいんだよ。初めてのときから気持ち良かった。すごく痛いのに……でも、良かったの。私の汚いところも全部、見てくれて、いじめてくれるの」
彼女は、もう片方の手で自身の下腹部を愛おしそうにさする。その白い太腿には、明らかに汗とは違うものが垂れ落ちた跡が残っていた。
「ここに、ね? 男の人の性器を入れて、いじめてくれたの。私が泣きながら悦ぶのを、責めるように見ててくれたの」
「――っ、だ、誰だよっ! な、なんだよ、そいつはっ!」
以前から、と愛花は言った。
だとすれば――旅行のメンバーの1人だろうか。分からない。心当たりがない。
(あ、あいつらっ……!)
だから、誰とも構わずに和樹は恨んだ。
「う、浮気じゃないかっ!」
「浮気? 違うよ。和樹くんと付き合う前からだもん。和樹くんと初めて話したときにはね……もうここは、あの人にたくさん愛してもらった後だったんだから」
動画が切り替わる。
体勢が変わっている。愛花は木の幹に両手を突いて、背後から挿入されていた。あられもない嬌声。苦しそうなのに、どこか弾んだ声音。心底愉しそうな――恋人の姿。
「う、あ、あっ!?」
動画が終わる。
愛花は、すっと手を引いて、
「ねえ、和樹くん。これが私なの。どう……かな?」
はにかむような顔。画面の中の彼女とは似ても似つかない、まるで無垢な少女の表情だ。
「こ、こんなの、嘘だっ……!」
「恋人なのに受け入れてくれないんだ……あれ?」
ふいに、彼女の視線が下がる。
「和樹くん……」
「え、あっ!?」
彼女に咎められて、和樹は自分の水着が盛り上がっていることにようやく気づく。
「ち、違うっ、これはっ!」
前屈みになって抑えるが、血液はそこへと集まるばかり。
愛花は、すっと眼をすがめると、
「勃起したの?〝彼女〟が他の男の人とセックスするところ見て」
蔑むような声音で彼女は、
「私、和樹くんに興奮してもらうために見せたんじゃないんだけど?」
「う、ぐっ……!」
いつもと違う彼女の声と視線に、和樹の足がガクガクと震えて、立っていられなくなる。しゃがみ込んで和樹は、
「――あっ、ぐ!?」
「え、和樹くん?」
愛花もしゃがんで、顔を合わせようとしてくる。
「もしかして……射精したの? 私がセックスするところ思い出したの? それとも――。そっか、和樹くんも私と同じなんだ」
くすくす笑う彼女のことを、拒絶できない。
「水着、汚れちゃったね。臭くなっちゃったね」
「あ、う、愛花っ……」
「ダメ。触らないで」
伸ばし掛けた手を、ぴしゃりと制止される。
「私は和樹くんとはセックスしないよ? キスもしないし、手も握らないから。でも、見てあげるくらいはいいかな……。ね、こっち見て?」
愛花はスマートフォンのカメラを構えている。
「や、やめっ……!」
「ふふ。嘘だよ。撮ってないから。和樹くんが射精するところなんて……撮ってあげない」
彼女になじられると、腰が震える。どくどくと流れ出てしまう。
「――ありがと、和樹くん。私、分かっちゃった。見られるだけじゃなくて……見てあげるのもこんなに気持ちいいんだね」
「あ、う……?」
「たくさん出ちゃったのかな? 射精、気持ち良かったんだね」
そう言うと、愛花は立ちあがって晴れやかな顔で笑った。
「じゃあ、皆のところに戻ろっか」