【書籍化&コミカライズ】ツンデレ女子が幼馴染の鈍感男子に「ざまぁ」されていたので、寝取って教え込んであげた話 作:タイフーンの目
本編、
『ツンデレ女子が幼馴染の鈍感男子に「ざまぁ」されていたので、寝取って教え込んであげた話』
をお読みいただきありがとうございました。
お待たせしましたが、本日から番外編の第1弾をお届けしていきます。
■第1弾:過去編
かつての師藤家の話。
涼介・真南可・真凛の、義理のきょうだいがメインです。キリエや愛花は登場しないのでご注意ください。
また、涼介以外の男性の行為シーンもあります。そして涼介もキリエと出会う前なのでクズ男モード全開……真南可たちとのあれこれが苦手な方は、すみませんが第2弾をお待ちください。
■第2弾:エンディング後
涼介とキリエがひたすらイチャラブする話。「涼介とキリエの話だけ読みたい!」という方はこちらをお待ちくださると幸いです。
まず、直近は第1弾から連載して、時期を空けて第2弾の予定です。お付き合いのほどよろしくお願いします。
※本日と明日は3話ずつ投稿します。
7時、17時、23時ごろ予定。
番外編01 彼女たちのはじまり
母の再婚で、
真南可と母と、そして妹の
新しい父親は、愛想がよく、スマートな体型で外見にも気を遣っているのが見て取れて、建築家として自身の事務所も持っており、母と付き合っていたときにはよくプレゼントを贈っていて――ありていに言えば『いい男』というやつだろう。
「お邪魔します――」
そう言って新居のドアをくぐったときも、
「はは。これからはここが真南可ちゃんの家になるんだよ」
「あ、そうですよね。えっと……」
「いきなり『ただいま』とも言いづらいか。いいよ、少しずつ慣れてくれたらいい」
物腰が柔らかいというか、女性慣れしていそうな雰囲気を受けた。真南可のタイプではなかったが、
(モテるんだろうな、この人)
と思った。
そんな義父と母が付き合うことも、そして結婚すると言い出したときも、真南可自身には不服はなかった。
本当の父親とは幼い頃に死別していたし、母が幸せならそれはそれでいい。
――ただ。
真南可は別の問題に直面していた。
「涼介、おまえも挨拶を」
「――――」
義父には息子がいた。真南可より年下の、つまり義理の弟になる男の子だ。
師藤涼介。
彼に会うたび真南可は、ゾクリと背筋が震える。
(まただ……慣れないな……)
この何とも言いがたい感覚は苦手だ。
外見はとびきりいいのだけれど。
同世代より長身で、しかもまだこれから伸び盛りだ。じきに真南可の背を追い越すだろう。
顔の造形も遺伝なのだろうが、父親よりずっと繊細で美麗だ。年頃特有の線の細さがあって――まるで彼自身がガラス細工でできているかのようにさえ思えた。
ただ、作り物のような義弟には愛想がなかった。
引っ越してきた真南可に対してもなんら感情の乗らない声で、
「――こんにちは、真南可さん」
「涼介」
新しく出来た家族にも、そして肉親である父に対しても心を開いている様子がない。そのせいもあるんだろうか、涼介をたしなめる義父の表情はどこか冷たかった。
いわゆる一般的な反抗期なのかもしれないが――彼の場合はどこか違うような気もする。
彼のまなざし――
まっすぐに見つめてくる澄んだ瞳は、しかしどこか底が知れない。どころか、こちらのことを見透かしてくるようで気味が悪いのだ。
(
自分の幼馴染みと比べてしまう。
最近付き合いを始めた彼――
親を雑にあしらう姿は見てきたが、それでも拓真にはどこか思春期らしい愛嬌があったと思う。
「ゴメンね真南可ちゃん、涼介が」
「いいえ、そんなこと」
ただでさえ男きょうだいなんて居なかったのに、先が思いやられる。
それでも真南可は持ち前の明るさで、
「涼介くん――私もまだまだ緊張してるからさ。ちょっとずつでも仲良くしてくれると嬉しいな」
「――――」
朗らかな笑みで話しかけてみても、涼介は目を細めるだけだった――まるで薄く嘲笑するかのように。
(感じ悪い…………)
転居初日から、心の中でため息をつくしかなかった。
■ ■ ■
新生活には、涼介に付随してもう1つ問題があった。
「姉さん、私あのひと嫌いです」
師藤家で暮らし始めて1週間もしないうちに、妹の真凛はキッパリと宣言してきた。
「あの人って――」
「義理の兄です」
まだ幼い妹だが、彼女の物言いは誰に似たのかあまりにもストレートで鋭かった。それでも、両親や涼介自身がいない姉妹2人きりのシチュエーションで話してくれるだけ、まだ気を遣っているのかもしれないけれど。
「そのうち慣れるって」
「いいえ。そんな日は来ません」
年齢不相応な凜々しい美貌――という点では、彼女が毛嫌いしている涼介とよく似ている。
ただし同じガラス細工でも真凛のほうは抜き身の刃物めいた危うさを湛えていた。姉の真南可ですら羨ましく思うほどの、さらりとした長い黒髪と、きずひとつない白い肌。
真凛は母親と折り合いが悪く、真南可にばかり懐いていた。母は悪人ではないが、娘たちへというよりも男性への愛情が深いタイプで――だから真凛のことより自分の幸せを優先したんだろう。そんなだから真凛の依存も強まっていく。
「もしかしてイジメられたりした?」
「いいえ。会話もしていません」
「カッコいいから緊張しちゃってる?」
「私は人の容姿に興味がありませんので」
「じゃあそんなに嫌わなくても――」
「姉さんに」
「?」
「あの人は、姉さんに悪い影響を与えそうですし」
「私に?」
真凛の
たとえば以前、家に遊びに来た真南可の友人が陰口をたたいていたという理由で、頭から水をぶっかけるなんて暴挙に出たこともあるほどだ。
「今度、一緒にゲームにでも誘ってみる? 涼介くんも同じの持ってるみたいだし……そうだ! 拓真も呼んでさ」
恋人のことを考えると心が明るくなる。
思いつきで口にしたが、これは以外と妙案かもしれない。拓真は誰とでも仲良くなれる性格で、この真凛ですら心を許している。
「拓真さんですか――」
考えてみれば、涼介だって多感な年ごろの男の子だ。急に女子と一緒に暮らすだなんて居心地が悪いだろう。
その点、拓真ならうまくやってくれそうだ。男の子同士のほうが呼吸を掴みやすいこともあるだろう。きっと涼介とだって打ち解けてくれるに違いない。
「……あ。でもこの家に拓真を呼んでいいのかな?」
まだここは『他人の家』といった感覚だ。
広い一軒家で、もとから2階にあてがわれていた涼介の部屋と、その隣に真南可は自室をもらっていた。夫婦の寝室がある1階に、小さいがはやり真凛も自分の部屋を割り当てられている。
涼介にとってはただでさえ『異物』である真南可が、恋人を家に招くなんて許されるだろうか。しかし、思った以上に真凛は乗り気で、
「いいんじゃないですか。味方は多いほうがいいですし」
「味方って――」
涼介への
住まわせてもらっておいてこう言ってしまうと申し訳ないが、やはりこの家ではまだアウェーだ。そして涼介はあんな性格。
拓真という応援を得ることで心細さを埋めようと無意識のうちに考え至ったのだろう――真南可は自身をそう分析した。
(ちょっとズルいけど、これが涼介くんのためにもなるよね)
これが最善の策だと思った。
――このときは。